栗天
「祖師ヶ谷大蔵」駅から歩いて3分、城山通り沿いにある「くりはらのてんぷら 栗天」。アパートの1階にあり、遠くからではそれとわからないが、近づくと静かな店構えが見えてくる。オープンしたのは2013(平成25)年。もともと天ぷら屋さんだったところを改装して、再び同じ天ぷら屋さんとして営業を始めたそう。
店主は、かつては東京・表参道の人気天ぷら屋「みや川」で働いていた。とてもきさくで穏やかな方だ。店内はとても落ち着きのある雰囲気でゆったりとした時間を過ごすことができる。衣が揚がる音が心地よく店内に響き、一品一品がカラッと油に包まれる様子が目に浮かぶようだ。
昼は、「天ぷらご飯」や「天丼」など気軽に天ぷらを楽しむのがいいだろう。一方、夜はゆっくりと「栗天コース」を堪能しよう。おまかせの天ぷらから〆の天丼と赤出しまで。ご飯ものは、かき揚げ丼、天茶、ご飯から好きなものを選べる。最後には季節のデザートも付いて、じっくりと楽しめるコースだ。
ちなみに訪れたこの日は、一品料理に「はもの南蛮漬け」。おまかせの天ぷらは、「えび」「吉野葛とキス」「帆立貝」「レンコン」「しいたけ」「とうもろこし」「鮎」「銀杏」「あなご」など12品がお皿に美しく盛られ、揚げたてが順々に運ばれてくる。毎朝市場に行って新鮮で良いものを仕入れてくるという素材は、どれも衣に負けず存在を主張している。特に「帆立貝」はすだちとお塩で頂くのおすすめ。
特に印象的だったのは、肉厚でジューシー「しいたけ」、後から甘みがジワッと染み出る「鮎」、苦味と甘味がしっかりと共存する大ぶりの「銀杏」、外カリッ中フワの「あなご」。「あなご」はさばいたばかりの新鮮なもの。どれも甲乙つけがたいが、このコースは一品一品、食材の個性を十分に味わうことができる。
最後の〆に付いてくる赤だしも見逃せない。〆にふさわしく心もからだも温かくほっと一息つける優しい味。そして、最後の季節のデザートは「桃のシャーベット」。夜のコースは最初から最後までたっぷりと楽しませてくれ、コースが進むにつれ、充足感が体に満ちていくのを感じられるほどだ。
飲み物は、ビールや日本酒、梅酒、ウイスキーなど一通りそろっているうえ、勝沼醸造の甲州ワインも数種類用意している。熱々の天ぷらに、好みのお酒を合わせていただく瞬間はまさに至福の時。がっつりと天丼もいいが、ぜひ、落ち着いて天ぷらを楽しみに訪れて欲しい店だ。
栗天
所在地:東京都世田谷区砧8-13-8
電話番号:03-3415-4110
https://www.instagram.com/kuritensan/?hl..