大山街道
現在の東急田園都市線「高津」駅から「溝の口」駅には、江戸時代に「大山街道」として賑わった名残が色濃く残っている。「大山街道」とは、江戸期に関東各地から相模国大山(現・神奈川県伊勢原市)の阿夫利神社へ向かう人々が通った古道の総称。高津から溝の口あたりの「大山街道」は、正式名称を「矢倉沢往還」といい、「足柄路」の名で『万葉集』にも収録されたほど歴史のある道として親しまれていた。
毎年7月26日から8月16日までは要所の道路の真ん中に灯籠を建て、道行く人をやさしい明かりで歓迎したとともに、上りと下りの流れをわかりやすくしていたという「大山街道」。江戸と地方を結ぶ物流の要所にもなっていただけに、沿道には店も多かったそうで、現在も古い様相を残す商店がちらほら見られる。
いまでは車も通る現代的な道路となっているが、脇には往時を思い起こすに十分な建造物が点在。「川崎市大山街道ふるさと館」前の道しるべは、高幡不動尊金剛寺(現・東京都日野市)への分岐に建てられていたもの。1829(文政12)年の建立といわれ、かつての賑わいを今も静かに残している。
大山街道
所在地:神奈川県川崎市高津区溝口
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