校長 本橋教子先生インタビュー

明るい雰囲気の新校舎になり、地域から提供された農地でともに生きる心をはぐくむ/上石神井北小学校(東京都)


希少な水辺風景が見られる「三宝寺池」や「石神井川」など、水と緑をすぐ近くに感じられる環境に「上石神井北小学校」はあり、区内でも指折りの大きさを誇る小学校です。2023(令和5)年9月に新しい校舎が完成し、明るく広々とした環境に子どもたちの元気な声が響き渡っています。

新しい校舎とともに学校の特色となっているのは、学校の隣に区民から提供された農地があり、そこを教育活動に使っているという点。「くりりん」と名付けられたこの土地は、地域と学校の友好の証でもあります。

今回はこの学校で建て替え前から校長を務める本橋教子校長先生を訪ね、学校の特徴と地域の魅力についてお話を聞きました。

校長 本橋教子先生
校長 本橋教子先生

最初の校舎の面影を残す新校舎

――まずは、「上石神井北小学校」の沿革、特徴などについてご紹介ください。

本橋先生 「上石神井北小学校」はもともと、「石神井公園 」のすぐ隣にある「石神井小学校」の分校として立ち上がった学校で、1959(昭和34)年に開校しました。「石神井小学校」は「石神井城」があった近くの学校で、練馬の中でも伝統ある 学校です 。一期生を始め卒業生の方々はこの学校に誇りを持って、大事にしてくださっています。昔から地域に愛されている学校です。

明るい陽射しが差し込む教室
明るい陽射しが差し込む教室

今回、2023(令和5)年の9月から新しい校舎となりました。この校舎は三代目で、初代は赤レンガの大変立派な校舎で、当時としても珍しい建物だったということを聞いています。
このことを巣立っていかれた卒業生の皆さんは、すごく誇りにされていますので、今回の新校舎の建設に関しても、赤レンガの再現までは無理でしたが、レンガ調のタイルを貼ることで本校の特色が出せたと思っております。

児童数については、2023(令和5)年度は732名ということで、練馬区内でも規模の大きな学校です。今年の1年生は5学級でした。

新校舎となった「練馬区立上石神井北小学校」
新校舎となった「練馬区立上石神井北小学校」

子どもたちに大事にしてほしいスローガン

――教育目標と、その実現のための取り組み、子どもたちと接するうえで大切にしていることを教えてください。

本橋先生 私がこの5年間、教員に対して大事にしてほしいと言ってきている根幹の言葉は、「共生」です。

これは「子どもとともに生きる」という意味はもちろん、保護者の方々、ここで一緒に仕事をしている大人も、「皆がともに生きる」という意味があります。

また、本校の特色として地元の方々から提供された農園があるのですが、ここでは、子どもたちが自然とたわむれることで、そこに生きる動植物とともに大事に生きてほしい、そんな思いもこめて「共生」という言葉を、5年前から言い続けています。

そして、誰も置いていかない、誰もが置いていかれない努力をしよう、寄り添うことだけではなくて、自分自身も頑張っていくということを忘れないでほしい、そういう思いも、教職員には日々伝えているところです。

校歌
校歌

スローガンとしては「3つのきょういく」というものを掲げています。ひとつは「協育」。これは、力を合わせながら子どもをはぐくみ、育てていくということですね。

ふたつめは「共育」で、これは、大人も子どももお互いが接することで、一緒に育っていく、学びを得させてもらっているという姿勢を忘れないでほしい、ということで、教職員はもちろん、保護者の方々にもお伝えをしています。子どもだけではなくて、大人も、保護者も教員も、みな、ともに育つというところですね。

最後は、「今日行く」ということで、子どもたちに何かがあった時には、今すぐに動く、子どもたちのために、この1日を無駄にしない。そんな思いをもって、3つの「きょういく」を掲げています。これには保護者の方々もとても共感してくださっていて、ありがたい事だと思っております。

農業体験を通じて学びを得る

――特色のある教育活動や行事、地域との関わりなどがありましたら教えてください。

本橋先生 一番はやはり、「くりりん」が特色ある教育かと思います。ここは開校時に地元の方が提供してくださった土地で、一度は、区のほうから、切り離して区の土地にという動きがあったようですが、子どもたちが区へお願いをして、本校の校地としてそのまま残しておくことができました。

