横浜が大きく変わる大注目の「YOKOHAMA HAMMERHEAD PROJECT」とは
横浜が大きく変わる大注目のビッグプロジェクト
みなとみらい21地区では、港町としての色合いがより濃くなるような計画が進められている。増加するクルーズ客船の寄港に対応するだけでなく、それによってさらなる賑わいと活気づくりにつなげる、公民連携事業である「YOKOHAMA HAMMERHEAD PROJECT」に詳細について、横浜市港湾局 蝦名さんと株式会社横浜岡田屋 古川さんにお話を伺った。
新しい時代と景色に
――新港地区の景色が一変する「YOKOHAMA HAMMERHEAD PROJECT」の経緯について教えてください。
横浜市 蝦名さん:近年、横浜港は大型客船の寄港が増えつづけており、2013(平成25)年に152回の寄港数をピークに一度は減少したものの、現在は再び盛り返して2017(平成29)年には178回を記録しました。これまで客船の寄港は「大さん橋」がその機能を担っていたのですが、その構造から2隻しか着岸できず、さらに寄港数が増えた場合は対応できなくなるような状況でした。観光クルーズなので、どうしてもGWや土日・祝日の寄港が増えてしまい、3隻が同時に入港するという場合には、暫定的に「山下ふ頭」や「大黒ふ頭」に着岸してもらうなどして急場をしのいでいました。 そのような経緯から、「大さん橋」につづく第2の客船ターミナルが必要となり、「新港ふ頭」での整備が決定しました。新港ふ頭地区というのは近代港湾発祥の地で、大正時代に造られた岸壁は老朽化が進んでいたため、岸壁の整備とともに水深を7.5メートルから9.5メートルにし、さらに延長220メートルを340メートルにしました。
――大型客船のスケールに合わせたというわけですね。
蝦名さん:そうですね。客船ターミナルの整備については公民連携事業とし、民間の事業者を募りました。定期借地契約で市が民間事業者に土地を貸し、客船の受け入れに資するスペースの確保を条件に、民間事業者がターミナルビルを建てることになりました。その事業予定者として選定された「Yokohama Pier9」の構成企業が中心となって「新港ふ頭客船ターミナル株式会社」を設立。地元企業を中心とし、賑わいの創出、横浜ブランドの価値向上を掲げてプロジェクトに臨んでいます。
株式会社横浜岡田屋 古川さん: これまでみなとみらいの開発を担っていたのは、東京に本社を構える企業が中心でした。しかし、やはり街を開発するのであれば地元で活動している企業が担うべきではないかと。まして、横浜の玄関口とも言えるウォーターフロントの開発ですから、その想いが強くなることは自然なことでした。そこで弊社を含めた地元企業4社がまず会社を立ち上げ、「新港ふ頭客船ターミナル株式会社」に出資するという形を取ることにしたのです。
――「YOKOHAMA HAMMERHEAD PROJECT」について、横浜市としてはどのような効果を期待していますか?
