roastery百塔珈琲
古くからの店舗が多い本郷通り沿いにも、新しい息吹が生まれている。「roastery百塔珈琲」はチェコの古都プラハをイメージして作られたカフェとコーヒー豆販売のお店。2010(平成22)年に通り沿いのビルの2Fにオープンした。目立たない建物なので、2Fにある看板を見逃さないように行ってみよう。
シンプルな入り口で、店内に入ると真っ赤な焙煎機と瓶に入ったたくさんのコーヒー豆がお出迎えしてくれる。外に向かって大きな窓が広がり、インテリアもヨーロッパのものを使い、落ち着いた雰囲気だ。静かなBGMと間接照明の灯りが、この店の独特な柔らかさを演出している。
百塔コーヒーで扱っているのはスペシャルティコーヒーのみ。スペシャリティコーヒーとは、格別の風味を持ち、また味と香りだけでなく、豆の生産段階から注意して管理されたコーヒー豆を指す。こちらでは産地を限定せず、その時の良い豆をセレクトしている。
豆の販売にも力を入れているので、ひとつひとつの瓶ごとに、豆の産地、味の特性などが丁寧に書かれている。カフェでいただくにも、買って帰るのにもとても親切だ。カフェで出すコーヒーは焙煎はもちろん、抽出まで丁寧に行なう。「クリーンかつボディのある味を目指している」と、オーナーの李さん。酸味、甘味、苦味、旨み……コーヒーの味のバランスを追求してゆくと、とてつもなく奥深い世界に入る。李さんは国内外でも有名なコーヒーの名店「堀口コーヒー」で学んだ一人だ。
定番メニューはもちろん店名を冠した「百塔ブレンド」。通年を通して同じ味にするために、常に数種類の豆をブレンドしているとのことだ。これに、自家製ベイクドチーズケーキがよく合う。
店内には「ユング自伝」やフランツ・カフカの文庫本など、独特の世界を持つ本や画集がディスプレイされている。チェコの芸術文化に魅せられた李さんの哲学的な世界が店内に広がっている。かと思えば、たくさんのお客さんで店内が満たされてくると、芸術的な雰囲気を賑やかな声がかき消して、温かみのある普通のカフェに変身するのもまた良い。
窓から見える景色は、本郷通りの坂道。緩やかにカーブする坂の風情は、ぼんやり眺めるのにぴったり。今、このカフェの窓から外を見れば、本郷通りがよりお洒落な雰囲気に見えることだろう。
roastery百塔珈琲
所在地:東京都豊島区駒込3-23-14 トーカン駒込204号
電話番号:03-6903-4751
営業時間:13:30~19:30、土・日曜日、祝日は12:00~(cafeのL.O.は19:00まで。豆の販売は19:30まで)
定休日:水・木曜日
http://www.hyaqtoh.com/