愛情深い下町の人々と一緒に子どもを育てる /「足立区立千寿小学校」吉川校長
2019(平成31)年4月から新校舎に移転した「足立区立千寿小学校」。京成線「千住大橋」から徒歩約5分、さらには5路線が利用できる「北千住」駅からも13分ほどと便利な場所にある。2018(平成30)年に同校に赴任した校長の吉川正先生に、授業や行事、地域との連携、千住大橋エリアの魅力について伺った。
2019年4月に5階建ての新校舎に移転
――学校の沿革と概要を教えてください
吉川校長:当時、児童数が減っていたことなどを理由に、2002年(平成14年)に「千寿小学校」と「千寿第二小学校」が統合。そこで「千寿第二小学校」の跡地に開校したのが現在の「千寿小学校」です。2019(平成31)年4月現在の児童数は677名。1年生が5クラス、2年生が4クラス、3~6年生は3クラスずつと、低学年ほどクラス数が多いことからわかるように、年々入学者数が増えています。
――2019(令和元)年度から新校舎に移転された理由と、新校舎の特徴をお聞かせいただけますか?
吉川校長:平成終盤の3~4年で児童数が急増し、教室が足りなくなったために新しい校舎が必要になりました。新校舎の大きな特徴は、5階建てということでしょう。限られた敷地の中で教室数を確保するためです。児童数は今後も増加が見込まれていて、2024(令和6)年頃には1,000人を超える可能性もあります。そのあたりも踏まえて余裕をもって作られていますから、まだ5階の教室はほとんど使っていません。
――児童にはどんな施設が人気ですか?
吉川校長:子どもたちの多くは校庭が気に入ったみたいです。フカフカの人工芝で、水はけが良く、雨が降ってもすぐに乾いて使えるんですよ。校舎内に作られた2・3階が吹き抜けの体育館も、広くて好評です。校庭に加えて、学年ごとに日を決めて休み時間も体育館で遊べるようにしています。また、ハード面だけではなく優秀な司書さんや図書ボランティアの存在も大きいのですが、図書室も人気があります。パソコン室とつながっていて、効率的に調べものができるようになっています。
人気のジュニアバンドは、地域で引っ張りだこ
――授業について、特徴的な取り組みなどあれば教えてください
吉川校長:本校は足立区の「活用力向上モデル校」に指定されていて、授業研究に取り組んでいます。新しい学習指導要領では、知識や技能を習得するだけでなく活用することが求められています。算数科を中心に研究授業を年間6~7回実施して、思考力や判断力、表現力を育むための問題解決型の授業について、全教員が共通認識をもてるように努めています。とても意欲のある先生が多く、熱心に取り組んでいますよ。
――ユニークな行事や課外活動があれば教えてください
吉川校長:毎年7月に「千寿小エコ祭り」を実施しています。捨てればゴミになるペットボトルや新聞紙を使って遊び道具を考案・制作し、全校みんなで楽しむイベントです。土曜日に実施されるので、保護者や未就学児なども参加してにぎわいます。区内全校に設置されている「開かれた学校づくり協議会」の活動も活発で企業やJAXAと協力して開催する、宇宙をテーマにした科学教育プログラム「コズミックカレッジ」などを実施。子どもたちに喜ばれています。10月にはPTA主催の「千寿ジュニア・フェスタ」も行われます。
――人気のクラブ活動などはありますか?
吉川校長:3年生以上の児童から成るジュニアバンドがあって、50名以上の部員がいます。2019(令和元)年は「全日本小学生バンドフェスティバル」の東京都大会で銀賞でした。地域のお祭りや駅前の商業施設「ポンテ・ポルタ千住」などから依頼されて演奏することも多いんですよ。つい先日も、足立区保護司会の「社会を明るくする運動」のオープニングイベントに呼ばれて、区役所で演奏してきました。
ゆったりと川が流れる下町 千住大橋エリア
―近隣の幼稚園や保育園との連携、交流はありますか?
吉川校長:「足立幼稚園」、「緑町保育園」、「あい保育園千住大橋」、「ステラ千住保育園」など、近くにある多くの園と連携・交流があります。幼保小連携会議では、本校に入学予定の園児たちの傾向を共有して対応を話し合っていますし、夏休みには本校の教員が幼稚園や保育園に出向いて子どもたちの様子を確認しています。また、1年生が園児に校内を案内するなどの交流会も行っています。入学直後の授業では、スタート・カリキュラムとして、45分の1コマに15分間の活動を3つ盛り込むなど、まだ集中力が続かない新1年生が授業に飽きないように工夫しています。
―地域との連携はいかがでしょうか?
吉川校長:下町らしく、この辺りの人々には「子どもは地域で育てるもの」という意識があります。だから学校の活動を含め、子どものことには非常に協力的です。千住では町会ごとにお祭りが行われますが、学区外から引っ越してきた子どもはどのようなものか知りません。そこでPTA会長の発案で学校の配布物にお祭りの案内を入れるようにしたら、お祭りに参加する子どもたちがぐんと増えたんです。子どもと一緒に保護者がお祭りに参加し、地域とつながるきっかけにもなると感じています。
―保護者やPTAからもらった嬉しい声などあればお聞かせください
吉川校長:「子どもらしい素直な子が多いですね」とか「千寿小の子は人懐っこいですね」といった言葉でしょうか。学校の力というより地域の力だと思いますが、やっぱり千寿小の児童を褒められるのが一番嬉しいです。
―今後力を入れていきたい活動などありますか?
吉川校長:これまで以上に意識して、子ども一人ひとりを大事にしたいと思います。児童数が増えたからといって、きめ細かいケアが失われるのは避けたいです。児童全員がこの学校を誇りに思えるよう「子どもファースト」を徹底し、地域の人と協力し合って子どもたちの「千寿プライド」を育みたいと思います。
―千住大橋エリアの魅力は何でしょうか?
吉川校長:隅田川と荒川という大きな川が2つあることです。川の流れは、眺めるだけで癒されますよね。この辺りは護岸テラスが整備されていて川の近くまで行くことができます。新校舎建設中に使っていた緑町の仮設校舎は、土手越しに東京スカイツリーが見える絶好のビューポイントでした。日暮里にも北千住にも近く、都心へのアクセスがいいのも便利です。
足立区立千寿小学校
所在地:東京都足立区千住宮元町6-1
電話番号:03-3888-5456
FAX番号:03-3888-5457
URL:http://www.adachi.ed.jp/adsenj/
※この情報は2019(令和元)年8月時点のものです。
愛情深い下町の人々と一緒に子どもを育てる /「足立区立千寿小学校」吉川校長
所在地:東京都足立区千住宮元町6-1
電話番号:03-3888-5456
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