パティスリー アンプリル
「綾瀬」駅北口を出ると広がる「東綾瀬公園」。この公園の駐車場のすぐ脇にあるのが、今回ご紹介する「パティスリー アンプリル」だ。この店を営んでいるのは岡田シェフ。葛飾区の生まれで、過去には八王子の名門パティスリー「ア・ポワン」で長く製菓職人として働いていたという。
シェフはもともと「地域密着型の店を持ちたい」という思いが強く、「駅前よりも公園などに近い場所で、広い道路沿いにあって、駐車場が付いている」という条件で物件を探していたのだとか。この場所はまさに「運命の出会い」だったそうだ。確かに、ここは大通り沿いにあり、付近の人々が普段使いするには申し分のないロケーションだ。
店名の「アンプリル」は、フランス語で「満たす」という意味があるという。お客さんの心を満たし、働く自分たちもお客さんの笑顔で満たされる。そんな関係性を目指しているそうだ。そのため、ハロウィン、クリスマス、バレンタインデーなどのイベントにはつねに全力投球。店内のデコレーションも商品展開も、ラッピングも衣装も、イベントごとにがらりと様変わりして、ただ居るだけでもワクワクするような空間を作り出している。取材時にもハロウィン一色だったが、ハロウィン当日ともなれば、スタッフ全員が気合の入った仮装姿で迎えてくれるそうだ。
「アンプリル」ではイベント限定、季節限定の商品が全体の半分ほどを占めていることが多いそうだが、定番の中では、圧倒的な一番人気だという「モンブラン」。こちらは見た目からは想像ができないほど実はかなりの個性派で、栗と砂糖だけで作った表のクリーム層、その内側に包まれた無糖生クリーム、底に敷かれたメレンゲプレートという三層構造になっている。中でもメレンゲプレートへのこだわりは強く、頬張ると口中に一気に香りと甘みが広がり、一瞬にして消えていくという繊細な味わいが特徴だ。数時間も置いておけば、メレンゲはクリームに溶け込んで姿を無くしてしまうという。このモンブランは受注生産でしか成り立たないので、店頭でオーダーを入れた後に、奥の厨房で組み立ててくれる。
ほかにもメレンゲで表面を覆った純白の「赤すぐりとレモンのタルト」や、コーヒー風味のメレンゲスティックを無造作に挿した「ムラングカフェ」など、メレンゲを準主役に立てた珍しいケーキが幾つかあるので、その辺りをチョイスするのが通な選び方。焼き菓子コーナーにはメレンゲスティックの単品や、「クロタン・ココ」というメレンゲ菓子もあるので、是非一度お試しいただきたい。
その他、ホールケーキや焼き菓子の製造・販売にも力を入れている。フレンドリーな品揃えと価格に、フレンドリーな雰囲気と接客。価格はリーズナブルでありながら、定評あるメレンゲ、唯一無二のモンブラン、イベントごとに大きく変わるラインアップなど、美味しさとホスピタリティはハイレベルだ。「自分たちも楽しみながら作らないと、お客さんに楽しさは伝わらないですからね」と岡田シェフ。この人の笑顔があるからこそ、この店で働く人々も、この店を訪れるお客さんも、みんなが笑顔でいられるのだろう。
パティスリー アンプリル
所在地:東京都足立区谷中1-5-3 パークサイド新家1F
電話番号:03-5849-3372
営業時間:11:00~19:00
定休日:不定休
https://www.emplir2012.com/
https://www.instagram.com/2012emplir/