自然派ラーメン 花の季
「花の季」は栃木県のみならず日本中で有名なラーメン店だ。今では当たり前となっている魚貝系と動物系のWスープの先駆け店でもある。創業は1992(平成4)年。ラーメンの流行はどんどん変わっても、ここの味は変わらず保たれている。
新里街道(県道22号線)沿いの店舗は車でのアクセスも良く、周囲は山や林で囲まれ緑が美しい。ラーメン店では珍しいロケーションだ。広々とした店内には季節の生け花も飾られ、ゆとりがあり座敷もある。天井も高く、開放感があるのでゆったりしたくなるが、土日は行列必至である。
花の季のテーマは「土からテーブルまで」。この一言に尽きる。花の季のウェブサイトを見れば分かるように、ラーメンの宣伝よりも自家製の小麦や畑の様子、収穫した野菜などの話題のほうが多い。自分たちで作った野菜、小麦、素材をラーメンに反映している。
ラーメンの前にお店からの気持ちとして出される大根の浅漬けも、花のように盛られて美しい。見た目だけでなく、さわやかな自然の味が、これから来るラーメンへの期待をかきたてる。
こちらで有名なのは、名物「バカうまラーメン」。使っているネギももちろん自前の畑で採れたもの。このラーメンは一見「こってり派」に見えるが、一口すすってみるとそうでもなく、あっさりとコッテリの間をいく絶妙なバランスだということがわかる。
出汁が濃いめで香りが鼻と口に一気に広がるが、かといって「どうだ!」という強い主張ではなく、まろやかで優しい味と言ったほうが当てはまる。東京ラーメンやトンコツなどに慣れた人にはちょっと素朴で不思議なラーメンかもしれない。ここでしか味わえない味が後を引く。リピーターが多いのも創業当時の質を保っているからだ。