蝦名さん:クルーズ客船「ダイヤモンド・プリンセス」を例に出すと、2017(平成29)年だけで21回も「大さん橋」に寄港しました。最大で、旅客定員である約2,700名がみなとみらい21地区に流れてくることを踏まえると、1隻だけでも大きな経済効果が期待できます。
ハンマーヘッドクレーンの語る歴史
――「YOKOHAMA HAMMERHEAD PROJECT」というプロジェクト名ですが、そもそもなぜ“ハンマーヘッド(HAMMERHEAD)”なのでしょうか。
蝦名さん:これは、「新港ふ頭」にある50トン定置式電気起重機の愛称「ハンマーヘッドクレーン」に由来します。「ハンマーヘッドクレーン」は1914(大正3)年に設置された東洋最古期の電動式クレーンで、国内ではすでに3基しか現存しません。港湾の近代化を象徴する施設として大変貴重なもので、「土木学会選奨土木遺産」にも認定されました。「ハンマーヘッドクレーン」だけでなく、新港地区には「赤レンガ倉庫」をはじめ、歴史的遺産が他にもありますから、それぞれの歴史性を踏まえた街づくりが進められています。
横浜市 邊見さん:現在、「新港ふ頭」の先端部を「ハンマーヘッドパーク(仮称)」として整備を進めており、竣工後は誰もが親しめる公園になります。客船ターミナルの2階部分と公園を結ぶ歩行者デッキも架ける予定で、この2つの設計を私が担当しています。もし可能であれば、園内の照明も「ハンマーヘッドクレーン」のシルエットに寄せたいですね。「ハンマーヘッドクレーン」の説明板や、インスタ映えするスポット、客船のお見送りのときにブラスバンドや和太鼓の演奏ができるようなスペースも設ける予定です。
蝦名さん:土日・祝日になると、何かしらのイベントが「赤レンガ倉庫広場」で開かれていますが、その賑わいと活気をいかに拡げていくかというのが課題です。「新港ふ頭」についても、客船が寄港していないときには客船ターミナル部分や広場を開放し、イベント等で使用していただきたいと考えています。
――竣工が楽しみですが、2018(平成30)年12月時点での進捗状況について教えていただけますか?
古川さん:2018(平成30)年6月の着工から半年近くが経過し、ようやく建物の骨格ができあがりつつあります。施設内には、コンビニエンスストア、ファストフード店、コーヒーチェーン店、チョコレートショップ、レストランなどを含めた約20店舗が入居する予定です。
街の中心部にある施設ではないので、どうしても足を運んでもらえる魅力が求められます。厨房を見せたり、ファクトリーの要素をもたせることも検討中です。周りには魅力的な施設が点在していますから、存在感を高めるだけでなく、相乗効果を上げられるような施設に育てていくことが目標です。
――このプロジェクトによって、新港地区はもちろん、みなとみらい地区全体に大きな変化が生まれそうですね。
古川さん:そうですね。ただ、客船ターミナル施設・宿泊施設・商業施設の一体化は初めてのことなので、実際に動き出してみないことには何とも言えないというのが正直なところです。しかし、10階建てのビルに相当する高さの大型客船が入港し、そこから大勢の乗客が街に繰り出していく様子は、横浜の新たな光景になることは間違いありません。着実に進んでいる「ハンマーヘッドプロジェクト」を、これまで以上に注目していただけると幸いです。
みなとみらいの未来
――「YOKOHAMA HAMMERHEAD PROJECT」以外で、注目すべき計画があれば聞かせてください。
蝦名さん:「横浜」駅方面から海へと向かうキング軸に歩行者デッキを設けることで、「横浜」駅や拡張工事中の「パシフィコ横浜」、さらに「臨港パーク」から新設される客船ターミナルまでをつなげる計画が進行中です。水際線を楽しんでいただくと同時に、回遊性が高まることでさらなる賑わいが創出されることを期待しています。
――今後、みなとみらい21地区ではどのような変化があるのでしょうか。
蝦名さん:2017(平成29)年9月、「日本丸メモリアルパーク」に展示されている帆船「日本丸」が国の重要文化財指定を受けました。老朽化が進んでいることから大規模改修工事が予定されており、それに伴い、展示されているドックの海水を抜き、ドライドックとなります。具体的な日時は決まっていませんが、あまり見る機会のないドライドックをぜひご覧頂けたらと思います。このような、歴史性を踏まえた街づくりととともに、若手職員の発案による観光アプリの開発なども行っていくので、ソフト面にもぜひ期待していただきたいですね。
横浜市港湾局
みなと賑わい振興部賑わい振興課
担当課長 蝦名隆元さん
邊見莉紗さん
所在地:横浜市中区港町1-1
電話番号:045-664-2525(横浜市コールセンター)
URL:http://www.city.yokohama.lg.jp/
※この情報は2018(平成30)年11月時点のものです。
横浜が大きく変わる大注目の「YOKOHAMA HAMMERHEAD PROJECT」とは
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