路線価が5年連続で上昇、コロナの影響は含まず

2020年(令和2年)1月1日時点の路線価が国税庁から発表されました。相続税や贈与税の算出に使われる路線価ですが、全国平均では5年連続の上昇となりました。

上昇率が拡大、最大は沖縄県の10.5%

路線価は相続税や贈与税を計算するための基準となる地価で、毎年1月1日における地価評価額を国税庁が発表します。

7月1日に発表された2020年(令和2年)の路線価は、全国約32万地点の標準宅地平均で1.6%の上昇を示しました。路線価の上昇は5年連続となり、前年の上昇率が1.3%だったことから、上昇率が拡大する結果になりました。

都道府県別では東京、大阪、愛知など22都道府県で上昇を示しています。路線価上昇の主な要因としては、訪日外国人客(インバウンド)の増加や都市部を中心とした大規模再開発の影響が考えられており、最も上昇率が高かったのは沖縄県の10.5%でした。

首都圏では東京都が5.0%(前年4.9%)、神奈川県1.1%(同0.9%)、千葉県1.2%(同1.0%)、埼玉県1.2%(同1.0%)の上昇を示し、上昇率が拡大しています。

最高路線価は大坂と横浜で30%以上の上昇

都道府県庁所在地の最高路線価を示したのは下記の通りです(価格は㎡単価、かっこ内は前年比上昇率)。単価が高いのは東京中央区の銀座ですが、上昇率は大阪と横浜で30%を超えるアップを示しています。

1:東京都中央区銀座5丁目 銀座中央通り 4592万円(0.7%)
2:大阪市北区角田町 御堂筋  2160万円(35.0%)
3:横浜市西区南幸1丁目 横浜駅西口バスターミナル前通り1560万円(34.5%)
4:名古屋市中村区名駅1丁目 名駅通り 1248万円(13.0%)
5:福岡市中央区天神2丁目 渡辺通り 880万円(18.1%)
6:京都府下条区四条通寺東入2丁目御旅町四条通 673万円(18.1%)
7:神戸市中央区三宮町1丁目三宮センター 576万円(17.6%)
8:札幌中央区北5条西3丁目札幌停車場線通り  572万円(17.2%)
9:さいたま市大宮区桜木町2丁目大宮駅西口駅前ロータリー 4260万円(15.1%)
10:広島市中区胡町相生通り 329万円(7.9%)

コロナ禍の影響は反映されていない

ただ、今回の路線価は1月1日時点の地価評価なので、コロナウイルスの影響が全く反映されていません。コロナ禍によってインバウンド需要が蒸発し、経済活動も大きな打撃を受けました。また、テレワークの浸透によって都心部のオフィス需要にも変化が生じています。

こうした状況を踏まえると、発表された路線価は現実の土地価格を正しく表していない可能性もあります。路線価の上昇は相続税や贈与税の負担増につながるので、なんらかの措置が求められるかもしれません。

9月には、7月1日時点の基準地価が国土交通省から発表される予定です。基準地価の推移も踏まえ、路線価の調整措置なども行われる可能性もあります。相続対策等の検討をされている方は、その推移にも注目しておきましょう。

  • 国税庁資料 各エリアの路線価図

http://www.rosenka.nta.go.jp/

 

       







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