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レアールつくの商店街 理事長 高橋英昭さん インタビュー

レアールつくの商店街
理事長 高橋英昭さん

ドラマや映画のロケ地にも選ばれる
歴史ある商店街「レアールつくの」の魅力とは

「鶴見」駅から丘の上へ向かって10分ほど。森永の工場に近い「三角」(みかど)交差点から、アーケードの商店街が伸びている。ここ「レアールつくの商店街」は、戦後から高度経済成長の時代にかけて特に発展し、今もなお、個人商店が多く残る商店街として知られている、県内でも数少ないアーケード商店街。普段は日常の買い物に来る近隣の住民で静かな雰囲気に包まれているが、定期的に開かれるイベントの時には、遠方からも多くのお客さんが訪れ活気に包まれる。近年はドラマや映画のロケ地として使われることも多く、都会からわざわざ訪れる人もいるそうだ。

そんな「レアールつくの商店街」の協同組合で、4期にわたって理事長を務められているのが、商店街の中ほどにある「喫茶タンゴ」の店主、高橋英昭さん。今回は高橋さんに商店街の歴史と特徴、見どころ、そして地域の魅力について、お話を伺った。

戦前から長く続いている商店街ということですが、どのような歴史を辿ってきたのでしょうか?

レアールつくの商店街

この辺りには戦前から、幾つか商店はあったのですが、横浜大空襲により、隣にある森永製菓鶴見工場と一緒に被災をしてしまいました。当時、森永製菓鶴見工場では軍隊の背嚢(はいのう)を作っていたので、いわゆる軍需工場として稼働していました。

空襲により、この辺りは焼け野原になってしまいましたが、戦後もう一度、区画整理をして、早く復興へと向かった地域でもあります。戦後すぐの頃には沢山店舗もでき、そこの諏訪坂の山の上から見ると「地面が見えないくらい」だと言われるほど、繁盛していたそうです。

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そんなこともあり、初代のアーケードも早いうちに完成し、昭和20年代後半には、テント式のアーケードができました。それが古くなり、今のアーケードへと建て替え、もう三十数年が経ちますね。「弘明寺商店街」や、「横浜橋通商店街」と同じ年代に完成し、当時としては画期的な、開閉式のアーケードでした。
最盛期には100店舗近くあった商店街ですが、今でも70店舗余りのお店が営業しているほど、歴史ある商店街です。

商店街にはどんな特徴があるのでしょうか?

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この商店街のことを聞かれてよく話しているのは、「3つの特徴」についてです。

まず1つ目は、見てもらって分かるように、生鮮産品を販売する八百屋が非常に多い点です。お店同士は、競って八百物を売っていますので、特に八百物に関しては、京浜随一安いと自負しております。それがまず1つですね。2つ目は、開閉式のアーケードがあるという点です。

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そして3つ目は、「ぼてふり地蔵」です。これは江戸の末期に、生麦辺りから天秤を担いで売りに来たことを「棒手振(ぼてふり)さん」と言ったのですが、そういう人たちが三角の交差点あたりにあった、このお地蔵さんに、願をかけて倒していく、という習慣がありました。「ここで売れますように」ということで、願をかけて来たと伝えられています。

その後、諏訪坂や寺谷、寺尾、末吉、駒岡方面に魚を行商に行って売れると、お地蔵を立ててあげるというような、そういう独特の風習を持ったお地蔵なんです。江戸時代ぐらいからあったと伝えられていましたが、空襲で破壊されてしまって、ずっと台座だけが残っていました。およそ10年前、商店街の真ん中に移され、再建立されて、今に至ります。

どんなお客さんが多く利用されていますか?

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この商店街は、生鮮産品をはじめとして、スーパーマーケットや肉屋、お米屋など、食品関係が多いので、「毎日来る」というお客さんが大半ですが、お客さん自体については、二極化しているように思います。毎日、買いに来る方もいらっしゃれば、週に1回程、大きなショッピングモールに行った帰りに寄って帰る方もいらっしゃいます。この商店街の利用については、だいたい、毎日買い物をする方が多いですが、みなさんのライフスタイルに合わせて利用して頂ければと思います。

利用者の方は徒歩、あるいは自転車で買いに来るという方が多いですね。土日はよくイベントも開催しているので、ファミリーで来られる方も多いです。

イベントが沢山あるということですが、どんなものがあるのでしょうか?

