まるでカフェ?新しいモデルハウスの「花と緑のある癒しの生活提案」の魅力に迫る!/社団法人日本インドア・グリーン協会 代表取締役 長島茂夫さん


<おかげさまでこちらの物件は完売いたしました。土地はございますので、注文住宅のご提案は可能です。>

ミサワホームの分譲地「アルビオコート川口の丘」では、植物のプロフェッショナルとコラボレーションをして「花と緑のある癒しの生活提案」をコンセプトとした、カフェのようなおしゃれなモデルハウスを、2017(平成29)年3月に公開予定だ。今回は、ミサワホームの野積亘さんと共に、1級室内園芸装飾技能士の資格をもった長島茂夫さんの元を訪れ、暮らしの中に花や緑を取り入れるメリットや、モデルハウスのこだわりなどを伺った。

長島さん(左)と野積さん(右)

様々な効果が期待できる花と緑のある暮らし

野積さん:近年、植物の花と緑が持つ効用について注目されていますが、どのような効果があるんでしょうか?

1級室内園芸装飾技能士の資格を持つ長島さん

長島さん:1つ目が「空気浄化効果」です。NASAやシドニー工科大学等でも研究例が報告されていますが、室内を緑化することによって、ホルムアルデヒドやアセトアルデヒドなど、シックハウス症候群の原因となる有害物質を除去してくれます。ほかにも様々な有害物質を除去してくれたり、カビ、バクテリアの抑制効果もあるので、小さなお子様がいるご家族も安心して暮らせるのではないでしょうか。

植物による有害物質の除去効果

長島さん:2つ目が「視覚疲労軽減効果」です。仕事や家庭でもパソコンやスマートフォンなど目を酷使する環境が多いと思いますが、作業途中で植物を見ることにより、視覚疲労が軽減緩和されることが、愛媛大学や東京農業大学の研究により証明されています。

長島さん:3つ目が「湿度調整効果」です。植物は根から吸収した水分を蒸散させるので乾いた空気に湿度を与える能力があります。天然の加湿器として乾燥対策にもなり、心と身体に潤いを与えてくれます。

植物があったほうが相対湿度が高くなっている

長島さん:そして4つ目は「ストレス緩和効果」です。こちらも大学の研究などにより、視界に植物を置くことによってストレスが緩和していく効果が確認されています。

野積さん:副交感神経活動を高め、交感神経活動を抑制するリラックス効果が認められているようですね。人間は700万年のあいだ、自然の中で進化してきましたが、産業革命以降自然が少ない都市環境でストレスを抱えて暮らしていますので、花やグリーンなどの自然由来の刺激によって脳も身体もリラックスして、免疫機能の改善も見込めますね。

長島さん:体調を最適な状態にするための調整機能があることも分かっています。血圧の高い人は低くなり、低い人は高くなるほか、高ストレス状態にある人はリラックスし、覚醒状態の低い人は覚醒するようになります。このように室内緑化をすることにより環境の快適化、健康増進、ストレス緩和などの効果が期待できますし、建物全体を明るくして人間関係をスムーズにするとも言われています。植物は自分で動くことができないので、「フィトンチッド」という物質を出して、害虫から身を守っているんでが、この「フィトンチッド」という物質には、シロアリを防ぐ効果や人間がリラックスできる効果もあるんです。

ストレス緩和効果にも役立つ

野積さん:なるほど。花や緑など植物には様々な癒しの効果があるのですね。家事や子育ての場となる住まいに緑を取り入れると良さそうですね。

インテリアの一部として空間形成にも効果を発揮

植物の有無で視覚的な効果も

野積さん:室内に花や緑などの植物があることによって、視覚的な効果も期待できそうですね。

長島さん:新築の部屋は綺麗なのですが生活感が感じられず、どこか硬い雰囲気となってしまいがちです。そこに植物を取り入れると、柱などのラインがボケて見えるので、自然な柔らかさを表現することができるようになります。

野積さん:来年3月に誕生予定の「アルビオコート川口の丘」のモデルハウスでは、植物の専門家の長島さんだけでなく、インテリアデザイナーの方にも計画の段階から入って頂き、緑に合わせて暖かみのあるオーク材の家具にアイアンを合わせて、明るく落ち着き感のあるカフェのような空間を演出する予定です。

長島さん:家を建ててから壁や天井に特別な家具を取り付けるのは難しいのですよね。

壁に設置したグリーンフレームの実例

野積さん:そうですね。後からそういった家具を設置しようとすると、建物の一部をリフォームして補強しなくてはならないのでお金もかかりますし、意外と大変な作業になってしまいます。設計の段階からであれば、家を傷つけることもないのでオススメです。

花鉢を設置すると空間に華やかさがでます

野積さん:また、今回は花の鉢を設置できるスペースも準備しています。花はずっと室内に置いておくと弱ってしまいますので、普段は庭で育て、来客などがあった時に鉢をそのまま持ってきて置いておけるような形になる予定です。

長島さん:緑と合わせて、花を室内に設置することによって華やかになりますし、四季のお花を飾れば季節感も出て、より素敵な空間になると思います。

カフェのようなおしゃれなモデルハウスが3月にオープン予定

まるでカフェを思わせるモデルハウスのイメージ

野積さん:今回お仕事をご一緒させて頂きましたが、普段から長島さんが感じている植物を扱うこの仕事の魅力はどんなところにあると感じていますか?

長島さん:ストレスチェックの義務化を受けて、オフィスなどに植物を導入することが推進されたこともあり、植物に対しての見方が変わってきています。最近は植物の効用によって健康で快適な空間づくりがしたいと思う方が増えてきており、改めて植物のインテリア性が見直されていると思います。
この仕事は体力は使うので大変な時もありますが、必ずみなさんに喜んで頂ける仕事なので、とてもやりがいを感じています。「やっぱり緑があるといいよね」と言って頂けることもあり、本当に良い仕事をさせて頂いてると感じています。

北本グリーンセンターの温室には数百種類にも及ぶ植物が

野積さん:長島さんは人柄も素晴らしいですし、お話をさせて頂く中で、仕事への情熱や知識が本当にすごいといつも思っています。おしゃれなカフェのような新しいモデルハウスで「花と緑のある生活提案」をさせて頂くことになった際、お声がけさせて頂いたものそれが理由です。2017(平成29)年3月の公開に向けて、これからも協力して良いモデルハウスを作っていけたらと思っています。私たちの想いが詰まったモデルハウスを、実際にご覧頂ければ幸いです。

お二人とも、ありがとうございました!

グリーンのある生活を提案

1級室内園芸装飾技能士

代表取締役 長島茂夫さん

社団法人日本インドア・グリーン協会員

都内の園芸系の会社で修行を積みながら、日本インドア・グリーン協会が運営する専門学校に通い猛勉強、1年後に社長就任。平成13年開催の中央職業能力開発協会「第20回技能グランプリ」に埼玉県代表として出場し、園芸装飾部門にて3位入賞。
URL:http://www.kitamotogreen.com/
※この情報は2016(平成28)年12月時点のものです。

まるでカフェ?新しいモデルハウスの「花と緑のある癒しの生活提案」の魅力に迫る!/社団法人日本インドア・グリーン協会 代表取締役 長島茂夫さん
所在地:埼玉県北本市荒井5-86 
電話番号:048-591-3563
http://www.kitamotogreen.com/

「アルビオコート川口の丘」にママの意見を取り入れた建売住宅が誕生予定!その魅力を聞いてきました/マミーズプロジェクト 梅田 毎美さん・大谷内 裕美さん


<おかげさまでこちらの物件は完売いたしました。土地はございますので、注文住宅のご提案は可能です。>

2015(平成27)年に産声を上げた、ミサワホーム「マミーズプロジェクト」。地域のママ向けイベントの企画や、ママ目線の子育て住宅の魅力発信をしています。2017(平成29)年3月には、「アルビオコート川口の丘」に、そんな「マミーズ」のみなさんの意見を取り入れた新しい建売住宅が誕生するそうです。今回は打ち合わせ現場にお邪魔して、その魅力を伺ってきました!

細やかで、温かみのある家づくりを!

新しい建売住宅についての打ち合わせの様子

――「マミーズプロジェクト」について教えてください!

梅田さん: 「マミーズプロジェクト」は、ミサワホームの子育て中の社員が中心となって立ち上げたプロジェクトです。子育てママの出会いや暮らしを「住」を通じて支援したいという目的で活動しています。女性目線・ママ目線を活かした提案をしながら、地域のママさんたちを応援していこうというのがプロジェクトの概要になります。
マミーズプロジェクト:http://www.misawa.co.jp/area/mommys/kanto/index.php

女性目線が多く取り入れられています

――分譲地では色々なイベントを開催しているそうですね

梅田さん:地域で活躍されている方を講師に招き、お菓子づくりやベビーマッサージなど、子育てや暮らしがテーマのイベントを開催しています。小さな子どもがいると外出するのも一苦労。そんなママさんたちに、気兼ねなく来てもらえる場所を目指しています。

実際に行われたイベントの様子

実際に行われたイベントの様子

――女性目線・ママ目線での提案というのはどのようなものでしょうか?

梅田さん:派手さはないけれど、それがあることで生活が便利になったり楽しくなったりするような提案ですね。“ここに棚があったらいいな”や、“この場所に、この高さでコンセントがあったらいいな”といった日常で感じることをヒントにしています。雑然とした雰囲気を出さないために、リビングからキッチンの眺めを考慮するというのも女性目線・ママ目線ならではないでしょうか。そうした考えは、「アルビオコート川口の丘」の新しい建売住宅にも反映させています。

打ち合わせでは実際に使うタイルのサンプルを見ながら検討

大谷内さん:実際に子育てをしてみて、気づいたことがたくさんありました。思っていた以上に子どもの洋服や玩具であふれかえることや、大切なことを書き留める小さな掲示板があれば便利ということもそうですね。間取りに手を加えるというのではなく、ちょっとしたプラスアルファで効果的になる提案を心がけています。いつでも友だちを呼べる家、呼んで自慢していただけるような家づくりを目指しています。

――具体的にはどんなところに反映されていますか?

梅田さん:たとえば、いざお風呂に入ろうという時に、子どもは“トイレに行きたい”と言い出すことが多いんです。そこで、2017(平成29)年3月に完成する「アルビオコート川口の丘」のモデルハウスでは、お風呂とトイレを近づけることや、タオル掛けに加えバスタオル掛けの設置も提案しました。また、洗面所に色々なものを置けると便利なので、十分な収納スペースも確保しました。リビングに関しても、子どもの勉強スペースや、ママさんの作業スペースとして利用できるホームコモンズを取り入れた棟を1棟作っています。

洗面所の収納スペース

梅田さん:最近では趣味として手芸をされる方も増えていますので、ホームコモンズで作った作品を、写真映えするキッチンの棚などに飾って写真を撮り、SNSでアップしたり、通販で販売することもできるので、とても喜んで頂ける空間になっていると思います。

ホームコモンズのイメージ

大谷内さん:雑然としがちなダイニングに関してですが、無理なくきれいな状態を維持できる収納を考えました。細々したものはカゴに入れ、そのカゴを置くための棚を設置したんです。それによって、いつでも友だちを呼べるダイニングになりました。また、ダイニングテーブルで作業するとき、照明が幾つもあると影ができてしまうことから、“1灯にしたらどうか”という提案もしました。

キッチン・ダイニングのイメージ

大谷内さん:それ以外に重要なものとしては、洗面所の場所ですね。水回りはほとんどの建売住宅で1階にまとめているのですが、2階にある物件も、来客時のことを考え、玄関のそばにお客様用の手洗い場を設けることを提案しました。そうすればキッチンなどで手を洗ってもらう必要もないですから。生活感あふれる場所を見せたくないという方は多いですからね。

良い住宅をつくるため何度も打ち合わせを重ねます

――「マミーズプロジェクト」の今後について聞かせてください

梅田さん:ミサワホームは注文住宅を得意としている会社ですが、これまでに培った技術、ノウハウや提案力を活かして建売住宅も手がけています。そうした家づくりに、女性の細やかな意見を融合させるのが「マミーズプロジェクト」の存在意義です。私たちの家づくりの魅力を知って頂きながら、同じ子育て世代として、地域のママさんたちの応援団でありたいと考えています。2017(平成29)年3月には、そんな「マミーズプロジェクト」の意見が反映された新しいモデルハウスが「アルビオコート川口の丘」に誕生する予定です。皆様にお越し頂き、ぜひ実際にご覧になって頂ければと思います。

マミーズプロジェクト

梅田 毎美さん(左)
大谷内 裕美さん(右)
アルビオコート川口の丘:http://www.330navi.com/angyo/index.html
マミーズプロジェクト:http://www.misawa.co.jp/area/mommys/kanto/index.php
※この情報は2016(平成28)年10月時点のものです。

「アルビオコート川口の丘」にママの意見を取り入れた建売住宅が誕生予定!その魅力を聞いてきました♪/マミーズプロジェクト 梅田 毎美さん,大谷内 裕美さん
http://misawa.co-blog.jp/mommys

学校と地域・保護者の信頼関係が教育の要

小・中一貫教育で、落ち着いた子どもを育む/東台小学校 校長 内藤和巳先生


三鷹市の南東エリアにあたる学区を受け持つ「鷹南学園 三鷹市立東台小学校」。児童数約400名余りのこの小学校は、北隣にある「中原小学校」と、「第五中学校」とともに、「鷹南学園」として小・中一貫の教育や地域住民が学校経営に参加する「コミュニティ・スクール」などの先進的な取り組みを行っている。

今回は、この東台小学校の校長である内藤和巳先生を訪ね、学校の歴史や特色、一貫教育の取り組みや成果、地域の魅力などについてお話を聞いた。

鷹南学園 三鷹市立東台小学校

――まず、学校の歴史について教えてください。

本校は1973(昭和48)年、隣の中原小学校から分かれて誕生した学校です。今年で開校45周年になり、現在は全校児童が約430名ほどになります。三鷹市はすべての中学校区で「コミュニティ・スクールを基盤とした小・中一貫教育」を行っている、全国的にも非常に珍しい自治体ですので、本校にとってもそこが大きな特色になります。要するに地域とともに「幼・保・小・中を一貫して教育する」という考え方でして、三鷹市では特に、小学校と中学校については、一つの「学園」ということで運営をしています。

――東台小学校の教育目標について教えてください

鷹南学園 三鷹市立東台小学校

「人間力と社会力を育てる」という市が掲げるテーマに沿って、「自分で自分を伸ばす」「みんなが楽しい生活を築く」という言葉を目標に掲げています。

――三鷹市独自の「施設分離型小・中一貫教育」の利点とは何でしょうか?

鷹南学園 三鷹市立東台小学校

小・中一貫が始まってから本校の学区では劇的に中学校の雰囲気が非常に落ち着いてきたように思います。その理由としては、やはり中学に進むときの「ギャップ」が無くなったからではないでしょうか。小学校の時点で中学生といろいろな交流をもち、中学生の姿を見て育ちますのですっと中学校生活に馴染んでいけるんですね。それが結果として「落ち着き」につながっているんだと思います。

――小・中一貫教育に関して、具体的にどのような実践をされ、どのようなメリットをお感じですか?

近隣の幼稚園や保育園との交流

一つの柱になっているのは、教職員の交流と連携です。たとえば「乗り入れ」といって小学校の教員が中学校に行ったり、逆に小学校に来たり、というような取り組みなどもしています。三鷹市は独自の政策として、乗り入れに出かけている間の代わりを補うための臨時教師を雇っていますので、先生方の不安や負担を減らし、継続的に取り組みを続けることができています。

この成果は三鷹市の中学校の不登校の出現率に確実に出ていると思います。三鷹市のここ数年の不登校の出現率は東京都全体平均値の10分の1程度です。これはやはり、子どもたちが安心して、不安のない状態で中学校に進んでいるということの表れだと思います。

――小・中連携の取り組みの一つである「ペア学年交流」について詳しく教えてください。

ペア学年交流の様子

ペア学年交流というのは中1と小2、中2と小3、中3と小4といった組み合わせで、年に1回だけですが、授業に入ってもらったり、一緒に長なわを回してもらったりという形で交流しているものです。

下の子は小1から小4まで、上の子は小5から中3まで、同じペアの学年でお付き合いをしますから、上の学年の子は下の子の育ちがよくわかるし、下の子は「こうやって大人になっていくんだな」という見通しがもてるようになります。それは自己肯定感や安心にもつながりますので。兄弟が少ない今という時代に非常に良い経験になるわけです。

――幼稚園、保育園とはどんな交流・連携をされていますか?

ペア学年交流の様子

幼稚園、保育園の子については、本校に来て学校体験をしたり、一緒に給食を食べたりといった交流をしています。1年生の子でも下の子のお世話をすると幼かった自分の気持ちが育ちますし、幼稚園、保育園の子どもたちについても、小学校に対する不安が緩和されますから、小・中連携と同じような良い影響が出ていると思います。

――地域の人々とともに学校経営をする「コミュニティ・スクール」について、どのようなメリットをお感じでしょうか?

青少対主催イベントの様子

コミュニティ・スクールは、地域の方が参加する「学校運営協議会」というものを作って、経営方針についてもすべて一緒に検討していくものです。

学校をオープンにすると、近隣の学校とも情報を共有、連携できますし、地域や保護者の方にも支えていただくことができますから、結果として非常に安定します。もちろん、学校の対応に対し、地域の方から苦言を言われることもありますから、互いに良い緊張感をもちながら信頼して関わっている、という構図です。こういった点がコミュニティ・スクールの大きなメリットだと感じています。

――地域の方との交流について教えてください。

郷土資料室

ひとつは、5年生がやっている米作りでしょうか。本校は近くにある学校農園で陸稲(おかぼ)を、丸池農園では水稲をやっていまして、この指導に地域の方に入っていただいています。

他には福祉に関する交流も多いですね。3年生では地域の老人ホームに行ったり、4年生では地域の視覚障害の方との交流をする中で、点字を学ぶ機会があります。また、社会の学習の中で、農家の方に昔の仕事について教わったり、学校内にある郷土資料室に地域の方に来てもらって、昔の暮らしについてお話を聞くということもしています。

学校農園で陸稲を植える子どもたち

こうした地域の方との交流は、子どもたちにとって自分が地域の中でどうやって過ごしていくのかという見通しをもつきっかけになっていると思います。

――校長先生から見て、東台小にはどんな子どもたちが多い印象ですか?

鷹南学園 三鷹市立東台小学校

やはり明るくて素直な子が多いです。教員の言葉をきちんと受け止めてくれる子が多いというのは、おそらく家庭が落ち着いているという背景があるのでしょう。おうちの方がお子さんを大事に育ててくれていて、学校へ送り出してくれるので、子どもたちも学校や教員を信頼して、安心して通っているのだと思います。

――最後に、仙川エリアの魅力について教えてください。

本校の学区は公園や緑が多く、川沿いではカワセミなども見られるのでとても自然が豊かで、美しい地域だと思います。街についても、仙川とつつじヶ丘の駅までは徒歩で行ける範囲ですし、バス1本で吉祥寺や三鷹にも出られます。中央線と京王線の両方を活用できて、とても便利な場所だと思います。仙川は大きな街ではありませんが、にぎやかで品のあるいい街ですよね。

それから地域の方がいいんですよ。自分たちの地域に愛着をもっていて、子どもたちを本当に温かな目で見守ってくだっています。その影響か、治安の面でも安心感があると思います。あとは、うちの学校ですね。最近は特にすごく優秀な教員に恵まれていて、チームワークもいいんです。何か問題が起きたときでも、「チーム東台」が一丸となって、その日のうちにすべて解決してしまうような、素晴らしい教員が沢山いる学校です。ですので小学生のお子さんがいる方も、ぜひ安心して引っ越してきてください。

 
青少対主催イベントのようす

鷹南学園 三鷹市立東台小学校
校長 内藤和巳先生

所在地:東京都三鷹市中原2-17-37
電話番号:0422-47-7457
URL:http://www.mitaka-schools.jp/higashidai-es/index.html
※この情報は2017(平成29)年7月時点のものです。

小・中一貫教育で、落ち着いた子どもを育む/東台小学校 校長 内藤和巳先生
所在地:東京都三鷹市中原2-17-37 
電話番号:0422-47-7457
http://www.mitaka-schools.jp/higashidai-..

スペシャルインタビュー

「小中一貫教育」にも取り組む創立140余年の伝統校/越ヶ谷小学校 校長 橋本公作先生


1873(明治6)年の創立より144年目を迎える市内でもっとも歴史のある学校のひとつ「越谷市立越ヶ谷小学校(以下、越ヶ谷小学校)」。再開発によって整備された「越谷」駅より徒歩4分の旧日光街道の近くに位置し、歴史的景観と近代化した街並みとが共存する住宅地に囲まれています。2015(平成27)年度より越谷市教育委員会の委嘱を受けて「小中一貫教育」への取り組みを進めている研究開発校としても知られ、その取り組みに注目が集まっています。今回は「越ヶ谷小学校」で10年間に及び現場の教諭として勤務し、2014(平成26)年度に校長として再度着任された橋本公作先生に、学校の特色と地域の魅力についてお話を伺いました。

1873(明治6)年開校の歴史と伝統のある小学校

越谷市立越ヶ谷小学校

――まずは学校の沿革と概要について教えてください。

「越谷市立越ヶ谷小学校(以下、越ヶ谷小学校)」は、1873(明治6)年の開校より144年目を迎える歴史と伝統のある学校です。再開発によって整備された「越谷」駅より徒歩4分ほどの旧日光街道の近くに位置し、古くからの街並も残る落ち着いた住宅地に囲まれています。
2017(平成29)年度の新入生は4クラス137名で、全校児童数は昨年度より27名ほど増えて799名になりました。
駅前の再開発に伴う児童数の増加に対応するべく、2013(平成25)年度より校舎西側の仮設校舎を活用して学校運営を行っておりますが、越谷市の推計によると今後数年間引き続き増加傾向にあるようで、さらなる児童数の増加が見込まれています。

校舎から見える周辺の街並み。高層マンションなども目立つ

「いのち」「学習」「人」の3つを大切にする教育活動

――今年度の教育方針や、特色のある取り組みについてお聞かせください。

昨年度に引き続き「いのち」「学習」「人」の3つを大切にする学校として、「児童一人一人のよさを見出し、可能性を引き出す教育」を推進しています。 「いのち」は交通事故防止および緊急災害時における児童の安全確保を徹底する安全教育の充実と、一年を通じて花が咲き誇る潤いのある教育環境の整備、「学習」は2015(平成27)年度より越谷市教育委員会の委嘱を受けて研究が進められている「小中一貫教育」への取り組み、「人」は埼玉県教育委員会から委嘱を受けて研究する「いじめ防止のための望ましい人間関係づくり」など多彩な取り組みを行っています。

授業風景

なかでも、2015(平成27)年度から研究が進められている「小中一貫教育」への取り組みは、「越ヶ谷小学校」「東越谷小学校」「花田小学校」「中央中学校」の4校で取り組んでおり、3年目を迎えます。越谷市の「小中一貫教育」を推進する先進的な研究として注目を集めています。

これまでにも2000(平成12)年度の「総合的な学習の時間」の導入に先立ち、当時の文部省より調査研究開発学校の指定を受け4年間(平成9~12年)に及ぶ研究を行ったり、2005(平成17)年度には文部科学省より「学校を中心とした食育推進事業」の研究を委嘱され“食育”にも取り組んだりと、さまざまな研究発表に挑戦してきました。
研究開発校として指定を受けてきた背景には、歴史と伝統のある学校であると同時に、旧日光街道沿いに今も残る昔ながらの商店や地域の方々、保護者の学校教育に対する協力的な姿勢が評価されたことも大きく、推薦理由のひとつとして挙げられていたようです。

ミニトマトの育成・観察

9年間を通じて一人ひとりに応じた個別の対応を工夫できる「小中一貫教育」

――「小中一貫教育」の取り組みについて詳しくお聞かせください。

2015(平成27)年度から越谷市でスタートした「小中一貫教育」への取り組みですが、その目的は「学力の向上」「中1ギャップの解消」「自己肯定感の高揚」の3つとされています。
なかでも最大の目的は「学力の向上」にあるのですが、板書の仕方やノートのとり方ひとつをとっても学校や先生ごとに違いがあると、それだけでギャップを感じてしまう子どもも少なくないので、発達段階に応じた学習の仕方を関係校で統一する必要性があります。

体育館での授業の様子

本校からは「中央中学校」と「富士中学校」にそれぞれ半数ずつ進学いたしますが、研究開発指定校として一緒に研究に取り組む「中央中学校」はもちろん、「富士中学校」でも同様の取り組みが徹底されているので、どちらの学校へも心配なく安心してスムーズに進学していただけると思います。

課外活動や陸上競技会の賞状

都心部にアクセスの良い「越谷」駅の近くという地域性もあって都内の私立学校に進学を希望するご家庭が多いのも事実ではありますが、小中それぞれの教職員が綿密に連絡を取り合って、一人ひとりに応じたきめ細やかな個別の対応を工夫できるのは「小中一貫教育」の良いところで、何よりの安心感につながると思います。

「小中一貫教育」への取り組みは学習面以外にも、中学校への一日入学体験や、中学生による夏季補習学習のお手伝い、卒業生による課外活動の指導など多岐にわたる交流活動を行っています。このような取り組みを行ったことで、実際に不登校の子どもが減少したという成果もあらわれています。

水泳の授業

地域に古くから伝わる「木遣歌(きやりうた)」や「金管バンド」の音楽活動

――“本校のイチオシ”にある音楽活動についても教えてください。

地域に古くから伝わる「木遣歌(きやりうた)」や「金管バンド」の活動をはじめ、学校公開日に行う「ソングスクエア」も1998(平成10)年度から続く恒例のイベントで音楽への取り組みが盛んです。「木遣歌」と「金管バンド」はいずれも課外活動として行っているのですが、「越谷市木遣保存会」の皆さまにお越しいただき、週に一度、指導いただいています。「木遣り」とは木を運ぶという意味で、重い木材や石を運ぶ際に大勢で息を合わせるために唄ったいわゆる作業唄で、江戸で火消しの鳶職人のたしなみとして発展し、棟上や祝儀、祭礼などでも歌われるようになった民謡のひとつです。

現在3年生から6年生までの22名が活動に参加し、地域のお祭りで披露したり「こしがや能楽堂」や「越谷市中央市民会館」などの大きな舞台でも発表しています。

また「金管バンド」は卒業生も多く所属する「中央中学校」の吹奏楽部にも指導をいただきながら週末等に練習する盛んな活動で、学校の行事や地域のイベントなどで演奏を披露してくれます。

地域の協力があってこそ実現できる魅力的な学校運営

――地域との連携や取り組みについて教えてください。

昨年度、PTAの前身となる保護者会が発足されてから80年目を迎え、記念樹の植樹や横断幕の制作など記念事業を行いました。 本校ではPTAによる活動をはじめ校内の掃除や「町たんけん」での取材協力に至るまで年間のべ400~500名もの地域の方々にご協力をいただいており、「木遣歌」や「金管バンド」の活動なども保護者はもちろん地域の協力があってこその取り組みだと思っています。

また本校には以前から登校班が無いのですが、“自分の命は自分で守る”という自立の精神を育むとともに、旗持ち当番以外にも地域の大人たちがみんなで子どもたちを見守ってくれるため、今も登校班を設けずに安心して通学させることができています。

校内の風景

さらに地域とのつながりを感じる瞬間として、学校行事に参加いただくと良く分かるのですが、日ごろの学校運営を支えてくださる来賓として40名もの方々にお集りいただきます。また運動会ともなるとご家族はもちろん地域の方々も多く集まり午前・午後の2部制でさらに立ち見もお願いしているのですが、学校側へのクレームは一切無く、おたがい譲り合いながら子どもたちと一緒になって行事を盛り上げてくださいます。

歴史的景観と近代化した街並みとが共存する地域

――地域の特色や魅力についてもお聞かせください。

本校の学区域には「越谷」駅周辺の再開発にともない高層マンションや商業施設があらたに出店し、ここ5年ほどで著しい発展を遂げました。一方、旧日光街道沿いには明治・大正時代に建築されて国の登録有形文化財に指定された商店もあり、歴史を感じさせる古い街並みも残っています。

古い街並みが残る「越谷本町商店会」

地域の特色としては、歴史的景観と近代化した街並みとが共存する地域であるということと、旧日光街道沿いの地域ならではの人情とあたたかみのある雰囲気が挙げられると思います。
児童の約半数は線路の西側にある新興住宅地から通って来るのですが、旧日光街道沿いにはおじいちゃん、お父さんと3世代にわたって本校に通うご家庭も少なくなく、学校運営に深い理解のある地域とのつながりは何よりの魅力だと思います。

「越谷」駅

本校の教員として10年ほど過ごした時期もあったのですが、十数年ぶりに校長として着任したときに目にした街の移り変わりとは対照的に、学校を影で支えてくださっている地域の方々は“当時と変わらない”と感じることのほうが多く、日々心より感謝しています。

校長室

越谷市立越ヶ谷小学校

校長 橋本公作先生
所在地:埼玉県越谷市中町1-41
URL:https://school.city.koshigaya.saitama.jp/koshigaya_e/
※この情報は2017(平成29)年6月時点のものです。

「小中一貫教育」にも取り組む創立140余年の伝統校/越ヶ谷小学校 校長 橋本公作先生
所在地:埼玉県越谷市中町1-41 
電話番号:048-963-0180
http://school.city.koshigaya.saitama.jp/..

新しく生まれ変わった園舎と恵まれた自然環境の中で育む/船橋市立若葉保育園 園長 寺澤恵子先生


1966(昭和41)年の開園より48年を迎える地域に根ざした「船橋市立若葉保育園」。子育て世帯の増加に伴い2014(平成26)年8月に竣工した新しい園舎には、バリアフリーに対応した設計デザインをはじめ、食育を推進するための“見える給食室”や木のぬくもりを生かした暖かい室内空間など、充実した生活環境が整っています。今回は20年ぶりに「船橋市立若葉保育園」勤務となり、園長として再び子育て支援に取り組む寺澤園長に地域の魅力についてお話を伺いました。

――まず「船橋市立若葉保育園」の沿革と概要について教えてください。

1966(昭和41)年4月、船橋市内で8校目となる公立の保育園として開園した「船橋市立若葉保育園」ですが、記録によると1955(昭和30)年頃に町会の保育所として子どもたちの面倒を見るようになったのがはじまりだったようです。当時はまだこの辺りも農家が多く、農閑期を利用して交代で協力し合いながら運営していたようで、当時の暮らしの様子が伺えます。

現在の園舎は2014(平成26)年8月に竣工したばかりの新しい建物で、バリアフリーに対応した設計や食育を推進するための“見える給食室”など、さまざまな設計上の工夫が盛り込まれているのも特徴です。

以前は園庭を囲んだコの字型の園舎で、子どもたちの様子が一望できて安心といった声もあったのですが、耐震や今後ますます増えるであろう子育て世帯の増加を見込んで建て直しとなりました。園児の総数は、0歳児12名を含む148名(2014年11月現在)で、中規模の保育園として位置づけられています。

――“自然とのふれあい”を園目標として掲げていらっしゃいますが、近隣の子育て環境はいかがですか。

「自然とふれあい豊かな心と健康な体をはぐくむ保育」を園目標として掲げているのですが、「若葉保育園」の近くには徒歩3分ほどの場所に「藤原市民の森」がありますし、園舎の裏にも遊具のある「藤原公園」があります。

「藤原市民の森」にはよく散歩に出かけるのですが、つい先日も牛乳パックで小さなお散歩バッグを作って、どんぐりがいっぱいになるまで拾って子どもたちも喜んでいました。身近な場所に四季の変化が感じられる豊かな自然環境があるのは、子育ての環境としても恵まれていると思います。

――園内では主にどんな活動や遊びをしていますか?

ほかの保育園とも同じだとは思いますが、子どもたちの発達段階に合わせた道具や玩具を揃えて体育や音楽、また絵を描いたりといった活動をしています。ちょうど5歳児のクラスでは、先日遠足に出かけた「ふなばしアンデルセン公園」での思い出を描いているようですね。

絵を描き終わった子どもは、本を見ながら折り紙をしたり、小さなピースを組み合わせて思い思いの形を作ったりと、好きな遊びに熱中しています。また積み木を組み合わせて大きな作品に仕上げるのも当園の伝統的な遊びのひとつになっています。

――快適な空間で子どもたちものびのびと過ごしている姿が印象的ですね。保護者の方々の反応はいかがですか。

建て直した後の保護者の方々の反応は、まず“明るい・広い・きれい”といった感想をいただきました。木のぬくもりが感じられるようにと、職員間でも意見や希望を出し合って、居心地の良い空間づくりを目指しました。園舎は森のなかに佇む家をイメージしています。

園舎に入ってすぐの広々としたスペースは、雨が降って園庭で遊べないときの運動スペースを目的として広く設けたもので、梅雨時期などは身体を動かして遊べない子どもたちのストレス解消の場としても役立つと思います。

全面ガラス張りの“見える給食室”では、子どもたちが覗いていると下ごしらえしている野菜や果物を見せながら調理をしてくれたり、展示されている献立を見て「今日は何を食べたの?」といった親子の会話のきっかけにもなったりと、新しい施設ならではの良さを実感していただいていると思います。

――地域との交流や連携について、具体的な活動内容を教えてください。

船橋市内の公立保育園では全園で“地域交流事業”を実施しています。当園でも毎月第2火曜日の午前10時から11時30分まで「保育園で遊ぼ!」と題した交流会のほかに、毎週火曜日10時から地域の親子に園庭を開放しています。

また自園や栄養士による子育てに関するミニ講座や育児相談を行ったり、給食の試食会を行うこともあります。スケジュールは市のホームページにもあるので、興味がある方はぜひ一度遊びにいらしていただければと思います。先日も正門脇の掲示スペースに貼ってあるスケジュールを見てお子さんと遊びに来てくれたお父さんもいました。「仕事の合間に遊びに来てみました」と、気軽に立ち寄っていただける身近な場所でありたいと思います。

また近隣の学校とのつながりにおいては、地元中学校の職場体験で生徒さんがいらっしゃったり、これから新一年生になる年長の子どもたちが小学校を見学させてもらったりして交流の機会を設けています。

――エリアの子育て世代は増えてきているのでしょうか。

園の近くに加えて、「馬込沢」駅の周辺にも新しい家がたくさん建っていますし、子育てをしている若いご夫婦は増えているように感じます。

このあたりは船橋市のなかでも自然が多く、子育てをするご家族にとっても人気のエリアとなっているようです。地域の子育て支援の拠点としても園として担う役割は大きいと感じています。

――最後にこの地域の魅力、そして今後の園の目標について教えてください。

20年ほど前に保育士として働いていた頃に比べると、新しい家も増えて賑やかになったとは思いますが、それでもまだ落ち着いていて静かな生活環境に魅力を感じます。自然環境にも恵まれています。

今後の目標としては「また明日も保育園に行こうね」と子どもも大人も保育園に行って良かったと思える関係づくりを大切にしていきたいと思います。実家を離れて核家族化してしまっている共働きのご夫婦も多いと思いますので、親身になって話し合える身近な存在として、子育てを支援していきたいと思います。

余談になりますが、先日けがをした小学生の男の子が当園に訪れました。ベテランの保育士によると卒園生だったようで、保護者の方も仕事で帰宅が遅く、頼れるところを探して真っ先に保育園のインターフォンを押してくれたようです。子ども心にも「きっと助けてくれる」という想いが伝わる、そういった存在でありたいと思います。

船橋市立若葉保育園

園長 寺澤恵子先生
住所:千葉県船橋市藤原7-41-1
電話番号:047-439-0472
http://www.city.funabashi.lg.jp/shisetsu/kosodatesien/0003/…2
※この情報は2014(平成26)年1月時点のものです。

新しく生まれ変わった園舎と恵まれた自然環境の中で育む/船橋市立若葉保育園 園長 寺澤恵子先生
所在地:千葉県船橋市藤原7-41-1 
電話番号:047-439-0472
開所時間:7:00~19:00
休園日:日曜日、祝日、年末年始(12月29日~1月3日)
http://www.city.funabashi.chiba.jp/shise..

ママと赤ちゃんの癒しの場所/KaiLea~カイレア~ 馬場美保さん


ベビーマッサージやベビースキンケアに加えて、ヘッドスパやリフレクソロジーサロンなど、美容や子育てに関わる幅広い活動を行なっている「KaiLea(カイレア)」。そんな「KaiLea(カイレア)」を主宰している馬場さんは現役のママさんだ。サロンの運営だけでなく、「笑顔で働きたいママのフェスタ2014in千葉」の実行委員長を務めるなど各方面で活躍している。今回は丸山エリアで、子育てと仕事を両立している馬場さんに、仕事の原動力や目標、また、船橋市丸山エリアの魅力についてお話を伺った。

――ベビーマッサージの効果について教えてください。

一般的には、「良く眠ってくれる」「便秘が改善する」と言われていますが、私は「ママが赤ちゃんにたくさん触れる」ことに一番意味があると考えています。そうやって愛情を伝えることで情緒が安定し、温かい心を持った大人になっていくのではないかなと思っています。

――ベビーマッサージだけでなく、お母様方を対象にしたヘッドスパもされているそうですね。

ストレスを受けて弱ってしまった頭皮と髪を元気にするのがヘッドスパです。シャンプー台は必要なく、椅子に座ったまま施術を受けることができるので、お子様連れでも問題ありません。ぜひ気軽に体験していただければと思います。もちろん、じっくりと施術を受けたい方にはエステベッドで寝た姿勢での施術も可能です。

――利用される方の反応はいかがですか?

交流の場としても活用され、楽しんでいただけているかと思います。育児をしていれば、同世代と話す機会が少なくなります。核家族化が進んでいることで、子育てに悩んでいても相談できる相手は近くにいません。その意味でここは、赤ちゃんだけでなく、ママたちも癒やされる場にしたいと考えています。

――2009(平成21)年に、RTA認定 ベビーマッサージの資格を取得されたそうですね。また、肩書にある「タッチケアスペシャリスト」について伺えますか?

きっかけは娘が産まれたことです。娘にベビーマッサージをしてあげたいと思ったのですが、近くに教室はありませんでした。そこでいろいろと調べてみると、自宅まで来ていただける先生がいるとのことだったので、どうせ学ぶなら資格を取ってしまおうと思ったのです。

「タッチケアスペシャリスト」というのはロイヤルセラピスト協会における、ベビーマッサージだけでなく、スキンケアの有資格者のことです。赤ちゃんの肌はとてもデリケートなので、どのように接すれば良いのかという知識は、とても大切になってきます。

――「笑顔で働きたいママのフェスタ2014in千葉」の実行委員長も務めていらっしゃいますね。

東北の震災後、ママたちの働き方見本市として始まったフェスタなんです。その第一回目の千葉開催から出展者として関わらせていただいていて、今回ご縁あって実行委員長を務めました。私自身も、会社に勤めていて出産のため退職し、数か月間の専業主婦を経験して、今の仕事を始めました。

このフェスタを通じて「いろいろな働き方がある」ということを感じていただき、来場される方の助けになれればうれしいです。私自身がロールモデルとなり、いろいろな方に働き方を見ていただきたいですね。

――資格を取得されたことも含め、子育てをされながらの活動は大変ではないかと思うのですが。

楽ではない、というのが正直な感想ですね。でも、私にとって適度な緊張感は必要でしたし、今日より明日を良くしたいという気持ちが強かったので、そのために新しい挑戦をしようと思ったのです。子育てをすることで時間の使い方が上手になったので、それも関係しているのかもしれませんね。また、会社勤務だと、子どもの行事に参加するのは難しいですが、個人での仕事では行事の時は事前に休みのスケジュールを組んで、可能な範囲で仕事を頑張ることができます。

お仕事をすることで、ひとりの人である時間が持てて、育児や家事をする時間も楽しくなります。やるべきことは増えますが、とっても充実していますよ。何より、働いている姿を子どもに見せることも育児には良いと思います。

――赤ちゃん・お母様方に癒しを提供されるだけでなく、スキル講座・養成講座も開いていると伺いました。

自分の経験を活かして、1日で基礎を学べる初級資格取得講座と、ベビーマッサージセラピスト・ベビースキンケアセラピスト・リフレクソロジストのプロを目指している方に講座を開いています。会社に所属せず、自宅で仕事をするというライフスタイルを提案していけたらと思っています。

――同世代の方々にメッセージなどがありましたら、ぜひ聞かせてください。

最優先にすべきは育児と家事ですが、それだけではストレスが溜まってしまいます。自分の満たされる何か。それが仕事でも趣味でも良いのですが、そういうものを見つけてもらえたらと思います。自分が満たされることで育児が楽しくなり、さらに旦那さんにも優しくできますからね。友だちの存在も大切だと思います。友だちさえいれば、相談に乗ってもらったり、子どもを預かってもらったり、さまざまなシーンで助かると思います。

――最後になりますが、船橋丸山エリアの魅力や子育て環境について聞かせていただけますか?

住宅街ならではの落ち着きがあり、周辺には子育て世代にうれしい公園もたくさんあります。お気に入りは「ふなばしアンデルセン公園」ですね。生活することによって、さらに魅力が分かる街ではないかなと思います。

KaiLea(カイレア)

馬場美保さん
住所:千葉県船橋市丸山4-24-2
電話番号:047-767-7157
http://salonkailea.jimdo.com/
※この情報は2014(平成26)年11月時点のものです。

ママと赤ちゃんの癒しの場所/KaiLea~カイレア~ 馬場美保さん
所在地:千葉県船橋市丸山4-24-2 
https://www.salonkailea.com/

丸山地域を盛り上げ、元気にする/丸山げんき会 会長 金子達雄さん 事務局長 阿部直さん


東武野田線「馬込沢」駅周辺にはスーパーマーケットや美容室、花屋、書店、クリーニング屋などがあり、日々の生活に必要なものはほとんど駅前で揃う。そんな「馬込沢」駅から歩いて数分のところにある「丸山商店会」は今から50年ほど前に銭湯ができた事がきっかけで生まれた地域に愛される商店街。そんな歴史ある「丸山商店会」の方々が中心になって運営されているのが「丸山げんき会」だ。同地区が明るく、元気になるように地元の商店や企業の有志が集まり活動している。今回は「丸山げんき会」が主催したハロウィンパーティーの会場を訪れ、同団体会長の金子達雄さんと、事務局長の阿部直さんにお話を伺った。

――「丸山げんき会」について教えて下さい。

金子さん:団体が発足したのは今から10年ほど前になります。商店会に降りたシャッターが目立つようになってしまった時期がありました。その頃に「健伸幼稚園」の園長先生から「みなさんのような若い力が集まって街をなんとかしてもらえないか?」というお手紙をいただいたのがきっかけです。

金子さん:私は生まれも育ちも丸山でして、実家は私で4代目になる梨農家を営んでいます。丸山に長く住んでいることもありまして、私に声をかけていただきました。そこから、私は有志仲間で話し合い、幼稚園の園庭をお借りして「健伸祭」という朝市や夕市を地域の人向けに始めました。それが会の始まりでした。

阿部さん:「丸山げんき会」は、丸山地域を盛り上げる、元気にするために活動しています。ハロウィンパーティーが行われる「ファミリーマート・ルーキー丸山4丁目店」さんをはじめ、丸山商店会のお肉屋さんや不動産会社など約30の企業や個人で商売をしている人、住人のみなさんで構成されています。

――どのような活動をされているのでしょうか。

阿部さん:「丸山げんき会」が行うイベントは大きく分けると年に3つあります。1つ目はお正月に行う小さなお子様でも参加できる「お餅つき」、2つ目は「スイカ割り大会」も行われる夏に開催の「七夕祭り」、3つ目はクイズやビンゴ大会もある「ハロウィンパーティー」です。そのほか、朝市や夕市、「東京大学」の学生とコラボした「サイエンスミュージアム」など、たくさんのイベントを企画しています。どのイベントも大盛況で、子どもたちと地域の人たちに喜んでもらえるように日々活動しています。

――立ち上げのころは大変だったとお聞きしました。

阿部さん:始めのころは場所を1つ借りるのにも「どこの何をしている団体だ?」と言われてしまってなかなか話が進まなかったり、会員数も少なく持ち出しも多かったりとお金の面でもとても大変でした。また、ご存知の通り数年前はハロウィン自体の認知度が低かったので参加者の集まりが弱く、良い結果を残せていなかったです。

阿部さん:今はおかげさまで助成金など船橋市のバックアップを受けることもできて、会員数も着実に増えているのでしっかりと運営することができています。「ハロウィンパーティー」の参加者は年々増えていまして、今年は200人以上になり大変盛況ですよ。

――ハロウィンパーティーについてお聞かせください。

阿部さん:子どもたちや地域の人たちの交流の場としてみなさんに喜んで貰えるように、と毎年開催しているイベントになります。イベント前半の「ウォークラリー」は「船橋市立丸山小学校」のPTAと「丸山げんき会」の共同開催イベントです。「船橋市立丸山小学校」の学区では、子どもたちが危ない目にあった時や不審者を見かけた時などにすぐに駆け込める場所として「ひまわり110番」を設置しています。

阿部さん:イベントではその「ひまわり110番」の場所を楽しくみんなで覚えてもらうためにウォークラリー形式でまわります。そして、イベント後半の「ハロウィンパーティー」では、近隣の学区の子どもたちも参加して、さらに盛り上がり、子どもたち同士も交流できる楽しいパーティーになっています。

――街への強い思いが原動力なんですね。

金子さん:丸山地区は50年程前にできた街でして、人と人とのつながりが濃く温かいところが魅力のひとつです。私が子どものころは近所の人とすれ違うと「こんにちは、元気?」とよく声をかけてくれる、そんな街でした。私は、この街に誰よりも愛着を持っていますし、子ども達にも良い街だという事を感じて欲しいと思っています。

金子さん:「ハロウィンパーティー」やイベントを企画する理由も、子どもたちが丸山ではこんなにも楽しいことをやっていたんだ、と思い出にしてくれたら嬉しいな、と思うことからなのです。そして子どもたちが大人になった時に、昔を思い出して自分たちの育った丸山を誇りに思って次の世代に繋げていって欲しいと思います。

金子さん:進学や就職で街を離れてしまっても将来ここに戻って来たくなる、いつまでもそんな街であってほしいですね。新しい住民の方にもこのような地域のイベントをきっかけに横のつながりを作って丸山を好きになっていって欲しいと思います。これは私の思いでもありますが、「丸山げんき会」とメンバーの共通の思い・方向性でもあります。

阿部さん:私にも子どもがいますので将来「丸山に住んで良かった」と子どもたちにも思って欲しいと考えています。イベントを開催して子どもたちや地域のみなさんが喜んでくれるのが何より嬉しいですし、今後の活動の励みになりますね。

――「丸山商店会」でオススメのお店を教えていただけますか。

金子さん:マトンカレーが食べられる「TIRANGA SPICE (ティランガ スパイス)」はよく食べに行きますね。とても美味しいですよ。ほかにも古民家レストラン「古民家さんかい亭」もオススメです。釜飯が絶品ですね。ほかにもいろんなお店が揃っているので、ぜひ「丸山商店会」に美味しいお店を探しにお越しください。

ここ丸山地区は都心からのアクセスも良く便利です。緑に囲まれ昔ながらの人付き合いもあり、都会の良さと地方の良さがを両立する街です。子育ての面では、交通量の多い大きな道路もなく安全で静かですし、町会がしっかりとしているので治安の面でも安心です。町内は循環バスが通っているので車がなくても買い物などとても便利ですよ。イベントも盛りだくさんで、住み良い街だと思います。

「丸山げんき会」

会長 金子達雄さん 事務局長 阿部直さん

URL:http://www.maruyama-genki.com/
※この情報は2016(平成28)年11月時点のものです。

丸山地域を盛り上げ、元気にする/丸山げんき会 会長 金子達雄さん 事務局長 阿部直さん
http://www.maruyama-genki.com/

小山市役所都市整備部 佐久間幸男さん・関口政克さん インタビュー

「住んでみたい!」まちづくりをリードする小山市役所の取り組み/小山市役所都市整備部 佐久間幸男さん・関口政克さん とは


小山市は、豊かな自然と深い歴史を有する街で、都心からわずか60キロほどの、新幹線も停車する栃木県南の交通の要衛だ。同市では街に人を呼び込むため、駅周辺の開発をリーディングプロジェクトして街づくりに積極的に取り組んでいる。今回は、小山市役所都市整備部の佐久間幸男さんと関口政克さんに、駅周辺の整備事業について、そして小山市の魅力について話を伺った。

お話を伺った佐久間さんと関口さん

大規模工場の撤退を好機ととらえ、駅周辺開発をスタート

――「小山駅東口周辺土地利用推進事業」について教えください

関口さん:2000(平成12)年9月に、JR「小山」駅東口にあった「日本製粉株式会社」が移転をして、駅前に約5haもの広大な空き地が生じました。これを機に、市では定住促進と市街地活性化、コンパクトシティの建設を図るため、人と企業を呼び込む施策を開始しました。2002(平成14)年度には国土交通省の助成を受けて、「小山駅周辺地区のまちづくり」をスタート。元々工場があり、西口と東口の駅前広場の位置がずれていたことから、2004(平成16)年に駅東口広場とそのアクセス道路の整備に着手。長きにわたり分断されていた駅東西の市街地を一体化させるため、中央自由通路(さくら道)の整備を進め、2012(平成24)年6月に開通、2014(平成26)年3月には「小山駅東口新駅前広場」がグランドオープンしました。

基本ゾーニング図

関口さん:整備を進めていく中で、東口周辺には依然として旧駅前広場用地など大規模低未利用地が存在していました。市ではこれらの土地利用の推進・誘導は市の発展に欠かせないものと考え、一体的に整備推進を図るべき基本方針として、2014(平成26)年3月に「小山駅東口周辺土地利用推進事業」を策定しました。「小山駅東口周辺土地利用推進事業」では、施設集積状況や機能分布状況及び開発動向から東口周辺地区を「商業・街なか居住ゾーン」「構想重点検討ゾーン」「商業・サービスゾーン」「文教ゾーン」「商業・公共施設・街なか居住ゾーン」の5つのゾーンに分類して、駅東口の顔づくりと魅力と賑わいのある街の再生を誘導してきました。その結果、駅前には「白鴎大学」のキャンパスや、家電量販店の「ヤマダ電機」、ビジネスホテル等が進出。マンション建設も進み、1,600人以上の人口が増加し東口の姿が大きく変化しました。

中央自由通路(さくら道)

利便性が高い駅東口エリア。定住人口の増加がまちづくりの要に

――「駅東通り一丁目第一地区市街地整備事業」について教えください

関口さん:「小山駅東口旧駅前広場」は市有地であり、「小山」駅に隣接していることから非常に利便性も良く、その利用価値が高い場所です。この立地利便性を最大限に活用し、人と企業を呼び込む施策の推進を図るため、周辺の開発の先導的役割を担う事業として、「小山」駅前に相応しい良好な街並みや良質な市街地住宅の供給促進等を行うのが「駅東通り一丁目第一地区市街地整備事業」です。

整備が完了した東口駅前の様子

関口さん:敷地内に緑地や広場、歩行者空間など、良好な市街地整備を推進するとともに、利便性を活かした生活空間として住居施設や商業施設、市民の利便性向上を図るための公共公益施設を含めた中高層建築物を計画し整備を進めていく事業になります。2017(平成29)年度は、事業施行者となる「大和ハウス工業株式会社」と基本協定を締結し、駅前保育園を含めた建築基本設計及び実施設計を進めてきました。現在は建築工事に着手しており、2020年の完成を目指して事業を推進、建物は駅東エリア開発の「商業・公共公益・街なか居住ゾーン」の位置付けで、地上17階建て135戸の住宅と商業と子育て支援施設などの公共公益施設が入居します。

駅東通り一丁目第一地区市街地整備事業

佐久間さん:市では定住人口を増やすことを重点的なプロジェクトとしています。商業があるから人が集まるのではなく、人が住む生活空間があるから商業が成り立つと考えています。市では今後も新しい駅前空間の効果を波及させるために、住んでみたい、住み続けたいと思える街づくり、便利で活力ある街を整備していきたいと思っています。

佐久間さん:また、整備を進めるなかで、多くの人々が集うことのできるホテルや会議、公演会等を開催できるコンベンション施設の誘致について強い要望があがっています。2017(平成29)年4月には、小山商工会議所、市内3商工会、地元自治会等と協働で、「小山駅東口周辺コンベンション誘致促進プロジェクト評定」を設置し、民間活力によるコンベンション機能付きホテルの誘致に向けた取り組みを開始しました。今後は、、誘致に向けて先進地での整備事業手法等を参考にしながら、各関係者との意向調整を図りつつ、具体的な検討を進めていく予定です。

取材の様子

駅前に相応しい街づくりが、住みたい街の基礎になる

――そのほかの駅周辺の整備事業についてもお聞かせください

関口さん:「小山駅西口地区」では、駅に近いという利便性を最大限に活用して、生活空間としての整備により定住人口を増やす「街なか居住推進事業」を積極的に展開しています。そのリーディングプロジェクトとして進めてきました「城山町三丁目第一地区再開発ビル『城山・サクラ・コモン』」が2013(平成25)年に完成し、約340人(住居133戸)の定住人口を増やすことができました。こちらの建物の2階フロアには、小山市初となるビルインの認可保育所があり、子育て世代に大変人気となっています。

「城山・サクラ・コモン」

関口さん:西口エリアは少子高齢化等の社会環境の変化に伴い過疎化が進み人口が減少、自治会の祭りでは子供神輿が出せないという事態も起こり始めていました。しかしこのプロジェクトにより、この5年間で「城山町三丁目第一地区再開発ビル『城山・サクラ・コモン』」では33人もの新生児が誕生。街には子どもたちの元気な声が聞こえるようになり、自治会の子供神輿も復活するなど街は活気を取り戻しています。2018(平成30)年秋には「城山町二丁目第一地区」の建築工事も着手予定となっており、西口駅前広場の北側と西側に隣接する「城山町三丁目第二地区」の再開発も、具体的な方策等について現在検討・協議中です。市では今後も「街なか居住」の推進を積極的に行なっていきたいと考えます。

「小山」駅西口の様子

佐久間さん:西口には昔ながらの街並みが残っており、活用できる土地の広さも様々です。市と地権者が協働して土地の有効活用法や再開発の仕組み、税制等を話し合い、慎重にまちづくりを進めていきたいと思います。初めて小山を訪れた人たちは、駅を出て最初に見た街の景色が街のイメージになりますので、街の見え方を大切にプロジェクトを進めていきたいと考えます。東口も西口も「小山」駅前に相応しい街を作っていくことで、一人でも多くの人が小山市に住んでみたい、小山市っていい街だよね、と思っていただける街づくりを進めていきます。

「小山市役所」

住みやすい、住んで良かったと思える街

――最後に小山市の魅力についてメッセージをお願いします

関口さん:小山市は新幹線をはじめ、交通網の発達によるアクセスの良さ、整備された道路や街が最大の強みで魅力だと思います。今後の小山市は、街の拠点となる「小山」駅をどのように活用していくかがキーポイントとなります。これからも「小山」駅前が街の顔になれるような街づくりをしていきます。

佐久間さん:小山市は年間を通じて温暖な気候の街です。防災面に関しても、台風や地震などの自然災害も少なくとても住みやすいです。住んで良かったと思える街ですので、ぜひ小山市にお越しください。

小山市 都市整備部 新都市整備推進課

佐久間 幸男 さん(右)・関口 政克 さん(左)
http://www.city.oyama.tochigi.jp/soshiki/49/
※この情報は2018(平成30)年5月時点のものです。

「住んでみたい!」まちづくりをリードする小山市役所の取り組み/小山市役所都市整備部 佐久間幸男さん・関口政克さん とは
所在地:栃木県小山市中央町1-1-1 
電話番号:0285-23-1111
開庁時間:8:30~17:15(火・木曜日8:30~19:00)
休庁日:祝日
http://www.city.oyama.tochigi.jp/

スペシャルインタビュー

地域の人々が継続してスポーツを楽しめる機会を提供する/横浜市戸塚スポーツセンター 上田志帆さん


再開発で誕生した商業施設が建ち並ぶ「戸塚」駅周辺から、徒歩約5分と利用しやすい場所に位置する「横浜市戸塚スポーツセンター」。足を踏み入れると、教室から流れてくる音楽や、利用者の声が響き、活気にあふれている。地域住民の健康づくりのきっかけや、人々の交流の拠点となっている「横浜市戸塚スポーツセンター」を訪れ、どのような利用の仕方ができるのか、施設担当者に話を聞いた。

一人でも、チームでも。目的にあった使い方を

「横浜市戸塚スポーツセンター」上田さん

――「横浜市戸塚スポーツセンター」の概要についてお教えください。

上田さん:「横浜市戸塚スポーツセンター」は、1984(昭和59)年にオープンして以来、約30年以上もの間、周辺住民の方々に親しんでいただいております。施設としては、体育室が3つ(第1~第3体育室)、研修室、トレーニング室、弓道場を備えています。体育室のご利用では、当日受付の個人利用、スポーツセンターで開催している教室の他、横浜市市民利用施設予約システムの登録のうえ予約をしてご利用できる、団体利用、個人利用があります。登録条件は、横浜市在住・在勤・在学のいずれかを満たす16歳以上の方で、団体登録は5名様、個人登録(研修室のみ利用可)は1名様のお申し込みが必要となります。予約は専用ホームページまたは、音声の電話ガイドから行っていただけます。

――来館される方の中にはどのような方がいらっしゃいますか?

上田さん:時間帯によって、お客様層は異なるものの、老若男女問わず多くの方に利用していただいています。トレーニング室では、午前中はご年配の方が多く、夕方以降は仕事帰りの方の姿が多く見られる印象ですね。教室が開催されている時は、時間に関係なく子どもからお年寄りまで、様々な方がいらっしゃいます。

広々とした
第1体育室

――どのような設備があるのでしょうか?また、利用の仕方について教えて下さい。

上田さん:体育室に関して、当日受付の個人利用(卓球・バドミントン・バスケットボール)があります。これは、登録や予約不要で、少人数でご利用いただけます。実施日程や混雑状況についてはお問い合わせください。第1体育室はバスケットボールコート2面分の広さ、第2体育室はその半分の広さです。第1・第2体育室はいわゆる体育館と聞いてイメージされるような空間で、バドミントン・バスケットボール・バレーボールなどの種目ができるほか、各種教室の開催もしています。また、スポーツセンターで開催しているイベントや、バドミントン・バレーボールなどの大会に利用されることもあります。第3体育室は少し特殊で、床が柔らかいクッション素材の部屋で、主にヒップホップや社交ダンスなどに利用される方が多いですね。開催している教室ですと、ジャズダンス・エアロビクス・骨盤体操などがあります。

リーズナブルな料金で利用できるトレーニング室

上田さん:トレーニング室は、1回300円で最大3時間ご利用いただけます。有酸素運動と、筋力トレーニングを中心としたマシンを設置しているので、体を動かすことが好きな方、運動不足の解消や、筋力をつけたい方など、さまざまな目的でご利用いただいています。予約は不要なので、ご自分のペースで運動していただけます。最近では、ご希望があれば、体組成計を使って体の中の脂肪量や筋肉量を測定することもできます(料金別途)。現在の体の状態を確認いただいて、トレーニングの参考にしていただければと思います。

また、トレーニング室の奥にある調整池という野外のエリアを使って、青空ヨガ・青空太極拳・星空ヨガなどの当日受付の教室を、平成28(2016)年度から始めています。天気が良い日には開放感があるので、普段とは違った雰囲気を味わえるのでおすすめです。参加者も徐々に増えていまして、主に暖かい季節に開催されるのでとても気持ちが良いですよ。

各種サークル活動に利用できる研修室

上田さん:また、研修室については、会議室のような部屋なのですが、会議はもちろんのこと、多目的にご利用いただいています。横浜市市民利用施設予約システムの個人利用の登録でお使いいただけるので、ダンスや空手の練習に使用されています。また、歌声サロンやエアロボクシングなどの教室でも利用しています。

地域の人々も長く親しめる、バラエティ豊かなプログラムを用意

施設内の弓道場

――「横浜市戸塚スポーツセンター」で開催されている教室には、どのようなものがあるのでしょうか?

上田さん:教室には、当日受付と事前申し込みの教室の2種類あります。事前申し込みの教室は、年に4回、3ヶ月単位で開催されるもので、祝日を除いて開催されますが、日程も事前に公開しているので申し込む前にご確認いただけます。申込みが定員を超える人気の教室の場合は、抽選で当選された方のみが受講していただけます。3ヶ月間継続して通うのが難しいという方向けには、当日受付の教室があります。こちらは、受付時間内に来館していただき、定員以内であればその日にご参加いただけます。お仕事帰りの方や、子育ての合間にふと手が空いたという保護者の方には、当日受付の教室が人気ですね。

ダンスやフィットネスの教室も開催

――中でも特徴のある教室や、人気の高い教室はありますか?

上田さん:人気のある教室は様々あるのですが、特に人気なのはヨガや健康体操教室などでしょうか。ヨガと聞くと女性だけなのではと考える男性の方もいらっしゃいますが、「横浜市戸塚スポーツセンター」では男女共にご参加いただけるヨガ教室も開催しています。先生も周りを気にせず楽しめる雰囲気をつくってくださるので、ぜひ参加していただければと思います。また、当日受付のズンバ教室は、2016(平成28)年度から始めたもので、とても力をいれています。ズンバはラテン系の音楽とダンスを融合して創作されたダンスフィットネスで、楽しみながら、心肺機能の向上、ストレス発散などの効果が期待できます。事前申し込みの教室では、全57種目の教室プログラムを開催しています。その中でも、横浜市を本拠地とするプロバスケットボールチーム「横浜ビー・コルセアーズ」さんで実際に活動されているチアリーダーに講師として指導をしていただいているチアダンス教室も人気です。

常に親しみやすく、参加しやすいプログラムづくりを心がけているだけでなく、年に1回調整をして、新しいプログラムなどを取り入れるようにしているので、地域の方に長く楽しんでいただきたいですね。

健康づくりにまつわる様々なきっかけを提供

マラソンイベントが行われる柏尾川プロムナード

――健康増進についての取り組みについて教えてください。

上田さん:区役所と行っている事業として、「スロージョギング」や、「ナイトラン」などのマラソン関連のイベントを行っています。講話と運動がセットになったプログラムで、体を動かすだけでなく、講話をあわせて受けることで健康増進につながればと考えております。体の動かし方のポイントのほか、栄養士さんからの栄養摂取についてのアドバイスなどもあります。健康にまつわるさまざまな知識が得られるので、自身の健康状態を再確認していただけます。仲間づくりにもつながりますし、継続して運動できる環境を整えたいと思っています。その他に、スタンプラリーや、子育てイベントに携わることで、地域との関わりを持った取り組みも積極的に進めています。

――開催されているイベントについても教えてください。

上田さん:毎年10月に丸一日かけて、「スポーツ・レクリエーションフェスティバル」を開催しています。トレーニング室体験や、スポーツセンターで開催している教室体験の他に、皆様が楽しんでいただけるプログラムを多数企画しています。当日はほとんどのプログラムが参加費無料でご利用いただけます。メインとなるプログラムは、第1体育室で行われるサークル発表会で、スポーツセンターの団体利用を通して活躍されている方々が、日ごろの練習の成果を披露する機会になっています。普段お越しいただいている地域の方々への感謝の気持ちを込めて行っているものですので、ご家族やご友人と一緒にお越しいただき、少しでも多くの方に運動するきっかけを提供できればと考えています。その他に、サーキットのように跳び箱や鉄棒を並べた、無料で遊んでいただけるキッズスペースも設置しているので、お子さん連れでもお気軽にご参加いただければと思います。

また、このイベントの他にも、親子サッカーイベントや姿勢測定、毎月行われているフットサルワンデーリーグなども開催しています。

日々の健康づくりに楽しみながら取り組めるスポットが充実の戸塚

「横浜市戸塚スポーツセンター」外観

――これから周辺地域に住まわれる方へメッセージをお願いします。

上田さん:戸塚エリアは、駅周辺が大変充実しているのが特徴です。「横浜市戸塚スポーツセンター」に限らず、駅近くには民間の運動施設が数多くあります。スポーツセンターの特徴は、会員制ではないので月会費もかかりません。来たいタイミングでご利用いただけることがメリットなので、お客様に合った使い方を提供させていただいています。

運動を始めたいと思っていても、きっかけがなかったり、普段からしていないので不安という方もいらっしゃいますよね。「横浜市戸塚スポーツセンター」では、初回利用の方にはスタッフが丁寧にご説明し、安心して来館していただけるようにしています。開催している教室も、初心者の方も参加できるようなプログラム内容となっています。これからも、地域の方々が運動に触れる機会を提供し、ご自身のペースで体を動かせる安全で快適な環境づくりに取り組みたいと考えています。

横浜市戸塚スポーツセンター

横浜市戸塚スポーツセンター

上田 志帆さん
所在地 :戸塚区上倉田町477
TEL :045-862-2181
営業時間:9:00〜23:00(土曜日は7:30〜23:00、日曜日、祝日は7:30~21:00)
休館日:第2月曜日(10月は第1月曜日 ※祝日の場合は翌日)、年末年始(12/29~1/3)、施設点検日
URL:http://www.yspc.or.jp/totsuka_sc/
※この情報は2017(平成29)年2月時点のものです。

地域の人々が継続してスポーツを楽しめる機会を提供する/横浜市戸塚スポーツセンター 上田志帆さん
所在地:神奈川県横浜市戸塚区上倉田町477 
電話番号:045-862-2181
開館時間:8:45~21:00(金・土曜日は23:00まで)
休館日:第2月曜日(10月は第1月曜日、祝日の場合は翌日)、年末年始
https://www.yspc.or.jp/totsuka_sc_ysa/

スペシャルインタビュー

未来を見据えた指導で子どもたちを羽ばたかせる/横浜市立戸塚中学校 校長 川邊哲生先生


再開発により真新しく変化した「戸塚」駅周辺。その西側、小高い丘の上にある中学校が「横浜市立戸塚中学校」だ。上級生と下級生が学び、教え合う校風が脈々と受け継がれ、2016(平成28)年度には創立70周年を迎えた。現在校長を務めるのは、長年市内の中学教育に尽力してこられた川邊哲生先生。教員生活のスタート地点となった「横浜市立戸塚中学校」に5年前再任され、さらによりよい学校にしたいと情熱を注いできた。保護者となったかつての教え子たちに今も慕われる川邊哲生校長先生に、同校や戸塚エリアの魅力を伺った。

生徒たちの運営で70周年記念式典を開催

「横浜市立戸塚中学校」川邊哲生 校長先生

――「横浜市立戸塚中学校」の概要、教育方針についてお教えください。

川邊 校長先生:本校は、一般級22、個別支援級5の計27クラスで、生徒数は881名です。「横浜市立戸塚中学校」は私が42年前に教員生活をスタートさせた学校なのですが、当時は約2,500名、全国2位の生徒数を誇っていました。その頃に比べると数は減りましたが、横浜市内で現在も大規模校に類しています。市内148の中学校のなかでも、落ち着いた学校であり、それは私が初めて赴任した頃と変わっていません。例えば、全校集会では、教師が指示しなくても、一切私語がない。また、市の「指定地区外就学許可制度」を利用して、本校に入学を希望するお子さん、保護者が大勢いらっしゃるほど、安定した学校です。生徒たちは、学校目標である「認め合い 高め合い 成しとげる」の実現に向けて、日々励んでいます。

2016(平成28)年度に発行された創立70周年記念誌

――「横浜市立戸塚中学校」の沿革をお聞かせください。

川邊 校長先生:1947(昭和22)年の創立の「横浜市立戸塚中学校」は、2016(平成28)年度で創立70周年を迎えます。生徒数が2,000名を超えていた頃はグラウンドにプレハブ校舎が立ち並び、教員も100名近くいましたが、舞岡・豊田・汲沢・南戸塚・領家中学校の独立開校、校舎の増築などを経て、現在に至っています。2016(平成28)年12月には創立70周年記念式典を開催し、記念誌も発行しました。子どもたちの記憶に残るものにしたいと、式典はすべて生徒に運営してもらい、記念誌には生徒たちの声をたくさん載せるなど、手づくり感のあるものにしました。70周年記念の「絆」の碑は、保護者ら地域の方たちの協力でできたものです。そうした地域の方の信頼や想いが次の世代に受け継がれていく、すばらしい伝統がある学校だと思います。

全国レベルの部活を擁する「文武両道」の校風

校内の様子

――学力向上のために特に取り組まれていることはございますか?

