「明大前」駅を出て徒歩わずか10秒ほど。雨に濡れる間もない位に駅の目の前にある「キンダーベース明大前」は、乳幼児から小学校低学年生までを対象にした、有料の室内遊び場。「子どもは思い切り元気に遊べて、親は子どもから目を離さずにのんびり過ごせる」というコンセプトのもとに運営されている。基本的には子どもだけの利用はできず、親子で利用するスペースなので、「民営の児童館」のような存在だ。

このスペースを営んでいるのは、現役ママさんであり、ビルオーナーでもあるという石山さん。石山さんは明大前に生まれ育ったという地元っ子だが、いざ自身が子育てを始めるようになると、駅前にこういった遊び場がほとんど無いことに気が付き、不便さを感じていたという。とはいえ児童館は駅から遠くて不便だし、子どもが駆けまわる年齢になると行きづらい。特に雨の日などは公園も使えず、遊び場に困った経験を持っているそうだ。

そんな折にビルのテナントが空き、「無いんだったら、自分で作ってしまおう」と一念発起。2011（平成23）年11月にこの場所をオープンさせた。ビルの1階は居酒屋、2階はカラオケ。その3階にあるということで、子育て関連の施設としては珍しい立地だが、いざオープンしてみるとたちまち大盛況。明大前エリアはもちろん、京王線・京王井の頭線の沿線の人々まで評判が広がり、予想以上の広範囲からお客さんが来るようになって、石山さんご本人も驚いているそうだ。

3階部分を全部使った遊び場は意外なほどの広さがあり、正面には特注サイズのジャンボエアー滑り台がドンと鎮座している。そして後ろを振り返れば、ボールプールやドールハウス、ままごと用のキッチンセットなども。まずは滑り台で跳んで滑って楽しんで、ちょっと疲れたら別の遊びを楽しむ、というのが定番の楽しみ方ということだ。

一方、大人たちは中央あたりにあるベンチでおしゃべりしたり、持ち込んだ飲み物などを口にして、すっかりくつろぎモード。中央あたりにいれば子どもたちがどこにいても見えるので、腰を上げる必要は一切無く、思い思いにゆっくりと過ごしている。

この飲食物の「持ち込みが自由」という点もとても評判が良く、午前中に来るお客さんの多くは、ランチやおやつを持ち込んで、昼過ぎまでたっぷりと満喫していくそうだ。但し定員制で運営しているので、途中で抜け出してまた入ることはNG。そのルールさえ守れば特に持ち込み制限は無く、決められたランチタイムの時間帯には、のんびりとお弁当を広げて楽しむことができる。外に行っても安く、美味しく、安全に食べたい。ママ経験者だからこそわかる、細かな配慮が行き届いている。

気になる料金は、平日の場合大人が550円、子どもが250円、6か月未満の子どもは無料。時間制限は無い。週末や祝日は少し値段をアップして需給バランスを取っているというが、親子1000円以内でも存分に楽しめるのは非常にうれしいポイント。もし同様の施設が駅前の一等地にあって、企業が経営していたら、とてもこんな値段は打ち出せないはずだ。

また、このスペースを丸々借りきって利用することもでき、10時から22時までの間を30分単位で区切れて、値段も30分3,750円からとリーズナブルな設定になっている。25組50名くらいまで入れるそうなので、幼稚園や学校の懇親会、サークル活動などの利用には最適だろう。特に3、4月は貸切の確率が高いそうなので、予約を入れず個人利用で来る場合には、一度ホームページで貸切予定をチェックしておくのが賢い利用法だ。

駅前にあって、子どもが騒いでも文句を言われず、食べ物、飲み物の持ち込みもOK。利用料金は格安。好きな時に好きなだけ行けて、いくら居ても値段は上がらない。このすべての要素を満たしている室内遊び場は、探してみると意外と無いものだ。「無いからこそ作りました」と石山さんは笑うが、「そうそう！こんな場所が欲しかった！」というママ、パパはけっこう多いはず。雨の日などは特に、この施設のありがたみを感じることができそうだ。近くに暮らしている子育て世代の方は、ぜひ一度訪れてみて、この使い勝手の良さを感じてみていただきたい。

キンダーベース 明大前
所在地：東京都世田谷区松原2-27-14 3F
電話番号：03-3321-0041
営業時間：10:00～17:00
定休日：木曜日
http://kinder-base.com/