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子どもたちが自ら考え 自立・実践していく姿勢を育む取り組み/練馬区立光和小学校植村茂樹 校長先生

西武池袋線「石神井公園」駅から北へ徒歩約5分の場所にある「練馬区立光和小学校」。池上彰さん、假屋崎省吾さん、檀ふみさんなど、著名人が通った小学校としても区内では有名だ。1955(昭和30)年に設立された。2002(平成14)年には文部科学省エコスクールパイロットモデル事業・認定校に指定され、2004(平成16)年には新校舎が完成。「知・徳・体の調和のとれた子」の育成を目指し、「進んで学ぶ子」「心ゆたかな子」「たくましい子」を教育目標に掲げている。そんな同校の特色や取り組みについて、植村校長先生に語っていただいた。

練馬区立光和小学校
植村茂樹 校長先生

子どもたちが自ら考え
自立・実践していく姿勢を育む取り組み

練馬区の小学校の多くは地名ですが、「光和」という地名はありません。まず、学校名の由来からお聞かせ願えますか。

開校当時、学区域が和田、北原の両地域と池淵地域の一部だったことから(現在は石神井町)、校名は地名ではなく、将来にわたって栄誉ある学校であってほしいという願いを込めて「光和」と名付けられました。「光和」という言葉は、学ぶことの大切さと身に付けた英知を人生にどう活かすかを示し、建学の精神を象徴しています。

子どもたちの学力向上については当然力を入れておりますが、当校独自の取り組みとしては、毎朝8時20分から10分間の「朝の時間」が挙げられます。内容は曜日ごとに違いますが、「朝読書」「アップタイム(算数)」「短作文」などを行っています。子どもたちに、書く力、計算力、そして読書する習慣を身につけてほしいと考えているからです。また、社会の中で生きていくための資質・能力(コンピテンシー)を養うため、子どもたちが自らの“気づき”を大切にしています。

具体的にはどういった取り組みを行っているのでしょうか。

当校は文部科学省エコスクールパイロットモデル事業・認定校となっているのですが、それをベースにご説明した方がわかりやすいかもしれませんね。校舎の上の風車や大きなソーラーパネルが見えたかと思うのですが、当校の屋上には、太陽光発電、風力発電装置、太陽熱利用装置が設置されています。現在、風力はやっていませんが、太陽光発電は行っており、できるだけ自然光を利用した設備となっています。トイレの前は自然光が入りやすいように吹き抜けになっていますし、そのトイレの水は雨水を使っています。校庭の下に雨水を溜めるタンクが作られているんです。トイレだけでなく、スプリンクラーの水としても利用しています。

そういった環境の中で、子どもたちは総合学習の時間に「エコスクールって何?」というところからスタートして、屋上に上がって発電装置を実際に見て「これで電力を作ってるんだ」ということを体感したり、「雨水を使うというのはどういうことなのか」と自分たちで考え、さらには「これを自分たちはどう利用していくのかな?」といった方向へ追求していってもらいたいと考えています。主に、4・5年生の社会科や理科、総合学習として、「エコ」について考える時間を設けているのですが、教師が説明することで理解させて気づかせるのではなく、体験を通して子どもたちが自ら気づき、それを実践していく姿勢を養っているのです。学校という身近な環境からエコの意識を身に付けていくと共に、子どもたちの“気づき”と探究心を養っていく総合学習研究となっています。

子どもたちが“自ら学び考える姿勢”を養っている訳ですね。

将来、自立した社会人となれるよう、その土台を築くための取り組みです。その一例として、朝礼も当校独自と言えるでしょうね。全校生徒が集まるのは月に2回、月の初めと終わりだけ。月曜日の朝、後ほどご説明しますが「学年コーナー」で学年ごとの「学年朝会」を行っています。学年ごとの取り組みを強化することで、“学年力”を高めたいと考えているからです。同学年で活動し、それを総合学習にも結びつけるような指導を行っています。もちろん、その際にも子どもたちの“気づき”を促せるようなカリキュラムを教師が検討・実施しています。そのおかげもあってか、6学年、24学級、各学年のまとまりは良いと思います。

「学年コーナー」というのは、各学年150人くらいが一堂に集まることが可能なオープンスペースのことです。当校の特徴としては、校舎の作りが独特なんです。通常、学校というと、各学年1組、2組、3組という順に廊下に横並びとなっているのがほとんどですが、当校は各学年4クラスが「学年コーナー」と呼ばれるオープンフロアを中心に、それを取り囲むような形で教室が配置されているのです。各学年が1つ1つのブロック状になっていて、そのブロックが廊下で仕切られる形になっています。

