120年以上の歴史に支えられ、落ち着いた環境でのびのびと成長/船橋市立八栄小学校 校長 佐藤眞弘先生
船橋市夏見にある「船橋市立八栄小学校」は1873(明治6)年の開校という、120年以上の歴史をもつ伝統校。現在は約1,000人の児童が通い日々学習に励んでいる。「えがおあふれる八栄小」をスローガンに、子供たちが共に支え合える学校作りに取り組む「船橋市立八栄小学校」について、佐藤 眞弘校長先生に話を伺った。
寺小屋から始まった「八栄小学校」
「八栄小学校」は1873(明治6)年に開校した小学校です。学制の発布が1872(明治5)年、その翌年にできました。学校のすぐ近くに「薬王寺」というお寺があるのですが、当時そのお寺には寺子屋がありました。船橋市で最初に「船橋小学校」が創られ、その寺子屋を「船橋小学校」の分校として開校したのが「八栄小学校」の始まりです。その後、1891(明治24)年11月1日に「夏見尋常小学校」となり、さらに周辺の8つの村が合併し、共に栄えるという意味を込めて「八栄村」という新しい村ができ、「八栄村立八栄尋常小学校」となりました。現在、「八栄」という地名は、この学校と海老川にかかる八栄橋にしか残っていない貴重な名前です。
最も大切な教育目標は「えがおあふれる八栄小」
本校では、「やさしく、賢く、たくましく」「かんがえ深く、夢を追う」「えがおあふれる八栄小」を学校教育目標として掲げています。私自身、この3つの中で「えがおあふれる八栄小」が最も大切なことだと考えています。学校というのは1人ではなく集団での学ぶ場所なので、集団として1人を大切にし一人も全体を大切にする、つまり共に学び合い、支え合う、そんな笑顔があふれる学校にしたいという気持ちを込めています。
それを実現するために目指す学校像と教師像を掲げています。目指す学校像は、1.明るい挨拶と美しい歌声の響く学校、2.笑顔があふれる学校、3.きれいな学校、4.静と動のくっきりとした学校、5.地域と共に歩む学校。目指す教師像は1.愛情を持って子供に接する教師、2.豊かな創造性と人間性に富む教師、3.情熱、柔軟、謙虚、毅然、そしてユーモアあふれる教職員、4.みんなから信頼される教職員。これが実現した暁には目標を達成できると考えています。
大規模校だからこそ触れられる、さまざまな価値観
現在は、児童数958名で、各学年5クラス、全部で30クラスあります。大規模な小学校としても知られていますが、人数が多いということは、多様な子供たちがいて、さまざまな経験や、価値観に触れることができるというメリットがあります。
授業では、子供たちの数だけ多様な考えが出ることについても、とても魅力的な点だと思っています。その他にも、行事では子供たちで役割分担を決め、意見を交わしながら皆が納得する答えを出すといった、人数が多いからこそ学べることも沢山あります。また、職員の数も62人と多く、事務員も4人、養護教論も2人配属しておりますので、一人一人に目が行き届くように、配慮しています。
また、本校は部活動も盛んな小学校です。部活動には器楽部、ミニバスケットボール、ソフトボール、サッカーなどがあります。器楽部は県の代表校として東関東大会で金賞を受賞しました。同じメンバーでマーチングにも取り組んでいますが、2015(平成27)年に、全国大会出場が決まりました。サッカー部は船橋市市民サッカー大会で優勝するほど、市の中で一番強いチームとして有名ですし、ソフト ボールも常に市内上位で活躍しています。バスケットボールもかつて全国大会に出場しているほどの強豪チームです。
日頃の心がけを通じて、心豊かな子供たちに
現在、力を入れようとしているのは、道徳です。なぜ道徳かというと、1点は、道徳を今後どう見直し、学習していくのか注目されているということ。もう1点は、よく知徳体といいますが、本校では徳の部分を一番大事に考えているので、道徳を研究していこうとなりました。
