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いせ源

千代田区神田須田町。靖国通り、外濠通り、神田川に囲まれたこの三角地帯は、かつては「神田連雀町」と呼ばた地域であり、戦災を免れた古い建物が今もよく残っている。その中には「神田藪蕎麦」「神田まつや」をはじめ、日本を代表する老舗料理店も点在しているが、そのひとつが日本で唯一の“あんこう料理”の専門店「いせ源」だ。

古くも美しい「いせ源」の建物があるのは、その三角のちょうど真ん中あたり。大通りからは少し引っ込んでいるが、思わず目を引く佇まいなので、建物に見覚えがあるという人も多いだろう。一般的に「あんこう鍋」と言えば冬のイメージだが、この店では夏でも冬でも、訪れるお客さんのほとんどが「あんこう鍋」を食べる。こんな店は日本で「いせ源」だけだ。

老舗の風格をたたえる建物
老舗の風格をたたえる建物
歴史を刻んだ看板
歴史を刻んだ看板
とっておきのあんこう鍋
とっておきのあんこう鍋

1930(昭和5)年築という長い歴史を持っているが、店の歴史はさらに昔に遡ることができる。1830(天保元)年、京橋で「どじょう料理店」として発祥した「いせ庄」という店が「いせ源」の始まりだという。その後、2代目店主の時代に現在地に移転し、「いせ源」となり、4代目であんこう料理の専門店へと衣替えを経て、今も続く「あんこう鍋」の製法を編み出した。そして今や7代目となった当主が“秘伝の味”を受け継いでいる。

履物番に札をもらってから中へ
履物番に札をもらってから中へ
店頭には本物のあんこうが
店頭には本物のあんこうが
下駄箱の札
下駄箱の札

時代を経ても変わらないこの店で、ただ1つ変わっているのはあんこうの品質と鮮度。7代目の立川博之さんによると、市場に集まる日本中のあんこうの中から、肝が全身の10%以上を占めていて、特に脂が乗ったものを仕入れているという。また、独特の臭みを出さないように丁寧に下処理することが美味しさの秘密だという。さらに近年は、あんこうが揚がる漁港と直接取引を行う割合を増やし、漁法や活け締め、輸送法まで、鮮度と味に関わるあらゆる点を追及し続けている。

しっとりとした「きも刺し」
しっとりとした「きも刺し」
ぐつぐつ煮立つ光景が食欲をそそる
ぐつぐつ煮立つ光景が食欲をそそる
広々とした座敷
広々とした座敷

「あんこうは見た目とは裏腹にとっても繊細な魚。少し打撲を負っただけでも、すぐに弱ってしまうくらいなんです。味もとても繊細なので、それを生かすように醤油味の鍋にしていて、野菜選びにも気をつけています。あんこうは身も皮も、内臓も、ひれも、卵巣も、ほとんどの部位が食べられる魚なので、ぜひ弊店のあんこう鍋を召し上がって頂ければと思います。」と立川さんは話す。

あんこうの「唐揚げ」
あんこうの「唐揚げ」
壁に掛けられた絵は寄贈品も多い
壁に掛けられた絵は寄贈品も多い
食材の旨味を引き立てる醤油ベースの鍋
食材の旨味を引き立てる醤油ベースの鍋

昼でも夜でも1人前3,500円。お酒を加えても5,000円あれば十分に楽しめる。高級魚として知られるあんこうをこれだけ安く食べられる店はそうないだろう。しかも、この店のあんこうは超一級品。鍋以外に「きも刺し」「あん刺し」「唐揚げ」なども定番の品というが、特に「きも刺し」などは、鮮度が抜群に良いからこそ提供できているものだ。くせのないとろりとしたその味わいは、一度食べたら忘れられない記憶となる。

のれん
のれん
椅子席もある
椅子席もある

温かい店内でふうふうと鍋を頬張り、瓶ビールで酌を交わし、汗ばんだ顔で笑い合う。そして最後には下駄箱の札を履物番に渡して、履物を出してもらう。建物ともに、味も風情も変えずに遺しているのが「いせ源」の素晴らしい魅力だろう。

ここでしか味わえない味と風情を楽しめる「いせ源」。あんこうの繊細な旨味を讃えた極上の「あんこう鍋」は、並んで食べるだけの甲斐がある逸品だ。予約がなくても列に並べば必ず食べられるので、「今日は自分にご褒美を」と思った日には、この店の列に並んでみてはいかがだろうか。

いせ源
所在地:東京都千代田区神田須田町1-11-1  
電話番号:03-3251-1229
営業時間:11:30~14:00(L.O.13:30)、17:00~22:00(L.O.21:00) ※土・日曜日・祝日は通し営業
定休日:無休(4~10月は土・日曜日・祝日が定休、年末年始を除く)
https://www.isegen.com/




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