はし本


うなぎ はし本
6代目 橋本 信二 さん

うなぎ一筋180年、歴史が生み出す伝統の味

東京メトロ有楽町線「江戸川橋」駅から徒歩3分。神田川沿いにある「うなぎ はし本」は1835(天保6)年創業のうなぎ屋だ。現在も創業時と変わらぬ製法で作っており、江戸時代から続く伝統の味を守り続けている。その味に対するこだわりを6代目の橋本信二さんに伺いました。

江戸時代からこの場所でお店を続けています

ーーお店の歴史についてお教えください

私は6代目になります。先々代は早く亡くなったので、私は知らないんですね。先代の父も私が21歳のときに亡くなったので、店の歴史について詳しくは聞いたことがないのですが、元々は現在の埼玉から出てきて、ここで商売を始めたと聞いています。当時、うなぎ屋は今よりもっとあったと思うのでやりやすかったんじゃないでしょうか。

うなぎは一定期間、井戸で保管をするんです。それを「たてる」っていう言い方をするんですけど、桶に鰻を入れて何段にも重ねてタワーみたいにしていくんです。今は循環式なんですが昔は井戸でやっていて、水温がちょうどいいので、高台よりはこういう水の豊富なところのほうが、やりやすかったんだと思います。あと地理的な要因として、ここは神楽坂が近いんですけど護国寺までの通り道なんですね。神楽坂は花街でしたし、護国寺には徳川将軍家や皇室のお墓がありますから、そういうところに通われる方が利用して下さるという感じじゃないでしょうか。

外観
外観

内観
内観

しっかりと味のあるうなぎにこだわっています

ーーお店の料理の特徴についてお教えください

うちは東京のうなぎ屋によくあるオーソドックスな甘くないタレなので、それに合わせて味のあるうなぎを使っています。タレの醤油とみりんの味を抜いたのがうなぎ自体の味なんですが、最近その味が無いうなぎが多いんですね。それはうなぎ屋さんのせいじゃないんですけど、非常に淡泊でさっぱりした味なので、タレで食べさせるという具合になってしまっているんです。

なのでうちでは白焼きで食べてもしっかりと味があるうなぎを選別して仕入れています。甘いタレにコクのあるうなぎだとしつこく感じてしまいます。しっかりと味のある濃厚なうなぎを使うことで、タレとのバランスがちょうどよくなる。タレは作り方や材料も創業当時と変わってなく、江戸時代から継ぎ足して使っています。

産地に関してはこだわりがない、というのが私のこだわりなんですよ。逆にこだわって一つの産地にすると分母が小さくなってしまう。分母を大きくしてその中から選んだ方がいいですね。前提としてうちに合えばです。必然的に国産になってしまうんですけど、良ければ中国でも台湾でもどこでもいいんです。身が薄くなる端境期には別のところから仕入れたり臨機応変に対応しています。うなぎ屋によっては形をそろえてくれという所が多いんですけど、そのために良くないものが混ざってしまう可能性があるので私は言わないんですよ。

うなぎは等級がなく全部均一なんです。生き物なので出来不出来がありますが、問屋と意思疎通ができているので一定レベルのものしか持ってきません。先代が亡くなった時、私は大学生だったので卒業してから店に入りつつ、問屋さんで捌くのと目利きの修業をしました。問屋さんなので小売りに比べたらはるかに量が多く、その経験が今すごく役に立っています。

タレは創業から継ぎ足し
タレは創業から継ぎ足し

香ばしい香り
香ばしい香り

うな重
うな重

山椒
山椒

このあたりでは一番古い建物だと思います

ーー現在の建物はいつ建てられたものでしょうか

この建物は40年くらい前ですね。ずっと行くと飯田橋に着くんですが、2階屋は隣から向こうはもうないですよ。前はこのあたりでも2階屋が多かったんですが、みんな建て替えられてビルになってしまいました。その中で一番古いんじゃないでしょうか。

外観
外観

内観
内観

ビジネスからプライベートまで、様々な方にご利用頂いています

ーーどのような方が利用することが多いですか

平日はビジネスの方がお客さんと会食したり、土日は家族やカップルの方が来られたりと、年齢も上から下までという感じでしょうか。常連さんも多いですが、土日のお客様は始めて来る方が多いですね。あと外国のお客様も増えています。主に東南アジアで特にタイの観光客が多いです。以前、タイから来られて英語で話せる人がいたので聞いてみたんですよ。そうしたら向こうで有名なブロガーがうちにお見えになったようで、その方が記事を書いたことで向こうのガイドブックに載っているらしいんですよ。なのでタイの方が中国の方よりも多いです。

6代目 橋本信二さん
6代目 橋本信二さん

意外と一人暮らしの女性も多く住んでいます

ーー周辺にお住まいの方はどんな方が多い印象ですか

最近では大分変わってきましたね。この辺は山の手とも下町ともいえないエリアなんですけど、ちょっと行くと小日向という高級住宅街があって、そこは昔からのお屋敷だったんです。そういうお屋敷が一戸無くなっただけでも大きなマンションができるくらいで、今この辺はマンションが非常に多くて新しい方が増えていますね。あと、もちろん男性もいるんですけど、意外と若いひとり暮らしの女性が多いですね。駅からそんなに離れていないし、道もそんなに暗い所がないので安心なんでしょうね。

内観
内観

広々とした2階席
広々とした2階席

アクセスがよく、緑が多いエリアです

ーー江戸川橋の街の魅力についてお教えください

アクセスがいいですよね。有楽町線と東西線が近く、丸ノ内線もちょっと遠いですど歩いていけなくはないです。緑も多いんですよ。江戸川橋の西の方に「江戸川公園」があってその先には「椿山荘」や「芭蕉庵」、「小石川後楽園」や「小石川植物園」、大学も多いです。住宅街も結構残っているので都心部にしては穏やかな感じの所ですよね。

 

今回、話を聞いた人

うなぎ はし本

6代目 橋本 信二 さん

うなぎ はし本
住所:文京区水道2-5-7
TEL:03-3811-4850
営業時間:11:30~14:00、16:30~20:00
定休日:木曜日
http://www.unagi-hashimoto.jp/

はし本
所在地:東京都文京区水道2-5-7 
電話番号:03-3811-4850
営業時間:11:30~14:00、16:30~20:00(19:30 L.O.)
定休日:木曜日
http://www.unagi-hashimoto.jp/