川邊 校長先生:もともと生徒たちの学習意欲が高く、近年では少人数制やITの活用などにも積極的に取り組んでいます。学校を取り巻く環境は常に変化しており、先生方にはさらに指導力を高めてほしい。学校は何より学習の場で、教師がそれを強く意識して生徒と対峙していくためには、生徒を引きつける魅力ある指導力を身につける必要があります。また、なぜ勉強が必要なのか、子どもたちに学習の目的を自覚させる指導が必要です。何のために学ぶのか、それは生きていくためであり、その先にあるのはどう生きるのかということ。高校に入るためだけの勉強ではなく、5年先、10年先を見据えた指導をすることが大事です。学習面で思考力がつけば、日々の生活の上での思考力も増していくと思います。

――進学実績についてはどうでしょうか。

川邊 校長先生:安定した進学率で、生徒たちはほぼ希望した学校に進んでいます。有名私立・公立高を含め、さまざまな学校へ進学していますね。今はどこの中学校の生徒もそうですが、本校の生徒たちも多くが塾へ通っています。

部活動で獲得した優勝トロフィーや盾が並ぶ

――部活動が盛んだと伺っています。

川邊 校長先生:総じてレベルが高い部活が多く、特に女子バスケットと剣道は全国レベルです。女子バスケットは、顧問が市内でもトップレベルの指導力を持ち、2017(平成29)年1月の神奈川県大会で優勝も果たしました。剣道は、2016(平成28)年度の県大会で個人戦優勝、団体戦準優勝を獲得しています。文化部では、吹奏楽が盛んで、2015(平成27)年度には県のコンクールで金賞を受賞しました。指導者にかかわらず、生徒たち自らよく練習していることが素晴らしいですね。教員も熱心で、必ず指導についています。校風でもありますが、「文武両道」の生徒がとても多いです。

「秋・実りの祭典」では生徒のいきいきとした姿が見られる

――学校行事などについて教えてください。

川邊 校長先生:合唱コンクールは毎年、鎌倉芸術会館を貸し切って開催し、保護者も大勢いらっしゃいます。文化祭の「秋・実りの祭典」も活気があり、合唱や吹奏楽、演劇などの舞台発表に、教員のパフォーマンスがあったりと、非常に和気あいあいとした雰囲気です。どんな行事でも、子どもたちはすごく意欲的に取り組んでいますよ。また、体育大会はさまざまな種目があり、なかでもソーラン節は毎年隊形の組み方などを変えて工夫をしています。保護者も観覧するのをとても楽しみにしていますね。

生徒や保護者の信頼を胸に教育に取り組む

体育の授業の様子

――「横浜市立戸塚中学校」ならではの取り組みはありますでしょうか。

川邊 校長先生:本校独自の取り組みとしては、2016(平成28)年度から学期ごとに発行している「戸塚中学校生徒白書」です。従来の学校だよりや学年通信だけでは情報開示とは言えない、保護者に学校でのお子さんの様子をもっと詳しく伝えたいという想いから始めました。保健室の利用状況やけがの発生状況・時間帯のデータなど、幅広い角度から詳細データを掲載しています。これは市内のどの中学校にもないもので、教育委員会からも評価をいただいています。

「横浜市立戸塚中学校」校舎外観

――日頃、生徒さんと接する上で心がけていらっしゃることはありますか?

川邊 校長先生:教員生活を何十年もやってきて、「子どもは必ず変わる」というのが私の実感です。すぐには変わらないが、いつか必ず変わる時がくる。ですから、目の前の子どもと関わり続けること、「変わる」と信じ続けることが大事です。私は本校の教員たちにも、「子どもたちが何年経っても思い出せる先生になりなさい」と言っています。あの先生の授業が好きだとか、字が好きだとか、服装が好きだとか、何でもいい。「ああいう大人になりたい」と思わせるような教員が求められていると思います。校長室には生徒の作品である絵を飾っていますが、絵を描いた生徒を呼んで感謝の言葉を掛けることはその一例です。生徒も喜びますし、保護者も「うちの子を励ましてくれた」と感謝してくださる。一過性ではなく、何事も未来へつなげていくことが大事だと思います。

便利で豊かな環境に育まれるまち 戸塚

自然に親しめるスポットも周辺に点在

――周辺地域の魅力やお勧めのスポットを教えてください。

川邊 校長先生:戸塚の魅力は、第一に便利なことです。横浜へ出るにも藤沢へ出るにもアクセスがよく、利便性が高い。その一方で、地域が非常に落ち着いていて、本校の保護者もこの地域出身という方がとても多いです。宅地化は非常に進んでいますが、安定した地域性は変わっていません。環境もよく、「横浜市立矢部小学校」の近くにある「谷矢部池公園」は、この地域の憩いの場になっています。私も毎日犬の散歩へ行くのですが、小川や池があり、貴重な動植物をたくさん見られます。タケノコが採れる森林もあるので、小学校の子どもたちは毎年タケノコ掘りへ行っていますよ。公園愛護会があり、会員の方たちが地域の子どもたちのためにと整備に力を入れています。戸塚は、地域の方々が子育て・教育への協力を惜しまない、そんな街ですね。

「横浜市立戸塚中学校」校長 川邊哲生 先生

横浜市立戸塚中学校

校長 川邊哲生 先生
所在地 :横浜市戸塚区戸塚町4542
TEL :045-864-1531
URL:http://www.edu.city.yokohama.lg.jp/school/jhs/totsuka/index.cfm/1,html
※この情報は2017(平成29)2月時点のものです。

未来を見据えた指導で子どもたちを羽ばたかせる/横浜市立戸塚中学校 校長 川邊哲生先生
所在地:神奈川県横浜市戸塚区戸塚町4542 
電話番号:045-864-1531
http://www.edu.city.yokohama.lg.jp/schoo..

たまプラ一座まちなかパフォーマンスプロジェクト 林月子さん インタビュー

まちと人、人とひとのつながりから「育ちあい」がうまれていく/たまプラ一座まちなかパフォーマンスプロジェクト 林月子さん


2013(平成25)年、「たまプラーザ」駅前の広場で行われた集団パフォーマンス、「フラッシュモブ」。その様子は動画サイトにも投稿され話題を集めたが、この“まちぐるみパフォーマンス”を企画したのは、たまプラーザの住民有志で作る「たまプラ一座(いちざ)」というグループだ。当時は「フラッシュモブ実行委員会」として活動していたが、現在は活動の幅をさらに広げていることから、名称も変わったという。

今回はこのフラッシュモブプロジェクトの発起人であり、現在も「たまプラ一座」の代表として活動に携わっている、林月子さんを訪ね、プロジェクトにかけた思い、たまプラーザの街の魅力などについてお話を聞いた。

お話を聞いた林月子さん

――まず、林さんが「たまプラ一座」を始められた経緯について教えてください。

林さん:今も横浜市と東急電鉄さんが取り組まれている「次世代郊外まちづくり住民創発プロジェクト」というものがあるんですが、これはもともと2012(平成24)年から始まったもので、当時、どんなプロジェクトができるかを話し合うワークショップが行われました。そのワークショップには地域住民が100人くらい参加し、「この街でこんなことをやってみたい」「こういう街になったらいいな」という意見交換をしました。そこから「住民の手で何かに挑戦しよう、何かを作ろう」という取り組みが幾つか生まれました。「たまプラ一座」もその一つですし、この「3丁目カフェ」も、そのプロジェクトから生まれたコミュニティカフェです。

さまざまなコミュニティが集う「3丁目カフェ」

それまでの私は、この街について、なんとなく、「きれいで、おしゃれで、ちょっとハイソ」みたいなイメージを持っていたんですが、私もそのワークショップに参加して、それだけじゃなくて、もっと人が育ちあえる、人が優しくなれる街になっていけばいいな、って思っていたことに気づかされました。たとえば誰かに「たまプラーザってどんな街?」って聞いた時に、「あそこに住んでいると優しい人になれるんだよ」とか、「みんなで助けあっている街だよね」とか、そういうイメージの街になったら、ここは本当の意味で“豊かな街”になる。そのために私は何ができるのかな、という思いが今につながっています。

2016年に開催されたパフォーマンス「BAMBOOOM」

パフォーマンスをするようになったのは、2013(平成25)年に駅前広場で行ったフラッシュモブが最初です。もともと私は「ダブルダッチ」という縄跳びの競技に関わっていました。実は、この街に何人もその競技の世界チャンピオンがいて、うちの子どもたちも世界チャンピオンになったことがあるんです。ですので、私はダブルダッチもこの街の文化のひとつだからもっと普及させたい、という思いを持ってました。そうしたら、ちょうどその当時「フラッシュモブ」が流行って、ダブルダッチでフラッシュモブをやったらダブルダッチもこの街も注目を集めそうだ、と考えたんです。

フラッシュモブから住民たちのまちづくりが始まった

ただ、広場の使用許可など課題も多く、面白そうだけど実現は難しいとも思っていました。ですが、まちづくりに関する講演会で、「たまプラーザの駅前広場は隠れる場所がいっぱいあるので、フラッシュモブにはピッタリですね」と講師の方がお話をされて、「もしかしたら出来るかもしれない」と。それでダブルダッチを取り入れたフラッシュモブ実施の企画で、「次世代郊外まちづくり住民創発プロジェクト」のプロジェクト候補にエントリーしたんです。そうしたら、本当に認定されて、認定プロジェクトになったことで駅前広場の使用許可ももらえました。

最初は1回だけのフラッシュモブ実現のために人を集め、その先のことはまだ具体的には考えていませんでした。けれど、実際にやってみたらフラッシュモブを通して知り合った人同士がつながって、「またやりたい」「これもやろうよ」となっていって…、これまでにパフォーマンスは合計4回もやってきました。今年度からは2年に1回のペースにしましたが、「またやりたい」という声がある限り、続けていきたいと思っています。

2016年に開催されたパフォーマンス「BAMBOOOM」

――当初は「フラッシュモブ実行委員会」だったんですね。それが「たまプラ一座」になっていったのですね。

林さん:2013(平成25)年の5月に立ち上げたのは、「フラッシュモブ実行委員会」という名前で、15人、私が一本釣りでメンバーを集めて始めました。それからメンバーが増えて、「たまプラ一座だよ!全員集合!」という名前になった時期もあって、今では「たまプラ一座 まちなかパフォーマンスプロジェクト」が正式名称になっています。でも、また別の名前に変えるかもしれません。長すぎて、領収書をもらう時などいろいろと大変なので(笑)。

――パフォーマンス以外にもさまざまな活動があるようですね。最近はどのような活動をされているのでしょうか?

林さん:これまでは1年に1回、街でパフォーマンスをすることをメインの活動にし、日頃暮らしている街の中を舞台に、ダンスや歌、打楽器などを使って、パフォーマンスをするという内容でした。けれど、実はこれらは「パフォーマンスをする」ことが目的ではなく、そこに至るまでの製作過程の中で、みんなが教えあったり励ましあったりして、「育ちあう」ことが本当の目的なんです。みんなが育ちあって、いつしか、街に大家族のようなつながりができればいいな、という思いでパフォーマンスをしてきたわけです。

林さんがインドで仕入れたスパイスを使ったカレーパーティーの様子

ですから最近は、他にも「育ちあい」につながるいろいろなことをしています。たとえば、みんなが気軽に集まれる場として、食のイベントをしたり、ワークショップをしたり、といった感じです。子どもたちが参加しやすいようにピクニックをやったり、資金を集めるために地域のお祭りでお店を出す、という活動もあります。

ユニークなものだと、近くに「ロリンズ」というジャズバーがあって、そこのマスターも仲間なので、そこを借りてよく食のイベントをしています。料理が得意なメンバーが主役になって、得意の料理を振る舞い、沢山飲んでもらって、その売り上げの一部を活動資金にするというイベントが多いですね。

私もたまに、「月亭割烹」という名前で、家で作っているような和食を出していますし、アジア料理が得意な藤本さんが「たかっしーのバリナイト」を開いたり、青森の七戸の団体と交流があるので、特産のニンニクを使って「ガーリックナイト」を開いたりもしています。本当にいろいろなことをしています。そこでは飲んで食べるだけじゃなくって、みんながそれぞれの活動の紹介をしたり、得意なことを披露したり。

駅前通り商店街で開催された「たまプラ―ザの夏祭り」に参加

あと、こういうイベントやパフォーマンスをやっていると、その中で新しい交流が生まれるので、自主的な活動もたくさん生まれています。音楽が好きな人が集まってバンドを作ったり、衣装が得意な人、絵が上手な人、楽器が好きな人、編み物が上手な人など、メンバーにはいろいろな得意分野を持った人がいるので、そうした人たちを中心とした活動も生まれています。私達の活動は一貫してはいませんが、自主的な広がりができてきています。

――「たまプラ一座」にはどんな方が参加しているのでしょうか?どうやったら参加できますか?

林さん:中心的なメンバーは「実行委員」で、私を含めて8名います。もう少し気軽に関わりたい人は「連絡会」のメンバーに、大きなパフォーマンスをする時には人数が必要なので、キャストとかパートナーという形で、その都度沢山の方に参加していただいています。これ以外にも、ちょこちょことお手伝いしてくださるボランティアさんもいます。

年齢も幅広くて、赤ちゃんから、最高齢は78歳の方まで、いろいろな年代の方、職業の方がいらっしゃいます。なので、イベントは主に週末にやっており、打ち合わせなども、みんなが集まりやすい時間でやっています。

「美しが丘公園」で開催された桜祭りにも

参加については、まずは、イベントごとに参加者を募集するので、そのタイミングで参加して下さるのが一番良いと思います。SNSでも募集の告知をしていますけれど、口づてで参加される方が一番多いと思います。これまで参加された方が、「すごく楽しかったから一緒に来ない?」と、誰かを連れてきてくれるんです。だから街の住人以外の方もいますし、「この街を良くしたい」と思っている方はもちろんですが、「ただ楽しみたい」という方でも大歓迎です。

なぜなら、私は参加する理由は「後付け」でいいと思っているからです。そもそも私達だって、まちづくりをしようと思ってこの活動をしているのではなくて、「みんなで一緒にやったら楽しいから」というところから始めました。それが結果的に、「育ちあい」につながって、みんながこの街を愛するということにつながると思うんです。

一座のみんなで活動について話し合います

それに私達は、いろんな“覆い”を取り払って、“素の人”同士でつながりあいたいと思っています。そうすれば、本当に、いざという時にも、声を掛けあったりしやすいし、それが本当の意味での「暮らしやすさ」になっていくのかな、と思っているんです。そこに大義名分は不要ですよね。

たまプラーザってなんとなく、ハイソな街のイメージが定着しているので、住む人もそういうふうに「演じていないといけない」と、ついつい思っちゃうんですけど、私は、そんなの取り払って、もっとさらけ出せばいいと思うんです。みんなが受け入れあって、受け止めあっていけば、本当に暮らしやすい街になると思っているので。だから気軽な気持ちで参加してほしいですね。

――将来のビジョンを教えてください。

林さん:わたしたちは「育ちあい」をテーマにしているので、とにかくこの活動を通して、「みんなが育ちあっていけたらな」と思っています。だから私達はいつも、「まちなかパフォーマンス」の最後に、「この街の育ちあいが広がっていきますように!」と唱和しているのですが、それが一番の思いです。たまプラーザの街で生まれた「育ちあい」が、世界中に広がっていってほしいな、と思っています。

――最後に、たまプラーザ地域の暮らしやすさ、子育て環境の魅力について、コメントを頂ければと思います。

林さん:私は1990(平成2)年からこの街に住んで、子育ても経験してきましたが、子どもを育てる環境という面から見ると、きれいに整った街並みで、治安がいいところですから、とても安心できる場所だと思います。そういった点を魅力に感じられて引っ越してくる方は多いみたいですよ。親としては、なるべく安全な場所で過ごさせてあげたいと思うのは当然だし、その意味で、ここはすごく魅力がある場所なのかな、と思います。

それから、最近は保育園が多くできてきましたし、子育てに関わる人たち、子育てに関心がある人たちが多くて、そのネットワークもありますから、子育てに不安を抱えることも少ないと思います。

実は私も、「横浜子育てサポートシステム」というものに登録していて、有償ボランティアとしてお子さんの一時預かりをしたり、最近まで「こんにちは赤ちゃん訪問員」として、赤ちゃんが産まれたばかりのご家庭に訪問して、市の子育てに関する冊子をお届けし、ママの様子を伺うという活動をしていました。そういう仕組みも整っていますし、参加する方も多いですし、「街のみんなで子どもを育てましょう」という雰囲気があるので、子育てはしやすいと思います。

たまプロピクニックなどみなさんで楽しむイベントも開催

もちろん、生活する場所としても、とても便利な街ですね。駅に出ればだいたいのものが揃うし、交通の便もいいです。自治会の活動もさかんですし、学校のPTAなどについても、「自分の子どものためなんだから、みんなでやりましょうよ」って雰囲気があって、みんな楽しみながら関わっている感じがあります。

それから、私がこの街の一番の資産だと思っているのは、人の「才能」です。私もこの活動を通してわかってきたのですが、たまプラーザには本当にいろんな、人に教えられるようなスキルを持った方が、沢山住んでいるんです。ここには特産品のようなものは特に無いんですけれど、そういった「人の才能」こそが、この街の資産であり、魅力だと思っています。

――最後に、この地域で生活したい方に向けてメッセージをお願いします。

林さん:ここは典型的な郊外住宅地で、緑も多くて、都心へのアクセスもとても良くって、日常生活をするうえでは何の不便もなく快適に暮らせる街です。そういうところも魅力なんですけれども、もうひとつ、街に住んでいる、いろんな才能を持った「人」も、この街の魅力であり財産だと思うので、ぜひいろんな人と出会って、「育ちあい」の輪に入っていただければと思います。

林さん

たまプラ一座まちなかパフォーマンスプロジェクト

代表 林月子さん
URL:https://ja-jp.facebook.com/tamaplaza/
※この情報は2017(平成29)年9月時点のものです。

まちと人、人とひとのつながりから「育ちあい」がうまれていく/たまプラ一座まちなかパフォーマンスプロジェクト 林月子さん
https://ja-jp.facebook.com/tamaplaza/

賛否両論 名古屋 料理長 丹下陽介さんインタビュー

「敷居の高くない日本料理店」を目指して。/賛否両論 料理長 丹下陽介さん


言わずと知れた和食の名店「日本料理 賛否両論」。その2号店となる名古屋店は、池下の閑静な住宅街にある。今回は、昨年4月より料理長を任される丹下陽介さんに「賛否両論」のこだわりから池下エリアの魅力まで、たっぷりとお話を伺った。

落ち着いた色でまとめられた外観

 

――まずは、「賛否両論」のコンセプトをお聞かせください。

丹下さん:一言で言うと、「敷居の高くない日本料理屋」。これにつきます。マスターの笠原将弘は「日本料理界のユニクロになりたい」と表現することがあります。

低価格で良いものを提供する。そのために、食材も高級なものばかりではなく、スーパーで一般的に手に入る食材も多く使っています。それを料理人が丁寧に手をかけることで美味しく仕上げ、お客様に満足していただくことを目指しています。

ゆったりとした店内

――2号店となる名古屋店について教えてください。

丹下さん:名古屋店は2013(平成25)年9月にオープンしました。本店との一番の違いはお店の規模です。恵比寿本店の18席に対して、名古屋店は45席あります。建物もゆったりとした造り。お庭がかなり広くて、お客様にゆっくりと食事を楽しんでいただけます。

お料理に関しては、本店も名古屋も同じ価格。6,500円の「おまかせコース」が基本のコースです。献立は2週間ごとに変わり、すべてマスターが決めています。

「鰆の西京焼き 山芋おろし」

――おすすめのメニューを教えてください。

丹下さん:今の時季は稚鮎ですね。稚鮎を春巻きの皮で蓑虫みたいに巻いた「稚鮎の春巻き」は、毎年5月に出す定番メニュー。パリっとした食感が美味しいです。夏は鱧がおすすめですね。季節感を大切にし、必ず旬の食材を使ったお料理をお出ししています。

「牡蠣の磯辺揚げと海老芋のおかき揚げ」

――丹下料理長のこだわりを教えてください。

丹下さん:僕が料理長になったのは去年の4月。ちょうど1年になります。初代の料理長の頃から、おかげさまで「美味しい」と言っていただけていたので、そこは引き継ぎながら、「賛否両論は楽しかった」と言われるような演出がしたいと考えています。

中庭の見えるテーブル席

――お客様に人気の演出を教えてください。

丹下さん:八寸という大皿の料理で、大きいお皿の上に豆皿を並べて料理を盛りつけ、5種盛りくらいで出しています。特に女性のお客様は「わー」っと喜んでいただけますね。これは名古屋で始めたことなんですが、マスターが「これいいね」と逆に恵比寿でも取り入れられています。

もうひとつ、日本酒専門の酒屋さんと組んで、うちの料理に合う日本酒をマリアージュさせてもらっています。料理ごとにお酒が全部変わり、日本酒の瓶を持っていってご説明しながら飲んでいただきます。おちょこもたくさんある中からお好きな物をお客様に選んでいただくのですが、楽しんでいただけているようです。色とりどりのおちょこ

 

――マスターはよく名古屋に来られるのですか。

丹下さん:毎月1回、3日ほどこちらに来ます。その際に翌月の料理の打ち合わせをします。手書きの献立を渡されるのですが、今は3分の2くらいは話さなくてもどういう料理か分かりますね。

新作のメニューがある時には「どんな感じですか」と聞きますが、「こう作って」とか、「分量は何cc」とか細かいことは言われません。それをすると、感性や味が育たないからだと思います。お客様に提供する前に、一品一品料理を細かくチェックすることはしないですね。来るとすぐに出汁とみそ汁は飲むのですが、その2つで大体できているかどうか分かるみたいです。

「オクラと金時草のおひたし 生うにフルーツトマト添え」

――マスターはどんな方ですか?

丹下さん:じつは僕は料理界にきてまだ6年目。その前はユニクロで店長をしていました。小学生の頃から、女の子に混ざって料理クラブに入ったり、料理はずっと好きでしたね。料理の本もたくさん持っていて、マスターの本も集めていたんです。ユニクロをやめて2年ほど岐阜市の割烹料理屋で修業をしていた時、偶然にも賛否両論が名古屋に来ることを知りました。知人を通じて履歴書を送ったところ、2日後にマスター本人から電話がかかってきて。もう鳥肌ですよ。面接は「居酒屋に行ったら最初に何を頼む」とか、「好きなお笑い芸人はだれ」とかそういう感じ。僕の料理の腕も見ずに、それだけでしたね。

丹下料理長

僕はマスターの作る料理が好きですし、選ぶ器のセンスも好きです。ユニクロになりたいというコンセプトもぴったり合っていますし、本当に出会いってあるんだなと思いますね。

マスターは本当に魅力的な人。ものすごく少年だなと感じることも多くて、自分が楽しいから、こういう料理を作りたいからやっているところが好きです。お手洗いに「血の掟」という紙が貼ってあるんです。賛否両論名物なんですけど、毎年1枚、マスターが書くのですが、ネタ帳というか、全部ギャグなんです。お客様は皆さんそれを読んで、全然お手洗いから出てこなくて。お椀が冷めちゃうんです(笑)

賛否両論 名古屋 血の掟

――丹下料理長は料理講座や食育講座などにも取り組まれていますが、その理由や想いについて教えてください。

丹下さん:食育は農林水産省の「和食」継承事業の一環で、出汁の授業をしたりしながら、一緒に給食を作る取り組みです。マスターは東日本の代表で、僕は中部地区の何人かいる料理人のひとり。まだスタートしたばかりですが、とても有意義な取り組みだと思います。

伺った中学に料理を好きな男の子がいて、僕のことをすごくしたってくれて。料理コンクールに応募したのですが、太刀魚を下ろした料理にチャレンジしたいということで、学校から頼まれて、大会前に少しアドバイスをしました。そしたらなんと、約2,000人の中で準グランプリになったんです。彼は今年から調理し専門学校に進学して、6月からうちにアルバイトに来るんです。

文化を引き継ぐということは、温かいものがなくてはいけないと思っています。人に惹きつけられるとか、その人の料理が好きだとか、そういう部分があると強い。今回それができたので、本当に良かったと思っています。

多彩な料理を生み出す包丁

――続いて「街の魅力」についてお聞きします。この街の魅力や個性はどんな点にあると感じますか?

丹下さん: 都心に近いベッドタウンというイメージですね。特にこの辺りは静かですし、地下鉄東山線で「名古屋」駅から1本で、便利なところだと思いますよ。

――おすすめの場所やお店があれば教えてください。

丹下さん:この辺りには小さないいお店がたくさんあります。最近僕がよく通っているのは、「松楽」というお好み屋さん。おじさんとおばさんがふたりで36年間続けているのですが、お店が本当にきれい。鉄板焼きのお店はベタベタすることが多いと思うのですが、それが全然なく、鉄板もすごくきれい。料理人として、すごく素敵だなと模範にしたいと思えるお店ですね。

――最後に、これから池下エリアに住みたいという方に向けて、メッセージをお願いいたします。

丹下さん:「日本料理屋の良いところは、お客様の人生に関われることだ」。初めてマスターに会った時にそう言われました。例えば、デートで訪れたり。その後結婚して子どもが生まれたら、お食い初めをする。七五三のお祝いをする。亡くなった後も法事で使っていただいたり。生まれてから亡くなった後まで、人生の節目節目で関わることができる。

京都には、各家庭ごとにお世話になっている料理屋さんがあるそうです。池下エリアに住まれる方とは、そういう関わり方、文化を作っていけたら良いですね。

 

「賛否両論 名古屋」料理長 丹下陽介さん
賛否両論 名古屋
料理長 丹下陽介さん
所在地 :愛知県名古屋市千種区高見2-1-12 ナゴヤセントラルガーデン
電話番号:052-753-7677
URL:http://www.sanpi-ryoron.com/
※この情報は2017(平成29)年5月時点のものです。

「敷居の高くない日本料理店」を目指して。/賛否両論 料理長 丹下陽介さん
所在地:愛知県名古屋市千種区高見2-1-12 ナゴヤセントラルガーデン
電話番号:052-753-7677
営業時間:11:30~、13:30~、18:30~21:30(L.O.)
定休日:月曜日(祝日の場合は翌日)
http://www.sanpi-ryoron.com/

スペシャルインタビュー

全力疾走で駆け抜ける“子ども最優先”のサッカークラブ「中野木FC」/総監督 山野久生さん


高校サッカー界で常にトップを争う「船橋市立船橋高等学校」を要する船橋市。自ずとサッカーファンや憧れを抱く子どもたちも増え、市内ではサッカーが盛んになっている。各小学校で行われているクラブ活動ではもサッカーは人気種目の一つだ。そんななか、「中野木小学校」のサッカークラブが、「中野木FC」として新たに出発することになったのは2005(平成17)年3月のこと。小学校のクラブの枠を超えて活動するサッカーを担当する「中野木FC」総監督の山野さんにお話しを伺った。

「中野木FC」総監督、山野さん

学校体育から社会体育へ

――「中野木FC」は、小学校のクラブ活動を拡大して現在のチームになったそうですね。

きっかけは先生方の人事異動でした。もともと4年生以上の児童が、学校体育としてサッカークラブの活動を行っていたのですが、2005(平成17)年3月に、これまでサッカークラブを担当していた先生が異動することになったんです。子どもたちもサッカークラブの活動をとても楽しみにして、熱心に取り組んでいたので、どうにかこれまで通りの環境を維持したげたいと考えていた時に、当時の教頭先生から“学校体育から社会体育に切り替えたらいかがですか”と提案をいただきました。そうして学校からもサポートをいただきながら、「中野木FC」として活動を拡大することになりました。
4年生以上はこれまで通り学校体育としても活動していますが、小学校3年生までの児童や、「中野木小学校」に通う予定の幼稚園の子どもたちも所属し、一緒に活動しています。

活動拠点の「船橋市立中野木小学校」校庭

――現在の所属人数や活動日・活動場所について聞かせてください。

所属しているのは131名で、その内の7名は園児です。活動場所は「中野木小学校」のグラウンドで、主に土曜日が練習日となっています。日曜日は試合が組まれることが多く、練習試合や招待試合のほかにも船橋市サッカー協会の主催する大会に、学年ごとで参加しています。

学年ごとに練習に取り組む

――練習・試合のほかに、子どもたちが楽しめるイベントはありますか?

クリスマス会などの季節行事を学年ごとに開催しています。所属人数が多いので、全体での行事は現実的に難しいのですが、子どもとその保護者が参加する「親子サッカー」だけは別です。一同にグラウンドに集まりサッカーを行うので、規模も大きく、大変に盛り上がります。

――子どもたちがサッカーを楽しむために、大切にしていることはありますか?

心がけているのは、“子どもを優先する“ことですね。試合をベンチから眺めるというのは面白くないですから、試合の組み方も含め、子どもたちがサッカーを楽しめる環境づくりに注力しています。基本的に運営は保護者の方の協力が不可欠なのですが、忙しいご家庭の場合は、できる範囲で構わないとしています。子どもがサッカーが好きで続けたいと思っているのであれば、その気持ちに応えてあげたいですからね。

女の子も男の子も一緒にサッカーを楽しむ

何事も“全力疾走”で取り組む姿勢を大切に

――「中野木FC」の特徴を教えてください。

チームスローガンは“全力疾走”です。試合だけでなく練習中も全力で取り組むように指導しています。みんなまじめで、一生懸命サッカーを楽しんでくれます。そういった環境づくりが関係しているのか分かりませんが、対戦した相手チームからは“いいチームだね”、“またぜひ試合をしましょう”と言っていただけることが多いです。それ以外では、所属人数の多さから部費が安いというのもご家庭にはうれしい特徴でしょうか。

練習に励む子どもたち

――子どもたちの成長に関して、印象的なピソードがあれば聞かせていただけますか?

地道に努力をしている子どもが良いプレーをしたときや、サッカー以外でも、体力がなかった子どもが、学校のマラソン大会で良い結果を出すようになったときなどは、やはり指導に携わる者として嬉しいですね。

――保護者との関わりについても教えてください。

たくさんの保護者の方が運営に協力してくださっています。所属人数が多いこともありますが、コーチが30名近くいるというのはそう多くないかと思います。他にも、試合のときに自動車を出してくれたり、怪我をしたときの対応など、恵まれている環境だと思います。

沢山の保護者が活動を支えている

――最後になりますが、「中野木小学校」周辺の魅力を教えていただけますか?

住んでいると実感しますが、本当に静かですね。新京成線「前原」駅・「新津田沼」駅や、始発駅であるJR「津田沼」駅も近く、また美味しいベーカリーやレストランも充実しています。色々な施設がある割には、とても落ち着いた環境だと思います。社会人になり、そして家庭を持ってもなお、この生まれ育った街から離れない方が多いというのも頷けますね。

中野木FC

中野木フットボールクラブ

総監督 山野久生さん
URL:http://www.sportsite.jp/sc/chiba/funabashi/nakanogi/
※この情報は2017(平成29)年9月時点のものです。

全力疾走で駆け抜ける“子ども最優先”のサッカークラブ「中野木FC」/総監督 山野久生さん
所在地:千葉県船橋市中野木2-19-1 
http://www.sportsite.jp/sc/chiba/funabas..

杉並区役所 保健福祉部 子育て支援課 課長 大澤章彦さん インタビュー

切れ目のない子育て支援を目指して、「杉並区役所 保健福祉部 子育て支援課」/課長 大澤章彦さん


“地域で子どもを支えたい”という思いから生まれた子育て応援券、待機児童ゼロを目指した保育園2000人の定員増の取り組み、悲しい事例を一つでも減らそうと杉並区独自の児童相談所開設の準備など、区内の子育て世代をサポートしたいという熱い思いが伝わってくる杉並区役所子育てに関するさまざまな取り組み。日々子育て支援の最前線に立つ保健福祉部子育て支援課課長の大澤さんに、杉並区としての既存の支援内容から今後新たに着手する分野まで、詳しくお伺いしました。

「妊娠を考えたときからの切れ目ない支援」

子育て支援課課長の大澤章彦さん

――杉並区が取り組む子育て支援策について、主軸に据えている取り組みを教えてください。

大澤課長:杉並区では「妊娠期から切れ目ない支援」を行うことに重点を置いています。さらに言えば不妊治療に関する相談や特定不妊治療に対するサポートも行なっていますので、「妊娠を考えたときからの切れ目ない支援」と言ってもいいかもしれません。

妊娠が分かったら妊娠届けを出していただきますが、以前は区民事務所などでも母子健康手帳を交付していましたが、現在は区内5ヶ所ある保健センターと本庁のみで交付することにしました。これは、その際に、必ず、保健師や助産師などの専門のスタッフと20~30分間、個別にじっくりとお話をする「ゆりかご面接」を実施するためでもあります。

「杉並区役所」

面接では妊娠中の過ごし方や妊娠前後から利用できるサービスの内容を伝えたり、一人ひとりの育児支援プランを渡したり、不安なことがないかを吸い上げて、きめ細やかな支援を目指して実施しているものです。「妊娠」が初めての自治体との接点という方も多いので、より身近に感じてもらい、より親身になってサポートする必要があると考えています。

ゆりかご券

――妊婦さんや子育て中のお母さんが利用できるゆりかご券を配布しているとか?

大澤課長:先ほどお話しした妊娠時の「ゆりかご面接」の際に「ゆりかご券(10,000円分)」を、お子さんの誕生時に「出生児応援券(20,000円分)」を交付しています。また、0~2歳児の間は年1回20,000円分を、小学生以下の兄弟が2人以上いる世帯の第三子以降の0~2歳児には年1回25,000円分の無償応援券を各御家庭に交付しています。この応援券は、マタニティヨガや産後ケアのデイサービス、お子さんを預かるサービスなど、地域の子育て支援サービスに利用できるものです。

「ゆりかご券」が使用できる「レストナック幼稚園」

これらのサービスは「地域で子どもを支えよう」という思いから生まれたもので、利用者と事業者を応援券でつなぐことを目的にしています。当初はサポートをする事業者側が何をどうしたらいいのか、という状態から手探りで進めてきた取り組みです。しかし、おかげさまで意識改革から実際のサポート内容まで、この取り組みをきっかけに“地域の子育て力”がアップし、良質なサービスが提供できるようになりました。

お母さんたちを孤立させないための様々な施設整備を

「和泉子どもセンター」

――杉並区では「子どもセンター」という施設があるのですね?

大澤課長:この施設は子育て支援サービスに関する情報提供や相談を受けることを目的に、区内5ヶ所にある保健センター内に設置しているものです。区内の子育て支援サービスに関する情報は「子どもセンター」に集まるようになっています。妊婦さんから未就学児の保護者までを対象にしており、保育園への入園申し込みなども受け付けています。

「子どもセンター」には親子に嬉しい設備も整う

――子ども・子育てプラザも今後増やしていく予定だと伺いました。

大澤課長:現在は永福町にある「子ども・子育てプラザ和泉」1ヶ所だけなのですが、2018(平成30)年には天沼と成田にも新たにつくる予定です。杉並区は区内を7つの地域に分けて政策に取り組むことが多いのですが、将来的には各地域に2つずつの「子ども・子育てプラザ」を設置する予定です。

「子ども・子育てプラザ和泉」

小さな子どもを連れての外出は心配事も多く、どうしても親子だけで室内で過ごす時間が増えてしまいます。そこで子ども・子育てプラザのような場所があちこちにできれば、家の外に出るきっかけなり、集団の中で我が子を見ることもできるのではないかと考えています。そこに集まるお母さん仲間やスタッフと話や情報交換をすることで、少しでも育児の不安や疎外感を払拭してもらえればと思います。

行政の一方的な発信ではない、母に寄り添うサイトを運営

――すぎなみ子育てサイトの運営について心がけていることなどはありますか?

大澤課長:すぎなみ子育てサイトには、杉並区で子育てをしている現役お母さんたちが自分たちで取材し、記事を書いている区民参加型のコンテンツ「すぎラボ」があります。親子で遊びに行く場所やイベント、親子で参加できるワークショップなどの「おでかけ情報」、区内の幼稚園や習い事、お母さんの学びの場などの「学び情報」、防災や子どもの病気などのコラムを集めた「安全・安心情報」など、子育て中の保護者の視点から情報を発信しています。

子育て中のママたちが発信している「すぎラボ」

すぎなみ子育てサイトでは、行政情報を一方的に発信するのではなく、お母さんたちが求めているものが何なのかを考え、その気持ちに寄り添う内容になるように心がけています。子どもの成長段階に応じた内容にしたり、リンクを張ってより詳細の情報へ飛ばしたり、見せ方を工夫してより見やすく気軽に見に来てもらえるサイトを目指しています。
なかなか外に出られないお母さんや働いているお母さんたちでも、このサイトの情報ならいつでも見てもらえるので、いろいろな場面で役立ててほしいですね。

――今後杉並区として力を入れていきたい取り組みはありますか?

大澤課長:杉並区では前年度に保育園の待機児童解消のための対策を行い、2017(平成29)年度には待機児童が29名にまで減少しました。しかし区内の乳幼児の数が増加傾向にあることから、来年度の保育所への入所状況は未知数なのが現状です。

これを受け、2018(平成30)年には高円寺・和泉・方南町地区には新たな保育所をオープンさせる予定で、その後も1年間で1,000人の定員増を目指しています。「施設を増やしても保育の質は落とさない」を合言葉に、質の高い保育のクオリティは確保したまま待機児童ゼロを目指したいと思っています。杉並区は保育需要がある層が転入してくるケースが多いので、そういった若いファミリー層の期待に応えたいと考えています。

庁舎内にある「コミュかるショップ」

――杉並区独自の児童相談所も開設準備を進めていると聞きました。

大澤課長:2016(平成28)年度に児童福祉法が改正され、東京23区においても区独自の児童相談所が設置できるようになりました。これまでの児童相談所というのは東京都が設置したもので、杉並児童相談所は杉並区のほか中野区、武蔵野市、三鷹市も担当しています。非常にデリケートで深刻なケースを扱うことの多い児童相談所が独自で開所できるということになれば、よりスピーディな対応が可能になりますし、情報共有や方針の決定ももっとスムーズにできるようになります。

子どもに関するセーフティネットを充実させ、より適切に事例に対応するため、現在杉並区でも懸命に開所準備をしているところです。ただ、入れ物だけを作って中身がお粗末では本末転倒ですから、職員の育成から体制整備など周到に準備したいと考えています。

――最後に、方南町エリアの魅力を教えていただけますか?

大澤課長:方南町というのは杉並区のなかでも非常にユニークな地区で、「方南銀座商店街」がとても元気な楽しい街ですよね。近年では高円寺阿波踊りならぬ、方南町エイサー祭りも開かれたり、ハロウィンパレードや宝探しアドベンチャーなど、独自のお祭りやイベントを企画して開催しています。

「方南銀座商店街」

また方南エリアに住む子育て中のお母さんを中心メンバーにした「方南こまち」という地域団体があり、親子向けイベントを開催したりフリーペーパー『ここまち』を発行したりと活発な活動をしています。そういう意味でも、方南町は仲間がたくさんいますし盛り上がっているので、子育てがしやすい街だと思います。
また和泉保健センターや子どもセンターもサミットの裏側にありますので、気軽に立ち寄って利用してほしいですね。

杉並区役所 大澤章彦さん

杉並区役所

杉並区役所 保健福祉部 子育て支援課 課長 大澤章彦さん
所在地:東京都杉並区阿佐谷南1-15-1
電話番号:03-3312-2111
URL:http://www.city.suginami.tokyo.jp
※この情報は2017(平成29)年10月時点のものです。

切れ目のない子育て支援を目指して、「杉並区役所 保健福祉部 子育て支援課」/課長 大澤章彦さん
所在地:東京都杉並区阿佐ヶ谷南1-15-1 
電話番号:03-3312-2111
開庁時間:平日 8:30~17:00、 土曜 9:00~17:00(但し一部業務に限る)
休庁日:日曜日・祝日・年末年始
http://www.city.suginami.tokyo.jp

藤沢市立高浜中学校 校長 中村裕司先生 インタビュー

文教エリアに心地よい風、吹き抜ける「藤沢市立高浜中学校」/校長 中村裕司先生


「藤沢市立高浜中学校」があるのは、サーフボードを横掛けした自転車が通るような場所。そして小学校、高校、大学が近い文教エリアとも言えるような場所だ。1973(昭和48)年4月 に「横浜市立湘洋中学校」から分離・開校した同校の特徴のひとつは、生徒会の提案力・実行力・実践力である。ロケーションに恵まれた「藤沢市立高浜中学校」の教育環境と学校生活を中心にお話を伺うことにした。

自ら関わり提案する、生徒たちの主体性

藤沢市立高浜中学校

――まずは、「藤沢市立高浜中学校」の概要を聞かせてください。

中村先生:本校は、1973(昭和48)年4月 に「藤沢市立湘洋中学校」から分離する形で開校しました。“高浜”という校名は、“湘南の空のように高く、相模湾の浜のように広く、そして深きを極め”という想いが込められています。

校名である“た・か・は・ま”に掛けて、“た”の高い理想、“か”の輝く瞳、“は”の羽ばたく力、“ま”の学ぶ喜び、この4つのキーワードを大切にしています。校章のデザインは相模灘の波と未来への広がりがあしらわれています。これは開校当時、1期生の作品を採用してデザインしたものです。

校章

――文化祭や合唱コンクールについて、他校にはない特徴などあれば教えていただけますか?

中村先生:合唱コンクールに関しては、特徴と言うと難しいですが、生徒たちは熱心に取り組んでいます。文化祭には一つ目玉となっている演目がありまして、生徒会が制作した台本を、本校の生徒と先生方が劇として演じるというのが恒例となっています。

また、職場体験や八ヶ岳での体験教室、修学旅行といった学校行事をまとめた掲示物もなかなかの出来栄えです。家で子どもに話を聞いても具体的にはなかなかイメージできなかった学校行事が、追体験できたと喜ばれる親御さんの声も聞けて、嬉しく思いました。

藤沢市立高浜中学校

――学校行事以外での特徴はいかがでしょうか。

中村先生:本校には、生徒がデザインを手がけ、美術教員がデジタルデータ化した「たかはまるドール」というゆるキャラがいます。2016(平成28)年に熊本地震があった際には、被災地に義援金を送るため、生徒会の提案で「たかはまるドール」がプリントされたクリアファイルを制作、販売しました。こうした活動を提案できる、生徒の主体性を改めて実感する機会にもなりました。

また、国際理解教育の一環としてユニークな活動も行っています。修学旅行の際に外国人観光客に声を掛け、本校のゆるキャラ「たかはまる」を手渡し、帰国したら送り返してもらうという活動です。これは長年続けている活動で、この声掛けがきっかけで交流が生まれることもあります。先の展開の読めなさがかえって、生徒たちの興味をそそるようです。

たかはまる

――近隣の学校との連携はありますか?

中村先生:本校は、文教エリアと言ってもいいような場所にあります。小学校2校に加え、「湘南工科大学」とその付属高校「湘南工科大学附属高等学校」もすぐ近くにあります。「湘南工科大学附属高校」とは生徒指導などの情報交換はもちろん、高校の施設をお借りすることもあります。

また、毎年7月に本校が行っている「浜辺のDay」という全校生徒参加の海岸清掃活動には、同校から数百人近い生徒たちが手伝いにきてくださいます。本校の保護者や地域の方々も参加するのでなかなかな大規模行事になります。学校間だけでなく地域との連携、さらには湘南の自然環境をより向上させる取組みと言えますね。

「辻堂海浜公園」をはじめ豊かな自然が身近に

――地域や保護者からの支援はありますか?

中村先生:教育活動を進める上で、PTAはもちろんですが、地域の方が介助員や学習指導員として校内に入ってくれたり、三者連携として校外から支えてくれたりしています。大変熱心で、協力的な方が多いので本当にありがたいですね。

――最後に“生活”というテーマで、学校周辺の印象を聞かせていただけますか?

中村先生:ここ数年の「辻堂」駅周辺の発展は目覚ましく、ショッピングセンターができたことでさらに便利になりました。また、1年を通じて様々なイベントが開かれる「辻堂海浜公園」は、この街には欠かせない存在と言えます。転出者が少ない理由のひとつは、こうした豊かな自然環境と生活利便性のバランスの良さにあるのかもしれません。

文教エリアに心地よい風、吹き抜ける「藤沢市立高浜中学校」

藤沢市立高浜中学校

中村裕司先生
所在地:藤沢市辻堂西海岸1-4-3
電話番号:0466-34-5225
URL:http://www.fujisawa-kng.ed.jp/jtakh/
※この情報は2018(平成30)年4月時点のものです。

文教エリアに心地よい風、吹き抜ける「藤沢市立高浜中学校」/校長 中村裕司先生
所在地:神奈川県藤沢市辻堂西海岸1-4-3 
電話番号:0466-34-5225
http://www.fujisawa-kng.ed.jp/jtakh/

「楽しくなければサッカーではない!」 をモットーにした地域のフットボールクラブ/磯辺FC 奥小路晴夫コーチ、入江夕梨花コーチ


落ち着きのある住宅地がひろがる「検見川浜」駅を最寄りとした千葉市美浜区の磯辺エリア。1984(昭和59)年の設立より30余年を迎える「磯辺フットボールクラブ(磯辺FC)」には、「磯辺小学校」「磯辺第三小学校」の子どもたち約100名が在籍し、女の子だけのチーム「BAY FLOWERS(ベイフラワーズ)」があることでも知られています。今回は、2・5年生を指導する奥小路 晴夫コーチと、女子チーム「BAY FLOWERS(ベイフラワーズ)」を率いる入江 夕梨花コーチに、チームの特色や地域の魅力についてお話を伺いました。

「磯辺FC」は1984(昭和59)年に設立されたそうですが、沿革を教えてください。

磯辺FC インタビュー 集合写真

入江コーチ:「磯辺FC」は、旧「磯辺第一小学校」の子どもたちを中心にした「磯辺グリーン少年サッカークラブ」として発足したのがはじまりです。当時はこのあたりも子どもの数が多く、野球やサッカーをはじめさまざまなクラブ活動が盛んに行われていたようです。

女子チームも設立と同時にあったのですが、メンバーの増減に伴い何度か活動休止したこともあったようです。女子チームと成年男子チームができたことで、「磯辺グリーン少年サッカークラブ」は「磯辺フットボールクラブ(磯辺FC)」へと名称を変更して現在に至ります。

メンバーは男子チーム、女子チームそれぞれ何名いらっしゃいますか?また活動頻度、練習場所についても教えてください。

磯辺FC インタビュー 広々としたグラウンド

奥小路コーチ:2016(平成28)年4月現在、「磯辺FC」全体でおよそ100名のメンバーが在籍しています。今日は6年生と5年生で編成した2チームがそれぞれ別の場所へ遠征試合に行っており、「磯辺第三小学校」の校庭では1、2、3、4年生が学年ごとに分かれて練習しています。

練習は通常、毎週末の土日と祝日で、午後1時30分から4時30分までの3時間を予定しています。練習場所は「磯辺小学校」や磯辺第三小学校」の校庭が中心となりますが、サッカー専用グラウンドのある「美浜ふれあい広場」なども利用しています。

磯辺FC インタビュー 女子チーム

入江コーチ: 女子チームのメンバーは、現在は6年生4名、5年生1名、3年生2名、2年生1名の計8名で活動しています。女子チームの発足当時は、美浜区内で唯一の女子チームとして注目を集めました。その後、千葉市内には幾つもの女子チームが誕生しました。しかし、子どもの人数そのものが減ってきていることもあり、現在千葉市内では、私たち「BAY FLOWERS(ベイフラワーズ)」を含めて3チームが活動しています。

指導するにあたって大切にしていることは?

磯辺FC インタビュー 子どもたちが楽しむことを第一に

奥小路コーチ: 「磯辺FC」全体のチームの方針として「楽しくなければサッカーではない!」をモットーに掲げていて、まずは“楽しい”と感じられることを第一に考えています。

それと個人的な思いとしては、サッカーだけにこだわらず運動能力が高まると言われている12歳くらいまでの間に、いろいろな要素を取り入れて幅広いスポーツの経験をさせてあげたいと考えています。

磯辺FC インタビュー テニスボールを使った練習

今日の2年生の練習では、テニスボールを使ったキャッチボールを行いました。利き手じゃないほうの手だとなかなかうまく投げられず、フォームそのものが違うことを指摘してあげると自分の身体にも意識が向くようになります。 もともと私が野球チームで長くプレーしてきたこともあって、経験やノウハウを生かして子どもたちの指導にあたっています。

コーチを引き受けることになったきっかけは?

磯辺FC インタビュー コーチと子どもたち

奥小路コーチ: 野球ひと筋でこれまでやってきたので、子どもが「サッカーやりたい」と言ったときは正直なところ葛藤はありました。しかし、仕事以外の時間で子どもと触れ合える時間も限られるため、子どもがクラブに入るのと同時にコーチを引き受けました。

「磯辺FC」は営利団体などが運営するクラブチームではありませんので、在校生のお父さんとお母さんが中心となってボランティアで成り立っています。唯一、クラブが発足した頃から指導に当たっている監督と呼ばれる方はいますが、それ以外はサッカー経験の有無を問わずスポーツ好き、子ども好きのお父さんたちがコーチとして集まってくれています。

磯辺FC インタビュー 奥小路コーチ

コーチは現在35名の方に登録いただいて、そのうち10名はお子さんが卒業した後もボランティアとして協力してくださっている経験豊富なOBコーチです。

女子チームを率いる入江コーチは日本サッカー協会公認のC級コーチ、3級審判の資格も持っていて、「BAY FLOWERS」の指導はもちろん、県大会の審判なども務めており、女子サッカーの普及に取り組む熱心な指導者のひとりです。

近隣には民間のクラブチームも数多くあるようですが、「磯辺FC」ならではの魅力や特色は?

磯辺FC インタビュー 楽しそうな様子の子どもたち

奥小路コーチ: プロのサッカー選手を志望する子どもたちは、専門の指導者がいるクラブチームを選びますが、限られた枠の選抜チームに選ばれるには熾烈な戦いが待っています。なかには試合にあまり出られずに卒業してしまうこともありますし、サッカーの楽しさと勝負の結果とが必ずしも一致するわけではありません。

磯辺FC インタビュー 全力で走る子どもたち

そこで「磯辺FC」では、試合の結果ももちろん大切ですが「みんな試合に出してあげたい!」という気持ちが強く、勝負にこだわり過ぎないようにしています。6年生になると毎週のように練習試合や公式戦の試合が組まれていて、子どもたちにとってはやりがいがあると思います。

また、練習や試合以外の楽しみも多く、毎年5月に「親子サッカー大会」、秋には「合宿」が行われるほか、サッカー以外でもBBQやスキーなどのイベントも盛りだくさんです。

イベントについて詳しく教えてください。

磯辺FC インタビュー ストレッチ

入江コーチ: 年間を通じてさまざまなイベントがあるのですが、「磯辺FC」の100名全員が揃うイベントとして「親子サッカー大会」があります。ちなみに今年(2016年)は5月29日(日)に開催する予定です。また年末年始には蹴り納め、蹴り初めといったイベントもあり、保護者が用意してくれた温かいコーンスープを飲むのが恒例になっています。

また「磯辺FC」の6年生チームと「磯辺中学校」のサッカー部との交流戦があるのも特徴かと思います。「磯辺FC」を巣立っていった子どもたちの成長した姿を見られる、コーチとしても楽しみなイベントのひとつです。

「磯辺FC」のOBのなかには、学業の合間を縫って指導に来てくれる大学生や、6年生の「お別れサッカー」に駆けつけてくれる卒業生もいて、「磯辺FC」のことを想う磯辺のいろいろな人の協力をいただきながら運営されています。

磯辺地域の魅力とは?

磯辺FC インタビュー 北磯辺公園

入江コーチ: 私は磯辺の小学校と中学校を卒業した地元の人間なのですが、結婚を機に地元に戻ってくる同級生も多く、生活しやすい居心地の良い地域だと思います。親子2代で同じ小学校に通うご家庭も少なくなく、わが家の子どもも同じ小学校を卒業しました。

磯辺FC インタビュー 検見川の浜

奥小路コーチ:私は関西出身で磯辺に移り住んだのは7年前のことなのですが、この地域には病院が多く、小児科や耳鼻科など頼りになるかかりつけ医が身近な場所にいてくれるのは親としては安心です。 また週末のお休みを利用して「ドイツ村」に出かけたり、雨の日であれば「アクアリンクちば」でスケートをしたりと、少し足を伸ばせばレジャースポットも多く、子どもを連れて遊びに行ける場所が多いのも魅力的です。

海はこの地域に住んでいると、当たり前になり過ぎて「海に行こう!」とわざわざ口にする必要も無く、散歩をしたりジョギングをしたりと生活の一部として海辺のライフスタイルを楽しんでいます。

最後にこれからこの地域にお住まいになる方へメッセージをお願いします。

磯辺FC インタビュー 元気に練習する子どもたち

奥小路コーチ: 「磯辺FC」では、“無料”の体験入会を随時行っているため、「磯辺FCってどんなチームなんだろう?」とか、「どんなコーチ、友達がいるのかな?」と少しでも興味を持っていただいたお子さんにはぜひ一度お越しいただければと思います。 詳しくはクラブの公式HPにメールの連絡先を記載しておりますので、気軽にお問い合わせください。

磯辺FC インタビュー 体育館練習の様子2

入江コーチ: 女子チームでは、練習の後に近くの公園でみんな揃ってご飯やおやつを食べるいわゆる“女子会”もあり、異なる学年の子どもたちが一緒に楽しく過ごせる貴重な場になっているようです。 学校の友達ともまた違う、年齢の異なる集団のなかでぜひ楽しい思い出をたくさんつくりましょう!

磯辺FC インタビュー 奥小路コーチ と 入江コーチ

今回、話を聞いた人

磯辺フットボールクラブ
奥小路 晴夫コーチ、入江 夕梨花コーチ

お問い合わせ先:isobefc@yahoo.co.jp
URL:http://www22.atwiki.jp/isobefc/

※2016(平成28)年4月実施の取材にもとづいた内容です。 記載している情報については、今後変わる場合がございます。

恵まれたホームグラウンドで躍動する
チーム全体で目指し、勝ち取る「一勝」の価値/少年野球チーム 磯辺トータス


緑あふれる「北磯辺公園」をホームグラウンドとする「磯辺トータス」は、1979(昭和54)年8月に発足。親子2代でメンバーだったというエピソードも、着実にこの地で歴史を重ねてきたチームならではのものだろう。検見川浜の元気な子どもたちが目標を持って輝いている「磯辺トータス」について、代表の鈴木起成さんにお話を伺った。

まず最初に…検見川浜エリアの子どもたちは、スポーツが好きな元気な子が多いと伺いました。実際いかがでしょうか?

少年野球チーム 磯辺トータス インタビュー

このエリアは海や川も近いですし公園も多いので、スポーツをする環境に大変恵まれていると思います。川沿いや海岸をランニング・サイクリングする人も多いですし、マリンスポーツも盛んですので、スポーツやアウトドア好きな親も集まってくる街だと思います。それで子どもたちも自然とスポーツ好きな元気な子に育っていくのだと思いますね。

では、そんな元気な子どもたちが所属する「磯辺トータス」の歩みについて教えてください。

少年野球チーム 磯辺トータス インタビュー

当チームが発足したのは1979(昭和54)年8月のことです。子どもたちに野球の面白さを伝えるだけでなく、同時に心身の成長に貢献出来るチームにしようというのが根底にありました。9名からのスタートですが、他の地域から検見川浜エリアに家族で移り住んでくる方が多かったこともあり、メンバーは順調に増えていきました。

チームにはA・B・Cの3グループがあるそうですね。

少年野球チーム 磯辺トータス インタビュー

Aは6年生を中心とした選抜メンバーで、Bは5年生以下。そしてCは、4年生以下で構成されています。学年に関係なく、心から野球を楽しんでもらいたいと考えていますが、中学生や高校生になったときのことを考え、挨拶や言葉遣いについては厳しく指導しています。

2015年度は、『原点~子どもらしく~』をスローガンとしていますが、ここに込められた思いを教えてください。

少年野球チーム 磯辺トータス インタビュー

野球だけでなく、原点を忘れないというのは大切なことだと考えています。“子どもらしく”というのは、指摘されたことを素直に聞くということでもあります。情報過多の時代ですが、まずは目の前にいる人の意見を聞くことが大切です。それをしなくなった時点で、成長は止まってしまいます。

結成当初は、試合に負け続け2年目の大会で悲願の初勝利とありますが、勝利するチームに導くため、子どもたちをどのように育てることを心がけていらっしゃいますか。

磯辺トータス 野球 選手

少年野球とはいえ、やはり勝負事というのは甘いものではありません。結成当初、なかなか試合に勝てなかったので、勝負に勝つために、早朝練習も始めましたね。そうした努力が実ったのは発足から2年目の秋のことでした。たかが1勝、されど1勝でした。勝つことの難しさと喜びを味わった試合でしたね。

少年野球チーム 磯辺トータス インタビュー

結成から35年以上が経ちましたが、美浜区は強いチームが多く、なかなか簡単には勝てませんね。春や夏の大会では結果が残せなくても、秋の大会では結果が残せるように頑張っています。また、朝の練習以外にも、5、6年生には野球ノートを書いてもらっています。教わったこと、失敗したこと、試合の成績、平日に行った練習、質問などが書かれています。毎週末、監督が目を通してコメントを記入してくれますので、子どもたちも監督からの言葉やアドバイスを大事にして練習に励んでいます。野球ノートを書き始めてから勝率も上がったように思います。

子どもたちには、目先の勝利にとらわれることなく、出来るだけ長く野球を愛し、続け、楽しんでくれたら良いな、と考えながら指導しています。2014(平成26)年の卒団生は中学に行っても全員野球を続けてくれていますし、2015(平成27)年の6年生も全員が「中学に行っても野球をやりたい」と言ってくれています。 まずは野球を好きになってもらって、結果として強いチームになれたら良いですね。

チームの練習環境について、どのような印象を持たれていますか?

少年野球チーム 磯辺トータス インタビュー

「北磯辺公園」は、「磯辺トータス」と大人の軟式野球チーム、そしてソフトボールチームのホームグラウンドです。自治管理方式で運営・管理しており、日常的に清掃・整備しながら利用しています。「北磯辺公園」は”公園”ではありますが、野球に適した広さのグラウンドと設備があります。これほどのグラウンドを利用出来るチームは多くないので、とても恵まれていると思います。また、近くにある砂浜は走塁練習に最適です。子どもが思い切り活動出来る環境が身近にあるのは嬉しいですね。

野球以外にも、交流会や行事などはありますか。

少年野球チーム 磯辺トータス インタビュー

基本的には野球に関わるイベントが多いですが、年間の行事としては、大きく分けて6つの行事を開催しています。
まず1年の最初に開催するのが、5月にある「お楽しみ会・親子ソフトボール大会」です。お父さんと子どもたちの野球対決、お母さんと子どもたちのソフトボール対決をはじめ、サッカーやバドミントンなど、「北磯辺公園」で一日体を動かしてチーム内の親睦を深めます。外野の芝生の上で食べるカレーは格別ですし、数々の親子対決も見られるので、とても面白いですよ。

少年野球チーム 磯辺トータス インタビュー

7月、8月にかけては「磯辺夏祭り」と「夏合宿」が続きます。 「磯辺夏祭り」は、2日間ホームグランドの「北磯辺公園」で行われる夏祭りのことで、センター付近に大きなやぐらが組まれ、提灯がたくさん釣り下げられます。チームでも飲料、フランクフルト、磯辺餅、おもちゃ屋、ストラックアウトゲームなどの模擬店を出して、指導者・父兄・子どもたち、みんなで販売します。利益は合宿代やチーム運営費になります。夏祭りには、顔を見せにきてくれる卒団生も多く、成長を感じるとともに、「磯辺トータス」を今でも心の寄り所にしてくれることに嬉しく思いますね。8月に行われる「夏合宿」は、 群馬県のみなかみ町で合宿を行っています。汗をかいた後の温泉や、満天の星空は最高です。

少年野球チーム 磯辺トータス インタビュー

11月から翌年の春にかけては、「忘年会」や「納会」、「検見川神社」まで往復ランニングを行った後、神社で必勝祈願をする「新年会」、3月には「卒団式」があります。
その他にも、野球教室(現役プロ野球選手や元プロ野球選手が教えてくれる)への参加、プロ野球や高校野球観戦、体験会の開催なども随時行っています。2015(平成27)年には、元南極観測船で行われた「チャレンジングSHIRASE」にも参加し、船の上で元プロ野球選手の与田剛さんとキャッチボールするという貴重な体験も出来ました。

2015(平成27)年7月には、「千葉ロッテマリーンズ」の試合に招待されたそうですね。

少年野球チーム 磯辺トータス インタビュー

現在磯辺エリアで建設中の「ザ・レジデンス検見川浜ガーデンズ」さんからご招待頂き、「QVCマリンフィールド」で行われたロッテ対ソフトバンクホークスの試合観戦と、試合開始前のフィールド内でキャッチボールを行うイベントに参加させて頂く機会がありました。日曜日のナイターゲームで大勢の観衆が見守る中、そして憧れの選手が見ている中でのキャッチボールでしたので、子どもたちも大興奮!いつも以上に声が出てましたね。夏休みの良い思い出になったと思いますよ。
我がチームは「千葉ロッテマリーンズ」の本拠地にある少年野球連盟に所属しているので、野球観戦や野球教室に招待して頂く機会も多いです。本当に恵まれた環境で野球をすることが出来て、子どもたちも幸せだと思います。

父兄の方の関わりはいかがでしょうか。

少年野球チーム 磯辺トータス インタビュー

日々の練習では、無理の無い範囲でお父さん方には練習のお手伝いや遠征の車出しを、お母さん方にはグランド当番を順番でお願いしています。仕事や各家庭の事情などを考慮しながら皆で子どもたちのサポートをしています。

野球は親が大変と思っている方が多いようですが、熱中している子どもたちの姿を見て自然と子どもたちの野球にのめり込んでしまうお父さん・お母さんが多く、家でも野球の話題で会話が増えたという家庭が多いようです。子どもたちが大好きな野球に取り組み、仲間と喜びや悲しみをわかち合ったり、日々成長していく姿を近くで見て感じることは、我々親にとっても大きな喜びですし、家族にとって重要なことと考えています。親も大変といえば大変かもしれませんが(笑)、それ以上に喜びや感動の方が大きいです。

少年野球チーム 磯辺トータス インタビュー

そんな理由で、普段練習に参加することが難しい父兄の方にも、夏祭りなどの大きなイベントの際には、出来るだけ手伝って頂くようお願いして、チーム内の交流や親睦もはかるようにしています。 チーム一丸、家族一丸となって目標を成し遂げることも大事だと思います。

卒団してからも野球を続けられる子どもさんは多いですか?卒業生の活躍についても教えてください。

磯辺トータス 野球 指導

そうですね。中学校、高校だけでなく大学でも野球部に所属している卒団生がいます。「磯辺トータス」からは、甲子園に出場した子が2人(山梨学院高等学校、習志野市立習志野高等学校)、千葉県の代表決定戦まで行った子が1人(東海大付属望洋高等学校)いますね。大学では、「慶応大学」や「神奈川大学」、「日本大学」などさまざまな進路に進みながらも、野球を継続してくれています。また、コーチとして戻ってきた卒団生もいて、親子2代揃ってチームで活躍してくれている方もいます。

最後に、検見川浜・磯辺エリアの魅力について教えてください。

検見川の浜

道路や街並みがきれいなので、ウォーキングやジョギングを楽しんでいる人も多く、海が近いのでマリンスポーツを楽しめるなど、スポーツを含むアウトドアに恵まれた環境だと思います。この街で少年野球が盛んなのも、そうした環境が影響しているのかもしれません。また、街の方も優しい方が多いですね。磯辺トータスの父兄の様子を見て頂いてもわかるように、街の行事やイベントにとても協力的な方が多いです。地域で子どもたちを見守るような、そんな風潮がまだこのエリアにはあるのかもしれません。

子どもたちにも聞きました!

磯辺トータス 選手

好きなプロ野球チームは?:「千葉ロッテマリーンズ」です。地元の球団なので応援しています!

中学校でも野球を続けたい?:続けたいです。力をつけて甲子園に行くのが夢です!

アットホームな雰囲気の「磯辺トータス」。子どもたちだけでなく、父兄も一緒に楽しみ、そして成長する。元気な子どもたちが多いこのエリアは、ますます活気づいてくるだろう。

磯辺トータス 監督

今回、話を聞いた人

少年野球チーム 磯辺トータス

代表 鈴木起成さん

練習場所:北磯辺公園(千葉市美浜区磯辺6-4)
練習日時:毎週 土曜日(13:00~17:00)、日曜日、祝日(9:00~17:00) ※冬季は~16:00まで

※2015(平成27)年8月実施の取材にもとづいた内容です。 記載している情報については、今後変わる場合がございます。

恵まれたホームグラウンドで躍動する
チーム全体で目指し、勝ち取る「一勝」の価値/少年野球チーム 磯辺トータス

所在地:千葉県千葉市美浜区磯辺6-4 北磯辺公園
練習日時:毎週 土曜日(13:00~17:00)、日曜日、祝日(9:00~17:00) ※冬季は~16:00まで
http://www.geocities.jp/isobetortoise/

地域と手を取り合って子どもたちを育くむ「千葉市立磯辺第三小学校」/校長 鶴岡克彦先生、教頭 鈴木恵子先生


2017(平成29)年で開校37年目を迎えた「千葉市立磯辺第三小学校」。地域とのつながりがとても深く、「三小を助け隊」と呼ばれる大勢の地域ボランティアと共に子どもたちを元気にたくましく育てている学校だ。今年度同校に着任した鶴岡克彦校長は“挨拶の声が大きい元気な先生”として子どもたちからも地域からも愛される存在、鈴木恵子教頭は学校と地域をつなぐ窓口として信頼が厚い。同校を訪れ、学校活動や街の魅力について鶴岡校長と鈴木教頭にお話を伺った。

まずはじめに「磯辺第三小学校」の沿革、概要について教えてください。

千葉市立磯辺第三小学校

鶴岡校長:本校は1981(昭和56)年4月に千葉市101校目の小学校として創立され、今年で37年目になります。近年学校周辺地域にマンション建設がされたこともあり、児童数は若干増えております。現在372名、特別支援学級を含めて14学級の学校となっています。教育目標は、「自分を 友だちを そして地域を愛する子どもの育成」を掲げています。自分を大事にできない子が、友だちや地域を大事にはできない、という考えを踏まえて、子どもたちが自己肯定感を高め、友だちや地域と密接に関わりながら生活できる環境づくりをしています。

「三小を助け隊」について教えてください。

千葉市立磯辺第三小学校 三小を助け隊「三小を助け隊」の活動の様子

鶴岡校長:磯辺第三小学校地区における千葉市の事業「学校支援地域本部事業」が通称「三小を助け隊」です。これは保護者や地域のボランティアによる学校支援を通じて、学校教育の充実はもとより、地域の教育力の向上やコミュニティの活性化を図ることを目的としています。今年度も、一緒に子どもたちの教育を行いませんか?と保護者や地域の方にお声がけしたところ、約160名の方々に登録頂きました。地域の皆さんが学校に対してとても協力的でありがたいと思っています。
「三小を助け隊」の活動内容はミシンやそろばんなどの指導補助、「町たんけん」、昔遊び、読み聞かせ、登下校の見守りをする「セーフティーウォッチャー」、畑・花壇の管理など様々です。「町たんけん」では10グループくらいに分かれて町を探検するのですが、子どもたちだけで行かせることはできませんので、教員の他に「三小を助け隊」の方々に同行して頂いています。また、地域の敬老会「磯寿会」のお年寄りにベーゴマなど懐かしい遊びを教えて頂き触れ合う「昔遊び」は、子どもたちだけではなく「磯寿会」の方々にもとても楽しみにして頂いている活動です。

千葉市立磯辺第三小学校

鈴木教頭:5年生でミシンを使用する授業があるのですが、初めてミシンに触る子どもたちも多く、糸のかけ方や糸調子が上手くいかなかったり失敗してしまったりということもあります。授業時間内でミシンの細かい手作業を一人の教員が一人一人に教えていくことには限度がありますので、「三小を助け隊」の方々に指導補助をして頂いています。裁縫が得意なお母さん方など、ベテランも多く教え方がしっかりとしているので安心ですし、子どもたちからも評判です。その他「三小を助け隊」には、「放課後子ども教室」のお手伝いもして頂いています。今後も本校では教職員と「三小を助け隊」が連携しながらより良い授業作り・環境づくりをしていきたいと思います。

「地域を助け隊」という取り組みもあるようですね。

千葉市立磯辺第三小学校 敬老会「地域を助け隊」の活動の様子

鶴岡校長:「三小を助け隊」に対して、学校側がみなさんに助けて頂くだけではなく、自分たちも地域に対して何かを発信していこう!という思いから、地域清掃活動や地域敬老会のお手伝いなどを行っています。地域敬老会のお祝いを本校の体育館で行って頂いて、そこで本校の子どもたちが受付などのお手伝いをしています。また年度初めに「仲良くなろう集会」を開催し、年度終わりには「三小を助け隊」としていつも見守って頂いていることに対して「ありがとう集会」を開いたり、「6年生を送る会」にご招待したりしています。さらに今年度からは「ボランティアクラブ」を創設し、地域の福祉施設に足を運び交流する活動も行っています。
その他、毎年「磯辺保育所」と津波対策の合同避難訓練を実施したり、「千葉県立磯辺高等学校」の陸上部の皆さんが「小学校陸上大会」に向けて指導に来てくださったりするなど、学校と地域全体を良い意味で巻き込んで広く活動を行っています。

「かもめフェスティバル」とはどのような行事でしょうか?

