道後温泉 本館
「日本書紀」にも登場する「道後温泉」。国内最古といわれる温泉である。斉明天皇や聖徳太子が訪れたとも言われるが、「道後温泉」と聞いて最も有名な人物は夏目漱石だろう。松山市の中学校で英語教師をしていや夏目漱石が、友人の松岡子規らとやってきたのがこの「道後温泉本館」。当時はまだ新築だったそうだ。著書『坊ちゃん』に「住田の温泉」として登場する。
道後温泉のシンボルとも言える「道後温泉 本館」は、1894(明治27)年に建てられた。木造3階建てで、1994(平成6)年には国の重要文化財にも指定されている。また、2009(平成21)年に発行された『ミシュラン・グリーンガイド・ジャポン』において、最高位の三つ星も獲得している建物だ。
浴室は「霊(たま)の湯」と「神の湯」の2つ。「霊の湯」は花崗岩の中でも最高級と言われる庵治石や大島石が使われており、壁面も大理石張りの高級感あふれる浴室。「神の湯」は、浴槽内に大きな円柱型の湯口が存在するのが特徴的だ。
浴室の利用は、どこを利用するかを入浴前に決めて入浴券を購入する。2つの浴室に入るなら、3階の個室や広い2階の休憩室のどちらか。ちなみに3階個室は、『坊ちゃん』の一説に「俺はいつでも上等へ入った」と出てくるところで、一度は体験したい。「神の湯」のみ利用する場合は、2階の大広間か階下の脱衣所のいずれか。リーズナブルに価格設定されているうえ風情たっぷりなので、こちらもおすすめだ。
なお、日本で唯一の皇室専用の浴室「又新殿」も保存されている。桃山時代の様式を模して1899(明治32)年に建てられたもので、細かな職人技が細部にわたって施されているので、是非、見学してみよう(有料)。夏目漱石と正岡子規が使ったという本館3階の角部屋個室も「坊っちゃんの間」として保存されている。こちらは無料で公開されているので、気軽に立ち寄ってみよう。
道後温泉 本館
所在地:愛媛県松山市道後湯之町5-6
https://dogo.jp/onsen/honkan