2019（令和元）年4月25日にオープンした「RESSAC（ルサック）」。“RESSAC”はフランス語で寄せ波という意味で、店主の夫が釣り好きということからその名を選んだそうだ。“フランスの旧市街にあるカフェ”をイメージしたという店内は、独特な色彩を通じて無意識のうちにそれを感じるかもしれない。店内奥にはイートインスペースが設けられ、そこに用意された6席で、トースターで温めたパンをオーガニックコーヒーとともに楽しみたい。

小麦の配合を決めるまでに3年を費やしたという「角食パン」は、同店の人気商品のひとつだ。小麦の香りをそのままに、食感はふんわりしっとり柔らかい。他にはフランス産の小麦と塩を使用した「バゲット」も人気で、生地をこねてから一晩寝かせる低温長時間発酵製法で作っているそうだ。それ以外にも、ライ麦と自家製酵母を使った「カンパーニュ」、「チーズフランス」、「あんぱん」、「クロックムッシュ」、「サンドイッチ」などがある。

 

分野を問わず、こだわる者はこだわるし、こだわらない者はこだわらない。また、こだわるにしてもその程度が問題となるが、「RESSAC」では、クリームやあんこなどの副材料も自家製だ。局所的なこだわりではなく、パンづくりに関する全てのことにこだわるのが同店の流儀と言えるかもしれない。

こうした店主のパンづくりに触れると、パンとともに歩んだ人生のようにも感じるが、もともとはグラフィックデザイナーとして仕事をしていたとのこと。夫の夢だった“パン屋のオープン”を実現させるべく共にパン教室に通っていたら、いつしかパンづくりが面白くなり、そのまま上北沢のベーカリーで修業に入ることに。

現在は週3日の営業で、夫婦で店に立つのは土曜日だ。生活圏内で美味しいパンが手に入るというのは嬉しいものだ。週3日の営業について、もっと増やしてほしいと願う常連もいるだろうが、ここは発想を変え、“その分、楽しみが大きくなる”と考えたい。

RESSAC（ルサック）
所在地：東京都調布市多摩川3-11-4  調布サンハイツ
営業日：火・木・土曜日 ※臨時休業あり
営業時間：12:00～19:00（完売次第閉店）
https://www.instagram.com/ressac_boulang..