「町田」駅から徒歩5分ほどの場所にある、「くに作」という本格派蕎麦店。この店の一角で、実は週に2日だけ親子カフェが開店していることを知る人は少ないかもしれない。そのスペースの名前は「mamma*nonna」（マンマノンナ）。月曜日と木曜日の2日間だけ、蕎麦屋の2階を使った完全貸切制スペースがオープンする。訪れる人はほぼ100％、小さな子ども連れのママさん達。忙しい子育ての日々の合間に、「ほっとひと息」をつける場所として愛されている。

この店を営む奥谷舞子さんは、ご自身も二人の娘さんを育てている現役ママ。奥谷さんと、友人の丸山さんが二人三脚でこの場所を運営している。ちなみに蕎麦屋は奥谷さんのお母さんが経営していて、蕎麦をデリバリーしてもらったりと、いろんな融通も利きやすい。

奥谷さんはこのカフェを開く前から、鎌倉で「蕾（つぼみ）の家」という地域住民向けのカルチャースクールを経営しており、いろいろなママさん達とも交流を深めてきたという。その中で聞いた話から、そして自分の経験からも、「ママ達がほっとできるような場所がもっと必要だ」と実感するようになり、「ただのカフェではなく、貸し切ってくつろげるスペースにしよう」と、「mamma*nonna」を立ち上げた。

オープンは2015（平成27）年。もともとは近隣の方の利用を想定していたそうだが、蓋を開けてみたら「遠方の方が8割以上なんです」と奥谷さん。町田という非常に便利な駅から徒歩すぐの場所なので、たとえば都内在住の人と、小田原や藤沢辺りの人が「ちょうど真ん中だから」ということで使うパターンが多いという。

カフェのシステムは単純明快。会費を払って会員になり、ウェブから予約を取ればそこが2時間、自分たちだけの貸切になる。年会費は1000円。1回2時間の利用で、大人1名あたり1000円、非会員は1500円。子どもは何人いても追加料金はかからない。但し、小学生以上の場合は1人500円というシステムだ。たとえば2組の親子がここで2時間会う場合、それぞれ1000円を持ってくれば事足りる。そして料金内にはデカフェコーヒー代とデザート代も含まれている。

「喫茶店に行くのと同じくらいの値段で、気兼ねなく過ごしてほしいと思っているから、こういう値段にしています。カラオケボックスに行くぐらいなら、こっちのほうが健全じゃないですか」と微笑む奥谷さん。自身もカフェに子連れで行って、肩身の狭い思いをしたことがあったそうで、その経験がこのスペースに生かされている。

店内は特別に何かがあるわけではなく、畳敷きの部屋に絵本や木のおもちゃが置かれている程度。奥谷さんが子どもの頃に使っていたピアノもあり、自由に弾いても「ぜんぜんOKです」とのこと。ご近所の方に対しても、子どもの声や楽器の音に関して理解してもらえるよう説明に回ってあるそうで、「どうぞ気兼ねなく騒いじゃってください」ということだ。

この親子カフェの営業は月・木のみだが、実はそれ以外の曜日には「槙（まき）の家」として、さまざまな面白い活動が行われている。土日には近所の小中学生を対象に「生活自由学校」を開き、奥谷さんが教鞭を執っているという。その他、小さなコンサートや料理教室、離乳食講座なども、ワークショップ系のイベントも数々行われているので、ホームページ等で確認してみてほしい。

つねに周りにも気を遣い、疲弊してしまっている現代のママ達。そんな状況に少しでも助けになれば、という発想から「mamma*nonna」は生まれた。先輩ママが後輩ママのためを考えて作っているから、細部にまで細やかな気配りが利いている。町田や相模原エリアなど近隣の方はもちろん、沿線のちょっと遠くの人でも利用しやすいロケーションなので、ぜひ活用してみてほしい。

mamma*nonna（マンマノンナ）
所在地：東京都町田市森野1-27-11 2F
オープン日時：月・木曜日10:00～14:00（2時間毎の完全予約制）
http://mammanonna.maki-house.com/