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イベントは、商店街の中でも、数多く開催していると思います。年間で決まっているのは、7月に夏の七夕夜市、8月は盆踊り。これはもっとも人気のあるイベントです。そして12月には歳末の大売り出しを開催しています。ここではマグロ解体も行いますし、森永と協力して、「こどもビンゴ大会」も開催しています。どれも全て、最低でも十年・何十年以上の歴史を持っているイベントです。

中でも最も古いのは盆踊りですが、これは初代のアーケードの頃から続いているので、もう50年以上になりますね。この商店街のアーケード中を踊りならがら練り歩きます。

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それ以外に、春や秋にもイベントを開催していますし、3月には震災以降、復興支援のイベントも開催しています。これも、毎年恒例のイベントになっていますね。最近は、毎月、ミニイベントを含めて何かをやろうと、色々な新しいイベントも企画しています。例えば、手作り品のフリーマーケットを開催したりと、気軽に地域の方々が参加できるイベントを開催していますね。そんな風に、皆で知恵を絞って、楽しく企画・開催しています。年間合わせると、8~10回くらいはイベントを開催しています。

小学校の通学路にもなっているそうですね。

レアールつくの

そうですね。朝はまだ閉まっているお店が多いですが、下校の時間には、よく子どもたちの姿を見かけますね。少し前、この辺りは子どもが少なくなったのですが、子どもの数も徐々に増えてきているそうです。また、この辺りに住む子どもたちは、本当に元気ですよ。挨拶もよくしてくれます。商店街の中でお店をされている方の中にも、息子さんや娘さんが、「横浜市立豊岡小学校」に通っているという方が多いですね。

防犯カメラも新しく設置されたということで、安全性も高くなりましたね。

レアールつくの商店街

防犯カメラは、2015(平成27)年の初めに設置したのですが、2014(平成26)年に、「街づくり資金」という形で予算が付き、防犯カメラとLEDの電気への切り替えを行いました。また、あまり目立たないですが、アーケードの上部の修理も行いました。

LED照明も明るいものが付きましたし、防犯カメラも通り全てを俯瞰できるように8つを新設して、合計10機が稼働しています。これによって、今まで以上に安全が保たれるようになりましたね。そもそも、この街に大きな犯罪はあんまり無いですし、お客さんも優しい方が多く、地域的にも穏やかなのですが、先述でもあるように、子どもたちの通学路にもなっているので、安全面は確保しておきたいと思っています。

「商店街コミュニティセンター」について教えてください。

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これは商店街の中ほどにある、協同組合も入っている小さな建物のことですが、地域の方のコミュニティスペースとしての場所です。建物の中には、応接室やトイレ、テレビや新聞が置かれており、おむつの取り替え台もあるので、いろんな方に利用して頂いています。1階は自由に使って頂いて構わないので、中でお弁当を広げる方もいますね。小さな子ども連れの方もよく使われています。

2階には座敷がり、使用用途としては、商店街の会議と週に5~6回の教室開講に使用しています。開講されている教室には習字があったり、ヨガがあったり、手芸があったりと、老若男女が楽しめる教室を開いています。

近年はドラマや映画のロケにも多く使われているそうですね。

レアールつくの商店街

そうですね、年間にすると、7~8回はロケに貸していると思いますね。CMの撮影に貸すと、看板が隠されてしまうのですが、その点ドラマだと、看板も隠さないで全部出してくれますし、3~4時間で撮影も終わります。お店の負担も少ないので、ドラマ、映画の撮影については、快く貸していますね。

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特にこちらからお願いしているということではないのですが、一度撮影に使用して気に入って頂けると、また声をかけてくれるという、そんな循環で、最近は色々なドラマや映画に出ています。選ばれる大きな理由は、「屋根があるから天候に左右されずに撮影ができる」からだそうですが(笑)。

駅からこの商店街の間には、「豊岡商店街」など幾つかの商店街もありますが、そちらとの違いは何でしょうか?