「くりりん」の中には田んぼがあり、5年生の子どもたちが、毎年稲作の体験をしています。ほかにも、地域の方が中心になって管理してくださっているビオトープや、各学年の子どもたちが植えている畑もあります。
本校の特別支援学級である「みつば学級」の子どもたちが週に1回 、畑全体の草抜きをしてくれています。

「くりりん」の農地
「くりりん」の農地

2023(令和5)年から、土曜日の学校公開の時に保護者の方々にお声をかけまして、子どもたちと一緒にここの草抜きをしたりしてもらっています。皆さん、いきいきと、子どもたちと関わりながら楽しんでくださっていて、そういう意味でも「宝の土地」だなと思っています。学校のためにと提供をしてくださった地域の方々に心から感謝しています。

教科という部分では、本校は英語教育に力を入れている学校です。長年本校の英語教育に携わってくださる地域の方がいて、ALTの講師の方などは都度変わりますが、プログラムを構成してくださる方は何十年も関わって、本校が目指す英語教育というものを大事にしてくださっています。

それと、今もうひとつ形になってきているのが、今年で7年目になるプログラミングの学習ですね。これも卒業生の親御さんが関わってくださっていて、東京都が始める前から、本校ではプログラミングの学習を総合的な学習の時間のなかでやらせていただいています。

学校の魅力を語る本橋校長先生
学校の魅力を語る本橋校長先生

上北ならではの地域交流

――子どもたちが地域に出ていく地域交流や、学習機会などはありますか?

本橋先生 上石神井エリアならではの取り組みということでは、9月初旬に石神井公園で「地区祭」というお祭りがありまして、こちらには、この近隣の学校も一緒になって参加をしています。いろんな学校がそれぞれ売店を出したり、そこに子どもたちも参加するという形で関わっています。この時には本校で活動しているブラスバンド部の子どもたちも、演奏を披露しています。

また、4年生の福祉体験では、区内の大泉にある福祉施設の方に来ていただいて、体験や交流を行っています。年に2回程度でしょうか、車椅子やブラインド体験だったり、ということを行っています。

あとは農業の体験です。この地域は本当に有難い地域で、小学校から歩いて行ける場所に大きな農園があり、地主の方も快く引き受けてくださっていて、練馬大根の収穫体験などをさせていただいております。つい先日も、3年生が種を植えてきました。もちろん収穫も体験させていただいて、それを使って、校内でたくあん作りもしています。

――小中一環の取り組みについて教えてくだい。

本橋先生 本校は「石神井中学校」と「石神井小学校」と3校で、さまざまな小中一貫の活動・教育を行っておりますが、中でも独自のものといえば、やはりこれも「くりりん」を介したもので、中学校の生徒さんたちがボランティアで草抜きをしに来てくれたり、という交流をしています。卒業生じゃない生徒さんも来てくれて、すごく積極的に活動してくださっています。

こういった経験が、大人になった時に、「地域を愛する」という心につながればと考えまして、今年度からスタートさせていただきました。

環境配慮、ICT等、新校舎の知ってほしいポイント

――校舎について、自慢のポイントを教えてください。

本橋先生 見た目の一番の特徴はやはり、レンガの模様を配している点かと思いますが、ほかにも、屋上と2階の屋根部分に緑地帯を設けていたり、太陽光発電をして校内で使う電気に還元していたり、それから、各階で本校に関わりのあるお花をテーマにして、テーマカラーとして作っていただいていまして、これがすごく柔らかな感じで、保護者の皆様からも好評をいただいています。

SDGsを意識した取り組み例
SDGsを意識した取り組み例

――どんなテーマカラーなのでしょうか?

本橋先生 旧校舎の脇に大変立派な藤棚がありましたので、1階はその「藤色」がテーマカラーになっています。またこのコーナーは旧校舎の前にあった、大きな大きな、地元の方が植えてくださった「ケヤキの木」がテーマです。このケヤキの木はたいへん立派に育っていたんですが、建て替えのためにはその木を切らねばならないということで、地元の方から要望をいただいて、玄関の脇に、皆さんが休憩できるようなコーナーを作りまして、そちらにケヤキで作ったベンチを置きました。

「藤色」がテーマカラーの1階フロア
「藤色」がテーマカラーの1階フロア

旧校舎のけやきでつくられたベンチ
旧校舎のけやきでつくられたベンチ

――新しい校舎になって、先進的な設備などは入りましたか?

