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大田区立入新井第二小学校 校長  菅原 清 先生

大田区立入新井第二小学校 校長  菅原 清 先生

遊びを通して子どもたちにかかわる力を育てたい

徳川家康が制定した東海道以前の東海道と呼ばれる「いにしえの東海道」、大正末~昭和初期にかけて文人や芸術家が多く住んでいたという「馬込文士村」、そんな歴史と文化に囲まれた山王地区の大田区立入新井第二小学校は、全16クラス全校生徒519名という中規模の学校。平成24年度から校長に就任した菅原清先生に、学校の特色や取り組みについてお聞きした。

まず、入新井第二小学校の特徴を教えてください。

入新井第二小学校

本校に隣接している「大田文化の森」は文化創造の拠点として平成10(1988)年に建設されたものですが、それまでは大田区役所があり、まさに大田区の中心としての役割を担っていた場所でした。区役所の隣にある小学校として、また中央という地名を背負う学校として背筋の伸びた意識の高い小学校です。 この周辺地区は、住環境のよさから定住率が非常に高く、2代・3代と代々この地に住み、昔から入二(いりに)小を知る人や卒業生が多いのも特徴です。良い意味で古き良き時代の記憶が生きている土地柄でもあります。また、教育熱心な土地柄で開校当時の頃をよく知る方のお話では、東京でも屈指の進学率を誇っていたそうです。

校章のデザインは日本画家・川端龍子氏によるものだとお聞きしました。

大田区立入新井第二小学校

明治42(1909)年、24歳の時に入新井新井宿に移り住んだ川端龍子氏は、大正~昭和にかけて型破りな画風で人気を博した日本画家です。本校の桜の花びらの中に「入新井2」という文字がデザインされた校章は、川端氏が本校のために考案してくれたもので、伸びやかで明るいイメージが校風にピッタリだと思っています。
また、来年のNHKの連続テレビ小説の主人公モデルである『赤毛のアン』の翻訳者・童話作家としても有名な村岡花子さんは、本校の初代母の会会長として昭和17(1942)年から3年間、尽力してくださいました。 川端氏自身の設計による「龍子記念館」は中央4丁目に、村岡さんのご自宅の一部を開放した「赤毛のアン記念館・村岡花子文庫」は中央3丁目に、それぞれ本校の近隣にあり縁の深さを感じます。

「馬込文士村」「いにしえの東海道」「義民六人衆」など、歴史に所縁のある場所が周辺に多いようですね。

入新井第二小学校

尾崎士郎・宇野千代・北原白秋・川端康成・三好達治・萩原朔太郎・山本有三・室生犀星などなど…当時の文壇を代表するそうそうたる顔ぶれが移り住んだ「馬込文士村」、古代から中世(鎌倉・室町時代)にかけて賑わい、将軍が通る “御成道”としても利用された「いにしえの東海道」、江戸時代、厳しい年貢の取り立てに、村人を代表して4代将軍家綱に直訴しようとして捕らえられた「新井宿義民六人衆」。

文化や歴史を持つ土地に建つ学校は多いと思いますが、自分たちの街に誇りを持てることは素晴らしいことです。こういった話は折に触れて子どもたちに伝えています。今は理解できなくても、歴史的・文化的風土のなかで育ったことが、将来の子どもたちの糧になるはずだと考えています。

