冬に寒い家は、健康に悪影響を与える

「18度未満の寒い家」は脳を壊して、寿命を縮めるという記事が話題となっています。冬に寒い家は身体にどんな悪影響を与えるのか、詳しくみていきましょう。

室内の温度差がヒートショックを招く

「ヒートショック」という言葉をご存知の方も多いでしょう。暖かい部屋からトイレや洗面・脱衣室など寒い場所に行くと、室温の急激な変化から体を守るために血管が収縮し血圧が上昇します。その後、お風呂のお湯につかると今度は血管が拡張して血圧は急低下します。こうした血圧の急上昇や急降下によって心筋梗塞や脳出血など、身体への重大な悪影響を及ぼす現象をヒートショックと呼んでいます。
ヒートショックを防ぐためには、トイレや洗面脱衣室、浴室などを個別に暖房する方法も考えられますが、根本的な解決策は家全体を温かくして、室内の温度差をなくすことが重要です。そのためには、断熱性能を高める必要があります。断熱改修、つまり断熱性能を高めるためのリフォームを施すことが、健康維持へどれくらいの効果をもたらすのかも調査が行われています。

断熱リフォームがもたらす効果とは?

それが国土交通省が実施している「断熱改修等による居住者の健康への影響調査」。2019年1月にはその中間報告が公表されていますので、概要をご紹介しましょう。
住宅の室内環境が血圧など健康に与える影響について、下記の知見が得られつつあるとの報告がなされています。
1. 室温が年間を通じて安定している住宅では、居住者の血圧の季節差が顕著に小さい。
2. 居住者の血圧は、部屋間の温度差が大きく、床近傍の室温が低い住宅で有意に高い。
3. 断熱改修後に、居住者の起床時の最高血圧が有意に低下。
4. 室温が低い家では、コレステロール値が基準範囲を超える人、心電図の異常所見がある人が有意に多い。
5. 就寝前の室温が低い住宅ほど、過活動膀胱症状を有する人が有意に多い。 断熱改修後に就寝前居間室温が上昇した住宅では、過活動膀胱症状が有意に緩和。
6. 床近傍の室温が低い住宅では、様々な疾病・症状を有する人が有意に多い。
7. 断熱改修に伴う室温上昇によって暖房習慣が変化した住宅では、住宅内身体活動時間が有意に増加。

WHOが推奨するのは室温18度以上の家

こうした調査を踏まえ、 「18度未満の寒い家」は脳を壊し、寿命を縮める という記事がWEBサイトに掲載され、反響を呼んでいます。記事によると「冬場に1度温かい家に住むと、脳神経が2歳若くなる」ことがわかったそうです。ヒートショックの仕組みと同様に、室温変化によって血管の拡張・収縮が繰り返されると動脈硬化が進行しやすく、脳が早く劣化してしまうことがわかったとのこと。
WHO(世界保健機関)が、冬の住宅の最低室内温度として強く勧告しているのは「18度以上」。高齢者や赤ちゃんがいる家では、もっと温かい温度が推奨されています。自宅の室温はどれくらいなのか? 洗面室や浴室は何度あるのか? この冬、実際に温度を測ってみて、18度を満たしていなければ、健康のために対策を考えたほうがいいでしょう。

冬寒い家は、百害あって一利なし、です。

参考:ダイヤモンドオンラインの記事
「18度未満の寒い家」は脳を壊し、寿命を縮める

https://president.jp/articles/-/30551

 

 

       







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