地域や保護者に支えられ、花と緑と歌声が響く「相模原市立淵野辺東小学校」
「相模原市立淵野辺東小学校」は、「古淵」駅と「淵野辺」駅の中ほどに位置する公立小学校。支援学級を含めて全27クラス、計861名の児童が学ぶ市内でも大規模な学校だ。「行きたいよ! 淵野辺東小学校」を学校経営方針に、保護者や地域と連携して子どもたちに寄り添う学び舎のグランドデザインを描いている。校長に着任して2年目を迎えられた岡本校長先生に、淵野辺東小ならではの教育の特色や地域の魅力についてお話を伺った。
授業参観や「ほかほかふるまい」など独自の道徳教育
――まずは学校の歴史や概要のついて教えてください。
岡本先生:本校は1982(昭和57)年に「相模原市立淵野辺小学校」から分かれて開校し、今年度で創立36年目を迎えました。児童数は現在861名と、相模原市の小学校全72校の中でも人数が多い学校です。校章は、子どもたちが大きく羽ばたき育つようにと「大鳥」を象っています。カーブを描く校舎のデザインは市内でも珍しく、大鳥が羽ばたくようなイメージで建てられたのではないでしょうか。
本校は昔から「花と緑と歌声の淵野辺東小学校」として、プランターで花を育てたり、年1回の音楽集会を開いたりと、花や歌声が共にあるような学習環境を大事にしてきました。決して古い学校ではありませんが、そうした校風はこれからも大切にしていきたいと思っています。
――朝の「チャレンジタイム」はどういった取り組みですか?
岡本先生:始業前の15分間を使って、漢字の書き取りや計算をしています。国語算数を中心に基礎基本の学力をきちんと身につけることが狙いであり、年間を通じて集中して取り組むことで成果が期待できます。これとは別に、金曜の朝は読書タイムを設けて、知識や落ち着いた学習態度を身につけられるようにしています。
――連続して授業改善研究推進校に指定されていらっしゃいますね。
岡本先生:本校といえば道徳教育というほど、20数年来、熱心に取り組んできました。推進校も道徳科の指定で、昨年度に二次の研究発表を終え、今年度は三次の指定を受けています。
本校の道徳教育は、授業づくりはもちろん、日々のあいさつや掃除などにおける心構えなど、学校全体の活動の中に道徳を取り入れている点が特徴です。例えば、道徳の授業で子どもたちから上がった意見を教室内に掲示し、ふだんから道徳的な意識を高められるような工夫をしています。また、子どもたちが人にしてもらって嬉しかったことを「ほかほかふるまい」と名付け、その経験を紙に書いて専用の箱に入れてもらい、廊下などに掲示しています。
道徳の授業は保護者に見ていただく機会が少ないので、年1回は必ず授業参観で全学年が道徳の授業をする機会を作っています。本校の子どもたちは素直で、あいさつができる子が多いと感じていますが、こうした道徳教育が響いているのではと考えいます。
地域との連携、ボランティア活動も活発
――小・中の連携についてどのような活動を行っているのでしょうか。
岡本先生:「相模原市立共和中学校」と合同で取り組んでいます。本校の卒業生は全員同校へ進むので、連携する意義は大きいですね。具体的には、校長や児童指導担当、生徒指導担当が集まる中学校区の会議で、学ぶ姿勢、仲間作り、清掃、あいさつの4つの観点から生活目標を立てて、9年間を通して生活習慣や人との関わり方を身につけられるようにしています。また、6年生が3学期に共和中へ部活体験へ行ったり、中学で生徒会のみなさんと児童会の子どもたちとで話し合う、リーダー講習会を行ったりと、実際に交流する機会を作っています。
その他、いわゆる小・中連携活動とは別に、共和中の生徒が本校へ職場体験に来たり、PTA活動のひとつとして、共和中の器楽合奏部と合唱部に生の演奏や歌声を披露してもらう活動もあります。今年度は秋のオータムコンサートとして行われ、本校の児童も音楽クラブやダンスクラブ、コーラスなどで参加し、保護者も大勢参観にいらっしゃいました。
――いろいろな地域ボランティアが活躍されているそうですね。
岡本先生:「花と緑と歌声の淵野辺東小学校」という面では、「花ボラ」さんと呼んでいる花と緑のボランティアの方たちが、プランターの植え替えや手入れなどをしてくれ、飼育栽培委員会の子どもたちも一緒に活動しています。その他、朝の読み聞かせなどをするお話ボランティア、水槽の管理をするお魚ボランティアといった方たちもいらっしゃいます。学生ボランティアも、本校が長年活用してきた制度で、教員志望の大学生が授業の補助や安全面の見守りなどをしてくれています。
また、市の呼びかけで、10数年以上前から子どもたちの登下校の見守りをしてくださっているのが、安全見守りボランティアです。自治会の方たちを中心に、現在約30名の方たちが活動していて、どんな天候でも毎日外に立ち、子どもを見守り続けてくださるので、本当に頭が下がります。昨年度は教育委員会から、感謝状が贈られました。学校も安全見守りボランティアさんの存在を知ってもらおうと、新学期が始まる4月に集会を開いて子どもたちに紹介し、学年末の3月には児童会がお礼の会を開いています。
このように、いろいろな面で地域ボランティアさんが関わってくださるので、私もそうですが、子どもたちも、地域の方たちが支えてくださる学校だということを感じていると思います。
――その他、地域や保護者との連携はございますか?
岡本先生:本校には、市から委嘱される形で、保護者やOBなど3名の「学校と地域の協働推進コーディネーター」が派遣されています。これは、地域の方が積極的に学校へ足を運んでくれるような呼びかけをしてくださる、いわば、学校と地域のパイプ役です。
安全見守りをはじめ、サクラの花びらの清掃、落ち葉掃き、運動会で使用するカラー帽子の繕いといったさまざまなボランティアの呼びかけから、地域人材のコーディネートまで、学校のためによく動いてくださっています。6年生は卒業に向けてのキャリア教育の授業で、地域で活躍されている洋菓子屋さんの生き方を知り、みんなで「夢ケーキ」を作り上げるという学習をします。その洋菓子屋さんを見つけてきてくださるのも、地域をよく知るコーディネーターの方です。
商業施設が便利に使え周辺都市へのアクセスも良好
――校長先生が思われる、学校周辺地域の住環境の魅力をお聞かせください。
岡本先生:電車で横浜や八王子へ電車一本で出られるし、町田から小田急線を利用できるなど、交通の便がいい。近くに「青山学院大学」や「桜美林大学」のキャンパスがある、ちょっとした学生街でもあり、学校の周辺を青学の駅伝部の学生が走っている姿をよく見かけますよ。「古淵」駅前に「イオン」や「ヨーカドー」といった大型の商業施設があり、とても便利です。
住みやすいためか、子どもの数も年々増え、本校の校舎も増設したほど。昔からの地元の方と新しく入って来た方が混在する地域と言えますね。野菜を育てている農家さんに本校の子どもたちが野菜作りでお世話になるといったのんびりした雰囲気がある一方で、総合の学習で街探検をさせてもらう「イオン」さんのような便利な商業施設もある。そんな環境ですので、子育てをしていらっしゃるご家庭にとっても、暮らしやすい地域だと思いますよ。
相模原市市立淵野辺東小学校
校長:岡本昭三 先生
所在地:神奈川県相模原市東淵野辺3丁目17番地1号
電話番号:042-759-0377
URL:http://www.sagamihara-fuchinobehigashi-e.ed.jp/
※この情報は2017(平成29)年12月時点のものです。