御校が力を入れている取り組みについて教えてください。

大田区立入新井第二小学校

私自身が思っているのは、学校が子どもたちにとって楽しい場所であってほしいということ。ですから、少しでも子どもたちの遊ぶ時間を増やしたいと、登校したら教室に行かなくてもそのままランドセルを校庭に置いて、すぐに遊べるようにしました。特に水曜日は8時~8時35分までの最長35分間、友だちや先生とじっくり関わって遊ぶ「ふれあいタイム」を設けています。この時間は先生方も校庭に出て子どもと一緒に遊びます。また、先生の周囲に子どもたちが集まっている姿も見かけます。お互い普段はできないような話をして、それぞれの時間を有意義に過ごしているようです。 たった1週間に一度の機会ですが、前日の朝遊びでは一人でいた子が、このふれあいタイムではクラスの友だちと一緒に遊んでいたり、先生が子どもたちの様子をしっかり把握する機会となったり、双方にとって大切な役割を持つ時間になっています。
また昼休みを30分間確保し、子どもたちが午前と午後の授業の切り替えをできるようにもしています。もちろん、遊ぶ時間やかかわりをもつ時間としても有効ですが、新しい指導要綱が導入され、低学年でも6時間授業の日ができました。しっかり頭を休められるメリハリをつけた時間割にすることで、授業で教わったことが身につき、効率がアップすると考えています。 「遊び」は大人が考える以上に子どもには重要です。クラスメイトや学年をまたいだ友だちと話し・遊び・コミュニケーションを取る時間を、なるべく多く子どもに持たせたいと思っています。

給食にキャラ弁を取り入れたユニークな活動も新鮮ですね。

大田区立入新井第二小学校

「子どもたち全員にキャラ弁を食べさせたい、キャラ弁の給食ができたら楽しいかな」と考えたことが始まりですね。給食委員の子どもたちがキャラクターを考え、栄養士さんと調理員さんが一緒に企画からメニュー決めをして、給食室で一つ一つお弁当箱に詰めました。給食室のスタッフは海苔を小さく切ったり、顔の形に貼ったり、実に大変だったようですが…(笑)。「きゅうしょくま」「ぶーしょくくん」「出前君」という子どもが考えたキャラクターがお弁当の中に登場して、出前君がお弁当を運んでくれるという設定でした。各学年ごとにキャラ弁給食の日を設け、食べる場所も晴れた日は屋上や校庭、雨の日は体育館。いつもと違う給食を、いつもと違う場所で摂るだけで、子どもたちは本当に楽しそうでしたね。
実はこのキャラ弁給食の日には、お休みの子がほとんどいないという嬉しい出来事もありました。給食室にも知らせて喜びを分けあいました。大人が難しい顔で説得するよりも、「なんか楽しそうだな」「学校で面白いことをやってるな」と思うことで、学校に行こうと一歩を踏み出せる子どもがいるということです。子どもたちが「学校が楽しい」「学校に行きたい」と思えるような工夫があれば、これからも取り組んでいきたいと考えています。

地域と学校の関わりについても教えてください。

大田区立入新井第二小学校

大田区では地域の力を学校に生かすことを目的に、学校支援地域本部の設置を進めています。本校では平成25(2013)年3月から設置しました。元PTA会長や元役員の方々を中心にで構成されているので、学校のこともよく理解して下さり、地域の方との橋渡しもできるという理想的なメンバーです。 「わくわくスクール」という子どもが参加できる講座の先生を地域で探したのですが、様々な活動をされている方が多くいらして、箱を開けたらまさに人材の宝庫でした。
例えば「大道仮説実験もくもく」「雪を降らそう」「一文字アート」「建築家になろう」「楽器をつくろう」など、全て近隣の方々の得意分野を生かした講座です。定員オーバーになる教室も多くて、来年はもっと講座数を増やさなければ、という反省が出るほどの人気でした。 学校支援地域本部のお陰で、今まで知り得なかった地域の方々の底力を知りました。これからも沢山の方々に学校に関わっていただき、学校・家庭・地域の力を結集して子どもたちを育てていきたいと考えています。

入新井第二小学校

今回、話を聞いた人

大田区立入新井第二小学校
校長 菅原 清 先生

所在地:東京都大田区中央2-15-1
電話番号:03-3773-3978
http://homepage3.nifty.com/iriarai2-e/

大田区立入新井第二小学校 校長  菅原 清 先生
所在地:東京都大田区中央2-15-1 
電話番号:03-3773-3978
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