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ぼたん

かつて連雀町と呼ばれた神田須田町一丁目周辺は、1945(昭和20)年の東京大空襲で奇跡的に焼失を免れたエリアだ。甘味処の「竹むら」、あんこう料理の「いせ源」といった老舗が集まっていて、昔ながらの情緒を漂わせている。
1897(明治30)年頃創業の鳥のすき焼き専門店「ぼたん」も、この一角にある。作家の池波正太郎や映画監督の小津安二郎など、錚々たる著名人に愛されてきた名店だ。
戦火を免れた住宅兼店舗は、1929(昭和4)年竣工で東京都の歴史的建造物に認定されている。

のれんに染め抜かれた「鳥」の一文字に想いが感じられる
のれんに染め抜かれた「鳥」の一文字に想いが感じられる

「鳥」と染め抜かれたのれんが凛々しい入口。店に入ると、今では珍しい下足番が靴を下駄箱に入れ、和服姿の仲居さんが案内をしてくれる。昔から変わらないサービスなのだろうが、新鮮に感じる人の方が多いだろう。内装も、磨き上げられた床に飴色の梁や柱、坪庭など風情ある空間が広がっている。二階には大広間もあり、全120席とかなりの広さがある。

光と風を感じさせてくれる坪庭
光と風を感じさせてくれる坪庭
二階の大広間
二階の大広間

焼鳥などサイドメニューもあるが、メインは「鳥すきやき」一択。まず、熱された備長炭が入った火鉢が運ばれてくる。同店ではいまだにガスに頼らず、備長炭と鉄鍋で調理しているのだ。小さな四角い鉄鍋が火鉢の上に据えられると、皿に盛られた鶏肉が人数分運ばれてくる。

二人前の「鳥すきやき」
二人前の「鳥すきやき」

皿に並ぶのは、やわらかいひな鳥のむね肉、もも、ささみ、皮、砂肝、レバー、ハツ、軟骨、つくね。仲居さんが焼き豆腐、長葱、しらたきと一緒に手際良く鍋に並べ、甘辛い割り下で煮込んでいく。備長炭と鉄鍋で煮る鶏肉はやわらかく、各部位はそれぞれに異なる味と食感があり、飽きずに食べ進められる。

高温に強く、熱伝導のいい鉄鍋で具材を煮る
高温に強く、熱伝導のいい鉄鍋で具材を煮る

頃合いを見計らってご飯とお椀が運ばれてくると、少し中身が残った鍋に生卵を割り入れて、うまみたっぷりの卵とじを作ってくれる。ご飯の上によそって、親子丼のようにいただくのが定番だ。最後に季節の果実が出され、口をさっぱりできるのも嬉しい。

なお、店名の由来は花の牡丹ではなく、創業当時は新しく珍しいものだったという洋服のボタンだそうだ。
趣ある日本家屋でいただく鳥すき鍋も、その空間やサービスを含め、ちょっと他では味わえない新鮮で貴重な経験となるだろう。

東京都の歴史的建造物に認定されている建物
東京都の歴史的建造物に認定されている建物

ぼたん
所在地:東京都千代田区神田須田町1-15 
電話番号:03-3251-0577
営業時間:11:30~21:00(最終入店20:00)
定休日:日曜日、祝日

http://r.gnavi.co.jp/g198900/




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