「学年コーナー」を中心にした正方形の四隅に、各教室が配置されている形のようにも見えますね。

基本、オープンスペースを特色とした学校となっています。2004(平成16)年に改築した際、オープンスクールを目指してこの形にし、最初は、ワンフロアで授業を行っていたのですが、授業内容もさまざまで音が筒抜けになってしまうこともあって、生徒が集中できる環境をと考え、学年ごとに可動式の壁で区切ることにしました。ボックス形状の校舎を活かし、学年でのまとまりや活動を通して各クラスの特色を出していこうというのが私共の考えです。

現在も、4隅の壁を取り払ったらオープンスペースにすることは可能です。その他、学校の施設としては、校舎の北側に多目的教室をはじめ、図書室、パソコン室、理科室、図工室、2つの音楽室などの特別教室が配置されています。また、2009(平成21)年には放課後居場所作りとして「ぴっかりひろば」をスタートしました。校舎の東側にある「なごみ館」がそれです。

ちょっと気になったのですが、2階は1・2年生と、3年生ではなく6年生なんですね。

はい、2階は1・2・6年生、3階は3から5年生という形になっています。2階が1から3年生でないのは、6年生が学校の主役として1年生の面倒を見る…、そしてそんな6年生のお兄さん・お姉さんの姿を2年生が見て学べるようにと考えた作りです。2年生は1年生が入学した際に学校案内を体験させるといった時間も設けています。3年生から5年生が同じ階なのは、それぞれ学年の自立を促したいという方針によるものです。

また、当校は幼稚園・保育園との連携も強化しており、毎年、10月くらいから、近くの保育園や幼稚園の子どもたちを招いての交流も行っていて、その際に主役となるのが1年生。「小学校はこういうところ」ということを1年生が園児たちに教えてあげるのです。そのやり方を1年生に教えるのが2年生の役割。各学年での活動も大事にしつつ、上下の連携も図っていく仕組みを教師一同つねに模索しています。

幼稚園や保育園のほか、地域への活動・取り組みも何か行われているのですか。

当校のモットーは「地域と共に歩む学校」です。その一例として「のばら活動」があります。当校の校章が「のばら」なんです。「のばら活動」では、以前は学校で育てた植物を地域の人たちに配る活動を行っていました。現在は、学校の花壇を整備することに注力しています。校庭に花を植えることで、学校の自然環境を整え、地域の人たちにも潤いを提供したい。学校がある場所が「石神井公園」駅にも近く、通勤・通学の人の通り道となっていることもあって、そういった方々の心の潤いに少しでも寄与できれば嬉しいですね。

それと、当校には発足して40年以上の歴史を持つ合唱団があり、実力は都内でもハイレベルと言えるでしょう。先日の「NHK学校音楽コンクール」でも東京大会で金賞、さらに関東甲信越大会に進出して銅賞をいただきました。その合唱団が、今年8月の「石神井公園」駅駅前開発事業のセレモニーに参加し、「やあ!」という曲を歌って地域の方たちから大変好評でした。

合唱団は当校の課外活動の一つで、3年生以上の有志で結成されています。現在50名以上在籍しています。毎朝早く登校して練習し、時には土日も練習して、大会に備えているのは、これまでの実績と伝統が子どもたちのプライドにつながっているからでしょう。毎年2月には本校独自の音楽発表会も「練馬文化センター」や「光が丘IMAホール」を貸し切って発表会を行っており、保護者、卒業生、同窓生が訪れる大々的なイベントとなっています。本校一校だけで「練馬文化センター」小ホールが埋まるのは壮観ですよ。ぜひ、一度ご覧になっていただきたいですね。

※記事内容は2015(平成27)年6月時点の情報です。

練馬区立光和小学校
練馬区立光和小学校

今回お話を聞いた人

練馬区立光和小学校
植村茂樹 校長先生

所在地:東京都練馬区石神井町2-16-34 
電話番号:03-3997-3261
http://www.kouwa-e.nerima-tky.ed.jp/

※記事内容は2015(平成27)年6月時点の情報です。

子どもたちが自ら考え 自立・実践していく姿勢を育む取り組み/練馬区立光和小学校植村茂樹 校長先生
所在地:東京都練馬区石神井町2-16-34 
電話番号:03-3997-3261
http://www.kouwa-e.nerima-tky.ed.jp/




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