JR高崎線「上尾」駅東口から徒歩約10分、静かな住宅街の一角に佇む、和食店。店主の田中享さんは、10代から板前として京都の料理旅館や割烹で10年以上の修業を積んできた経歴を持つ生粋の料理人。2001（平成11）年9月に3代目として当店を引き継ぎ、2019（令和元）年7月に屋号も一新して、リニューアルオープンさせた。新たなスタートで店に掲げたコンセプトは、お客様の美味しいを支える“第二のダイニング”。これは、「旬の食材を使い、和食中心にお酒を気軽に楽しみ、贅沢な時間を過ごしてほしい」という田中さんの想いから生まれたものだ。

木の温もり感じる店内は天井が高くて開放的。さらに奥にあるテラスでは、外で心地よい風にあたりながら食事を楽しむことができる。また、2階は広々としたロフトになっており、飲食以外にも多様な使い方ができるように工夫された設計になっている。この設計の考案の裏にあるのは、「人の価値が心の豊かさに移っている時代に、この店で何ができるか」という田中さんの深い洞察と挑戦心。あっという間に過ぎる人生の中で、それぞれが無形財産を増やすきっかけとなる場所になれればと、人と人との出会い、交流に焦点を当てた空間づくりを目指した結果なのだという。

そんな人への想いは料理にももちろん反映されている。お客様を美味しさでおもてなしするために、日本の豊かな四季の下、それぞれの季節に最適な食材を使用して作られる料理。特にこだわっているのが出汁で、昆布、カツオ、アゴ、貝柱など、複数の出汁を使い分けて調理する。中でもおすすめ＆人気メニューは、時季の煮物類や牛すじ煮込み、おでんなどの出汁をしっかりきかせた味わい深いメニュー。また、和食以外にもカレーライスや自家製デミグラスソースを使ったメンチカツなどの変わり種も提供しているのが当店の面白い点。

また、そんな逸品料理に合わせたい酒類も種類豊富に取り揃えている。現在酒蔵では若い世代の活躍が増え、今までの焼酎にない概念を取り入れたお酒も数多く誕生しており、同店で味わえる「一尚」もそのひとつだ。他にも、常に革新的な挑戦をし続ける蔵がつくる「蔵の師魂」や「大和桜」など他ではなかなか味わえない珍しいお酒も楽しむことができる。

料理もサービスも空間づくりも、根本にあるのは「地域にとって大切なコミュニティの場所になればいい」という想い。「家族や店の繁栄も大切だが、商いをやるからには地域の活動が大事。自分が恩恵を受けた分、地域に還元していきたい」と語る田中さんは、将来店の2階でも、ワークショップやカルチャースクールなど、飲食にこだわらず活動場所として利用してもらうという構想も持っているそうだ。新しい飲食店のカタチとして、この上尾の地にどのように根づいていくのか今から楽しみなお店だ。

田中家料理店
所在地：埼玉県上尾市愛宕1-28-20 
電話番号：048-775-3112
営業時間：17:00～23:00（L.O.22:30）
定休日：日曜日
https://j-tanakaya.com/