JR高崎線「上尾」駅から徒歩約3分、路地の一角に佇むビル内にある鮨店。都心に行かずとも極上の鮨を食べられるとエリアでも評判のお店だ。ビルの1階、奥に進んだ先に現れる落ち着いた和の風情漂う入口。引き戸の暖簾をくぐると、木の温もりを感じる高級感ある空間が目の前に広がる。入ってすぐ、視界に飛び込んでくるのは網代張りの天井、大谷石の壁囲まれた白木一本のカウンター。

このカウンターに一人で立ち、鮨を握るのは店主の宇田川城さん。宇田川さんは、銀座や麻布十番の有名店で修業を積んだ後、お客様とのつながりでドイツへ渡り、店をオープン。約20年営んだ末に帰国し、2016（平成28）年7月、実家のある上尾にこの店をオープンさせたという異色の経歴を持つ。そんな国内外で培った長年の経験は、和魂洋才の店づくりにも活かされている。

「自分が認めたもの以外は出さない」。そんなポリシーの下、市場には毎日自ら足を運んで品定めをし、仕入れるのは中でも一番高価なもの。毎日通うのは、「魚のことを一番よくわかっているのは市場の方達。用事がなくても毎日顔を出すのが信頼づくりには大切」という想いから生まれる行動だ。そんな厳選されたネタがのるシャリには、異なる3つのブランド米をブレンド。ネタが生きる絶妙な米の固さを実現している。

また、当店では味噌汁の代わりにオリジナルのブイヤベースを提供。ドイツ居住時代に知人のフレンチシェフからレシピを教わり、開業以来欠かさず煮詰めてきたメニューで、多くの客から人気を得ている逸品だ。そんなこだわりのメニューに合うワインを豊富に取り揃えているのも当店の特徴の一つ。ドイツ国内のレストランでソムリエ兼支配人を務めた経歴を持つ女将が、メニューとの取り合わせや好みに合わせてセレクトしてくれる。

こだわりが随所に込められた店づくりに、一瞬身構えてしまいそうだが、店主曰く、「お客様には、好きなように食べていただきたい」とのこと。その言葉の裏には、地元を盛り上げる想いとともに、地元の方に誕生日や記念日にちょっとした贅沢をする場所として使ってもらいたいという想いがある。普段はなかなか味わえない緊張感を味わえること自体が良い体験にもなると、お子様連れももちろん歓迎。上質な食体験を味わうためにもぜひ訪れたい、地元の人気鮨店だ。

鮨処わさび
所在地：埼玉県上尾市仲町1-7-8 第二樋口ビル1F
電話番号：048-779-8306
営業時間：17:30～23:00
定休日：日曜日、祝日、豊洲（大宮）魚市場がお休みの日
https://wasabi-ageo.com/