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独自の一貫教育で「真の自由人」を育てる

地域とのつながりを通じてみずから学ぶ人を育む「学校法人自由学園」

1921(大正10)年の創立より100周年へと向けて歩み続ける「学校法人自由学園」。日本初の女性新聞記者であり、婦人之友社を設立した羽仁もと子・吉一夫妻が創立した学校だ。キリスト教を土台とした教育で幼稚園から大学部まで一貫教育を行っているのが特徴で、自然環境に恵まれた10万平方メートルもの敷地内では、就学前の子どもから大人まであらゆる世代の人が学びを通じて主体的な生き方を実践している。そんな「自由学園」の高橋和也学園長に学校の特色や地域とのつながりについてお話を伺った。

幼稚園から大学まで一貫教育を行う1921(大正10)年創立の伝統校

―学園の沿革、概要について教えてください

高橋学園長:「学校法人自由学園(以下、自由学園)」が創立したのは1921(大正10)年のことで、クリスチャンでありジャーナリストだった羽仁もと子・吉一夫妻が、自分たちの子どもを通わせる学校が無いと言うことで、池袋に校舎(現・明日館)を建てたのがはじまりです。

夫妻の子どもはふたりとも女子だったこともあり、女性の自立を目指すことを考えて現在の中等科、高等科に通う年代の26名の女子による学校が新設されました。

その後、現在の小学校に当たる初等部が新設され、1935(昭和10)年に男子部、1938(昭和13)に幼児生活団、1949(昭和24)年に最高学部も開設されて、幼稚園から大学までの一貫教育を行う学校として運営されてきました。

現在は、未就園児を対象とした「ことりぐみ」に加えて、2016(平成28)年度に開校した45歳以上の方を対象とした「リビング・アカデミー」もあるので、対象の幅はさらに広がっています。

池袋から現在の場所に移転したのは1934(昭和9)年のことで、学校の敷地内に川が流れる自然に恵まれた環境で、生活に根ざした教育が行われています。

生活に根ざした知識を身につけさせる「生活即教育」

―教育の特色について教えてください

高橋学園長:「自由学園」の中心的なメッセージになっている言葉のひとつに「生活即教育」というものがあります。開校当時の日本で、すでに問題とされていた学歴偏重の社会に対する疑念があり、学歴のためではなく、自分の生活に根ざした知識を身につけさせたいという創立者の考えがありました。

羽仁もと子は、自身が日本で初の女性新聞記者だったこともあり、女性も仕事を持つべきだという考えを持っていました。自分の仕事もあり家のこともできる自立した女性を育てることが一番はじめの出発点だったと思います。

教科書があってそれを知識として暗記すれば良いわけではなく、目の前で起きている出来事、たとえば「霜柱ってなんでできるんだろう?」とか、教科書では無く実体験を学びにしていくことで、その人の本当のチカラにしていきたいと独自の教育活動が行われてきたのが特色です。

もう一点、「自労自治」も本校の教育における重要なキーワードとなっています。自ら労して自ら治める。つまり、自分のことは自分でできる子どもに育てたい、自分たちの社会を自分たちでつくっていける人にしていきたいという願いが込められていて、学校の運営に関してもできるだけ生徒に委ねて行っています。

もちろん、子どもたち自身で解決できない問題は私たち大人が手を差し伸べるのですが、寮で集団生活をしていれば当然、さまざまな問題も起こります。しかし、それを大人がすべて取り上げて解決するのではなく、子ども社会の問題を子どもたち自身の手で解決していけるよう、問題解決のチカラを育むような関わり方をしています。

子どもたち自身の手で問題解決するチカラを育む教育

―本校が選ばれる理由はどのようなところにあるとお考えですか?

高橋学園長:学校説明会などで、「生活即教育」や「自労自治」の教育を100年近く実践してきたお話を伝えると、「こんな学校があったんですか」と驚かれる保護者の方もいらっしゃり、親元を離れる寮生活に不安を感じながらも勇気をもってお子さんを預けてくださいます。

お話を伺ってみると、学歴社会の流れのなかで、良い高校、良い大学、良い就職先に行かせることが「果たしてこの子の人生にとって幸せだろうか?」と少なからず疑問を抱いている方も多く、「子どもにとっての幸せって何だろう?」「この子の持っている良いところを生かせるのは?」と真剣に考えている保護者が何らかのかたちで自由学園を見つけてくださっています。中には、海外から来る子どももいて、一緒に寮生活を送っています。

学歴よりも、より良く生きることを教育の目標にしてきたので、いわゆる進学校ランキングなどで「自由学園」の名前を知る人は少ないとは思うのですが、卒業生に会って話を聞いたことがあるとか、雑誌で本校の紹介記事を読んだとか、さまざまな出会いをきっかけに本校を訪れます。

近隣にお住まいの方でも、「自由学園という学校があるのは知っているけど、どんな学校なんだろう?」と詳しく知らない方も多く、近隣にお住まいの方でも学校と地域の歴史を知る方はごく一部だと思います。

地域とともに歩んで来た「自由学園」の歴史

―学校と地域との関わりとは?

