ラ プチ マルシュ(LA PETITE MARCHE)
また、日本ではランチは安く、ディナーは高級に、という風潮が色濃くあるが、ここ「ラ プチ マルシュ」ではそれほど昼夜の差が無い。総ボリュームや食材の質が違うので価格は違ってくるが、意図的に価格を操作することは無く、正直なプライシングをしている。昼も基本的にはフルコースをフルサービスで提供するスタイルで、例えばフォアグラのテリーヌなど、ランチで出している店は近辺にまず無いそうだが、この店では当たり前のように提供されている。「昼でも夜でも、本気で作った食事を提供し、本物のサービスを提供する」。そんなポリシーが貫かれている店である。
客層については、昼は女性客が多めとなるそうだが、近所の名門一貫校のママさん達が集まったり、リタイア層の夫婦などがゆったりと過ごしたりと、騒々しさとは無縁な感じであるという。加えて住宅地という場所柄もあり、しっとりとした雰囲気がよく守られている。ディナーは記念日や接待など、少しかしこまった席で使う人が多くなるそうで、より落ち着いた雰囲気になる。それに見合う料理、ワインをオーダーする人が多いことから、平均客単価は1万円超えるそうだが、その中身は、都内の2万円クラスの店にも引けを取らないはずだ。
ワインに対するこだわりも深く、開店時から置いているシェフのお気に入りの銘柄から、ソムリエであるマネージャーが吟味し、厳選して仕入れているその時々のワインまで、国籍も価格帯も、テイストもさまざまなワインを揃えている。在庫は常時数百種にものぼるというが、その中から常時、十数種類から最大24種類まで、グラスワインでいろいろと提供している点が魅力の一つだ。「口にした瞬間に“あ、違う!”とわかるように、個性が際立っているワインをグラスで提供しています」という話なので、ソムリエの助言をもとに、自分好みの一杯を見つけ出す楽しみがある。提供は窒素充填式のサーバーで行うため、酸化の影響が最小限に抑えられているそうだ。
料理、ワインの上質さだけではなく、「サービスが一流」という点も魅力だろう。多くのお客さんがリピーターで、中には月に何度も通う人もあるそうだが、そんなお客さんも飽きさせないように、顧客管理を徹底して行っている。客の好みはもちろん、いつ何を提供したか、という点まですべて記録し、次回の来店に備えている。そのため、客は電話を入れてコースだけ選べば、前回とは違う内容で、自分好みの料理が提供されてくるという算段だ。もちろん定番のグランドメニューもあるわけだが、この辺りの「おまかせ」的要素をうまく活用するのが、この店ならではの面白さだろう。何度も通うほどに、じわじわと「ああ、いい店だなあ」と思わせるタイプの店である。
東中野の住宅地にひっそりと佇む「ラ プチ マルシュ」。そのたたずまいからは、地元に住む人々がこっそりと通う店に思えるかもしれないが、実は集客範囲はかなり広く、主に中央線の沿線西側方面に、かなり遠い駅まで、常連客が付いているという。確かに、都心クラスの料理とサービスを、都心まで行かずに気軽に、安く、ゆったりと楽しめるということであれば、沿線の人は見逃す手は無い。東中野エリアのみならず、もっと広いエリアの人々にお薦めしたい、本格派フランス料理店である。
ラ プチ マルシュ(LA PETITE MARCHE)
所在地:東京都中野区東中野3-2-7
電話番号:03-5332-3715
営業時間:ランチ11:30~14:30(14:00L.O.)、カフェ14:30~17:00(16:00L.O.)、ディナー18:00~23:00(20:30L.O.)
定休日:月曜日※日曜ディナーは予約のみ営業
https://restaurant.ikyu.com/101075/