ズッペリア オステリア ピティリアーノ
小田急小田原線「祖師ヶ谷大蔵」駅から商店街を歩くこと4分。明るいオレンジ色の漆喰で塗られた壁に、レンガづくりの屋根。アンティークな雰囲気の木板の扉やアイアンフェンスが印象的な一軒屋の2階に、「ズッペリア・オステリア・ピティリアーノ」はある。オーナーシェフを務めるのは堀川亮さん。同じ家の1階にあるレストランが一号店、この店はその姉妹店にあたる。
提供するのは、イタリア料理のアラカルトとワイン。コース料理はない。「肩肘張らずに、皆が好きなものを心ゆくまで味わう」のがコンセプトだ。
堀川シェフが新たに挑戦するのは、イタリア中部・トスカーナ州にある小さな村、ピティリアーノの郷土料理だ。断崖絶壁の上に広がる中世の面影残る幻想的な町並みは、シェフにとって忘れられない光景のひとつだという。店内の壁に刻まれたシンボルマークは、その時に見た町並みを表現した。
使用する食材は、すべて堀川シェフが自ら食べ、選び抜いたもの。惚れぼれするほどに美味という天草の鮮魚、上質な銘柄肉やジビエ、友人たちがつくる新鮮でうまみの強い野菜。どれも生産者の“顔が見える”ことにこだわった。もちろん提供するワインはすべてイタリア産である。
取材の際に提供してくれたのは、店名の頭にもついている“ズッパ”、イタリア語でスープのことを表す。トマトをはじめとするたっぷりの野菜に、たまご、パン、チーズが入り、ボリューム満点。素材の美味しさをしっかりと感じさせつつも、どこか飾り気のない、親しみやすい味だと感じた。
芸術と食の都として知られるトスカーナだが、それは中世以降になってのことである。観光パンフレットで見る美しい田園風景は数百年にわたる農民たちの開墾の末に生まれたもので、当時の貧しい農民たちが空腹を満たそうとつくったのがズッパだった。「トスカーナの味の原点は、彼ら農民たちの素朴な料理にあると思うんです。華やかなイタリア宮廷料理だけでなく、名もなき農民料理もまた伝えることに私は意義があると信じています。」と堀川シェフは言う。
イタリア・トスカーナの風景が見えるレストラン。ぜひ一度ご来店を。
ズッペリア オステリア ピティリアーノ
所在地:東京都世田谷区祖師谷3-4-9 2F
電話番号:03-3789-0017
営業時間:11:30~15:00(L.O.14:00)、18:00~23:00(L.O.21:30)
定休日:水曜日 ※臨時休業あり
http://zo-pitigliano.com/top.html