日本やアジアの手すき紙を中心に取り扱う紙の専門店「紙舗 直」。紙作家として国内外で活動する坂本直昭さんのお店で、紙のもつ力や奥深さを肌で感じることのできる非日常の空間だ。

都営地下鉄三田線「白山」駅より徒歩10分。白山通り沿いにある同店には、駅前の賑わいとは対照的におだやかな時間の流れる落ち着いた雰囲気が漂っている。1階は染色を施していない生地となる紙を中心に、風合いの異なる白い紙が壁一面に展示されている。

また2階には植物や土など天然の素材を用いて染め上げられた色とりどりの紙が揃い、普段目にする紙とは異なるその多様さと存在感に驚かされるだろう。坂本さんが手がけるオリジナルの染め紙は“染描紙（せんびょうし）”と呼ばれ、その作品は国内はもとより海外の美術館でも展示されるほど。世界各地へ赴き、訪れたその土地の自然や水、空気をまといながら和紙を染める技術と感性が高い評価を得ているようだ。

同店には画家や書家、建築家やデザイナー、工芸作家など「紙舗 直」の紙の魅力に注目する幅広い分野の人たちも多く訪れているようだ。店内の一画にはハガキやノートなど一般の人にとっても親しみやすい商品のほか、様々な形状の和紙を束ねた「たのしいね」や短冊にカットした「句々三昧」など、手にした人の創意工夫によって用途が無限に広がる興味深いアイテムも用意されている。

お店のコンセプト「紙と人の間を模索する」にもある通り、用途を限定して規格を揃えた洋紙とは異なり、一枚一枚手仕事によって生み出された紙には人の感性を刺激したり想像力をかき立てたりする力もあり、その空間にいるだけで居心地の良さを感じられるだろう。

店主の坂本さんにお話を伺うと、身近なところで和紙が用いられていることも多く、日本酒のラベルや飲食店のメニューもあれば、昭和の時代には当たり前だった障子や襖も私たちの生活の一部として用いられている身近な紙のひとつ。

「紙を使うと心が豊かになったり、生活を豊かにすることもできる」と坂本さん。手づくりのはがきを買って大切な人に手紙を書いてみたり、お気に入りの紙を筒状のランプシェードにするだけでも部屋の雰囲気を変えられると。人の営みの中で広がりを見せる紙の可能性をあらためて感じた瞬間だった。紙作家・坂本直昭さんの作品も興味深く、作品展示の情報などはHPを要参照。

紙舗 直
所在地：東京都文京区白山4-37-28 
電話番号：03-3944-4470
営業時間：10:00～18:00
定休日：日曜日、祝日
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