千葉市立磯辺第三小学校

鶴岡校長:“かもめ”は本校の校章にもデザインされており、学校のマスコットキャラクター的な位置づけになっています。校章のデザインの由来は、限りない発展と未来を望む児童への教育信条を加味して、開校当時の市花「夾竹桃」と「鴎」を図案化したものだそうです。海岸を自由に飛び交う三羽の鴎は「知・徳・体」「教師・子ども・保護者」を表し、互いに羽を接しているのは、交互の精神を意味しています。「かもめフェスティバル」は本校が毎年行う文化祭で、当日は保護者や地域の方を学校にお呼びして各学年による発表形式の授業参観を行っています。子どもたちは楽しんでもらいたい、自分たちが調べた事や取り組んできた事を伝えたい、と発表方法を工夫してたくさん練習して臨んでいます。今年の1年生は「あきのおもちゃやさんへようこそ」、2年生は「町たんけん発表会」、5年生は「ジャパンウォッチング~和の心でOMOTENASI~」など、各学年工夫を凝らした学習の発表がなされました。その他にも本校には「かもめ学級」、「カモメ水族館」、「かもめ写真館」など“かもめ”を名前に使用した施設や取り組みが多いのも特徴です。

「“わかる授業”の具現化」を掲げているとお聞きしました。具体的にどのような授業を行っているのでしょうか。

千葉市立磯辺第三小学校

鶴岡校長:本校では「認め合い、学び合い、進んでなかまとかかわる児童の育成」を主題とし、かかわり合いを深めるための支援や工夫について全職員で研究しています。また「NPO法人ちば教育夢工房」に所属する教員OBのみなさんにボランティアで授業に来て指導して頂いておりますので、よりきめ細やかな指導をすることが可能になっています。今年度より国語科の言語活動を通して、「話す・聞く」をポイントに授業の中に話し合いの場を多く設定したり、話す表現方法について工夫したりするなど、日常的に意識してより多くの言語活動を取り入れられるようにしています。従来の講義型の授業ではなかなか子どもたちに浸透しにくかった部分を改善し、授業で聞いたものを自分の言葉に置き換えて発信できるように努め、それが最終的に子どもたちの「わかる授業」につながると考えています。

貴校に通う子どもたちの特長、また学校の雰囲気についても教えてください。

千葉市立磯辺第三小学校

鶴岡校長:毎朝、私が安全指導も兼ねて校門でハイタッチをしながら子どもたちを迎え入れています。みんなとても明るく、登校が完了する頃には手が痛くなってしまうくらい元気にハイタッチを返してくれます。高学年が学校を引っ張り、要所要所で率先して学校の為に動いてくれているのも特徴で本当に助かっています。特に6年生は下級生の面倒をよく見てくれていて、下級生からはお兄ちゃん、お姉ちゃんと慕われています。本校では教室の配置を、2階フロアの真ん中に6年生、その両サイドに1、2年生の教室とするなど工夫をしておりまして、給食や掃除の時などもすぐに上級生が下級生を助けることができるようになっています。

鈴木教頭:6年生は常に1、2年生に見られている、良い手本を見せたいという思いにつながっていることも良い効果につながっていると思います。

千葉市立磯辺第三小学校

鶴岡校長:また本校の子どもたちの歌声は千葉市に誇れる高いレベルにあると思っています。私が初めて着任し、その歌声を聞いた時は鳥肌が立ちました。ぜひ一度聴きにいらして頂きたいです。

鈴木教頭:昨年の「6年生を送る会」では歌を聴いていた人たちが皆涙していました。子どもたちのひたむきさが心を打つのだと思います。

海も近く自然溢れる魅力的な街ですね。子育て環境はいかがでしょうか。

ヤオコー  検見川浜店

鶴岡校長:治安がとても良い地域です。地域の人たちとの連携がしっかりととれていて、見守り活動なども積極的に行ってくださいます。街には公園が点在していて、公園で遊ぶ親子やゲートボールなどで体を動かすお年寄りなど、外に出て活動する方が多い印象で、明るく活動的な街の雰囲気が安心して子育てできる環境を支えています。買い物には「マリンピア」や「ヤオコー」、「イオンスタイル」も新しくオープンするなど、ますます便利になっています。

鈴木教頭:学校の参観日や行事の際には、お母さんだけではなくお父さんやおじいちゃん、おばあちゃんの姿もよくみかけます。家族や地域全体で子どもを育てる意識が強く、温かい雰囲気の街だと思います。海が近くて街並も綺麗ですので、子育てには適した場所かと思います。

千葉市立磯辺第三小学校

千葉市立磯辺第三小学校

校長 鶴岡克彦先生

所在地:千葉市美浜区磯辺1-25-1
電話番号:043-277-1021
URL:http://www.cabinet-cbc.ed.jp/school/es/101/

※2017(平成29)年11月実施の取材にもとづいた内容です。記載している情報については、今後変わる場合がございます。

地域と手を取り合って子どもたちを育くむ「千葉市立磯辺第三小学校」/校長 鶴岡克彦先生、教頭 鈴木恵子先生
所在地:千葉県千葉市美浜区磯辺1-25-1 
電話番号:043-277-1021
http://www.cabinet-cbc.ed.jp/school/es/1..

武蔵野市子ども家庭部子ども政策課 インタビュー

武蔵野市の「今」と「未来」の子育てを支える/武蔵野市子ども家庭部子ども政策課


武蔵野市子ども政策課の皆さん

今や全国各地の自治体にある常設型の子育て支援施設のモデルケースとなった武蔵野市。この子育て支援部門の施策について、総合的な管理と企画を行っているのが、「子ども家庭部子ども政策課」です。今回はこちらの課で課長補佐を務められている横瀬英樹さんと、主任の鹿島昌吾さん、主事の佐藤結希さんの3人に、武蔵野市で現在取り組んでいる子育て支援施策等についてお話を聞きました。

地域と一緒になって子育てを考える「子ども政策課」

子育て支援情報誌「すくすく」

――まず、「子ども政策課」のお仕事内容について教えてください。

横瀬:まず、「すくすく」という子育て支援情報誌を発行しています。市役所やコミセン(コミュニティセンター)、市内各施設にあります。こちらは母子手帳交付時や保育所・幼稚園の全園児にもお渡ししているもので、母子保健、相談窓口、各種手当や補助金、医療関係、遊び場の情報など、市のさまざまな情報や地域の子育て支援グループの紹介が載っていますので、ぜひ手にとっていただければと思います。

特に子ども政策課が主体となって行っているものは、「子どもプラン武蔵野」という、将来5年間の子ども・子育て支援に関する計画の作成と、進行管理です。このプランの中では、社会的に、子どもや子育てに関する新しい課題が生まれてきた場合には、政策として今後どうやって対処していくのか、ということを考えております。

「0123はらっぱ」

また、子育て支援施設「0123吉祥寺」や、「0123はらっぱ」などについて、施設の管理も行っており、そのほかにも子育てに関する講習会や講演会、「コミセン親子ひろば」をはじめとした「子育てひろば」の企画・運営を行っています。イベントでは「子育てフェスティバル」というものを、毎年秋に開催していますが、こちらの主催をしています。

――地域の子育てに関する事業や団体を、ひとつに束ねる役割もお持ちということですね。

横瀬:そうですね。さまざまな団体・部署と連携しながら、地域の子育て支援サークルなどのサポートも行っています。「子育て支援」は行政だけではなく、いろんな団体や施設も関わってくることです。子ども政策課としても、地域全体で子育て家庭を支援していけるように政策を策定し、進めているところです。

講演会、親子イベントなどの「つながり」を大切にする支援が充実

子ども政策課課長補佐 横瀬さん

――子育て講演会について詳しく教えてください。

横瀬:「親支援講座」や「家庭教育支援講演会」は大学の先生や専門家の方をお招きして開催する講演会です。もうひとつは「パパと子講座」です。これは、日頃なかなか子どもと接することができないお父様方も多いので、たっぷり楽しんでもらうという趣旨のものです。昨年度は「ちちんぷい みんなで忍者」というタイトルで、NPOの方を講師に、親子で忍者になって親子のふれあいを楽しんでいました。

父親向けの「パパと子講座」

――実際参加した方からは、どんな声があるでしょうか?

横瀬:講演会については、お母さんの参加が多く、ふだん、お子さんと2人だけで家にいる方ですと、子育ての悩みを抱えていらっしゃる方も多いので、講演会などで話を聞くことで、「あまり深刻になりすぎなくてよかったんだ」「悩みが解決した」とか、そういった声をよく聞きますね。この講演会や講座については、子育てをされている方にとって、ちょっとしたサポートと言いますか、「背中を押すきっかけ」になればいいな、と思っています。

鹿島:講座には託児サービス付きのものも多いので、講座や講演会に出ること自体が、ご本人の息抜きの時間になる、という方もいらっしゃいます。

横瀬:「パパと子講座」については、周りもみんなお父さんですから、お父さんも参加しやすいようで、それぞれ楽しんでいかれるようです。

「こらぼのコミセン親子ひろば」

――友だちづくりであったり、同じ悩みを抱えた方とつながるための場として、「子育てひろば」事業に力を入れていらっしゃるそうですね。こちらについて詳しくお聞かせください。

横瀬:「子育てひろば」は参加無料なので、開催中はどなたでも、いつでも、来やすい時に来ていただければ大丈夫です。時間の途中でも入っていただけますから、気軽に足を運んでいただければ嬉しいですね。

「0123はらっぱ」「0123吉祥寺」や「すくすく泉」といった常設型のひろばのほかに、市内のコミセンで日時を決めて開催している「コミセン親子ひろば」「こらぼのコミセン親子ひろば」というものもあります。「こらぼのコミセン親子ひろば」はコミセンと地域が一緒になって行っているものです。

我々としては「居場所」というのは、地域の方がつくるのが一番いいのかなと思っています。「こらぼのコミセン親子ひろば」は地域の方の自由な発想で企画していただいており、より実態に合った、ニーズに合った内容のものになります。 「子育てひろば」の主な目的は、交流機会の提供、情報の発信、子育ての相談に乗る、という部分にありますので、それをベースにしてもらいつつ、その合間に、イベントやゲームなどを行っていただいたりと、それぞれの団体にお任せしています。

「公園親子ひろば」

――公園で行っている「親子ひろば」などもあるそうですね。

横瀬:「公園親子ひろば」という事業も行っていまして、時には100人を超える方に来ていただいています。室内ですと、2歳か3歳になると物足りなくなってしまうので、そういった親子も楽しめるように屋外で行っているものが、この「公園親子ひろば」になります。内容はその時々ですが、先日などは、公園にシートを敷いて風車を作って、公園を走って回したりしましたし、シャボン玉や風船あそびなどをすることも多いですね。

就学前児童の保護者を対象とした食育講座で、小学校の給食を知る

子ども政策課主事 佐藤結希さん

――武蔵野市では食育についても先進的な取り組みをされているそうですが、詳しくお聞かせください。

佐藤:子ども政策課として行っているものとしては、武蔵野市給食・食育振興財団と共催の「小学校給食体験講座」があります。小学校に入学する少し前のお子さんをお持ちの保護者の方を対象にしています。内容としては、小学校の給食の試食や調理場の見学、調理実演をとおして、武蔵野市の給食について、理解を深めていただくものとなっています。

「小学校給食体験講座」

当日は栄養士や調理員の方に詳しくお話を聞いたり、質問や相談をすることもできます。親御さんとしても勉強になる面が多いということで、参加した皆様からも、とても満足度の高い講座になっています。

――武蔵野市はとても給食に力を入れていて、それを食育の基礎にしているといいうことですね。

鹿島:そうですね。武蔵野市の給食は、安全性はもちろん、食材の選定にもこだわっています。また、調理の際は、食材を生かし食材本来の味を大切にするため、冷凍食品や半調理食品も極力使わず、できるだけ手作りのものを提供するようにしています。さらに、市内の生産者と連携を深めながら、「地産地消」にも取り組んでいます。武蔵野市の給食の魅力を、こういった取り組みをとおして、皆さんに知っていただければと思っています。

「まちぐるみ子育て応援事業」

――そのほか、よその自治体と比べて、武蔵野市ならではの魅力や、ユニークな取り組みなどがあればお聞かせください。

横瀬:当課で主催している「まちぐるみ子育て応援事業」というものもあります。これは、地域社会全体で子育て家庭を応援し、支えていくことを目的とした、民間団体の自由な発想による子育てを応援する取組みに対する補助事業です。今年度、採択された事業は、子育て中の方々に、武蔵野市内のカフェなどを会場に、おしゃべりしながらのランチと「街の達人」に地域の歴史などのお話をうかがって、地域を散策するという内容になっています。こういった取り組みをとおして、商店街の活性化も兼ねながら、地域ぐるみで子育てを支えていきたいと考えています。

子ども政策課主任 鹿島昌吾さん

鹿島:「0123吉祥寺」や「0123はらっぱ」など、「大きな子育て支援施設が常時開いている」ということについては、武蔵野市が老舗と言いますか、全国に先駆けて始めたものです。これらの施設は今でも利用者の数が多く、しっかり定着しています。

こういった常設型の拠点施設に加えて、「コミセン親子ひろば」など、もっと身近なコミュニティの中での「つながる」ための仕掛けも増え、まち全体で一体となって、子育てを支援していこうという雰囲気が生まれてきています。

文化施設も整う、子育てのしやすい閑静な住宅街

武蔵境の街並み

――これから住みたい、子育てをしたい、という方にとって、武蔵野市、特に武蔵境周辺は、どんな魅力があるエリアでしょうか?

鹿島:武蔵境エリアは、駅の南口に「武蔵野プレイス」という、図書館と生涯学習施設が一体になった施設があったり、北口には「武蔵野スイングホール」というコンサートホールがあったりと、文化的な環境が整っています。また、ここ数年で駅周辺の再開発が大きく進んで、新しい商業施設もオープンするなど、大きな動きのあったまちです。駅から少し離れると、閑静な住宅街が広がっていますし、子育て世帯にも魅力的なエリアなのかと思います。

「武蔵野プレイス」

横瀬:市の施策という面からは、武蔵野市は子育て政策に非常に力を入れている市ですし、保育園に入る時には「保育コンシェルジュ」に相談できたり、「子ども家庭支援センター」ではひとり親の方の相談にも専門的に乗っていたりするなど、子育てに関する不安に対して、専門分野の職員が対応できる体制が整っています。ですので、心配な事は、まず市にご相談いただければと思いますし、たくさんの子育て世代の方に、お住まいになっていただきたいと思います。

武蔵野市子ども政策課

武蔵野市子ども家庭部子ども政策課

課長補佐 横瀬英樹さん
主任 鹿島昌吾さん
主事 佐藤結希さん

武蔵野市役所
URL:http://www.city.musashino.lg.jp/
※この情報は2016(平成28)年11月時点のものです。

武蔵野市の「今」と「未来」の子育てを支える/武蔵野市子ども家庭部子ども政策課
所在地:東京都武蔵野市緑町2-2-28 
電話番号:0422-51-5131
窓口受付時間:8:30~17:00
閉庁日:土・日曜日、祝日、年末年始(12/29~1/3)
https://www.city.musashino.lg.jp/

「多摩市立東落合小学校」校長インタビュー

地域とつながり、人と自然に恵まれた「多摩市立東落合小学校」/校長 佐藤雅昭先生


多摩丘陵の豊かな自然環境に恵まれた1999(平成11)年開校の「多摩市立東落合小学校」。「ユネスコスクール」の加盟校として環境教育に取り組むほか、大学との連携による学習の機会も充実しています。また、創部3年目にして「NHK全国学校音楽コンクール 東京都コンクール」で金賞を受賞した合唱団の活躍を知る人も多く、子どもたちの意欲を育む学校の取り組みに注目が集まります。今回は校長として2年目を迎える佐藤雅昭先生に、「多摩市立東落合小学校」の特色と地域の魅力についてお話を伺いました。

「ユネスコスクール」加盟校として環境教育に取り組んでいます

「多摩市立東落合小学校」は「多摩市立北落合小学校」と「多摩市立南落合小学校」との合併により1999(平成11)年に開校した学校で、今年で17年目を迎えます。児童数は2015(平成27)年4月に新入生68名を迎え、各学年2クラスと特別支援学級4クラスの計16学級で、2015(平成27)年11月24日現在は412名となっています。

「多摩市立東落合小学校」の校門

「多摩センター」駅の南側に南北にひろがる落合地区は、多摩ニュータウンの開発とともに誕生した新しい街で、本校と「多摩市立西落合小学校」の2校があります。多摩市内の小学校は全校「ユネスコスクール」に加盟しているのですが、本校の特色としては、大学との連携による環境教育への取り組みを行っています。「ユネスコスクール」とは1953(昭和28)年にユネスコが開始した教育プログラムで、2015(平成27)年6月の段階で、世界182ヵ国10,422校もの学校が加盟しています。日本でも幼稚園から小学校、中学校、高等学校など939校もの学校が「ユネスコスクール」のネットワークに参加していて、国際的な連携のもとさまざまな取り組みを実践しています。

ユネスコスクールの証

本校における具体的な取り組みとしては、先日も6年生の移動教室で山梨県の清里へ行ってきたのですが、「東京農工大学」の先生や、学生さんにご同行をいただき、水辺の生き物を調べてみたり、水質調査をしてみたりと、2泊3日の充実した学びの機会となりました。

総合学習の一環として行われるこの環境教育は、「東京農工大学」の先生の協力のもと2010(平成22)年から実施されているもので、移動教室でのフィールドワークのほかにも2ヵ月に一度ご来校いただき、年間を通じた学びの機会をご提供いただいています。

八ヶ岳でのフィールドワーク

また、大学とのコラボは「東京農工大学」のほかにも「帝京大学」や「東京学芸大学」、「国士舘大学」とも連携しており、教員志望の学生さんや心理学を専攻している学生さんに、学生ボランティアという形で子どもたちの活動をサポートしていただいています。

創部3年目で “金賞”を受賞することができました

本校では、2013(平成25)年に合唱団を創部したのですが、音楽の教員による熱心な指導もあって、「NHK全国学校音楽コンクール 東京都コンクール」において初年度に銅賞、2年目に銀賞、そして今年度は自由曲に「まいごのひかり」を歌い“金賞”を受賞することができました。

3年目で金賞を受賞!

創部からわずか3年目の快挙でもあり、今では3年生以上の子どもたち約60名もの大所帯となり、35名の選抜の枠を求めて熱心な取り組みが行われているようです。合唱団による発表は「パルテノン多摩」の大ホールで行われる7月の「多摩市合唱祭」や多摩市青少年問題協議会主催の「ほっこりコンサート」でもご鑑賞いただけるため、本校児童による取り組みをぜひご覧いただければと思います。

地域の方々にさまざまな場面でサポートしていただいています

また、学校の取り組みを実際にご覧いただく機会として、毎年5月に行われる運動会や11月の学芸会、年4回の学校公開日もあり、保護者はもとより地域の方々にも多くご来校いただいています。

落合地区は、多摩ニュータウンの開発とともにあらたに住まいを構えた方が多く、教育への関心度も高く、学校の取り組みに対してもすごく協力的です。「放課後子ども教室」や「絵手紙の教室」などは、地域の方々が講師として運営して下さっており、教員は調整のみで、ほとんど関わっていないような取り組みです。

他にも地域の方々により組織されている青少協の方では、「小中合同講演会」などを企画して下さっています。「小中合同講演会」では「多摩市立落合中学校」の体育館に「多摩市立落合中学校」の生徒全員と、本校と「多摩市立西落合小学校」の5・6年生が集まって一緒に公演を聞くイベントです。

さまざまな場面で、地域の方々に学校運営をサポートしていただいており、大人の目が行き届いて子育て世代に安心の環境と言えると思います。

授業風景

また、5年生が取り組む職業体験でも、多摩センターの三越にある「ジョアン」さんの協力をいただき、子どもたちがデザインしたパンを実際に商品化し、店頭での販売も体験させていただける貴重な機会をいただいています。

佐藤雅昭校長

イベントが盛んで、自然にも恵まれた理想的な環境です

学校行事以外にも、7月の金・土・日と3日間にわたって開催される「落合ふるさと夏祭り」もこの地域の魅力がよくわかるイベントで、本校の卒業生が通う「多摩市立落合中学校」や、近隣の自治会も集結し「落合南公園」を会場に15張り以上ものテントが並びます。当校の子どもたちも子どもみこしや、3・4年生による踊り、5年生以上によるソーラン節、たいこクラブの演奏などの発表の場をいただき、教職員も出店し、一緒に楽しんでいます。この地域は保護者のみなさまをはじめ、地域の方々も本校の教育活動に対して協力的です。学校と地域との風通しの良さを感じ、いつも感謝しています。

「多摩中央公園」

学校周辺は何より自然環境が豊かで、近くには「落合南公園」や「多摩中央公園」、またカブトムシや見る角度によって色が変わることでも知られるタマムシなど希少な生き物が生息する「亀ケ谷緑地」もあります。人にも自然にも恵まれ、住むには理想的な環境だと思います。最近、外から引っ越してこられた若い世代も多い地域なので、新たにこの地域にお住いになることを考えている方々も地域に馴染みやすい雰囲気があるかと思います。

多摩市立東落合小学校

多摩市立東落合小学校

校長 佐藤雅昭先生
東京都多摩市落合3‐24
TEL :042‐376‐6214
http://schit.net/tama/eshigashiochiai/
※この情報は2015(平成27)年11月時点のものです。
※2017(平成29)年5月現在、校長先生は変わられております。

地域とつながり、人と自然に恵まれた「多摩市立東落合小学校」/校長 佐藤雅昭先生
所在地:東京都多摩市落合3-24 
電話番号:042-376-6214・6215
http://schit.net/tama/eshigashiochiai/

株式会社タスク・フォース 施設サービス部リーダー池ノ谷ゆき子さん インタビュー

強く・正しく・たくましい子どもを育てる「ポポラー 東京ひばりが丘園」/株式会社タスク・フォース施設サービス部リーダー 池ノ谷ゆき子さん


ひばりが丘団地再生計画の一環として新たに建てられた大型マンション「シティテラスひばりが丘」。その中に作られた保育園「ポポラー東京ひばりが丘園」は、東京都の認可保育園として2017(平成29)年4月にオープンした。「子どもの自立を促す保育」を目指し、手を掛けすぎない保育を日々実践している。施設サービス部リーダーの池ノ谷さんに、教育方針から街の魅力までをお伺いした。

――—園の概要について教えてください

本園は2017(平成29)年4月に「シティテラスひばりが丘」の共用棟に開園した新しい園です。定員は60名ですが、現在園児は0歳~就学前まで合計33名が在籍しています。園は2階建てで、1階の部屋には0歳~1歳が、2階には2~5歳の子どもたちが日々過ごしています。2階にはテラスがあり、夏はビニールプールでの水遊びをしたり、植物を育てるなど有効に使っています。このひばりが丘園は国が定めた基準をクリアし、東京都に認可された認可保育園として運営しています。

――—1日の流れはどのようになっていますか?

基本的に朝の登園は何時でもOKですので、10時くらいまでは何歳でも自由遊びの時間になります。 0歳~1歳は、9時30分から補食(おやつ)、10時から朝の会、10時30分から近くの公園へお散歩に行き、帰ってからすぐに昼食の準備をしてお昼ごはんです。12時30分頃から歯みがき、着替えの後はお昼寝です。15時に手作りおやつを食べて、17時からは全園児で帰りの会、その後は全園児で自由遊びをしながらお迎えを待ちます。

2~5歳は10時から朝の会、10時30分から制作や歌などのカリキュラム、11時からお散歩に行きます。12時昼食、13時お昼寝、15時にはおやつを食べます。16時から再度カリキュラムを行い、17時からは自由遊びとなります。

外観

子どもたちは元気いっぱい

みんな仲良し

キャンプやスポーツフェスティバルで養う体験が子どもを育てる

――保育方針などについて教えてください

子どもたちを「正しく強くたくましく育てたい」というのが、私たちの教育理念です。そのためには、幅の広い「経験」を重ねることで、その時自分がどうすべきなのかを自ら考え、行動に起こせる人になっていくと考えています。そのためにも小さい頃から本物の体験をたくさんしてもらいたいと考え、ポポラーでは100%子会社の「キッズ・コム」との協同で、さまざまな体験プログラムを用意しています。

――その体験プログラムというのはどのような内容なのですか?

例えば文化系のイベントとしては、大きなホールを貸し切りミュージカルや歌や音楽の生演奏で、本物の演劇や音楽に触れる機会を設けています。また子どもたちも舞台に上る体験ができたり、会場一体となって歌ったり踊ったり、特別な経験を通して、五感を刺激します。

また、スポーツ系のイベントとしては、大きなフィールドを借りてスポーツフェスティバルを年1回開催しています。徒競走やサーキット競争、親子競技に親のみの競技など様々な種目は当日エントリー制で誰でも参加可能です。最後まで諦めないこと、がんばることの大切さを感じてもらうイベントです。

他にも、キャンプやピクニック、スノーツアーなど盛りだくさんです。また、北海道南富良野町で当社が運営する、東京ドーム約7個分を誇る自然体験開拓村「キッズコムファーム」へのちびっこ開拓隊ツアーも大好評です。

――体験プログラム以外の行事などはありますか?

月に1回、園内行事を行います。例えば4月には、早くお友だちに馴染めるように近隣の公園へのミニ遠足を実施したり、7月には七夕などの季節行事や9月には防災訓練なども行なっています。ただ遊ぶだけの行事ではなく、季節を感じられるような行事や、知的好奇心を刺激する学びの要素が入ったもの、日常生活に役立つような行事となるよう工夫しています。日本の伝統的な季節行事などは、各家庭ではなかなか忙しくてできないこともあると思いますので、ポポラーでしっかりと体験して帰ってもらいたいですね。

園内の様子

園内の様子

栄養を考えた給食

園内の掲示板

保護者に負担のない行事で親同士の横のつながりを持ってもらう

――保護者が参加する行事なども行なっているそうですね

年に2回、夏祭りとクリスマスパーティには、保護者の方々も子どもたちと一緒に参加していただく会を開いています。このような機会にお母さん・お父さん同士も仲良くなってもらいたいという思いをもって取り組んでいます。

夏祭りは親子で団扇を制作したり、先生たちがヨーヨー釣りなどの出店をし、子どもたちも大喜びの行事です。またクリスマスは子どもたちによる歌の発表があったり、サンタさん(園児のお父さんにお願いをして)からプレゼントをもらったり、親子でケーキを食べたりと大いに盛り上がります。

保護者の方々はほとんどの方が共働きですので、なるべく行事参加への負担を軽減するため準備や当日の運営は先生方が全て行います。お母さん・お父さんたちには、普段の子どもたちの様子を少しでも感じていただき、楽しんで帰っていただけるよう心がけています。幼稚園のように同じ時間にお迎えがある訳ではなく、お母さん同士もなかなか顔を合わせられないので、こういった機会に横の繋がりを作っていただき、同じ年代の子どもを持つ親同士で悩みを共有したり、家族同士のお付き合いができるようになればと思っています。

――子どもに接するうえで大切にしていることはなんですか?

自分のことは自分でする「自立保育」を促しています。「すぐに手助けすることより、待つことも大切」。子どもの様子を見ながら保育に支障が出ない範囲で、少しだけ挑戦できるようなことを子ども自身にやらせてみるようにしています。「昨日はここまでできたから、今日はここまでやらせてみよう」と先生たちが個々の子どもたちに対して合わせて対応するのは、実は非常にエネルギーが必要です。それを実行するには、日々子どもを観察して成長を見極め、小さな課題を与え続けなければいけません。日々子どもたちのことを考え続けることは、その先生の愛情そのもの。この愛情が子どもを育て、成長させてあげられるのだと思います。

――ひばりが丘の街の魅力について教えてください

再開発された新しい街ですので歩道がとても広く、ベビーカーを押すのも子どもを散歩に連れていくのも安全で歩きやすいですね。いたるところに公園があって、たくさんの遊び場があります。ポポラーでは晴れていれば毎日外に遊びに行きますので、これは非常に助かっています。

また、近隣は緑が多くてのんびりしており、全体的にゆとりのある造りになっているので、とても暮らしやすい環境だと思います。同時に駅前にはパルコや西友などもあり、日用品からファッション系の買い物までなんでも揃う、静かな住環境とショッピングの利便性の両方が一つの駅で全て賄える便利な場所です。

給食の準備中

しっかりと手を洗って

お話を伺った池ノ谷さん

手洗い場

今回、話を聞いた人

株式会社タスク・フォース 第一事業本部 施設サービス部

リーダー 池ノ谷ゆき子さん

※掲載の情報は2017(平成29)年12月のものになります。

強く・正しく・たくましい子どもを育てる「ポポラー 東京ひばりが丘園」/株式会社タスク・フォース施設サービス部リーダー 池ノ谷ゆき子さん
所在地:東京都西東京市ひばりが丘3-4-2 シティテラスひばりが丘 共用棟1・2F
電話番号:042-450-6020
保育時間:7:00~20:00
休園日:日曜日、祝日、年末年始(12/29~1/3)
https://rabi-popo.com/city_popolar/area/..

西東京市立中原小学校 校長 水野慎一郎先生 インタビュー

「ここで学べば経験と力がつく」と実感してもらえる「西東京市立中原小学校」/校長 水野慎一郎先生


教職員と保護者が同じ方向を向いて指導ができるようにと、「中原スタンダード」という日々の教育指針を明確に示している「西東京市立中原小学校」。当たり前のことを当たり前に、妥協をせずに指導を行うことで、子どもたちの経験値があがり力をつけることにもつながっているという。2019(平成30)年1月には新校舎建設に向けて動き始めるという中原小学校の水野校長先生に、日々の取り組みや地域との連携についてお伺いしました。

――小学校の沿革と概要、教育目標などを教えてください

本校は1959(昭和34)年、「保谷第一小学校」から333名の児童が転入学して開校した学校で、現在778名の児童が通っています。「よく考える子」を最重点目標とし、「思いやりのある子」「じょうぶな子」「進んで実行する子」「よく働く子」の5つの教育目標を掲げて、子どもたちの育成に日々取り組んでいます。

小学校の正門

――特に力を入れて取り組んでいることなどはありますか?

学校の経営方針として、「中原小で学べば、これだけの経験ができる。これだけの力がつく」と、多くの人が児童の成長を実感できる学校にしたいと考えています。そのためには特別なことをするのではなく、授業を落ち着いた気持ちで受けたり、生活習慣を整えたり、当たり前のことを当たり前に行うことで経験や力を身につけることが大切です。本校では教職員が児童に対して同じ目線、同じ歩幅で指導ができるように。また保護者の方々にも明確な方向性を示せるように「中原小スタンダード」を設定し、全校で継続徹底しています。

校庭

校庭

――中原小スタンダードの内容について詳しく教えていただけますか?

学校生活の基本は授業であり、学習の基礎基本を学ぶ場です。ですから落ち着いた気持ちで授業を受けられるように、「学習用具・学習道具:学習に必要なものを必要な数だけ持ってくる。」「授業前:学習用具を机の上に出して、チャイム着席で待つ。」「授業中:背筋を伸ばして、良い姿勢で座る。椅子を前に放って椅子に深く座る」「家庭で:「家庭学習の手引き」を活用して、きちんと自分から進んで宿題や家庭学習に取り組む。」という、【学習スタンダード】を決めました。

また、授業自体もリズムを作り、授業の流れを共有することで教職員も進めやすく、子どもたちも理解しやすくなると考え、「授業のめあてを掲示します。」「主体的・対話的な学習活動を設定します。」「授業終了前に「学習の振り返り」を行います。」「いつでも学習した内容を確認できるようなノート作りを目指します。」と、【授業スタンダード】を取り決めました。

そして基本的な生活指導の指針として「あいさつ:あいさつの4つのステップ ①大きな声ではっきりと ②自分から進んで ③相手の目を見て ④時と場合に合わせて。」「くつ箱:くつの泥を落とし、かかとをそろえる。」「友達関係:自分の思いや考えを言葉で伝えるようにする(低学年)、自分の思いや考えを言葉え正しく伝える(中学年)、自分の意思や要求をしっかりと言葉で伝える(高学年)」という、【生活スタンダード】を設定しました。

こう見てみると至極当たり前のことばかりですが、これを全員が共有することで指導もブレませんし、子どもたち自身も何をどうすべきかがはっきりと分かります。70%程度できればよし、という風に妥協せず、少しでも100%に近づけるように徹底させることが大切だと考えています。

教室の様子

校内の掲示物

下駄箱

――—新校舎の建設について概要やスケジュールを教えてください

校舎は耐震補強はされているものの施設の老朽化が進んでいます。また今後も児童数の増加が予想されることから、本校と「ひばりが丘中学校」を同時期に建て替えすることになりました。現在、ひばりが丘団地内の土地に新しい中学校(第十中学校(仮称))を建設しており、2018(平成30)年度1月に「中原小学校」の児童がその校舎へ引っ越しします。そして2年間かけて今のこの場所に新しい「中原小学校」を建設し、2020(平成32)年度1月に新校舎に再び帰ってくる予定です。ちなみに「ひばりが丘中学校」は、「中原小学校」がこちらに戻ってきたら、新しい校舎(第十中学校(仮称))を新たな「ひばりが丘中学校」として使用する予定です。本校の生徒のほとんどが「ひばりが丘中学校」に進学しますので、子どもたちは引っ越しした中学校へ再び戻るような形になります。 従来のように校庭に仮設校舎を建てて新校舎を建設する場合と違い、子どもたちの安全性は確保されますし、2年間は「第十中学校(仮称)」の広い校舎と校庭で過ごすことができます。

第十中学校(仮称)の完成イメージ(引用:西東京市HP)

――—新校舎建設に関して、何か構想やコンセプトはありますか?

新しい校舎に関しては、地域の方々や大学の先生なども建替協議会のメンバーに入っていただき、そのコンセプトを一緒に考えていただきました。そして「“いろどり”ある学びの丘」をテーマに、変わりゆく教育環境に柔軟に対応でき、地域に愛され、地域の核として機能する学校にしたいという考え方に一致しました。デザインや設計はまだ具体的な形にはなっていませんが、可能な限り木材などの自然素材を使用した校舎にしたいと考えています。

――—地域の方々との関わりは多いのですか?

地域の育成会に加え、本校の施設を利用して活動しているグループや地域の方々がメンバーになっている施設解放運営委員会という組織があります。通称「運協」の方々は、土日に子ども向けの教室を開いてくださったり、お祭りを企画してくださったりと、精力的に子どもたちに関わってくださっています。「中原小学校」のOBで現在、私立中学の科学の先生をしている方をお呼びして科学系の講座を開いたり、「演劇ワークショップ」「走り方教室」「料理教室」「バドミントン教室」など、その企画力・着眼力には私たちも驚くほどです。このように近隣の方々が「地域で子どもを育てよう」という意識が強く、温かな気持ちに支えられていると感じます。

校内の掲示物

校庭には百葉箱も

――—保護者の方々や子どもたちの雰囲気はいかがでしょうか?

児童の父親たちが有志で集まった「おやじの会」が盛んで、今年は創立10年目を迎えるということで、公民館を借りて「みんなのひばり祭り」という子ども向けのお祭りも企画・運営してくださいました。学校の教育活動にも協力的で、今年の運動会ではじょうろで水撒きをしてくださったり、警備についてくださったり、細かなことまでサポートしてくれて助かりました。本来なら子どもが卒業したら「おやじの会」も卒業なのでしょうが、“レジェント”と称して残る方がいたりして…本当に仲の良い雰囲気で羨ましいくらいです。学校としても、負担をこちらに感じさせない楽しい雰囲気の活動で、本当に助かっています。

子どもたちは落ち着いた雰囲気です。規模の大きな学校なので、校庭遊びも周囲の様子を見て気を配りながら遊ぶのですが、配慮もきちんとできる様子が見られます。つくし学級との交流でも言えることですが、目端をきかせたり、周囲に配慮したりということが普通にできるやさしい子どもたちが多いと思います。

校内の様子

掲示物

――—この地域について校長先生が感じられることはどんなことですか?

近年は再開発が進んで大型のマンションが建ち、さまざまな地区から転入してくる方が増えました。昔からこの地域に住んでいる方と新たに引っ越してきた方は、子どもを中心にして、交流しながらお互い理解を深めていると様子が見られます。そんな柔軟な姿勢が、子どもたちの落ち着いた雰囲気にもつながっているように思います。また、ひばりが丘は駅前も大型の商業施設が整備され、「池袋」駅までも最速で15分ほどと利便性も高く、非常に暮らしやすい環境ではないでしょうか。

今回、話を聞いた人

西東京市立中原小学校

校長 水野慎一郎先生

※掲載の情報は2017(平成29)年11月のものになります。

「ここで学べば経験と力がつく」と実感してもらえる「西東京市立中原小学校」/校長 水野慎一郎先生
所在地:東京都西東京市ひばりが丘2-6-25 
電話番号:042-422-4518
http://www.nishitokyo.ed.jp/e-nakahara/

練馬区立開進第四中学校インタビュー

自主性を育む多角的な教育を実践する「練馬区立開進第四中学校」/校長 新村紀昭先生


「練馬区立開進第四中学校」は、「氷川台」駅の東、閑静な住宅街に立地する1961(昭和36)年創立の中学校。すぐ近くに「石神井川」や「都立城北中央公園」の緑に囲まれた環境に恵まれ、2016(平成28)年に完成したばかりの新校舎で全11クラス367名の生徒が学んでいる。自主性を重視した教育活動を実践し、部活動や地域活動が盛んな同校で、2014(平成26)年に校長に着任された新村紀昭先生から地域の魅力を交えてお話を伺いました。

「文武両道」を目指し、部活動や少人数指導を推進

新村校長先生

 ――学校の沿革や特色を教えてください。

「練馬区立開進第四中学校」は1961(昭和36)年4月に、開進第三中学校から分離して開校した学校です。2000(平成12)年には野球部が全国中学校軟式野球大会で優勝するなど、昔から部活動やスポーツに力を入れてきた学校であり、今年度で開校57年目を迎えました。現在の生徒数は367名で、このあたりでは中規模の学校です。

新校舎は、2014(平成26)年に着工し、2016(平成28)年8月に完成しました。左右に教室がある中廊下が特徴で、小中連携のための「小中交流室」や、休み時間に生徒が自由に過ごしたり放課後勉強を教わったりできるラウンジを設け、生徒がさまざまな活動に取り組めるような造りになっています。

窓が大きく開放的なラウンジ

 ――開進第四中の生徒たちについて、どんな印象がありますか。

日頃から「文武両道」を目指して指導していますが、素直で、何事にも一生懸命取り組む生徒たちだと思います。進学率は100%で、都立志向が強く、約7割が都立高校へ、約3割が私立高校へ進んでいます。アクセスがいいため進学先も広範囲で、早稲田大や慶応大の附属高校など、有名私立校へ進学する生徒もおります。

生徒たちは「文武両道」を目指す

 ――校訓や学習の特色について教えてください。

校訓は「学ぶ・働く・協力する・鍛える・共に生きる」の5つ。教育目標は、これらの校訓をふまえ、「学ぶ」であれば「自ら学ぶ意欲を持ち、確かな学力を身に付ける生徒」など、目指す生徒像を表しています。また、学校経営の基本方針は、子どもたちが自分の個性や特性を発揮し、豊かな自己実現が図れるような学校作りです。3年間の学校生活のうちに生徒が主体的、自立的に活動を進めていけるようなさまざまな機会を用意。運動会や学習発表会、校外学習などの行事では、教員ではなく生徒が実行委員会を組織し、自ら運営や指揮をしています。

校訓

学習の特色としては、数学と英語の少人数指導に力を入れています。通常2クラスを3つに分けますが、本校ではスペースを活かして4つに分け、子どもたちが学習への苦手意識をなくせるように取り組んでいます。また、月曜日から金曜日まで毎朝15分の朝授業を5教科で順番に行い、基本的な知識を問う問題を解くことで、基礎基本の定着を目指しています。

部活動の輝かしい実績

――部活動が盛んとのことですが、詳細を教えてください。

運動部ではバレーボール部や剣道部が東京都大会へ出場し、サッカー部がサッカー連盟主催の高円宮杯本大会へ出場するなどの成果を上げています。全国大会優勝の実績を持つ野球部は、今春の区大会で準優勝を果たしました。特色は、中学校では珍しく、新体操部があることで、運動会で演技を披露してもらっています。一方、文化部も吹奏楽部をはじめ、さまざまな部活動があり、子どもたちは好きなことに熱心に取り組んでいます。
全体的に、本校の部活動は、先輩後輩の分け隔てがありません。1年生から3年生まで仲がよく、子どもたちはのびのびと活動していますね。

地域と連携した「小中交流室」や夜間避難訓練

新校舎の外観

――周辺の小学校とはどのように連携していらっしゃいますか?

開進第四小、仲町小と連携し、小中一貫教育を進めるための9年間連続した指導計画を作っています。教科では国語と数学に取り組み、国語で小学生と中学生が創作した文章を互いに評価し合ったり、生活指導でいじめ撲滅ポスターや標語作り、あいさつ運動をするなどしています。また、本校の「小中交流室」で小学校の先生が小学校の児童に授業を行い、そこに本校の教員が補助として入るチームティーチングをすることもあります。授業の後には給食を食べて、午後は小学生に学校紹介を含めた文化発表会を見てもらったり、部活動体験に参加してもらうなどしています。こうした活動には、課題の接続をスムーズにし、いわゆる「中一ギャップ」を防ぐという目標があるのですが、日頃から行き来をしていることで、子どもたちがお互いを意識するようになり、生徒が児童に声を掛けるなど自然な交流が生まれています。

城北中央公園から見た第四中

――地域の方との交流についてはいかがでしょうか。

区内の各小・中学校は災害時の避難拠点となっていますが、本校では自主性を育むための体験・奉仕活動のひとつとして、避難時に活動する避難拠点会議の方たちと協働で夜間防災訓練を実施しています。有志の生徒たち50~60人が参加して、地域の方たちと体育館で段ボールの間仕切りを作ったり、炊き出しを手伝うなどの「共助」を担う体験、消灯して暗闇の中で5分ほど寝るといった体験をします。中学校での夜間訓練は、よそではあまりやっていないかもしれません。

地域貢献活動では、生徒会が募集したボランティア約30人が、開進第四小と仲町小の夏祭りの手伝いをします。開進第四小ではサッカーのシュートゲームや野球のストラックアウトのコーナーなどを担当し、仲町小では模擬店係や駐輪場の整備などをしていますが、地域の方や小学校の先生方にとても喜ばれています。これはオリパラ教育の指定をきっかけにボランティア精神を育むために始めたものですが、新しい伝統としてこれからも続けていきたいと考えています。

その他、吹奏楽部が近くの武蔵野音大の学生に指導してもらうなど、学習や部活動などの場面で、地域人材に協力してもらっています。今年度から、地域の方を講師に新校舎の和室を使って茶道教室も行う予定です。

茶道教室を開く和室

――開進第四中での学校生活を通して、生徒たちがどのように育ってほしいと思われますか?

グローバル化が進んだ国際社会の中で活躍できる、総合的な「人間力」を兼ね備えた人間になってほしいと願っています。生徒主体の実行委員会やボランティア活動など自主性を育むための教育を通して、自分のよさ、個性や特性を発揮できる人間に育ってほしい。そのために、本校ではキャリア教育にも力を入れていて、視野を広げる国際理解教育として、JICA(国際協力機構)で海外派遣に行かれた方の講演会や外国人留学生から話を聞く授業なども行っています。

サクラの名所や総合公園がすぐ身近に。潤いある暮らしが叶うエリア

石神井川

――練馬区羽沢の魅力や、新村校長先生のお気に入りスポットを教えてください。

ここに来て一番驚いたのは、石神井川のサクラ並木です。「氷川台」駅から学校へはちょうど石神井川沿いに歩いて来ることができますが、川沿いの歩道にずっと桜並木が植えられ、枝が川面に垂れ下がっていて春は壮観です。花見をしながら、お弁当を広げて食べたいぐらいです(笑)。
また、学校のすぐ裏手には「城北中央公園」があり、サッカーをしたり、キャッチボールをしている親子をよく見かけますよ。本校はジョギングコースをお借りしてマラソン大会をさせてもらっていますが、園内には400mトラックや野球場があり、私が「クローバー公園」と呼んでいる広場では、お弁当を持ってきたお母さんたちが小さなお子さんを遊ばせていたりします。
それから、開進第四小の近くには練馬区の「こどもの森」という公園があって、乳幼児から小学校低学年ぐらいの子どもたちが泥んこになって遊ぶことができます。自然が豊かで、いろいろな活動ができるのが、このエリアの魅力。お子さんが育つにもとてもいい環境ではないでしょうか。

新村紀昭校長先生

練馬区立開進第四中学校

校長 新村 紀昭 先生
所在地:東京都練馬区羽沢3-24-1
電話番号:03-3993-1481
URL:http://www.kaishin4-j.nerima-tky.ed.jp/
※この情報は2017(平成29)年10月時点のものです。

自主性を育む多角的な教育を実践する「練馬区立開進第四中学校」/校長 新村紀昭先生
所在地:東京都練馬区羽沢3-24-1 
電話番号:03-3993-1481
http://www.kaishin4-j.nerima-tky.ed.jp/

備後屋店主 岡田芳宗さん インタビュー

創業60年以上。大正時代に“民藝品”と称された美の世界を頑なに守る「備後屋」/店主 岡田芳宗さん


都営地下鉄大江戸線「若松河田」駅、出口を出て大通り沿い歩いて1分の場所にある、「Folk-Crafts Shop」と大きく描かれた白いビル。古くから今に残る、“民藝品”を専門に扱う店「備後屋(BINGOYA)」。地下1階から地上4階までのフロアには、所狭しと様々な民藝品が並べられている。最近は雑誌などで紹介されることも多く、若い人も含め多くの人が訪れるスポットとなっている。今回は、「備後屋」の店主である岡田芳宗さんに、店のこだわりやこの街の魅力などについてお話を伺った。

大正時代に作られた造語「民藝」。それは、“暮らしのなかから生まれた美の世界”。

「備後屋」の外観

――まず、「備後屋」の経緯を教えていただけますか?

岡田さん:この店は私の父が創業しました。備後地方は畳の産地だったもので、祖父や祖母がそちらで畳屋を営んでいたそうですが、1955(昭和30)年前後に父も一緒にこちらに移ってきたそうです。しばらくは、敷物みたいなゴザを売っていたようですが、間もなくして、焼き物や郷土品を扱うようになったようです。

30年代も終わりの頃、最初の店では手狭になってきてこのビルを建てました。それ以降は、変わらずこの雰囲気でやっています。

藍染の織物が並ぶ

――お父様には思い入れのある作家の作品などはあったのでしょうか?

岡田さん:当時は、特別に“どこそこの作家の作品”という感じではなく、民藝品が当たり前にあった時代でした。色々なものが生まれてきた時代でしたからね、種類も豊富にありましたから扱うものもどんどん増えていきました。ですが、昔と違って今はもう作れなくなったものが増えていて、当時の3割ほどしか残っていないのではないでしょうか。これも時代を反映しているんでしょうね。

よく、“民藝屋”と“骨董屋”を勘違いされる方もいらっしゃって、うちは民藝屋ですが、「古いものを扱っているんじゃないか」と思わることがあります。ですが、うちでは古いものは一切扱っていません。今、作られているものだけを扱っていますよ。

大皿からコーヒーカップまで用途も多彩な焼き物

そもそも「民藝」という言葉は、柳宗悦が大正時代に作った造語です。“暮らしのなかから生まれた美の世界”を持つ品々を「民藝品」と称したことが始まりなのです。

昔からあり今も残る、日々使用する品を並べ、お客様に選択を委ねる

印伝の小物入れ

――取り扱いが豊富ですが、セレクトの基準はあるのでしょうか?

岡田さん:実は、特に“セレクト”といったことはしていないのです。よく“セレクトショップ”とか“誰々がプロデュースした店”といったものもありますが、それは「民藝品」とは違う方向性だと思うので、そうしたことは一切したくないのです。創作的なところは入れずに、日常的に作られているものの中から選んでいく、という目線を大切にしています。“私が選びました”というよりは、お客様に選んでいただくという気持ちですね。

「民藝品」の産地といいますか、そういうのは日本中どこにでもあるわけではなく、東北や山陰、九州、沖縄などに集中しています。物ができる土壌とでもいいますか、焼き物なら適した粘土が取れて寒くない場所であったり、竹細工であれば材料の竹が育つ土地に北限があったりもします。色々な風土や気候などの制約があって、それぞれの「民藝品」の特徴が出てくる、そうした土地柄みたいなものを大切にしたいので、残っていても形が変化してしまったものや作家性が強くなったものは、うちでは仕入れないようにしています。

竹細工の品々

頑固に見えてしまうかもしれませんが、この方針に合わないものは頑なにお店はには置きません。「これを扱ってほしい」と色々なものを持ち込んでくる人も多いのですけどね。

――時代を経ていく中で、残っているものは少なくなっているのですね。

岡田さん:作り手側も、だんだんと世代が変わってきて、意識も変わってきていますからね。作り手は時代に合わせていきますから、私たちのこうした思いと違う方向へ向かっていってしまうこともよくあります。そうなると、方針とずれてきてしまうので、その商品は扱えなくなってしまうのです。

それなら復元するのかというと、それはまた別の世界になってしまいます。全く別の人が作ったり、似せて作ったり、プロデュースしたりして企業的なものが入ったり、となると全然違うのです。うちで扱うものはあくまで継続しているもの、それでいて正しい系統というか、そのものの背景をきちんと継承しているものが良いのです。

若い人の間でも注目を集める「民藝」の心

郷土玩具もとりそろえる

――先ほどから、店には比較的若い方が多くいらっしゃっていますね。

岡田さん:10数年前までは中高年の方が多くいらしていましたが、最近は、20代から30代くらいの若い方が多くいらっしゃいます。「Casa BRUTUS(カーサ ブルータス)」という雑誌がありますが、そこで以前「民藝品」特集が組まれた際に紹介されたのです。その特集は、柳宗悦さんの長男であり工業デザイナーの柳宗理さんが「民藝品」をデザイナー的な観点で紹介したもので、それがきっかけで若い方が訪れる機会になったのではないかと思います。

文具の数々

うちは自ら力を入れて宣伝はしていないのですが、ガイドブックに載っていたり、色々な方が紹介してくださったりしているので、それを見て来てくださるお客様も多いですね。

ただ、うちで扱っているものは興味のある方とない方、その温度差がどうしてもあります。大多数が好むものではないですが、好きな方は一度店に足を踏み入れると長時間見てくださいますし、その中には外国人の方もいらっしゃいますよ。

都電廃止で一時は陸の孤島に、大江戸線の開通で飛躍的に便利になった若松河田エリア

味わいのある諸国民藝の看板

――では、若松河田エリアについて、昔と比べてどのように変わったかを教えてください。

岡田さん:この辺りはかつて住宅地でした。1970(昭和45)年頃までは都電が通っていて、その停留所を挟んで10店舗ほどお店があったくらいです。それもほとんどなくなって、今では2、3軒ほどです。

都電が廃止されてからは、代替のバスしか交通機関がなく不便な時もありましたが、最近は地下鉄ができてとても便利になりました。大江戸線が開通して、なおかつ駅が近くなったものですから、その影響は大きいですね。新宿も近いのはもちろんですが、上野方面もぐっと近くなりました。以前は30分~40分かかっていましたが、今では十数分で行けますからね。

木彫りのプレート

あと、車を使ってもいろんなところに行くのに便利な場所です。繁華街に出るにも非常に便利ですし、夜でもタクシーが拾いやすいです。

――この街の魅力を教えてください。

岡田さん:この辺りは周りと比べると高台になっています。23区の中でも高台にある方で、昔は事務所の上から水平線も見えました。今は、新宿の高層ビルができて見えなくなりましたけどね。だから、水害とかの心配もないです。それに、比較的、安全な街だと思います。

あと、この辺りは医療関係の施設が充実してると思います。大きな病院だけじゃなくて、色んな開業医も結構な数があります。そういうお医者さんは、今でもどんどん増えているんですよ。小さなかかりつけ医が身近にあるのは安心ですからね。

あと出かけるなら「小笠原伯爵邸」と「戸山公園」が近くにあっておすすめです。是非、行ってみてください。

備後屋

備後屋

店主 岡田芳宗さん
所在地:東京都新宿区若松町10-6
電話番号:03-3202-8778
URL:http://bingoya.tokyo/
※この情報は2017(平成29)年1月時点のものです。

創業60年以上。大正時代に“民藝品”と称された美の世界を頑なに守る「備後屋」/店主 岡田芳宗さん
所在地:東京都新宿区若松町10-6 
電話番号:03-3202-8778
営業時間:10:00~19:00 
定休日:月曜日、第3土曜日と翌日(5・8・11・12月を除く)
http://www.quasar.nu/bingoya/index.html

東京女子医科大学病院 院長 田邉一成先生 インタビュー

トップクラスの医療技術で患者に寄り添う「東京女子医科大学病院」/東京女子医科大学病院 院長 田邉一成先生


昼夜に関わらず多くの人が往来する街「新宿」という印象があるが、同区内のやや東寄りに位置する若松河田地区は、23区内一の高台にある閑静な住宅地で、「月桂寺」や「都立戸山公園」があり自然が豊かな環境下にあるのが特徴だ。また、「東京女子医科大学」および付属研究機関が町域の大部分を占めており医療の街としても知られている。「若松河田」駅から徒歩5分と、アクセスにも優れた立地にある「東京女子医科大学病院」は、「至誠と愛」の精神を基本理念に高い医療技術を提供している。今回は、同病院の院長である田邉一成先生に、病院の特色、先進的な取り組みや地域における役割などついて詳しくお話をうかがった

100年以上続く世界トップクラスの病院

「東京女子医科大学病院」外観

――「東京女子医科大学病院」の歴史・概要について教えてください。

田邉さん:「東京女子医科大学」の創立者である吉岡彌生先生は、「済生学舎」を卒業し、明治中期の女性医師の一人として開業されました。多くの医科大学が女性の入学を認めないことから、女性医師の育成を決意し、1900(明治33)年に「東京女医学校」を創始しました。そして「東京女子医学専門学校」を経て、現在の「東京女子医科大学」に至ります。

創立者・吉岡彌生の像

今から100年以上前は女性が入学できる医科大学が非常に少なかったことから、精神的・経済的に自立し社会に貢献する女性を輩出するため、吉岡先生が設立したのが「東京女子医科大学」及び「東京女子医科大学病院」の始まりです。

――「東京女子医科大学病院」の特色、先進的な取り組みについて教えてください。

田邉さん:「東京女子医科大学病院」は、世界トップクラスの医療レベルを誇る病院です。特にがん治療においては診療する患者数および診療レベルは日本でもトップクラスにランクされています。通常の重い合併症を有する症例は、がんセンター等では診療が難しいことがありますが、そういったケースでも当病院では安全に診療を受けることが可能です。 また、脳外科や泌尿器科は日本でも有数の症例数をほこり、成績もトップクラスです。私がいる泌尿器科は、先進的なロボット手術、腎臓移植の手術の実績が日本で最も多く、その成績もトップクラスのものとなっています。

今回お話を伺った、院長・田邉一成先生

さらに当病院では肝臓、膵臓、心臓、腎臓の多臓器移植を行っています。一方、当病院は住宅地にあることから地域と共に育まれてきた歴史が長く、地域の開業医の先生方との連携や救急の患者さんの受け入れなどにも積極的です。女性の医師が多く女性が来やすい病院という点も特徴ですね。現在は、建物の耐震補強や新しい病院の建築も予定されており、より一層の病院機能の充実を目指しています。

――地域の基幹病院として取り組んでいることはありますか。

田邉さん:地域の開業医の先生方や救急隊の方々ときめ細かい連携連絡ができる診療科ホットラインのようなものを作っていくことを検討しています。これは地域の開業医の先生方が患者さんを紹介する時、大学病院側にタイムリーに相談ができたり救急患者さんの受け入れを要請することができたりとスムーズな連携が可能となります。

患者さんの受け入れ環境の充実

「東京女子医科大学病院」外観

――災害など緊急時への対策について教えてください。

田邉さん:災害時に、より多くの患者さんを受け入れられるように病院を整備することは重要なことです。病院が、災害が起きてから行動、準備するのでは遅いのです。受け入れ環境の充実、建物の耐震補強など体制を整えています。

――救急診療の体制について教えてください。

田邉さん:救急診療(Emergency Division:EmD)では、どのような患者さんにも、『とりあえず診る、とりあえず向き合う医師になること』を目標に掲げて診療にあたっています。診療体制は、終日の救急車対応と平日16時以降、土曜12時以降ならびに休日終日時間外に自力で来院される患者さんに対して診療しています。特に開業医の先生方からご紹介を受けた場合、迅速に適切に対応できるように今後もさらに体制を強化していく考えです。

みなさんに愛される地域に根ざした病院をめざして

街の人にも開かれた病院のカフェスペース

――診療のほかに一般の方も利用できる施設・サービスはありますか。

田邉さん:患者さんが自分の体を勉強していく事はとても重要です。総合外来センター1Fにある「からだ情報館」は、患者さんが病気や体についての様々な情報を得る為の場所です。スタッフが常駐していますので、知りたい病気についての情報がどんな医学書に載っているのか、どのような資料があるのかを、一緒にお探したり相談することができたりします。「からだ情報館」は、病院側が患者さんに対して責任説明を果たすという意味で、利用者や各所からの評価が大変高く、他病院関係者の見学希望も多いですね。

また、病院では一般の方を対象に講演会・シンポジウムの開催を数多くしています。がん患者さんとご家族との交流会「がんサロン交流会」や公開講座「自分の病気を知ろう」など一般の方が気軽に参加して勉強できる講座がたくさんあり、毎回多くの人達で賑わっています。

診療や治療だけでない取り組みも

――今後の病院の目指すもの・展望はありますか。

田邉さん:私は、大学病院は先進的医療を中心に診療することが求められる一方で、地域に対する貢献も必要と考えます。災害時の受け入れ体制についても、さらに充実した病院へ作り変えていきたいと思います。

病院の理念「至誠と愛」の精神にもとづいた先進的医療、患者さんの視点に立つ医療、を心がけていきたいと考えます。

医療環境も整い、安心して暮らせる若松河田

――病院の周辺環境(若松河田エリアの魅力)について教えてください。

田邉さん:若松河田エリアは東京23区の中でも一番の高台にある住宅地です。新宿区と聞くと人が多くて混み入っているイメージですが、ここは昔からある街で、古き良き日本の良さが残る住みやすい都会といった感じではないでしょうか。近隣には寺などが点在していて静かな雰囲気ですし、商店街が多くあり、ちょっとした買い物であればここだけでも不自由がないですね。新宿の繁華街や、渋谷、銀座に車でも電車でもすぐの立地なのでショッピングや通勤通学にも大変便利です。そして私たち「東京女子医科大学病院」や「国立国際医療研究センター」など病院が近隣にあるので安心して暮らすことができる環境にあると思います。

東京女子医大 院長

東京女子医科大学病院

院長・田邉一成先生
所在地:東京都新宿区河田町8-1
電話番号:03-3353-8111(大代表)
URL:http://www.twmu.ac.jp/info-twmu/
※この情報は2016(平成28)年11月時点のものです。

トップクラスの医療技術で患者に寄り添う「東京女子医科大学病院」/東京女子医科大学病院 院長 田邉一成先生
所在地:東京都新宿区河田町8-1 
電話番号:03-3353-8111
診療時間:9:00~16:00(土曜日 ~12:00)
休診日:第3土曜日、日曜日、祝日、創立記念日(12/5が日曜の場合は12/6)、年末年始(12/30~1/4)
https://www.twmu.ac.jp/info-twmu/

大角玉屋 代表取締役/あけぼのばし通り商店街 会長 大角和平さん インタビュー

「あけぼのばし通り商店街」とともに歩む「元祖 いちご豆大福」発祥の店「大角玉屋」/大角玉屋 代表取締役・あけぼのばし通り商店街 会長 大角和平さん


いまでこそ誰もが知る苺大福。誕生させたのは、1912(大正元)年から始業する老舗和菓子「大角玉屋」だ。つきたてのお餅の中に、甘い餡と甘酸っぱい苺の絶妙な組み合わせは、店主のこだわりが詰まった逸品。今回は、「元祖 いちご豆大福」を生み出した「大角玉屋」の三代目大角和平さんに、苺大福誕生秘話などについてお話を伺った。

祖父の代から3代目。一から立て直して今に至る

「大角玉屋」

――まず最初に、お店ができた経緯などを教えてください。

大角さん:創業は1912(大正元)年。祖父の代から初めて私で3代目になります。うちはこの通りで戦前から営業していますが、当時からやっていらっしゃる店は今では珍しくなってしまいましたね。

大角和平さん

――現在、三代目でいらっしゃるということなんですけど。

大角さん:私は4人兄弟なんですが、上の兄がお菓子作りに全く興味がない人でしてね(笑)。最後に残ったのが私ということもありましがた、もともと私はモノを売ることが好きだったので、迷うことなくこの店を継ぎました。

そのため、なんの迷いもなく学校を卒業したら、まずは他の店に修行に出ました。そして修行から帰ってきて、職人の立場で改めて自分の店を見つめ直した時に、その環境の差に驚きました。修行先では職人が何人もいて、大量のお菓子を作っていたのですが、実家では親が一人でこつこつとやっているわけですから。

それに店舗自体も年季が入っていたので、どうやって店を立て直して発展させようかという点はとても悩みました。壁紙を貼ったり、フェンスのペンキを塗ったり、そういったお店の環境作りも全部、一から自分でやったんですよ。

試行錯誤を重ねて誕生した傑作「元祖 いちご豆大福」

看板商品の「元祖 いちご豆大福」

――こちらは、苺大福の発祥だと聞いております。

大角さん:お店を継いだ当初は「とにかくお店をなんとかしなければ!」ということばかり考えていました。「うちの看板商品はこれだ!」と、胸を張って言える商品がほしかったのです。

そんな思いを抱えていた頃、ちょうど1985(昭和60)年の正月のことです。毎年、新聞で一年の予想みたいなものが掲載されるのですが、そこに「今は洋菓子屋さんが圧倒的に多いけれど、今年あたりからは風向きが変わって和菓子の時代に入るのではないか」という予想が載っていたんです。でも、そのときはまだ他人事のようにその予想を眺めていました。

秋のイチオシ、栗大福

それから、そう日を置かない時に、ふとたまたま苺のショートケーキに目に入ったんです。苺のショートケーキって、洋菓子店の看板商品ですよね、シンプルで可愛らしくて、美味しくて。それで、「和菓子の看板商品って何だろう」と考えてみたときに、大福やどら焼きに苺を使ったらどうだろう?って思いました。それが発想の原点です。

でも苺は生ものですから、日持ちするものと一緒に加工してしまうとダメなんですよね。すぐに食べてもらわないと苺の鮮度が落ちてしまいますから。それなら、その日に食べてもらえるものは何だろう、と考えて大福が思い浮かんだんです。大福ってすぐに固くなってしまうので、お客様も買ってすぐ召し上がりますからね。

新宿区からの表彰状

組み合わせもいろいろ試してみました。苺との相性を考えると求肥は少し物足りないので、やはり皮はお米からついたお餅。個性の強い苺には、それに負けないあずきの風味の強い餡、という風にして苺大福ができあがりました。

今でこそ定番ですが、当初は売り出すのも不安でした。パートの方に試食をお願いしたら、「本当に美味しいの?」って言われました(笑)。おっかなびっくり半信半疑でしたが、実際に食べてみたら「美味しいね!」って言ってくれました。

そこで意を決して、まず30個だけ作って店に出してみたら、30分もたたないうちに売りきれたんです!それならということで翌日60個出してみたら、それも30分くらいで売りきれました。そうやって日に日に数がのびていったんです、信じられなかったですね。

お客様の最初の食いつきは「珍しい」、でも「なんだろう?」と思って疑心暗鬼で食べてみたらおいしい、おいしいとその友達にも教えていただける。そうして口コミで徐々に広まって、ちょっと変わったものがあるぞと、マスコミにも出させていただきました。

和菓子づくりで大切なのは「基本通り」とそれを支える技術

季節の生菓子

――大角さんの和菓子に対するこだわりを教えてください。

大角さん:なによりもまずは「基本通り」です。基本通りに丁寧にできる技術が必要ということです。例えば、こんなものを作りたいと思ったときに、技術がないとどうすれば作れるのかがわからない。頭の中で想像したものを形にするには技術と経験が必要なんです。まず技術がある、そして材料があって、そこにセンスや思い入れが入っていって、世の中に出て喜んでいただけるものができあがるんです。モノを作って売るっていうのは、なんでもそういうことなんです。

――苺大福以外でおすすめの商品はありますか。

大角さん:苺大福と豆大福は定番でいつでもあるんですが、多くの生菓子はだいたい毎月種類が変わっていきます。今の時期は栗大福がおすすめです。

とにかく季節感は大切にしていて、おおまかに春夏秋冬に合わせるだけではなく、今はもっと細かく分けています。3か月間同じ商品では、お客様が飽きてしまいますからね。例えば、夏は6月、7月、8月とありますが、6月はちょうど春が終わって目に新緑が移るようになるので、笹や生姜を使ってちょっとさっぱり系にしてみたり。8月は真夏でとにかく冷たいもの。そして、少し秋っぽいものも。秋も9月と11月ではかなり違います、11月は初雪だとか初霜だとかなので、温かいお茶に合うお菓子になってきます。

「ブランデーどら焼」

――ほかにもおすすめはありますか?

