月島スペインクラブ
倉庫街となっている月島の隅田川沿いエリア。その地にあってひときわ異質な輝きを放っているのが、佃大橋のたもとに位置するスペイン料理店「月島スペインクラブ」である。
スペイン料理といえば、一般的にはパエリアぐらいしか知られていない頃から、ここ「月島スペインクラブ」では本格的なスペイン料理の数々を提供している。このレストランの運営母体となっているのは、スペイン食材の輸入商社。そのため、上質なスペイン食材を大量かつ安価に提供することができ、スペインのバルやレストランそのままの雰囲気を、ここ月島に再現している。
リバーサイドエリアにある建物は、外観だけ見れば倉庫そのもの。しかし、入口にはひときわ重厚な扉が設けられており、この扉を境に、店内には異国のような空間が広がっている。
瀟洒なカウンター席やアンティークの椅子に座るテーブル席、落ち着いた中2階席など、フロアは階段を境に趣向の異なる構成となっている。気軽に訪れる常連客はカウンターに座り、奥まった中2階席には、記念日を祝うカップルや、会話に花を咲かせる女性客が座ることだろう。
驚くべきは、これらがワインや食材とともにスペインより運び入れた“本物のスペインアンティーク”ということだ。「本物」だからこそ何度訪れても飽きることがなく、好みの席を陣取る愉悦も味わえる。インテリアや美術品に対する過剰なまでのこだわりも、この店ならではの“心憎い演出”と言えるだろう。
それでは、料理を幾つか紹介しよう。
一番のお勧めはイベリコ豚の料理。「イベリコ豚のセクレトシンプルグリル」(2,200円)は、一頭から少ししか取れない希少な部位「セクレト」を使用している。「セクレト」は美味しいお肉なので他人には内緒にしておきたい秘密(シークレット)のスペイン語の意である。脂身が口の中でトロけるように広がり、一口食べれば頷ける美味しさ。ワインにとてもよく合う。イベリコ豚をシンプルに仕上げたのもので、その深い風味と繊細な味を岩塩で楽しんで欲しいと言う。
陶板焼き料理も各種あり、マッシュルームと生ハム、エスカルゴとスペインきのこなどの組み合わせがあり、様々。写真のものは「殻つき海老とアスパラガスの陶板焼き」で、熱々にしたオリーブオイルにガーリックをきかせている。パンをつけて食べると絶品。ボリュームもあるので、仲間でワイワイと食べたい。
スペイン料理の代表格「パエリア」は、40~50人前、直径70cmという巨大な鉄鍋で一挙に大量に炊き上げられる。炊き上がると、それを知らせるために、スタッフがテーブルの間を掛け巡るパフォーマンスも見所。もちろんお客さんは大盛り上がりだ。
また、スペイン料理では珍しいランチビュッフェ「la feria(ラ・フェリア)」を毎週末に開催しているのも特徴である。スペイン語でお祭りを意味するこのビュッフェは、より多くの人にスペイン料理の奥深さと楽しさを知ってほしいという思いが込められている。「ハモンセラーノ(スペイン産の生ハム)」や「イベリコ豚のスペアリブ」「本日の特製大鍋パエリア」など、多数のメニューを披露しており、家族連れやお祝いの席、ママ友ランチ会や同窓会など、利用シーンは多彩だ。
昨今、日本では個室の店が増えているが、この風習はスペイン人から見ればナンセンスなこと。皆で同じ空間を楽しみ、同じ料理を楽しみ、とにかく食事を「人生最大の楽しみ」として過ごす。これがラテンの文化である。そんな思想がこのレストランには生きているのだ。
毎週、月曜日の夜にはフラメンコのプロダンサーを招き、本場さながらのフラメンコステージを開催する。間近で鑑賞できるステージ席がお勧めだ。スパニッシュギターのソロパフォーマンスは19時にスタートするので、少し早めに到着するとゆっくりと楽しむことができる。200坪の館内がライブの熱気で溢れかえる感動空間で、ライブとワインを堪能しよう。
料理、ワイン、雰囲気の良さ。普通のレストランでもこのような要件をクリアした店は数々あるが、月島スペインクラブではここに「客席の一体感」が加わって、スペインの食文化を忠実に再現している。
※本文中のメニュー・価格等は掲載時のものです。
月島スペインクラブ
所在地:東京都中央区月島1-14-7 旭倉庫1F
電話番号:03-3533-5381(代表)、050-5284-1448(予約受付)
営業時間:11:30~15:00、17:00~22:00(月曜日は17:30~、日曜日、祝日は~21:00)※L.O.閉店1時間前
定休日:火曜日、年末年始
https://spainclub-tsukishima.com/