住まいの買い手と作り手、重視するのは「建物の性能」だが内容は違う…

住宅金融支援機構が実施した調査「平成29年度(2017年度)における住宅市場動向について」によると、住宅事業者と一般消費者が重視しているのは「建物の性能」で共通していることがわかりました。ただし、内容は微妙にズレがあるようです。

住宅事業者選びの重視ポイントは「建物の性能」が56.8%

この調査は住宅事業者、一般消費者およびファイナンシャルプランナーの三者に対して今後の住宅市場に関するアンケート調査を行ったものです。「買い時」などについての結果はこちらでご紹介していますのであわせてご覧ください。

ここでは住宅事業者の重点取組事項と、一般消費者が重視するポイントについての質問をご紹介しましょう。まず一般消費者への質問です。

●住宅事業者選びで重視するポイントは? ( )は前年
建物の性能 ⇒ 56.8%(56.5%)
住宅の立地 ⇒ 50.4%(46.5%)
デザイン ⇒ 37.9%(39.6%)
住宅の価額や手数料 ⇒ 27.1%(25.0%)
アフターサービス ⇒17.8%(16.6%)

1位となったのは「建物の性能」ですが、「性能」について何を重視するのか、詳しい内容も調査しています。

●建物の性能で住する事項は? ( )は前年
高耐久性 ⇒ 72.3%(67.0%)
耐震性 ⇒ 67.0%(66.3%)
省エネルギー性 ⇒ 41.8%(45.4%)
遮音性 ⇒ 21.0%(19.0%)
通風・換気性 ⇒ 20.2%(22.4%)

一般消費者は住宅の性能においては、耐久性能を一番重視していて、今年はポイントも伸ばしているという結果となっています。

住宅事業者が重点的に取り組もうとしているのも「建物の性能」

次に住宅事業者への質問です。

●今後重点的に取り組む事項は? ( )は前年
建物の性能 ⇒ 62.8%(66.7%)
土地の仕入 ⇒ 45.1%(42.8%)
住宅プランの提案力 ⇒ 32.6%(30.4%)
デザイン ⇒ 30.8%(31.1%)
設備の性能 ⇒ 28.6%(31.8%)

1位に「建物の性能」があげられているのは一般消費者と同じですが、面白いことに「性能」について重視する内容は違っています。

●建物の性能で重視する事項は?
省エネルギー性 ⇒ 90.9%(90.8%)
耐震性 ⇒ 68.9%(68.1%)
高耐久性 ⇒ 49.8%(44.2%)
通風・換気性 ⇒ 8.9%(8.1%)
劣化対策 ⇒ 8.3%(9.0%)
省エネルギー性が90%を超えて、圧倒的に重視されているということがわかります。

2020年に住宅の省エネ基準が大きく変わることが背景にある?

同じ「建物の性能」を重視しながらも、住宅事業者と一般消費者では重視ポイントが違っているのは、興味深い結果ですね。

この背景には「2020年の省エネ基準適合住宅の義務化」があると考えられます。2020年に住宅の省エネ基準が変更され、住宅の構造体の断熱性を上げるだけでなく省エネ性の高い設備機器も導入するなどで、省エネ性を一段と高めることが義務化される予定です。現在住宅業界では、高性能住宅の商品開発を進めたり、勉強会を実施したりと、その基準をクリアするためにの対応が大きな課題となっています。

こうした動きは一般消費者には十分に浸透していないことが、調査結果のギャップとして現れてきているのかもしれません。エネルギー消費を抑えて、快適な暮らしを手に入れるために、私たちも住宅の省エネルギー性能について、もっと勉強をしたほうがよさそうですね!

「平成29年度における住宅市場動向について」住宅金融支援機構
http://www.jhf.go.jp/files/300334232.pdf

       







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