江戸川を挟んで東京都と埼玉県に隣接し、都心から約20㎞の距離にある通勤、通学にも便利な千葉県松戸市。松戸市は子育て支援に力を入れるなど、住みよいまちづくりを進めている。今回は、松戸市街づくり部の小倉慎一部長に、JR「北小金」駅前の再開発や周辺の魅力について伺った。

松戸市役所
松戸市役所

中心部を残して区画整理が進んだ北小金

―「北小金駅南口東地区第一種市街地再開発事業」の概要について教えてください

小倉さん:再開発の計画地は、JR常磐線「北小金」駅南口に位置する約0.9ヘクタールのエリアです。同エリアには、老朽化した建物や、狭隘道路や未接道によって建て替えが難しい建物が散見され、空き地も目立ちます。駅前でありながら土地が十分に活用されていないのです。さらに市民の憩いの場となる公園や広場もなく、防災性や安全性でも課題を抱えています。そういった課題の解決を目指し、本事業では防災性の向上、オープンスペースの創出、快適な住環境の整備を進めます。

JR「北小金」駅
JR「北小金」駅

 

―今回の再開発事業の経緯について教えてください

小倉さん:現在「小金」という地名が残っているのは「北小金」駅周辺と、流山街道沿いにある飛び地の小金出作くらいですが、1954(昭和29)年に松戸市に編入する以前は、流山の辺りから東西に広がる大きい地区でした。昭和40年代に小金原団地と「北小金」駅周辺のそれぞれが区画整理によって開発されましたが、駅前だけは手つかずでした。中心部より外枠の方が先に整備されたわけです。もちろん暮らしやすくなりましたが、やはり一番の要所は駅ですね。平成に入ってから、松戸市では初めてとなる住宅・都市整備公団(現UR都市機構)施行による市街地再開発事業によって、ようやく駅前が開発されました。1994(平成6)年に竣工した「北小金駅南口地区第一種市街地再開発事業」です。今回の事業地はその東側となります。

第一種市街地再開発事業の計画図
第一種市街地再開発事業の計画図

 

今回の事業は1997(平成9)年に研究会が立ち上げられたのが始まりです。街づくり課が事務局となってサポートしていましたが、途中リーマンショックなどによる社会情勢の変化もあって、事業家検討が休止となった時期もありました。2018(平成30)年度に民間事業者を事務局とする再開発協議会が設置され、市は主に技術的支援を行うオブザーバーのような立場で現在にいたっています。

昨年度、再開発事業の都市計画決定がなされ、現在は、今年度中の組合設立を目指して千葉県に認可申請中です。構想から20年以上かかりましたが、ようやくここまでたどり着きました。事業協力者として、野村不動産と長谷工コーポレーションの2社が事業に参画しています。

―今回の再開発事業ではどのような施設ができる予定でしょうか

小倉さん:開発用地を南北2つの街区に分け、マンションと商業施設、駐車場をつくります。一街区(北敷地)には20階建てで高さ約60mのビル、二街区(南敷地)には14階建てで高さ約45mの住居棟と2階建ての商業棟を建てることで、計370戸強の住戸が生まれます。両街区を隔てる道路は現在あるものを拡幅し、その南側に憩いの場として広さ約1,000平方メートルの広場を設ける予定です。2028(令和10)年2月の竣工を目指しています。

ソフトとハードの両面からまちづくりを行う

―本再開発による今後の期待や展望、北小金エリアを今後どのような街にしていきたいか、お考えをお聞かせください

小倉さん:再開発とは別に、今年度から北小金駅1km圏内での都市再生整備計画を検討していて、2025(令和7)年度からの事業化を目指して準備を進めているところです。再開発は空間の高度利用によるマンション建設などハード面の整備というイメージが強いと思いますが、この計画ではソフト面での整備にも力を入れる予定です。にぎわいを生む取り組みを行い、居心地の良い、歩いて楽しいと思えるまちにできればと。街づくり部だけでなく、全庁的に連携を図り松戸市の活性化をめざしたいと考えています。

松戸市 街づくり部 部長 小倉慎一さん
松戸市 街づくり部 部長 小倉慎一さん

 