大角さん:「ブランデーどら焼」というのが、どら焼きの皮の中にお酒をふんだんに染み込ませた、ブランデーケーキみたいなどら焼きです。試作段階ではブランデーの量をとても気にしました。お酒に強い方、弱い方どちらにも好んでいただけるように、また、もし食べて車を運転するときに飲酒運転だと言われない量にも抑えないといけない。どういう風に記載したらいいかもいろいろと考えました。でも、結局これも売り始めたら全く老若男女関係なく売れたんです。どら焼きも、安いお酒だとコクが出てこないけど高級なお酒だとまろやかになるんです。だから、一番いいお酒を使っています。

フジテレビで栄えた「あけぼのばし通り商店街」

――それでは商店街の歴史について教えてください。

大角さん:フジテレビがあった頃の賑わいはそれはすごかったです。テレビ局は昼も夜もないですから、スタッフさんはもちろん、タレントさんも夜食で店を行き来していましたね。フジテレビがお台場に引っ越してからは、だいぶ落ち着いた雰囲気になりましたね。

「あけぼのばし通り商店街」の入り口

――今、商店街には何軒くらいの店がありますか。

大角さん:今は商店街自体で約90店舗近くのお店があります。フジテレビが移転して最初の1、2年は落ち込みましたが、それ以降は回復して、今は空いてる場所というのがないんですよ。

お店自体もずいぶん変わってきましたね。フジテレビの跡地にはマンションが建ちましたので若い世代の住民も増えました。それに時代の流れでもって、コンビニやスーパーも増えたので、個人の八百屋とか酒屋さんとかは一時期よりもぐっと少なくなりました。今一番多いのは飲食店、あとは、携帯電話屋さんや接骨院などのサービス業も増えています。

「あけぼのばし通り商店街」の街並み

――商店街で行うイベントについて教えてください。

大角さん:夏の祭礼と売り出し、秋のハロウィンの3回です。近隣の学校のPTAの方々にも手伝ってもらったりしながら開催しています。ハロウィンはだいたい10月の最終土曜日に行っていて、毎年2,000人以上もの人がやってくる一大イベントになっていますね。スタンプラリーを企画して入り口から少し離れた店までもお客さんに足を運んでもらえるよう、工夫しながらやっています。

抽選なんかもそうで、ガラポンだったのを普通のクジにしたり、番号のついた宝クジにしたり。時代に合わせてどういうスタイルがいいか、常に試行錯誤しながらやっています。

若い人が入ってきたこともあって、メールマガジンの配信も始まりました。今どきは皆さんなんでもスマホで調べますからね、ホームページも初めて来たお客様がその場で調べたときに、なにか手がかりになればと思っています。

――商店街の今後の抱負はありますか。

今は賑わいのある商店街として認知していただいて、ハロウィンのイベントを中心に多くの方が訪れてくださいます。ただ、そこに甘んじていてはいけないと思うので、例えば今はイベントのない春になにか企画したり、今はまだ商店会の活動にあまり参加していない店舗の方にも積極的に参加していただいり。常にいろいろと趣向を凝らしてお客様が訪れたくなるような商店街作りをしていかなければいけないなと感じています。

――最後にこの街の魅力について教えてください。

「あけぼのばし通り商店街」は昔ながらの商店街という雰囲気ですが、新宿区ですからね、足の便はとにかく良いですよね。どこへ行くにも30分あれば行けてしまいます。あとはとても平和ですね。昔、防犯カメラの設置案が出たんですが、どんどん話が大きくややこしくなってしまって、でも最終的にそんな物騒な街じゃないからいらないだろうって(笑)。安心して暮らせる街だと思いますよ。

3代目

大角玉屋/あけぼのばし通り商店街

代表取締役/会長 大角和平さん
所在地:東京都新宿区住吉町8-25
電話番号:03-3351-7735
※この情報は2016(平成28)年10月時点のものです。

「あけぼのばし通り商店街」とともに歩む「元祖 いちご豆大福」発祥の店「大角玉屋」/大角玉屋 代表取締役・あけぼのばし通り商店街 会長 大角和平さん
所在地:東京都新宿区住吉町8-25 
電話番号:03-3351-7735
営業時間:9:00~19:30(日曜日・祝日は18:30まで)
http://www.oosumi-tamaya.co.jp/index.htm..

髙七 五代目 飯田敏夫さんご家族 インタビュー

海外や遠方からも人が訪れる、親切&丁寧な天ぷらの老舗「髙七」/飯田敏夫さんご家族


「若松河田」駅から歩いて5分ほどの場所にある「髙七」。魚市場が今の築地ではなく日本橋にあったころから営業を続ける老舗の天ぷら屋だ。周囲で働く会社員や地域に住む家族、遠方からやってくる人のほか、外国人も多く訪れるという有名店。今回は、この店の歴史やこだわりのお料理に、そして、若松エリアの魅力についてお話を伺った。

1884(明治17)年、日本橋で創業した老舗天ぷら屋

「髙七」

――お店の歴史などについて教えてください。

ご主人:創業は1884(明治17)年。初代が伊勢から進出してきたという「伊勢高(いせたか)」という店に修行に行っていて、暖簾分けしてもらったのが始まりと聞いております。名前は「伊勢高」の「高」と、初代の名前「七兵衛」の「七」を取って、「髙七」となったそうです。

その当時は魚市場は日本橋にあったので、「髙七」も日本橋で営業しておりました。ですが、1923(大正12)年に関東大震災が起き、魚市場が築地に移転、私たちも築地にやってきました。でもまたその後に第二次世界大戦。4代目も戦争に行きましたので、その間は店を閉め、引き上げてきた後に親戚を伝ってここにやってきました。1947~1948(昭和22~23)年のことです。

明治17年創業の書

その頃は資材もなかったので、まずは総菜屋からはじめました。米だって配給でしたからね。それに当時、辺りは焼け野原になっていました。ここは都内でも高いところなので、辺りの焼け野原が一面に見えるんです、すごかったですよ。

それから、ここに店を移してきたのが1968(昭和43)年のとき。総菜屋ではなくて飲食店の形にした天ぷら屋を始めました。“天ぷら”「髙七」として。そのころ私は7~8歳でしたね。

――ご主人はどうして店を継がれたのですか。

ご主人:父が病に倒れたことが原因で、この店を継ぐことになりました。私が大学一年生のときのことです。全く天ぷらを揚げたことがなかったものですから、父が少し復帰できたときに仕入れのことからいろいろと教えてもらいました。

「親切」&「丁寧」をモットーにお客様の要望に応える

店内の様子

――料理やサービスにおいて大切にされていることはなんでしょうか。

ご主人:「親切」&「丁寧」です。「郷に入っては郷に従え」って店もあるでしょうけど、うちではなるべくお客様の要望は聞くようにしていています。あまり断るようなことはしません。

刺身も天ぷらもあるのにベジタリアンの方がいらっしゃることもあります。ベジタリアンの方は、鰹節でとった出汁もダメなんです。だからカブとかカボチャとかサツマイモとかを塩だけでお出しします。とても難しいですが、そういった要望にもお応えしています。

飯田さんご家族

――これまでに、お店をやっていて良かったなあと思うことはありますか。

ご主人:「美味しかったですね」「今日のカブは美味しかったですよ」と、一言ぽんと言ってくださると、とても嬉しいです。私たちも、ひとつひとつが冒険なんです。少しくらいはお客様をびっくりさせたいじゃないですか。だから、蕪を使ったり、大根を使ったり。夏はキュウリも使います。季節によって食材が変わっていくので、それに合わせて普段は天ぷらにはしないようなものも揚げたりします。

刺身や焼き物まで、旬の野菜・旬の魚介を取り入れる

旬を取り入れた天ぷら

――この店のおすすめの品を教えてください。

ご主人:その日その時の仕入れによって違いますけど、「かき揚げ」でしょうか。中に入る具材も季節によって変わりますし、天つゆをつけたり塩をつけたり、いろいろな食べ方があります。「あんかけ天丼」というのもあります。天丼のたれをあんに溶いてとろみをつけるんですが、あまりほかの店ではないものだと思います。

あとは、旬のものを見つけては揚げたりするので、おすすめは季節によって変わってきます。季節によっては生のシシャモとかも揚げます。値が張るので定食でお出しすることはまれにしかないですが、安く仕入れられたときはお出ししたりもします。でも、生のシシャモって説明しないとわからないですね。シシャモっていうと、カラッとしたものを頭に浮かべるでしょ。生のものはそれとは全く別物なんです。そういうものの価値を知っている方がひとりでもいらっしゃると嬉しいですね。

――他によく出るメニューは何がありますか。

ご主人:昼間は定番の定食が多いですが、夜は、お酒と一緒に召し上がっていただくために、天ぷら単品や、お刺身もお出ししています。あと、焼き牡蠣はうちの名物でもあります。一年中食べられる牡蠣を仕入れていて、お子様からお年寄りまでみなさん喜んで召し上がっていただいています。

定番の定食

お母さま:あとは、もう本当に色々なものがあります。最初、みなさん1、2回は定食を召し上がるんですけど、周りでいろいろなものを食べているのを目にすると、「あれは何ですか?」って聞いてくるんです。そうすると、次に来た時にそれを頼んだりします。季節の天ぷらや、主人おまかせの一品っていうのもよく出ます。松茸とかタケノコとか、天ぷらにせずに焼き物としてお出しすることもあるんです。

素材の仕入れにこだわりあり

――料理へのこだわりはどんなところでしょうか。

ご主人:天ぷらって誰が見てもわかるようなものを揚げるじゃないですか、海老なら海老がその姿のまま出ますよね。だから素材を吟味しないとすぐに良し悪しがわかってしまうんです。だから、仕入れはちゃんとするようにしています。例えば、キュウリの曲がっているものをお出しすると、安いもの揚げてるなって思われるじゃないですか、だから多少高くても、きちんとしたものを仕入れます。

お母さま:産地にこだわりはないですが、こだわるものにはこだわっています。例えば、お米は新潟の新発田のコシヒカリを単一農家から仕入れています。ほかのお米を混ぜたりはしません。お米屋さんで買うと品質を均一にするためにいろんなお米を混ぜるので美味しいのもまずいのも一緒に混ざっているんです。そうじゃなくて、ちゃんと美味しいものを選んで仕入れます。新米ができると冷蔵庫に保存しておいて、その都度精米しています。だから昔みたいに、夏を過ぎたらお米がぱさぱさ、みたいなことはありません。

こだわりのお酒で手作りの果実酒も

ご主人:お酒も、妻が新潟出身なので、新潟から仕入れています。お酒の場合は、こういうふうにこだわらないと、きりがないです。

赤ちゃんから年配の方、そして外国人まで幅広い客層

海外や遠方からも人が足を運ぶ、親切&丁寧な天ぷらの老舗「髙七」

――客層はどういった方が多いですか。

ご主人:昼間は男女に限らず会社員の方が多いです。夜は、平日は昼と同じく会社関係の方、週末になるとご家族連れが多くなります。うちは禁煙ですので、赤ちゃん連れのご家族も安心して来ていただけるんです。

お母さま:ご家族でいらっしゃる方は、一族でおばあちゃんの誕生日会もされたりします。大人数になると貸し切りもできますので、法事で利用される方もいらっしゃいます。

ご主人:だいたいこの地域の方ですが、週末には探検しながら遠方から、という方もいらっしゃいますね。

小さい子ども連れも安心の座敷席

お母さま:外国人の方もよくいらっしゃいます。外国の方は皆さん、天ぷらをよく食べます。周辺の会社に研修とかできている方も多いですし、一度うちで食べた方が国に帰って、「日本に行ったらあそこで食べるといいよ」って友達に教えてくれたりするんです。『トリップアドバイザー』にも載っていますし。

馴染みのない日本の食材が苦手な方もいらっしゃいますので、そういう方にはなるべくお口に合うものをお出しします。せっかく揚げたのに捨てられてしまうのは食材がかわいそうですから。でも、だからといって、外国人向けに特にアレンジすることはありません。それを区別してしまうのは違うと思いますので。

静かで安全。長く住み続けたい街、若松河田エリア

若松河田エリアの街並み

――最後に若松河田エリアの魅力を教えてください。

ご主人:ここは引っ越して出ていく人がほとんどいないんです。だからいつも同じ顔が見えて、すごく安心します。もちろん、マンションが建って新しい人も入ってきますけど、ほとんど入れ替わりはないですね。

お母さま:結婚する前からのお客様が結婚してお子さまが生まれて、その子が大きくなってまた誰かを連れてきてくださったりもします。とにかく住みやすい街ですね、都心に近いですし。だから、23区内で一番おじいさんおばあさんが多い区域なんですって。でも、マンションができてからお子さん連れの人もすごく増えました。この店も、昼間にPTAの会合の後に子連れで来たり、夜に幼稚園のお母さんたちが忘年会で来たり。子連れの方もたくさんいらっしゃいますよ、お座敷もありますしね。

ご主人:あと、住宅街なので静かですし、安全です。

お母さま:住民どうしお互いに顔が何となくわかるっているというのが安心ですね。もちろん治安が良いですよ。ひったくりとかもあんまり聞いたことないですね。そういうことするような人が住んでいないのかもしれないですね。

飯田さん

髙七

飯田敏夫さんご家族
所在地:東京都新宿区若松町36-27
電話番号:03-3202-4035
※この情報は2016(平成28)年10月時点のものです。

海外や遠方からも人が訪れる、親切&丁寧な天ぷらの老舗「髙七」/飯田敏夫さんご家族
所在地:東京都新宿区若松町36-27 
電話番号:03-3202-4035
営業時間:月曜日11:30~14:00(L.O.13:30)、火~土曜日11:30~14:00(L.O.13:30)、17:30~21:00
定休日:日曜日、祝日

「市川どろんこ保育園」末永園長先生インタビュー

子どもたちの「やってみたい!」に寄り添う「市川どろんこ保育園」/園長 末永先生


「市川どろんこ保育園」は、首都圏に多くの園を展開する「社会福祉法人どろんこ会」が運営する認可保育園だ。総武線の「本八幡」駅と「下総中山」駅の間の高架下にあり、雨の日も子どもたちが園庭で泥だらけになって遊ぶ姿が見られる。園長を務める末永先生に、園の概要や街の魅力について伺った。

高架下だと雨の日も外遊びを楽しめる

高架下の園庭は、意外にも広々として明るい

――まずは園の概要を教えてください。

2014(平成26)年にできて、今年で5年目になります。対象は0歳児から5歳児まで。定員数は120名と比較的大きな園といえるでしょう。保育時間は7時~20時となっています。

自分の好きなおままごとグッズを選ぶ子どもたち

――各地にある「どろんこ保育園」の中でも、初めて高架下に開設された園とのことですね。そのメリットをお聞かせください。

なんといっても、雨の日でも外遊びができることですね。屋根があるおかげで、梅雨の時期でも天気を気にせず毎日体を動かして遊べます。日差しの強い夏場は、直射日光が当たらないのもありがたいですね。長時間の外遊びは、熱中症が心配ですから。

先生と一緒にトンネル作りに熱中

地域住民とのふれあいを重視

――どんな活動やイベントがありますか。

地域に根を張るという考えから「どろんこ会」全体で取り組んでいることですが、毎週「商店街ツアー」を実施しています。近くの種苗店やコルトンプラザへ行って仕事の様子を見て、お店の人と話し、物を買うんです。子どもたちはこの体験を通して、自分の生活と地域社会とのつながりを感じ取っているようです。他にも毎月、老人ホームへの訪問と銭湯体験を行っています。

老人ホームに行くため整列する4才児クラス

――地域の人々とのふれあいを大切にされているのですね。

定期的な活動だけでなく、地域の方々には日々お世話になっています。目の前にショッピングモール「ニッケコルトンプラザ」があって、人通りが多いせいでしょうね。縁側に机を並べて給食を食べている子どもたちを見て、「おいしい?」とか「外で食べるの楽しいね」など、園庭に面した歩道から声をかけていただいたりします。

目の前には「ニッケコルトンプラザ」が

園庭で飼っているヤギに会いに来る方も多いです。歩道から見えて、金網越しにえさをやることもできるので。犬の散歩コースにして毎日立ち寄ってくさる老夫婦もいらっしゃるんですよ。癒されるみたいで。熱心に眺めている小学生に「中に入って見ていいよ」と声をかけることもあります。

園児だけでなく近隣住民にも人気のヤギ

園庭は朝から夕方まで開放しているので、親子でどろんこ遊びを楽しみに来る方々もたくさんいらっしゃいます。そうやって日々さまざまな方とふれあっているからでしょうか。うちの園児は人懐こい子ばかりで、全然人見知りしないんですよ。

ただの階段も、子どもには楽しい遊び場

一時預かりと子育て支援施設

――一時預かりも実施していらっしゃいますが、利用状況はいかがですか。

上限は10名ですが、今は0才児と1才児に希望が集中しているため、実際はそこまで預かれないこともあります。利用の流れとしては、まずwebで希望日を登録していただき、次に面談でアレルギーなどを確認してから預かりを決めています。

縁側にすわる園長先生と子どもたち

――併設の子育て支援施設「ちきんえっぐ」の概要や活動について教えてください。

「ちきんえっぐ」は、小さなお子さんを抱えて頑張る親御さんのための場所。予約不要で、誰でも気軽に利用していただけます。受付後は保育園の園庭で自由に遊べる他、ふれあい遊びやジュース作りなども楽しめます。

自分の世界に没頭する園児

入園を検討している方やその他、様々な方たちが利用されています。

歩道から見る保育の様子

――どんなことに心がけて保育に当たっていますか。

子どもたちの挑戦する気持ちを尊重して、あれはダメ、これはダメとは極力言わないようにしています。やりたいことはやらせて、しっかり見守るというスタンスです。普段から子どもたちの話をよく聞いて、やりたがっていることを保育に取り入れるよう取り組んでいます。

裸足で駆けまわることで、足指で地面を捉える力を育てる

この園庭にある遊具の中にも、そうやって生まれたものがあるんですよ。園庭と2階のテラスの間にひもを渡して、そこに筒が通したもの。「物を投げて遊びたい」という園児の話を聞いたスタッフが、腕を振って投げる動作が楽しめるようにと考案しました。園児はもちろん保護者の方にも好評で、お迎えに来たときなんかにトライされる方が結構いらっしゃいますよ。

ひもに通してある筒を握り、上に向かって滑らせる

――保護者の方も、やってみたい気持ちが旺盛なんですね。

そうですね。みなさん教育熱心で、相撲見学やプロバスケットボールチームの試合観戦に行くなど、多方面に興味を持っていらっしゃいます。うちでは課外活動として、「体操教室」「スイミング教室」「英会話教室」に通えるプログラムを用意していますが、実に多くの子が参加しています。

交通の便が良く、人のぬくもりに満ちた街

――最後に、園周辺、鬼越・下総中山エリアの特徴や魅力をお聞かせください。

この辺りは、いろんな駅や路線を使えるのが便利ですね。JR総武線はもちろん、「本八幡」駅には地下鉄新宿線も通っているし、「鬼越」駅からは京成線にも乗れます。どの駅も歩いて行ける距離にあるからラクですよね。

みんなでテーブルを囲んでのお絵描きタイム

それに、親切な人が多いと思います。ヤギのえさは、ほとんど地域の方々の好意でまかなっているんですよ。スーパーの野菜売り場で捨てられるキャベツの外葉をまとめてもらって来てくださる他、雑草の少ない季節は大変でしょうと江戸川の河川敷で草を刈って持ってきてくれる人までいらして。居心地よく、快適に暮らせる街ですね。

友だちとおしゃべりしながらブロック遊び

市川どろんこ保育園

市川どろんこ保育園

末永園長先生
所在地:千葉県市川市鬼越2-18-17
URL:http://www.doronko.biz/nursery/ichikawa.php
※この情報は2018(平成30)年7月時点のものです。

子どもたちの「やってみたい!」に寄り添う「市川どろんこ保育園」/園長 末永先生
所在地:千葉県市川市鬼越2-18-17 
電話番号:047-302-7333
延長保育:あり(7:00~9:00、17:01~20:00)
休園日:日曜日、祝日、年末年始(12月29日~1月3日)
http://www.doronko.biz/nursery/ichikawa…

Sekihara pasta&wine(せきはら) 関原さんご夫妻 インタビュー

地域の人たちに愛され続けるイタリアン「Sekihara pasta&wine(せきはら)」/関原さんご夫妻


「若松河田駅」駅からわずか徒歩2分ながら落ち着いた雰囲気の漂う住宅街に、ご夫婦で営むイタリアン「Sekihara pasta&wine(せきはら)」がある。ここで育ったという地元出身のご主人。地域の方とのコミュニケーションを大切に、日々、おいしいワインと料理を提供している。今回は、「Sekihara pasta&wine(せきはら)」を営むご夫妻に、店の様子と街の様子についてお話を伺った。

2005(平成17)年、早稲田にオープンしたパスタとワインの店

お店の外観

――こちらの場所にお店を開かれるまでの経緯を教えてください。

ご主人:この店を開く前は、20年ほどホテルやレストラン、居酒屋などで調理をしておりました。そして、2005(平成17)年に早稲田で初めて自分の店を持ちました。その後、2014(平成26)年6月に、地元であるこの地に移転してきました。

料理の見た目としてはイタリアンっぽいですが、実は、わたしはずっとフレンチをやってきたのでイタリアンの経験はないんです。でも、パスタ屋で働いていたことがあって、自分ではそっちのほうが自信を持っているんです。それで、お店はこういうイタリアンっぽい感じになりました。ランチはメインでパスタをお出しして、夜は少しフレンチベースが入った料理とワインを楽しんでいただく感じです。

関原さんご夫妻

――定番メニューはありますか?

ご主人:この辺りはランチの需要がかなり高いので、お昼のパスタのセットはおすすめです。パスタのセットしかないんですけども、パスタ自体が11種類から選べるんです。そこに、サラダと飲み物がセットになっているわけです。

中には週替わりのパスタというのがあって、特によく通ってくださる方には一番人気があります。週替わりのパスタには、できるだけ旬の食材を取り入れています。あとは、今週が塩味だったら次はトマト、クリームというように、ベースにも変化をもたせるように心がけています。

ランチメニューのパスタのセット

ディナーでも、季節感は大切にしています。あとパスタを充実させた上で、おつまみをメインにワインに合う料理をそろえるようにしています。

季節感と新鮮さ、そして手作りが自慢の料理を世界各国のワインとともに楽しむ

黒板を彩る旬のメニュー

――ほかに、おすすめのメニューはありますか。

ご主人:季節感を出すために、なるべく旬のものをそろえておすすめのメニューを黒板に書いています。毎週全部が入れ替わるわけではなく、1週間で変わるものもあれば、2,3週間続くものもあります。

奥様:けっこうご好評いただいているものは長く続けています。生牡蠣なんかはお好きな方が多いので、牡蠣が旬の時期はちょっと長めにメニューに置いたり、といった具合ですね。

ご主人:築地の魚屋さんから毎日仕入れていますので、魚介類はいつも新鮮なものをお出ししています。その日の仕入れによって少しずつメニューが変わったりもします。

「たっぷり野菜の盛り合わせ バーニャカウダソース」

奥様:夜でいうと、「鮮魚のカルパッチョ」やサラダ系の「たっぷり野菜の盛り合わせ バーニャカウダソース」というのが人気です。ボリュームも結構あるんですよ。

気軽にワインを飲んでいただけるようにとカウンターもご用意しているので、男性女性問わず、お一人でいらっしゃる方も少なくありません。でもお一人ですと、色々な種類を頼むということは難しいと思うので、そういう方には「前菜の盛り合わせ」をおすすめしています。少しずつですが前菜を三種盛り合わせているので、それ一皿とワイン一杯でゆっくりと楽しんでいただけます。

「前菜の盛り合わせ」

ご主人:パスタのいちばん人気は「アマトリチャーナ」ですね。イタリア産のパンチェッタと、たっぷりの玉ねぎを使ったトマトソースに、チーズもふんだんに入れていますので、とても濃厚なソースに仕上がっています。

奥様:シンプルですけど、非常に人気がありますね。リピーターの方も多いです。

――ほかにも料理へのこだわりはありますか。

ご主人:なるべく手作りをすることですね。ドレッシング一つとっても全部手作りですし、パスタソースやお肉のソースも手作りしています。もちろん手間はかかりますが、手間をかけるように心がけています。

様々な産地から揃えられたワイン

――ワインも種類が豊富ですね。

ご主人:グラスワインは7~8種類ぐらいあって、これが2,3週間に一度入れ替わっていきます。ボトルですと、白と赤合わせて50種類ぐらいあります。おいしいワインが見つかったときに仕入れていくので2、3ヶ月に1回、少しずつ変わっていく感じです。あまり国にこだわりはなく、おいしいものをご用意しています。

若いご家族から年配のご夫婦までまで幅広く愛される店

自慢のパスタ

――ランチとディナー、それぞれどういった客層の方が多いのでしょうか。

ご主人:ランチは近隣の会社のビジネスマンの方が多いですね。

奥さま:地元の主婦の方も多くいらっしゃいます。目の前に小学校があるので、学校行事があるときにはご家族の方もいらっしゃいます。

ご主人:ディナーは、お勤め帰りの病院の方も多いですし、近くにお住まいの方も多いです。ご家族やご夫婦での利用も多いですね、それも若いご家族から年配のご夫婦まで、とても幅広くご利用いただいています。

奥さま:早稲田の方で長くやっていたこともあって、前の店からの常連さんもいまだに通ってきてくださっています。とてもありがたいことです。

――イベントも開催されると伺いました。

奥さま:少し貴重なワインが入ったりすると、とても短期間ではありますがイベントも開催しています。普段なかなか飲めないようないようなワインをグラスに入れてお出ししてみたりといった具合にですね。

イベントを楽しみにしてるお客様も多い

その中でも定番になっているのは、毎年11月に開催する「山梨ヌーボー」です。ボジョレーヌーボーの前に日本の甲州ぶどうのワインが入るので、ここ数年やっているイベントで、実際に山梨に行って収穫をお手伝いして、それがワインになったものをお出ししています。9月に収穫したものが、11月にワインとなってボトル詰めされて届くんです。とても好評をいただいていて、去年は24本ありましたが、ボジョレーヌーボーが始まる前の2週間ぐらいですぐになくなってしまいました。

お客様とのコミュニケーションを大切に

――お客様と接する上で大切にされていることはありますか。

ご主人:型にはまったサービスはしていませんので、お客様のご要望にも極力添うようにしています。お一人様の量を調節したりといったささやかなことですが。

あとは、コミュニケーションを積極的にとるようにもしています。人対店はではなく人対人として、こちらが一方的にワインや料理の話をするのではなく、なるべくお客様の話を伺うようにしていますね。今日何があったとか、世間で何があってどうのこうのとか、そういう日々の他愛のないお客様との会話を大切にしています。

――店の将来的な展望はありますか。

ご主人:漠然とはしていますが、ワインをもっと多くの方、特に地元の方に飲んでいただきたいなとは思っています。神楽坂や新宿に行けばたくさんお店がありますが、そこまで行かなくても近所でおいしいワインが飲める、美味しい料理が食べるお店があるっていうのはいいじゃないですか。そういう、近所にあると嬉しいお店になっていきたいなと思っています。

便利で安全な街。お客様の温かさに支えられている安心感

お店の看板

――若松河田エリアが地元とのことですが、この辺りの魅力は何でしょうか。

ご主人:新宿区っていうと繁華街のイメージありますが、この辺りはとても落ち着いていて、いわゆる「新宿」というイメージとは違っています。田舎というと極端ですが、少しほのぼのした雰囲気のある場所だと思っています。

奥さま:環境はとてもいいと思います。世間は少子化と言われていますけど、わりと小さいお子さんも多いですね。目の前に小学校がありますし、保育園や子育て施設も充実しています。南側のちょっと先には「東京女子医大学病院」、北側には「国立国際医療研究センター病院」という2大病院がありますので、それもすごく安心ですね。コンビニやスーパー、薬局も多いで便利ですよ。

ご主人:少し歩くと緑も豊富で、公園もいたるところにあります。街の方もすごくいい方が多くて、この店もすごく良いお客様が多いのが自慢なんです。年齢に関係なく心温かい方が多くて、自分たちも見守られてるような気持ちで安心して店を開いています。

奥さま:それと大江戸線ができたことで、とても便利になりましたね。

ご主人:駅ができたことで、人の流れが随分大分変わったと思います。それまでは最寄りが「早稲田」駅か「曙橋」駅でしたが、今ではすぐそこで乗り降りできるようになりました。

せきはらさんご夫婦

Sekihara pasta&wine(せきはら)

関原さんご夫妻
所在地:東京都新宿区余丁町10-12
電話番号:03-6273-1099
※この情報は2016(平成28)年10月時点のものです。

地域の人たちに愛され続けるイタリアン「Sekihara pasta&wine(せきはら)」/関原さんご夫妻
所在地:東京都新宿区余丁町10-12 
電話番号:03-6273-1099
営業時間:11:30~14:00、18:00~23:00(土曜日12:00~21:00)
定休日:日曜日、祝日
https://www.facebook.com/Sekihara2014/

小笠原伯爵邸 総支配人 渡辺美智子さん ・広報 宮下千草さん インタビュー

屋敷町の歴史を今に伝え、日常と特別な時間を彩る洋館レストラン/小笠原伯爵邸 総支配人 渡辺美智子さん 、広報 宮下千草さん


新宿区河田町、都営地下鉄大江戸線「若松河田」駅から歩いてわずか1分の場所に1軒のスペイン様式の洋館が佇んでいる。東京都選定歴史的建造物にも指定されている「小笠原伯爵邸」だ。昭和2(1927)年に建てられたこの邸宅は、当時の趣ある姿で地域の歴史を伝えながら、現在は大磯などでもレストラン事業を行う「インターナショナル青和株式会社」の手で丹念に修復され、スペイン料理レストランとして賑わう。
今回は、「小笠原伯爵邸」の総支配人を務める渡辺美智子さんと、広報担当の宮下千草さんに、建造物としての歴史や魅力、レストランのこだわり、地域の魅力などについてお話を伺った。

1927(昭和2)年に竣工した小笠原家第30代当主、小笠原長幹伯爵(旧小倉藩主)の本邸

「小笠原伯爵邸」

――「小笠原伯爵邸」の建物は、通りがかるだけで思わず目をひいてしまいますね。

渡辺さん:この建物は、最後の小笠原藩主の長男として生まれた小笠原長幹伯爵の邸宅だったものです。

そもそもは、この場所には江戸時代から下屋敷があったのですが、関東大震災で崩壊してしまいました。その経験から、長幹伯爵は大震災にも負けないしっかりとした建物を作りたいと考えられ、ご自身が西洋の学問を勉強されたことなどもあり、当時の民間の建築設計会社として最も大きかったといわれる、曾禰(そね)達蔵氏と中條精一郎氏の建築事務所に依頼してこの洋館を建てたそうです。

ヨーロッパの面影漂う内観

曾禰氏は日本の明治以降の建築を築いたといわれるイギリス人建築家ジョサイア・コンドル氏(「鹿鳴館」などを設計)の4人に弟子の一人として知られています。また、スペイン様式は当時の流行でもありました。

現在の敷地面積は千坪程度ですが、当時の敷地は2万坪ほど。その中でこのお屋敷は、伯爵夫妻の生活の場として、また伯爵が貴族院議員などの役職もやられていたのでおそらく迎賓館のようにも使われていたのだろうと思います。

支配人 渡辺美智子さん

それに、この建物には名だたる芸術家の作品もポイントポイントに組み込まれています。ステンドグラスはステンドグラス作家の草分け、小川三知の作品ですし、外壁タイルも釉薬研究の第一人者、小森忍の作品です。伯爵ご自身も美術や芸術に造詣が深かったそうで、中庭の彫像はご自身の手によるものです。それに、どれも生き物とか植物がモチーフになっているのも特徴です。小花が吹き寄せたようなステンドグラスや、生命の賛歌をモチーフにしたと言われる外壁タイルなど。これらが、すごく建物にアクセントを添えてくれているんです。

一つ一つの装飾品にもこだわりが

――美術や芸術的要素が集約した建物なんですね。

渡辺さん:はい。ただ、戦後のGHQの接収され、東京都へ返還後一時取り壊しを検討された時期などもあり、私たちが貸りた時には20年以上も誰も住んでいなかったので、さすがに廃墟のようになっていました。これを修復するにはどれだけ経費が掛かるんだろうという不安がみなさんおありのようでしたが、わたしどもは、グループ会社の「箱根アルベルゴバンブー」という店舗で壁材、床材などすべての建材をイタリアから輸入して一軒家レストランを造った実績がありました。そのとき、イタリアを起点にヨーロッパにアンティークを含めた、建材、家具などを入手できる現地チームがおりました。そこで、是非にとコンペに手を上げさせていただいたところ、任せていただけることになったのです。

そこからは、本当に根気のいる作業でした。当時の図面や竣工写真などを見ながら、そのテイストを崩さないように家具や調度品も作ってもらいました。必要なものはほとんど海外から持ってきています。鉄格子の鉄や壁の漆喰、照明器具にいたるまで。それに、外壁タイルはオープンしてからもずっと修復していました。なにしろ剥げ剥げになっており、パーツは全部で1,600パーツくらいありましたので、これを1枚1枚貼っていくわけですから本当に手間暇のかかる作業でした。営業するまでに1年半~2年。営業してからも入れると3年くらいかけて改修していたことになります。

中庭

――本当に手抜きのない繊細な細工が、入っただけで伝わってきます。

渡辺さん:だからこそ、見事にスパニッシュ様式を再現できていると思います。例えばパティオにあるスペイン様式の小さい窓。ここに鉄の格子が組まれています。さらに、掻き落とし仕上げのクリーム色の外壁、真っ青なスペイン瓦。これはとても完成度の高い空間です。

エントランスキャノピー(外ひさし)

正面から見ると、葡萄の蔦と葉と実がデザインされたエントランスキャノピー(外ひさし)は、とてもスペイン様式の建物感があふれています。

シガールーム

当時流行りのシガールームもよく再現しています。ちょっとイスラム様式を汲んでいて、大理石の柱や大理石で模様が描かれた床など、当時のままのものを使用してとても贅沢な空間に仕上がっています。

スペイン料理の伝統的技法に和の食材が融合。思いもよらない組み合わせを作り出す

スペイン料理の品々

――お店ではどんなお料理をいただけますか。

渡辺さん:オープンは2002(平成14)年です。当時は、フランス料理やイタリア料理こそ素晴らしいレストランがたくさんできてきていますけど、スペイン料理はまだ、本格的なものはほとんどなかったんですね。ここは、建物がスペイン様式ですから、だったらそこに焦点をあてようということで、スペイン料理を始めました。

今のシェフは3代目で、スペイン・バルセロナの名店「Neichel(ネイチェル)」のセカンド・シェフを経験したスペイン人シェフです。彼は来た時に、日本の食材とか、四季を大切にする日本料理に感動したんですね。それで、そういうところにもアンテナを張って、和の食材や季節を大切にして料理を作っています。地方の旬の食材から山菜にいたるまで。これら日本の食材をアクセントにスペインならではの食材と融合させ、スペイン料理の伝統的な技法で調理していくのです。

スペイン料理の品々

――この店で人気のメニューなどありますか。

渡辺さん:日本にも素晴らしい豚肉がありますが、やはりメインのイベリコ豚は外せないですね。お客様にも、その中でも希少部位を料理したものがとても人気です。周りに添える季節野菜が変わったり、ソースが変わったりはしますが、やっぱりイベリコ豚の料理が一番人気なんです。

宮下さん:手前味噌ですが、イベリコ豚は本当においしい。例えば、イベリコ豚のプルマは赤身で柔らかく、ジューシー。それでもって脂っぽくないんです。

スペイン料理の品々

――ほかにも個性的なメニューなどありましたら教えてください。

渡辺さん:コースには、必ずお米の料理が入るのも特徴です。スペインのお米を使うこともありますが、古代米とか黒米、赤米なども使います。魚介の出汁や、肉(鶏、鴨、ウサギなどの骨)の出汁を使ったりしながらシェフが日本に来てチャレンジして作り上げたんですが、とてもおいしいです。

宮下さん:ちょうど今だと「赤米のアロス 烏賊とソプラサーダのソフリット 韮の花」をお出ししています。“アロス”とは米のこと。色々な調理法がありますが、今回の赤米のプチプチとしたアルデンテ感は最高です。

大切な方を招きたい。館内すべてを借り切って開催するパーティは最高の一日を心に刻む

青空の下でのパーティーも

――貸し切りパーティなども開催されるのですか。

渡辺さん:はい、よくご利用いただいています。ガーデンも含め、まるまるこの洋館をお貸しするんです。もともと、スペイン料理にはタパスとかピンチョスという文化があるので、それをパーティ料理にしてお客様のもとへお運びするのにとても合っているんですね。お客様にはいろんな部屋を回遊しながら、いろんな方と歓談を楽しんでいただき、とても解放感を味わっていただけます。それに、パエリアですと大鍋で作ったり、庭にあるグリル設備を用いてグリル料理を提供したりといったことも喜んでいただいています。

ガーデンパーティー開催時のイメージ

結婚式も多いです。しかも連鎖反応を起こすようです。前回は招かれてとても良かったから今度は招くほうで利用したいとか、逆に、前回は緊張していたけど今度はゆっくりと楽しめるとか。同じ会社にお勤めのお客様同士が招いたり、招かれたりすることもありました。

――こちらでパーティを主催されることもあるのですか。

渡辺さん:企業様のパーティや新作発表会など様々なイベントの開催もありますが、当邸主催の全館貸切パーティも年に3回くらい開いています。毎年お越しになる常連様ですぐ定員になってしまう盛大な「スペインナイト」というパーティや、夏の浴衣パーティ、クリスマスにはブラックタイのパーティとか。ここしかない空間で、非日常的なことを体験していただけたらと思っています。

気軽に利用できるスペイン缶詰のバー「OGA BAR by 小笠原伯爵邸」

「OGA BAR by 小笠原伯爵邸」

――ひとつの部屋では「OGA BAR」を営業されていますね。

渡辺さん:レストランは予約になりますが、「OGA BAR」は予約なしでも気軽にご利用いただけます。料理はスペインの缶詰に特化していますので、これをつまみにスペインワインを飲んでいただける場所です。スペインの缶詰は日本の保存食と違って、旬のものをおいしい瞬間に缶の中に閉じ込めようというのがコンセプト。こちらで扱っているのは添加物なども一切加えず、口にすれば素材のクオリティのよさが際立ってわかります。もちろん一般的な保存食の缶詰のイメージよりも値段がはるわけですが、このスペインの缶詰をみなさんにもっと知っていただけると嬉しいです。

宮下さん:スペインの缶詰は、今はだいたい20種類くらいをご用意しています。バル自体をスペインの食文化の発信地としたく、缶詰だけでなく、海水から生まれた結晶が美しい塩や、有機のジャムなどハイクオリティの食材たちを集め、ブティックのようにお買い物いただくこともできます。これだけスペインに特化したところはまずないのではないでしょうか。輸入食材の店でも、これだけハイクオリティな、しかも、スペインのものばかりを集めたところは聞いたことがないですね。イタリアとかフランスとかは混ぜない。そこのところは、すごくこだわっています。

都営大江戸線「若松河田」駅から徒歩1分、閑静な街並みに囲まれた特別な空間

時間が忘れられる空間

――このあたりの雰囲気や魅力などありますでしょうか。

渡辺さん:とにかく“静か”です。新宿でありながら、またここ当邸に限って言えば緑があります。そして時間が忘れられるような空気が漂っているんです。

宮下さん:

この辺りは元々屋敷町で、今は閑寂な住宅街ですので、そういう意味では、東京の都心「新宿」というイメージからは想像ができない静けさがありますね。「小笠原伯爵邸」の中に入ると、さらにその雰囲気が増します。

渡辺さん:「新宿西口」駅から都営大江戸線でも2駅の近さです。賑やかになりつつ東新宿もお隣ですし。自由が丘みたいにお店が点在しているというわけではないですが、だからこそ、静かで、都会を忘れさせてくれる雰囲気を持っています。

周辺の街並み

宮下さん:「小笠原伯爵邸」は洋館として知られていますが、ガーデンにも春夏秋冬いろいろ趣向を凝らすようにしています。春に花が咲くアーモンドの樹や5月に降るように咲くモッコウバラ、夏から秋に丸々と実をつけるオリーブの樹など。ここにいると、新宿にいるのを忘れてしまうくらい、植物の四季に詳しくなります。

渡辺さん:建物もガーデンもとても素敵で、いらっしゃった方は、ほぼ皆さん、館内を案内してほしいとおっしゃります。ですので、私たちスタッフも、この建物の歴史や調度品だったりをとても勉強しました。わたしたちも、そういうことも好きですので、どんどん詳しくなっています。是非、ここに来て、この建物を実際に目で見て歩いていただきたいです。そして是非、わたしどものスペイン料理を堪能してみてください。

渡辺美智子さん

小笠原伯爵邸

総支配人 渡辺美智子さん
広報 宮下千草さん
所在地:東京都新宿区河田町10-10
電話番号:03-3359-5830
URL:http://www.ogasawaratei.com/
※この情報は2016(平成28)年10月時点のものです。

屋敷町の歴史を今に伝え、日常と特別な時間を彩る洋館レストラン/小笠原伯爵邸 総支配人 渡辺美智子さん 、広報 宮下千草さん
所在地:東京都新宿区河田町10-10 
電話番号:03-3359-5830
営業時間:11:30~15:00、18:00~23:00
定休日:年末年始
https://www.ogasawaratei.com/

スペシャルインタビュー

サポーターと協力し、地域ぐるみで子育てを応援する「横浜市荏田地域ケアプラザ」/サブコーディネーター 野中真弓さん


親子の交流広場や育児教室を多数開催するなど、子育て支援の取り組みを充実させている横浜市青葉区。同区東部の荏田町で、親子が安心して過ごせるフリースペースを提供しているのが、地域福祉の拠点となっている「横浜市荏田地域ケアプラザ」だ。穏やかな住宅街の一角にある施設を訪ね、スタッフの野中さんにケアプラザが行っている子育て支援について伺った。

子どもと保護者が思い思いに過ごせる場

横浜市荏田地域ケアプラザの外観

――ケアプラザでは地域福祉の要としてさまざまな事業を展開していますが、その中でも「子育て支援」に関する取り組みをご紹介ください。

野中さん:自主事業として行っているのが、子育てフリースペース「えだぴよ」です。2階の多目的ホールを開放していて、お子さんと保護者が自由に会場を出入りして、おもちゃで遊んだり、交流していただけます。また、青葉区主催の「子育て相談会場」にも、場所を提供するかたちで子育て支援事業に協力しています。そのほか、自由に閲覧・持ち帰りができるよう、地域の子育て関連情報の提供を行っています。

周辺の子育て情報がたくさん。掲示物などもある

――青葉区ではほかにも、子育て支援拠点「ラフール」などたくさんの子育て支援の取り組みが行われています。ケアプラザならではの特徴はありますか?

野中さん:利用者さんによると、ここはほかの子育て支援会場に比べてすごく広いそうです。1歳半より上のちょっと大きなお子さんでも、走り回って動きやすいスペースになっています。それと、お昼を食べられるところは少ないですが、「えだぴよ」は12時になるとマットを敷いて子ども用のテーブルを置き、みんなでお昼ご飯を食べられるようにしています。お昼になると、子どもたちはテーブルを拭いたり、お手伝いもしてくれます。食が細いお子さんや離乳食がなかなか食べられないお子さんも、ここで刺激を受けて食べられるようになったというお声をよく聞いています。

広々とした2階多目的ホール(えだぴよ)

――「子育て相談会場」の開催頻度や利用状況について教えてください。

野中さん:「子育て相談会場」は毎週水曜日10時から12時まで、多目的ホールを会場に、未就学児とそのご家族を対象に開いています。予約不要で、お子さんをおもちゃで遊ばせながら、何か相談したいことがあれば、青葉区から派遣された子育て支援者さんと自由にお話することができます。
相談は、「子どもに湿疹ができちゃってどうしよう」とか、「離乳食をあまり食べないけどどうしたらいいの」といった、子育てをしていればごく当たり前の内容が多くて、支援者さんに聞いたり、保護者同士で情報交換をされています。悩み相談というより、保護者同士で会話をしてストレス発散して帰られるという方も多いですね。

子育ての経験豊富な支援者さんが見守っている

――「えだぴよ」についても、詳しくご紹介をお願いします。

野中さん:「えだぴよ」は、0~3歳の未就園児と保護者を対象に、毎月第4金曜日の10時半から15時まで開いています。「子育て相談会場」もそうですが、1日10~15組ぐらいのご利用があり、最近は乳幼児とその保護者の利用が多いです。住んでいる地域に関係なく、子育てしている方ならどなたでも歓迎なので、引越してからお友達と一緒に遊びに来るご家族もいます。お父さんやおばあちゃんも、たまにいらっしゃいます。

たくさんのおもちゃを自由につかって遊べる

会場では、地域ぐるみの子育て支援ということで、子育て経験豊富な地域ボランティアのサポーターさんが数名協力してくださり、子どもたちを見守っています。お昼を挟んで長く時間をとっているので、お弁当を持ってきてずっと遊んでいかれる親子もいれば、いったん家に帰ってまた戻ってこられる親子もいます。すぐ隣に公園があるので、ちょっとぐずってしまったお子さんを公園で遊ばせてから戻ってくるという親御さんもいらっしゃいますね。 「えだぴよ」に集まる皆さんは気さくな方が多くて、ひとりでぽつんとしている方は見かけません。初めていらっしゃった保護者もお子さんもすぐお友達ができて、とても雰囲気がいい会だと思います。

ケアプラザ隣接の「かたらい宿公園」

――「えだぴよ」ではイベントもありますか?

野中さん:参加者を募集しての特別なイベントはやっていませんが、クリスマスにスタッフがサンタに扮して現れたり、ハロウィンにお化けやカボチャの折り紙をしたりといった不定期の催しはその年ごとにあります。昨年度から始めたのが、保護者の方々にコーヒーを楽しんでもらうという企画です。コーヒーを通して地域交流をしている団体の皆さんにきていただき、隣の調理室を使って会場を喫茶室のように演出して、スタッフが子どもたちを見ながら、お母さんたちにコーヒーを飲んでリフレッシュしてもらいました。1杯100円ですが、とても好評で、年に1回は開催していこうと予定しています。

1歳5カ月児のママAさんと10カ月児のママBさんにもお話を伺いました!

取材日に訪れていた方々にもお話を伺ってみました。

――「えだぴよ」の魅力はどのようなところですか?

Aさん:保育園に通っていないと、ふだん同じぐらいの月齢の子に会うことが全くないんですが、ここにくると大勢会えるので子ども同士の触れ合いができます。おもちゃがたくさんあって、小さな子でも安心して遊ばせられますし、ボランティアさんがとてもよくしてくれて、子どもも楽しんでいます。

Bさん:スタッフさんはもちろん、まわりのお母さん方があたたかく迎えてくれるので、気軽に来て気軽に帰れるのがうれしいです。お母さん方といろいろな話ができて、私のストレス発散にもなっています。

横浜市荏田地域ケアプラザ

――江田の住み心地はいかがでしょうか?

Aさん:私は江田の生まれですが、地域性があって、みなさんやさしいです。見ず知らずの方でも、散歩をしていると気軽にあいさつしてくれて、すぐ仲良くなれるくらいです。ここへも、子どもがきっかけで知り合ったボランティアさんに誘われて来るようになりました。人と人との関わりがとても良い地域ですね。買い物にも便利ですし、子育てしやすいと思います。

Bさん:ゆったりしているところが気に入っています。川沿いを歩くのも気持ちがいいですし、お散歩しながらセンター北やたまプラーザに行ったりできます。自然が多く、それでいて必要なものは揃っている所です。

自然豊かで行動範囲が広がる街

再び野中さんにお話しを伺います。

――野中さんは江田にお住まいとのことですが、最後にケアプラザ周辺エリアの暮らしやすさや魅力について教えてください。

野中さん:ケアプラザのすぐ裏を早淵川が流れていますが、この川沿いの遊歩道は車が通らない上、草木が多く、子どもたちの興味をひくカモやコイ、カメといった小動物がたくさんいて、一緒にお散歩するのにすごく魅力的な場所です。公園もたくさんあって、お隣の「かたらい宿公園」だけでなく、近くに第一から第五まで大小さまざまな公園があります。こうした場所では、秘密基地を作ったり、木登りをしたり、昔ながらの遊びをしている子もよく見かけます。国道があるのに、一歩住宅街の中に入るとすごく静かで、タヌキも出るぐらい(笑)。横浜とは思えないほど緑が豊かなので、自然に興味を持ちやすく、心が豊かになれる地域だと思います。

早淵川沿いの遊歩道

それから、荏田町はいろいろな所へ出やすいエリアです。徒歩や自転車でセンター北やたまプラーザ、あざみ野や中川へも簡単に出られます。センター北、たまプラーザ、あざみ野方面は平らな道を行くので、自転車生活の私も快適です。子育てをしているご家族も、行動範囲が広がるすごく便利な場所だと思いますよ。

横浜市荏田地域ケアプラザ 野中真弓さん

横浜市荏田地域ケアプラザ

サブコーディネーター 野中真弓さん
所在地 :横浜市青葉区荏田町494-7
電話番号:045-911-8001
開館時間:9:00~21:00(日曜・祝日などは~17:00)
休館日:第3日曜日、年末年始(12月29日~1月3日) ※デイサービスは年末年始以外全日対応
URL:http://www.yokohamashakyo.jp/eda/
※この情報は2017(平成29)年5月時点のものです。

サポーターと協力し、地域ぐるみで子育てを応援する「横浜市荏田地域ケアプラザ」/サブコーディネーター 野中真弓さん
所在地:神奈川県横浜市青葉区荏田町494-7 
電話番号:045-911-8001
開館時間:9:00~21:00(日曜・祝日9:00~17:00)
休館日:第3日曜日(デイサービスは対応)、12月29日~1月3日
http://www.yokohamashakyo.jp/eda/

「おおたかの森こども図書館」 館長インタビュー

“こども”に特化した蔵書が特徴の「おおたかの森子ども図書館」/館長 種山妃登美さん、松居春菜さん


 千葉県流山市おおたかの森は、近年街の開発が急ピッチで進み、“都心に一番近い緑の街”として緑が多く残される街並みが大変美しい街である。つくばエクスプレスで「流山おおたかの森」駅まで都心から約30分とアクセスの良さもこの街の人気の理由だ。 2015(平成27)年4月開校の「おおたかの森小・中学校」の併設施設である「流山市おおたかの森センター」の中には「どんぐり学童クラブ」と「おおたかの森こども図書館」が置かれ、子育て施設が集約されている。 「おおたかの森こども図書館」は“こども”に特化した蔵書が特徴の地域図書館。情報発信の場や地域交流の場として多くの人に親しまれている。通常の貸出業務以外にも「おはなし会」やイベントなどを企画・開催しているという同施設。今回は館長の種山さんと松居さんに、施設の特色や楽しみ方、流山おおたかの森エリアの魅力などについてお話を伺った。

子育て世代が多い地域ならではの図書館づくり

小中学校や公共コミュニティ施設に併設する「おおたかの森子ども図書館」

――2015(平成27)年4月にオープンした新しい図書館ですね。まず施設の概要について教えてください。

種山さん:「おおたかの森こども図書館」は、「おおたかの森小・中学校」敷地内に併設された、だれもが利用できる図書館です。一般的な図書館との違いは、所蔵の8から9割が児童書で占めているところです。今、私たちがいる「えほんのひろば」は、ご覧の通り子どもたちが座ってじっくり絵本を楽しめる場所で、たくさんの絵本がありますし、小・中学生を対象にした「児童書」やお子様連れのお母さんを対象にした子育て関連本がある「一般図書」など館内では約9,000冊強を所蔵している“こども”に特化した図書館になります。

子どもたちが座って絵本を楽しめる「えほんのひろば」

――「おおたかの森小・中学校」の2階部分に設けられているのですね。

種山さん:はい。「おおたかの森こども図書館」の隣が学校図書館になっていまして、学校の子どもが地域の図書館と身近に触れ合え、一般市民の方と交流ができるように、学校と図書館の行き来が可能なつくりになっています。 私たちは子どもたちがここで安心して本を読んだり遊んだりと、日頃から気軽に来ることができる環境づくりを目指しています。校内は安全面から一般の方は入ることができませんので、来館される方には1階の地域事務室で入館証をお渡ししています。大きな窓からたくさんの光が注ぐ開放感あふれる「おおたかの森こども図書館」で、ご家族やお友だちと一緒にたくさんの本と出会い、楽しんでいただければと思います。

たっぷりと光が射し込み開放感あふれる館内

――利用されるのは、どのような方が多いでしょうか。

種山さん:一番多いのは30代の女性、赤ちゃんがいらっしゃるお母さんですね。当館では赤ちゃん向けの本がよく貸し出されています。次に利用が多いのは小学校低学年くらいの子どもたちですね。休みの日に遊びに来て本を読んでいったり借りていったりしています。貸し出し数は1日あたり100冊から150冊くらい、来館者数は200人から300人くらいで、開館当初から比べると利用者はとても増えてきています。

松居さん:小さなお子さんを連れて来館するお父さんお母さんが多いですね。また、この図書館では、本の貸し出しをせずにこの広場で本を読んでお昼になったら帰っていくという利用者が多いのも特徴です。家族で休日のお散歩コースの一つとして利用されているみたいです。

カウンターでは検索機も利用できる

――どのような本が人気ですか?

松居さん:0,1,2歳くらい対象の本では『しろくまちゃんのほっとけーき』が人気です。男の子には車や電車が出ているものに人気がありますね。本に車や電車が登場すると「でんしゃ!くるま!」って喜んでいますよ!『ぐりとぐら』は読み聞かせをするお母さんが多く借りられます。全般に文字がただ並んでいる本よりも、間にクイズやなぞかけが入っているもの、挿絵に遊びがあるものが好まれるようです。

夏休み前になると工作の本や自由研究の本を増やして欲しいというお声を多くいただきます。大人向けの本を増やして欲しいというお声も多いですね。雑誌のバックナンバーや子ども向けの本なども蔵書を増やすように努めていきたいと思います。

利用者に人気の絵本

種山さん:赤ちゃん向けの本は、日によっては棚にある本がほとんど貸し出されてしまうこともありますので、その時に来館された方からはもっと所蔵を増やして欲しいとの声をいただいております。「流山市立中央図書館」に蔵書の要望をだしたり分館から本を取り寄せたりして蔵書を増やし、より多くのみなさんに楽しんでいただける図書館を目指したいと思っています。

イベントを通じて図書館をもっと身近に

「おはなし会」の様子

――「おはなし会」なども開催されているようですね。

種山さん:「おおたかの森こども図書館」では、乳幼児や小学生を対象にした絵本や紙芝居、手遊びなどを取り入れた「おはなし会」を行っています。毎週金曜日(※第4週目は除く)に幼児向けの「よつばぐみ おはなし会」 を10時30分から、毎月第4土曜日に小学生向けの「ふくろうぐみ おはなし会」を14時から行っています。時間はそれぞれ、30分程度で事前申し込み不要となっています。多い時には20組以上の方が参加する人気のイベントです。

松居さん:「おおたかの森こども図書館」ではイベントを企画・開催していまして、この建物1階にある「おおたかの森センター」を使って、画用紙を切って貼ってキャンドルランプをつくる工作教室「クリスマスランプをつくろう!」や「流山市立木の図書館」との共催で赤ちゃんと手を使って会話をする育児法「ベビーサイン」を体験する「赤ちゃんと一緒にベビーサイン」などを行いました。予約でいっぱいになるイベントも多く、参加者の皆さんからはとても好評でした。

「赤ちゃんと一緒にベビーサイン」の様子

――併設する小・中学校と「こども図書館」の教育活動の連携について教えて下さい。

種山さん:今年2月には、私たち職員が学校の教室に伺ってオススメの本を紹介する「ブックトーク」を行いました。子どもたちがさまざまな本に触れ合うきっかけになったみたいで大変好評でした。また、学校の先生を対象に社会や理科、美術などの授業に使う本を貸し出しする「団体貸し出し」も行っています。先日は遠足に行くために筑波山について調べる授業を行うとのことで、私たちが各館に掛け合って筑波山に関する本を集め学校に貸し出しをしました。当館は小・中学校と資料の支援という形でも連携を取っています。そのほかの連携では、当館では子どもたちの学習に役立つよう、土・日・祝日のみ閲覧スペースの一部を、学習席として開放しています。毎回たくさんの子どもたちの利用があります。

館長の種山さんと松居さん

松居さん:ブックトークで、子どもたちが少しでも本が読みたくなるようになれば良いなあと思います。

種山さん:今後もいろいろなところに私たちが伺って本の読み聞かせや本の紹介をして、地域同士のつながりの助けになれば良いと思いますし、今後も小・中学校と連携をしていきたいと思いますので、子どもたちには図書館をもっと身近に感じていただけたら良いですね。

子育て世代に優しい街、おおたかの森

流山おおたかの森南口公園

――流山おおたかの森の街の特色を教えてください。

種山さん:「流山おおたかの森S・C」があって、この街だけで何でも揃うとても便利なところが魅力です。S・C前にある「流山おおたかの森駅南口公園」は、子どもたちがボール遊びをのびのびとしていたり、自転車遊びをしていたりと憩いの場になっているのも良いですね。つくばエクスプレスで都心まで30分かからないでアクセスできるのも便利だと思います。この街のコンセプトのとおり“都心に一番近い緑の街”で美しくて住みやすいところが魅力です。家族みんなで流山おおたかの森エリアに遊びに来て欲しいです。お待ちしています。

松居さん:家族の距離がとても近いのが魅力ではないでしょうか。図書館にも家族揃って来館をして、たくさん本を持って楽しそうに帰る姿をよく見かけます。家族みんなで仲良く子育てできる、子育て世代に特化した街づくりがとても良いと思います。緑が多く公園も多いので、自然環境に子どもたちが身近に触れることができるのも良いですね。図書館ではこれからも「おはなし会」や楽しいイベントを企画していきますので、来られた際はぜひ参加してみてください。

流山市立おおたかの森子ども図書館 種山さんと松居さん

おおたかの森こども図書館

館長 種山妃登美さん
松居春菜さん
所在地:千葉県流山市市野谷621-1
電話番号:04-7159-7041
URL:http://www.subaru-shoten.co.jp/tosho/kodomo/
※この情報は2017(平成29)年5月時点のものです。

“こども”に特化した蔵書が特徴の「おおたかの森子ども図書館」/館長 種山妃登美さん、松居春菜さん
所在地:千葉県流山市おおたかの森西2-13-1 
電話番号:04-7159-7041
開館時間:10:00~17:00
休館日:月曜日(祝日の場合は翌日)、月の末日(土・日曜日は開館)、年末年始、特別整理期間
http://www.subaru-shoten.co.jp/tosho/kod..

東神開発株式会社 営業本部流山事業部営業グループ 原 亜樹子さん インタビュー

上質なサービスと地域との連携で、暮らしを彩り豊かに快適にする「流山おおたかの森S・C」の魅力/東神開発株式会社 営業本部流山事業部営業グループ   原 亜樹子さん


2005(平成17)年に東武アーバンパークラインと交差する形でつくばエクスプレスが開通し、「流山おおたかの森」駅が新設され、都心部のベッドタウンとして注目を集める流山おおたかの森エリア。商業の面では、郊外型ショッピングセンターなどを手掛ける東神開発株式会社によって、2007(平成19)年に「流山おおたかの森S・C」が「流山おおたかの森」駅と直結する形で開業。その後、別館の「流山おおたかの森S・C ANNEX」や、複合施設「ハナミズキテラス」「こもれびテラス」がオープンするなど、駅周辺を中心に生活利便性が大いに高まり、賑わいを増してきた。今回は、東神開発株式会社の営業本部流山事業部 原亜樹子さんにお会いし、これまでの開発の経緯やそれぞれの施設の魅力、街づくりへの想いなどについてお話を伺った。

これまでの開発実績と地域の魅力を生かした、新たなショッピングセンターづくり

自然の豊かさを保ちながら、暮らしの利便性も発展

「流山おおたかの森」は、以前、その地名からもわかるようにオオタカの生息する森が広がる自然豊かな街でした。そのような街に開発の一歩として、まず「つくばエクスプレス」が開通し、「流山おおたかの森」という新駅ができました。そのような新しい街、流山おおたかの森の街づくりの中で、弊社・東神開発は流山おおたかの森の中核となる施設として、2007(平成19)年に「流山おおたかの森S・C」を開業しました。

「流山おおたかの森S・C」外観

「流山おおたかの森S・C」は、「上質な日常」や「夢のある日常」がコンセプトのショッピングセンターです。二子玉川にある弊社の基幹店「玉川髙島屋S・C」は、日本の郊外型ショッピングセンターの先駆け的な存在でもあるのですが、そこで培ってきたノウハウをこの流山おおたかの森でも活かしていきたいと考えています。

自然との調和も図られた居心地の良い空間

また、弊社は環境に優しい企業として、流山市の目指す行政ビジョン“森の再生、緑のまちづくり”に賛同し、市が定めているグリーンチェーン認定施設となっています。もともと自然豊かな森があった場所にできたショッピングセンターなので、できるだけ緑を残す形で館内外に木を配置し、環境になじむ施設の仕様を心がけています。

さまざまなジャンルのテナントが揃う

暮らしに寄り添い多様なニーズに応えるため、複数の商業施設を開業

2007(平成19)年に開業した「流山おおたかの森S・C」を軸に、2013(平成25)年「ハナミズキテラス」、2014(平成26)年「流山おおたかの森S・C ANNEX」、2015(平成27)年「こもれびテラス」を開業してきました。

広々とした店内は子育て世代にも好評

まず「流山おおたかの森S・C」は、地域のショッピング施設の中で、中心となるような施設を目指しています。ショッピングにとどまらず映画館、スポーツクラブ、市役所出張所など、お客さまが日常的に快適で充実した時間を過ごせるような施設が揃っています。さらに別館の「ANNEX」は、お客さまの“こんなお店がほしい”といった要望にあったデジタル・生活家電の「ノジマ」や、スポーツ・アウトドア用品店「スーパースポーツ ゼビオ」「流山おおたかの森郵便局」などが揃っています。

NAGAREYAMA おおたかの森GARDENS ハナミズキテラス

また、周辺開発の一環として、「NAGAREYAMA おおたかの森GARDENS」というシリーズで「ハナミズキテラス」「こもれびテラス」を開業しました。「ハナミズキテラス」は、もともと近隣にクリニックが不足している状況でしたので、3階に医療モールを併設して内科や歯科に出店いただきました。2階は学習塾や音楽教室、1階は調剤薬局や美容室があり、地域のサービス機能の補完という狙いがあります。「こもれびテラス」には保育所や学童保育、学習塾などに出店いただいており、近隣にお子さんが多いので子育て世代向けの施設の充実を図っています。

髙島屋グループであるからこそ提供できるサービス

髙島屋の食品ストア「タカシマヤフードメゾン」も出店

日頃からグループの百貨店である「髙島屋」をご利用いただいているお客さまが、弊社の商業施設をご利用いただいているケースもございますので、「髙島屋グループ」として、そういったお客さまにも満足していただけるようなサービスを提供していきたいと考えております。
具体的なサービスとしましては、髙島屋のクレジットカード「タカシマヤカード」をハウスカードとして、ポイントアップやカードをお持ちの方へのご優待サービスなどを行っています。

老若男女問わずに愛されるショッピングセンター

「流山おおたかの森」駅と直結で便利

「流山おおたかの森S・C」に来店されるお客さまは、30代から40代の女性の方がメインになります。平日は主婦の方や、駅に直結していてアクセスが非常にいいので会社帰りや学校帰りの乗換えのときに利用される方も多いです。休日はファミリー層が多いですね。近隣にお住まいの方を中心に、幅広い世代の方にご利用いただいています。

老若男女に利用しやすい空間デザイン

流山市や地域との連携・協力への積極的な取り組み

今後ますます地域との連携にも力を入れていく

今後の展望としましては、弊社がこの街のイメージをさらに高めていけるようなショッピングセンターをつくっていきたいと思っています。流山市と連携を図りながらイベントを開催したりと、街づくりにも積極的に携わっていきたいと思っております。駅前広場では、流山市が主体となって、「森のマルシェ」というイベントを年に数回開催しています。夏であれば夜にお酒を飲めるようなイベントだったり、クリスマスにはアイススケートリンクができたりと、季節ごとに趣向を変えたイベントを開催しています。

魅力あふれる流山おおたかの森で、力を合わせて街づくりを

子育てにも優しい街

流山おおたかの森エリアは、流山市も「母になるなら、流山市。」とPRしているほど、子育て世代の方が住みやすい街だと思います。都心へのアクセスも便利です。非常にいい街なのでぜひ多くの方に知っていただきたいです。もしお住まいになる機会がありましたら、ぜひ一緒に街づくりに取り組んでいきましょう!

流山おおたかの森の商業エリアの中心「流山おおたかの森S・C」

今回お話を聞いた人

東神開発株式会社
営業本部流山事業部営業グループ
原 亜樹子さん

流山おおたかの森S・C
住所:千葉県流山市西初石6-185-2
TEL : 04-7152-3333
http://www.otakanomori-sc.com/
※この情報は2015(平成27)年11月時点のものです。

上質なサービスと地域との連携で、暮らしを彩り豊かに快適にする「流山おおたかの森S・C」の魅力/東神開発株式会社 営業本部流山事業部営業グループ   原 亜樹子さん
所在地:千葉県流山市おおたかの森南1-5-1 
電話番号:04-7152-3333
営業時間:物販 10:00~21:00、レストラン 11:00~22:00 ※一部異なる店舗あり
https://www.otakanomori-sc.com/

素材からこだわるインテリアショップ「インテリア マルタ」/内田利樹さん


“お部屋づくりのお手伝い”がテーマの「インテリア マルタ」は1977(昭和52)年にオープン。カーテンを中心に、カーペット、家具、インテリアグッズを販売している。アクセントになるようなものから、部屋全体の雰囲気を変えるアイテムまで幅広く扱っている。地域に根ざした店でありながら、特徴的な商品を提案している同店を訪ね、内田利樹さんにお店のこと、そして富士の街についてお話をうかがった。

特徴的なラインナップが魅力

やさしい色合いが特徴の「ハグみじゅうたん」

――まず最初にお店の概要をお聞かせください

内田さん:1977(昭和52)年に、糸問屋「糸内田」から独立して当店が誕生しました。当時はまだ、“インテリア”という言葉が一般的ではなく、さらにお店の周辺には田畑が広がっている長閑な場所でしたから、突然のオープンに地元の方は驚かれたと思います。一方で、ガラス張りの外観と、“インテリアというものを扱っているらしい”といった物珍しさから、来てくださった方も多くいらっしゃいました。

ガラス張りの外観

――「インテリア マルタ」の特徴をお聞かせください

内田さん:お客様の多くは近くに住んでいる方ですが、富士市の遠方や富士宮市からいらっしゃる方もいます。扱っているのはカーテン、カーペット、家具で、県東部では当店しか扱っていない珍しい商品もあります。

手織りのじゅうたん

京都の老舗企業「フジエテキスタイル」や、一生を共にできる「ハグみじゅうたん」。また、籐家具を扱っていることも当店の特徴と言えます。素材にこだわっている商品ばかりですから、実際に触れてみるなどして、その違いを実感していただけるとうれしいです。たとえば夏の衣類で使われるイメージの麻ですが、実は断熱性に大変優れているので冬と関連づけてもよい素材と言えます。素材に注目することで、新しい発見があるのです。

マリメッコのファブリック

――定期的に開催されているイベントはありますか?

内田さん:毎年1月の最終土・日・月曜日に、手織の絨毯展を開催します。売場を空にする大掛かりなもので、準備には2日間も掛かります。それ以外では、フィンランドのアパレル企業「Marimekko(マリメッコ)」に在籍する日本人デザイナーを招いてのトークイベントも開催しました。一世代前のデザインでありながらも、どこか新しさのある「Marimekko」。若い方にもファンが多く、これを目当てに遠方から来てくださる方もいます。その他にも、ハグみじゅうたん展やギャベ展といったイベントも定期的に開催します。

リネンフェア

――「インテリア マルタ」の今後についてですが、どのような展望を抱いていらっしゃいますか?

内田さん:これまで以上に、地域に根ざしたインテリアショップにしていけたらと思います。ラインナップにこだわりながらも多くの方に興味を持っていただき、より身近に感じてもらうというのが理想です。作り手の想いを伝えながら、黒子役として最良のマッチングになるような提案をしていきたいですね。

大きく変わる富士の街並み

インテリア マルタ

――1977(昭和52)年に創業とのことですが、当時と比べて現在の街並みはいかがでしょうか?

内田さん:牧歌的な雰囲気のただよう街でしたが、市役所前のメインストリートができた頃から街は大きく変わりました。住宅街が広がり、それに伴って人口もどんどん増えていきました。

マルタの特徴でもある籐家具

――“住む”という観点では、この街はどのように感じますか?