本橋先生 仮校舎がICT環境などもかなり先進的でしたので、この新校舎になって、特段新しいとか先進的とか、そういった部分は少ないと思うのですが、今回この新校舎になったことで、「ねりっ子クラブ」が同じ校舎内に入って安心・安全に利用できるようになったという点は大きいですね。

※「ねりっ子クラブ」:小学校の施設を活用して、「学校応援団ひろば事業」と「学童クラブ」のそれぞれの機能や特色を維持しながら、事業運営を一体的に行うもの。

天井も高くて、前よりも明るい雰囲気になりましたから、子どもたちは「ホテルみたいだね」なんて言って喜んでいますし、新しくなったことで、「このきれいなままにしようね」という気持ちが生まれて、そこから「ものを大切にする心」が育まれていけばいいな、と思っています。

地域の方々も利用できるプールに日除けを設置

――今後もまだ工事は続くのでしょうか?

本橋先生 校舎は完成していますので、あと残っているのは、プールの工事と、仮校舎の撤去になります。

プールに関しては、本校では地域に対して「開放プール」を行っていまして、夏の短い期間だけ、普通の市民プールに行くような感覚で利用していただいていました。

プールサイドに屋根を付け、子どもたちが暑さ除けをしながら、安全にプールに入ることができるなど、今回の建て替えで開放プールとしての利便性も良くなると思います。使えるのは来年からの予定です。仮校舎をこれから撤去しますので、その撤去が終わったあとに、プールの工事に入っていく予定です。

「上石神井北小学校」完成イメージ図
「上石神井北小学校」完成イメージ図

子育て・教育環境が充実した上石神井エリア

――上石神井の街について、子育てをする環境としての魅力を教えてください。

本橋先生 上石神井は商店街がすごく発達していますので、まず、お買い物はすごくしやすいだろうなと思います。この学校の辺りからはバスでも行けますし、歩いても行ける距離にありますね。

子育てや教育という視点から考えますと、実は上石神井の駅からすぐのところに、「学校教育支援センター」というものがありまして、ここではなかなか学校に来られないお子さんをお迎えしているんですね。これは区内にも4か所にしかないものなので、有り難い存在だなと思っております。

学校がそんな言い方をすると、「え?」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、集団になかなか馴染めないお子さんが、この支援センターで馴染むことに慣れ、学校に帰ってくるというような姿も実際に見られていますので、そういう意味で、学校にとっては大変有難い存在であって、連携して取り組むようにしています。

開放感のあるグラウンド
開放感のあるグラウンド

また、上石神井は保育園・幼稚園もたいへん数が多く、充実している地域かなと思います。働いている親御さんも、かなり暮らしやすい地域だと思いますね。

――最後に、これから上石神井に住みたい親御さん、お子さんにメッセージをお願いします。

本橋先生 上北の子どもたちは、やさしい子どもたちが多いですね。そして私も毎朝、挨拶に出ているんですけれども、「おはようございます」と元気に言える子どもたちが本当に多いです。ぜひ、この「上石神井北小学校」でやさしい心をはぐくみ、地域を愛するという感情を養って、社会に羽ばたいていってほしいなと思っております。

保護者の皆様についても、そういう学校の気持ちを汲んでくださっている方が多い地域ですので、地域を愛せる、愛したい、そんな気風を持っていただけるように、学校も努力していきたいと思っておりますので、縁があれば、「上石神井北小学校」にご入学いただければと思っております。

上北の校歌は谷川俊太郎先生が作ってくださった校歌で、子どもたちもとても愛している校歌です。この学校から、世界を愛するこどもたちが羽ばたいてほしい、という願いがこもった校歌ですので、ぜひ機会があれば、聞いてみていただけると嬉しいです。

校長 本橋教子先生
校長 本橋教子先生

練馬区立上石神井北小学校

校長 本橋 教子先生
所在地:東京都練馬区石神井台5-1-32
電話番号:03-3920-1011
URL:https://www.nerima-tky.ed.jp/kamishakujii-n-e/
※この情報は2023(令和5)年9月時点のものです。

明るい雰囲気の新校舎になり、地域から提供された農地でともに生きる心をはぐくむ/上石神井北小学校(東京都)
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電話番号:03-3920-1011(職員室)
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