蔵波台の住宅地に寄り添うように建つ小さなカレーハウス「欧風カレー専門店 K’s Curry」は、野菜と果物をじっくりと煮込んだブイヨンから作る、素材感あふれるカレーで勝負する本格志向の店。カレー専門店でありながら、カジュアルなレストランのような使い方もできると人気の店だ。

店のオープンは2005年（平成17）年。地元出身の店主・後田氏は静岡で一度は就職したが、その頃に大ファンだった静岡市内のカレーハウス「JIB（ジブ）」の味に惚れ込み、店の門を叩いたそうだ。そこでスパイス作りやブイヨンの仕込み、さらには接客や店のオペレーションなどのノウハウを吸収し、晴れて地元に開業。静岡で知り合った奥様との二人三脚で日々カレー作りに没頭している。

チェーン店はもちろん、多くのカレー店でその主役を問えば「スパイス」と言われる。しかしこの店では、スパイスはあくまでも味付けに相当する脇役。「うちの主役はブイヨンです」と後田氏は断言する。

そのブイヨンとは、12種類の野菜と果物を1日かけて丁寧に煮込み、濾して、ミキサーでペースト状態にしたもの。これにスパイスとスープを足して、スッキリとしながらも独特の深みのあるカレーを実現している。野菜にはセロリ、人参、ジャガイモ、ニンニク、リンゴなど定番のほか、バナナ、パイン、オレンジなども加えて隠し味にしているそうだ。こうしてできあがったカレーは、見た目こそ平凡だが口にするとその奥深さに驚く。甘味、酸味、香り、辛味、旨味。さまざまな味が交互に味蕾を刺激し、幸せな気分にひたらせてくれるだろう。

ベースの辛さはそれほど極端に刺激的ではないので、老若男女あらゆる世代に受け入れやすい。辛味が足りない人のために自家製の辛味エキスも用意されているので、途中で加えて二種類の辛さを楽しむのがお薦めだ。