1週間に1度道徳の授業はありますが、すべての活動が道徳と関わっているので、例えば全校朝会を開いた時には、道徳的な企画も計画できますし、総合的な学習で高齢者との交流を企画した時の道徳的な側面などを、全体を通して考えています。ただ、まだ始めたばかりなので、授業をどのように作っていくのか、どんな物を通してどんな心を育てていくのか、授業の進め方を研究しているところです。
また私が日ごろ、子供たちと触れ合う際に大切にしていることがあります。それは挨拶です。また、「はい」という素直な返事。お掃除、整理整頓についても子供たちによく指導をしています。
幸田露伴が娘の文さんに向かって言った「あとみよそわか」という言葉があるのですが、私はこの「あとみよそわか」がとても大切だと考えています。「あとみよ」とは自分の行為をちゃんと見る、確認するんだよという意味、「そわか」は成就を意味する梵語です。つまり一つ一つを丁寧にする。あいさつやお掃除、下駄箱にかかとがちゃんと揃って入っているか、それをとても大事にしています。
地域の方々と共に取り組む
また、本校に通う子供たちはとても素直ないい子だと感じます。(船橋は)都会的な街ですが、すれた印象もないですし、学習も一生懸命努力する子供たちばかりです。そうした子供たちが育つ一因には、地域の人達や環境に恵まれていることがあると思います。
先日、本校のすぐ隣にある「日枝神社」の氏子総代の方とお話した際に、とても感動したことがあったと教えてくださいました。それは、本校の児童が「日枝神社」にお参りをしていたので、氏子総代の方が、「どうしたの?」と尋ねると、「器楽部がおかげさまで全国大会に行けます。今日はそのお礼に来ました」と話したそうです。地域の方々含め、周囲の色々な者に支えられているということを、子供たちながらに感じているんでしょうね。
本校では2015(平成27)年のシルバーウィークに、保護者約70名と子供たち200名が集まり、「校庭お泊り会」を開催しました。震災時には本校が避難所となるので、防災の視点も含めて、校庭に泊まった時にどんなことがあり得るのかシュミレーションし、船橋市から借りてきたテントを校庭に張って、火を起こしてごはんを作りました。これは、本校の「お父さん会」のお父さん達が中心となり、地域の人やOBの方々、市の後援も得ながら実施しました。このような取り組みにおいても、保護者の方々の協力に支えられています。
その他にも、「夏見公民館」が近くにあるので、公民館を利用している高齢者の団体と交流しています。本校の総合的な学習の時間等を活用して、それぞれの学年でテーマを決めて、公民館で活動しているサークルと手を組み、グラウンドゴルフをしたり、舞踊のサークルに参加して踊りを習うなど、地域の方々との交流を通して色々なことを感じて学習しています。
子供たちの見守り体制も整った、子育てにぴったりの街
暮らしやすさでいうと船橋市はとても住みやすいと思います。都会には近いけれども、住む場所は穏やかで、自然も豊かで、治安の良さも安定しています。児童のおじいちゃん、おばあちゃんも本校の卒業生という方が多く、昔から何代もここに住んでいる方が多くいらっしゃる地域ですね。
また、船橋市は小児科もある病院がたくさんありますので、一般的に小児科は少ないと言われる中、子供の健康面では安心な場所だと思いますよ。
今回お話を聞いた人
船橋市立八栄小学校
校長 佐藤 眞弘先生
住所:千葉県船橋市夏見5-27-1
TEL :047-422-8285
http://www.city.funabashi.chiba.jp/gakkou/0001/yasakae-e/
※この情報は2015(平成27)年10月時点のものです。
120年以上の歴史に支えられ、落ち着いた環境でのびのびと成長/船橋市立八栄小学校 校長 佐藤眞弘先生
所在地:千葉県船橋市夏見5-27-1
電話番号:047-422-8285
http://www.city.funabashi.chiba.jp/gakko..