「ウッドショック」って何?

一部の新聞報道などで「ウッドショック」という言葉が報じられています。住宅購入にも影響が及ぶとされるウッドショックについて、詳しくご紹介いたします。

輸入木材不足が原因で発生した「ウッドショック」

新聞やテレビニュースなどに登場している「ウッドショック」という言葉。これは住宅の構造材などに使用される輸入木材が不足し、木材価格が高騰している状況を1970年代の「オイルショック」にたとえて名付けたもの。

近年の木造一戸建て住宅の建築には、木材を専用工場などでプレカットした構造材を使用し、現場で組み立てを行う建築法が主流となっています。構造材には国産材よりも輸入材が多用されています。

そんななか、アメリカや中国などではコロナ禍による「巣ごもり」や、在宅ワークの環境整備といった住宅建設&改修ニーズが増加。そのため各国の木材需要が急増しました。さらにコロナ禍により製材工場の稼働率が低下、海運状況も悪化していることなど、いくつもの要因が重なり、木材輸入が一気に減少しました。

国産材の供給を増やすことは難しい

こうした状況のなか、梁や柱など構造材に使用する集成材は、この春に過去最高価格を更新。価格上昇だけでなく建築現場からは「木材不足」の声が上がり始め、一部では工事スケジュールの遅延も生じているようです。

「輸入が減ったなら、国産材を使えばいいのでは? 日本にはたくさんの山があり、木が植えられているはず…」。そう考える人も多いかと思います。しかし、思うように供給を増やせない事情もあるようです。

山に植えられた木を伐採し、丸太を製材所まで運び、乾燥させて建築用木材として加工するまでは最低でも3ヶ月程度の時間がかかるそうです。需要が増えたから急いで出荷を増やそうとしても、実際に供給する頃には輸入材の供給が回復していた、ということも考えられるため、急速な供給拡大が実現していないようなのです。そもそも、林業従事者が減り、急激な需要増加に対応できないという状況もあります。

状況は落ち着きを見せ始めている

こうしたウッドショックの状況も、夏前には少し落ち着きを見せ始めています。需給のバランスが改善すれば価格も落ち着き、工事への影響なども解消されていくはずです。消費者としては、過剰に反応する必要はありませんが、建築価格への影響にはしっかりと注意しておきましょう。

昨今、林業に従事する人も減り、山の管理や植林をどう維持して行くのか、難しい課題も残っています。国産の木材使用率は4割前後とされ、半数以上は輸入材に頼っている現実もあります。この機会に、山や木材、林業への関心を持つことで、持続可能な国づくりを実現していくきっかけとなればいいなと思います。

 

       







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