内田さん:非日常を楽しむものは少ないかもしれませんが、日常を楽しみ、過ごしやすさを実感できる環境は整っていると思います。商業施設も点在していますし、美味しいレストランもあります。図書館や市役所も徒歩圏内ですから、日常生活で不便さを感じるようなことはないでしょう。暮らせば暮らすほど、その実感は強くなると思います。

インテリア マルタ

インテリア マルタ

内田利樹さん
所在地:静岡県富士市高嶺町1-1
電話番号:0545-52-2024
URL:http://www.i-maruta.co.jp/
※この情報は2017(平成29)年9月時点のものです。

素材からこだわるインテリアショップ「インテリア マルタ」/内田利樹さん
所在地:静岡県富士市高嶺町1-1 
電話番号:0545-52-2024
営業時間:10:00~18:30
定休日:水曜日
http://www.i-maruta.co.jp/

 

毎日飲みたい、「小さな砦」のコーヒー「Little Fort Coffee」/オーナー 橋本澄人さん


東札幌は、「札幌コンベンションセンター」や大型ショッピングセンター、サイクリングロード「白石こころーど」が整備されるなど再開発が進み、新しい街として注目されている。
「東札幌」駅から徒歩ですぐ、大通りから入った閑静な住宅街に佇む「Little Fort Coffee」は、「毎日飲みたい」と感じるコーヒーの美味しさが人気で多くの人に親しまれるカフェだ。オーナーの橋本澄人さんに話を伺い「Little Fort Coffee」のこだわりについて、東札幌の魅力についてお聞きした。

淹れたてのコーヒー

――お店のテーマ・コンセプトなどをお聞かせください。

橋本さん:「Little Fort Coffee」は、「毎日飲みたいコーヒー」がテーマです。当店では酸味や苦味が強いなど、強すぎる味を出さないように、どなたが飲んでも美味しく感じていただけるような香りが良く口当たりが良いコーヒーを目指しています。

当店は品質管理が適正になされている各コーヒー農園の風味特性を生かしたスペシャルティコーヒーを使用していまして、香りの良さを考えてお作りしているのが特徴です。美味しいコーヒーには、バリスタ技術も重要な要素のひとつで、常に同じものを提供する正確さ、豆の状態の細かな変化に対応する柔軟さが不可欠です。一杯一杯丁寧にお作りする、こだわりのコーヒーを楽しんで頂きたいと思います。

こだわりのコーヒー豆

コーヒーについて詳しくない方から、豆や焙煎などにこだわるコーヒー好きの方まで、たくさんの方に親しんでもらえればと思います。お店の名前「Little Fort」は、子どもの頃に作る“自分だけの秘密の場所”を意味します。わくわくするけどなんだか落ち着く、そんな場所を目指しているカフェです。

――東札幌に出店された経緯をお聞かせください。

橋本さん:出身は神奈川県で、専門学校を卒業後にワーキングホリデーを使ってカナダに行っていました。カナダでカフェの文化に触れてたことで興味を持ちまして、帰国後に東京のカフェで働いていました。そこでラテアートやコーヒーの焙煎にも携わるようになり、コーヒーの味の奥深さにのめり込んでいったんです。

笑顔でインタビューに応える橋本さん

その時期に北海道出身の妻もコーヒーの勉強のため東京にたまたま来ていまして、同じ店で働いていました。その当時から「北海道でお店ができたらいいね」と二人で話していました。その後、私が「北海道に行っちゃおうかなあ!」と思い立ちまして(笑)。まだ結婚する前でしたが、二人で移り住むことを決めました。

オーナーの橋本さんご夫婦

そして北海道で約3年半自家焙煎のカフェで経験を積み、独立をしました。東札幌を選んだのは、札幌の中心街からも地下鉄の駅からも近いこと、お店の前の通りの雰囲気が良いことが理由ですね。この物件は当時空き家だったのですが、一目見て気に入って。カフェとして使用することに大家さんにも快く協力して頂けて、お店をオープンしたんです。

――コーヒー、メニューのこだわりをお聞かせください。

橋本さん:お客様には、いろいろな種類を味わい、さまざまな楽しみ方をして欲しいと思います。当店では、コクと香りのバランスが良く、クリアな味に仕上がる「ペーパードリップ」とコーヒー本来の美味しさをまるごと味わうことができる「フレンチプレス」から淹れ方を選ぶことができます。また鮮度を大事にしていまして、新鮮なものをお出ししています。焙煎日から程よく時間の経過したコーヒーを「本日の“飲みごろ”のおすすめ」としてお客様にご紹介しています。また当店ではコーヒー豆の販売もしていますが、販売のものは焙煎から1週間以内のものに限定しています。価格で選んでほしくないという思いから、全て一律価格で販売していますので、いろんな豆を楽しんでほしいです。

コーヒーの淹れ方を選ぶことができる

また、コーヒーの良い部分だけを引き出した「エスプレッソメニュー」は、リトルフォートブレンドとオールデーブレンドを日替わりで使用しています。カフェラテやウェットカプチーノ、オレンジショコラなどラテアートを施したメニューもたくさんありますので見ても飲んでも楽しむことができると思います。

 

素材にこだわった手作りケーキ

サイドメニューは、素材にこだわった手作りの焼き菓子やケーキなど、コーヒーと相性が良いメニューを数種類ご用意しています。その他どうぶつラテアートを施したチョコレートミルクなどの「キッズメニュー」もありますので、ご家族のみなさんで楽しんでいただけたらと思います。

――お客様はどのような方が多いですか。

橋本さん:この近辺は、昔からずっと住んでいる方も多いですが、新しいマンションもできていますので、ファミリーの方も増えている印象です。

ゆったりと過ごせる雰囲気の店内

お店には、3,40代の女性を中心にご年配の方、お仕事帰りの男性や学生さんなどたくさんの方々に来店頂いています。また、カフェインレスのコーヒーもお出しすることができますので妊娠中、授乳中のお母さんにもコーヒーをゆっくりと楽しんで頂くことができると思います。お子さんと一緒にラテアートを楽しんでいく姿も多く見られますよ。

――コーヒー教室を開催されているとお聞きしました。

橋本さん:「小さなコーヒー教室」と言いまして、毎回1時間程でコーヒーの飲み比べをメインに開催しています。焙煎日から時間が経つにつれてどのようにコーヒーの味が変化するのか、コーヒー豆の産地や抽出器具によってどのように味が変化するかを、コーヒー初心者の方から上級者の方まで楽しんで頂ける内容です。

コーヒー教室も開催している

また、実践編として、一番広く知られている抽出方法である「ペーパードリップ」によるコーヒーの淹れ方の講座も行っています。参加した皆さんからは、「飲み比べが出来る機会がなかなか無いので、楽しくて分かりやすかった」「同じ豆でもこれだけ味が変わることに驚いた」などとても反応が良く好評ですね。

先日は、地元の小学校に出張して保護者の方を対象にコーヒー教室を行いました。今後も「小さなコーヒー教室」を通じて地域のみなさんにコーヒーにより親しんで頂いて交流ができたら嬉しいですね。

――今後どのようなお店でありたいとお考えですか。

橋本さん:気軽に立ち寄って頂けるような店づくりを目指していきたいです。コーヒーにあまり詳しくない方やちょっと苦手という方でも、お話しや説明をしたり、時には見た目でも楽しんでもらえるように工夫をし、多くの人がコーヒーのある生活を身近に感じられる。そんなお店にできたら良いと思います。

気軽に立ち寄れるカフェを目指している

「Little Fort Coffee」のコーヒーを飲んで、コーヒーが好きになったという方が増えてくれたらとても嬉しいですね!

――この街のおすすめやお気に入りの場所がありましたらお聞かせください。

橋本さん:「白石こころーど」は街の人の憩いの場になっていまして、私もお気に入りの場所の一つです。桜の時期はとても綺麗で、お店にも「白石こころーど」でサイクリングやマラソン、散歩の途中に立ち寄ってくださるお客様が大変多いですね。
「東札幌公園」は子どもたちがめいいっぱい水遊びをできる場所と聞いていますので、今度子どもを連れて行ってみたいと思います。その他にも東札幌には子どもと遊ぶことができる広い公園がたくさんありますので、子育て世代にはとても嬉しい街ですよね。

――最後に、東札幌の魅力についてお聞かせください。

橋本さん:新しいお店や施設が増えていて、新しい世代の住人も多くとても賑やかな印象です。近くには保育園があり、カフェの前の通りも日中に子どもたちの声が聞こえて活気に溢れていますので、街が成長している感じがします。

落ち着いた雰囲気の外観

札幌市の繁華街までは地下鉄ですぐですし、車でも「南郷通り」や「国道36号線」があるので各方面へアクセス良好で便利です。東札幌は、生活する上で不便さを感じることもなく大変住みやすい街です。「Little Fort Coffee」だけでなくコーヒーやベーカリーなど専門店が多いのも特徴で、とても楽しい街だと思います。

 

橋本澄人さん

Little Fort Coffee

オーナー 橋本澄人さん
所在地 :北海道札幌市白石区東札幌2条3-4-3
電話番号:011-799-4150
URL:http://littlefortcoffee.com/
※この情報は2017(平成29)年6月時点のものです。

毎日飲みたい、「小さな砦」のコーヒー「Little Fort Coffee」/オーナー 橋本澄人さん
所在地:北海道札幌市白石区東札幌2条3-4-3 
電話番号:011-799-4150
営業時間:12:00~18:30(L.O.18:00)
定休日:水曜日(不定休あり)
http://littlefortcoffee.com/

吹田市役所子育て支援課インタビュー

子どもの笑顔があふれ子育てしたくなるまち吹田/吹田市役所子育て支援課


大阪府の吹田市といえば、かつては大阪万博が開催された場所である。 住環境では緑が多く、広い公園も多いことから子育て世代には非常に人気の高い居住スポットとなっている。こうした背景から吹田市では人口の増加傾向が続いているが、子育て世代にとって気になるのは保育園など、子育てに関する環境の整備である。今回は吹田市役所を訪れ、子育て支援課の担当者をはじめ、集まって頂いた関係部署の皆さんに南千里の子育て環境についてお話をうかがった。

人口増加に見えてきた新たな課題と施策

吹田市の世帯数の推移

――吹田市では人口が増加しているそうですね。

シティプロモーション推進室 白澤さん:全国の8割以上の市町村で人口減少が進む中で、吹田市では人口が増加し続けています。緑豊かな千里ニュータウン、また、江坂のようなビジネス街があり、梅田、難波ほか、大阪市内への交通の利便性が高い街です。商業施設では昨年、エキスポランド跡地に「EXPOCITY」が開業しました。ガンバ大阪のホームスタジアムでもある「市立吹田サッカースタジアム」もこの近くです。他にも「大阪大学」や「関西大学」など5つの大学があり、大阪で最も人口に占める学生数の割合が高い街です。こうした学生数が多い特徴から、市の行う事業に学生の参加を募ったり、学生が多いことによって街の活性化につながっている面もあります。緑や大きな公園が多い桃山台や南千里地域はファミリー層に人気の高い居住エリアとなっています。一つの市に商業施設、高い交通の利便性、緑が多い好環境と様々な要素がまんべんなく揃っている市は全国的に見ても珍しいと思います。吹田市の人口増加の要因の一つにそういう部分を魅力と感じて転入してこられる方が多いということも考えられます。

――待機児童の問題に関して、具体的な市のプランはありますか。

保育幼稚園室 三住さん(左)とシティプロモーション推進室 白澤さん(右)

保育幼稚園室 三住さん:吹田市では「待機児童解消アクションプラン」を策定して2016(平成28)年度から2018(平成30)年度までの3か年で「保育の受け皿拡大」「認定こども園移行促進」「保育人材確保」をメインに進めています。本来、保育施設を作れない都市公園内などにも施設を作れるよう特区申請を行ったり、待機児童の問題を解決していこうというプランです。教育・保育にいい環境であると魅力を感じて入ってこられる方が多いために、待機児童の問題はできる限り早急に改善していきたいと考えて取り組んでいます。

南千里の地域では、2018(平成30)年4月に「南千里庁舎跡地」1園、2019(平成31)年4月に「南千里市民プール跡地」に1園、それぞれ定員120名の私立保育園を設置予定です。

充実した子育て支援ネットワーク

「のびのび子育てプラザ」

――吹田市の特徴的な子育て施設・サービスがあれば教えていただけますか

子育て支援課 古田さん:吹田市では0歳から就学前までの子どもを保育している認定こども園や保育所の全園が、地域子育て支援センターなどとして家庭で子育てをしている保護者を支援する活動もしています。他にも0歳から小学生まで通える毎日開館している児童館が11か所、乳幼児のお子様を持つ保護者の方が交流できる子育て広場が8か所あり、それに加えて幼稚園、保育所、認定こども園、小規模保育事業施設と、お住いの身近なところに子育て支援施設があるというのが特徴になっています。

「のびのび子育てプラザ」入口

「山田」駅前にある「のびのび子育てプラザ」は地域の子育て支援拠点として親子教室や子育て講座、サークル支援、育児相談を行っています。一時預かりや、ファミリーサポートセンター事業もしています。こういう施設があることを転入してきたばかりの世帯の方や初めて子育てする方は知らないことも多いですので、「おさんぽマップ」として子育て支援施設の紹介をしたり、自分の住んでいる近くで、どのような催しが行われているか地域別カレンダーで紹介したりしています。家の中ばかりでなく外に出て子育てをしてもらい、交流の機会を増やすことを目的として行っています。

「のびのび子育てプラザ」所長 宮さん(左)

「のびのび子育てプラザ」所長 宮さん:子育て支援拠点の「のびのび子育てプラザ」は2011(平成23)年の開館以来入場者が伸びており、2015(平成27)年度の年間来館者は6万人に達しています。年末年始の6日間(12月29日~1月3日)を除いて午前10時から午後6時まで開館しています。「のびのび子育てプラザ」では、お母さんたちが親子で遊んでいただけるように広いスペースを提供して、手作りおもちゃを置いているほか、生後2、3か月からのお子様を連れた方も多いので、そういう小さなお子様でも安心して遊べるスペースを確保しています。子育て支援拠点として先ほど話にあった様々な事業を行うほかに、お母さんたちの育児負担の軽減を目的とした一時預かりを行っています。今年4月から「子育て支援コンシェルジュ事業」という相談事業も始めています。相談件数は昨年約600件でしたが、事業として本格的に始めた今期では上半期で500件を超えています。相談の内容として多いのは、お子様の発達や離乳食についてや、幼稚園や保育所等への入園・入所についての相談です。

「のびのび子育てプラザ」内の「あそび広場」

――市立・私立を含め、各保育園が地域子育て支援センターなどとして育児教室や園開放などを行っているようですが、具体的にどのようなことをされていらっしゃるのですか

「南千里保育園」園長 野口さん:子育てに関する相談に対応したり、保健センターと連携して育児教室を開催しています。また、就学前のお子様や保護者様向けの運動会や季節ごとの地域行事に参加してもらったりしています。園庭開放やホール開放も日常的に行っているので気軽に立ち寄ってもらって、育児の相談があれば、その場で立ち話的に相談ができるという、気軽に育児のことを相談できる環境づくりを行っています。

子育て支援課 古田さん(右)と「南千里保育園」園長 野口さん(左)

育児教室では、例えば、給食を食べている様子など実際の園児の生の様子を見てもらったり、同世代の子どもさんを持つ親同士の交流をしたりして、子育ての楽しさを感じてもらえるようにしています。また、育児教室を卒業されたOBの方がOB会を作られたりするので、OB会の場所提供や情報提供などの場として園のスペースを使ってもらうなどもしています。

未来に託す想い

――暮らしの場として吹田市の魅力や特徴を教えてもらえますか

保育幼稚園室 三住さん:最初のお話にもあったのですが、「交通の利便」「大きな商業施設やスタジアム」「緑の多い街」「学生が多く活気がある」など、街のいい部分につながる要素がこれほどバランスよく揃った街は、そんなに多くないと思います。行政としては、これからも、もっとよりよい街づくりに取り組んでいきたいと考えています。

「千里南公園」

子育て支援課 古田さん:「子どもの笑顔があふれ子育てしたくなるまち吹田」にふさわしい環境づくりに取り組んでいきたいと考えています。その部分が今よりも整えば、吹田市の魅力は、今以上に価値のあるものへと変わっていくと思います。

お話をうかがった方

吹田市役所

都市魅力部 シティプロモーション推進室 白澤 耕一郎さん
児童部 保育幼稚園室 三住 勝さん
児童部 子育て支援課 古田 彰子さん
「のびのび子育てプラザ」所長 宮 美智子さん
南千里保育園園長 野口 節子さん
※この情報は2016(平成28)年11月時点のものです。

多彩な機能やイベントが充実!「埼玉スタジアム2002公園」管理事務所インタビュー

家族みんなで楽しめる「埼玉スタジアム2002」/「埼玉スタジアム2002公園」管理事務所


浦和レッズのホームスタジアムであり、日本代表の試合会場としてもお馴染みの「埼玉スタジアム2002」。じつは試合のない日でも一般開放され、浦和美園エリアの憩いの場となっていること、ご存知でしたか?広々とした芝生広場、ジョギングコース、バラ園など、世代に合わせて楽しみ方はいろいろ。イベントやサッカースクールも開催され、このエリアに住む人たちの暮らしの一部となっています。実際にどのような特色があるのか、「埼玉スタジアム2002公園」管理事務所を訪ねて、スタッフの方にお話を伺ってきました!

「埼玉スタジアム2002公園」

――「埼玉スタジアム2002公園」の魅力を教えてください!

主施設である「埼玉スタジアム2002」は、2002(平成14)年のワールドカップの開催を目指して作られた、世界最高水準のサッカー専用スタジアムです。「埼玉スタジアム2002公園」は、このスタジアムを核としてサブグラウンド3面とフットサルコート2面が配置された、サッカーが楽しめる公園となっています。その一方で、広く一般の方にも楽しんでもらえるように、ちびっ子広場ともみの木広場のふたつの芝生広場、南北ゲート前の南広場と北広場、1.8㎞のジョギングコース、バスケットコートなどが配され、サッカー以外でも身体を動かすことができる公園として親しまれています。ジョギングコース沿いのバラ園、スタジアム正面に植えられたメタセコイヤの並木など、季節感が楽しめるスポットもあり、とてもきれいです。

サッカーだけではなく様々な用途で利用できる公園

――ふだんはどんな方たちが利用されていますか?

人工芝の第4グラウンドとフットサルコートは一般の方へ貸出しをしています。サッカー以外でも周辺住民の方たちがよく利用されていて、土日は小さなお子さん連れのご家族が芝生広場で子どもを遊ばせ、平日の朝はシニアの方がジョギングコースでウォーキングやランニングをしています。ジョギングコースやバスケットコートは、近くの学校の生徒さんなど若い人たちにもよく利用されていますね。また、南広場、北広場は広いスペースを活かして、スケボーや自転車の練習に使われています。こうした広場やジョギングコースは、サッカーの試合がない時でも開放されています。

バスケットコートなどもあり、充実した施設

――イベントがたくさん開催されているようですが、どのような催しがあるのか教えてください!

サッカー関連では、天然芝のグラウンドを使った公式戦や、月1回を目安に不定期で開催しているスタジアムツアーがあります。スタジアムツアーは、選手たちがバスからスタジアムに入る専用入口、ロッカールーム、階段を上ってメインピッチへ出ていくフラッシュインタビューゾーン、天然芝のメインピッチを目前に見られる豪華なコースです。実際に選手が使っている部屋やピッチのサイドまで入れて、まるで選手になった気分が味わえます。

天然芝のグラウンド

スタジアムツアーではロッカールームも見学できる

2011(平成23)年からスタートし、冬の恒例イベントとして定着したのが、「キッチンカーグルメ選手権」です。「埼玉スタジアム2002」はピッチとスタンドの距離が近く、サッカーを見るには最高の環境ですが、サッカーファンにとっては、スタジアムの食べ物ももうひとつの楽しみです。そこで、試合の日に出店しているキッチンカーにスポットをあてて、全国から集結したキッチンカーの中から一番おいしい一品を決めるというイベントを始めました。約100台ものキッチンカーが集まるのは、日本でもおそらくこのイベントだけ。丼ものからスイーツまでいろいろなオリジナルメニューがあり、食べ比べができます。

多くの人で賑わう「キッチンカーグルメ選手権」

「キッチンカーグルメ選手権」と並ぶ大きなイベントが、10月に開催している「みんなの埼スタフェスタ」です。「埼玉スタジアム2002」には県の防災活動拠点という役割があり、それを住民のみなさんに知ってもらうことが目的。避難所ではなくここから各地へ物資を運ぶための拠点なので、いざという時に困らないように、目玉の備蓄庫ツアーでは、その点をしっかりとお伝えしています。家族ぐるみで来てもらえるよう、小さいお子さんが楽しめるヒーローショーや高所作業車の搭乗会、地元の保育園によるステージなどがあり、今年は昨年の2倍、約1,300人が来場しました。

家族で楽しめる「みんなの埼スタフェスタ」

こうした主催イベントの他、フリーマーケットなどの貸出しイベントがあります。なかでも親子で楽しめるのが、秋の「スポーツ絆ランニングフェスティバル」。スタジアムのコンコースやピッチの周りの人工芝を使った特設コースを走るイベントで、家族や仲間で出場できるリレーマラソンの種目があったり、いろいろな楽しみ方ができますよ。

――サッカースクールも好評だそうですね。

元日本代表・浦和レッズの福田正博さんが校長のサッカースクールで、対象は幼稚園児から中学生まで。サッカーを好きになってもらうことを目的に、初心者からプロ志望の子までいろいろな子のニーズに応えられるような幅広いクラス構成となっています。サッカー部ではないけれどサッカーがやりたくて来たという中学生もいれば、ゴールキーパーの特別クラスで専門技術を身につけたいと通っている子もいますね。福田さんもクラスを受け持っていますが、元Jリーガーの指導を受けられることは本スクールの一番の魅力ですね。

また、一般的なサッカースクールはフットサルコートを使用していますが、ここでは公式戦ができるサッカーグラウンド一面で練習できることが大きなメリットです。フットサルコートだと試合と同じ環境でトレーニングできないので、この差は大きいのでは。雨天でも練習できる室内練習場、更衣室とシャワールームがあるクラブハウスなども完備し、無料駐車場があるので保護者も送り迎えしやすいです。

スクールの他、女性を対象にしたレディースフットサルもあって、主婦を中心に2、30人が通っています。女子は練習できる場が少ないので、中高生も来ています。お父さんが参加できる機会としては親子のサッカー大会があり、公式戦でしか入れない天然芝グラウンドでプレイができるチャンスがあります。

親子でサッカーを楽しむこともできる

――環境にやさしい「エコスタジム」づくりについて教えてください。

スタジアムの屋根で受けた雨水を地下のタンクに貯め、グラウンドの散水やトイレの洗浄水に使用する雨水再利用システムを採用しています。また、南側のオーロラビジョン裏に太陽光発電パネルを設置して事務所の電気を賄い、クラブハウスに太陽熱温水設備を作ってシャワールームの温水に利用しています。試合時に出る紙コップを回収してトイレットペーパーへ再利用する取組みも、「埼玉スタジアム2002」が他に先駆けて導入しました。

――浦和美園エリアではここ数年、大規模な開発が進められています。「埼玉スタジアム2002」は地域と共にどのような発展を目指していらっしゃいますか?

サッカー専用スタジアムなので、サッカーを楽しんでいただくのはもちろん、サッカーにあまり興味がない方にも楽しんでもらえるようにイベントや公園の利用を広げていきたいと考えています。ですから、通常の公園では禁止されているスケボーを許可しているなど、危険でない限り、禁止事項をなるべく作らない姿勢を大切にしています。ハードを変えるには時間やお金がかかりますが、管理運営の方針は安心安全に配慮しながら柔軟に対応できるものなので、そうしたソフトの部分で利用する方たちに寄り添っていきたいですね。

そもそも、この地域は、スタジアムが建つずっと前から、地元の方が受け継いできた歴史や文化のあるエリア。例えば、南部領辻にある「鷲神社」で奉納される獅子舞は、市の無形民俗文化財に指定されているほど由緒のあるものです。この獅子舞保存会の方たちにお願いして「みんなの埼スタフェスタ」では獅子舞を紹介する映像を流させてもらいました。このエリアに根付いている歴史や住民の方たちに寄り添いながら、一緒に発展していけたらと思っています。

浦和美園エリアの憩いの場となっている

――まちづくりが進んでいく中で暮らしやすくなったと感じる点、浦和美園エリアの魅力を教えてください。

家電量販店やホームセンターなどの商業施設が次々と開業し、街区が整備されて新しい道路も増えました。埼玉高速鉄道の乗車率もここ数年でかなり上昇しているので、浦和美園エリアに住む方が増えてより暮らしやすくなっているという印象があります。新しく開発されている街なのでこれからも発展していく可能性が感じられます。 サッカーに関していえば、Jリーグを代表するクラブチームである浦和レッズ、そして日本代表がここで試合をするという、日本中が注目するような場所になっています。そこに暮らすということに、魅力を感じていただける方も多いと思います。スタジアムの公園も気軽に利用できて、体を動かしやすい環境だと思います。

埼玉スタジアム2002

「埼玉スタジアム2002公園」管理事務所

所在地:さいたま市緑区美園2-1
休業日:月曜日(祝日の場合は翌火曜日)
TEL:048-812-2002
URL:http://www.stadium2002.com/
※この情報は2016(平成28)年11月時点のものです。

家族みんなで楽しめる「埼玉スタジアム2002」/「埼玉スタジアム2002公園」管理事務所
所在地:埼玉県さいたま市緑区美園2-1 
電話番号:048-812-2002
https://www.stadium2002.com/

さいたま市環境共生部環境未来都市推進課 インタビュー

どの分野においても最先端の街へ。浦和美園エリア開発の先に見える姿/さいたま市環境共生部環境未来都市推進課 有山信之さん


次々と新しい住宅やマンションが建ち並び、発展をみせている浦和美園エリア。ここ十数年で景色もだいぶ変わった。子育て世代を中心にしたまちづくりを行うさいたま市の革新的な取り組みには、「こんなに住みやすい街になるのか」と期待を抱かずにはいられない。 今回は、浦和美園エリアのまちづくりを推進している「さいたま市 環境共生部 環境未来都市推進課」に現在の開発状況や、市が目指す夢あふれる「未来都市」の姿について話を伺った。

「より住みやすく」白いキャンバスに描く浦和美園の未来

――浦和美園エリアの現在の開発状況やまちづくり状況について教えてください。

有山さん:浦和美園エリアは全体で約320ヘクタールある広大なエリアです。元々、農地だった土地を宅地に変えるための4つの区画整理事業を進めていて、現在3分の2程度目処がついています。住宅や商業施設、マンションが少しずつ建ちはじめ、土台ができてきた段階で、宅地としての活用が今後見込まれるという状況です。現在の人口は約6,500人で、計画人口32,000人に向けて、開発を進めています。白いキャンバスのように、これから自由自在に色を付けていける地域だと考えております。

浦和美園の未来を語ってくださった有山さん

――まちづくりの一環として取り組まれている「次世代自動車の普及」とは、具体的にどのようなことをされているのでしょうか?

有山さん:電気自動車普及施策「E-KIZUNA Project」を通して、次世代自動車といわれるEV(電気自動車)や水素を使ったFCV(燃料電池自動車)などの普及を以前から行っています。行政だけでは形にするのが難しい部分を、民間や官学と協力し合い、さまざまな施策に取り組んでいます。 EVは、一度の充電で可能な走行距離が短いので、例え車両が普及したとしても、インフラ整備がされていないと移動手段として機能しません。さいたま市は現在、充電するためのEVステーションを160箇所以上設置していますが、これも行政だけではなく、民間の協力があって実現していることなのです。自動車メーカーの販売店や商業施設にEVの充電器を設置していただくなど、各企業や団体の持つ資産を積極的に活用して施策を広める努力をしています。 次世代自動車は、移動手段としてだけではなく、「V2H」という住宅に電力を供給できるという機能も持ち合わせています。災害時に電源が落ちてしまったという場合でも、「V2H」が入っている家庭で、EVがあれば、自宅の電力を自動車でまかなうこともできるのです。平時だけでなく、災害時にも利用できるという点が、国が推進する国土強靭化にもつながると考えています。

次世代自動車の普及を目指している

――課の名称にもなっている「環境未来都市」とはどのような都市を指すのでしょうか?

有山さん:国の目指す「環境未来都市」というのは、環境・社会・経済3つの価値を創造していくという動きで、誰もが暮らしたいと思える活力ある街の実現を目指すというものです。 現在暮らしやすさ上位に位置しているさいたま市は、その暮らしやすさをいかに高めていけるかという点に力を注いでいます。それはつまり、住民にとって生活しやすいサービスの提供をしたり、環境ビジネスの分野に限らず、事業を動かすことで市内経済を活性化させていくということですね。「安心・安全・快適・便利」をどんどん高めていきたいと考えています。

ワンストップであらゆる情報が得られる快適なシステムづくり

新たなシステムづくりが計画されている

――浦和美園エリアの課題と、それに対する取り組みの具体例を教えていただけますか?

有山さん:浦和美園エリアの住民の悩みごととして想定されるひとつに、勤務先が都内で共働きの子育て世代のご家族に”ゆとりの時間”がないというものがあります。通勤や子どもの送り迎え、買い物など、すべてをこなすと時間がとられてしまい、ほっと落ち着ける時間がないのです。そこで現在開発中の、メーカーやデバイスを問わずにあらゆるものが繋がれる「共通プラットフォームさいたま版」を活用できないかというアイディアがあります。 例えば会社から帰宅する際に、「今日の帰宅時間は18時、夕飯はカレーライス」という情報をアプリに送信すると、共通プラットフォームから連動先に連絡が行くような仕組みを想定しています。保育園が連動先に設定されていれば、「○○ちゃんのお母さん、18時にお迎え」と園内のモニターに表示されることで、お母さんが到着する頃には子どもの帰る準備が整っているかもしれません。また、今後駅に「webロッカー」を設置する計画もあるのですが、webからスーパーへ頼んだ商品がそのロッカーに届き、スーパーに寄らずに帰宅できます。これらをうまく繋げられると、それぞれ短縮できる時間は少しかもしれませんが、帰宅までの過程を総合すると全体で時間がぐっと短縮できると考えています。自分の時間や子どもと過ごす時間に当てられる「ゆとり」を提供していきたいという想いがあります。

住民の声を積極的に取り入れる

――「継続的に成長する環境未来都市の実現」を目指していらっしゃいますが、成長を続けるために大切なことは何でしょうか?

有山さん:先ほど話にもでましたが、生活がしやすいまちづくりに取り組むためには、行政だけの力ではなく、民間企業や団体との協力が重要だと考えています。現在、浦和美園エリアでは、まさに公民+学一体となり、新たなサービスの提供やイノベーションを起こすべく「アーバンデザインセンターみその」を設置しています。成長をしていくためにはこのような取り組みが非常に大切だと考えています。 同センターでは、これまで交わることがなかった業種の人たちが意見交換をし、実証をすることで新たな価値の創造やサービスの提供に取り組んでいます。ここは、地域の方々と直接つながる場でもあるので、ぜひ活用していきたいですね。

「アーバンデザインセンターみその」から新たなサービス提供も

――まちづくりを進めていくうえで、住民と触れ合う機会を大切にしているのですね。

有山さん:浦和美園エリアに関しては、まちづくり拠点である「アーバンデザインセンターみその」を通して、地域住民としっかりと意見交換を行えているのではないでしょうか。同センターの中には、「この街で実現してほしいこと」をふせんに書いて自由に貼っていただくスペースを設けており、そういった生の声を受けて次の取り組みへの検討も進めています。また、超小型モビリティ「ホンダMC-β」や燃料電池自動車の試乗会などでは、実際に多くの方に参加いただいています。その場で感想をいただいたり、今後のEV・FCVの活用に対する質問や意見が寄せられたりと、多くの方に関心を持っていただいていると実感しています。
実はこの「ホンダMC-β」にはエアコンがついていないのですが、元々は窓もありませんでした。そこで、実際に試乗した方の意見を受けて、今では簡易的な窓をつけており、意見を積極的に反映させていただいています。

試乗会には多くの方が参加している

「安心・安全・快適・便利」な街を目指して

――浦和美園エリアの魅力と、今後の展望についてお聞かせください。

有山さん:これだけ大規模な開発が進んでいる都市で、かつ都心に近いという街は数少ないと思います。電車はもちろん、国道も走っているので、交通の便が非常に良いのは強みではないでしょうか。そして、なによりこれから一層開発が進み、住民の声を積極的に取り入れながら柔軟に成長していく街なので、これからを期待していただけると考えています。最終的には、「安心・安全・快適・便利」を突き詰めた街を目指しています。環境局ではありますが、環境だけではなく、食、教育、健康、交通といった市民生活を包含するあらゆる分野を一体的に取り組む必要があると考えています。現在、50〜60ほどの事業を並行して進めていて、どれも浦和美園にはこれまでなかったようなサービスです。ある特定の分野だけ秀でているというのではなく、どの分野においても最先端である街にしていきたいと考えています。

まさに「未来都市」。浦和美園エリア開発の先に見える姿

さいたま市役所

環境共生部環境未来都市推進課 有山 信之さん
所在地:さいたま市浦和区常盤6-4-4
TEL:048-829-1329
URL:http://www.city.saitama.jp/soshiki/0015003/0015005/0015038/index.html
※この情報は2016(平成28)年11月時点のものです。

どの分野においても最先端の街へ。浦和美園エリア開発の先に見える姿/さいたま市環境共生部環境未来都市推進課 有山信之さん
所在地:埼玉県さいたま市浦和区常盤6-4-4 
電話番号:048-829-1111
開庁時間:8:30~17:15
閉庁日:土・日曜日、祝日、年末年始(12/29~1/3)
https://www.city.saitama.jp/

美園地区の“公民+学”まちづくり拠点インタビュー

注目を集める“公民+学”によるまちづくり「アーバンデザインセンターみその(UDCMi)」/岡本さん


現在、土地区画整理事業が進められている美園地区。その拠点のひとつが「アーバンデザインセンターみその(略称:UDCMi)」だ。“公民+学”を基本理念に掲げ、先進的なまちづくりに寄与している。「UDCMi」の概要と街の開発状況、そして目指している街についてお話を伺ってきた。

「アーバンデザインセンターみその(UDCMi)」

“公民+学”を掲げて

――「UDCMi」が開設されるまでの経緯を聞かせてください。

岡本さん:現在、美園地区では大規模な土地区画整理事業を行いながら新市街地づくりが進められています。その新たなまちづくりを促進・活性させるため、2013(平成25)年12月にさいたま市の策定した「しあわせ倍増プラン2013」に、当拠点施設の設立が位置づけられ、準備期間を経て2015(平成27)年10月にオープンいたしました。道路・宅地等のインフラ整備が進捗するなか、「東京オリンピック」が開催される2020(平成32)年に向かい、美園地区のまちづくりは新たなステージに入っています。「埼玉スタジアム2002(埼スタ)」が五輪会場の一つに予定されていますが、今後4年間で街並みは大きく変わっていくことでしょう。

美園地区の未来について語っていただいた

美園地区の開発状況ですが、さいたま市・緑区と岩槻区にまたがる土地区画整理事業区域(愛称:みそのウイングシティ)のインフラ整備について、「東京オリンピック」が開催される2020(平成32)年までには概ね一段落する見込みです。航空写真を撮っても、すぐに古くなってしまうくらいに街は日々変化しています。

美園地区は日々進化していく

学校や公園の整備、住宅や店舗の建設など、官民それぞれによる活発な投資が見込まれる美園地区。ここで大切になってくるのが、異なる立場同士が緩やかに連携し、まちの将来像を共有しながら実践することです。公共・公益的サービスを担っている“公”と、地域の活力向上を図る市民や民間企業などの“民”。そこに、大学や研究機関、専門家による“学”を加えた“公民+学”を基本理念に取り組んでいます。

新しいコミュニティが生まれる街

――「UDCMi」では、どのようなことをされているのでしょうか。

岡本さん:この「UDCMi」の拠点施設は、まちづくりプロジェクトの打合せや意見交換会、あるいは情報発信・PR等に利用されています。「UDCMi」を介して、様々なまちづくり事業やプロジェクトを活性化させ、ヨコの連携を促進させながら、最終的には各事業収益をまちづくりに還元・再投資するサイクルを確立することを目指しています。こうした取り組みの一環として、「UDCMi」の運営事務局(一般社団法人美園タウンマネジメント)では、産直イベント「みそのいち」を仕掛けたり、2人乗りの超小型電気自動車のシェアリング事業なども現在企画しています。「みそのいち」は毎月最終金曜日に「浦和美園」駅の改札口を出たところのスペースで開催しています。後者については、既存の公共交通網に加え、新しい地域交通サービスを展開することで、より多くのニーズに応えていけるのではないかと考えています。

拠点施設ではまちづくりプロジェクトの打ち合わせなどが行われる

ほかにも、健康増進をテーマにした取り組みも始めています。健康維持のために、ジョギングやウォーキングをされる方は多いですが、我々が注目したのは、健康に対する意識が高くなく、普段からあまり運動されない方です。そのような方が参加したくなるプラグラムとして、専用の“活動量計”を身につけ、歩行や自転車走行の活動量に応じてポイントが付与される「美園サイクリング&ウォーキング」、また「イオンモール浦和美園」などに設置されたタッチスタンドに活動量計やWAONカードをかざすことでも、同じようにポイントがもらえる「モールウォーキング」といった取り組みもしています。

また、日々の生活のなかで専門家に相談したいときや、どの専門家を訪ねればいいのか分からないケースもあるでしょう。健康・法律・税金・保険・介護等のワンストップ相談窓口として、「暮らしのステーション」の開設に向け、実験的に無料相談会イベントも始めています。様々な分野で、“美園”に相応しい仕掛けをしていきたいですね。

住民らで街をつくっていく

――「UDCMi」に訪れる方や、イベントにご参加される方はどのような方ですか?

岡本さん:街の将来像を検討する意見交換会として開催している「美園まちづくりワークショップ」に関して言えば、美園地区に元々住まわれていた地権者の方や新しく住み始めた方、そして本地区で活動を行なっていたり、関心をもつ方がバランスよく参加いただいています。また、この街に移るかどうかを検討している方がフラッと「UDCMi」を訪れて、都市開発やまちづくりの動向を質問されることもあります。先行整備された街区が街開きしてから10年が経過したこともあり、新しいコミュニティが成長しつつあるように感じています。人口が増えつづけている街ですが、それに甘んじず、世代が循環していくような仕掛けも考えていければと思います。

自分たちが住んでいる街について自分たちで考えられるように

――まちづくりを進めていくにあたり、特に心がけていることはありますか?

岡本さん:それぞれが“この街に住んでいる”という実感を持ってもらうためには、何が必要かを常に考えています。例えば行政に任せっきりにするのではなく、自分たちが住んでいる街に何ができるのかを考えながら小さなことでも実践していけば、これまで以上に街は良くなっていきます。また、行政の負担が軽減される分、別の形で還元されることにも繋がっていきますから、その“民”のパワーをもっと引き出していければと思いますね。

“この街に住んでいる”という実感を持てるように

――最後になりますが、美園地区の魅力と、目指している街の姿について聞かせてください。

岡本さん:「浦和美園」駅という始発駅や高速道路のインターチェンジがあり、交通アクセスに優れているだけでなく、周辺には首都圏に残された貴重な大規模緑地でもある見沼田圃などの緑・自然環境もあり、住環境としても美園地区は魅力があります。しかし、他の街にはない魅力は「埼玉スタジアム2○○2公園」がある点だと思いますね。アジアでも屈指のサッカー専用競技場「埼スタ」を有する本公園を徹底的に活かすことで、この地区ならではの魅力をもっと深めることができると考えています。サッカー観戦者の集客効果の経済波及を図ることももちろんですが、日常的にもスポーツを介した住民同士の交流だったり、健康づくりのためのプログラムに大学や企業が協力したり、それ以外にも様々なことが考えられます。このような魅力を活かしつつ、住民にとって誇れるまちづくりを進めていきたいですね。

注目を集める“公民+学”によるまちづくり「アーバンデザインセンターみその(UDCMi)」アーバンデザインセンターみその(UDCMi)

アーバンデザインセンターみその(UDCMi)

岡本さん
所在地 :さいたま市緑区下野田494-1 オークリーフ1F
TEL:048-812-0301
URL:http://www.misono-tm.org/udcmi/
※この情報は2016(平成28)年10月時点のものです。

注目を集める“公民+学”によるまちづくり「アーバンデザインセンターみその(UDCMi)」/岡本さん
所在地:埼玉県さいたま市緑区下野田494-1 オークリーフ1F
電話番号:048-812-0301
開館時間:10:00~19:00(土曜日、祝日は9:00~16:00)
休館日:日・月曜日、年末年始(12/29~1/3)
https://www.misono-tm.org/udcmi/

富士見市役所 富士見市まちづくり推進部 インタビュー

富士見市の魅力と、「シティゾーン」の将来像を富士見市まちづくり推進部の担当者にインタビュー!/富士見市まちづくり推進部 高橋一弥さん、新井健司さん


東武東上線「みずほ台」駅、「鶴瀬」駅、「ふじみ野」駅の3駅を市域にもち、東京のベッドタウンとして発展してきた埼玉県富士見市。近年は「ららぽーと富士見」の開業が大きな話題となり、埼玉県内のみならず広範囲から人々が訪れる街となっている。その富士見市では、「ららぽーと富士見」を含むおよそ100ヘクタールの地域を「シティゾーン」と位置づけて、将来の街のコアエリアとして、現在進行形で開発を行っている。今後、この地区はどのように変わっていくのだろうか。この「シティゾーン」の街づくりを担当されている、富士見市まちづくり推進部市街地整備担当課の高橋一弥さんと、現在は第一線から引退してアドバイザー的な役割を務められている、元部長の新井健司さんのお二人にお話を伺った。

富士見市役所

――そもそも、「シティゾーン」とはどういった地区なのでしょうか?

高橋さん:「シティゾーン」は東武東上線「鶴瀬」駅の東口から1.5キロほどの位置に広がる、およそ100ヘクタールの土地で、富士見市のほぼ中央に位置している地域でもあります。「シティゾーン」は、国道254号のバイパスも地区内にあるので、アクセスの良さを活かして、行政・文化・業務等の機能を有する、新しい市の中心拠点を作っていこう、という計画になります。

市では10年ごとに「総合計画」というものを定めていて、それを“上位計画”として政策を進めていますが、この「シティゾーン」という言葉は1991(平成3)年に作られた「第3次総合計画」で示され、そこで計画に位置づけられました。その後、第4次、現在の第5次の総合計画の中でも、引き続き「シティゾーン」という名称が使われています。

「シティゾーン」が定められた当時は、景気も社会情勢も比較的良好な時代でしたので、当初は住居系を主体とした計画でしたが、その後の社会情勢の変化を受けて、住宅ではなく産業系の利用を主にしていこう、という方針に見直されました。

地区内は「A」「B」「C」「D」と4つのゾーンにゾーニングされていますが、この4つのゾーンのうち、Aゾーン(「ららぽーと富士見」の一帯)と、Cゾーン(市役所、図書館、体育館、病院などのエリア)の2つのゾーンが先行して整備され、こちらはおおむね整備が完了している状況です。

残る「B」と「D」の地区については「産業利用」を主にしていく方針となっており、現在、関係者と検討を重ねているという段階です。

――「産業利用」ということは、企業などが誘致されるわけですね。すでに決まっている企業はあるのでしょうか?

高橋さん:上位計画の中で土地利用の方向性が決められますので、第5次総合計画で「産業的な土地利用を中心的に行う」という方向性は決まりましたが、今はその実現に向けて、関係者の中で調整を進めているという段階です。具体的な企業が決まっていくのは、早くても来年度以降になってくるかと思います。

――国道254号バイパスの延伸も進んでいるようですが、「シティゾーン」の開発と連携しているのでしょうか?

新井さん:国道254号バイパスの延伸については、現在、早期の完了を目指して、関連市町で構成している「254バイパス建設促進期成同盟会」が中心となって、県や国にも要望活動を行いながら工事を進めているというところです。橋脚の整備等にも入ってきていますので、我々も期待しながら見ているところです。

連携をしているというわけではありませんが、「シティゾーン」についても、そういった新たな交通利便性をうまく活用できるような施策を考えていきたいと思っています。「シティゾーン」は現時点でも交通の便はかなり良い地区ですので、産業系の立地としては魅力がある場所だと思っています。今後のバイパス延伸を踏まえれば、ますます魅力のある土地になっていくのかな、と期待しています。

――シティゾーン内には産業系の施設だけではなく、緑地や農地も配置される予定されていますね

高橋さん:もともとこの地区は「市街化調整区域」という、法律の面で開発へのハードルが高い地区です。既存の集落や豊かな自然環境といったものはできるだけ残しながら、そのほかの場所を整備していこう、という性質の開発を考えていますので、地区すべてが産業系の施設になるというわけではありません。

――B、Dエリアに関して、なぜ、当初の住居系から産業系に方向転換されたのでしょうか?

高橋さん:もともと富士見市は、昭和40年代の宅地化で一気に人口が増えた街ですので、特に駅周辺に関しては、住宅が密集した市街地になっています。そういった環境の中で、駅の整備も含めた区画整備事業の展開なども行ってきましたので、優良な住宅地という点では、かなり魅力的な環境があるのかな、と思っています。

一方で、市内には商業施設や産業系の施設がほとんど立地していないため、通勤や買い物などについては、市外に出ていく、という方がほとんどを占めていました。かつては埼玉県内でも、「昼間人口」という指標で見るとワーストという時代もあったようです。このことが、以前から大きな課題となっていたんです。

また、今後は日本全体で人口が減っていくという社会になりますから、住民税に依存した財政には限界があります。子育て支援や、これからの市街地整備にあたる予算をしっかり確保するには、やはり、市内に産業系の施設を立地させ、雇用を確保するということが重要になってくるんです。

そういった時代の変化も踏まえますと、シティゾーンは産業系を主体にした開発として、そこに企業にお越しいただいて、雇用をしっかり確保し市の税収をアップすると同時に地域のにぎわいの拠点を作る。そういった展開が、より時代に見合っていると考えました。

――富士見市では流入人口を増やすことを目的に、ファミリー世代にとって魅力的な街づくりに力を入れているとお聞きしました

高橋さん:ファミリー世帯向けの施策では、富士見市は「妊娠から出産まで、切れ目のない子育て支援」ということで、「子育てのしやすい街」というところに重点を置いている市ですので、そういった点ではさまざまな施策があるかと思います。

「健康増進センター」という施設が市内にあるのですが、この中に「子育て未来応援センター」というものが併設されています。妊娠・出産・子育ての相談に対応したり、それに関するさまざまな事業の展開など行っている点などは、特徴のひとつかなと思います。

また、昨今は共働きの世帯が非常に増えておりますので、保育所の整備にも力を入れていますし、小学校に上がってからの放課後のお子さんの居場所として、「放課後児童クラブ」の施設整備なども充実させていますので、共働きの方々にとっても、住みやすい街となっています。

市長がみずから市内の各地区の公民館等に出向いて、市民の皆様から直接意見を聞く「タウンミーティング」も、前市長の時代から継続されており、現市長も非常に力を入れているところですので、富士見市の特徴のひとつになっているかと思います。

――シティゾーンにある代表的な施設といえば「ららぽーと富士見」ですが、ここはほかの「ららぽーと」と比べても、特に行政や住民との距離感が近い施設だと聞きました。なぜ、そういう距離感が実現したのでしょうか?

新井さん:「ららぽーと富士見」は、招致時に富士見市が、三井不動産さんと住民の間に入って調整を進めた経緯があります。何度も何度も説明会を開いて、合意にたどりついて開業に至りました。このことが逆に、施設と地元の相互理解を深めることになったのだと思います。

高橋さん:こういった大規模商業施設の場合、通常だと、地元の商工会のメンバーになるということは無いそうですが、「ららぽーと富士見」は商工会のメンバーに入ってもらっています。地元と意見交換をしながら、商工会とタイアップできる事業があれば共同で行ったりもしています。

「ららぽーと富士見」

――「ららぽーと富士見」と連携して、具体的にどのような取り組みをされているのでしょうか?

新井さん:ひとつは、災害時の対応についての協力体制です。協定を結んでおり、このあたりで万一水害が発生した場合には、ららぽーと内の駐車場を車の一時退避場所として開放してくれる計画になっています。地下にある調節池についても、通常の規格以上の物を作っていただいています。

イベントについては、11月23日の「いい富士見の日」のイベントなどは、「ららぽーと富士見」の駐車場を会場として使わせてもらっていますし、市民祭りにも協賛していただいています。

秋には「ららぽーと富士見」にも協力いただいて、芋掘りもやっています。これはJAさんが主になってやっているんですが、建物のすぐ横に生産緑地があってそこを会場にして、芋や枝豆を植えて、収穫体験を行っています。

「ららぽーと富士見」横にある農地(田んぼ)

高橋さん:各種事業や施策の啓発活動のスペースとしても有効に使わせてもらっています。館内には市民文化祭のPR活動をしたり、市の広報のためのスペースも作っていただいています。中学生の職業体験の場として、積極的に機会も提供してくださっています。また、富士見市では、市内在住・在学の小学4~6年生を対象に、子ども達の知的好奇心を育み、考える力をのばしていくプログラム「子ども大学☆ふじみ」を実施しているのですが、そのなかで、「ららぽーと富士見」内にある「チームラボ 学ぶ!未来の遊園地」の裏側を学習するプログラムを実施したこともあります。

民間が作った商業施設ではあるのですが、「ららぽーと富士見」の場合は「新しい交流拠点」が生まれたような感覚があります。まさに「シティゾーン」が目指すところのひとつなので、今後もさらに、連携を深めていきたいと思っています。

「チームラボ 学ぶ!未来の遊園地」で行われた「子ども大学☆ふじみ」の様子

――富士見市内のおすすめのスポットを教えてください

高橋さん:歴史を感じられるものとしては、「難波田城公園」という公園があります。ここにはもともとお城のあった城跡のゾーンと、立派な古民家があるゾーンがあるのですが、そういったものから歴史を学んでいただいても楽しいかと思います。市街地の近くでは、「水子貝塚公園」もいいですね。国の史跡にも指定されている貝塚があり、公園の中に考古館も併設されていますから、富士見市の歴史を知っていただけるような場所になっています。縄文時代の竪穴(たてあな)式住居が復元されていて、その外周が遊歩道になっているのですが、そこで「縄文マラソン」というイベントもあって、これも非常に人気が高いです。

「シティゾーン」では、「キラリ☆ふじみ」という市民文化会館が面白いと思います。「キラリ☆ふじみ」は、様々な文化・芸術の発信拠点になっており、特に舞台の公演が多く、演出家の多田淳之介氏を芸術監督に迎えて、舞台演出をしていただいております。また、市民のサークル活動の発表の場としても、活用していただいています。

「キラリ☆ふじみ」

高橋さん:市役所近辺では「ふるさと祭り」が大きなイベントですし、水子貝塚の「星空シアター」も人気です。「鶴瀬」駅の近くだと、「諏訪神社」の例大祭も有名ですし、「つるせよさこい祭り」も毎年恒例になっていて、とても賑わいます。

新井さん:「つるせよさこい祭り」は、だいたいその年の最後に開かれるよさこいということで、かなり注目されているんです。ほかの地区からも、「今年最後の締め」ということで踊りに来てくれています。

高橋さん:駅前に行くと古くから続く商店街もありますから、そういったところでは、地元の力も借りながら、地域を盛り上げるためのイベントがいろいろと開催されています。こうして見ると、イベントがとても多い街といえるかもしれません。

――最後に、富士見市の魅力、今後の抱負についてお聞かせください

新井さん:一言でいうと「暮らしてみるとすごくいい街」でしょうか。市内には駅が3つもあり都心に出やすく、市内のバスの便なども良いです。水も緑も豊富ですし、災害も非常に少ない地域とも言えるかと思います。今後も「シティゾーン」を含め、そういった特徴を生かした街づくりを進めていきたいと思っていますので、ぜひ一度、富士見市にお越しいただきたいです。

高橋さん:富士見市は「これから作っていく」ということができる街なので、より多くの人に富士見市に住んでいただけるように、今後も魅力的な街づくりをしていきたいと思っています。

富士見市役所

富士見市まちづくり推進部 市街地整備担当課長 高橋一弥さん
富士見市まちづくり推進部 まちづくり推進課 専門員 新井健司さん
>URL:http://www.city.fujimi.saitama.jp/
※この情報は2018(平成30)年11月時点のものです。

富士見市の魅力と、「シティゾーン」の将来像を富士見市まちづくり推進部の担当者にインタビュー!/富士見市まちづくり推進部 高橋一弥さん、新井健司さん
所在地:埼玉県富士見市鶴馬1800-1 
電話番号:049-251-2711
開庁時間:8:30~17:15(木曜日の一部窓口は19:00まで)
※第1土曜日8:30~12:30に一部窓口を開庁(3月最終土曜日と4月第1土曜日は開設窓口を追加して17:15まで開庁)
休庁日:土曜日(第1土曜日・3月最終土曜日を除く)、日曜日、祝日、年末年始(12/29~1/3)
https://www.city.fujimi.saitama.jp/

子育て支援に力を入れるさいたま市の未来へ向けた取り組みとは?/さいたま市子ども未来局


さいたま市は、人口129万人が暮らす政令指定都市。子育て支援をはじめさまざまな施策に力を注ぎ、全国的に人口減少に悩む自治体が多い中、20歳代を中心に、市内に転入される若い世代の方が多いという。今回は子ども未来局子ども育成部子育て支援政策課の松尾さんと栗原さん、幼児未来部のびのび安心子育て課の吉田さんに、さいたま市の子育て支援に関して、そして南区の魅力についてお話を伺った。

「さいたま市役所」

さいたま市で子育てをするファミリー層に「しあわせ」を感じてもらうために

――—さいたま市の子育て支援に関する取り組みについて教えてください

さいたま市では2017(平成29)年度~2020(平成32)年度の4年間で、特に力を入れる事業を掲げる「しあわせ倍増プラン2017」を策定しました。なかでも第1章は「子どものしあわせ倍増」、第2章は「家族のしあわせ倍増」になっており、さいたま市で子育てをするファミリー層に「しあわせ」を感じてほしいとさまざまな事業を挙げています。

第1章では教育や学習環境の充実、困難を抱える子どもたちへの学習・自立支援、キャリア教育の推進など、第2章では保育需要の受け皿確保、「子育て支援型幼稚園」の創設、父親・祖父母の子育て参加の推進など、数々の具体的な事業を提示。市民一人ひとりがしあわせを実感できる都市を実現させるべく、全庁をあげて取り組んでいきます。

――—さいたま市では昨年、「待機児童ゼロ」を達成されましたね

女性の社会進出が進んでいる昨今、安心してお子さんを預けたいという要望は、年々強まっているように感じています。2017(平成29)年4月には、認可保育所や認定こども園、小規模保育事業などの多様な施設の整備・拡充をし待機児童ゼロを達成しました。しかし、同時期に改正された厚生労働省の調査要領により「育児休業中で復職意思のある方」も待機児童数に入れることになり、また待機児童数が増える形となってしまいました。

その対応として保育所や小規模保育事業などの施設を増やし、2018(平成30)年4月には、約2,000人の定員を増やす予定です。これからも、保育を希望する方が1人でも多く保育施設を利用できるよう取り組んでいきます。

イメージ

子育ての選択肢を広げる子育て支援型幼稚園

――—しあわせ倍増プラン2017にもある「子育て支援型幼稚園の創設」とはどのような取り組みですか?

保育所は厚生労働省の管轄で両親の代わりに「子どもを保育する」場所であり、0歳からの利用が可能です。それに対し幼稚園は文部科学省の管轄で「教育の基礎を培う」ことを目的にされたもので、基本的には3歳からの入園になっています。ここ最近は女性の就業率の上昇に伴い、平均4~5時間という開園時間の短さから、幼稚園の就園率が下降傾向にあります。ただ保育所に預けている保護者のなかでも、幼稚園に預けたいと考える方々がいらっしゃるのも事実で、その選択肢を広げるために「子育て支援型幼稚園」の認定制度を創設することにしました。

子育て支援型幼稚園というのは、朝や夕方、そして夏休みなども預かり保育を実施するなど、一定の要件を満たす幼稚園のことです。現在も各幼稚園で預かり保育を実施していますが、その時間や日数にはばらつきがあります。そこで現在ある幼稚園の中で一定の要件を満たす園を「子育て支援型幼稚園」に認定することで、共働きのご家庭でもお子さんを預けられる幼稚園としてPRしていく予定です。2018(平成30)年度から認定を開始し、まずは2020(平成32)年度までに35園を目標とし、その数を徐々に増やしていこうと考えています。実はさいたま市内にある私立幼稚園は104園(認定こども園を含む。)と、全国でもトップクラスの幼稚園数を誇ります。このなかから「子育て支援型幼稚園」へ取り組んでくださる園を募り、長時間・通年的に預かれる幼稚園環境を整えたいと思っています。

南浦和にある「浦和若竹幼稚園」

――—父子手帖や祖父母手帳なども発行されていると聞きました

「父子手帖」はお父さんの家事・育児参加を応援することを目的に作成したもので、お母さんの体の話から赤ちゃんの成長、赤ちゃんとの接し方、“ちょっと笑える体験談”なども掲載した情報たっぷりの冊子です。この冊子をきっかけに育児にも積極的になってもらえたらと考えています。この冊子に掲載されている体験談は、さいたま市のパパ同士をつなぐネットワークグループ「さいパパ」のメンバーから寄せられたものです。「さいパパ」では市と協働で「さいたま パパ・スクール」を開催しています。このスクールは「パパがパパを育てる」をコンセプトに、子育てスキルの向上を目的とした講座や料理教室、アウトドア教室などを通して、パパ友が作りやすい環境を提供しており、父親にしかわからない悩みなども共有できるよい機会になっています。

「祖父母手帳」は、祖父母や親たちの愛情に包まれて、子どもたちに健やかに成長してほしいという願いから生まれた冊子で、2016(平成28)年には育児雑誌が選ぶ ペアレンティングアワードも受賞しました。祖父母世代に向けて、今の子育て・孫育てのヒントを分かりやすく解説してあります。今は核家族が増え、祖父母が持つ子育ての知恵や人生経験を伝える方法がなくなりつつあります。実の孫でなくても、地域の子どもたち・親世代をサポートしていただきたいと、ファミリー・サポート・センターの仕組みも冊子のなかで紹介させていただいています。

たくさんの種類がある子育て支援ブック

2018年4月「さいたま市子ども家庭総合センター(あいぱれっと)」がオープン

――—子育て支援施設も充実していますね

2018(平成30)年の4月には、子どもに関するワンストップの総合相談窓口を設置するとともに、専門相談機関を集積し、連携して子育ての諸問題に対応することを目的とした「さいたま市子ども家庭総合センター(あいぱれっと)」が浦和区上木崎にオープンします。また、相談窓口だけでなく、子どもや保護者が交流できる「遊びひろば」や体を動かして遊べる「冒険はらっぱ」なども併設し、誰でも気軽に立ち寄れて一緒に遊べる拠点となる予定です。

ほかにも「子育て支援センター」があります。0~3歳未満のお子さんとその保護者が一緒に遊んだり、親子で友達をつくったりと仲良く交流できる場で、「子育て支援センター」として独立している「単独型」が各区に1箇所ずつ計10箇所、保育所等に併設されている「保育施設併設型」が54箇所あります。また、放課後児童クラブの施設のうち31箇所では、児童がいない平日9時から12時の時間帯を有効利用していただこうと、「のびのびルーム」として3歳未満のお子さんと一緒に遊べる部屋を用意しています。

南区には、武蔵浦和駅前の「サウスピア」という複合公益施設があります。この施設の1階に「子育て支援センターみなみ」、2階・3階には図書館、4~7階には南区役所、8・9階にはコミュニティセンターがあり、子育て支援センターを利用しながら区役所等での用事が一度に済んで便利です。なお「子育て支援センターみなみ」では、お子さん(3歳未満)の一時預かり(有料)を行なっており、図書館で本を読みたい、美容院に行きたい、習い事をしたい、買い物をしたい、ちょっとお子さんと離れてリフレッシュしたいなど、保護者の方のご都合でお子さんを預けることが可能です。

「サウスピア」

――—南区独自の子育て政策などはありますか?

南区では、子育てしやすい、支え合うまちづくりを推進するために、育児中の保護者が、出来るだけ早い時期(生後2・3か月)に必要な知識が習得でき、地域での仲間作りができるよう、南区の全乳児とその保護者を対象とした育児学級「みなみっこクラブ」を開催しています。また、民生委員・児童委員・愛育会等、地域の子育て支援者が公民館や児童センターなどで開催する「子育てサロン」等に保健師などを派遣して、子育てに関する講話や育児相談を実施しています。

教育熱心な家庭が多い文教地区

――—最後に南浦和の魅力をお教えください

南浦和はJR武蔵野線と京浜東北線が乗り入れた交通の要所であり、通勤・通学にも便利な街として人気が高まっている地区です。そもそも浦和地区は県立浦和高校や浦和一女などの全国トップレベルの進学校がある文教地区で、教育熱心な人たちが集まるといわれています。なかでも南浦和は、その交通の利便性を生かして予備校や進学塾が多く立ち並んでいます。予備校通り、塾銀座などとも呼ばれ、近隣のみならず埼玉県内からも多くの学生が通ってきます。学生が多いですが、駅前にはスーパーや百貨店も並び、日々の買い物などにも困らない便利な街です。

「東進ハイスクール 南浦和校」

――さいたま市には子育て世代が転入しやすい雰囲気があるようですね

2013(平成25)年から、就学前児童数は67,000名前後とほぼ横ばいの状態を保っています。少子化が進んでいる現在、子どもの数が減少しないということは、おそらく若いファミリー層が転入している結果だと考えています。さいたま市が子育て支援に力を入れていることに着眼して、多くの若い夫婦が転入してきてくださっているのかもしれない、とうれしい予想をしています。

さいたま市では、安心して子どもを産み、育て、さらに子どもたちがきめ細かで質の高い教育を受けられるよう、今後も各種施策の充実に取り組んでいきます。ですから若いご夫婦には是非さいたま市に引っ越してきていただき、楽しみながら子育てをしていただければと思います。

子育て支援に力を入れるさいたま市の未来へ向けた取り組みとは?

さいたま市子ども未来局

子ども育成部 子育て支援政策課 主査 栗原誠司さん(左)
子ども育成部 子育て支援政策課 課長補佐 松尾真介さん(中央)
幼児未来部 のびのび安心子育て課 主査 吉田雄司さん(右)
所在地:さいたま市浦和区常盤6-4-4
電話番号:048-829-1111(代表)
URL:http://www.city.saitama.jp/
※この情報は2018(平成30)年1月時点のものです。

子育て支援に力を入れるさいたま市の未来へ向けた取り組みとは?/さいたま市子ども未来局
所在地:埼玉県さいたま市浦和区常盤6-4-4 
電話番号:048-829-1111
開庁時間:8:30~17:15
閉庁日:土・日曜日、祝日、年末年始(12/29~1/3)
https://www.city.saitama.jp/

さいたま市立文蔵小学校 校長 西畑孔夫先生インタビュー

異年齢の交流と地域の関わりが、やさしく豊かな心をはぐくむ「さいたま市立文蔵小学校」


「さいたま市立文蔵小学校」は、さいたま市の南端部、蕨市と川口市に隣接した場所にある小学校。陽当たりの良い校内はいつも明るい雰囲気に包まれ、昼休みともなれば、広い校庭はたちまち子どもたちの笑顔と歓声で満たされる。このような良好な環境が維持されているのは、校舎の立地条件の良さもさることながら、地域の人々と保護者の理解・協力があってこそ。今回は学校の特徴をはじめ、地域やPTAとの関わり、文蔵エリアの魅力などについて、校長の西畑孔夫先生にお話を聞いた。

――文蔵小学校の沿革について教えてください

西畑先生:本校は今から46年前、周辺の人口の急増に対応して開校した小学校です。開校当初は校舎の建築が間に合わずに、現在の文化センターのある場所にあった、移転したばかりの「南浦和中学校」の旧校舎を利用して開校しました。開校した年の秋から現在の場所に移転しました。

西畑孔夫校長先生

教育目標には、「かしこく、やさしく、たくましく」という言葉を掲げ、自分で考え正しく判断をして行動できる子、やさしく思いやりのある行動のできる子、ねばり強く物事に取り組む子、ということを、目指す児童像としています。

学校教育目標

その目標に向けて、日々全職員が協働体制で取り組んでいますが、教員同士の仲が良くないと良い教育活動はできないと考えていますので、教員同士が一体となって子どもたちを指導する、ということを大事にしています。

ですから本校は職員同士の仲がとても良いですし、何かがあれば、何でも相談しあえるような間柄があります。ベテランの教員はより良い判断ができますから、それをもとに若手を指導していますし、若手は新しい知識とフットワークの良さを強みに指導を行っています。お互いの良い所を持ち寄って、尊重し合いながら教育活動を行っており、このチームワークの良さが、本校の一番の強みであると思っています。

「さいたま市立文蔵小学校」の校舎

――教育活動に関して、特に力を入れている部分を教えてください

西畑先生:ここには古くからの地名である「文蔵」という言葉がありますので、学校としても図書や国語などの教育に力を入れている伝統があります。最近は特に、国語力の向上に力を入れて研究に取り組んでおり、自分の考えを表現する思考力、判断力、表現力といったものを高めていきたいと考え、重点的に取り組んでいます。

お互いの意見を伝え合って、指摘を受け止め、交流すれば、自分の思考が軌道修正され、考えが高まります。さらにその考えを「発信」していくことで、全体がさらに高まっていく、という流れも生まれます。「伝え合う」ということは、やがて子どもたちの「生きる力」になっていく、とても大事な力だと思っています。

「文蔵」にちなんで図書に力を入れている

また、本校の特徴のひとつに「たて割り」、つまり異年齢の交流を大事にしているという点があります。業間や昼休み時間にも、異年齢で遊ぶ時間を作っていますし、児童は集団登校をしていますので、そこにも近所の子ども同士の異年齢の関わりが生まれ、子どもの感性や心をより豊かに育むものになっていると考えています。読書活動についても、下級生の子どもたちに、上級生に読んでもらいたい本のリクエストを聞いて、それを受けて、上級生が下級生の教室に行って読み聞かせをする、という活動もしています。

集団登校については、地域の子ども会が編成した組み合わせに基いて、各班のまとめ役の方に毎朝送り出しをしていただいています。そのグループの最上級生がリーダーになって学校まで連れてくる、という形です。下校についても、これは1、2年生だけなのですが、集団下校の形をとっており、特に1年生は4、5月については保護者の方に付き添いという形でご協力をいただいています。

「さいたま市立文蔵小学校」校内の様子

――地域の方や保護者との連携、協働の様子について教えてください

西畑先生:本校は地域と密接に連携をしている学校で、地域の方も学校に対していろいろな形で心を砕いてくれています。特に育成会や子ども会が関わっている場合が多く、たとえば5月の「たくましい文蔵っ子のつどい」という行事では、昔あそびや車いす体験などを、地域の方が主催してくれています。

ランチルーム

PTAについても、10月末にはPTAが主催する「文蔵小まつり」というものがあり、地域とPTAの方が露店を出したり、グランドゴルフをやったり、車いす体験などのいろいろな体験の機会を作ってくれています。子どもたちだけではなく、ご家族や地域の方も楽しみにされている毎年恒例のイベントです。

また、「サポーター制度」というものを通して、緑化や水やり等で協力してくれたり、夕方の学校で校内を見まわってくれたり、イベントなどの運営を手伝ってくれたりと、本当にいろいろな場面で協力いただいている頼もしい存在です。

――学校行事で特に力を入れているもの、盛り上がるものは何でしょうか?

西畑先生:11月に「心をつなぐ音楽会」という名前で音楽会を開いており、例年、近くにある文化センターのホールを使っています。学年ごとに練習してきた音楽を披露するだけではなく、教員も舞台に立ち、毎年たくさんの保護者や地域の方も来られる行事です。

廊下には子どもたちの作品が飾られている

持久走記録会も本校の伝統行事で、毎年11月に行っています。校庭だけではなく学校の外に出ていくコースを取っているので、コース上の見守りや誘導については、PTAの方々に協力していただいています。街の中を走りますから、地域の方々のご理解とご協力が必要な行事となっていますが、その理解と協力があるからこそ、伝統としてずっと継続できているのだと思います。

――校舎の構造や、施設面について特徴があれば教えてください

西畑先生:各学年の廊下に「ミニブックワールド」というコーナーがあります。これがあることで、子どもたちは休み時間などちょっとした時間にも、気軽に本に触れることができます。もちろん図書室は別にありますから、蔵書数はとても多くなっています。

「ミニブックワールド」の様子

――中学校との連携、卒業生の様子について教えてください

西畑先生:さいたま市では小中一貫教育を進めており、本校も小中連携のモデル校のひとつとなっています。夏休みに小中学校の教員の合同研修会を行ったり、中学生の社会体験事業の受け入れなどもしています。また、子どもたち同士でも、生徒会と児童会で合同のあいさつ運動をしたり、いじめについて考える小中合同の討論会を開いたりと、いろいろな連携やつながりを持っています。

小学生から中学生になるにあたって「中一ギャップ」はどうしても出てきます。ですが、社会に出てからもさまざまなギャップがありますから、それを乗り越えるための訓練だと考えています。適度なギャップを子どもたちが無理なく乗り越えて、自分の成長の糧にするためにも、この一貫教育の取り組みは有効だと思っていますので、今後はさらに、関係づくりの機会を増やしていきたいと考えています。

小中一貫教育のモデル校にもなっている

ちなみに、さいたま市では毎年10月に「つぼみの日」ということで、中学校に小学生が訪問する日を設けています。そこでは部活見学や授業見学をしたり、生徒会や先生方から中学校の説明を受けたりということをしています。6年生の秋になって、目の前に迫ってきた中学校生活に対しての不安を、少しでも軽減していくことができていると思います。

小中連携以外にも、幼稚園や保育園との交流も盛んに行っています。1年生が幼稚園と保育園の子どもを招待して、小学校の説明をするということを年に何回か行っているほか、幼稚園や保育園の先生が小学校に体験に来たり、小学校の教員が体験に行ったりという形で、お互いの理解を図っています。

――私立の学校に進学する子どもたちは、どのくらいの割合いるのでしょうか?

