営業は明るい時間帯のみなので、カフェも昼間のみとなるが、最も人気が高いのはランチタイムの「デリランチ」（1,400円、税別）というセット。先ほどのウィンドウから出されるおまかせデリ5品と、主食、さらにドリンクとプチデザートがプラスされる。主食は、天然酵母パン2種と身にスープであったり、天然酵母パン3～4種とごはん1山であったりと、いろいろな組み合わせが選べる。

有精卵使用のキッシュや惣菜が美味しいのはもちろんだが、このパンがまたすごい。一つひとつにはしっかりと小麦の香りが感じられ、なにも付けなくても十分に楽しめるぐらいに“味が濃い”のだ。そこにゴマの風味、クルミの香り、菜種マーガリンのナチュラルな風合いなどがちょっとしたアクセントとを加え、香辛料や甘味料がなくても十分に美味しさを感じられる。近代化で忘れかけていたヒト本来の繊細な味覚を、このパンが呼び覚ましてくれるはずだ。

組み合わされたケーキとプリンも、卵やチーズの持ち味を最小限の砂糖で引き出した繊細な品々だった。特に有精卵と無農薬バニラビーンズの組み合わせというのは、洋菓子専門店でもまず見られない組み合わせだろう。さらに、このコーヒーはエチオピアの野生コーヒーを使用しているのだという。コクや後味の良さは昨今の品種に譲るものの、野性ならではのストレートな香りを楽しめ、良い薬でも飲んだような食後感が味わえる。コーヒーファンであればぜひ試していただきたい一杯だ。

そのほかにも「カフェ丼セット」（1,400円、税別）や「スープセット」（1,400円、税別）、「キッシュプレート」（1,150円、税別）などもある。子どもには「キッズデリプレート」（500円、税別）もお薦めだ。どのメニューを頼んでも、愛情を一杯に注いだメニューを提供してくれることだろう。日曜日はタンタン麺も出すので、こちらもぜひチェックしておきたい。

この店が果たしているのは、地域住民の“お腹を満たす”役割だけではない。本当に良いものを使ったとき、食卓はどのように変えられるのか。家庭における食の重要性と可能性を伝えるのも、この店が果たす大きな役割の一つだ。

玉石混交の現代の食生活。それに慣れきってしまった子どもたちの味覚。この店を訪れて“本当に良い味は、こんな味なんだよ”と教えてあげることは、最高に贅沢な「食育」の時間となるに違いない。

※本文内のメニュー等は変更する場合がありますのでご了承ください。

ベーカリーカフェ ブラッサム
所在地：神奈川県小田原市中曽根67-2 
電話番号：0465-37-2177
営業時間：11:00～15:00
定休日：不定休（基本的に月・火曜日）
https://cafe-blossom.net/