スペシャルインタビュー

児童が“安心”を得られる環境づくりを進める/松仙小学校 齊藤純校長先生

桜並木の美しい坂道を登っていくと、左手に「松仙小学校」の正門が見えてくる。1953(昭和28)年9月に「久原小学校」の分校として開校した同校は、小学校としては珍しく、独自の“ゆるキャラ”を持っていることでも知られる。そうした特色をはじめ、歴史、教育について伺うべく「松仙小学校」の学校長、齊藤先生を訪ねた。

桜並木の美しい小学校

向いの都立雪谷高校との間にある通学路。桜の木が生い茂る静かな環境
向いの都立雪谷高校との間にある通学路。桜の木が生い茂る静かな環境

―まずは「松仙小学校」の沿革から聞かせください。

本校は、1953(昭和28)年9月に「久原小学校」の分校として開校しました。当時の木造校舎は残念ながら残っておらず、現校舎は1979(昭和54)年に完成したものです。現在は23学級ですが、これからしばらくは24学級前後で推移していくだろうと考えています。

着ぐるみまであるゆるキャラ「まつぼっくりん」
着ぐるみまであるゆるキャラ「まつぼっくりん」

―「松仙小学校」ならではの特徴があれば伺えますか?

創立60周年を迎えたとき、絵本作家として活躍されている保護者に協力してもらい、学校のオリジナルキャラクター「まつぼっくりん」が生まれました。その「まつぼっくりん」が動いたら面白いのではないかという話から、着ぐるみも制作したのです。パートナーがいなかったので、新たに「かさじい」もつくりました。入学式や卒業式のイベント等でたびたび活動しています。
それ以外の特徴としては、週に1度、昼休みを40分間に拡大する「松仙タイム」を設け、長い遊び時間を確保していることも挙げられると思います。学級や縦割り班で遊び込むゆとりのある時間を確保することで、学級の人間関係や学年の壁を越えた縦の人間関係を豊かにする様々な活動をすることができ、新たな自分の発見につながっています。

―2016(平成28)年、2017(平成29)年度の「大田区教育委員会教育研究推進校」に指定されました。

生活科と総合的な学習の時間を通して、「子どもと創る」「子どもを育てる」「子どもから学ぶ」を視点とした学びを展開し、子どもたちの本来もっている資質や能力を引き出し、更に豊かにしていきたいと考えています。その時、重要になってくるのは、本気で自分事として向き合える問題意識をもち、学級や学年、後輩や先輩、保護者や地域の方々といった他者とかかわる学び合いを通して、最終的に自分の成長に気付いたり、自分の生き方を考えたりすることです。特に、普段から勉強・遊びで時間を共有している仲間と学び合うことが、学んだことの定着や深化に大きく関わっていることを重視しています。学校ならではの強みだからです。そうした学びの最前線に教育者として携わっていることの誇りを、各教員が意識することができたら嬉しいですね。

スタートラインの重要性

「スタートカリキュラム」の資料
「スタートカリキュラム」の資料

―「スタートカリキュラム」に力を入れているとのことですが、その狙いについて聞かせてください。

近年、小学校に入学したばかりの1年生が、学校生活になじめない状態が続く、いわゆる小1プロブレムが課題に挙がっています。その要因として、これまで児童にストレス耐性や基本的な生活習慣が身についていなかったことや、家庭の教育力の低下が考えられてきました。学校側としても、子どもたちを新しい環境に適応・順応させることが教育と捉えていた節がありました。でも、今では、保育園・幼稚園との大きな環境の変化があるので、学校や学級への所属感や安心感がなければ、本来持っている力を発揮できないのは当たり前だと考えるようになりました。学校生活に安心感をもつことができたら、探究心・好奇心・集中力を発揮できるだけでなく、新しいことを学ぼうという意欲も高まるのです。

教室の風景
教室の風景

―では、「スタートカリキュラム」の具体的な実践について教えていただけますか?

子どもたちが園などで身に付けてきた力を存分に発揮しながら、新しい学校生活を自分たちで創り出していくことを目指しているので、いきなり国語や算数を始めるのではなく、自分のペースで思い思いの時間を過ごす自由遊びの「のんびりタイム」、一人一人が安心感をもち、新しい人間関係を築いていくことをねらいとした「なかよしタイム」、生活科を中心に具体的な活動や体験を通して学ぶ「わくわくタイム」、そして教科等を中心とした「ぐんぐんタイム」の4つの時間で一日の暮らしを構成しています。

「スタートカリキュラム」のコンセプトは、幼児期から児童期への接続期に限ったものではないと考えています。毎年全学年が学級編成替えをする本校では、たとえ6年生であっても年度の始まりは、不安になるものです。そこで、どの学年も、1学期は安心をコンセプトに学級や学年の安定した人間関係を創る期間、2学期は学校行事等を通して充実を図る期間、3学期は進級への希望をもって学びを深める期間と位置付けました。つまり、「スタートカリキュラム」の“魂”は全ての学年にも通じるものと考えているのです。

学校外観。校庭にはたくさんの種類の木々が茂る
学校外観。校庭にはたくさんの種類の木々が茂る

―「スタートカリキュラム」の実施で感じたことはありますか?

入学してたった1週間でも、確かな手ごたえがありました。それは、子どもたちの表情が柔和で、担任の先生と毎日の学校生活をとことん楽しんでいるという姿が見て取れたことです。子どもたちの学校生活には、何より“安心”して自己発揮できる居場所があり、認めてくれる先生がいて、助け合える仲間がいるという実感が必要なのだと改めて感じました。

―学校を中心とした周辺地域について、どのような印象を持たれていますか?

私は以前、松仙小学校の隣の「久原小学校」で副校長を務めていました。7年たって松仙小学校の校長として久が原の街に戻ってきたのですが、町会も自治会も共通で、以前お世話になった方々が今でも中心になって活躍されており、温かく迎えてくださいました。この地域は、自治会や町会、青少年対策委員会の活動が盛んで、地域で子どもを育てようという気風があることが、何よりも嬉しいですね。

松仙小学校校長・齊藤純先生
松仙小学校校長・齊藤純先生

今回、お話を聞いた人
大田区立松仙小学校
齊藤 純 校長先生

住所 :東京都大田区久が原1-11-1
電話番号:03-3753-9141
URL:http://academic4.plala.or.jp/shsne/index.html
※この情報は2016(平成28)年5月時点のものです。

児童が“安心”を得られる環境づくりを進める/松仙小学校 齊藤純校長先生
所在地:東京都大田区久が原1-11-1 
電話番号:03-3753-9141
http://shousen-es.ota-school.ed.jp/