西畑先生:毎年変わるものですので具体的な数字は難しいですが、昨年度の実績としては、12%前後ぐらいでした。近くにある「さいたま市立浦和中学校」も入学試験がありますが、こちらへ進学する子どもたちもいます。

「さいたま市立文蔵小学校」の子どもたち

――最後に、この文蔵地域の魅力について教えてください

西畑先生:静かで落ち着いた環境が魅力で、地域の方も地域愛がすごく強い方が多いです。地域で子どもを育てるという意識が強く、いろいろな面で学校に関わってくださるので、非常にありがたいと感じています。駅にも比較的近いですし、駅までのバスの便も多いですし、生活にも便利な地域かと思います。

本校はケヤキの木がシンボルになっています。大王松(だいおうしょう)という松の木はもともと、南浦和中だった(開校当初の)場所にあったものを移してきたそうなんです。ほかにもたくさんの木々に囲まれていますが、これらも開校の時に地域の方がこぞって寄付してくださったものということで、地域の方々の愛情にも、豊かな緑の木々にも囲まれて、本当に素晴らしい学習環境がある地域だと思います。

「さいたま市立文蔵小学校」のシンボルの一つのケヤキの木

「さいたま市立文蔵小学校」の西畑孔夫校長先生

さいたま市立文蔵小学校

校長 西畑孔夫(よしお)先生
所在地 :さいたま市南区文蔵5-16-29
電話番号:048-863-0721
URL:http://buzo-e.saitama-city.ed.jp/
※この情報は2017(平成29)年11月時点のものです。

異年齢の交流と地域の関わりが、やさしく豊かな心をはぐくむ「さいたま市立文蔵小学校」
所在地:埼玉県さいたま市南区文蔵5-16-29 
電話番号:048-863-0721
http://buzo-e.saitama-city.ed.jp/

久地かすみ堤の会 久郷則男さんインタビュー

住民の熱意によって国の方針が転換。保存が決まった「久地かすみ堤」


多摩川右岸沿いに広がる、川崎市高津区。この地域に古くからある集落のひとつが「久地」である。多摩川流域にある久地は平坦な地形だが、その中に一筋だけ盛り上がった土手状の地帯がある。春には桜が咲き誇るこの土手は、地元の人々に「かすみ堤」と呼ばれている、旧多摩川堤防の一部。地域を水害から守ってきた、先人たちの知恵が詰まった土手だ。
2007(平成19)年、国有地であるこの土手に、民間業者への土地売却の話が持ち上がった際、「地元のシンボルを守りたい」と発足したのが「かすみ堤を保存する会」だ。今回は会の代表として「かすみ堤」の保存活動をおこなってきた久郷則男さんに、「かすみ堤」の歴史や保存活動、久地エリアの魅力について、お話を伺った。

多摩川の氾濫を防ぎ、住民に豊かさをもたらした歴史ある堤防

――まず、「かすみ堤」について教えてください

「かすみ堤」は多摩川の治水のために、江戸時代に農民の手によって作られたといわれています。昭和初期に新しい堤防が多摩川沿いに建設されたため、現在は堤防としての役割は無くなり、多摩川の「旧土手」の一部となっています。
もともと武田信玄が発明したといわれている堤防に、大水が出た時には水を流して、引いたらまた元に戻るという、ハの字をした堤防があり、これを「信玄堤」や「かすみ堤」といったそうです。これに似た形をしていることから、いつからかこの土手は「久地のかすみ堤」と呼ばれるようになったそうです。多摩川の氾濫を防ぎ、人の命や家を守って、お米の収穫量も増やした、歴史のある堤防です。

現在はおよそ700メートルが残っているだけですが、昔の地図を見ますと、二子新地の辺りから「久地の横土手」というところまで堤防が続いており、多摩川から2.3キロ~2.5キロくらいあったことがわかります。
江戸時代に地域の農民を中心に自然発生的に作られたのではないかともいわれていて、江戸中期には田中丘隅(きゅうぐ)という人が改良に貢献したと言われています。大正時代にももう一度大改修が行われたため、堤防の中は3層になっているそうです。まさに「歴史の積み重ね」がある、素晴らしい土手です。

昔の多摩川は、今のように一直線ではなく、当然ダムも無かった時代ですから、増水すればすごい勢いで流れてきたわけです。それを食い止めていた堤防ですから、非常に強い造りをしています。今行われている多摩川の堤防の改良工事でも、この「かすみ堤」を参考にしていると聞いています。震災も戦争も乗り越えてきた、貴重な土木遺産だと思いますから、ぜひ沢山の人に知っていただきたいと思っています。

多摩川の氾濫を防ぎ、住民に豊かさをもたらした歴史ある堤防

――なぜ「かすみ堤を保存する会」が立ち上がったのでしょうか?

「かすみ堤」は国有地で、昔から河川の一部として扱われていた土地なのですが、10年ほど前に、その一部の、久地にある土手を売却処分するという話が出たんです。その時に、久地二丁目町会では、「昔から愛してきた土手がなくなったら大変だ」と、売却中止を求める請願を出したんです。
町会としては、「請願を出したからもう大丈夫だろう」と思っていたのですが、請願から5年経っても、状況は何も変わりませんでした。市に問い合わせてみると、「まだ結論が出ない」と言いますし、国のほうからも「もうこれ以上待てない」という催促があるという状況でしたから、「これはもう1回請願を出さないとまずい」となりまして、2012(平成24)年に2度目の請願に至りました。この時には、久地だけではなくて、この周辺地域一帯の人で署名活動を行い、4,000人の署名と一緒に提出しました。その2回目の請願の時に、「かすみ堤を保存する会」が結成され、「かすみ堤」の保存についてアピールをしてきました。最初の請願から10年目となる昨年(2017年)にようやく、国は売却を中止するということで、正式に回答をしてくれ、今後も従来通り、河川敷として残すことが決まったんです。この決定はニュースや新聞でも沢山取り上げていただきました。

――「かすみ堤を保存する会」では、今までどのような活動をされてきたのでしょうか?

定期的に会合をしたり、勉強会をしたり、行政との交渉をしたり、かすみ堤のアピールをしたり、といった活動が中心になっています。地元の小学生が授業で話を聞きにきてくれることもあるので、その時には説明をしたりと、かすみ堤の価値について、より沢山の方に知ってもらうための活動も行っています。去年の2月に保存が決まって以降は、「保存」という名前は取って、「久地かすみ堤の会」という名前に変更して活動しています。今後は保存ではなく、どうやって利用・活用していくかということを考えながら、引き続き活動を続けていきたいと思っています。

――地元の方はどういった思いで「かすみ堤」を見つめ、活動されてきたのでしょうか?

私ども久地二丁目町会は平瀬川(多摩川の支流)と、この「かすみ堤」の土手に囲まれている地区にありますので、川崎方面からこの町会に来ようとすると、土手がちょうど玄関口になるんです。昔からここで町会のお祭りをやったり、お花見をやったり、子ども会の行事をやったり、いろいろな活用をしてきましたので、この場所にみんな、すごく愛着を持っています。そこを無くしてしまうという話が出たわけですから、「それはとんでもない!」ということで一致団結しまして、この一連の請願が起こったわけです。国は自然災害対策のためと保存することに決めたと説明をしていますが、町会が一丸となって保存活動をして、その成果が認められて、保存が決まったものだと思っています。

――今後、この「久地かすみ堤」をどのように利活用していきたいとお考えですか?

今でも国有地であることは変わらないので、今後については「自然環境豊かな散歩道の確立」を目標にして、今までと同じように美化活動は続けていきたいですし、現状では土手の上の一部が国の資材置場になっていて、金網のケージの横を通るような箇所もありますから、それを改善して、もっと気持ちよく散歩できるように、行政や国に対して働きかけていきたいと思っています。今年からは「高津区役所」が発行しているパンフレットにも、「高津のさんぽ道」ということで「かすみ堤」を紹介してもらっていますので、今後はもっといろいろな方に来ていただけるような場所になっていくと思います。治安の面なども考えたうえで、バランスよく開放していって、今よりももっと魅力的な場所にしていきたです。また、土木遺産としても貴重なものだと思うので、その歴史や貴重さを教えるような活動もしていきたいです。

――最後に、高津区久地エリアの魅力を教えてください

いちばんは、自然が多いことでしょうか。筆頭が「かすみ堤」ですが、春にはつくしやふきのとうも出ますし、桜、スイセン、ヒガンバナなど、季節ごとにいろんな花も咲きます。冬でも、降り注ぐ陽の光の中を、枯れ草を踏みしめながら、草の芽を感じながら散歩すると、非常に気持ちがいいですよ。そのまま多摩川にもつながっていますので、自然も沢山感じてもらえると思います。それから、反対側に行けば七面山(しちめんやま)という、ちょっとした山もありますし、くじが当たることで有名な「久地神社」や、「久地円筒分水」という珍しい形の分水樋もありますので、散歩をすると楽しい地区だと思います。多摩川の向こうはすぐに二子玉川で、歩いて行けるような距離ですから、交通の便は非常にいいですね。溝の口も便利な駅で、駅の周りにはいろいろなお店があって、全体的にものの値段も安いですから、生活するには便利だと思います。久地の町会についても、どこか下町的な感じがあって、みんながつながっていて、人情がある、いい町だと思いますよ。

久地かすみ堤の会

代表 久郷則男(くごう・のりお)さん
※この情報は2018(平成30)年4月時点のものです。

住民の熱意によって国の方針が転換。保存が決まった「久地かすみ堤」
所在地:神奈川県川崎市高津区久地 
http://www.city.kawasaki.jp/takatsu/page..

八王子市立楢原小学校 校長 原市 裕先生

緑の山々を背に、素直な子どもたちが学ぶ「八王子市立楢原小学校」/校長 原市裕先生


八王子市郊外の閑静な住宅地にある、「八王子市立楢原(ならはら)小学校」。眺望の良い高台に位置し、4階建ての校舎の上層階から西を眺めれば、高尾や陣馬などの山々が連なって見え、ここが東京であることを忘れてしまうほど。

この学校に通う子どもたちはおよそ350名。各学年2クラスという比較的小規模の学校で、創立40年ということから、保護者にもこの学校の卒業生が多い。豊かな自然とアットホームな地域の輪に囲まれて、落ち着いた雰囲気で学ぶことができる小学校である。今回は校長の原市 裕先生を訪ね、小学校の特徴と地域の魅力についてお話を聞いた。

八王子市立楢原小学校

――まず、学校の沿革、概要について教えてください。

本校は1977(昭和52)年の創立で、今年で創立42年目になる小学校です。隣には「陶溶(とうよう)小学校」という創立140周年を超える小学校がありまして、そこの学校の児童数が増えたために、40年前にそこから分かれて始まったのが本校であると聞いています。

この学校の特徴は立地、環境の良さではないでしょうか。この辺りはもともと雑木林でしたので、今でも周りを見ると非常に緑が多いです。住宅も増えてはいますけれども、学校から見る静かで落ち着いた景色は、40年前と比べてもあまり変わっていないのかなと思います。

学校から見る楢原町の景色

――子どもたちの様子について、校長先生はどのような印象をお持ちですか?

本校の場合、生徒のご両親も本校の卒業生が多いので、保護者の方には愛校心がある方が多いですし、学校の活動にもとても協力してくださいます。そういった環境もあって、生徒たちは比較的落ち着きのある素直な子が多いと感じています。
一方で近年の課題としては全国的にもそういった傾向ですが、楢原の子どもたちの中にも「特別な支援」の必要な子が増えているという実態はあると思います。教育目標

――学習について、特に力を入れている点は何でしょうか?

今、校内研究で特に力を入れて取り組んでいるものの一つがこういった「特別な支援が必要な子ども」に対して、どうやって学力をつけ、身に付けさせていくかということです。
そのための取り組みのひとつとして実践しているのが「ユニバーサルデザインの視点を生かした授業づくり」というものです。校内研究でも、教員たちが専門家を呼んで勉強しあったり、知識を深める機会を定期的に持つようにしています。そこで学んだことを、日々の授業の中で生かしているというのが、本校の研究特徴のひとつです。

具体的には「視覚的にわかる授業をする」ということを大切にしています。授業のはじめ、「今日はこういう授業をやるよ」と提示する際に、たとえば言葉だけではなく写真を見せたり、具体物を出したりして、目で見て授業の内容や目当てがわかるような工夫をしています。
特別な支援が必要な子たちは、聞く力が弱かったり、聞いたことを頭の中で整理する力が弱かったりしますので、そこを克服するための手立てとして、こういった実践を全教科において、できる限り取り入れるようにしています。

八王子市立楢原小学校 廊下

他には本校では地域や保護者と連携を深めていく中で、「放課後子ども教室」に力を入れています。これは今年度から学校がある日は毎日実施しておりまして、「放課後の子どもたちの居場所をしっかりと作ろう」ということで積極的に取り組んでいます。
その中で図書室と校庭でいろんな活動をしているわけですが、図書室では宿題やドリルなど、補習的な学習の時間も持てるようにしています。そこには「支援員」という方に来ていただいていて、校内と校庭でそれぞれ2人、合計4人ぐらいの体制で、毎日子どもたちのいろんな活動をサポートしたり、一緒に楽しんだり、質問や疑問に答えられるような態勢を作っています。

この「放課後子ども教室」は他校にもありますが、これだけ毎日実施している学校は少ないと思うのでこれも楢原小の一つの特色だと感じています。
それから2020年には東京オリンピックが開催されますので、今は「オリパラ教育」についても積極的に取り組んでおります。講師を呼んでお話を聞いたり、いろいろな国の文化を学んだりといった点で計画的に学習を進めているところです。

八王子市立楢原小学校

――体験学習にも力を入れていらっしゃるようですね。特徴的なものがあれば教えてください。

課外活動では、「自然とふれあう」というテーマを持って、体験的な活動を重視しています。たとえば3年生については、地元の産業を体験しながら学習するという目的で、蚕(かいこ)を育てています。地域の方をお呼びして、卵をかえして育て、繭(まゆ)にして、繭から糸を取って、というところまでを体験しています。最後には糸を使っていろんな工芸品も作っています。
最近は桑の木も少なくなりましたから、どこの学校でもできるという活動ではないと思うのですが、本校はまだ学区内に桑の木が自生していたり、民家の庭で育てられたりしていますので、そういったところから桑の葉も分けていただいているんですね。

学校の外に出ていく活動という部分では、4年生が「安全マップ作り」をやっていまして、保護者と協力しながら地域の危険箇所を調べて、最後には一つの地図にまとめて発表しています。その時には地域の安全ボランティアさんもお呼びし、調べたことをお伝えして一緒に安全な環境を作っていこうということで、毎年取り組んでいます。

八王子市立楢原小学校

――ホームページに「今日の給食」というコラムがありますね。このねらいは何でしょうか?

これは、学校のホームページで毎日、写真付きで給食の内容を更新しているというものですが、給食の管理員さんや栄養士さんが主体となって、給食の内容を保護者に向けて発信しようということで取り組んでいるものです。ご家庭では、子どもたちが日々、学校の給食で何を食べているのかというのは、なかなか分かりにくいと思いますので、視覚的にわかりやすく、「今日はこんな給食を食べた」ということをお伝えするのが目的です。

メリットとしては、夕食の献立を重ならない、バランスを考慮できる、といった点があるわけですが、もちろん「食育」の観点もあります。家庭でも「食べる」ということにもっと意識をもってもらって、食事のバランスに注意したり、残さないための工夫をするといった意識を持ってもらいたいというねらいも含んでいます。

八王子市立楢原小学校 教室

――特徴的な学校行事、地域や保護者との共催イベントなどがあれば教えてください。

ひとつは、毎年秋に「楢原祭(まつり)」という、子どもたちが主体となってお店などを開いて、地域の方や保護者にも来ていただきながら、一緒に楽しむという行事があります。毎年盛大に行われていますので、子どもたちも楽しみにしています。お店をクラスごとに出して、大人も子どもも、一緒に楽しむというお祭りです。
また、毎月1回保護者のお父さん方が「パパサンズ」というボランティア組織を作っています。そちらが中心となって行うイベントが毎月1回くらいあります。7、8年前から続いているものですね。たとえば、9月には学校に泊まるという企画があって、低学年は体育館に、高学年は校庭にテントを張って泊まるということもやられています。敷地内で夕食や朝食も作るので、けっこう大変な準備もあるのですけれど、毎年やってくださっています。

ほかには、ハロウィンの時期にパーティーを開いたり、体育館でスポーツ大会をしたりといろいろな年間の行事を企画して、お父さんたちが主体になってやって下さっています。これもまた、楢原の誇るべき活動なのかなと思っております。

八王子市立楢原小学校 校長 原市 裕先生

――幼保小、小中の連携に関して、取り組みがあれば教えてください。

小中一貫については、本校は楢原中と連携して行っています。年間3回の「小中一貫教育の日」が設けられていますので、そこが中心の連携となっています

子どもたち同士の交流については、部活体験ということで、6年生が放課後を使って自分の好きな部に参加をして、中学生と一緒に活動するということをしていますし、中学校の生徒会が来て、中学校の様子を子どもたちに話してくれる、ということも行っています。また、今年度からは、中学校と小学校で日程を調整しまして、防災の関する「引き取り訓練」を同じ日に行うなど、親御さんの負担を減らせるような取り組みも行っています。

幼稚園、保育園に関しては「光明第三保育園」と「なかの幼稚園」と交流をしています。園児たちが小学校に遊びに来て、主に1年生と交流をするというような活動です。また職員についても保育園、幼稚園に実際に行って、園児と職員の活動を見せていただくというような交流も行っています。

八王子市立楢原小学校 校庭

――最後に、楢原小の周辺エリアの魅力、校長先生のお気に入りスポットを教えてください!

まず、私の好きな場所ということですと、学校から西を望んだ景色ですね。これは昔から、あまり変わらない風景だと思います。秋は特に夕焼けがきれいですね。西の空が茜色にきれいに染まります。八王子は「夕やけこやけ」の歌が生まれた地として有名ですが、東京でこういう景色が見られる場所というのはなかなか無いと思います。

また子育てをされる環境としても、敷地は広いですし、住宅街ですので安全面も確保されています。そういった意味では育てやすく子どもが活動しやすい環境だと思います。もちろん、自然が近くにあって、自然の中で遊びやすいという点も素晴らしいですね。
また、地域についても町会の活動が非常に活発で、町会の運動会やお祭りなどもありますから、子どもたちも楽しいと思いますし、「地域で子どもを育てる」という雰囲気もあります。長く暮らされている方が多い地域ですが、決して閉鎖的ではなくて、開放的な雰囲気なんですね。本当に気さくで、面倒見がいい方が多いですから、子育てをされるという方にとっても、安心して暮らせる地域だと思います。

 

八王子市立楢原小学校 校長 原市 裕先生

八王子市立楢原小学校

校長 原市 裕先生
電話番号:042-626-1204
URL:http://hachioji-school.ed.jp/nrhre/
※この情報は2017(平成29)年9月時点のものです。

緑の山々を背に、素直な子どもたちが学ぶ「八王子市立楢原小学校」/校長 原市裕先生
所在地:東京都八王子市楢原町1287-2 
電話番号:042-626-1204
http://hachioji-school.ed.jp/nrhre/

早稲田大学坪内博士記念演劇博物館インタビュー

2018年春にリニューアルオープン! 誰もが楽しめる「エンパク」の魅力とは?/早稲田大学坪内博士記念演劇博物館 館長 岡室美奈子さん


「早稲田大学」の学生の間では「本キャン」と呼ばれている、早稲田キャンパス。そのシンボルといえばおなじみ「大隈記念講堂」だが、この講堂とほぼ同時期に建てられた「演劇博物館」を知る人は少ないかもしれない。南門を入って正面に見える、ほかの建物とはまったく違うたたずまいの建物がそれだ。
この博物館は、学生や関係者の間では、「エンパク」という呼び名で親しまれている。正式名称は「坪内博士記念演劇博物館」。その名のとおり、早稲田大学の教授でもあった坪内逍遙(つぼうちしょうよう)が発案し、基本構想を作ったという。坪内逍遙は劇作家や小説家として有名だが、現代の日本演劇界の基礎を作ったという功績も大きい。今でも演劇、芸能、文芸等の隣接分野に早大出身者が多いというのは、多くの人が感じていることだろう。

早稲田大学坪内博士記念演劇博物館 第8代館長の岡室美奈子さん

このエンパクでは、2018(平成30)年に開館から90周年の節目を迎えたことを機に、展示内容の大幅なリニューアルを行った。より身近に、より楽しくなったエンパクの魅力について、第8代館長であり、同大教授でもある岡室美奈子先生にお話を伺った。

約100万点を所蔵する世界有数の「演劇博物館」

坪内逍遙の胸像

――まず、「演劇博物館」の沿革について教えてください。

この博物館は1928(昭和3)年に、坪内逍遙の古希(70歳)のお祝いと、シェイクスピア全集を日本で初めて刊行したことを記念して建てられたものです。実はそれ以前にも、「大隈庭園」の中に劇場を作ろうという構想があったようなのですが、関東大震災で頓挫してしまい、のちに博物館の構想に変わって実現したということです。2018(平成30)年に90周年を迎えるにあたって、館内の大規模なリニューアルを行い、この3月にリニューアルオープンをしたところです。

早稲田大学坪内博士記念演劇博物館

建物はエリザベス朝時代のイギリスの劇場「フォーチュン座」を模して設計されており、建物の正面に舞台があるという点が、大きな特徴になっています。「早稲田大学」のキャンパス内にある博物館ですが、どなたでも自由に、無料で入っていただける博物館となっています。

――資料の収集方針、特徴的なコレクションについて教えてください。

当館には約100万点の資料が収蔵されています。演劇の資料はいわゆる「名品」だけではなく、普通の人が見たら何ということはないもの、たとえばチラシ1枚についても、演劇史の資料としては重要な場合があります。そのため「演劇に関わるあらゆるもの」が集められ、博物館全体の水準から見ても、かなり多い所蔵点数となっているわけです。

3階常設展示室「世界の演劇 ヨーロッパ・アメリカ」

また、開館当初から、坪内逍遙のポリシーとして「古今東西の資料を集める」ということを掲げておりますので、時代や地域を限定することなく、演劇に関するものであれば、世界中の資料を収集しています。総合的な演劇博物館という意味では、アジアで唯一だと思います。

逍遙自身が浮世絵、中でも「役者絵」と呼ばれるものの熱心なコレクターでして、この博物館も、もともとは役者絵を飾るために構想されたといわれているほどですので、世界有数のコレクションかと思います。もちろん歌舞伎、浄瑠璃などに関する資料も、世界有数のレベルです。
一般的に「エンパク」といえば歌舞伎や文楽といった印象が強いようなのですが、古いものだけではなくて、現代の資料も集めていますので、そこは強調しておきたいところです。たとえばテレビドラマに関する資料や、映像資料なども収集しています。

――館内ではどのような展示をしているのでしょうか?

まず、常設展示が3階にありまして、これも今回大幅にリニューアルしたものですが、日本の芸能・演劇について、古代から近世、近代、現代と時代ごとに区切って、映像資料も交えながら展示をしております。また、「世界の演劇 ヨーロッパ・アメリカ」と銘打ちまして、欧米の演劇に関する展示を行っている部屋もあります。

3階常設展示室「近世・近代I」

2階は企画展示がメインとなっていまして、春季展、秋季展と年に2回の企画展を行っています。いまは「ニッポンのエンターテインメント 歌舞伎と文楽のエンパク玉手箱」という展示を開催しています。2階の一角は「逍遙記念室」になっておりまして、こちらは逍遙が使用していた部屋をそのまま使っているのですが、実際に使っていたペンや眼鏡なども見ていただけますし、天井の装飾なども見どころです。

逍遙記念室

1階には資料を閲覧する「閲覧室」があるほか、90周年リニューアルで「京マチ子記念特別展示室」を設け、その部屋の中にミニシアターを作りました。京マチ子さんが出ている作品をはじめ、常時古今の名作映画やテレビ作品などの映像を楽しめるようになっていますので、こちらも気軽に来ていただければと思います。

京マチ子記念特別展示室

――演劇や古典芸能だけではなく、テレビドラマも対象にしているのですね。

そうですね。歌舞伎や文楽は高尚な文化で、テレビは大衆的な文化、というイメージを持った方も多いと思うのですが、当館ではそういった区別をせずに、同じように大事な文化として取り扱っています。
昨年は「テレビの見る夢-大テレビドラマ博覧会」という名称で、局の垣根を超えた、通史的なテレビドラマ展を行いましたが、こういった展示というのは、実は今までありそうで無かったものかと思います。そのため展示をご覧になった方々からの反響が大きくて、第2弾を望む声も多数いただいております。

話題性と「現代との接点」を意識した企画で、満員御礼のイベントを開催

――イベントも数多く企画されていて、人気が高いと聞きました。どのようなものがあるのでしょうか?

イベントには大きく分けて2つ、展示に関連したイベントと、文化庁の補助を受けて、地域の文化振興のために行っているイベントがあります。年間を通して見れば、かなりの数をやっています。
たとえば今は、「歌舞伎と文楽」に関する企画展をやっていますので、ちょうどそろって襲名されたばかりの高麗屋さん(歌舞伎の屋号)3代おそろいになるトークイベントを企画していますし、昨年は「大テレビドラマ博覧会」という企画展がありましたので、人気ドラマの脚本家やディレクターの方をお呼びして、トークショーなども開催しました。

この時には、映画監督の是枝裕和さん、ドラマ『カルテット』の脚本を書かれた坂元裕二さん、ドラマ『逃げるは恥だが役に立つ』の脚本を書かれた野木亜紀子さん、俳優の尾野真千子さんなど、話題性の高い皆さんをお招きしたので、大変な人気でした。

2016(平成28)年には、「落語とメディア」をテーマにした展示期間中、人間国宝の柳家小三治師匠にご一席口演いただきました。当館では、古いものをテーマにする時には必ず「現代との接点」を用意することにしているのですが、その時は落語をテーマにした漫画・アニメの『昭和元禄落語心中』をセットにして展示し、イベントではアニメの声優さんと落語家の柳家喬太郎師匠にお越しいただき、作品にちなんだ一席を披露していただいたりと、これも講堂が満員になるくらいの大盛況でした。

トークイべント「柳家喬太郎×『昭和元禄落語心中』」(2016)(C)Arata Mino

地域の文化振興のため、子どもたち向けのイベントも

――「地域の文化振興のために行っているイベント」についても教えてください。

こちらは、文化庁から補助をいただいて行っている事業で、去年から始めた「こども演劇教室」や、その以前に開いていていた、「こども映画教室」といったものがあります。どちらも子ども向けですが、非常に豪華で、映画教室は是枝監督が先生でしたし、演劇教室は平田オリザさんが先生になって、小・中学生を対象に教えてくださっています。受講料は無料です。
このほか、特別支援学級に狂言の役者さんをお連れしワークショップを行ったり、去年はリニューアルのための休館中に何もない展示室を使って、柄本明さんの劇団「東京乾電池」に公演していただいたりもしました。

エンパク★こども演劇教室2017 演じるってなんだろう?(2017)

わかりやすい内容の展示で身近に演劇・文化を感じていただく

――観覧のコツがあれば教えてください。

以前は“研究者向け”の展示内容が多かったのですが、どなたでもわかりやすい展示に変えてきましたので、「まずは気軽に来ていただきたい」というのが第一です。特にデジタルアーカイブと、舞台記録の映像等の展示を増やしましたので、まずは視覚的なところから、演劇に触れていただきたいと思っています。テレビドラマのコーナーや、顔出しパネルで撮影できるコーナー、宝塚歌劇団の衣裳の展示などもありますので、そういったところでも、身近に感じていただければと思います。

宝塚歌劇団の衣裳展示と顔出しパネル

あとはやはり、建物でしょうか。ここは館内に入る時にも、自動ドアではないですから、ドアノブを回して入らなくてはいけなくて、ひょっとしたら、ちょっと入りにくいと感じられるかもしれないのですが、館内の雰囲気、ギシギシと鳴る床、窓から外の舞台を見下ろす景色、そういった部分も楽しんでいただければと思います。

荘厳な佇まいの建物も一つの展示物として楽しめる

――最後に、早稲田エリアの魅力を教えてください。

やはり早稲田は学生の街ですので、「活気がある」という点が一番の魅力だと思いますが、加えて、「文化的なものに日常的に触れられる」という点も魅力なんじゃないかな、と思います。

エンパクでもさまざまなイベントをやっていますが、ほかにも、「南門(なんもん)通り商店街」の一角には、「早稲田小劇場どらま館」という小さな劇場がありまして、ここでは学生劇団だけではなく、プロの舞台も見られますから、ぜひおすすめしたいですね。しかも格安なんですよ。

大学構内には、エンパク以外にも「早稲田大学歴史館」や「會津八一(あいづやいち)記念博物館」など、誰でも入れる博物館が色々ありますので、こういったものも活かしていただきながら、文化を身近に感じていただければ、と思っています。

早稲田大学坪内博士記念演劇博物館 館長:岡室美奈子さん

坪内博士記念演劇博物館

館長:岡室美奈子さん
所在地:東京都新宿区西早稲田1-6-1
電話番号:03-5286-1829
URL:https://www.waseda.jp/enpaku/
※この情報は2018(平成30)年5月時点のものです。

2018年春にリニューアルオープン! 誰もが楽しめる「エンパク」の魅力とは?/早稲田大学坪内博士記念演劇博物館 館長 岡室美奈子さん
所在地:東京都新宿区西早稲田1-6-1 
電話番号:03-5286-1829
開館時間:本館カウンター・展示室10:00~17:00(火・金曜日は19:00まで)、別館カウンター10:00~17:00(土・日曜日、祝日は閉室)
http://www.waseda.jp/enpaku/

小金井市立緑中学校 校長先生インタビュー

地域力を活かした教育を行う「小金井市立緑中学校」


住宅街のなかに佇む「小金井市立緑中学校」は、1972(昭和47)年4月に開校した中学校。全国学力・学習状況調査では、全国平均よりも勉強時間が際立って長いという結果が出ている。今回は校長先生に生徒の学習の様子や、学校行事、地域性についてお話を伺った。

学校の概要をお教えください

校長先生:本校が開校したのは、1972(昭和47)年4月のことです。第1回の入学式では、6学級243名の新入生を、3学級106名の2年生が祝いました。開校時より生徒数の多い学校として知られ、現在の生徒数は、1学年170名、2学年182名、3学年177名の合計529名です(2019(令和元)年5月時点)。教育目標は“すすんで学び、高い知性を身につけよう”“社会の一員として、思いやりのある人になろう”“希望をもって、ねばり強くやりぬく人になろう”“からだをきたえ、健康な人になろう”の4つです。

学校の外観

特徴的な教育活動や学校行事などありましたらお教えください

校長先生:本校では「体育会」と「文化発表会」を二大行事として位置付けています。「文化発表会」の中心となっている「合唱発表の部」は、毎年地域の方々が楽しみにしてくれているほどの盛り上がりを見せます。学級単位で歌を披露するだけでなく、最後に全校合唱で締めくくるのですが、美しいハーモニーを追求し、上級生による下級生への指導や、夏休みを使った練習などで少しずつ仕上げていきます。選曲についても自主的に高校生向けの曲を選ぶなど、生徒の行事に対する想いが伝わってきます。

本校ならではということでは、「BIG貼り絵」というものがあります。全校生徒がひとつの作品を手がけるのですが、統一のスローガンを掲げ、それに即したイメージ画を生徒から募集します。いくつかのイメージ画を組み合わせ、教員が調整しながら下絵を完成させた後は、割り振られた場所を各学級が仕上げていき、最後にそれぞれのパネルをつなぎ合わせ、大きな1枚の貼り絵にします。

合唱コンクールの様子

BIG貼り絵

「緑中学校」の自慢を聞かせてください

校長先生:いくつもありますが、やはり一番は生徒の行事に対する姿勢です。準備の段階から一生懸命に取り組んでいる姿を見ると、どういったものに仕上がるのかがとても楽しみになります。勉強だけでなく、それ以外のことにも手を抜かないのが本校の生徒の最大の特徴かと思います。

何事にも一生懸命

生徒さんや保護者の方に対する印象はいかがでしょうか

校長先生:コツコツと努力する生徒が多い印象です。社会に出た時のことを考えて、失敗を恐れずに果敢に挑戦する姿勢を身につけていってほしいと思っています。保護者の皆さまは、教育への関心が高い方が多いと思います。

学力向上のための取り組みや、進学指導について聞かせてください

校長先生:本校に限ったことではありませんが、文部科学省の方針に基づき、知識だけでなく思考力・判断力・表現力を伸ばすことに注力しています。それぞれが発言しながら議論を深め、より高次の思考を獲得してもらえればと考えています。それに対応すべく教員も、新しい授業のスタイルを追求しながら、研究・実践をしています。

学力の底上げということでは、放課後の学習教室や、数学・英語の基礎を徹底するために基礎学習会も開催しています。また、学力と相関関係があるとされる読書についても力を入れており、蔵書を充実させるだけでなく、読書のきっかけづくりとして、推薦図書を記した“100冊への扉”という冊子も制作しています。生徒がこの冊子に読書記録を書き込んでいきます。他校と比べても、本校の読書指導は充実していると思います。

図書館の様子

100冊への扉

部活動はいかがですか?

校長先生:最多の部員数を誇るのが弦楽部です。部員が演奏する入学式・卒業式は、本校の良き伝統になっています。これまでに何回も「TBSラジオ」主催の「こども音楽コンクール 東日本優秀演奏発表会」に東京代表として出場しています。私もその演奏を聴きましたが、大人顔負けのとても立派なものでした。

グラウンド

地域との関わりや連携についてお教えください

校長先生:教育への理解があり、協力的な方が多いというのがこの街の特徴です。英検・漢検・数検の試験監督や、試験前の事前学習で指導者を買って出てくれる方もたくさんいます。学校としては本当にありがたいことです。

校庭の葉牡丹

中1プロブレムの対策はされていますか?

校長先生:“中学校で最初に躓くのは英語”ということを言われていますが、そうならないための対策として、「小金井市立緑小学校」と「小金井市立第三小学校」では統一されたカリキュラムで英語の授業が行なわれています。フォニックス(綴り字と発音との間に規則性を明示し、正しい読み方の学習を容易にさせる方法の一つ)の研修を受けた保護者が英語の授業に協力して、フォニックスを理解した状態にしてから本校に生徒を送り出してくれますので、授業の躓きを減らせているかと思います。

授業に関してですが、他校との連携はありますか?

校長先生:小学校へは、本校の教員が出前授業という形で訪問して授業をしたりしています。また、近くの「東京学芸大学」、「東京農工大学」、「法政大学」の教員を目指している学生さんに、補習や小テストの採点を手伝ってもらったりもしています。学生の皆さんには色々と協力してもらっていますので、本校としても、授業を見学したいといった要望については、積極的に協力するようにしています。

廊下

いわゆる“都立御三家”に進学される生徒さんが多いそうですね

校長先生:全国学力・学習状況調査によると、本校の生徒の勉強時間は全国平均より長く、そのことも大きく関係していると思います。また、入学した時点で、志望校を決めている生徒も他の中学校よりは多いかもしれません。

最後になりますが、学校周辺の魅力について聞かせてください

校長先生:“教育”というテーマに絞ると、地域の理解に加え、落ち着きもある街なので、子どもに教育を施すという意味では申し分ない環境だと思います。勉学に集中できる環境は、同時に行事にも全力で打ち込める環境と言えるのではないでしょうか。

※記事内容は2020(令和2)年2月時点の情報です。

地域力を活かした教育を行う「小金井市立緑中学校」
所在地:東京都小金井市緑町2-11-47 
電話番号:042-383-1164
https://midori-js.koganei.ed.jp/

一般社団法人新虎通りエリアマネジメント インタビュー

街から街へ、さらに未来へとつながる虎ノ門エリア『新虎通り』の賑わい創出のための取り組みとは?(東京都)


新橋から虎ノ門に至る環状2号線『新虎通り』(しんとらどおり)周辺では、平成26年(2014年)3月の環状2号線開通を契機に、街づくりの機運が高まっています。現在、新虎通りエリアでは、環状2号線開通に伴い発足した『新虎通りエリアマネジメント協議会』と、平成27年(2015年)10月に発足した『一般社団法人新虎通りエリアマネジメント』が連携協力し、エリアマネジメント活動を行っている。そんな『一般社団法人新虎通りエリアマネジメント』の事務局長であるUR都市機構の川野大さん、同じくUR都市機構の中津美咲さん、また森ビル株式会社の上田晃史さんに、これまで、そしてこれからの新虎通りエリアについてお話を伺いました。

一般社団法人新虎通りエリアマネジメント インタビュー

計画決定から50年の歳月を経て完成した“幻の道路”

――どのような経緯で『新虎通りエリアマネジメント』は設立されたのでしょうか

『新虎通り』を含む都市計画道路環状2号線は、開通前は『マッカーサー通り』と呼ばれ、都市計画が決定されてから、実際に道路としてできるまでに、約50年の歳月がかかりました。当初は、街が分断されることへの不安から、地域住民の皆さんが難色を示し、着工できない状態が続いていました。ですが、地下に自動車専用道路を整備することによって地上部の幅員を狭められることが分かり、行政と建設的な意見交換をして、より良い形で整備していていこうという流れになり、『新虎通りエリアマネジメント協議会』が立ち上がりました。発足後は、幅の広い道路で街が分断されないように歩道を広くして歩きやすいようにしたりなど、協議を続け、意見交換しながら整備が進められていきました。

一般社団法人新虎通りエリアマネジメント インタビュー

『新虎通り』の完成後も協議会は解散せず、『新虎通り』を国内外から注目される公共空間にしようという新たな目標を掲げ、再スタートすることになりました。しかし『新虎通りエリアマネジメント協議会』は任意団体なので、法人格を持たないことから生じる不自由もあり、そうした背景から『一般社団法人新虎通りエリアマネジメント』が設立されました。『新虎通りエリアマネジメント協議会』が、それぞれ年度でどんなことやっていくかを総会で決定し、それを実現するために『新虎通りエリアマネジメント』が実際に活動をしています。

一般社団法人新虎通りエリアマネジメント インタビュー

周辺の賑わい創出のための取り組み

――『新虎通りエリアマネジメント』の主な活動について聞かせてください

“新虎通り”の愛称で知られる約1.4キロメートルの沿道とその中心に、道路空間の管理、マネジメント、広報活動、イベントの企画などに携わっています。通常、公共空間である歩道の部分は、法律によって物を置いたりすることが制限されているのですが、新虎通りでは、特例許可によって歩道にもテーブルやイスなどを置けるようになっていますので、全国でも珍しい歩道上でのオープンカフェをやっています。また、名産品・特産品を通して、各自治体の魅力を伝える『旅する新虎マーケット』の運営や、歩道上に建物を設けて飲食物を提供するなど、集客のための面白い仕掛けづくりをたくさんして、賑わいを創出していこうしています。

一般社団法人新虎通りエリアマネジメント インタビュー

一般社団法人新虎通りエリアマネジメント インタビュー

――『新虎通りエリアマネジメント』は、様々なイベントを主催されているそうですね

特に規模が大きいものとしては、平成28年(2016年)11月19、20日に開催した『東京新虎まつり』です。『新虎通り』、『虎ノ門ヒルズ』、『港区立南桜公園』を会場とし、『東北六魂祭パレード』や『東北×東京フェスタ』、ゲーム・アニメに関するトークセッションなど様々なプログラムを展開しました。今後の予定としては、平成29年(2017年)10月13、14日に『クラフトマーケット』を開催する予定です。各自治体から選りすぐりの商品が並ぶので、普段新虎通りを利用されない方でも楽しんでいただけると思います。一過性のイベントで終わらせるのではなく、街の発展につなげられるものにしたいですね。――そのようなイベントや『新虎通りエリアマネジメント』の活動について、地元の反応はいかがですか?

一般社団法人新虎通りエリアマネジメント インタビュー

 

一般社団法人新虎通りエリアマネジメント インタビュー

 

『新虎通りエリアマネジメント協議会』の役員も務めていただいている町会長さんも、新虎通りの完成から間もないときは「なかなか賑わいが出てこないね」と仰っていたのですが、最近は「だんだん人通りも多くなってきた」と、賑わいを実感していただいています。新虎通りの“新虎”は新橋と虎ノ門という意味ですが、現在は虎ノ門方面での活動がメインとなっています。今後は、さらなる賑わいを目指して新橋方面にも活動を広げていくため、協議を進めています。

東京オリンピック2020のメインストリートとして

――『新虎通り』を中心とするエリアのビジョンについてはいかがでしょうか

新虎通りは、2020年(※インタビュー当時)に開催される『東京オリンピック・パラリンピック』で、会場と選手村とをつなぐメインストリートという位置づけになっています。東京メトロ日比谷線の新駅開業や、都心と臨海部をつなぐBRTの運行など、『東京オリンピック・パラリンピック』終了後も、新虎通り周辺は虎ノ門から新橋、そして臨海部につながる交通の大動脈になると考えられますので、沿道を含む一帯は大いに発展性があると思います。ただ単にビルが建っていくのではなく、『新虎通りエリアマネジメント』と地元の皆さんとが一緒になって活動していくことで、良い流れで街の発展につなげていけるのではないかと思っています。

一般社団法人新虎通りエリアマネジメント インタビュー

――この街に住まれる方、もしくは住むことを検討されている方にメッセージをいただけますか?

近年、新虎通りから一本入ったところなど、近隣では住宅の建設も進んでいます。今は交通アクセス、利便性の高さが魅力で住まわれる方が多いかもしれませんが、休日は新虎通りのカフェでご飯食べてくださったりだとか、ただ単に便利なだけでなく、「ここに住んでよかった」と思えるような街、通りにしていきたいと思っていますので、ぜひご期待ください。

※記事内容は平成29年(2017年)9月時点の情報です。

一般社団法人新虎通りエリアマネジメント インタビュー

まとめ

いかがでしたか。2021年に延期になった『東京オリンピック・パラリンピック』。会場と選手村とをつなぐメインストリートには、7月某日現在、送迎用のステーションが設置されています。宿泊施設と担当競技会場への直行かつ専用の輸送サービスとなるDDSの設置は地元としても誇らしいものでしょう。虎ノ門ヒルズ付近ではさまざまな新しいビルの建設もはじまり、活気づいています。

一般社団法人新虎通りエリアマネジメント

事務局長 川野大さん
中津美咲さん
上田晃史さん

所在地:港区西新橋2-18-7 UR新虎通り街づくり事務所
TEL:03-6809-1434
URL:https://shintora-am.jp/

すべての世代の方々が楽しく参加できるライフ・サポート・センター

スポーツに加え学童保育や英語教育など幅広いプログラムが特徴「湘南とつかYMCA」インタビュー/湘南とつかYMCA 服部雄貴さん


横浜市戸塚区は、道路や鉄道などの交通網の整備、企業の工場進出や宅地開発などで人口が急増した地区で、東京や横浜のベッドタウンとして栄えている。JR東海道線・市営地下鉄「戸塚」駅周辺は、再開発が進められていることもあり大変賑やかな印象だ。その一方で、旧東海道や戸塚宿に代表される歴史の深い街としても有名で、自然にも恵まれ水や緑の豊かな住環境は人気が高い。「戸塚」駅 から柏尾川を渡り徒歩5分。ここ戸塚や近隣に住む子どもたちが多く通う「湘南とつかYMCA」は、水泳や体操などの各種スポーツプログラムや、語学、国際事業、専門学校、乳児園など、さまざまなプログラムを実施している多目的施設だ。そんな「湘南とつかYMCA」を訪れ、服部雄貴さんに施設の概要や戸塚地区の魅力について伺った。

駅からも近く子どもも安心して通える「湘南とつかYMCA」

――「湘南とつかYMCA」はどのような施設でしょうか。

服部さん:「湘南とつかYMCA」は、スポーツクラブとしては幼児対象に体操やプレスクールを、小・中学生を対象に水泳、シンクロ、器械体操、サッカーを、成人対象にエクササイズ、トレーニング、水泳のプログラムを行っています。スポーツクラブ以外の事業では、英語やカルチャーを学ぶ生涯学習の部門や学習支援や発達障害をサポートする部門、スポーツのトレーナーやインストラクター、保育のコースの専門学校があります。

また「湘南とつかYMCA」では、「未来を担う子どもたちを育てること」を目標に学童保育を行っています。乳幼児向け、お母さんやお父さんと一緒に参加できるプログラムも行っています。さらに建物1階スペースには、0歳児から2歳児を対象にした「YMCAとつか乳児保育園」が併設されています。「湘南とつかYMCA」は、乳児園、健康事業、学童クラブ、語学・国際事業、スポーツ専門学校等、すべての世代の方々が楽しく参加できるライフ・サポート・センターとしての機能を担っているのが特徴です。今後もスポーツを中心に、スポーツに関わる子どもたちの育成のための施設として地域に密着した事業を行って参りたいと思います。

笑顔でお話しいただいた服部雄貴さん

――子どもたちが参加できる人気のプログラムはなんでしょうか?

服部さん:水泳が一番人気ですね。水泳は全身を使った運動で心肺機能が鍛えられますので、小学校低学年の子どもたちの受講がとても多いです。YMCAの25mプールは、透明度が戸塚地区一番とのお声を多くの方からいただいています。このプールは、底床が60cmから1.5m、2mと動きますので、利用対象者に合わせて深さを調整することができるのが特徴で、子どもから専門学生のダイビングの授業まで対応することができます。

水泳以外のプログラムは、器械体操が人気ですね。器械体操を行うことによって体の柔軟性が発達しますし、鉄棒、跳び箱、マット、平均台の4種目を満遍なく身につけることができますので、子どもたちにとても人気で受講させたいという親御さんも多いですね。

水泳プログラムは一番人気

――子どもたちと接するときに気をつけていることはありますか?

服部さん:「湘南とつかYMCA」では、教える側も子どもたちと一緒に成長していこう、ということで“指導者”や“先生”という呼び方ではなく、“リーダー”という呼び方、位置づけで子どもたちと接するように心がけています。“リーダー”と呼ぶことで指導する立場のスタッフを子どもたちはとても近い存在として接してくれますし、スタッフも子どもたちを尊敬、尊重して指導します。子どもたちの名前を呼び捨てにするようなことはなく、○○君、○○ちゃん、と呼ぶようにしているのも特徴です。

子どもたちは“リーダー”と一緒に成長していく

――スポーツだけではなく、英語教室やプレスクール、子育て支援、学童保育なども実施されているようですね。

服部さん:「児童英語クラス」は、子どもたちが自然に楽しく英語を学べることを大切にしているクラスです。2歳から3歳の子と保護者で参加ができる「親子英語」や年少から年長児までが対象の「幼児英語」など楽しく英語が学べるプログラムがたくさんあります。また、「プレスクール」では、幼稚園入園前の準備として母子分離、集団生活、基本的な生活習慣を身につけるプログラムを行っていまして、週1回から始めることができます。「YMCAとつか学童クラブ」は、働くご家庭の支援、YMCAの豊富なプログラムを通じた子育て支援、子どもたちの成長支援を目的としながら、将来を担う子どもたちの心豊かな成長をお手伝いしています。

ひとつの施設の中にさまざまな部門が集約されていますので、例えば学童保育に参加後そのまま英語や水泳を習いに行ったり、「プレスクール」等で子どもたちの付き添いでいらっしゃったお母さんやお父さんが、待ち時間を利用してマシンジムや水泳でリフレッシュしたりすることができるのが特徴でとても便利だと思います。

「湘南とつかYMCA」施設内観

――短期で気軽に参加できるプログラムがあれば教えてください。

服部さん:YMCAでは、自然環境に適応する能力の育成や、生活を豊かにする知恵や経験の習得、創造性の育成、コミュニケーション能力の育成などを目的として、子どもたちの健やかな成長を促すためのさまざまなキャンププログラムを実施しています。富士山の裾野に広がる朝霧高原や御殿場市、沼津市、山梨県道志村などにYMCAのキャンプ場があります。サマーキャンプでは、富士山ファミリーキャンプや三浦半島の海で遊ぶ海キャンプ、酪農体験などを行うキャンプ、サッカーや新体操を集中して学ぶスポーツキャンプなど盛りだくさんの内容です。また、日本や世界の子どもたちが集まるアメリカ・カナダで行われる15泊の国際キャンプもあります。初めての子どもたちでも安心して短期間で受講することができる水泳やサッカー、英語、体操の講習会やベビー講習会もありますので、気軽に参加して欲しいですね。

――地域との連携はいかがでしょうか。

服部さん:「湘南とつかYMCA」では、戸塚の街を歩きながら探検して、お店の人と挨拶したり、みんなで協力してスタンプを集めたりしてお菓子や景品がもらえる「遊山箱スタンプラリー」を毎年行っています。「遊山箱」は徳島県から古く伝わる木製のお弁当箱で、オリジナルの木箱を作成して、家族やお友だちと地域の商店会を回り、スタンプラリーをして街のことをもっと知ることができる1日です。商店会の方々や子どもたちから大変好評で、今年で23回目の開催になりました。

「湘南とつかYMCA」がある戸塚エリアは自然環境にとても恵まれています。駅近くを流れる柏尾川沿いをゆっくりと散歩しながらこちらに遊びに来ていただくのも良いですし、立ち寄り場所として休憩場所としても施設を開放していますので気軽に立ち寄っていただきたいと思います。今後も地域とともに成長していきたいと考えています。

1階にある「とつか乳児保育園」

――戸塚エリアの魅力について教えてください。

服部さん:戸塚エリアは駅や駅周辺が賑わっていて、大型のショッピングセンターがありますので、戸塚だけで食料品から趣味の物までなんでも揃う便利さがとても良いと思います。開発が進んでいる街ですが、地元商店会など昔からずっと戸塚に住んでいる人たちが多い土地でもあります。何か分からないことがあったら親切に教えてくれたり手助けをしてくれたりする人も多く、人情味溢れる地域性が垣間見える住みやすい街ですね。

服部雄貴さん

湘南とつかYMCA

服部雄貴さん
所在地:横浜市戸塚区上倉田町769-24
電話番号:045-864-4768
URL:http://www.yokohamaymca.org/branch/ymca_totuka.html
※この情報は2017(平成29)年5月時点のものです。

スポーツに加え学童保育や英語教育など幅広いプログラムが特徴「湘南とつかYMCA」インタビュー/湘南とつかYMCA 服部雄貴さん
所在地:神奈川県横浜市戸塚区上倉田町769-24 
電話番号:045-864-4768
受講時間:プログラムにより異なる
https://www.yokohamaymca.org/facility/to..

奈良市役所 子ども未来部 インタビュー

安心して子育てができる環境作りに取り組む奈良市/奈良市子ども未来部


平城京として栄えた古の都・奈良。歴史豊かな観光資源を有する街は、大阪や京都へのアクセスも便利で、特に市内西部地域には関西圏でも高い人気を誇る住宅街が形成されている。 子育て支援に精力的に取り組むことで知られる奈良市。今回はその施策を担う「奈良市子ども未来部」を訪ね、奈良市が子育て世帯に向けて行っている具体的な取り組みや、登美ヶ丘地区における活動を伺ってみた。

(写真左から)子ども政策課 井ノ上さん、廣瀬さん、子ども育成課 沖本さん

自然、観光、住宅が同居する魅力的な奈良市

――奈良市の子育て環境について教えてください。

廣瀬さん:奈良県の北部に位置する奈良市は東西に広がっていて、東部は山間部、中東部は観光都市、そして西部は住宅地と市内それぞれ雰囲気に違いがあります。1998(平成10)年に世界遺産登録をされた古都奈良の文化財をはじめ、貴重な文化財が数多く守られている歴史と自然に恵まれた奈良市では総じてゆったりとした子育てをしていただけると思います。

街の様子

――登美ヶ丘エリアの子育て環境について教えてください。

沖本さん:奈良市が民間に委託して運営する地域子育て支援センター「中登美」という施設があり、親子が集って遊ぶことができる「子育て広場」を常設しています。ここでは子育て相談も可能で、また年間を通じて各種イベントも開催されていますので親子で楽しむことができると好評をいただいています。 また「奈良学園大学」登美ヶ丘キャンパス内にある、つどいの広場「ぶんタン」でも「子育て広場」を常設して育児相談や親子で楽しめるイベントが開催されています。同学園の落ち着いた空間で、親子ともゆっくり遊べる場として提供。月2回程度人形劇等などお楽しみ系の催しをしたり、幼児教育学科を有する大学の専門性を生かした、親子で楽しみながらためになる知識を吸収したりと、こちらも好評をいただいています。

子育て支援センター「中登美」 

――「登美ヶ丘公民館」でも子育て支援が行われていると伺いました。

沖本さん:子育てスポット「とみがおかすくすくサロン」ですね。こちらは、より身近な子育ての拠点として、月に2回、3時間程度、子育て親子が集って遊んだり学んだりする場を設けています。親子ふれあい体操を毎月開催し、それ以外にもマッサージやヨガ、ミュージックケアなど活動は多岐にわたります。最近では専門家の先生を招いて「足育こうざ」を開いて靴選びや靴の履き方など足について学びました。

「とみがおかすくすくサロン」

平成27年に制定された「子どもにやさしいまちづくり条例」

――「奈良市子ども会議」について教えてください。

廣瀬さん:奈良市では、子どもたちが今を幸せに生きることができ、将来に夢と希望をもって成長していけるような、子どもにやさしいまちづくりを目指して、2015(平成27)年4月に「奈良市子どもにやさしいまちづくり条例」を制定しました。この条例に基づいて毎年夏休み期間を中心に「奈良市子ども会議」が開かれ、小学5年生から高校2年生まで30名程度が参加しています。私も実際にその場に立ち会いましたが、参加している子どもたちの自発的かつ積極的に取り組んでいる姿が印象的で、大学生のサポーターにも相談しながら出てきた多くの意見をまとめ、市長への提案を考えてくれました。平成27年度の会議では「図書館を自習に使えるように」といった提案が市長に提出されましたが、今では原則土日祝日に自習室が開設されています。

キッズコーナーの様子

――その他、奈良市の子育てに関する取り組みをご紹介ください。

廣瀬さん:奈良市では様々な子育て支援を行っていますが、その情報をわかりやすく整理して「子育て@なら」というサイトと「子育て情報ブック」という冊子で発信しています。奈良市の子育て支援の概要を知っていただける内容となっていますので、ぜひご覧ください。
また「奈良市に住もう」をテーマにした「なら、らぶ、りぶ」というサイトも開設していまして、こちらでは子育て・教育に関する支援サービスやガイドブックにはない奈良の魅力などを紹介しています。奈良市の取り組みを知っていただき、ご活用いただければ、と思います。

子育て支援の取り組み

子育てにもやさしい登美ヶ丘地区

――最後に登美ヶ丘エリア周辺の魅力について教えてください。

井ノ上さん:ショッピング施設や病院、公園などが徒歩圏にあり生活の利便性が高く、子育てに適したエリアのひとつであると思います。また近鉄けいはんな線の始発駅「学研奈良登美ヶ丘」の駅前エリアに広がるニュータウン内に立地していて、大阪のビジネス拠点として栄える「本町」駅へダイレクトアクセスできる点も魅力ですね。そして奈良市では地域教育協議会という地域と連携した教育活動が行われていますが、登美ヶ丘地区は積極的な活動が行われている先進エリアで教育面でも充実した地域であると認識しています。

笑顔で取材に協力して下さった奈良市役所の職員さん

奈良市子ども未来部(写真左から)

子ども政策課 課長補佐 井ノ上寿苗さん
子ども政策課 主任 廣瀬美奈子さん
子ども育成課 課長補佐 沖本武司さん
所在地:奈良市二条大路南1丁目1番1号
電話番号:0742-34-5042(子ども育成課)
URL:http://www.naracity-kosodate.jp/(子育て@なら)
URL:https://www.naracity-naralovelive.jp/(なら、らぶ、りぶ)
※この情報は2017(平成29)年10月時点のものです。

安心して子育てができる環境作りに取り組む奈良市/奈良市子ども未来部
所在地:奈良県奈良市二条大路南1-1-1 
電話番号:0742-34-1111
開庁時間:8:30~17:15 ※第2日曜日9:00~13:00に市民課窓口の一部業務を開庁
休庁日:土・日曜日、祝日、年末年始(12/29~1/3)
https://www.city.nara.lg.jp/

インタビュー

日々の生活や遊びの中で、子どもたちの生きる力を育む「あっぷる保育園」/園長 志村恵美子さん、主任保育士 早坂晶子さん


2015(平成27)年に開通予定の仙台市営地下鉄東西線の始発駅である「荒井」駅を中心に、開発が着々と進む荒井地区。住宅地も増え、子育て施設のニーズも高まる地域において、働くお父さんお母さんの強い味方になっているのが2009(平成21)年に開園した「あっぷる保育園」だ。約40年にわたって障害者の福祉事業を担ってきた、社会福祉法人としての経験や強みを生かしながら、子どもたちの今、そして未来を見据えた保育に力を入れる「あっぷる保育園」。その特徴について、志村園長にお話を伺った。

※仙台市営地下鉄東西線は2015(平成27)年12月6日に開業しております

「あっぷる保育園」の概要について教えてください。

人口増加も著しい「荒井エリア」においては保育所の待機児童も多く、長年福祉法人として歩んできた我々「千代福祉会」にも仙台市などから保育施設開設の要望があり、2009(平成21)年に開園しました。0歳児から5歳児までの6クラスで定員は90名です。また、一時保育や学童保育も行っています。

園の特徴や保育方針について教えてください。

教室1

保育の目標として、次の3つを掲げています。「現在を最もよく生き、望ましい未来をつくり出す基礎を培う」「個性も認めあい、のびのびと過ごすなかで生きる力を培う」「仲間とさまざまな体験を重ね、子ども時代を楽しみながら成長していく」。社会を生きていく中で、最も大切なのは「生きる力」です。
その一つは、何かにつまずいた時に、どうしたらいいか自分で考え立ち上がる力。そしてもう一つは、気持ちをしっかり表現すること。つまりコミュニケーション能力です。

教室2

日々の生活の中では、できない時に初めて私たち職員が手を差し出すようにし、子どもたちには、何事もできるところまで自分の力で取り組むようにしてもらっています。「指示」ではなく「サポート」をすることで考える力や自立心を育みたいと思っています。

給食風景

たとえば、3歳児のクラスでは食事は子どもたちが自ら配膳します。お皿を運ぶ時にこぼすことも多々ありますが、そんな時こそ成長のチャンスです。最初はとまどい泣いていても、怪我などの危険がない限り、職員はすぐには手を貸しません。

掃除

そこで子どもなりに必死にどうしたらいいか考える様子が見られるのです。そのあと一緒にこぼれたものを片付けながら、対処の仕方や方法を教えます。
目をひくようなアピールポイントではないかもしれませんが、学校に入る前の今だからこそ、子どもたちがたっぷり遊ぶ中で、日々の成長の積み重ねを大切にしたいと思っています。

2009(平成21)年開園と、新しい園舎も特徴の一つかと思いますが、何か特徴的な設備や造りなどはありますか?

エレベーター

社会福祉法人として、車いすを利用している人も含めてどんな人でも利用しやすい施設にしたいという思いがありまして、2階建ての園舎ではありますが、エレベーターを設置しました。頻繁に使うものではありませんが、 園児やご家族だけでなく、地域の方々にもたくさん利用していただきたいので、設置してよかったと思っております。

すべり台

また、園庭にはあえて遊具をあまり置いていません。これも、子どもたちの「考える力」を育むためです。与えられたものではなく、何を、どう利用して遊ぶか、想像力を働かせながら遊ぶのは子どもたちの得意とするところです。外遊びでは特に生き生きとした姿が見られますね。

給食は自園調理をされていますが、献立やアレルギー対応など配慮されている点がありましたら、教えてください。

給食見本

使用する食材は極力国産にするなど、安全性には十分に配慮しています。一人一人個別に献立表を作り、配膳用のプレートも色を分けて名前も明記するなどアレルギーを持つ園児には特に気をつけていますね。ただ、できるだけ皆同じものを食べさせたいので、どうしても必要な栄養素の入った食材でないものは無理に組み込まず、園児が疎外感を抱かないような献立作りも心がけています。

行事の中で特に力を入れているものはありますか?

リンゴのイス

11月には、グループ施設で育てているさつまいもを収穫し、「やきいも会」を開催します。焼き上がったばかりの熱々のやきいもは、ご近所に配ったり、町内の老人会の方を招いて振る舞ったりして、喜んでいただいています。

子ども1

運動会や発表会では、年長クラスの子どもたちが「荒馬」という民俗舞踊を披露するのが恒例となっております。リズム遊びの一つとして取り入れたのが始まりですが、心躍るような太鼓や笛のお囃子にのせて「ラッセラーラッセラー」と掛け声をかけながら、自由に踊りまわるのが特徴です。

あっぷる保育 荒馬

皆大好きで、園児自らが「今日は僕が先頭!」「私が先頭やる!」と積極的に楽しんでいます。実は、地下鉄「荒井」駅で行われた「記念植樹・記念碑除幕式」でも披露させていただきました。開園から6年経ち、地域との繋がりが深まってきているなと実感しています。

「荒井」駅の開業も予定され、周辺の区画整理やショッピング施設の整備も進められていますが、新しくなっていく町への期待感はありますか?

あっぷる保育園外観

住宅もどんどん増加しているので、保育園の数も増え、収容人数を増やしている施設もあると伺っています。あちらこちらに公園も整備されるようですし、子どもたちの遊び場が増えるのは嬉しいですね。新たに移り住む方々だけでなく、昔から住まれている年配の方々が多いのも特徴ですが、子どもたちのお散歩中に声をかけていただくことも多く、畑で育てている大根をいただいたこともありました。新しく便利な街というだけでなく、そういった温かい面があるのも魅力だと思います。

マスコット

社会福祉法人 千代福祉会 あっぷる保育園

園長 志村恵美子さん、主任保育士 早坂晶子さん
所在地:仙台市若林区荒井7-21-2
URL:http://www.sendai-fukusi.org/11applehoikuen.html
※この情報は2015(平成27)年6月時点のものです。

日々の生活や遊びの中で、子どもたちの生きる力を育む「あっぷる保育園」/園長 志村恵美子さん、主任保育士 早坂晶子さん
所在地:宮城県仙台市若林区荒井7-21-2 
電話番号:022-287-8851
開園時間:7:00~20:00(土曜日は18:00まで)
休園日:日曜日、祝日、年末年始(12/29~1/3)
延長保育:あり(18:00~20:00)
http://www.sendai-fukusi.org/11applehoik..

