道後温泉
道後温泉には、神の湯と霊の湯を有する本館のほか、別館の「飛鳥乃湯泉(あすかのゆ)」や「椿の湯」といった外湯が存在する。そもそも道後温泉には29本の源泉があり、愛媛県に登録されているのは19本。そのうちの18本が現役で温泉をくみ上げ、これらの温泉に配湯しているのだ。日本最古の温泉として知られる道後温泉の「道後温泉本館」は、国の重要文化財に指定されており、歴史を感じさせるその佇まいには圧巻される。日が落ちたあとの、明かりが灯された建物もがらっと雰囲気が変わって一味違った趣がある。
本館にある「神の湯」は石造りの浴室。奥には大きな円柱形の湯釜が鎮座し、道後温泉らしさを醸し出している。一方、「霊の湯」は庵治石(あじいし)や大島石を使った浴室で、こぢんまりとしているものの高級感にあふれている。これらにセットで付く休憩室は、個室や大広間など味わい深い部屋が用意されているので、浴室とともにゆっくりと寛ぎたい。
※「道後温泉 本館」は、2019(平成31)年1月15日より営業しながらの保存修理工事を行っています。2階以上は休館。1階「神の湯」のみ入浴可能。
2017(平成29)年にオープンした「道後温泉別館 飛鳥乃湯泉」は飛鳥時代をイメージした建物で、本館にはない露天風呂や、浴衣の元になったともいわれる「湯帳」を着ての入浴などが楽しめる。大浴場には砥部焼の巨大な陶板壁画があり、歌人・山部赤人と額田王の万葉集の和歌をイメージした場面が描かれている。それだけでも十分に幻想的なのだが、さらに、30分毎にプロジェクションマッピングが上映され、陶板に描かれた風景を、時間の流れや季節の移り変わりなどで補完した表現を楽しめる。
道後温泉にまつわる伝説や物語などを「愛媛の伝統工芸」と「最先端のアート」をコラボレーションした作品で演出しているという「飛鳥乃湯泉」。エントランスは、和釘を使って湯玉を描いた装飾壁やゼオライト和紙のシェードが出迎えてくれる。5つの休憩室は、伊予水引細工で飛び立つ白鷺や湯文様をイメージした「白鷺の間」、筒描染で大国主命・少彦名命の伝説を描いた「玉之石の間」、今治タオルで椿を表現した「椿の間」、蒔絵でかつての道後温泉の情景を表現した「行宮の間」、西条だんじり彫刻を飾った「湯桁の間」と、どれも個性豊かなアートが光っているのも見ものだ。
1953(昭和28)年に建設され、「飛鳥乃湯泉」グランドオープンと同時にリニューアルオープンした「椿の湯」にもあわせて足を運びたい。公衆浴場といえども浴室には花崗岩が使われ、道後温泉のシンボルである湯釜も設置されている。もちろんお湯は、本館や「飛鳥乃湯泉」と同じく加温も加水もしていない源泉かけ流しの湯だ。
道後温泉
所在地:愛媛県松山市道後湯之町5-6(本館)、松山市道後湯之町19-22(道後温泉別館 飛鳥乃湯泉、椿の湯)
電話番号:089-921-5141(本館)、089-932-1126(道後温泉別館 飛鳥乃湯泉)、089-935-6586(椿の湯)
営業時間:本館霊の湯 6:00~22:00、本館神の湯 6:00~23:00/飛鳥乃湯泉 7:00~22:00(1階浴室のみは~23:00)/椿の湯 6:30~23:00
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