相国寺
「京都御苑」から300mほど北に位置する「相国寺」。1392(明徳3)年、夢窓疎石を開山とし、足利義満により創建された禅寺だ。別格の「南禅寺」、第一位の「天龍寺」に次ぎ、京都五山第二位に列せられている。寺域には、弟子らによって構えられた13の塔頭寺院も存在。金閣寺、銀閣寺の呼び名で知られる「鹿苑寺」や「慈照寺」も「相国寺」の山外塔頭寺院である。
創建以来、幾度もの焼失を繰り返した「相国寺」。現存する建物の多くは19世紀の初めに再建されたものだ。開山・夢窓疎石の木像を安置する「開山堂」は“応仁の乱” の兵火や“天明の大火”で焼失し、現在は再建された礼堂と祠堂から成る。南庭の「開山堂庭園」は当時の水源は途絶えてしまっているが、「山水の庭」と白砂と庭石を配置した「枯山水平庭」の姿は今も残っている。住職の住まいである「方丈」も開山堂とともに再建されている。入り母屋造り、桟瓦葺き、切妻造りで、桁行25mの方丈としては大きなものだ。
「法堂(はっとう)」は比較的古いものが残っている。豊臣秀頼の寄進により1605(慶長10)年に再建されたもので、最古の法堂として重要文化財に指定されている。禅寺の本山の多くでは、本堂の天井に「火災から守る」などの意味を込めて、天井に龍の絵が描かれているが、ここ「相国寺」の天井に描かれた龍は、堂内で手をたたくと音が反響して鳴いているように聞こえることから“鳴き龍”として有名だ。
室町時代に活躍した水墨画家・雪舟など、「相国寺」は五山文学を代表とする禅僧や画僧を多く輩出している。また、織田信長が「相国寺」で茶会を催した折に千利休も参加するなど、「相国寺」は茶の湯の形成にも大きな役割を果たしている。境内にある「承天閣美術館」には、五山文学を含む中近世の墨蹟、絵画、茶道具など、国宝5点、重要文化財145点が収蔵されている。伊藤若冲の水墨画の傑作『鹿苑寺大書院障壁画』の一部が常設展示されるほか、2~3ヵ月間の企画展が定期的に開催されている。
相国寺
所在地:京都府京都市上京区今出川通烏丸東入
電話番号:075-231-0301
https://www.shokoku-ji.jp/