1300年の歴史ある湯田川温泉、日本酒と伝統文化で観光・移住誘致(山形県)

〜全国でも珍しい、温泉水で発芽させた米「つや姫」「はえぬき」を使った日本酒2種「女神のしずく」「乳いちょう」を2月14日より発売〜

湯田川温泉の町並み

米どころとして知られる山形県庄内平野に位置する、1300年の歴史を有する湯田川温泉の旅館協同組合は、地元の歴史ある酒蔵「渡會本店(わたらいほんてん)」とコラボレーションし、全国でも珍しい、温泉水で種籾を発芽させる「芽出し」作業で育てた、米「つや姫」「はえぬき」を使った日本酒「女神のしずく」、「乳いちょう」を醸造し、2023年2月14日から湯田川温泉の旅館8軒などで提供、ネット販売を開始します。

湯田川温泉では、この、湯田川温泉生まれの「米」を使った初の日本酒製造・販売のほか、稲刈り体験・しめ縄づくり体験を提供。また、伝統芸能「神楽」を通年で見学していただける環境を整え、地域の文化面での魅力を発信し、旅行者および移住検討者にさまざまな体験をしていただく取り組みを進めます。

この日本酒の特徴は、種籾を温泉水で発芽させる「芽出し」を行って稲苗(とうびょう)を育てて米作りを行い、収穫した米を使っていることです。一般にお湯で行われることの多い「芽出し」を催芽場と呼ばれる温泉水の水槽で温泉水に種籾を浸けて行う様子は江戸時代から続いており、同地域の春の風物詩として知られています。

温泉街からすぐの山手には、映画『たそがれ清兵衛」にも登場する由豆佐売神社(ゆずさめじんじゃ)があります。地域の守り神であり、出湯と水の神様が祀られた境内には、古くから妊婦の乳の出を願う信仰の対象となっていた祠を由来とする大木の「乳イチョウ」がそびえます。そして、庄内潘公酒井家の藩邸でも演じられた伝統芸能「湯田川温泉神楽」はインド舞楽の形式をそのまま取り入れた全国的にも大変珍しい楽曲と評されています。この神楽は土用の丑の日に奉納されますが、一年を通して旅行者も演舞を見学することができます(有料)。湯田川温泉ではこのほか、稲刈り体験やしめ縄づくり体験などもプログラムとして順次提供していきます。

※詳しくは、公式サイトよりご確認ください。
URL:https://www.yutagawaonsen.com/

【湯田川温泉の移住・観光誘客のための取り組み】

■日本酒醸造・販売

催芽場に複数ある温泉水の水槽に浸けての芽出し作業

湯田川温泉のお湯で芽出しされ、湯田川の地で育まれた「芽出し米」を使用した酒造りが始まり、純米大吟醸・純米の計2種類の日本酒が誕生。湯田川温泉の源泉温度42度にならい、純米大吟醸で使用する「つや姫」は42%削っている。日本酒は基本的に湯田川温泉内で販売、提供する。

由豆佐売(ゆずさめ)神社の乳イチョウ

湯田川温泉の守り神として創建されたといわれる「由豆佐売(ゆずさめ)神社」は「泉源の女神」である「溝樴姫命(ミゾクイノヒメノミコト)」を祀る社。純米大吟醸の酒の名はこの女神に由来する。また、神社へ続く参道には古くから妊婦の乳の出を願う信仰の対象になっていた県指定天然記念物「乳イチョウ」があり、純米酒はこの大木から名づけられた。

■湯田川温泉神楽

湯田川神楽

古くから、土用の丑の日に地域の神社「由豆佐売(ゆずさめ)神社」では温泉清浄祭を行い、前夜祭で清らかで穢れがないようご祈祷する「湯田川温泉神楽」を奉納していた。この「湯田川温泉神楽」を各旅館のお座敷でご覧いただく公演を受け付ける (1公演25,000円、通年・要予約)、詳細は 各旅館まで。

■稲刈り体験・しめ縄づくり体験

稲刈り体験

湯田川温泉では2022年度、食に触れる体験を創出するために、稲を手刈りし、杭にかけ自然乾燥するプログラムを提供した。その中で、在来野菜のカラトリイモの収穫も行ったが、その大きな葉は「となりのトトロ」をほうふつとさせると親子参加者の関心を引いた。ランチでは、湯田川地区でしか栽培されない在来野菜「萬吉茄子(まんきちなす)」「藤沢かぶ」を加えた在来野菜と新米を堪能していただいた。1か月ほど乾燥させた天日干しの藁を使い、別の日に行ったしめ縄づくり体験は、山伏である成瀬正憲氏を講師に迎え、参加者全員で9mほどの1本のしめ縄を作り、乳イチョウに奉納した。このプログラムを今年も提供できるよう調整を進めている。

【湯田川温泉と旅館の紹介】
アクセス:・飛行機 羽田空港から庄内空港まで約1時間、その後バス利用、またはタクシーで約25分
・電車 東京駅より上越新幹線・羽越本線利用で鶴岡駅まで約4時間、その後バスで約28分、またはタクシーで約25分

湯田川温泉の町並み

山形県庄内地方の海に近い山辺にある湯田川温泉は、1300年の歴史を持つ温泉で、庄内三名湯にも数えられる。712 年に傷を負った一羽の白鷺が傷を癒したことに由来し、「白鷺の湯」 と呼ばれていた。泉質は、毎分約 1,000 リットルの豊富な湧出量の硫酸塩泉 (旧泉質名:含石膏芒硝泉)。硫酸塩泉は、動脈硬化症や切り傷、火傷などに効果があると言われ、鎮静作用や血圧の降下作用も期待できる。 昔から土用の丑の日(夏の暑い盛り)にあわせて湯治をすると 1 年間無病息災で暮らせると言われる「丑湯治」の文化も根付いている。共同浴場が2カ所、足湯が1カ所ある。「正面湯」は温泉街のちょうど真ん中にあり、その正面に足湯「しらさぎの湯」がある。少し離れた場所に「田の湯」がある。

「正面湯」から徒歩1分の「由豆佐売神社」の鳥居をくぐると、その先に苔むした石段と両脇に樹齢いくばくかの杉並木が出迎える。石段右手に樹齢 1000 年と言われる県指定天然記念物の「乳イチョウ」の巨木かがそびえ立つ。現在の本殿は明治 15 年に旧鶴岡警察署庁舎や旧西田川郡役所などを手掛けた 庄内の名棟梁、高橋兼吉(たかはしかねきち)が建築したもの。湯田川温泉には、藤沢周平を初め、斎藤茂吉、横光利一、種田山頭火、竹久夢二といった歴史に名を残す文人墨客も逗留している。

現在、旅館は8軒あり、各旅館ごとに趣向を凝らした、庄内の在来野菜や湯田川温泉名物の「孟宗竹のタケノコ」を使った食事、温泉が楽しめる。

※itot以外の画像出典:湯田川温泉旅館協同組合