JOYFIT YOGA名古屋浄心 店長 小出真利花さん インタビュー

日常生活にヨガを取り入れることができる「JOYFIT YOGA名古屋浄心」/店長 小出真利花さん


“日常の疲れを癒し、リフレッシュしてほしい”という思いの元誕生した「JOYFIT YOGA」。女性専用で、今人気のホットヨガに力を入れているスタジオというだけあり、名古屋浄心店にも連日多くの女性客で賑わっている。「JOYFIT」は全国に250店舗以上展開しているフィットネスブランドで、総合スポーツクラブ「JOYFIT」、24時間営業の「JOYFIT24」、女性専用ヨガ・スタジオ「JOYFIT YOGA」の3つのサービスから成り、一定の月額を払えば、相互利用ができるのが強みだ。普段は家の近所の「JOYFIT YOGA名古屋浄心」でヨガを楽しみ、もう少し体を鍛えたい時は近隣の「JOYFIT」へ。旅行や出張で遠方に行った時にも同店舗を探して使えるので、まさに、「日常生活にフィットネスを取り入れたい」と思っている人にとってはぴったりの施設だ。今回はそんな「JOYFIT YOGA名古屋浄心」の店長を務める小出さんにお話を伺った。

全国の「JOYFIT」関連施設を相互利用できる

「JOYFIT YOGA名古屋浄心」の外観

――「JOYFIT YOGA名古屋浄心」とはどんな施設なのでしょうか。

小出店長:「JOYFIT YOGA」は、名古屋市内には今5店舗ある女性専用ヨガ・スタジオで、浄心店はその中のひとつです。「JOYFIT」は、全国に250店舗以上展開している総合フィットネスブランドで、スポーツクラブ「JOYFIT」、24時間営業の「JOYFIT24」、女性専用ヨガ・スタジオ「JOYFIT YOGA」の3つのサービスから成りたっています。

近くの「JOYFIT24名古屋黒川」を併せて利用する人も多い

当店で通いたい放題の「ナショナルヨガ」会員になっていただいた方は、全国の「JOYFIT」どの施設も利用可能です。その点は、とても大きなメリットなのではないかと考えています。例えば、当店でヨガをしていただいた後、そのまま着替えずに近くにある「JOYFIT24名古屋黒川」にトレーニングしに行かれる方もいらっしゃいます。出張や旅行で全国を訪れた時にも、近隣の「JOYFIT」を探してヨガやトレーニングに行って体調を整えることも可能です。

女性に魅力を感じてもらえるボタニカルな雰囲気で統一

受付もボタニカルな雰囲気

――「JOYFIT YOGA」はどのようなコンセプトのお店なのでしょうか。

小出店長:“非日常空間”をコンセプトにしているお店です。またイメージカラーは緑色で統一しており、内装にもボタニカルな雰囲気を取り入れ、リラックスしていただけるようにしています。スタッフのユニフォームもそのイメージを感じていただけるよう、ボタニカル柄のパンツを採用するなど、細部にまでこだわっています。

フレンドリーな雰囲気の浄心店のスタッフ

更衣室やシャワールームは白で統一しており、女性専用のスタジオでもあるので、毎レッスン毎に清掃するなど、清潔な空間を維持できるようにも心がけています。

ホットヨガや髪や肌にいい「ナノフィール」が設置されたスタジオ

ホットヨガも出来るスタジオ

――設備等のアピールポイントはありますか。

小出店長:ホットヨガを楽しむことができるスタジオがあることですね。当店のレッスンの9割弱がホットヨガです。ホットヨガにも2種類あって、36~38度の中で行う運動量の多い「ホットクラス」と、30~33度の中で行う座りポーズが多い「ソフトクラス」と分かれています。ご自身の体調に合わせて温度や強度を選んでいただくことができるので、利用しやすいのではないかと思います。

最近ホットヨガは徐々に人気になっており、名古屋市内でもできる施設が増えていますが、浄心周辺ではまだまだ珍しいですし、近隣の方はぜひ一度ホットヨガで汗を掻く気持ち良さを体験していただきたいですね。

白で統一され清潔感あふれるメイクルームやシャワールーム

あとは、スタジオにナノフィールという美肌効果・髪もサラサラになる加湿器が設置していることもアピールポイントです。ホットヨガをするとどうしても体が乾燥したり、髪の毛にダメージがあったりするのですが、この加湿器を入れることによって、そういった心配を軽減させていただけるようにしています。

ライフスタイルに合わせて通いやすい

女性専用のスタジオなのでホットヨガなどでノーメイクで汗だくになっても平気

――ご利用者様はどのような方が多く、どのくらいのペースで通われているのでしょうか。

小出店長:近隣の方が多いです。主婦の方からご年配の方まで様々な年齢層の方にお越しいただいています。コースが2種類あって、月に4回まで通うことができる「マンスリーヨガ4」と、何度でも通うことのできる「ナショナルヨガ」があるんですが、「ナショナルヨガ」を選んでいただいている方の中には毎日通っていらっしゃる方もいます。また、「ナショナルヨガ」は、1日何度でもレッスン受け放題なので、なかには3レッスン連続で頑張って行かれる方などもいますよ。

レッスンは週に約40レッスン。1日に5~6回のペースでレッスンを開講しており、平日は朝10時台~夜8時台のレッスン、日曜日には朝8時台から開催するモーニングヨガも行っているので、ご自身のスケジュールに合わせて受けていただくことができます。

――足しげく通っていらっしゃるご利用者様が多そうですね。

店内にある予約発券機で予約表の発券もスムーズにできる

小出店長:思い立った時にいつでも来ていただけるよう、WEB予約もできるようにしています。WEB予約は1日1レッスンまで可能で、スマホからも簡単にシステムにアクセスでき、予約もキャンセルもワンクリックで手軽にできるので、急遽時間ができてヨガをやりたい時や、とりあえず人気のレッスンを抑えておきたい時などに利用してもらうと便利です。(※キャンセル処理をしなかった場合は、WEBでのご予約が1週間できなくなります。)

また、お店に来ていただいてからのレッスン予約も簡単で、店に置いてある予約発券機に会員カードをかざしていただくだけでOKです。レッスンまではゆっくり着替えていただいて、時間になったらスタジオへご入室いただくというシステムです。

ご自身のライフスタイルに合わせて、フレキシブルに受講していだけるので、頻度高く通っていただいている方が多いですね。

「JOYFIT YOGA」だけのオリジナルレッスンも

オリジナルプログラム「SHIN-癒-」で使われるセルフチェック表

――バラエティに富んだプログラム構成ですが、「JOYFIT YOGA」ならではのものもあるのでしょうか。

小出店長:はい、一つは、「SHIN―癒―」と言って、著名なヨガ講師とJOYFIT YOGAが共同で開発したオリジナルヨガです。こちらでは、レッスン前後に自分と向き合い気づき力を高めるセルフチェックなどを行いますので、特に疲れがたまっている方、セルフメンテナンスが上手になりたい方などにぴったりです。

もうひとつは、「Core Functional Yoga」。こちらはヨガのフォームを使いながら自分の筋肉にアプローチするプログラムで、トレーニング要素も入れたレッスンになっています。これらのオリジナルはぜひ一度体験してもらいたいですね。

体だけではなく心の変化にも気づくことのできるヨガ

和やかな雰囲気の中で行われるレッスン、会員様同士仲良くなる人も多い

――「JOYFIT YOGA」を検討されている方へのメッセージをお願いします。

小出店長:ヨガを続けて行くと、不思議と表情が柔らかくなっていく人が多いんですよね。フィットネスだとメインは体の変化なのですが、ヨガは心の変化にも気づいてもらえるのではないかと思います。忙しくて日々イライラしてしまいがちな心になぜか余裕が持てるようになってくるんですよね。あとは、健康面にも自然と気が向くようになりますね。

ヨガと一口に言ってもレッスンによってその内容は全然違いますし、先生によっても全然違うのが面白いところです。その奥深さをぜひ実感してもらいたいですね。当店ではその奥深さを実感してもらえるよう、各講師が趣向を凝らしてバラエティに富んだレッスンを用意しています。

いきなりの入会が不安な方には、見学・体験を無料で行っていますので、ぜひ店頭に足を運んでみてください。

――最後に、スタッフの皆さんが感じる浄心の魅力はどんなところでしょうか。

ヨガで自分の心と向き合う時間を

小出店長:浄心は名駅や栄にも近くて、名駅だと自転車だと15分くらいで行くことが出来るんです。だけど、名駅や栄ほど賑やかではなく、下町風情が残るまちでのんびりしています。個人経営のお店も多くて、店の向かいには店頭でおだんごを売っている昔ながらの和菓子屋さんがあったり、昭和感がただよう喫茶店のオムライスがとってもおいしかったり、ちょっと散策するだけで味わい深いお店をたくさん発見することができる楽しい街ですよ。

浄心に引っ越してこられて知り合いがいらっしゃらない方などは、当店は女性の会員様同士で仲良くなられる方も多いですし、情報交換の場所にもなると思うので、ぜひ訪れてみてください。

JOYFIT YOGA名古屋浄心

JOYFIT YOGA名古屋浄心

店長 小出真利花さん
所在地:愛知県名古屋市西区城西4-28-17 正村ビル1F
電話番号:052-521-3900
URL:http://joyfit.jp/jyoshin-yoga/
※この情報は2018(平成30)年5月時点のものです。

日常生活にヨガを取り入れることができる「JOYFIT YOGA名古屋浄心」/店長 小出真利花さん
所在地:愛知県名古屋市西区城西4-28-17 正村ビル1F
電話番号:052-521-3900
営業時間:【平日】9:00~22:00(金曜日は~22:30)、【土曜日、祝日】9:00~19:00、【日曜日】8:00~16:30
http://joyfit.jp/jyoshin-yoga/

森の里5丁目自治会 東 俊憲さん インタビュー

住民の声を拾い、街の改善へ
「森の里5丁目自治会」が取り組む「心地よい街づくり」とは


大手企業の研究所、大学、住宅が一体となり、豊かな自然を残したまま開発が進められた森の里。1丁目から始まった宅地造成は5丁目で完結し、すでに組織されていた1丁目から4丁目までの各自治会にアドバイスをもらい、「森の里5丁目自治会」は立ち上がった。今回は、同自治会の活動内容をはじめ、課題、展望、そして森の里の住み心地について、「森の里5丁目自治会」の自治会長の東 俊憲さんにお話を伺った。

街を見守る自治会の役割

「森の里5丁目自治会」会長 東さん

――さっそくですが、「森の里5丁目自治会」の歩みを聞かせてください。

東さん:森の里は、第一期入居の開始から2015(平成27)年で30年目を迎えました。宅地造成は1丁目から順々に進められたので、5丁目はその最後となります。周りがそうであったように、5丁目も自治会が組織されたわけですが、当時のことを伝え聞いた限りでは、周りから様々なアドバイスをいただきながら立ち上げたそうです。

同じ街なので、組織運営に大きな違いはありませんが、5丁目だけは自主消防隊があり、消防倉庫のなかには初期消化に対応する小型ポンプが入っています。出番のないことが一番望ましいのですが、広域災害のときなどには役立ってくれると思います。

森の里5丁目自治会

――「森の里5丁目自治会」の普段の活動について教えていただけますか。

東さん:行政からの連絡事項を各戸に伝達することが大きな仕事です。それ以外では、前出の消防ポンプや消火栓を使った消防訓練も年2回行ったり、イベントの企画や準備で集まったり、前月の出来事や活動を共有したりする会議などもあります。

森の里5丁目自治会

――“地域との関わり”というテーマで、イベントについて聞かせてください。

東さん:森の里には5月の「鯉のぼりまつり」、8月の「夏まつり」、そして12月に開催される「クリスマスまつり」があります。5丁目独自のイベントということでは、「納涼祭」が挙げられます。自治会館の隣にある公園をメイン会場とし、幅広い年代が楽しめるイベントとなっています。少しテーマから外れるかもしれませんが、清掃などのイベントでは地域貢献ということで「松蔭大学」や「厚木西高校」の学生が手伝ってくれます。

子どもも大人も楽しめる森の里の「納涼祭」

――活動するにあたって、特に大切にしていることはありますか?

東さん:やはり常に考えるべきは、どうすれば住民同士の交流がより活発化するかということです。互いが構えることなく挨拶ができ、いつでも気軽に世間話ができるような結びつきを作ると同時に、互いにとって居心地のよい距離感を保つことが理想です。

現在町内会の加入率は86%。自然災害を含め、何事もないのであればいいのですが、心配なのは広域災害が発生したときです。名前を知らず、挨拶もしたことがないというのでは何かあったときにスムーズな連携ができません。これは巨大地震に限った話ではなく、数年前の大雪のときも強く感じたことです。

――「森の里5丁目自治会」の課題と、今後の展望についていかがでしょうか。

東さん:長く住めば、様々な改善点が見えてくるものです。私たちはそうした住民のみなさんの意見を拾い上げ、真摯に対応していきたいと思っています。森の里全体としては、移住者をもっと増やすことが課題ですね。ここでの生活に満足している方が多いこともあり、これまで“外”に目を向けず、街としてあまり情報発信をしてきませんでした。その結果、若者の引越し先としての選択肢に入りづらくなってしまったということもあります。ですが、森の里は年代問わず大人から子どもまでゆとりある生活が送れる街だと思いますので、これからは森の里の魅力をより多くの人に伝えていければと思います。

森の里ならではの環境

――森の里の好きなこところや、住めば分かる良さがあればぜひ教えてください。

東さん:世代も近く、一斉に移ってきた住民が大半なので境遇が似ていて、初対面でも話しやすいというのが魅力ですね。それと、周りが公園に囲まれているので乱開発の恐れがなく、安定した住環境が保たれるという安心感も大きいと思います。私には子どもが3人いますが、この街で育てることができて本当に良かったと思っています。落ち着いた住環境はもちろんですが、庭でバーベキューをしている方も見かけますし、昼でも夜でも散歩をしている方がいるので安心感も得られます。

納涼祭の様子

――最後になりますが、森の里に住むことを検討されている方にメッセージをいただけますか?

東さん:小田急線「本厚木」駅から少し距離はありますが、自動車があれば別段気になりません。シニア世代にも子育て世代にも魅力のある街だと思います。森の里に移って来られた方が、“ここに住み続けたい”と言うのを聞くこともあります。街としての課題はまだありますが、まずは一度この街に来ていただき、存分に街の雰囲気を味わっていただければと思います。

東 俊憲さん

森の里5丁目自治会

自治会長 東 俊憲さん
所在地:神奈川県厚木市森の里5
URL:http://www.morinosato.net/5/
※この情報は2018(平成30)年3月時点のものです。

住民の声を拾い、街の改善へ
「森の里5丁目自治会」が取り組む「心地よい街づくり」とは

所在地:神奈川県厚木市森の里5 
http://www.morinosato.net/5/

朝霞市立朝霞第八小学校 校長 鈴木先生 インタビュー

「八枚の羽根」のように、地域の人々が手を取り合い支える「朝霞市立朝霞第八小学校」


朝霞市の運動公園の東側にある「朝霞市立朝霞第八小学校」。児童数1,000名を超えるという、市内一のマンモス校であり、今も毎年児童数が増え続けているというこの小学校は、進学先となる朝霞市立第四中学校が隣接した、朝霞市随一の文教エリアの真ん中にある。
閑静な環境に囲まれて、日々のびのびと、元気に学ぶ朝霞八小の子どもたち。その笑顔を支えているのは、保護者はもちろん、地域の人々も含む大人たちのコミュニティによる、学校に対する多大なる支援体制にある。今回は学校の特徴から、地域や保護者との連携、地域の魅力などについて、校長の鈴木 聰(さとし)先生にお話をうかがった。

成長を続ける、市内一の大規模校

朝霞市立朝霞第八小学校

――まず、学校の沿革と概要について教えてください。

鈴木先生:本校は開校が1976(昭和51)年4月で、本年で42年目を迎える小学校です。児童数は2017(平成29)年9月1日現在で1,060名。市内ではいちばん児童数の多い小学校となっていますし、県内で見ても、かなり大きな小学校かと思います。

朝霞市立朝霞第八小学校 鈴木校長先生

近年の児童数の推移については、毎年平均して60人ずつくらい増えていまして、今後も同じように増加していき、将来的には1,300人くらいまで増加することを見込まれています。これからまだまだ、大きくなる学校です。

特徴の一つとしては、「しいの木」が本校のシンボルツリーとして校内に何本か植えられているので、いろいろなものに「しいのき」という言葉がついています。また、校章は「八枚の羽根」をかたどり、「地域や保護者の方々とも支え合いながら、教育活動を行っていきたい」という願いが込められています。

朝霞市立朝霞第八小学校 校庭

――教育目標について教えてください。

鈴木先生:教育目標には、「かしこく、やさしく、たくましく」というキャッチフレーズを掲げております。子どもたちが、知・徳・体のバランスのとれた教育を受けられ、それに見合った力を付けられるように、ということで、日々教育にあたっているところです。

最近の実践としては、本年度は国語科を中心に研究を進めていますし、「レガシー創出事業」ということで、オリンピック・パラリンピック教育に関しても取り組みを始めたところです。

朝霞市立朝霞第八小学校 教育目標

――学校施設の特徴を教えてください。

鈴木先生:二つありまして、まず一つは、「しいの木ルーム」という大きめの教室がある点です。そこはイベントに使ったり、集会に使ったりと、教室だけでは難しい、いろいろな活動をするような場面で活用しております。

もう一つは、地域との連携に関係する部屋として「八枚の羽根ルーム」がありまして、こちらは主に、学校応援団さんに使っていただいています。この二つが、設備の面では特徴的な点かと思います。

また、本年度からは給食の自校化に向けて動き始めておりまして、3年後を目処に、センター給食から自校給食に切り替える見込みです。自校給食室を新たに作るにあたって、合わせて教室を増設する計画ですので、今後、児童数が増えても十分に対応できるかと思います。

「しいのみまつり」や「八枚のはね」で地域と繋がり広がる輪

朝霞市立朝霞第八小学校 しいの木ルーム

――学校行事や地域との交流行事について、特徴的なものを教えてください。

鈴木先生:まず、「しいのみまつり」というものを児童会が主催で毎年10月に実施しています。この時には2年生から6年生が各学級単位で、創意工夫を凝らしたいろいろなお店を出し、子どもたち同士が学年を超えて交流します。保護者の方も参加してくださるので、一緒に楽しんでもらっています。

これとは別に「ふれあいまつり」というものも10月の土曜日に行っています。こちらは朝霞市が行っている地域連携の一環で、「朝霞市立朝霞第四中学校」と本校、さらに地域の自治会の方にも協力していただいて開催しているイベントです。昨年度は3,000名を超える来校者があり、地域からも期待されている大きなイベントになります。

朝霞市立朝霞第八小学校 廊下

――地域の方や保護者の方が、「学校応援団」としてさまざまなサポートをしてくださっているそうですね。地域や保護者との連携、協力体制について、詳しく教えてください。

鈴木先生:学校応援団については、本校では「八枚のはね」という名称で、地域の方、保護者の方を含めた団体を作り、いろいろな面でご協力していただいています。主に生活科や総合的な学習の時間などの学習支援、読み聞かせといった形で関わっていただいています。

校内には先ほどご紹介した「八枚のはねルーム」があるので、そこで昔あそびを一緒に楽しんだり、いろいろな交流をしたりしています。参加しているのは低学年の子が主ですが、地域の保育園の子どもたちも、その時間になると遊びに来て、一緒に交流する、といったこともしています。そのほか、地域の方で作る「グランパ」というボランティア組織の方にもご協力をいただいて、読み聞かせをしていただいたりしています。

もうひとつ、保護者の協力という点では、保護者会のサークル的な組織として「103(とうさん)の会」というものがありまして、これは他校で言う「オヤジの会」ですが、こちらでもいろいろなイベントを開いてくださっていまして、地域との交流のひとつの核になっています。「103の会」については、イベント以外にも学校の施設修繕であったり、学校行事のお手伝いをしていただいたりと、いろいろな場面で学校運営にご協力をいただいています。

その他、登下校時の子どもの見守りに関しましても、保護者会を中心にして、地域の見守りの方々に応援をいただいていまして、非常にありがたく思っています。

朝霞市立朝霞第八小学校 八枚の羽根

――「八枚の羽根」のモチーフは、校章にも使われるなど、学校のシンボルになっているようですね。これはなぜでしょうか?

鈴木先生:開校した時に、まず、風車をイメージして校章を考えたそうなんですね。それが、第八小学校ということですから、8枚を組み合わせた、ということです。そこには、子どもたち同士の協力であるとか、地域の協力であるとか、そういった願いも込められている、と聞いています。

「子どものやる気を引き出す」ための様々な連携

――小中連携について、現在取り組みをされている事例を教えてください。

鈴木先生:本校はお隣の「朝霞市立第四中学校」と連携をしていますが、卒業した子どもの多くがこちらに進学しますので、そういった意味でも「兄弟校」のようなものです。

具体的な連携事業としては、職員の研修等も相互に行き来をしながら行っていますし、出前授業ということで、中学校の先生に来ていただいたりもしています。先ほどご紹介した「ふれあい祭り」では一緒に開催もしておりますし、朝のあいさつ運動などの児童会・生徒会活動についても、連携しながら取り組みを行っているところです。

今後についても、やはり、小中一貫はというのは今後の大きな課題になってくると思っていますので、より連携を深めていければと考えています。

朝霞市立朝霞第八小学校 折り紙作品

――ふだんの学校生活の中で、先生方が心がけていることは何でしょうか?

鈴木先生:「子どものやる気を引き出す」ということでしょうか。やはり、そこは私もつねに意識をして、職員にもよく話をしているところですし、集会などの時に、直接子どもたちにも呼びかけています。今年度は「Having a go」という言葉を掲げています。「とにかく、やってみよう」という意味がありまして、とにかく、子どもたちのやる気を引き出すように、そこを一番心がけて、日々の教育にあたっています。

――「やる気を引き出す」ための実践例をご紹介ください。

鈴木先生:たとえば今年度は、小さな看板を出したり、朝礼の時に私からいろいろな呼びかけをしたり、子どもたりに「こんなことをやったよ」といったことを、校長室の前に置いてあるポストに投函してもらって、それに対して私から返事を出して、さらにやる気を出してもらえるように応援したり、といったことをしています。

朝霞市立朝霞第八小学校 ポスト

充実した環境を活かし、街全体が教育の場に

――最後に、学校の周辺エリアの魅力についてお聞かせください。

鈴木先生:この周辺については、若い世代の方々と、以前からいらっしゃる地域の方が両方混在していて、かつ、非常によく融和されている地域だと感じています。そういった地域を母体にして、学校への支援もいろいろとしていただいている、という地域でもあります。

生活するうえでのメリットは、やはり、利便性の良さでしょうか。「朝霞」駅に近く、いろいろな交通手段も、お店なども、利用しやすい場所だと思います。ほかの多くの自治体では子どもたちの数が減ってきていると聞きますが、本校の学区ではまだまだ増える傾向が続いておりまして、その背景には、「生活のしやすさ」もあるかと思います。

教育環境としても、図書館、中央公民館、陸上競技場などの社会教育施設に近接している点は魅力だと思います。近ければ気軽に利用できますし、授業の中でも、図書館さんと連携させていただいたり、中央公民館にプラネタリムを観に行ったり、社会科の勉強の中で、施設の見学に行かせていただいたりと、いろいろな場面で活用をしています。陸上競技場については、持久走大会の会場としても使っています。

朝霞市立朝霞第八小学校 校庭

――最後に、これから朝霞に暮らしたいという方に向けて、メッセージをお願いします!

鈴木先生:本校は保護者、地域の方々がつながる、そのひとつの核になるような学校を目指しています。三位一体となって、一緒に子どもたちの教育に取り組んでいく、そんな環境を作っていきましょう。

朝霞市立朝霞第八小学校 鈴木校長先生

朝霞市立朝霞第八小学校

校長 鈴木 聰(さとし) 先生
所在地:埼玉県朝霞市栄町5-1-41
電話番号: 048-465-8381
URL:http://www.asakadai8shou.city-asaka.ed.jp/
※この情報は2017(平成29)年9月時点のものです。

「八枚の羽根」のように、地域の人々が手を取り合い支える「朝霞市立朝霞第八小学校」
所在地:埼玉県朝霞市栄町5-1-41 
電話番号:048-465-8381
http://www.asakadai8shou.city-asaka.ed.j..

スペシャルインタビュー

一人ひとりに親身なサポートが嬉しい「佐倉市子育て支援課」の子育てサービス


千葉県の北部に位置する佐倉市は、交通環境の良さから東京へ通勤する人が多く住むベッドタウンとして発展。住宅開発に伴う子育て世代の増加を背景に、同市では子育て支援に力を入れている。2016(平成28)年からは、「子育て世代包括支援センター」や「子育てコンシェルジュ」制度を整えるなど、より親身で利用しやすいサービスを展開している。子育て世代へのサポート体制や取り組みについて、佐倉市子育て支援課の小高純さんに話を伺った。

様々な子育ての悩みに、包括的なアプローチでサポート

佐倉市子育て支援課

――佐倉市ではどのような子育て支援の取り組みを行っているのでしょうか。

小高さん:佐倉市では「手をつなぎ、みんなで育てよう!笑がお いっぱい 佐倉っ子」という基本理念のもと、「子どもが幸せなまち」「子育てを楽しめるまち」「子育てを支え、ともに成長するまち」を目指して子ども・子育て支援に取り組んでいます。子育て支援課での取り組みとしては、子育て支援施策の研究や企画、市内31か所の保育園等の入園受付、保育施設の管理、幼稚園の案内など子育て支援全般の業務を行っています。

子育て相談窓口には、キッズスペースも併設

――佐倉市では近年も新たな子育て支援サービスを展開されていますね。

小高さん:2016(平成28)年4月の「子育て世代包括支援センター」のスタートにより、子育てに関する相談から各種手続きまで、全てがひとつのフロアで可能になりました。今まで利用者には、各種手続きを行う為に違う建物にある違う部署に行ったり、また別の手続きは違うフロアに行ったりとご不便をおかけしていたのですが、総合相談窓口を一か所に設けてワンストップ拠点で支援できるようになったのが「子育て世代包括支援センター」の強みです。

様々な子育ての悩みを相談できる「子育てコンシェルジュ」

小高さん:またセンターでは、保育士の資格を持った「子育てコンシェルジュ」や保健師が、子育て支援情報や保育サービスを分かりやすく案内して子育ての相談に応じ、応援していく体制をとっています。子育て世代に切れ目のない支援を提供できるように関係機関と連携して、一人ひとりにあったサービスをご案内しています。例えば、「仕事を始めたいけれど、子どもを預ける所はあるの?」「保育園の空き情報が知りたい」「出産費用や健診のことが知りたい」など、子育てに関するどんなことでも相談をお受けしています。一般的な書類を提出するだけの手続き業務とは違い、お互いの顔が見えての対応になるので、子育て中のお母さんのちょっとした心の変化に気づくこともでき、不安や悩みの早期発見にもつながっています。子育て支援課では、今後も妊娠期から子育て期にわたり切れ目ない支援を提供していき、更にサービスを拡充していきたいと考えています。

――「子育て世代包括支援センター」のスタートで市民のみなさんの反応はいかがですか。

小高さん:「母子手帳を受け取るだけだと思って来たら、たくさんのアドバイスをもらえて嬉しかった。」「子育てに不安なことが多かったので、話を聞くことができて良かったです。」「一人で抱え込んでしまうお母さんも多いので、こういうサービスをこれからも続けて欲しい。」などのお声を多数頂いておりまして、利用者のみなさんには大変喜んでいただいていると思います。今後も幅広いニーズに応えられるようにしていきたいと思います。

育児・保育のサポート体制が整う

「志津児童センター」が入る「志津市民プラザ」

――児童センターや学童保育の取り組みについて教えてください。

小高さん:児童センターは、遊びを通して子どもたちの健やかな成長を保護者や地域の方々と一緒に育み、楽しい子育て・子育ちをサポートする施設でして、現在市内5か所にあります。対象者は、市内在住の18歳未満の児童及び児童の保護者になります。子どもたちが気軽に遊べて気軽に集うことができる場所です。また、学童保育所は、保護者が仕事や、病気等により子どもの放課後などに適切な保育ができないとき、小学生(原則1年生から6年生、一部の学童保育所は1年生から3または4年生)に放課後の生活の場を提供し、遊びの指導を行うことにより児童の健全育成を図ることを目的とした施設で、現在市内に34か所あります。保育士や教員の資格を持った学童保育指導員が、子どもたちを保育し、健やかな成長と自立を支援しています。

市民サポーターが子育てを支援

――「ファミリーサポートセンター」事業にについて教えてください。

小高さん:「ファミリーサポートセンター」は、「子育てのお手伝いをしたい」「子育ての手助けをしてほしい」人たちが会員となり、子育てが大変なご家庭を地域で支援し合う制度です。育児の援助を受けたい「依頼会員」が、センターへ会員登録を行った後、アドバイザーの引き合わせにより、依頼内容に応じた「提供会員」を紹介してもらいます。育児の援助を行いたい「提供会員」は、市内在住で、活動に必要な講習を受講した方が会員になることができます。「依頼会員」「提供会員」の両方に登録を行うことも可能です。保育施設までの送迎、保育施設の開始前や終了後のお預かり、保護者の病気や急用等の場合のお預かりなどに利用できます。「依頼会員」の子どもたちからは、「近所の優しいおじいちゃんおばあちゃんの家に遊びに行けて楽しい。」と好評ですよ。

佐倉市の魅力を伝え、明るく活気に満ち溢れるまちを目指す

沢山の子育て情報が得られる「子育て支援ガイドブック」

――子育て支援ガイドブックや、子育て応援サイトを制作されるなど、積極的に情報発信をされていますね。

小高さん:佐倉市では、「子育て支援ガイドブック」をご家庭に無料で配布しています。子育て中のみなさんが、ガイドブックを開けば、お子様の成長に伴う必要な情報を得ることができるようになっていて便利ですよ。街のおでかけマップもありますので家族みんなでのお出かけにも役立ちます。子育て応援サイトの「佐倉っ子 子育てナビ」と一緒にご活用いただきたいですね。佐倉市の次代を担う子どもたちが、安心して暮らすことができる環境を整備することは市としましては最優先の課題です。子育てがしやすい街づくり、子どもがいる若い世代に佐倉市の魅力を伝え、どのように人々を市に呼び込むかが、今後の街の発展につきましても重要だと考えています。子どもたちがいる街の雰囲気は、とても明るく活気に満ち溢れていて大変素晴らしいものです。

佐倉市子育て支援課 小高純さん

――佐倉市志津周辺に新しくお住まいになる方にメッセージをお願いします。

小高さん:佐倉市は、大変歴史が深い街です。江戸時代後期に佐倉藩士が暮らしていた武家屋敷が保存されるなど、情緒ある遺構や緑が多い公園も沢山あります。その一方で、志津にほど近いユーカリが丘周辺は大型商業施設もでき、佐倉市の今を象徴する賑やかな街です。都心にも近く、どこへ行くにも交通アクセスが良いのも魅力ですね。都会と田舎の良いところを併せ持った大変住みやすい街だと思います。

佐倉市子育て支援課

佐倉市子育て支援課

小高 純さん
所在地 : 佐倉市海隣寺町97
TEL : 043-484-1111
URL: http://www.city.sakura.lg.jp/
※この情報は2016(平成28)年9月時点のものです。

一人ひとりに親身なサポートが嬉しい「佐倉市子育て支援課」の子育てサービス
所在地:千葉県佐倉市海隣寺町97 
電話番号:043-484-1111(代)
開庁時間:8:30~17:15
休庁日:土・日曜日・祝日・年末年始
※毎月第2・第4日曜日に市民課窓口のみ開庁
http://www.city.sakura.lg.jp/

相模原市立淵野辺東小学校 校長 岡本昭三 先生 インタビュ―

地域や保護者に支えられ、花と緑と歌声が響く「相模原市立淵野辺東小学校」


「相模原市立淵野辺東小学校」は、「古淵」駅と「淵野辺」駅の中ほどに位置する公立小学校。支援学級を含めて全27クラス、計861名の児童が学ぶ市内でも大規模な学校だ。「行きたいよ! 淵野辺東小学校」を学校経営方針に、保護者や地域と連携して子どもたちに寄り添う学び舎のグランドデザインを描いている。校長に着任して2年目を迎えられた岡本校長先生に、淵野辺東小ならではの教育の特色や地域の魅力についてお話を伺った。

授業参観や「ほかほかふるまい」など独自の道徳教育

相模原市市立淵野辺東小学校

――まずは学校の歴史や概要のついて教えてください。

岡本先生:本校は1982(昭和57)年に「相模原市立淵野辺小学校」から分かれて開校し、今年度で創立36年目を迎えました。児童数は現在861名と、相模原市の小学校全72校の中でも人数が多い学校です。校章は、子どもたちが大きく羽ばたき育つようにと「大鳥」を象っています。カーブを描く校舎のデザインは市内でも珍しく、大鳥が羽ばたくようなイメージで建てられたのではないでしょうか。

花と緑と歌声の淵野辺東小学校

本校は昔から「花と緑と歌声の淵野辺東小学校」として、プランターで花を育てたり、年1回の音楽集会を開いたりと、花や歌声が共にあるような学習環境を大事にしてきました。決して古い学校ではありませんが、そうした校風はこれからも大切にしていきたいと思っています。

――朝の「チャレンジタイム」はどういった取り組みですか?

岡本先生:始業前の15分間を使って、漢字の書き取りや計算をしています。国語算数を中心に基礎基本の学力をきちんと身につけることが狙いであり、年間を通じて集中して取り組むことで成果が期待できます。これとは別に、金曜の朝は読書タイムを設けて、知識や落ち着いた学習態度を身につけられるようにしています。

道徳授業の掲示

――連続して授業改善研究推進校に指定されていらっしゃいますね。

岡本先生:本校といえば道徳教育というほど、20数年来、熱心に取り組んできました。推進校も道徳科の指定で、昨年度に二次の研究発表を終え、今年度は三次の指定を受けています。

本校の道徳教育は、授業づくりはもちろん、日々のあいさつや掃除などにおける心構えなど、学校全体の活動の中に道徳を取り入れている点が特徴です。例えば、道徳の授業で子どもたちから上がった意見を教室内に掲示し、ふだんから道徳的な意識を高められるような工夫をしています。また、子どもたちが人にしてもらって嬉しかったことを「ほかほかふるまい」と名付け、その経験を紙に書いて専用の箱に入れてもらい、廊下などに掲示しています。

ほかほかふるまいの掲示

道徳の授業は保護者に見ていただく機会が少ないので、年1回は必ず授業参観で全学年が道徳の授業をする機会を作っています。本校の子どもたちは素直で、あいさつができる子が多いと感じていますが、こうした道徳教育が響いているのではと考えいます。

地域との連携、ボランティア活動も活発

――小・中の連携についてどのような活動を行っているのでしょうか。

岡本先生:「相模原市立共和中学校」と合同で取り組んでいます。本校の卒業生は全員同校へ進むので、連携する意義は大きいですね。具体的には、校長や児童指導担当、生徒指導担当が集まる中学校区の会議で、学ぶ姿勢、仲間作り、清掃、あいさつの4つの観点から生活目標を立てて、9年間を通して生活習慣や人との関わり方を身につけられるようにしています。また、6年生が3学期に共和中へ部活体験へ行ったり、中学で生徒会のみなさんと児童会の子どもたちとで話し合う、リーダー講習会を行ったりと、実際に交流する機会を作っています。

その他、いわゆる小・中連携活動とは別に、共和中の生徒が本校へ職場体験に来たり、PTA活動のひとつとして、共和中の器楽合奏部と合唱部に生の演奏や歌声を披露してもらう活動もあります。今年度は秋のオータムコンサートとして行われ、本校の児童も音楽クラブやダンスクラブ、コーラスなどで参加し、保護者も大勢参観にいらっしゃいました。

オータムコンサート

――いろいろな地域ボランティアが活躍されているそうですね。

岡本先生:「花と緑と歌声の淵野辺東小学校」という面では、「花ボラ」さんと呼んでいる花と緑のボランティアの方たちが、プランターの植え替えや手入れなどをしてくれ、飼育栽培委員会の子どもたちも一緒に活動しています。その他、朝の読み聞かせなどをするお話ボランティア、水槽の管理をするお魚ボランティアといった方たちもいらっしゃいます。学生ボランティアも、本校が長年活用してきた制度で、教員志望の大学生が授業の補助や安全面の見守りなどをしてくれています。

「花ボラ」さんたちの管理する花壇

また、市の呼びかけで、10数年以上前から子どもたちの登下校の見守りをしてくださっているのが、安全見守りボランティアです。自治会の方たちを中心に、現在約30名の方たちが活動していて、どんな天候でも毎日外に立ち、子どもを見守り続けてくださるので、本当に頭が下がります。昨年度は教育委員会から、感謝状が贈られました。学校も安全見守りボランティアさんの存在を知ってもらおうと、新学期が始まる4月に集会を開いて子どもたちに紹介し、学年末の3月には児童会がお礼の会を開いています。

ボランティアの方々が支えてくださる活動

このように、いろいろな面で地域ボランティアさんが関わってくださるので、私もそうですが、子どもたちも、地域の方たちが支えてくださる学校だということを感じていると思います。

――その他、地域や保護者との連携はございますか?

岡本先生:本校には、市から委嘱される形で、保護者やOBなど3名の「学校と地域の協働推進コーディネーター」が派遣されています。これは、地域の方が積極的に学校へ足を運んでくれるような呼びかけをしてくださる、いわば、学校と地域のパイプ役です。

「大きなお話し会」の掲示

安全見守りをはじめ、サクラの花びらの清掃、落ち葉掃き、運動会で使用するカラー帽子の繕いといったさまざまなボランティアの呼びかけから、地域人材のコーディネートまで、学校のためによく動いてくださっています。6年生は卒業に向けてのキャリア教育の授業で、地域で活躍されている洋菓子屋さんの生き方を知り、みんなで「夢ケーキ」を作り上げるという学習をします。その洋菓子屋さんを見つけてきてくださるのも、地域をよく知るコーディネーターの方です。

商業施設が便利に使え周辺都市へのアクセスも良好

――校長先生が思われる、学校周辺地域の住環境の魅力をお聞かせください。

岡本先生:電車で横浜や八王子へ電車一本で出られるし、町田から小田急線を利用できるなど、交通の便がいい。近くに「青山学院大学」や「桜美林大学」のキャンパスがある、ちょっとした学生街でもあり、学校の周辺を青学の駅伝部の学生が走っている姿をよく見かけますよ。「古淵」駅前に「イオン」や「ヨーカドー」といった大型の商業施設があり、とても便利です。

住みやすいためか、子どもの数も年々増え、本校の校舎も増設したほど。昔からの地元の方と新しく入って来た方が混在する地域と言えますね。野菜を育てている農家さんに本校の子どもたちが野菜作りでお世話になるといったのんびりした雰囲気がある一方で、総合の学習で街探検をさせてもらう「イオン」さんのような便利な商業施設もある。そんな環境ですので、子育てをしていらっしゃるご家庭にとっても、暮らしやすい地域だと思いますよ。

校長先生

相模原市市立淵野辺東小学校

校長:岡本昭三 先生
所在地:神奈川県相模原市東淵野辺3丁目17番地1号
電話番号:042-759-0377
URL:http://www.sagamihara-fuchinobehigashi-e.ed.jp/
※この情報は2017(平成29)年12月時点のものです。

ホテルニューグランド インタビュー

迎賓館として開業した国際都市横浜の発展のシンボル「ホテルニューグランド」


横浜の歴史を語るとき、そこに必ず登場するのが“ホテルニューグランド”という名である。1927(昭和2)年に開業し、街の発展を見守ってきたクラシックなランドマークである。今回はそんな「ホテルニューグランド」を訪問し、総務人事部の主任である網倉裕子さんにホテルの歴史や、こだわり、また、横浜の街の魅力についてお話を伺った。

洋の東西を問わず、誰もが味わえる至福の時間

「ホテルニューグランド」外観

――90年の長い歴史を誇るホテルですが、開業の経緯について教えていただけますか。

網倉さん:ホテルニューグランドは、1927(昭和2)年12月1日に開業したホテルです。開業当時の建物が現存する日本有数のクラシックホテルとして、今年90周年を迎えます。開港以来、国際貿易都市として発展してきた横浜の中でも、ここ山下町は、開港当時、世界各国からの渡航者のためのホテルが海岸通沿いに建ち並ぶ華やかなエリアでした。そんな文化と流行の最先端をいく街を、1923(大正12)年9月1日、関東大震災が襲いました。輝かしかった横浜が見る影もなく一瞬で廃墟と化したこの出来事が、じつは「ホテルニューグランド」誕生のきっかけです。日本の玄関とも言える横浜の地に新たなホテルの建設が急務となり、当時の横浜市政財界と横浜市民が一丸となった結果、1927(昭和2)年に「ホテルニューグランド」が開業しました。

1927(昭和2)年12月1日、「ホテルニューグランド」開業日の玄関前

――重厚感のある素敵なホテルですね。建造物について聞かせてください。

網倉さん:当ホテルの本館は、「服部時計店」(現・銀座和光)や「第一生命館」を手がけたことでも知られている渡辺仁氏の設計によるものです。1992(平成4)年には横浜市認定歴史的建造物、2007(平成19)年には経済産業省の選定による近代化産業遺産に認定されました。

総務人事部、主任の網倉裕子さん

海外からのお客様をお迎えすることを念頭に、日本の第一印象を付与する意図をもってデザインされた建物で、瀟洒な洋館の中に、随所に東洋のエッセンスが感じられるモチーフを配置しており、和と洋の調和を感じられるのが特徴だと思います。関東大震災から復興するシンボルとして、耐震性を考えて建てられたこともあり、90年前の建物にもかかわらず、東日本大震災でもほとんど被害はありませんでした。この先人たちの築いた伝統を次世代へ継承するため、昨年、大規模な改修工事を実施いたしました。横浜の財産とも言えるこの本館を、100年、150年先も開業当時の雰囲気そのままに受け継いでいきたいと思っています。

――歴史に名を刻んでいるような方も、数多く宿泊されたそうですね。

網倉さん:最も有名なゲストは、連合国軍最高司令官のダグラス・マッカーサー氏ではないでしょうか。終戦後の来館がよく知られていますが、戦前、新婚旅行で日本を訪れた際にも宿泊されたと記録が残っています。戦後、マッカーサー元帥の執務室として使用された315号室は、現在では「マッカーサーズスイート」と呼ばれ、元帥ご使用のライティングデスクと椅子とともに今も残っています。そのほかにもチャーリー・チャップリン氏やベーブ・ルース氏なども宿泊しています。お迎えした著名人とそのエピソードを挙げていくと、話が尽きないですね。

本館2階ロビー

――『THE有頂天ホテル』をはじめ、これまでに数多くの映画やドラマ、また雑誌の撮影などに使用されているそうですね。

網倉さん:作品を通じて当ホテルを知り、“聖地巡礼”にご来館される方も多くいらっしゃいます。あまり知られていないことですが、ご宴席等のお貸し出しをしていない時は、ロビーをご覧いただくこともできます。ホテルの前はよく通るけれど少し入りづらいというお声を頂戴することもあり、当ホテルを身近に感じるきっかけになればと、ロビーコンサートを定期的に開いたり、宿泊客限定ではございますが、館内をツアー形式でご案内したりしております。これまで多くの作品のロケ地としてご利用いただいておりますが、それぞれ異なる世界観の表現がこの空間と見事に調和し、ひとつの作品として完成するのを目にするたび、日々この場所で過ごしている者としても、改めて本館の魅力に気づかされます。

世代を超えて愛される一流のおもてなし

「スカイチャペル」

――落ち着きのある雰囲気と相まって、ウエディングには最適な環境ですね。

網倉さん:当ホテルにはタワーと本館の2つの建物があり、それぞれ趣の異なる横浜を味わうことができます。特に、タワー最上階にある「スカイチャペル」からは、みなとみらい、ベイブリッジをはじめ、横浜を一望する景色を独り占めすることができます。汽笛の音に祝福されるのも港街ならではなのではと思います。

「フェニックスルーム」

本館の宴会場は、ロビーや大階段と同様、それぞれ凝ったつくりになっています。開業当時、メインダイニングとして利用されていた「フェニックスルーム」や舞踏室として多くの人が集った社交の場「レインボーボールルーム」など、会場ごとに趣が大きく異なるので、ウェディングの際は、どの宴会場を選ぶか悩まれる方はとても多いですね。

「レインボーボールルーム」

タワーにも、豪華客船を思わせる華やかな会場や、横浜のモチーフを散りばめた会場があり、いずれの会場をお選びいただいても、その空間が醸し出す雰囲気はゲストの記憶にも刻まれることでしょう。ウェディングという人生の門出を親子三代にわたってお手伝いさせていただくなど、世代を超えて、この場所で物語が紡がれていくことこそ、当ホテルならではの特徴ではないかと思います。

――「ホテルニューグランド」発祥と言われる料理があるそうですね。

網倉さん:発祥に諸説あるものもございますが、「シーフードドリア」「スパゲッティナポリタン」「プリン・ア・ラ・モード」の3品が当ホテル発祥の料理とされています。誕生エピソードをひとつご紹介致しましょう。ホテル開業当初、“コック長は此のメニュー以外の如何なる料理にても御用命に応じます”との表記がメニューにあり、柔軟にご要望に対応しておりました。ある日、 “体調が良くないので、何かのど越しの良いものを”とリクエストされ、初代総料理長サリー・ワイルはその場にある食材を使って即興で一皿作ってお出ししました。それが「シーフードドリア」(当時は「シュリンプドリア」として提供)です。その後日本中に広まり、今も親しまれているこの料理は、ニューグランド生まれなんですよ。ご紹介した3品とも、今も変わらない味で、本館1階コーヒーハウス「ザ・カフェ」でお召し上がりいただけます。

「ホテルニューグランド」発祥の料理

「ザ・カフェ」以外にもホテル内にはレストランやバーが5つあり、いずれもこだわり抜いた味を提供しています。ホテルニューグランドの味を受け継ぐメインダイニングである「ル・ノルマンディ」では、ソースやスープを何日もじっくり手をかけて作るなど、受け継がれたレシピそのままに、手間を惜しまない確かな味をお楽しみいただいております。イタリアンレストラン「イル・ジャルディーノ」では、イタリア各地の味を旅するようにお楽しみいただけます。イタリアからのお客様にも、故郷の味と変わらないと喜んでいただきました。また、お近くまでいらっしゃったら、ぜひバー「シーガーディアンII(ツー)」でカクテル“ヨコハマ”をお楽しみいただきたいですね。横浜の夕焼けを映したかのような美しいカクテルです。

さまざまな文化が調和する街、横浜

ホテルから望む「山下公園」

――歴史の一部として、じつに興味深い「ホテルニューグランド」ですが、その周辺にも魅力的なスポットが多いですね。

網倉さん:通りを挟んで「山下公園」があり、「中華街」や「元町」もすぐ近くにあります。全国的に知られる観光スポットが凝縮しているエリアと言えると思います。また、少し足を伸ばすと、日本の情緒を味わえる「三渓園」もあり、国際都市として異なるさまざまな文化が調和しながら“街”として独自の魅力をまとっていることが横浜の魅力だと思っています。新しい文化、新しい価値観を受け入れるという開港時からの姿勢を、これからも大切にする街であってほしいですね。

総務人事部、主任の網倉裕子さん

――もうしばらくすると「ホテルニューグランド」は、100周年を迎えることになります。将来の展望について聞かせてください。

網倉さん:今後も変わらず、多くの方に訪れていただけるように、この場所で過ごした大勢の方々のかけがえのない思い出を大切に、貪欲に先人の想いや歴史を究め、原点に立ち返りながら、時代に合わせて進化を怠らないように、100年・200年の時を磨いていきたいと思います。当ホテルを一度でも訪れたことのある方にとって、ここで過ごしたひとときがかけがえのないものとなるように、また、まだ当ホテルを訪れたことのない方に知っていただき、足を運んでいただけるように、一日一日を大切に、努めてまいります。横浜にお越しの際は、ホテルニューグランドに訪れていただければ嬉しいです。

総務人事部、主任の網倉裕子さん

ホテルニューグランド

総務人事部 総務人事課
主任 網倉裕子さん
所在地:横浜市中区山下町10
TEL:045-681-1841
URL:http://www.hotel-newgrand.co.jp/
※この情報は2017(平成29)年4月時点のものです。

迎賓館として開業した国際都市横浜の発展のシンボル「ホテルニューグランド」
所在地:神奈川県横浜市中区山下町10番地 
電話番号:045-681-1841
http://www.hotel-newgrand.co.jp/

サンモール・インターナショナルスクール 理事長インタビュー

横浜の地で145年の歴史を誇る「サンモール・インターナショナル・スクール」


明治時代から外国人が数多く居留し、今なお色濃く西洋文化が残る、横浜市山手地区。その山手の中心地には、外国人が創設した学校がいくつも残っている。そのひとつ、「雙葉学園」の裏手に本牧埠頭を見下ろすように建っている「サンモール・インターナショナルスクール」は、外国人の子弟や帰国子女を対象にした、定員500名ほどの中規模校だ。今回はこちらを訪問し、理事長であるジャネット K.トーマスさんに学院の魅力や横浜の街の魅力についてお話を伺った。

女子教育の場として始まった歴史

十字架をあしらった校舎

――1872(明治5)年に創設された学園ということですが、どのような経緯からつくられたのでしょうか?

ジャネット理事長:横浜港が開港して以来、この地には外国人が多く住んでいました。外交官や財界人、教育関係の人もいました。国籍もフランス人、イギリス人など多彩でした。彼らの多くは、子どもたちが大きくなると、男の子たちについては自分たちの母国に帰らせ、親戚に預けるか寮に入れるなどして母国の学校に行かせていました。ところが女の子たちには、そのような教育は行われませんでした。

図書館

そういった中で娘たちに教育の場が欲しいという声があがり、その呼び掛けに当時の聖嬰イエスズ愛徳教育修道会(現在の「幼きイエス会」)のシスターたちが日本にやって来まして、学校が始まりました。その年には学校のほか、孤児院も始めました。その後、中流家庭以上の日本人のお子さんたちの学校として、1900(明治33)年に「紅蘭女学校」がつくられました。そちらは1958(昭和33)年に「雙葉学園」になりまして、この隣の「横浜雙葉学園」のほか、ご存知のように、東京の田園調布や四谷、福岡、静岡にも学園があります。「雙葉学園」は私どもの学校とは姉妹校にあたります。

私どもの学校については、当時、「サンモール・コンベントスクール」と呼んでいましたが、時代の要請に合わせて、「サンモール・インターナショナルスクール」と呼ぶようになりました。1980年代まではずっと女子校でしたが、それ以降は共学となっています。現在は男女がほぼ半々です。

ゆったりとした間隔で机が置かれた教室

――現在はどのぐらいの生徒が通っているのでしょうか?

ジャネット理事長:日々人数は変動していますが、今日(2017(平成29)年2月)の時点では478名です。年齢は2歳半から、高校3年生までです。国籍については、二重国籍、三重国籍など複雑な生徒もおりまして、ひとつの国籍だけを持っている生徒で言えば25ヵ国です。二重国籍、三重国籍も含めれば36ヵ国です。

――日本人の子どもは入学できるのでしょうか?

ジャネット理事長:日本の学校からの編入は認めていません。外国に行って戻ってきて、英語を中心に教育をするインターナショナルスクールを求めている方で、ご両親が日本人という方はいます。いわゆる帰国子女ですね。また、長い間女子校だったので、お母さんやおばあちゃんがここを卒業して、日本人の方と結婚し、そのお子さんが通っている、というケースもあります。卒業生のお子さんの中には、日本国籍の方もいます。また、ほかのインターナショナルスクールからの編入も受け入れています。

世界で活躍できる人材を育てる

様々な国籍の生徒を受け入れる

――特色のある教育・学習があれば教えてください。

ジャネット理事長:幼稚園の「インターナショナル・モンテッソーリ・プログラム」は、日本の幼稚園でも実施している園が増えてきていますが、これを最初に取り入れたのはサンモールです。小学校では「インターナショナル・プライマリー・カリキュラム」というものを取り入れていますが、これも日本ではサンモールが初めて取り入れたものです。

9年生と10年生、日本で言う中学3年生、高校1年生については「IGCAC」というプログラムを取り入れています。これは英国のケンブリッジ大学で考案されたプログラムです。11、12年生では、教育プログラム・国際バカロレアの提供するプログラムのひとつ「ディプロマプログラム」を行っています。また、学院内のひとつの教室を使って「フレンチスクール」も開設しています。これはインターナショナルスクールのプログラムではなく、フランス当局の方針に基づいたフランスの教育をフランス語で行っています。こちらも、フランス国籍の方々から新しくニーズがあったために、始めたプログラムです。

発表会などを行うホールも完備している

このほか、まだ幼稚園に行けないお子さんに対して「トドラーズクラブ」というプログラムも行っています。これは幼稚園も保育園も行けずに日本語もしゃべれない、という子が対象です。週に1回だけですが、無償で行っています。幼稚園のスペースを使ってアクティビティをして、友だちをつくってもらうもので、お母さんや乳幼児の交流の場にもなっています。また、幼稚園や小学校については、両親がお仕事をしている方も多いので、学校の始まる8時よりも前、また、幼稚園や小学校が終わる15時以降に子どもたちを預かるサービスも行っています。

様々なプログラムに取り組んでいる

――国際バカロレア機構のディプロマプログラムを受けることで、海外への大学進学は有利になるのでしょうか?

ジャネット理事長:大学進学には、サンモールの卒業証書だけで十分ですが、ディプロマを取得すれば有利になります。また、点数によって単位を認めてくれる大学もあります。点数次第では、大学1年の単位をすべて取ったとみなして、2年から入れる場合もあります。

イギリスの大学では、国際バカロレア機構のディプロマをやっていれば、その点数次第ではありますが、すぐに専攻を始めることが可能です。また、何かを専攻して勉強したい時に、ディプロマの科目で定められた点数を取っていなければいけない、といった制限があり、イギリスなどの大学進学を考える生徒たちにとって、ディプロマは大事になってきます。

異文化に触れあう環境

音楽教室

――「Adult Enrichment Program」というものを実施しているそうですが、どのような内容のプログラムなのでしょうか。

ジャネット理事長:「Adult Enrichment Program」については、1990年代から始まった取り組みで、父兄、またはこのコミュニティに住んでいらっしゃる方も含めて、一緒に何かをやって、学んでいくというものです。学校を出たら学業が終わるのではなくて、「生涯ずっと勉強をする」という趣旨です。大人向けのプログラムで、現在、種類は40、50ほどあります。

単発で、例えばどこかに民家の見学へ行ったり、もちつきに参加するというものもあります。また、月に何回か定例で行うものもあります。語学のクラスや、華道や合気道など、日本の文化を学ぶものはそうです。各国のお料理を学ぶ講座もあります。

「Adult Enrichment Program」の掲示物

このプログラムは父兄およびコミュニティの方に、ボランティアで講師をしていただいています。特に日本語を喋れない方で、自分で講座を見つけられない方には人気があります。父兄以外の方が参加する場合は、何かを教えてくれる代わりに、メンバーに入れるという仕組みになっています。ですから、お互いが講師になったり、生徒になったりします。

――日本で言えば、幼稚園から高校までの一貫校ということですが、異年齢の連携なども行われていますか?

ジャネット理事長:「インターナショナルデイ」の日には午後の2時間だけですが、幼稚園生から12年生までの子たちが、年齢に関わらず混ざって、上の子たちが企画したアクティビティやゲームをして楽しみます。ここではエンパシー(思いやり・共感)をテーマにしています。「スポーツデイ」や「ジャパニーズカルチャーデイ」の日にも、みんなで日本文化に触れる体験をしたり、あるいは中高だけで何かを行ったり、ということはあります。小学校5年生の子が1年生の子のところに行って、本を読んであげるといった交流もあります。

小学校から中等部への切り替えの時期には、上の子たちが5年生(小学校最高学年)のところに行って、中等部についての説明をしています。同じことを8年生から9年生の間(中→高)でもやっています。

体育館の様子

――少人数で密度の高い教育を行うということに力を入れているそうですね。

ジャネット理事長:じつは1990年代の半ばぐらいにインターナショナルスクールのニーズが増えた時期がありました。その時には、父兄や教員から、もっとクラスを増やしてほしいという要望がありました。しかし理事会では、「価値のある教育を提供し、一人ひとりにしっかりケアをすること」を最も重要なことだと考えて、「小さい学校でいよう」という決断をしました。生徒数を増やすことは難しいことではありません。しかし、多ければ良い、というものではありませんから、クオリティを大事に、小さな学校でありたいと考えています。

横浜の地に根差し、地域とともに成長する

生徒それぞれが得意な部活動に励む

――地域や近隣の学校とは、どのような連携をされていますか?

ジャネット理事長:地域や学校との連携では、うちはアイルランド系の学校なので、元町のセントパトリックデーパレードに参加しています。また、姉妹校である「雙葉学園」とは文化的な交流も行っています。主に向こうの生徒さんが来て、うちの日本文化の日に、着物の着せ方を教えてくれたり、お茶の点て方を教えてくれたり、という交流です。

様々な日本文化に触れる

また、横浜市のスーパーサイエンススクールである「横浜サイエンスフロンティア高等学校」とはパートナーシップを組みまして、交流がさかんです。一緒に実験をしたり、こちらに来て英語を学んでもらったり、あちらに行って科学関連のフォーラムに参加したり、という交流があります。また、本校の特性上、いろいろな学校から先生方の研修や見学も多く来られています。神奈川県の方、文科省の方、国際バカロレアをこれから始めようという学校の方など、いろんな方をお迎えしています。

――地域の日本人家庭との連携などはありますか?

ジャネット理事長:先ほどの「Adult Enrichment Program」などはそのひとつです。また、毎年4月29日に「インターナショナルフードフェア」を開催しております。この日には、父兄がいろいろな国の食べ物を用意してくれ、生徒たちのパフォーマンスも行われます。今年は合気道、アイリッシュダンス、ブラジリアン柔術などがありました。こういったイベントの時には、誰でも入っていただけますので、地域の方や、卒業生もたくさん来ています。

様々な国籍の生徒を受け入れる

――最後に周辺の街の魅力について教えてください。

ジャネット理事長:まずひとつは、横浜はいろいろなカルチャーの発祥の地であり、この近辺にもそれに関わる場所がたくさんあるということです。戦争でも空襲を受けずに残ったため、明治時代の洋館が残っており、一部は美術館などにもなっています。実際に外国人が多く暮らしていたので、墓地もありますし、教会も2つありますし、病院もあります。

学園の下にある「キリン公園」などはビール発祥の地ですし、アイスクリームも、ナポリタンも、パンも、タイルも、競馬も、ガス灯も、ラグビーも、鉄道も、みんなこの辺りか横浜が発祥の地です。教育についても、サンモールの修道女たちが、いろいろな意味で貢献してきたと思っています。

「港の見える丘公園」

具体的な場所で私が好きなのは、「外人墓地」「港の見える丘公園」、日本で初めてのテニスコート、外交官の家、「エリスマン邸」「ベーリック・ホール」「えの木てい」など、たくさんあります。みなとみらいエリアや、赤レンガも好きです。日本の近代化はここから発祥した、素晴らしい土地だと感じでいます。

K.トーマスさんとO.遠藤さん

サンモール・インターナショナルスクール

理事長 ジャネット K.トーマスさん(左)
学院長 キャサリン O.遠藤さん(右)
所在地:神奈川県横浜市中区山手町83
URL:https://www.stmaur.ac.jp/
※この情報は2017(平成29)年2月時点のものです。

横浜の地で145年の歴史を誇る「サンモール・インターナショナル・スクール」
所在地:神奈川県横浜市中区山手町83 
電話番号:045-641-5751
http://www.stmaur.ac.jp/

横浜市教育委員会インタビュー

みらいで繋がる本町の子どもたち。「横浜市教育委員会」


近年、横浜市の中区、西区ではマンション開発が進み、児童数の大幅な増加が見込まれている。そこで、みなとみらい地区に市立小学校「みなとみらい本町小学校」の設置を計画。2018(平成30)年4月に開校予定の「みなとみらい本町小学校」は、同年4月から2028(平成40)年3月末までを設置期間としている。今回は、暫定的な小学校として誕生する「みなとみらい本町小学校」の通学区域や、施設面について「横浜市教育委員会」施設部学校計画課の西園 豊課長にお話しを伺った。

人口増加にともなう学校の新設

みなとみらいの建設現場

――新設校設立の経緯について聞かせてください。

西園課長:「横浜市立本町小学校」の通学区域に居住用施設の建築計画があり、将来的に「横浜市立本町小学校」で児童の受け入れができなくなることが判明しました。それに対し、「横浜市教育委員会」を中心として、さまざまな対応策を検討するなかで、小学校の新設が決定したのです。

西園課長

――新設される小学校の通学区域はどのようになりますか?

西園課長:これにつきましては、住民の代表やPTAの代表、また関係校の学校長などで構成される「本町小学校第二方面校開校準備部会」で何度も話し合いました。現在の案として、西区高島1丁目、みなとみらい1丁目から6丁目、シャレール海岸通を除いた中区海岸通5丁目、北仲通5丁目・6丁目、新港1丁目・2丁目が通学区域案となっています。来年度、規則を改正し、決定する予定です。

校名決定までの経緯

「横浜市立本町小学校」

――新設される「みなとみらい本町小学校」の校名についてですが、どのようなプロセスを経て決定したのでしょうか。

西園課長:「本町小学校第二方面校開校準備部会」のなかで、関係者だけでなく地域からも意見を聞き、さらには当事者である子どもたちからも意見を募るべきとの結論に達しました。子どもたちに自由に案を出してもらったところ、じつにたくさんの候補が挙がり、最終的に“みなとみらい小学校”と“みなとみらい本町小学校”の2案が残りました。そして、部会の方針として、「横浜市立本町小学校」の児童による投票で決めることになり、投票を行った結果、“みなとみらい本町小学校”に決定したのです。

「みなとみらい本町小学校」建設予定地

――「みなとみらい本町小学校」の建設される場所は、どのように決められたのですか?

西園課長:「みなとみらい本町小学校」の建設地は横浜市西区高島1丁目・みなとみらい21地区57街区の一部になります。「新高島」駅の南西すぐの場所で、すでに現場では建設工事も始まっております。 10,000平方メートル以上の敷地面積を確保でき、かつ通学距離と通学時における安全性が確保できる場所を検討した結果、その場所になりました。既成市街地には、それだけの面積を確保できる場所がなかったため、場所を決めるのは、なかなか一筋縄には行きませんでした。

10年間の暫定措置

設計業務委託プロポーザル時の提案書(横浜市建築局ホームページに掲載)より

――「みなとみらい本町小学校」は、10年後閉校されるそうですが、その後の校舎・校庭はどうなるのですか?

西園課長:解体後は、更地になることが決まっています。その後の用途につきましては、現時点で決まっていないと聞いています。10年後には解体されるので、校舎に関してはリサイクルを考慮した設計となっていますが、施設面の充実度については他校と変わらず、耐震基準もクリアしている学校です。校庭も約3,800平方メートルを確保する予定なので、体育の授業はもちろんのこと、保護者のスペースが必要となる運動会にも十分対応することができます。

通学区を示す西園課長

――開校・閉校時には、子どもたちが学校を移ることになります。学校間の連携も必要になってくるのではないですか?

西園課長:それに関してですが、「横浜市立本町小学校」の方で、「みなとみらい本町小学校」とは幹がひとつであるという想いを込めた歌が制作されたと聞いています。日常的な連携は難しいかもしれませんが、学校行事やそれ以外の機会で、連携した動きが出てくるかと思います。具体的なことについては、両校の間で決めていくこととなりますが、スムーズに連携がなされるかと思います。

――子どもたちや保護者の反応はいかがでしょうか。

西園課長:10年後もそのまま学校を存続させてほしいという意見もありましたが、児童数が減少していく見込みであることや、建設予定地であるみなとみらいは商業・業務集積地として開発が進められている経緯があることから、現実的に不可能と申し上げるしかありませんでした。

――「みなとみらい本町小学校」以外に、中学校を新設する予定はありますか?

西園課長:みなとみらいの居住エリアは、新たな大規模開発は予定されておらず、「横浜市立本町小学校」の通学区域が関わる「横浜市立老松中学校」と「横浜市立横浜吉田中学校」でも十分に対応できるため、中学校を新設する予定はありません。いずれにせよ、どちらの中学校に進んだとしても、子どもたちの心には、“本町”という二文字がしっかりと刻まれていることでしょう。

みらいで繋がる本町の子どもたち。「横浜市教育委員会」

横浜市教育委員会

施設部学校計画課 西園 豊課長
所在地:横浜市中区港町1-1
※この情報は2017(平成29)年2月時点のものです。

みらいで繋がる本町の子どもたち。「横浜市教育委員会」
所在地:神奈川県横浜市西区高島1-2-73 

地域に支えられて40年。地域とともに伝統を守り、よりよい学校へ

「本物の体験」を主役に置いた教育/川崎市立鷺沼小学校 三ッ木純子校長先生


「鷺沼」駅前に伸びる「春待坂」を下った先にある「川崎市立鷺沼小学校」は、2016(平成28)年度に40周年を迎えた。主に鷺沼町会の地区を学区に持っており、地元町会との関係が特に密接な学校として知られている。近年は、各分野の専門家を講師に招いた体験型の授業や、専門性の高い職の保護者から話を聞く機会なども積極的に設け、キャリア教育にも重点を置いている。このような独自の取り組みを進めている狙いはどこにあるのか。また、小学校の魅力、地域の魅力とは何か。校長の三ッ木純子先生に詳しくお話を聞いた。

「川崎市立鷺沼小学校」

地域とともに伝統を守り、よりよい学校へ

――まずは学校の概要についてお聞かせください。

三ッ木校長先生:本校は今年で42年を迎える学校で、1977(昭和52)年に、「宮崎小学校」と「富士見台小学校」から分かれて生まれました。各学年4~5クラスで、2018(平成30)年5月現在、児童数は876名となっています。学校のシンボルとして、開校2年目から活動している、「鼓笛隊」があり、町会の行事や、運動会の入場行進など、いろいろな場面で活躍しています。「鼓笛隊」は6年生から5年生に引き継がれる形で、児童全員が経験するのが特徴です。秋に6年生から5年生に引き継がれ、1年間経験し、また6年生の秋になったら引き継いで、という伝統があります。40周年にあたって、学校のキャラクターを子どもたちが考えたのですが、このキャラクターも、「鼓笛隊」の衣装を着たものになっています。名前は「さぎまる」です。

このほか、やはり大きな特徴としては、「地域の協力」が学校の支えになっています。特に2016(平成28)年度は、創立40周年ということで、改めて「地域の学校だ」と感じることが多くありました。それなりに古い校舎になりますので、地域が「何とかもっと良くしよう」「こういうものが必要なんじゃないか」という具合に、いろいろと気を配ってくださっていて、門のところに新しい掲示板を贈っていただきました。池に錦鯉もたくさん入れていただきました。本当に、地域から支えられている学校だな、ということをひしひしと感じています。

地域から贈られた掲示板

――周辺の学校と比べて、鷺沼小ならではの特徴があれば教えてください。

三ッ木校長先生:ここは駅から非常に近い、交通の面でも便利な学校ですが、実は、緑もけっこうあるんです。というのは、小学校の隣に「鷺沼公園」という大きな公園がありまして、ここが里山を縮小したような、非常に自然が豊かな公園なんですね。3年生では大学から昆虫の専門の先生を呼んで授業をしていますが、公園に行って虫のいる環境を見て虫取りを行い、観察をして時間内に帰って来られるという、非常に恵まれた環境にあると思います。

周辺の昆虫標本も寄付されたもの

また、40周年のシンボルマークは「サギと桜」をモチーフに作りましたが、この桜は、鷺沼の街の桜なんです。駅からの坂道は「春待坂」と呼ばれていますが、そこの桜は春になるとそれは見事な、桜のトンネルになるんですね。ですからこの辺りは、自然が豊かで、花いっぱいのきれいな街、というイメージがすごくありますね。駅から学校までの道もきれいだし、学校の隣にも自然が豊かな公園があるということで、とても環境の良いところにある学校だと思っています。

子どもたちが大好きな「さぎまる」と桜

――校庭も近隣他校と比べて、かなり広い印象がありますね。

そうですね。近くのほかの小学校と比べても、四角形で広くて、使いやすい校庭だと思います。いろいろなスポーツができますし、実際に、施設開放で地域の野球チームやサッカークラブが使っています。本校出身の有名なスポーツ選手もおります。40周年式典ではサプライズで、その選手たちがビデオレターで登場してくれて、お祝いに華を添えてくれました。

広々とした校庭

体験授業には保護者や地域も協力

――学校のスローガンや、力を入れて取り組んでいる教育内容について教えてください。

三ッ木校長先生:目指す学校の姿は、「笑顔輝き、喜びに満ちた学校」です。教育目標は「体験を通した学び」、「わかる・楽しい授業の構築」、「特色ある学年、学級経営」、「共に歩み、信頼される学校」の4本の柱になっています。

「体験を通した学び」は、人とのかかわりを通して、豊かな心や、健康な身体の育成につながってもらえれば、という願いがあります。「特色ある学年、学級経営」は、子どもたちの居場所と集団づくり、子ども一人一人の個性を尊重し、主体性を育てます。「わかる・楽しい授業の構築」というのは、授業がわかれば、楽しい学校になる、ということもありますから、まずは授業を大事にしよう、ということですね。

「ともに歩み、信頼される学校」は、地域、保護者、学校が、一緒に手をたずさえていこう、というスタンスで教育活動を充実させます。それに沿った具体的な実践として、高学年でキャリア教育をしているというのが、「体験」として挙げられると思います。これは学校がお父さんの会である「ダディーズアイ」に呼び掛けて協力してもらっているものでして、保護者の方に学校で、自分の生きがいや職業について語っていただいています。6年生が対象で、「ダディーズキッザニア」と呼んでいます。親が講師になって、子どもたちは時間を区切って、興味のあるブースを回るというような展開になっていまして、毎回10人以上のお父さん、お母さんに協力をいただいています。保護者には本当にいろいろな職業の方がいらっしゃいますから、子どもたちは、普通の授業では得られない学びもあるようで、非常にいきいきとしていますし、いい授業展開ができているな、と自負しております。

教室の様子。体験授業も行うという

これ以外にも、地域の方をゲストティーチャーにお呼びして、体験授業も行っています。たとえば能楽師の方、書道家の方、スイミングスクールの社長さんなど、いろいろな専門家の方に来ていただいて、お話を聞いたり、体験をさせていただいたり、という具合です。もちろん、地域で活用できるものがあれば、こちらから積極的に地域に出ていくようにしています。たとえば畑をやっていらっしゃる方に話を聞いたり、商店街でお店をやっている方にインタビューに行ったり、という具合ですね。

より専門的なものについては、地域の枠を超えて、その業界のプロの講師をお招きすることもしています。たとえば、表現活動の専門家ということで、劇団の座長さんに来ていただいて、「自分で表現する」というテーマで授業を行っていただいたり、パーカッションの専門の先生に来ていただいて、リズム打ちや、身体全体でリズムを表現するという内容で授業もしていただいたり、という機会もあります。掃除のプロの方をお呼びして、効果的な掃除の仕方についても学習します。

また、「星の授業」というものもあって、この時には川崎市出身で、プラネタリウムで有名な大平貴之さんの恩師である、若宮崇令先生に来ていただいて、星の面白さについて、プロの視点から話していただいています。やはり第一線の方からお話を聞くことで、子どもの興味関心も一層高まりますし、持っている資質が最大限引き出されるように感じています。それは私達が見ていても、よく分かるところですね。

たくさんの人と関わることでコミュニケーション能力を育成

――行事について、ほかに盛り上がる、特色のあるものがあれば教えてください。

三ッ木校長先生:「ふれあいフェスタ」というのがPTA主催であります。これは保護者の方がゲームを企画したり、食べ物を出したりして、子どもたちは午前中授業をした後の半日を楽しみます。おもちが振る舞われたり、わたあめのお店が出たり、子どもが楽しめるボール投げ遊びのコーナーがあったり、毎年とても盛り上がります。

休み時間には子どもたちの元気な声が響き渡る

「鷺沼町会運動会」というのもあります。鷺沼町一丁目から四丁目までとその他の地域別で親子一緒に行う運動会です。毎年、たくさんの子どもや親子が参加して盛り上がります。ムカデ競走やパンくい競走などもあり、鷺沼町会主催の楽しいイベントです。

それから、年明けに「町会防災訓練」というものがあるのですが、その時には、町会ごとの一時避難所で集まってから、二次避難所である学校に、子どもたちも含め、地域の皆さんが集まっています。その日には消防署も協力してくださって、レスキューが来たり、火災体験、地震体験などもしています。炊き出し訓練もあり、とても大掛かりで防災意識を高めています。あとはもちろん、学習発表会や運動会も、他校と同様に行われていまして、毎回とても盛り上がります。

体育の授業の様子

――放課後の学童クラブは設置されているのでしょうか?

三ッ木校長先生:川崎市の公立学校では、全校に「わくわくプラザ」という名前で、放課後の子どもの居場所施設が設置されています。校舎の北側の丘の上に、もともと幼稚園が隣接してありましたので、その園舎の一部を使っています。1年生から3年生を中心に、相当数の児童が登録していますね。運営については学校とは別です。ただ、子どもたちの情報などは共有できるように、定期的に会合の場を持っています。

夢を大きく持っている子どもが多い鷺沼エリア

――私立中学校への受験率は高いのでしょうか。また、受験を希望する児童に向けて、 特別な教育内容などあるのでしょうか?

