吉田パン 亀有本店
“コッペパン”と聞いて多くの人が思い出すのは、給食で出された“コッペパン”。今回取材をして初めて知ったのだが、岩手県ではコッペパンはコッペパンでも、“「福田パン」のコッペパン”を指す場合が多いのだそう。県外の者でこそあまり馴染みのない名前かもしれないが、地元ではその名を知らない者はいないほど名の知れた「福田パン」のコッペパンこそが、今回で取り上げる「吉田パン」のルーツなのだ。
現在亀有に本店を構える「吉田パン」は、岩手県にある「福田パン」のコッペパンに魅せられ、自分たちでもその味を再現したいと思った吉田夫妻が2013(平成25)年にオープンさせたコッペパン専門店。“師匠”である「福田パン」とは商品ラインナップに若干の違いはあるものの、味に関しては本家とほとんど変わらない。岩手県で広く愛されたコッペパンは、東京でもすぐに多くの人に受け入れられた。
今や、亀有エリアの有名グルメスポット、観光資源と言っても大げさではない「吉田パン」。様々なメディアで紹介され、最近では海外から訪ねてくる観光客も多いという。開店前から列が絶えず、閉店時間を迎えるまでに商品が完売してしまうことも度々。同店のコッペパンを求め、入れ替わり立ち替わり人がやってくる。
店内に用意されたメニュー表を見ると、その選択肢の多さに驚かされる。ジャム、ジャムマーガリン、マーマレード、チョコレート、黒豆きなこ、カスタードクリーム、はちみつマーガリン、たまご、やきそば、スパゲティナポリタン、コンビーフ、コロッケ、ハムカツ…。これだけ挙げても一部でしかない。どれも一押しだが、一番人気があるのはあんマーガリンとのこと。
大変シンプルな見た目だが、そこに込められている想いは強い。「福田パン」から継承したコッペパンにするため、その日の温度や湿度を踏まえた上で、発酵時間や水分量を毎度微調整。そのこだわりから、過去には、納得したものに仕上がらず、全てを廃棄したこともあるそうだ。
コッペパンはそのまま食べてももちろん美味しいが、トースターで焼いてからいただくと、また別の食感を楽しむことができる。
商品は素朴な味わいのため、毎日食べても飽きがくることはない点がうれしい。「吉田パン」の持つ親近感に魅かれ、何度も店を訪ね、自分なりの味わい方を見つけてぜひ常連客になりたい。
※本文はは2019(令和元)年11月の取材に基づいて執筆されたものです。亀有5-40-1で営業していた「吉田パン 亀有本店」は2020(令和2)年1月20日(月)に閉店し、2020(令和2)年4月1日(水)に「亀有」駅南口(亀有3-27-4)で新たにオープンしております。
吉田パン 亀有本店
所在地:東京都葛飾区亀有3-27-4
電話番号:03-5613-1180
営業時間:8:00~17:00 ※売り切れ次第閉店
定休日:不定休
https://www.yoshidapan.jp/