琥珀色の珈琲アロー
熊本市電「花畑町」電停から徒歩2分、銀杏通り(銀杏北通り)にひっそりとある「琥珀色の珈琲アロー」。東京五輪が開催された1964(昭和39)年に創業した、熊本市内では最古参の純喫茶のひとつだ。4坪ほどのこぢんまりとした、そしてどこか昭和の香りと、懐かしさが漂う店内では、80歳を超えてなお現役のマスターが、一杯ずつ丁寧に、心を込めて淹れるこだわりの珈琲をいただける。
「琥珀色の珈琲アロー」が提供するのは珈琲のみ。それも、店名にもある“琥珀色”をした珈琲だ。扉をくぐると、気さくなマスターが出迎えてくれ、自然な流れで珈琲を淹れはじめる。それはもう丁寧に、大切に。そして、珈琲ができるまでの間に、この道50年のマスターが “本物の珈琲とはどのようなものか”を教えてくれる。このひとときも、珈琲をより美味しくするスパイスとなる。
そうしてできた一杯の珈琲は、カップの底が透けるほどに美しい琥珀色をしている。仕入れた生豆のうち少しでも質の低いものは容赦なく避け、最高に質のいいものだけを選別。それを、まるで生豆のままかと見間違うほど、焦がすことなく丁寧に、じっくりと焙煎する。珈琲豆がもつ本来の香りと味、いい成分だけを抽出することで、唯一無二の“琥珀色”の珈琲ができあがるわけだ。
このように極限まで浅煎りされた珈琲は、珈琲特有の苦味、酸味がほぼなくマイルドで、珈琲があまり得意ではない人にもおすすめできる。珈琲嫌いで知られた文豪・三島由紀夫も「ここのなら飲める」と絶賛したほどで、「琥珀色の珈琲アロー」の一杯で珈琲好きになった人も多いとか。今や、この一杯を求めて全国から、さらには海を越えて世界中から珈琲通らが集まるという。
店内はカウンターが8席のみ(2022(令和4)年7月時点、コロナ対策のため席数は縮小)。毎日営業しているので、気さくなオーナーに会いに、琥珀色の珈琲を飲みにぜひとも立ち寄ってみてほしい。なお、この一杯が気にいったなら、珈琲豆のお持ち帰りもできる。自分へのご褒美に自宅で琥珀色の珈琲を楽しむのもいいし、大切なあの人への特別な手土産としても喜ばれることだろう。
琥珀色の珈琲アロー
所在地:熊本県熊本市中央区花畑町10-10
電話番号:096-352-8945
営業時間:11:00~22:00(日曜日、祝日は14:00~)
定休日:年中無休
https://www.coffee-arrow.jp/