―街づくり部として取り組まれているその他の事業についてもご紹介ください

小倉さん:ひとつは、20年先を見据えたまちづくりの方針「松戸市都市計画マスタープラン」です。目標年次を迎え、2022(令和4)年4月に20数年ぶりに改定しました。いま着手しているのが、この都市計画マスタープランの市街化調整区域編の策定で、今年度中に方向性を示す予定です。市街化調整区域とは建物の建築を制限している区域。松戸市では農地や山林がここ30年くらいで半分くらいに減ってしまっているんです。でも市街化調整区域だからといって放置していると、耕作放棄地や資材置き場などになってしまう懸念があります。しかも松戸市の市街化調整区域は散在しているうえに一様ではなく、さまざまな特性を持っています。そこでいくつかのエリアに分け、それぞれふさわしい土地利用の方針を示す必要があると考えています。

それから、市川市と成田市を結ぶ「北千葉道路」の建設。全長約43kmのうち鎌ケ谷市・印西市間は開通済みであり、本市においても沿線のまちづくりについて期待されているところです。開通から5年経った外環道の千葉区間について、沿線の自治体を中心に毎年約900億円の経済効果が見込まれるという報道がありました。北千葉道路が全線開通したら、それに匹敵する経済効果が期待できるのではないでしょうか。首都圏北部と成田空港間のアクセス向上や周辺道路の渋滞解消といった直接的な影響にとどまらず、間接的な効果がいろいろ生まれると思います。

国道464号北千葉道路成田市船形~押畑開通(出典:国土交通省 関東地方整備局 記者発表資料)
国道464号北千葉道路成田市船形~押畑開通(出典:国土交通省 関東地方整備局 記者発表資料)

 

他には、新松戸駅の東側で土地区画整理事業を進めています。また、最近クラウドファンディングによって集めた資金を一部活用し、「21世紀の森の広場」に大型遊具を設置しました。土日には30~40分待ちというくらい人気があるようです。あと、これはJR東日本さんで進めているものですが、松戸駅では2027(令和9)年春の開業を目指してJR東日本が駅ビルを建設中です。東西をつなぐ自由通路の拡幅工事や、常磐快速線ホーム列車の停車駅へのホームドア設置も予定されていると聞いています。

地域の結びつきが強く、自然豊かな歴史スポットに恵まれた北小金エリア

―北小金エリアの魅力、おすすめスポットなどを教えてください

小倉さん:松戸市内では歴史的資源が多いエリアで、寺社や樹林地、旧小金宿の町並みが魅力です。中でも「本土寺」と「東漸寺」は外せません。「本土寺」は北小金駅の北口にあり、国の重要文化財や千葉県指定の有形文化財などが数多くあります。境内には紫陽花が約5万株、花菖蒲が約5千本、ヤマモミジが約1,500本、ソメイヨシノなどの桜が約100本と樹木や草花にも恵まれていて、いつ訪れても季節を感じられるお寺です。特に紫陽花は観光バスが来るほど有名です。

「東漸寺」は北小金駅の南口にある森に囲まれた寺で、古木や巨木が多く残っています。中でも樹齢300年のしだれ桜が有名で、市の指定文化財に指定されています。コンサートやフリーマーケットといったイベントをよく開催しているのも特徴ですね。ちなみにここの住職さんは、今回の北小金駅前の再開発事業を施行予定の組織の理事長を務めていらっしゃいます。都市再生整備計画によって、この本土寺と東漸寺の魅力を向上できれば、より楽しく歩けるまちになると思います。「根木内歴史公園」や「大谷口歴史公園」などもぜひ訪れてほしいですね。

紅葉時期の「本土寺」
紅葉時期の「本土寺」

 

子育て世帯には大型ショッピングモール「テラスモール松戸」もおすすめです。映画館や子育て世帯にうれしいフードコートなどがあり、丸一日楽しめます。駅からはバスも出ていますよ。コミュニティの結束が強いのもこの辺りの特徴で、地元の人が中心となって開催するお祭りやイベントなどが月一くらいの頻度で行われています。小金の地名にかけた「黄金イルミネーション」など、さまざまな催しがあり、いろいろ楽しめると思います。

 

松戸市 街づくり部 部長 小倉慎一さん

所在地:千葉県松戸市根本387-5 新館8階
電話番号: 047-366-1111
URL:https://www.city.matsudo.chiba.jp/shisei/organization/machidukuribu/index.html
※この情報は2023(令和5)年7月時点のものです。

https://www.city.matsudo.chiba.jp/shisei/organization/machidukuribu/index.html

 

“歩いて楽しいまち”をめざす松戸市が北小金で進める再開発と都市再生整備計画
所在地:千葉県松戸市根本387-5 
電話番号:047-366-1111
窓口受付時間:8:30~17:00
閉庁日:土・日曜日、祝日、年末年始(12/29~1/3)
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