中央区日本橋横山町は中央区の北側、JR総武線「馬喰町」駅、都営新宿線「馬喰横山」駅、都営浅草線「東日本橋」駅の間に位置する。ショッピングタウンとしてにぎわう日本橋や日本有数のオフィス街大手町に隣接した好立地にありながら、エリア周辺は問屋街や昔ながらの商店街が広がるエリアだ。大通りから少し離れれば閑静な住宅地となり、住まいの場としても注目されている。

日本の道路の起点、日本橋

エリアの南西にある日本橋は、江戸時代に五街道が整備された際に起点とされ、江戸の中心としてにぎわうようになった。当時の活況は浮世絵に描かれるほどだったという。

明治維新後も日本橋には「東京市道路元標」が置かれ、多くの国道の起点とされた。現在も国道1号や国道4号など7本の国道が日本橋を起点としており、日本の道路網の拠点ともいえる場所になっている。多くの人々が集まるようになった日本橋周辺には店が集まり、江戸有数の商業の街として発展を遂げた。

繊維の街として発展した日本橋横山町

一方、日本橋横山町周辺では明暦の大火後に町家が建ち並ぶようになったという。街道筋だったこともあり、小間物や薬種、書物などの問屋が集まり、交易の街として栄えた。

明治時代以降になると、日本橋横山町周辺には当時の日本の基幹産業の一つであった繊維関係の会社の事務所や問屋が集まり、活況を呈するようになる。今もこのエリアに広がる「横山町・馬喰町問屋街」は日本有数のファッション問屋街として知られ、一部の問屋では一般への販売も行っている。

アートとファッションが融合した流行の発信地へ

高度経済成長期を過ぎると産業構造の変化により、「横山町・馬喰町問屋街」やその周辺でも繊維関係の会社の事務所や問屋が次第に空きテナントとなってきた。その後、ファッション問屋街が近く創作用の素材を手に入れやすい立地に注目したアーティストがこれらの空きテナントをリノベーションし、アトリエやギャラリーとして利用されるようになる。

おしゃれな雑貨のショップやギャラリーなどが入っている「アガタ竹澤ビル」や「パレットビル」などアートとファッションが融合したスポットが続々と誕生。アートに関連するイベントも行われるようになり、エリア西側の御徒町や蔵前、浅草橋などと合わせて「カチクラ」と呼ばれ、感度の高い人々に注目される街へと生まれ変わっている。

暮らしの中でおしゃれなものづくりの現場を体感できる街、中央区日本橋横山町。この街では他の街では味わえない豊かな体験が心地よい。