ベッカライ・ブロートハイム
「桜新町」駅から北に徒歩5分ほど歩くと、ヨーロッパ風の建物が目に入る。この1階に入っているのがドイツパンのお店「Bäckerei Brotheim(ベッカライ・ブロートハイム)」だ。店名はドイツ語でベッカライはベーカリー、ブロートはパン、ハイムは「家」や「ふるさと」という意味。店名の通り、地域に根ざした日常遣いのパン屋さんであると同時に、店頭に並ぶ美味しいパンを求めて、遠くは海外からも、わざわざ訪れる人が絶えない側面も持ち合わせている。
今も毎日店に立ち、真摯な姿勢でパンと向き合っている店長の明石克彦さんは、弦巻で生まれ育った生粋の地元民だ。田園都市線沿線に根付いたパン屋「ハンスローゼン」での修業を経て、家のガレージと父親の書斎を崩して作った小さなお店からスタートした。明石さんがお店を構えた1987(昭和62)年頃は、ライ麦を主体としたドイツパンの店はほとんど無かったのと、ドイツパンが持つ味わい深いものに魅せられたのが、ドイツパンを店のメインにした理由だそう。
パン職人として、美味しいパンを作るために“当たり前のこと”を30年以上続けてきた明石さん。中でも「発酵」を大切に、パンは「作る」ものではなくて「育てる」ものだとして向き合っているという。ドイツパンは、ライ麦から作る自然種「サワードウ」(サワー種)を使う、伝統的な手法で作り上げている。
「ヨーロッパにあるパンのある食文化を広げたい」という思いから、商品の説明をきちんと行えるよう、対面販売のスタイルをとっている。どれにしようかや食べ方に悩んだりしたら、気軽に店員さんに尋ねてみよう。ショウケースに並ぶのは、ライ麦比率が70%以上のドイツらしいパン「ベルリーナ・ラント・ブロート」などドイツパンは常時12~13種類ほど。また、フランスのロデヴ地方に伝わる伝統的なパン「パン・ド・ロデヴ」など珍しいパンも並ぶ。いつ訪れてもオーソドックスなものは全部揃っているように心掛けていて、「ぜひ出来たてを一度味わってほしい」と明石さんは話す。
2005(平成17)年に店舗をリニューアルした際に、カフェ「ゼーバッハ」を新設した。「パン屋は本来、パンを食べる提案をちゃんとして、ようやく完成だと思っている」と明石さん。買ったものを食べられる場所を作り、パンのプロである明石さんたち職人から「こういう食べ方はどうでしょう」という提案までしたかったのだそう。「ゼーバッハ」のメニューを参考に、家庭の食卓にドイツパンを取り入れてみてはいかがだろうか。
ベッカライ・ブロートハイム
所在地:東京都世田谷区弦巻4-1-17
電話番号:03-3439-9983
営業時間:7:30~19:30
定休日:月曜日、第1火曜日
https://www.instagram.com/brotheim1987/