高橋学園長:池袋から現在の場所に移転したのは1934(昭和9)年のことですが、当時の資料を遡ると、農場のための土地を買ったと書いてあるんです。

もともと創立者が子どもたちを自然のなかで育てたいという想いが強くあった方で、当時、あたり一面松林だった久留米村南沢に10万坪の土地を購入し、そのうち3万坪を学校用地に、残りを分譲地として販売することにしたようです。

この分譲地に関する情報は、婦人之友社で発行していた雑誌を通じて全国の読者に知れ渡り、羽仁夫妻を応援していた文化人や芸術家、学者や牧師も移り住み、学園町という新しい街が誕生しました。

つまり、単に学校を移転したというよりは、街そのものを作ってきたというほうが「自由学園」の成り立ちを説明するうえでは適切かと思います。学校を建設するよりもまず、近隣の農家の方々のために地域に無かった診療所や託児所、若い女性のための生活講習の場を設けて、積極的に地域と関わってきた歴史があります。

羽仁夫妻の自宅は「羽仁先生記念館」として学校の敷地内に保存されていますが、地域との関わりのなかで羽仁夫妻も「自由学園」も受け入れられてきたことがよく分かります。

かつて男子学生寮だった建物を改修して地域の方にご利用頂いている「しののめ茶寮」や、子育て支援を目的とした「こっこ広場」などは、現在の「自由学園」と地域との関わりを象徴する取り組みとなっています。

地域に開かれた学校として取り組み「南沢フェスティバル」

―今後の取り組みについてもお聞かせください

高橋学園長:時代の移り変わりとともに、学園周辺に新しい方が移り住むようになり、「自由学園」と地域との関係が疎遠になった時期もありました。地域に対して開かれた学校にしなくてはいけないと改めて取り組みはじめたのは今から10年ほど前のことです。1日に4,000人もの来場者で賑わう「南沢フェスティバル」も、初開催から6年目の比較的新しい取り組みです。事前のご予約も不要ですし、入場料も無料です。

その他の取り組みとしては、創立100周年へ向けた記念事業の一環として「地球市民教育フォーラム」を開催しています。社会が抱える課題やテーマについてみんなで一緒に考えましょうという取り組みで、学生はもちろん一般の方もご参加いただけます。テーマは食やコミュニティ、宗教などさまざまで、各方面の先生方を講師として招いてお話頂いています。

多彩な取り組みを通じて深まる地域とのつながり

―地域とのつながりは他にもありますか?

高橋学園長:地域とのつながりという点では他にも、2014(平成26)年から、学園が地域の一時避難所に指定されたことも特筆すべき点です。学校で生活する学生や教員はもちろん、地域の人も守られる方法について合同訓練等を通じて検討しています。大学部には地域防災のあり方を研究している学生もいます。

また「ひばりヶ丘」駅前のパルコに出店してパンを販売したり、演奏や合唱を披露したりして地域との関わりを深めています。

さらに視点を変えると、自然環境に恵まれた10万平方メートルもの敷地が学校としてあるだけで、周辺地域の自然環境を守るうえでは非常に大切だということを仰ってくださった方もいます。普通に生活をしているだけではなかなか気がつくことでもないのですが、自然が街に及ぼす影響というのも地域を考えるうえでは重要です。

実は、敷地内には縄文時代の遺跡が発掘された場所が多数あり、1万年以上も前の時代から、この土地で人の営みが行われ大切に守られてきた場所であることが分かっています。きっとその当時から暮らすのに申し分ない環境が広がっていたのでしょう。まだ具体的なプランには出来ていないのですが、将来的には、この場所の歴史をひも解いて、どんな人たちがここで暮らして、いかに素晴らしい地域だったかを伝える教育的な施設を作りたいと思っています。もちろん、発掘した出土品を見て学べるような環境にして、地域の小学生たちも学びに来られるような拠点にしたいと考えています。

2017年11月には「自由学園みらいかん」も完成する予定ですし、「しののめ茶寮」や「こっこ広場」等の取り組みを通じて地域の方とのつながりを広めながら「自由学園」をより良い学校として発展させ、地域と共にこれからも歩んでいきたいと思っています。

地域とのつながりを通じてみずから学ぶ人を育む「学校法人自由学園」
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学校法人自由学園

高橋和也 学園長
住所:東久留米市学園町 1-8-15
電話番号:042-422-3111
URL:https://www.jiyu.ac.jp
※この情報は2017(平成29)年5月時点のものです。

地域とのつながりを通じてみずから学ぶ人を育む「学校法人自由学園」
所在地:東京都東久留米市学園町1-8-15 
電話番号:042-422-3111(代表)
https://www.jiyu.ac.jp/

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