2020年秋、まだら模様の不動産市場

新型コロナウイルスの感染再拡大が懸念され、景気動向への影響も心配されていますが、不動産市場の動きはどうなっているのでしょうか? 2020年秋、市場の動きをみていきましょう。

10月の新築マンション販売は好調が続く

まず、新築マンション市場です。不動産経済研究所発表の「首都圏のマンション市場動向」2020年10月度によると、新築マンション販売戸数は前年の2007戸と比べて67.3%増の3358戸と、大幅増加となりました。前月(9月)の2477戸と比較しても35.6%増と、販売戸数増加のトレンドが続いています。

価格は1戸当たりの平均価格が6130万円、1㎡当たり単価が95.3万円となっています。前月(9月)は平均価格が5812万円、1㎡当たり単価が87.7万円だったので、平均価格は318万円(5.5%)、1㎡単価は7.6万円(8.7%)のアップ。前年(昨年10月)は平均価格が5992万円、1㎡当たり単価が91.4万円だったので、平均価格は138万円(2.3%)、1㎡単価は3.9万円(4.3%)のアップと、いずれも上昇を示しています。

また、月間契約率は70.4%となりました。前月の73.4%に対してはダウンしましたが、前年同月の42.6%と比べると大幅アップとなっています。契約率70%がマンション市場の好不調を判断するひとつの目安とされていますので、70%を超えた10月の新築マンション市場は前月に続いて概ね好調であったと言えそうです。

土地価格は横ばいから下落の傾向が強まる

土地価格はどうなっているでしょうか? 全国主要都市の地価動向を先行的にあらわすとされる高度利用地の変動を比較した令和2年度第3四半期「地価LOOKリポート」が、11月19日に国土交通省から発表されています。

全国主要都市100地区の7月と10月の地価変動を比較したところ、下落した地区数は前回調査(4月と7月を比較)の38地区から45地区に増加、横ばいが61地区から54地区に減少しています。東京圏の43地区では上昇はゼロ、横ばいが前回調査の38地区から34地区に減少し、下落が5地区から9地区に増加しています。

新型コロナウイルスの影響によりホテルや店舗などの収益性が低下していることから、都市部の土地需要は減少、もしくは様子見の傾向が続いているようです。感染拡大が懸念されるなか、その動きはもうしばらく続くかもしれません。

https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/content/001372818.pdf

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株価上昇による資産効果も影響か?

一方で、東京都の都心部を中心にして中古マンション価格や、賃料相場は底堅い動きを示しているという報告もあります。株式市場では日経平均が29年ぶりにバブル崩壊後の高値を更新するなど強含みの動きを見せています。実体経済との乖離を懸念する声もありますが、富裕層の資産評価額は確実に増加しているものと考えられ、その資金の一部が都心部のマンションなどに投資されている動きもあるようです。

今後の不動産市況を占うためには、新型コロナウイルスの影響も含めて、株式市場や景気動向など、様々な指標にも注視しておく必要があるでしょう。

       







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