レアールつくの商店街

お客さんには、よく「商店街らしい商店街」だと言われますね。例えば「豊岡商店街」は駅前にあって、昔ながらのお店の他にチェーン店も多く、街の人の通り道にもなっているので使いやすい商店街です。一方でここの商店街は車が通らず、アーケードがあって、生鮮の店も多いので、それが商店街らしいということなのかなと思います。昔ながらのお店が今でも多く続いていて、買い物のお客さんの中でも7~8割は常連の方です。そんなお店とお客さんとの距離が近いのもこの商店街の魅力の1つだと思いますね。

今後、どんな商店街にしていきたいとお考えでしょうか?

レアールつくの商店街

やっぱり、衰退させないように、忘れられないようにしていくということが大事だと思います。ご存知の通り、世の流れというのは、商店街にとって厳しくなっています。区全体の商店街を見ても、昔は区の商店街連合というと、約40位の組合がありましたが、今では18まで半減しています。

そう考えると、商店が、今後もどんどん灯を失っていくのは事実であり、この商店街についても、消費税が上がるたびに軒数が落ちています。個々のお店が、これからも店を続けられるような商店街にしていくためには、組合として、イベントを沢山開催し、安全面にも配慮し、いろんな媒体に出て行くような形で、客寄せを行うことだと思います。

レアールつくの商店街

各お店については、どこも頑張っている店が多く、列ができる店もあるほどです。私が営業している「喫茶タンゴ」についても、月に2回「うたごえ喫茶」というのを開催して頑張っていますし、向かいの団子屋も和菓子教室を月に5回ぐらい開催しています。パソコンショップでも、毎月You Tubeで番組を作って流したりしていましたし、それぞれ、いろんな方法で頑張っています。

なので組合としては、商店街の魅力をいろんな形でアピールしていくというのが一番大事だと思っています。「商店街の名前を聞いたことがある」、「一度足を運んでみたい!」、そういう気持ちを持ってもらえるように、仕掛けていきたいと思っています。ただ、組合でできるのはそこまでが現状です。客寄せをすれば、あとは、個々のお店の頑張り次第ですね。

商店街周辺の住環境、子育て環境についてはどうでしょうか?

レアールつくの商店街

私も長くこの地域に暮らし、ここで子育てもしてきましたが、本当にいい環境だと思います。子どもたちと、地元の人との交流が多い地域だと思いますね。学校の課外授業の一環として行われる「体験学習」についても、商店街のお店に入ってお手伝いをするという取り組みが、昔からずっと続いています。お付き合いも深いので、子どもも大人もみんな顔見知りであるほど、「地域で子どもたちを見守っている」地域ですね。街を歩いていても「あ、どこどこのマスターだ!」なんてわかる子もいますしね。

鶴見川遊歩道(下末吉二丁目付近)

自然環境ということだと、川もあって、海も近くて、三ツ池の山もあって、人口の自然という面もあるけれど、静かで、いい環境だと思いますよ。

私の子どもたちはもう結婚して、他の地域で子育てに励んでいますが、孫たちを連れて度々帰ってきています(笑)。孫たちに好きな理由を聞いてみると、ここに来るとホッと落ち着くんだそうです。この街の魅力って、結局は人と人との程良い距離感なのかもしれませんね。

レアールつくの商店街 インタビュー
レアールつくの商店街 インタビュー

今回、話を聞いた人

レアールつくの商店街

つくの商店街協同組合 理事長 高橋英昭さん

レアールつくの商店街
所在地:神奈川県横浜市鶴見区佃野町28-19(組合事務所)
電話番号:045-571-1888
URL:http://www.les-halles-tsukuno.com/

レアールつくの商店街 理事長 高橋英昭さん インタビュー
所在地:神奈川県横浜市鶴見区佃野町 
電話番号:045-571-1888(つくの商店街協同組合)
http://www.les-halles-tsukuno.com/

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