コロナ禍により6年ぶりの地価下落、2021年公示地価発表

2021年(令和2年)1月1日時点の公示地価が、国土交通省から発表されました。コロナ禍の影響をうけ、全国の全用途平均地価は6年ぶりに下落へと転じました。住宅地や商業地、エリア別の動きをみていきましょう。

3大都市圏の下落率が大きくなる結果に

毎年、国土交通省が発表する公示地価は、1月1日時点の地価を調べたもので、複数ある地価指標の中でも代表的なものとして知られています。前年まで5年連続の地価上昇トレンドが続いていましたが、コロナ禍の影響を受けた2021年(令和3年)の公示地価は、全国の全用途平均地価6年ぶりの下落へと転じました。

用途別では住宅地が5年ぶり、商業地は7年ぶりに下落に転じ、工業地は5年連続の上昇が続いていますが上昇率は縮小しています。東京、名古屋、大阪の三大都市圏平均をみると、全用途平均・住宅地・商業地はいずれも8年ぶりに下落となりました。地方圏平均でも、全用途平均・商業地は4年ぶりに、住宅地は3年ぶりに下落に転じています。

三大都市圏では商業地が▲1.3%(前年+5.4%)、住宅地は▲0.6%(前年+1.0%)。インバウンドの観光需要が消滅した大阪の商業地などが新型コロナウイルス感染症の影響を強く受け、用途別では商業地が住宅地より大きく、地域別では三大都市圏が地方圏より大きな下落となっています。

東京圏の住宅地も一部を除き、下落に転じる

東京圏の住宅地の変動を詳しくみていきましょう。

まず都県別では東京都が▲0.6%(前年+2.8%)、神奈川県は▲0.6%(前年+0.3%)、埼玉県は▲0.6%(前年+1.0%)、千葉県は0.1%上昇(前年0.7%)となりました。

東京都では港区と目黒区を除く21区で下落となり、23区全体では▲0.5%と大きな変化がありました。都心部の高級住宅地では根強い需要がみられるようです。埼玉県ではさいたま市が▲0.7%(前年+2.2%)と下落に転じたものの、東京近郊の川口市、蕨市、戸田市などでは上昇を維持する数値となっています。千葉県では千葉市が+0.4%(前年+1.3%)となったほか、市川市、市原市、君津市、習志野市、浦安市などで率は縮小したものの上昇が続く結果となっています。神奈川県では横浜市が▲0.2%(前年+1.1%)、川崎市が横ばい(前年1.6%)、▲0.1%(前年+1.4%)でした。

この先も地価下落は続く? マイホーム計画への影響は?

2021年の公示地価は、新型コロナウイルスが直撃するかたちとなりました。

インバウンドの観光客向けの商業施設やホテル用地の需要を背景として続いた地価上昇は、一気に下落へ転じました。大阪ミナミの道頓堀などでは28%の下落を示した調査地点もあります。観光需要の回復時期はまだ予測が難しいこともあり、地価下落の傾向はしばらく続く可能性もあります。

一方で、都心部のタワーマンションなどでは投資運用目的も含めた、一定の需要が見込まれています。札幌や福岡などの都市圏でもビジネス需要が見込まれているエリアもあります。金融緩和によって不動産投資に向けられる資金量は減っていないため、今後は下落幅が縮小する場所と、層でない場所との二極化がさらに進んでいく可能性が高まるでしょう。

郊外エリアの地価下落は、マイホーム購入を検討する人にとってはメリットもあります。テレワークの浸透によって通勤アクセスの優先順位が下がるとしたら、選択肢が広まると考えることもでできます。コロナ禍の収束、経済活動の再開、そしてライフスタイルの変化などと同様に、地価動向にも目を配りながらマイホーム計画を進めてください。

国土交通省「令和3年地価公示」

https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/totikensangyo_fr4_000432.html

 

       







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