江東区立有明西学園
2018(平成30)年4月、江東区初の義務教育学校「江東区立有明西学園」が開校した。大規模マンション等の建設により人口の増加が著しい有明地区に設置された学校で、学校教育法の改正に伴い平成28年4月1日に制度化された義務教育学校として運営される。
江東区ではすでに近接した小学校、中学校の“連携”のもと小中連携教育が行われており、平成23年4月に新設された「江東区立有明小学校・中学校」も、“施設一体型”の小中連携校として、いわゆる“中1ギャップ”の解消に一定の成果を導き出している。
区内で初めて設置される“小中一貫教育”を行う義務教育学校とは、小学校1年生から中学校3年生までの9年間を見通した教育を前提としており、法律で定められた義務教育学校として設置されるのは、23区内でも品川区に次ぐ2例目として位置づけられている。
義務教育学校の特徴としては、小学校、中学校と言う枠組みそのものが取り払われ、学校運営にあたる校長は1名、組織も一本化されるのが最大の違いだ。小中連携教育を推進するうえでも、小学校と中学校の物理的な距離や、全科を教える小学校の教員の文化と、専科を基本とした中学校の教員の文化との間には障壁も多く、ひとつ屋根の下で垣根無く日常的に交流できる環境はおたがいの理解を促す理想的な環境と言えるだろう。
場所は、「有明テニスの森」駅より徒歩およそ5分の距離。2020年の東京オリンピック・パラリンピックが開催される競技会場とも隣接し、約20,000平方メートルの敷地面積を生かして設計され、“江東区らしい学校施設”に相応しいさまざまな工夫が盛り込まれている。
江東区には、江戸時代初期にはじまる「材木のまち」として発展した“木場”と言う地場産業があり、公共建築物等における木材利用を推進しているが、「江東区立有明西学園」では、木質化に加え木構造化という新しいチャレンジが行われた。
鉄筋コンクリート造の5階建てを基本的な構造とする同校には、子どもたちが普段生活をする2・3・4階の普通教室の主な部分に耐火性能に優れた本物の木(耐火集成木材)の柱と梁を用いるのをはじめ、内装の木質化にも取り組み、江東区が掲げる公共建築物における木材利用量の目標、平米あたり0.008立方メートルをはるかに超える平米あたり約0.05立方メートルの木が用いられている。
鉄・コンクリート・ガラスに囲まれた従来の学校の姿から、木のぬくもりを感じられる学び舎にすることで、子どもたちが安心して穏やかな気持ちで一日を過ごせるハード面も魅力的な学校づくりにつながるだろう。
江東区立有明西学園
所在地:東京都江東区有明1-7-13
電話番号:03-3527-6401(前期課程)、03-3527-6403(後期課程)
http://ariakenishi-gakuen.koto.ed.jp/