三ッ木校長先生:中高一貫校を目指す子は、比較的多い地域だと思います。従って塾に通う子どもたちも多いですね。ご両親が働いていらっしゃったりすると、塾にいたほうが逆に安全、ということなどもあるのかと思います。受験する子の割合については、具体的な数字は毎年違うので、何とも言えませんが、公立に進む子がだいたい7~8割という感触です。小学校では、受験対策というのは一切無いですね。補習なども基本的にはありません。本校の子どもたちは、計算の成績が良かったり、覚えるのが得意な子が多いんです。学校の授業では、「考える」ということに重きを置いています。それがある意味、受験をする子に対しても、バランス良く力を付けるということにつながっていると思います。

――鷺沼小の子どもたちは、どんな子が多いのでしょうか。

三ッ木校長先生:本校の子どもたちは、優秀ですし、非常にバランスのいい子が多いと思います。とても素直ですし、きちんと受け答えができますね。朝会をしていても、子どもたちの目が必ずこちらに向きますし、それはすごい事だと思っています。「今は何をする時間なのか」ということが分かっていますから、普段の授業中もとても落ち着いています。この根底に何があるかと言えば、やっぱり、家庭で可愛がられている、愛されている、という事なんだと思います。

各学年で様々なイベントが催されている

――鷺沼エリアは川崎市内でも教育熱が高い地域と聞いています。校長先生はどのようにお感じでしょうか?

三ッ木校長先生:教育に対する意識は高いですね。多分、ここが非常に便利な街だからだと思います。一本で渋谷まで出られますから、親御さんも東京に通勤する方が多いですし、そうなるとやっぱり、求めるものが高くなるんでしょう。親御さんがそれなりにキャリアが高い方が多いですから、子どもたちにも、「少なくともこのぐらいは」という意識があって、それが教育熱につながっているのかな、と感じています。また、新興住宅地ですから昔からのしがらみも無く、夢を大きく持たれているご家庭、お子さんが多いというのもあるかと思います。教育熱が高い地域というのは、子どもたちが安心して進んでいくことができる地域なのだと思います。「教育」は、生きる上で大切な要因の一つです。子どもたち一人一人が、大きな夢をもち未来に向かって、しっかりと踏み出すことができるように、私たちおとなが支援していきたいと思います。

地域で世話をしている花壇

――最後に、鷺沼エリアの魅力についてお聞かせください。

三ッ木校長先生:交通の便が良くて、治安が良くて、自然が豊かで、花が沢山ある美しい街、ということももちろんありますが、ここは鷺沼町会の人達がリーダーシップをとって、東急さんと一緒に地域を開発してきたという部分があります。地域の方の地元に対する愛情というのは、すごく強いですね。ですから、将来を担う子どもたちに対しても、「地域の宝」であるという目で、温かく見守ってくださっています。子育てをしている方にとって、暮らしやすい街といえるのではないでしょうか。それが一番の魅力かもしれませんね。

川崎市立鷺沼小学校

川崎市立鷺沼小学校

校長:三ッ木純子先生
所在地:神奈川県川崎市宮前区鷺沼2-1
TEL:044-854-2783
URL:http://www.keins.city.kawasaki.jp/2/ke207301/
※この情報は2016(平成28)年11月取材の内容に、2018(平成30)年5月に修正を加えたものです。

「本物の体験」を主役に置いた教育/川崎市立鷺沼小学校 三ッ木純子校長先生
所在地:神奈川県川崎市宮前区鷺沼2-1 
電話番号:044-854-2783
http://www.keins.city.kawasaki.jp/school..

親子リトミック YYキッズ インタビュー

親子で楽しむリトミック。「YYキッズ」南行徳で育む子育てコミュニティの輪/親子リトミック YYキッズ


東京都心へのアクセスが良くベッドタウンとしても人気の市川市・南行徳エリア。商業施設が充実、公園など緑も多く家族連れに嬉しい環境も魅力の街だ。「南行徳市民センター」を会場にリトミック教室を行う「YYキッズ」は、ママと子どもが触れ合い共に成長できる教室。明るく気軽に参加しやすい雰囲気と親身な指導が人気で、子育て相談の場としても地域の信頼が厚い。指導を担当する子育てアドバイザー認定講師の石橋真由美さんと「石田ピアノスタジオ」の石田泉さんに話を伺った。

子ども教室の様子

ママと子どもが通いやすい教室をつくりたい。

――「YYキッズ」を始めたきっかけや概要を教えてください。

YYキッズ代表の石橋さん

石橋さん:私の子供が2歳の時にリトミック教室を探していまして、知り合いのママ同士でどこか良い教室ないかなあ、と話していました。何ヶ所か教室に伺って体験を受けて見たのですが…、私が考えていた教室とは通いやすさや雰囲気などがかけ離れている教室ばかり。そこで教室が無いのなら子供が通いたい!みんなが入りたい!と思う教室、ママも楽しんでもらえる教室を自分で始めようと思いまして、当時子供の保育園が一緒だったピアノの経験がある石田先生に相談しました。

石田先生はこのお話にとても興味を持っていただいて、二人で始めよう!と意気投合しました。私は元気とやる気だけはありましたので(笑)。それから教室のことを必死に勉強する日々が続きます。私は子育てアドバイザーの資格を取り、ベビーリトミック、リトミック講習会に参加。石田先生には、中高短大と一貫音楽学校に通い声楽とピアノ専攻してたことを活かし、リトミックのセンターに通って指導方法を勉強して頂きました。その後、2003年に「YYキッズ」をスタート。現在、「ママと子供の触れ合いリトミック」は月に3回金曜日に「南行徳市民センター」で開催していまして、生後6ヶ月から1歳前後のクラス、1歳と2,3歳のクラスで行っています。

子どもたちの個性を伸ばすプログラムやイベントがいっぱい!子育て相談もお気軽に!

――教室の特徴について教えてください。

リトミックを教える石田さん

石田さん:子供のためのリトミックの目的は、豊かで可能性あふれる人間形成になります。人間形成の3要素は、心(マインド)と力(パワー)、性(キャラクター)です。リトミックは、人間にとって最も自然な表現である音楽を手段として用事に優しく深く働きかけ、音楽能力の向上や可能性溢れる人間形成を行います。ピアノの導入ということもあり表現力を養い様々な方面につなげられる幼児教育になります。また、リトミックは子どもたちの成長だけではなく、ママのストレス解消にもつながるのでオススメです。

親子で一緒に楽しむことができる

石橋さん:リトミックだけではなく、ダンスや工作、英語や季節の歌など、子供たちは様々なことにチャレンジできる教室になっています。教室は、子どもたちがワイワイ楽しく遊ぶ笑い声でいっぱいですよ。

教室の特徴を語る石橋さん

石橋さん:子供たちの個性は様々で踊るのが好きな子もいれば、クラフトに集中する子、英語だけが好きな子もいます。リトミックだけを延々としてもしない子はずっとしません。子どもたちを飽きさせないように、個性を見つけて伸ばしてあげられるように、時間内で様々なことにチャレンジしてもらうように心がけています。ピアノやCDでは、ひなまつりやクリスマスなど季節の曲を取り入れています。ピアノ演奏している曲を急に止めたり早くしたりするとすごく楽しそうで、音楽とともにみんないっぱい体を動かしています。中でも紙芝居やカラーボードを使ったお話のプログラムはとても人気があります。また、教室では毎年3月と9月には発表会を行っています。普段教室を見ていないお父さんやおじいちゃん、おばあちゃんも来て、半年ごとに子供たちがこんなに成長した!ということを報告も兼ねて見て頂いています。

卒業生徒からいただいた数々のアルバム

その他にも年に1回「南行徳公園(えんぴつ公園)」で屋外教室を行っています。お弁当を持ち寄ってみんなで遊んだりお話したりする楽しい一日。いつもと違った場所で、ママや子どもたちが遊んだり気軽に子育て相談ができたりするので楽しみにして頂いています。

親子で参加できる楽しい時間。体験だけでもお気軽に!

――無料の体験教室も行っているそうですね。

無料の体験教室も行っている

石橋さん:はい。体験教室には1人で参加する方、お友達同士でも参加いただけます。もちろん体験だけでもOKですので、お子さんもママも気軽に体験して頂ければと思います。生徒募集はウェブ上や行徳新聞の募集記事でも行っています。ママ同士の口コミで参加する方や以前教室に通っていて下の子ができたからまた参加するという方も多いですね。

――教室に参加されている方に感想をお聞きしました。

参加者からの人気も高い

参加者さん:私は行徳新聞を見て体験教室から参加しました。教室はお友達もいっぱい増えるし、一回でいろんなことが学べるのが良いと思います。子どもにとってもママにも楽しく成長できるとても良い教室です。先生は明るくて踊りもできちゃうすごい人。子育ても何でも相談できて頼りがいがありますし、とても楽しい教室です!

子育て環境も充実。駅を中心に商業施設がまとまるコンパクトな街。

――子育て環境についてはいかがでしょうか?

南行徳の子育て環境について語る石橋さん(左)と石田さん(右)

石橋さん:南行徳エリアは駅周辺の商業施設や大型スーパーなど買い物環境が整い、駅周辺に生活環境がコンパクトにまとまる街です。東京・大手町まで電車で20分と都心へのアクセスも良く、通勤・通学にも便利。保育園や幼稚園が多くあり子どもたちがいっぱい。街の成長を感じる明るい街です。南行徳には公園が点在しているのも特徴で、前述の屋外教室を行っている「南行徳公園(えんぴつ公園)」は遊具が充実。広いグラウンドやマラソンコース、アスレチック施設、水遊びができる場所があるなど、子どもたちは思いっきり遊ぶことができます。また南行徳から「東京ディズニーランド」は大変近い距離にあります。「東京ディズニーランド」へは、駅から1時間に1本バスが出ていますので、教室終わりにそのまま「東京ディズニーランド」へ遊びに行く方も多いですね。商業施設や公園も充実していて、南行徳エリアは子育てしやすい環境にある街と言えるのではないでしょうか。

――最後に一言メッセージをお願いします!

石橋さん:南行徳は都会の便利さと自然環境の豊かさが融合した暮らしやすい街です。「YYキッズ」ではママとお子さんが通いやすい教室、生き生きと楽しく子育てができる教室運営を行っています。私と石田先生も子育てをしてきた経験がありますので、教室を通して様々なお手伝いができればと思っています。楽しくて大事な子育ての期間を、私たちと一緒に良い思い出をたくさん作って頂ければ嬉しいです。子育てに関するちょっとした相談や悩み事など気軽に聞いてくださいね。

YYキッズ代表 石橋真由美さん 石田ピアノスタジオ 石田泉さん

親子リトミック YYキッズ

YYキッズ代表 石橋真由美さん(右)
石田ピアノスタジオ 石田泉さん(左)
お問い合わせ:mayumayu1120@icloud.com
URL:https://ameblo.jp/yykids-oyako/
※この情報は2018(平成30)年2月時点のものです。

親子で楽しむリトミック。「YYキッズ」南行徳で育む子育てコミュニティの輪/親子リトミック YYキッズ
所在地:千葉県市川市南行徳1-21-1 南行徳市民センター内(主な活動場所)
レッスン日時:金曜日 10:10~10:55(0,1歳児)、11:00~11:50(2,3歳児)(月3回)

無料体験、お問い合わせはこちら:mayumayu1120@icloud.com
https://ameblo.jp/yykids-oyako/

海と川に囲まれた豊かな自然環境が育む江戸川区の子育ての魅力/江戸川区子育て支援課


東京都の東端に位置する江戸川区は、荒川と江戸川に挟まれ、南側は東京湾に接する自然環境に恵まれた水と緑の多い環境です。23区のなかでも子育てに関する行政サービスが充実している区としても知られ、子育て中のファミリーには魅力的な街です。今回は子育て支援課に、江戸川区で取り組む子育て施策について、また江戸川区の魅力についてお伺いしました。

江戸川区役所

豊かな自然環境に恵まれた環境が育む、子育てしやすい江戸川区

ーー江戸川区の子育ての現状についてお教えください

江戸川区は公園面積が23区内で最も広く、公園数は483園、総面積約361万平方メートルと東京ドーム77個分に匹敵します。区の地図を見ても緑の部分が非常に多く、環境的に子育てがしやすいと思います。特に葛西地区には「行船公園」という広い公園があり、無料の動物園が併設され小さなお子さんがいる家庭には非常に人気があります。また南には「葛西臨海公園」があり、園内には「日本の渚百選」に選ばれた「葛西海浜公園」や、「葛西臨海水族園」などがあり、多くの人たちが集まる人気スポットです。

また下水道整備により役割を終えた河川を、水と親しみ豊かな自然を楽しめるようにと「親水公園」に造り変え、夏には子どもたちが水遊びをできるような環境を整えています。今は全国各地にあるこの「親水公園」も、江戸川区が初めて取り組んだものです。

このように江戸川区は自然が豊かで緑が多く、のどかな住環境が整っていますが、都心部への交通アクセスの利便性が高く、地価や家賃などのバランスがよいようです。そのため子育てファミリーにとっては経済的な負担が少なく、住みやすい印象になっているのかもしれません。

統計上の指標として用いられる合計特殊出生率(1人の女性が一生の間に産む子どもの数)も1.43人と高い水準を保っています。区のHPにある2014(平成26)年「江戸川区子ども・子育て支援事業計画策定のためのニーズ調査報告書」では、0~5歳の就学前のお子さんの保護者のなかで、「全体的にみて子育てしやすい」と回答した方は「とても思う」「どちらかというと思う」を合わせて87.8%に上りました。

「西葛西」駅

「子ども視点」で取り組む先駆的なサービス

ーー具体的な子育て支援のサービスについてお聞かせください

江戸川区が全国に先駆け行った支援のひとつに「保育ママ制度」があります。これは特に0歳児は大人数の集団保育ではなく、なるべく家庭的な環境で子育て支援をしようと始まった取り組みで、1969(昭和44)年の事業開始より今年で48年目を迎えます。現在は200名の保育ママがおよそ352名のお子さんたちを自宅でお預かりしています。

「保育ママ制度」の対象となるのは生後9週目から1歳未満の健康なお子さんで、子育て経験の豊富な保育ママが保育を行います。保育ママのなかには保育士や幼稚園教諭としての資格を持っている方もおり、保護者の方と面接をしての契約となり、安心してご利用いただける制度です。

また、0歳児のいるご家庭を対象に「乳児養育手当」があり、月額13,000円の手当を支給しています。この制度も1969(昭和44)年に開始されたもので、「家庭での保育」を推進するうえで、家庭での負担を軽減する目的にできた制度でした。

さらに、就学前の子どもがいる家庭を対象にした行政サービスとしては、私立幼稚園へ子どもを通わせるご家庭への補助金の支給も行っています。これは区立幼稚園に通うご家庭との差をなくそうとはじまった制度で、入園料の補助金として80,000円を限度に支給するほか、保育料の補助金として月額最大26,000円の支給も行っています。

中学校3年生までの子どもの医療費自己負担分を全額助成する「子ども医療費助成制度」も、全国に先駆け江戸川区がはじめて実施した制度で、安心して子育てができる環境を整えてきました。

江戸川区役所子育て支援課

ーー江戸川区は子育てに関する行政サービスが充実している区として有名ですね

これは子育て支援課として大変うれしく思っています。実際は他の区でも同じような取り組みをされていると思いますが、「保育ママ制度」「乳児養育手当」「私立幼稚園の保護者への補助金」など、他区に先駆け支援策を行ったことで、子育てしやすい印象があるのではないでしょうか。

江戸川区の施策の基本になっているのは「子ども目線」という点です。子どもたちが健やかに育つように、子どもたちが幸せになるため、様々な子育て支援策をこれからも考えていきます。

地域ボランティアが子どもたちを見守り育てる

ーー「すくすくスクール」も江戸川区が先進的にはじめた取り組みですね

江戸川区では区内すべての小学校で「すくすくスクール」という事業を実施しています。いわゆる学童としての役割を担う事業なのですが、保護者の方の就労状況に関わらず無料で誰もが自由に参加できる“すくすく登録”という枠を設けています。

通常の学童は月額4,000円(減免制度あり)で、保護者の方の就労状況に応じてあらかじめ登録した子どもだけを対象にしているのですが、「すくすくスクール」ではその対象を広げ自由参加としています。

異なる点としては、学童に登録した場合、平日放課後と学校の休業日に最大18時まで利用できるのですが、自由参加の子どもたちは17時で下校となります。「すくすくスクール」では地域によって習字や日舞、サッカーなど専門家や資格を持った方などのご協力をいただきながら運営しているケースもあり、地域ぐるみで子どもたちを見守る江戸川区らしい取り組みかと思います。

すくすくスクールが行われている「江戸川区立第六葛西小学校」

ーー中学生への取り組みについてはいかがでしょうか?

中学生を対象とした取り組みとしては、「チャレンジ・ザ・ドリーム」という職場体験を実施しています。区内にある33全ての中学校で実施しているのですが、中学2年生が5日間の職場体験に臨みます。

体験先は販売業、製造業、農業など様々で、約5,200人の子どもたちが地域とのつながりのなかで学ぶ機会を得ることになります。ここまで大々的にやれるのも、地域の事業所の方々との関わり合いが深く残っている江戸川区だからこそかもしれません。

また修学前の小さな子どもから小学校・中学校へ通う子どもまで、地域の図書館や共育プラザ、スポーツ施設なども充実しているため、年齢やご希望に合わせたいろいろな行政サービスも受けられるかと思います。

ーー地域の方々も区の取り組みに非常に協力的なのですね

区長がよく「地域力」という言葉を使うのですが、保育ママもすくすくスクールも、区民のみなさんのご協力なしでは実現しなかったものです。親水公園も地域の方々が一緒になって積極的に取り組んでいただき、今のように広く大きく造ることができたと聞いております。また親水公園は近隣の小学校が持ち回りで掃除をしてくださっており、いつも気持ちよく利用することができます。このように地域の人たち、地元のボランティアの方々が非常に協力的で、気持ちよく区政に力を貸してくださるところが江戸川区の大きな特徴かもしれません。

江戸川区子ども未来館

子どもを取り巻くさまざまな問題に着手—江戸川区の新たな取り組み

ーー江戸川区の新しい取り組みなどはあるのでしょうか?

まず23区内でも多い待機児童を解消すべく、30年度には区内に認可保育園を12園新設し953名の定員枠を設けました。合わせて認証保育所を認可保育園に移行し、100名ほど枠を広げましたので、実質1000名以上の新たな定員枠を設定いたしました。

また、最近新聞やテレビなどでも報道されている子どもの貧困の問題が大きな課題になっています。こどもの7人に1人が貧困といわれ、貧困から抜け出せない貧困の連鎖も問題視されています。これらの問題に対して区として何かできないかとはじめたのが「学習支援」と「子ども食堂」です。

学校の授業についていきづらい子どもを対象に、区内各所で学習支援の場が設けられ、学習面のサポートを行なっています。大学生や元教諭などがボランティアで指導にあたっています。また、子どもの健康の基本になっている「食事」に関して、江戸川区でサポートしていきたいと考え、現在区内14箇所で、子ども食堂が定期的にオープンしています。食事の内容だけでなく、温かい雰囲気のなかで食事を楽しく摂ってもらうことも大切と考えています。

2017(平成29)年8月からは新たに「食の支援事業」をはじめました。区の有償ボランティアが、支援が必要な家庭にご飯を作りに行く「おうち食堂」は、買い物から調理、片付けまでを行なって食事を提供します。自己負担100円でお弁当を届ける「KODOMOごはん便」と合わせ、子どもたちの健康を江戸川区で支えたいと考えています。ボランティアなどが家庭に入る、または玄関先でも子どもたちと接することで、虐待の未然防止や危急の事態を察知したいと考えております。

海と川に囲まれた豊かな自然環境が育む江戸川区の子育ての魅力

下町ならではの人とのつながりも感じられるあったかい街

ーー最後に、江戸川区の子育て環境の魅力についてお教えください

区長が子育て環境というのは“まちづくり”と同じだと訴えている通り、ベビーカーでも快適に通れる歩道を整備したり、住宅地のなかに親水緑道や公園を整備したりと、長年にわたって取り組んでいる“まちづくり”が子育てしやすい区として知られるようになり、現在の江戸川区を形づくっていると思います。

子育てはひとりでできるものではなく、ご家族はもちろん保育園や幼稚園の先生、子育て仲間と呼べるような方々との出会いも大切で、江戸川区のもつ温かい街の雰囲気がそれを可能にしてくれると思います。水と緑に囲まれた環境も魅力で、葛西地区には大きな公園も人工海岸もありますので、自然に恵まれた環境でのびのびと子育てをしていただければと思います。

江戸川区にあらたに住まわれる方は、ぜひ気軽に江戸川区子育て支援課までお立ち寄りください。江戸川区の子育て事情をわかりやすくまとめた「えどがわ子育てガイド」もご用意しています。

葛西臨海公園

江戸川区役所

子育て支援課の皆さま
所在地:江戸川区中央1-4-1
TEL:03-3652-1151(代表)
開庁時間:8:30~17:00(祝日、12月29日から1月3日を除く)
URL:https://www.city.edogawa.tokyo.jp/index.html
※この情報は2018(平成30)年1月時点のものです。

品川区立清水台小学校インタビュー

「出会い ふれあい 清水台」を合言葉に、学年を越えた人間関係を築く「品川区立清水台小学校」


東急大井町線・池上線「旗の台」駅より徒歩5分。小規模校ならではの良さを生かした教育活動を展開する「清水台小学校」では、1年生から6年生までの学年を越えた“縦割り班”による取り組みが行われています。毎朝校門の前に立って行う「あいさつ運動」や昼休み時間の遊びを通じた「なかよしタイム」など、豊かな人間性を育む機会に恵まれています。今回は、平成29(2017)年4月に校長として着任した髙橋壯昌(たけまさ)先生を訪ね、「清水台小学校」の概要と特色についてお話を伺いました。

品川区立清水台小学校

1953(昭和28)年の開校より65周年を迎える「清水台小学校」

――まず、学校の沿革、概要についてお聞かせください。

学校の北側に「第二延山小学校」(昭和3年創立)という大きな学校がありまして、児童数の増加にともない設置されたのが本校のはじまりといわれています。1953(昭和28)年11月の開校より、今年度で65周年を迎えました。
平成23年からは児童数2桁の小規模校として運営してきたのですが、2016(平成28)年4月に89名だった児童数が、去年は120名、今年は140名と、ここ2年間で50名も増えているのです。

授業風景

もともとこのあたりにお住まいで学区域のお子さんももちろんいますが、特に今年の1年生はいろいろな地域から集まってきているのも事実です。
品川区の調査によると、これから先数年は品川区全体で子どもの数はゆるやかな増加傾向にあるらしく、小規模校の本校にもそれが数字として表れているのではないかと思います。

また「清水台小学校」といえば小規模校で手厚くみてもらえるというような評価をいただいているようで、子どもが大勢いる環境よりもそういうところで子どもを育てたいという考えをもったご家庭のお子さんが、本校への入学を希望している場合もあります。

豊かな人間性を育む“縦割り班”による取り組み

――学校の特色についてお聞かせください。

“縦割り班”といって、1年生から6年生までの縦割りで組織した班での取り組みを行っています。全校児童140名を9つのグループに分けて、それぞれのグループに1年生から6年生までの子どもたちが所属する班ごとの活動を行います。
今日の昼休みも縦割り班で活動する「なかよしタイム」が予定されていて、異学年の集団が一緒に遊びます。

「なかよしタイム」の様子

私がこれまで勤務した学校でも縦割り班の取り組みはあったのですが、たとえば遠足のような特定の行事や集会のための編成であることが多かったように思います。しかし本校の縦割り班は遊びも、給食も、掃除も、朝のあいさつ運動にも及びます。
つまり行事のための縦割り班ではなく、生活に息づいている縦割り班ともいえます。普段の生活を見ていてもお互い声をかけあったり、名前で呼び合ったりと、1年生から6年生まで非常に仲が良く、深い人間関係を築いているところが小規模校の本校ならではのよさなのです。

高学年のお兄さん・お姉さんが低学年の子どもたちの面倒をしっかり見ている

縦割り班の活動を通して、高学年は小さな子たちの前で手本とならなければいけませんし、規範意識や規律なども自然と意識するようになります。またそれを見て育つ低学年は「将来自分もああなりたい」という憧れを抱いて、何年か先の自分の姿というものを目の前のお兄さんお姉さんに重ねて行動するようになります。そういう関係が豊かな人間性を育んでいくと私は感じているところです。

「出会い ふれあい 清水台」を合言葉に掲げ教育活動を展開

――教育目標についてお聞かせください。

私が着任したときに感じた本校の第一印象は、子どもたちが学年を越えて仲が良いということと、教職員が子どもたち全員の顔と名前を把握して指導に当たっているというところに非常に感銘を受けました。
そこで、この本校の特色をもっとアピールしていこうと、昨年、学校経営方針に「出会い ふれあい 清水台」を合言葉に掲げ、本校の教育の柱にしました。

小規模校だからこそ体験できることもたくさんある

小規模校ではあるものの子どもたちには毎日新しい出会いがあって、その出会いというのは良いこともあれば、時には課題と向き合わなければならないこともあって、それを友達や教職員と共有しながら根気強く取り組むことによって、チカラに変えていくことが大切だと考えています。

もちろん出会いというのは学校の中だけのことではなく、地域の方との出会いであったり、地域の良さに触れたりということも含め、子どもたちを取り巻くすべての環境に様々な出会い、様々なふれあいがあって、一人ひとりが主体的に生きていく、それが清水台の教育なのだという想いを合言葉に込めています。
詳しくは学校HPの「学校だより」や「校長室より」でも触れておりますので、ぜひご覧ください。

一人1台のタブレットを用意し、ICT教育にも取り組む

――学習面で特筆すべき取り組みは?

学校の概要をまとめた「学校案内(平成29年度版)」もHPからご覧いただけますが、特色ある教育活動のひとつにICT教育があります。
平成26年度に「品川区教育委員会ICT活用推進校」の指定を受け研究を行ってきましたが、本校では人数が少ないこともあって子ども一人に1台のタブレットが用意されています。
品川区全体でICT教育に力を入れてはいるのですが、人数の多い学校ではまだ十分に整備できていないと聞いています。本校は研究推進校であったことが評価されたと思っています。

子どもたちがタブレットパソコンを活用している

高学年になれば自分のタブレットで調べものをしたり、プレゼンテーションを作って発表したり、タブレットを家に持ち帰って宿題や家庭学習にも活用しています。また全学年の教室にプロジェクターと電子黒板、パソコンと連動した実物投影機も整備されていて、ICT機器を効果的に活用した授業に取り組んでいます。

電子黒板を利用した授業

「荏原第五中学校」と連携した小中一貫教育への取り組み

――小中一貫教育また保育園、幼稚園との関わりについて教えてください。

品川区では平成18年度からすべての公立小中学校で小中一貫教育を実施しています。区内に6校ある施設一体型の義務教育学校はその象徴的なところではありますが、本校のようないわゆる施設分離型の小中学校でも近隣の学校同士が連携し合って小中一貫教育に取り組んでいます。
本校は「旗の台」駅の南側にある「荏原第五中学校」と連携しています。7月には6年生を対象とした部活動体験、夏休みには本校の6年生の勉強を8年生がみてくれるサマースクールが行われます。

ちなみに品川区では中学1年、2年、3年を7年、8年、9年と呼んでいるのですが、具体的な連携についての取り組みは今後HPにも掲載していく予定です。
また幼稚園、保育園との関わりについては「旗の台保育園」が近くにあって、本校の行事を見に来てもらったり、1年生と交流したりする機会もあります。また5歳児のお子さんは本校のプールも使いますし、一緒に給食を食べることもあります。

「品川コミュニティ・スクール」としての学校運営がスタート

――「品川コミュニティ・スクール」としての現状についてお聞かせください。

私が着任した2017(平成29)年度から「品川コミュニティ・スクール」としての学校運営がはじまったのですが、もともと小規模校だったので保護者や地域の方との関係性はすでに築かれていましたし、認識としてそれを広めていくことが今は大事なことだと思っています。
「品川コミュニティ・スクール」とは、学校と保護者、地域が連携して子どもたちを育てていく仕組みのことで、保護者、地域住民、学識経験者が参画する「校区教育協働委員会」が立ち上がりました。

校内の様子

また本の読み聞かせや放課後学習支援など具体的な学校支援を行う「学校支援地域本部」、学校支援ボランティアの募集や学校がどのような支援を必要としているのかを把握して学校と地域とをつなぐ「学校地域コーディネーター」と呼ばれる方も新たに配置され、地域全体で学校教育を支援する体制が整いました。

人と人とのつながりが感じられるあたたかい街

――学校周辺の地域の魅力についてお聞かせください。

地域の魅力は・・・やっぱり人のあたたかさですね。毎朝校門の前で挨拶をしていると、1年も過ぎればお互い顔が分かるようになって声をかけ合う関係になりますし、それこそ「おはようございます」とか「今日は暑いですね」だけじゃなくて、「今日は荷物を持ってどちらに行かれるんですか?」というような会話もできるようになりました。
そうすると地域の方も「先生も毎日大変だね」と労わりの声をかけてくださったり、人と人とのつながりを感じられる瞬間があったりします。

旗の台三丁目商店街

学校運営に関していえば、地域の方は行事によく足を運んでくださいます。保護者の方も子どもたちの様子をよく見てくださっているので、今後も変わらずご理解とご支援をいただければと願っています。
来週は2年生が商店街のまち探検に行くのですが、お店の方が「協力します」とたくさん手を挙げてくださいました。これからも引き続きよろしくお願いいたします。

品川区立清水台小学校

品川区立清水台小学校

校長 髙橋壯昌(たけまさ)先生
所在地:品川区旗の台1-11-17
URL:http://school.cts.ne.jp/smizudai/
※この情報は2018(平成30)年6月時点のものです。

「出会い ふれあい 清水台」を合言葉に、学年を越えた人間関係を築く「品川区立清水台小学校」
所在地:東京都品川区旗の台1-11-17 
電話番号:03-3781-4841
http://school.cts.ne.jp/smizudai/

弥富市役所 秘書企画課 インタビュー

市民と行政が一緒につくる、防災と子育てに強い弥富市/弥富市役所 秘書企画課


名古屋や関西へのアクセスが良く、平坦で住みやすい環境から、子育て世帯が増え、活気づく弥富市。一方で弥富市は安全で安心な暮らしのために市民と一緒に防災対策を推進している。都市と自然が調和する弥富市のまちづくりや防災と便利になる新庁舎について、弥富市秘書企画課をはじめ、各課の担当者にお話を伺った。

名古屋市とのアクセスが良い、日本有数の金魚のまち

左から伊藤重行さん、梶浦智也さん、横井克典さん、岩田繁樹さん、弥富市公式キャラクター「きんちゃん」

――まずはじめに弥富市の概要について教えてください。

総務部 秘書企画課 横井さん:弥富市は海抜0メートル地帯が広がる平坦な地形です。江戸時代から始まった干拓により、農地や市街化地域の広がりが進み、現在に至ります。名古屋市の西側20km圏内ということもあり、筏川以北に住宅地が広がり、名古屋のベッドタウンとなっています。近年は新しいマンションや戸建住宅も目立ってきています。また、筏川以南は主に水田が広がり、港湾付近は工業地帯となっています。

開発部 商工観光課 梶浦さん:弥富市といえば金魚。金魚3大産地の1つに挙げられています。江戸時代に東海道を旅していた金魚売りが金魚を休ませるためにこの辺りに池を作って放ったことが弥富金魚の始まりとされています。水や土が金魚の飼育に適していたため、その後どんどん養殖が発展していったそうです。金魚農家数は減少していますが、今でも91軒あり、生産量と登録品種数は全国トップクラスを誇ります。

誰もが使いやすい、いざという時の防災拠点となる新庁舎

――現在、「弥富市役所」が建替工事中ですが、どのような庁舎になるのか教えてください。

弥富市役所 新庁舎完成図

総務部 庁舎建設準備室長 伊藤さん:現在の庁舎は1966(昭和41)年に建てられたものなので、老朽化が著しく、防災拠点としての役割を担う庁舎として必要な耐震基準を満たしていませんでした。今後懸念されている東南海地震等に備えることを考慮し、新庁舎は災害時の防災拠点となるように現在建替工事を行っています。また、どなたでも気軽に来庁していただけるように、ユニバーサルデザインはもちろん、使いやすくてわかりやすい庁舎になるよう設計しています。駐車場からそのままベビーカーで入ることができ、また、庁舎の中に保健センターも入るので、子育て世帯の方には便利に利用していただけると思います。また、市民ギャラリーを設けるなど、オープンな市役所庁舎にしますので、市民と行政の交流の場となることも期待しています。新庁舎完成は2020(平成32)年1月末を目指しています。

若い人の意見を取り入れて進める市民協働のまちづくり

――発展を続ける弥富市ですが、まちづくりの将来像について教えてください。

横井さん:まちづくりについては、2009(平成21)年度から10年計画で策定した「第1次弥富市総合計画」にある将来像「みんなでつくるきらめく弥富 自然と都市が調和する元気交流空間」に基づいて進めてきました。この計画は2018(平成30)年度をもって終了するため、2019(平成31)年度からは「第2次弥富市総合計画」を策定し、これをまちづくりの指針としていきます。

弥富市の様々なまちづくり計画

――「第2次弥富市総合計画」は策定中ということですが、どのように進められているのでしょうか。

横井さん:市民のみなさんが理想としているまちを実現するために、「市民ワークショップ」を行いました。参加者40名ほどが「都市整備」「生活環境」「保健・医療・福祉」「教育・文化・スポーツ」「産業」「人権・協働・行財政」の6つのテーマに沿ってグループに分かれ、弥富市の良いところと悪いところを出し合い、どのように解決すれば良いのかを討議しました。市民はもちろん、市の若手職員、連携協定を結んでいる愛知大学の学生も参加し、若い人の意見を取り入れています。ほかにも、一般市民や市内の全中学生からのアンケートも参考にしています。なかでも愛知大学の学生は、弥富市の課題を見つけるために弥富市の各課でヒアリングをしてくださいました。その研究結果を論文に、市民や市向けに発表してくださいます。また、同計画の愛称とロゴも市民から募集するなど、市民の方を巻き込みながらまちづくりを進めています。

地域で助けあう「共助」を、「市民ワークショップ」で考える

「市民ワークショップ」の様子

――まちづくりの重点としているうちの一つ、防災に関してはいかがでしょうか。防災に関しても「市民ワークショップ」を開かれたそうですが。

総務部 危機管理課 岩田さん:2016(平成28)年度は「津波」をテーマに、2017(平成29)年度は「共助」をテーマにした「弥富市防災ワークショップ」を行いました。2017(平成29) 年度は全7回、述べ600人以上の方が参加し、実際に災害が起きた時、高齢者や障がい者、乳幼児等の要配慮者を地域でどのように助けていくのかを話し合いました。行政と地域、保育所の所長さんにも参加していただき、相互に助け合えるまちづくりを築いています。

新婚世帯から高齢者を介護する世帯まで、幅広く支援

――そのほか、弥富市の特徴的な取り組みがあれば教えてください。

横井さん:市内で新生活を始められる方に活用していただきたい制度が「新婚新生活支援補助金」です。結婚に伴う新生活のスタートを弥富市で後押しするため、新居となる住宅の購入費や賃料、引越しにかかった費用について1世帯当たり24万円を上限として補助金を交付しています。2019(平成30)年度も継続していく予定なので、弥富市での新生活を始めるきっかけにしていただきたいと思います。

「健康フェスタ」の様子

また、弥富市は市制10周年を迎えた2016(平成28)年に「弥富市健康都市宣言」をしました。一人ひとりがより良い生活習慣を心がけ、地域社会全体で健康作りを進めていくことを目指しており、毎年秋に開催している「健康フェスタ」は弥富市の中でも大きなイベントとなっています。
そして、弥富市の人口の25%を占める高齢者の方がいつまでも健康で生きがいをもって自立した生活を送ることができるような取り組みも行っています。例えば、市から「JA愛知厚生連 海南病院」へ委託をしている「地域包括支援センター」や「弥富市ささえあいセンター」などは高齢者の方の生活に関する困りごとを相談できる窓口になっていたり、高齢者の方をサポートする組織になっていたりと高齢者ご本人のみならず、そのご家族の支援としてもこれらの事業を活用していただきたいと考えています。

休日も楽しめる充実のイベント

――弥富市内で開催されるイベントについて教えてください。

梶浦さん:毎年秋に、金魚の美しさを競う品評会「金魚日本一大会」が開催されています。日本中の金魚愛好家が集まり、珍しい金魚を鑑賞することができます。毎年4月には「三花(さんか)まつり」と呼ぶ弥富市3大まつりを行っています。上旬には桜がメインの「春まつり」、中旬には芝桜がメインの「芝桜まつり」、下旬には藤がメインの「藤まつり」を行っています。「春まつり」では金魚の品評会が、「藤まつり」では神楽太鼓などの伝統芸能が披露され、花以外の催し物も楽しめます。さらに「三ツ又池公園」で咲く約10万株の芝桜は、2008(平成21)年度から市民と行政との協働のまちづくりの一環として植栽がはじまり、毎年11月頃に市民ボランティアの参加によって植栽され、弥富市の新しい観光スポットともなっています。

弥富市「春まつり」

良好なアクセス、医療機関の充実、生活に便利なエリア

――弥富エリアの魅力について教えてください。

横井さん:JR関西本線や近鉄名古屋線などの鉄道、東名阪自動車道や伊勢湾岸自動車道といった高速道路が東西に走っているので、交通アクセスが便利な地域です。「名古屋」駅までは約15分、「中部国際空港」まで公共交通機関を使って最速で50分ほどで行けるので、海外へ行くときにも便利です。
また、市内にスイーツ店が多いのも特徴です。市民の中で「やとみスイートハートプロジェクト」が立ち上がり、「やとみ恋巡りスイーツマップ」を作成したり、各種イベントに出店したり、弥富市の魅力を新しいアプローチでPRして、まちの活性化を目指しています。
市街化地域に新しいマンションや戸建が増えている影響で、実際に子育て世帯が増えてきています。一方で、市民主導のプロジェクトが立ち上がるなど、若い方たちによるまちづくりが盛り上がりをみせています。たくさんの人に愛され、親しまれながら、将来を担う子どもたちの夢と希望が広がる弥富市になることを期待しています。

弥富市秘書企画課

弥富市役所

総務部 庁舎建設準備室 伊藤重行さん
開発部 商工観光課 梶浦智也さん
総務部 秘書企画課 横井克典さん
総務部 危機管理課 岩田繁樹さん
所在地:愛知県弥富市前ケ須町南本田335
電話番号:0567-65-1111
URL:http://www.city.yatomi.lg.jp/
※この情報は2018(平成30)年1月時点のものです。

市民と行政が一緒につくる、防災と子育てに強い弥富市/弥富市役所 秘書企画課
所在地:愛知県弥富市前ケ須町南本田335 
【弥富市役所】
電話番号:0567-65-1111(代表)
業務時間:8:30〜17:15
閉庁日:土曜日・日曜日・祝日、12月29日から1月3日
http://www.city.yatomi.lg.jp/
【弥富市立図書館】
電話番号:0567-65-1117
開館時間:火曜日~金曜日 9:00~19:00
土曜日・日曜日・祝日 9:00~17:00
http://www.yatomi-library.com/

弥富市役所 民生部児童課 インタビュー

充実した子育て環境を整え、「子育てするなら弥富市へ」と言ってもらえる街に/弥富市役所 民生部児童課


左から渡邊一弘さん、大木弘己さん、野口啓子さん、飯田宏基さん

行政と子育て・教育施設がそれぞれが連携し合っているため、地域全体で子育てしやすい環境が整っている弥富市。保育所の充実、子育て支援センターの取り組みなどが、核家族や共働きをしている家庭にとって心強い味方となっている。今回はそんな弥富市の子育て環境を支える弥富市役所 民生部児童課の担当者の方、そして弥富市立桜保育所の所長さんにお話を伺った。

アクセスの良さから住宅が増加。子育て家庭に対応する行政

――弥富市の子育て家庭数はどのような状況でしょうか。

民生部児童課長 大木さん:「近鉄弥富」駅の南部は市街化地域になっており、新しいマンションやアパート、戸建て住宅が増えているので、子育て家庭も少しずつ増えていく傾向があるようです。特に「弥富市立桜保育所」の近隣には世帯数が増えてきているのも特徴です。そのようなお子さんがいらっしゃる共働き家庭の声に応えるためにも、保育所や行政の事業などを充実させています。

充実の子育て制度と施設

――弥富市の子育て環境や子育て制度について教えてください。

民生部児童課 児童家庭グループ 飯田さん:各校区に児童館や保育所があるほか、小学生の留守家庭児童を対象にした児童クラブも備えています。他にも子育て世帯を応援するために、「子育て支援センター」を3つ、地域で相互に助け合う「ファミリー・サポート・センター」、病児・病後保育施設「キッズケアルームえがお」、お子さんの成長が気になる親子が通える療育施設「のびのび園」などがあります。

「キッズケアルームえがお」

飯田さん:「JA愛知厚生連 海南病院」と連携している「キッズケアルームえがお」は、病院の南側に位置しており、さらに施設としては独立しているので、気兼ねなく病気の子どもを預けることができます。また、「のびのび園」は発達の遅れが気になるお子さんと保護者が親子で通園する施設ですが、各保育所とも連携をとっているので、安心してご利用いただけます。これらの公的な子育て施設がそれぞれの施設と情報共有し、しっかりと連携ができているところが弥富市の子育て環境の特徴となっています。

民生部児童課 保育グループ 渡邊さん:また、小学校は8つ、中学校は3つあります。「弥富市立桜小学校」や「弥富市立弥富中学校」は校舎の増築の時に展望台を設けたり、「弥富市立弥富北中学校」は台形型の校舎になっているなど各学校ごとに校舎の特徴があるのも興味深いと思います。ちなみに、給食は保育所も小中学校も自園・自校給食なので、温かくておいしい給食が食べることができ、さらには食育にもつなげることもできています。

子育てポータルサイト「子育てするなら弥富市へ」

渡邊さん:弥富市では、子育て・教育に関連した事業にも取り組んでいます。中学生までのお子さんの医療費が無料になる「子ども医療費支給事業」を愛知県内でいち早く取り入れており、「災害時避難情報システム整備事業」は保育所での災害時に、子どもたちの居場所を保護者に知らせるシステムです。また、「外国人児童向けプレスクール事業」では、外国人のお子さんが小学校入学前までに日本語の読み書きができるように、専門の先生が指導しています。これらの情報は市が運営する子育て情報ポータルサイト「子育てするなら弥富市へ」にも掲載されているので是非そちらも活用していただければと思います。

市内で同等のサービスを受けられる保育所。保育所同士の交流も盛ん。

――弥富市内の保育施設について教えてください。

渡邊さん:市立の保育所は9つあり、「弥富市立桜小学校」周辺には「弥富市立桜保育所」と「弥富市立南部保育所」がありますし、お子さんを保育施設に預けている方はほとんどが公立の保育所を利用されているようです。月2回は市内の保育所長が集まり、打ち合わせや意見交換をして情報共有をしているので、市内の保育所ならほとんど同じサービスを受けていただくことができるのが特徴です。

――実際に子どもたちはどのように園生活を送っているでしょうか。

「弥富市立桜保育所」での児童の様子

野口所長:「弥富市立桜保育所」は遊具がたくさんあり、園庭も広いので子どもたちは元気に、のびのびと園生活を送っています。春になると園の周囲に桜が咲き誇り、その後も藤や花壇の花が次々と咲いていくので、季節を感じられるのも魅力の1つです。年間行事も多く予定していますし、「海南こどもの国」や「愛知県弥富野鳥園」、「富浜緑地公園」へ出かけることもあり、自然が多い弥富市らしい活動もしています。また、地震・津波行動訓練と消火避難訓練は毎月市内の全公立保育所で行っています。シチュエーションを変えてどんな状況にも対応できるよう訓練しているので、保護者の方は安心して保育所に通わせていただけると思います。

渡邊さん:小さな頃から防災意識を身につけておくことで、落ち着いてスムーズに避難できる力を身につけることができるでしょう。もちろん、行政も津波から市民の命を守るために、屋上に避難ができるよう公共施設の整備を進めるとともに、津波ハザードマップを全戸配布する計画を進めており、安全なまちづくりに努めています。

「桜保育所」に咲く美しい桜

――保育所では「運動あそび」を取り入れているそうですが、どのような活動でしょうか。

野口所長:近年は保育の時間に「運動あそび」を取り入れています。逆上がりや跳び箱に挑戦したり、投げる力を養ったり。運動能力はもちろん、意欲ややる気、諦めない気持ちをもつことができ、精神面を鍛えるためにも良い活動だと考えています。普段から跳び箱やボールなどの道具を出し、いつでも挑戦できるようにしています。周囲のお友達のフォローやまだ「運動あそび」が始まっていない年少さんが、お兄さんやお姉さんの姿を見て憧れをもつなど、人との関わりにも良い影響があるようです。

――他の保育所との交流はありますか。

野口所長:普段からバスに乗って行き来していたり、全保育所が集まり近隣2園でチームを作り、ドッジボール大会を行っています。保育所長会ではリレー大会や鬼ごっこ大会もやってみたいね、と話しています。小学生、中学生になった時に同じクラスになる可能性もあるので、園を超えた交流を大切にしています。

子育てひろばの利用や気軽に相談ができる「子育て支援センター」

――市内の「子育て支援センター」について教えてください。

飯田さん:子育ての困りごとがある時は、気軽に「子育て支援センター」で相談して欲しいと思います。市内には「ひので子育て支援センター」、「弥生子育て支援センター」、「東部子育て支援センター」と3箇所あり、それぞれ「ひので子育て支援センター」は単独施設、「弥生子育て支援センター」は「弥生児童館」と「弥生第一児童クラブ」を併設、「東部子育て支援センター」は「東部児童館」と「ファミリー・サポート・センター」の事務所になっています。各施設では年齢ごとの子育てひろばやリトミック教室などが行われており、親同士の交流や気分転換できる場としても利用できます。

弥富市大藤児童館(児童館まつりの様子)

市民の力も借りながら、よりよい子育て環境を目指す

――今後、子育てではどのような取り組みをされていかれる予定でしょうか。

大木さん:これまでにも、弥富市民のみなさんからの期待に応えながら、きめ細やかな子育て環境を整えてきました。しかし、まだ気づいていない部分や時代の流れによって変化していく部分もあると思いますので、さまざまなご意見を聞きながら、対応していきたいと思います。また、市民のみなさんの力をお借りすることもあると思いますし、自主的に何か立ち上げたいという声が上がれば、お手伝いしていきたいと考えています。弥富市の制度や施設を利用していただき、よりよい子育てをしていただければ幸いです。

家族で楽しめるレジャースポットもたくさん

――最後に、周辺のおすすめスポットを教えてください。

海南こどもの国

飯田さん:先ほども保育所で訪れる場所として挙がっていた「海南こどもの国」や「愛知県弥富野鳥園」がお勧めです。「海南こどもの国」はアスレチックや足踏み式ゴーカート、水上自転車などが低料金で楽しめるため、近隣の市町村から足を運ぶ家族も多いようです。

大木さん:木曽川左岸堤にある「水郷の塔」から眺められる、木曽川河畔や鈴鹿山脈の景色がお勧めです。雄大な景色を見られるのも、弥富市の特徴です。

渡邊さん:おいしいスイーツやモーニングのお店が多くあります。遊ぶところも、飲食店もたくさんある弥富市で、楽しい子育てをしていただきたいと思います。

――本日はありがとうございました!

弥富市民生部児童課

弥富市役所 民生部児童課

民生部児童課 保育グループ 渡邊一弘さん
民生部児童課長 大木弘己さん
弥富市立桜保育所 所長 野口啓子さん
民生部児童課 児童家庭グループ 飯田宏基さん
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※この情報は2018(平成30)年1月時点のものです。

充実した子育て環境を整え、「子育てするなら弥富市へ」と言ってもらえる街に/弥富市役所 民生部児童課
所在地:愛知県弥富市前ケ須町南本田335 
【弥富市役所】
電話番号:0567-65-1111(代表)
業務時間:8:30〜17:15
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「鶴原ヨガスタジオ」 天王寺本部 本部長 広田さん インタビュー

誰でも始められ、長く続けられる人気のヨガ教室「鶴原ヨガスタジオ」


健康志向のエクササイズとして、すっかりメジャーに浸透してきたヨガやピラティス。「天王寺」駅から歩いて5分という好立地に、広々としたスタジオを構える「鶴原ヨガスタジオ」は鶴原オーナーが1986(昭和61)年に開いた教室だ。現在は東大阪校を加えた2つの教室と、各地で派遣ヨガ教室も開催している。鶴原オーナーは御年73歳にも関わらず、現在も現役講師としてアクティブに活動されているそうだ。今回は、そんな「鶴原ヨガスタジオ」の天王寺本部の本部長、広田さんに教室の概要と天王寺の街の魅力について話を伺った。

男女問わず幅広い年齢層に人気

レッスンの様子

――まず、天王寺でヨガ教室を始めた経緯について教えていただけますか。

広田さん:鶴原オーナーは散策がとても好きな方で、特にこの天王寺周辺を気に入っています。四天王寺のような大きなお寺や、通天閣、新世界があって、駅周辺には当時の下町の雰囲気が残っている場所もあるので、そんな雰囲気が大好きで、ヨガ教室を開くならここにしようと決めて、1986(昭和61)年に始まりました。当時は今のビルではなく、少しだけ離れた場所で教室を開いていました。

継続することで体の柔軟性がつく

――鶴原ヨガスタジオの概要について教えてください。

広田さん:ヨガやピラティスを教えているスタジオは女性限定が多いですが、うちは男性もいらっしゃいます。トータルすれば女性のほうが多いですが。年齢も小学生から84歳まで幅広いですね。オーナー自身の年齢が上なので、そんな歳でもできるんだという、いい見本になっているのが幅広い年齢層の方に来ていただけている要因かと思います。

レッスンは月謝制とチケット制の2つがあり、レッスンの時間割もその2つで別れています。チケットタイムでは、チケットを購入していれば予約も必要なく、自由に飛び込みで来ても大丈夫です。「天王寺」駅から時間もかからない場所ですし、仕事帰りにも通いやすいんですよ。

心身両面の体のバランスを整える

ボールを使って下半身を引き締める

――どのような目的を持った人が通われていますか。また、実際どのような効果があるのでしょうか。

広田さん:やはり、健康やダイエットという目的の方が多いですが、なかには集中力をつけたいとか、瞑想をしたいという方もいらっしゃいますね。

体の柔軟性がついてくるのは分かりやすい効果のひとつですね。継続していけば、必ず以前よりは伸びるようになっていきます。体が硬くても大丈夫か心配される方も多いですが、普段は伸ばさない部分を少し動かしてあげると効果があるものですから、無理して一気に伸ばさずに、じっくり継続していくことで体が変わっていきます。

丁寧なサポートが、長く通い続けられる秘訣

また、ヨガは自律健康法といって、心身両面の体のバランスを整えることができます。ヨガを続けていくと、自然と体が健康志向になっていくのです。食の嗜好が変わってきて、意識しなくてもバランス志向の食事に体が落ち着く、というのは生徒さんたちからもよく聞きます。ヨガを続けると自分の体の声が聞こえるので、心の声も聞こえる、ということになるのです。

幅広い年齢層の方が通うヨガスタジオ

――鶴原ヨガスタジオさんで人気のコースやオススメしたいことはありますか。

広田さん:当スタジオでは、アメリカで流行になった筋力を意識したパワーヨガからソフトヨガまで、各種たくさんのコースが用意されています。ソフトヨガという呼び名は当スタジオ独自の呼び方なのですが、軽いストレッチ系のヨガや、ハーブを使った癒し系のヨガ、マタニティヨガやデトックスヨガなどです。デトックスヨガのビワ温灸を使ったものは人気があります。

当スタジオでは男女問わず幅広い年齢層の方が通われていますし、ヨガを習うなら体がこうでなくては、みたいな先入観は一切取り払って来ていただきたいです。長く続けられる生徒さんが多いのも、当スタジオの特徴ですね。

新旧が共存する味わい深い街、天王寺

「あべのハルカス」

――最後に、天王寺エリアの街の魅力やおすすめしたいスポットなどかあれば、教えていただけますか。

広田さん:古いもの、新しいものが共存していて面白いところですね。庶民的なお店もたくさん残っています。当スタジオの道路を挟んだ正面になるのですが、いろんな種や苗をたくさん揃えておられる「赤松種苗」さんが個人的に気に入ってます。散策するたびにいろんな発見があり、街の味わいが深いのが天王寺というところかなと感じています。

誰でも始められ、長く続けられる人気のヨガ教室「鶴原ヨガスタジオ」

鶴原ヨガスタジオ

天王寺本部 本部長 広田さん
所在地 :大阪府大阪市天王寺区茶臼山町2-9 茶臼山ビル5F
TEL :06-6772-8125
URL:http://www.tsuruharayoga.com/
※この情報は2016(平成28)年9月時点のものです。

誰でも始められ、長く続けられる人気のヨガ教室「鶴原ヨガスタジオ」
所在地:大阪府大阪市天王寺区茶臼山町2-9 茶臼山ビル5F
電話番号:06-6772-8125
http://www.tsuruharayoga.com/

「大阪市立工芸高等学校」 校長 柘原康友 先生 インタビュー

歴史薫る校舎でデザインを学ぶ「大阪市立工芸高等学校」


長い歴史と風格のある校舎を持つ学校として多くの人に知られている「大阪市立工芸高等学校」。1923(大正12)年開校の歴史ある学校で、多くの著名人を輩出している。今回は、校長の柘原先生に学校の歴史や歩み、また、工芸高校という専門性の高い学校ならではの特色や、天王寺の街の魅力についてお話しを伺った。

「真実一路」を追求する工芸高校の歴史と歩み

校舎本館

――1923(大正12)年に開校当時の工芸高校の役割とは、どのようなものだったのでしょうか。

柘原校長:当時においては、芸術やデザインという分野の拠点はどちらかといえば大阪より東京が中心であったようにお聞きしています。当時の大阪は鉄鋼や紡績などを産業の基盤に、間もなく「大大阪(だいおおさか)」と言われる産業界の華々しい発展の到来を迎えるわけですが、そのような機運に乗って、芸術やデザインに関する教育の拠点を大阪にもつくろうではないか、という思案が浮上してきたようです。本校の設立の計画と、ちょうど時期を同じくして「大阪市立美術館」を建設する計画も発案され、大阪に芸術を中心とする文化を創造するための整備を進めようという社会的な背景があったことが分かります。そのような流れの一翼で、芸術やデザインを学ぶ実業系の学校として「大阪市立工芸高等学校」の設立に至りました。

――教育目標や目指している方向性について教えていただけますか。

柘原校長:生徒手帳の最初に『真実一路』という言葉が記されています。「感性」や、そこに通じる「心」は大人になってからも磨かれていくものですが、十代の高校生にしか体験できないこともあります。

中庭の噴水に設置されているブロンズ像「夏の海」

開校当初は「金属工芸科」「木材工芸科」「工芸図案科」という3つの学科がありました。現在の学科名や科目とは若干の違いがありますが、設立当初から現在に至るまで、教育方針として培われていることは、デザインするだけでなく、実際に「形」としてつくり上げるまでの一貫した指導を行っており、このような教育を通じて芸術界や産業界で活躍できる人材の育成を担ってきました。『真実一路』を教育方針の根本と考え、それを実践する環境が本校にはあり、これからも、そうあり続けることが本校の方向性、さらには目標であると考えます。

――どのような学科がありますか。それぞれを簡単に紹介していただけますか。

柘原校長:本校は「ビジュアルデザイン科」「映像デザイン科」「プロダクトデザイン科」「インテリアデザイン科」「建築デザイン科」といった、5つの工業系の学科に「美術科」を加えた6つの学科を設置しています。

「ビジュアルデザイン科」は平面デザインや陶芸のクラフト制作を通じてプレゼンテーション力や総合的なデザイン力を学びます。「映像デザイン科」は静止画、動画、コンピュータグラフィックスの3つを軸とした映像デザインの基本と応用について。「プロダクトデザイン科」はモノづくりに関わる工業系デザイン。「インテリアデザイン科」は住宅、店舗などの空間デザインと、家具や小物などモノづくりのデザイン。「建築デザイン科」は人が住んだり活動する場のデザイン。建築士の資格取得の学習もします。「美術科」は美術や造形に関するものすべてを学びます。

生徒達のデッサン作品

――特に人気や注目が集まっている学科はありますか。

柘原校長:昨今の事情に関わらず、一貫して人気が高いのはビジュアルデザイン科と美術科です。ビジュアルデザイン科はポスターや広告のデザインを通じて絵や図柄を多く描き、美術科は洋画・日本画などを中心にさまざまな絵を描きます。やはり本校の生徒は基本的に絵を描くことが大好きなので、このような学科の人気が高いのではないでしょうか。また、プロダクトデザイン科や建築デザイン科には比較的男子生徒が多く、建築に携わることや、自動車をはじめ工業製品のデザインを主に手掛ける学科であることがその理由ではないかと思います。

2008(平成20)年には経済産業省近代化産業遺産に指定された校舎

――校舎も歴史を感じさせる立派な建物ですね。

柘原校長:94年の歴史を持つ本校の校舎は、2000(平成12)年に大阪市有形文化財、2008(平成20)年には経済産業省近代化産業遺産に指定されています。1995(平成7)年には大掛かりな耐震工事も行っていますが、外観は当時からの姿を維持しています。長い歴史と美しいデザインの、この校舎は我々学校関係者のみならず、近隣の方からの憧れの的にもなっています。それを我々の「誇り」でもあると感じていますし、これからもずっと、その誇りとともにこの校舎を後世に残していくべきだと考えています。

普通科とは違う、より実践的なキャンパスライフを紐解く

歴史と伝統を繋ぐ校舎

――オープンキャンパスや実技講習会などのイベントでは、どのようなことができるのですか。

柘原校長:オープンキャンパスは毎年7月、9月、11月と3回行われ、毎回400名ほどが参加されます。対象は中学生と、その保護者の方で、事前にエントリーしていただければ参加していただくことができます。本校がどのような学校なのかという説明と、各学科の説明を生徒が作ったPRビデオで紹介しています。また学内のいろんな場所で各学科のブースを設けたり、実際の授業内容の紹介や体験ができるようになっています。また、本校の受験には実技がありますが、中学生にとって実技の受験というものはなかなか想像しにくいものであるということから、実際に過去に行われた実技試験内容を紹介したり、体験したりしていただいています。

――2月には工芸高校展も行われるそうですね。

柘原校長:生徒が制作した作品を展示する展示会で、毎年約4,000人の来場者があり、生徒の努力の集大成ともいえる展示会です。また、この展示会は作品の展示のみを行っており、文化祭とは別のイベントです。もともと美しい校舎ですが、工芸高校展の開催時には展示物に溢れ、学校全体がさらに美しい装いになります。ぜひ一度お越しいただき、ご覧いただければと思います。

解放感のある中庭

――卒業生の進路について教えていただけますか。

柘原校長:本校では、多くの生徒が工芸高校で学習した内容をさらに深めたい、という思いで進学しています。その内訳は、80パーセントが芸術・美術系学部に進学、10パーセントの生徒が就職します。また、東京芸術大学をはじめとする国公立大学などへの合格をめざし、浪人する生徒もいます。

主な就職先企業は自動車、印刷、建築、劇団の舞台担当などです。進学先からは、それぞれの専門分野を生かして就職する者がたくさんいます。例えばトヨタ、ホンダ、マツダなどの自動車メーカーに本校出身のデザイナーなどはたくさんいます。

羽ばたく工芸高校生の未来の夢。この地から。

文の里の地に根付いた工芸高校

――今後の展望についてどのようにお考えですか。

柘原校長:本校の6つの学科のうち、美術科を除く5つの学科はすべて産業デザインに関する学科です。産業デザインというのは、時代とともに目まぐるしく移り変わっていくものです。社会の変化に対応し、子どもたちに必要な知識、新しい知識を吸収させるために、学校としてどのような体制を整えることが良いのかと、常に自問自答しながらより良い学校運営を進めていきたいと思っています。そのような取り組みを行うなかで「工芸ブランド」を、この校舎とともにしっかりと守っていかなければならないと考えています。

――天王寺・阿倍野エリアの魅力について教えていただけますか。

柘原校長:私はこの街を文化に親しみやすい場所だと思っています。文教地区と呼ばれていますが、この周辺は特に高校が多く、それぞれジャンルの違うさまざまな特徴を持った学校があります。文教地区と呼ばれるのに相応しい場所だと思っています。また、新しいものから古い歴史を持つものまで、いろんなものが混在しているなかで、古い文化を大切にする意識が強いのかな、と感じます。

時計塔越しに見る「あべのハルカス」

商店街や街並みにも、そういう意識を感じます。象徴的なものとして、私個人がとても好きな風景が、本校の校舎の時計塔越しに見る、「あべのハルカス」の眺めです。100年の歴史の違いのある建物が2つ並んで見えるのは、この街を象徴しているのかなと、感慨深く眺めております。

歴史薫る校舎でデザインを学ぶ「大阪市立工芸高等学校」

大阪市立工芸高等学校

校長 柘原康友 先生
所在地 :大阪府大阪市阿倍野区文の里1-7-2
TEL :06-6623-0485
URL:http://swa.city-osaka.ed.jp/swas/index.php?id=h713525
※この情報は2016(平成28)年9月時点のものです。

歴史薫る校舎でデザインを学ぶ「大阪市立工芸高等学校」
所在地:大阪府大阪市阿倍野区文の里1-7-2 
電話番号:06-6623-0485
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「nonowa国立」開発担当者インタビュー

文教都市、国立で住民の生活を支える「nonowa国立」の魅力/nonowa国立 加藤啓太さん


中央線の三鷹~立川間高架化事業の完了に合わせてスタートした、「中央ラインモールプロジェクト」。「nonowa(ののわ)」とは、そのプロジェクトの一環として、武蔵境、東小金井、武蔵小金井、西国分寺、そして国立の5駅に整備された駅舎直結型商業施設のことだ。これらは2012(平成24)年の「nonowa西国分寺」を筆頭に順次オープンし、「nonowa国立」は2015(平成27)年4月に「EAST」が開業。2016(平成28)年4月に「WEST」がオープンして、全面開業となった。「nonowa国立」に秘められた思いとは何か。今後この街はどう変わっていくのか。今回は「nonowa国立」の開発を担当した、株式会社JR中央ラインモールの加藤啓太さんにお話を伺った。

緑と、街と、人とが、集いあえる場所

駅直結型商業施設「nonowa国立」

――まず「nonowa国立」が開業に至った経緯について教えてください。

加藤さん:まず、東京都の「連続立体交差事業」というものが最初にありまして、これに沿って、中央線は「国立」駅を含む、三鷹~立川間の高架化が順次完了しました。それを契機に沿線価値を総合的に向上させ、「中央線沿線に住みたい」と思っていただけるブランドへ育てようという狙いから、「中央ラインモールプロジェクト」というものがスタートいたしました。

このプロジェクトは、具体的には「新しく生まれた高架下スペースを、今後どうやって有効に街づくりにつながる活用をしていくのか」ということを考えるもので、統一したコンセプトのもと、一体的に開発し、新たな施策にもチャレンジしていくため、新しく「株式会社JR中央ラインモール」が設立されました。

この会社を設立してから、国立については徐々に開発計画を進め、2015(平成27)年の4月に第1期として「nonowa国立EAST」をオープンしました。その1年後の今年、2016(平成28)年4月24日に、2期として「nonowa国立WEST」のオープンを迎えることができました。

株式会社JR中央ラインモールの加藤啓太さん

――「nonowa」は今回の高架化区間、5ヵ所の駅で開業されていますが、全体のコンセプトとして「緑×人×街 つながる」というテーマを掲げていらっしゃいますね。この意図するところを教えてください

加藤さん:今回の高架化区間というのは、東京都心から30分もかからないという通勤の利便性の高い住宅街でありつつ、非常に緑が豊かなエリアという性質がありますので、「緑と、街と、人とが、それぞれ集いあえるような開発をしていきたい」という思いが込められています。

自然と調和した街づくり

――店舗数はどのぐらいでしょうか?また、他駅にも「nonowa」はありますが、国立ならではの特徴は何でしょうか?

加藤さん:「EAST」については12店舗、WESTについては25店舗が入っております。合計で37店舗の施設になり、店舗の数としては最も多い施設です。

高架下に広がる「nonowa国立」

具体的には、国立は昔から文教都市ということで、非常に文化や教育に関して、アンテナが高い方が多く住まわれているので、文化や教育要素を発信できるよう店舗で表現しています。また、高所得者層が多いエリアでもあるので、「上質」という部分も意識してます。

個性豊かな店舗の魅力が光る

――「EAST」と「WEST」は、それぞれどのような特徴があるのでしょうか?

加藤さん:「EAST」については、メインの改札側ということで「街の顔」にもなるものですから、日常的に使いやすく、かつ、文教都市のエッセンスを採り入れながら、雑貨を中心に揃えています。対して「WEST」のほうは、より日常使いしやすい「食品ゾーン」として構成していまして、惣菜、スイーツ、生鮮三品など、バラエティ豊かな利便性の高い構成にしています。

食料品店が並ぶ「WEST」

――ターゲットとしては、どのような層を想定しているのでしょうか?

加藤さん:施設全体としては、国立は30代から40代の方が多いので、その年代の方をメインに据えて考えています。ただし、駅の利用者ということで考えますと、非常に幅広い層の方が利用しますので、あらゆる年代の方に使いやすいようにと居住者、駅利用者の双方ともに考えています。

――おすすめの店舗について教えていただけますか。

加藤さん:先ほども話に上がりましたが、文教都市ということが国立の街のイメージであり、ほかでは見ない希少性の高い店、文化や教育的な一面を感じられる店など、そういうところに注目していただきたいですね。

「PAPER WALL(ペーパーウォール)」

例えば、「EAST」の中の「PAPER WALL(ペーパーウォール)」という本屋さんでは、本と雑貨を複合的に紹介しておりまして、売り場の一部を使って、ワークショップなどのイベントも定期的に行っています。また、隣には同店が経営しているカフェがあり、買った本を読みながら、ゆっくり時間を楽しむことができます。こうしてライフスタイルの中に、気軽に本を取り入れていただけるような店舗も、国立だからこそ可能なのだと思います。

「KONCENT(コンセント)」

また、同じくEASTの中に「KONCENT(コンセント)」というお店がありますが、主にデザイナーさんとコラボした商品をご紹介しています。そういった商品はやはり、非常にデザイン性が高いですし、実用的にも適っていまして、この街の客層にもマッチしているのかな、と思います。

地元の有名店「レ・アントルメ国立」も出店

「WEST」では、地元の洋菓子店、「レ・アントルメ国立」がお薦めです。こちらは地元では長く愛される有名店なのですが、駅から少し離れた場所にあります。じつは「nonowa西国分寺」の開発の頃から出店のお誘いをしていました。その際、「国立の時には出店しましょう」というお話をいただき、今回、ようやく実現できたというものです。特に手土産としてご利用いただいております。

「Brioche Dorée(ブリオッシュドーレ)」

希少性という点だと「Brioche Dorée(ブリオッシュドーレ)」さんでしょうか。こちらはフランスで約300店舗展開されているパン屋さんでして、今回はベーカリーカフェとして出店をいただいております。中央線初の店舗ですし、都心でもまだほとんどないお店ですから、お客様にも喜んでいただいています。パンはテイクアウトもイートインもできますし、カフェは23時まで営業していますから、仕事帰りに寄ってワインやサングリアなどを楽しまれる方もいらっしゃいます。

今後の街づくりの展望

「nonowa MARCHE」

――今後、「中央ラインモールプロジェクト」はどのように進んでいくのでしょうか?

加藤さん:駅ご利用のお客様の利便性を上げるためにつくった「nonowa」ですが、ほかにも、地域の方のコミュニティをつくれるような仕掛けや、街を知るきっかけになる情報発信、駅間を散策できる歩道「ののみち」の整備などを進めて地域の皆さまに集い愛される施設を目指していきます。

駅間を結ぶ「ののみち」

――「WEST」の開業に合わせて「スイクルポート」が設置されたそうですが、こちらについて教えてください。

加藤さん:「スイクル」とは「Suica」と「サイクル」の造語でSuicaを使ったシェアサイクルのことです。ポートというのはその設置場所を指し、今回、「WEST」の先の高架下に設置されました。実際の利用にはSuicaが必要になってきますが、登録なしでもビジター利用として、1日500円で自転車が利用できるので、たとえば街の観光にご利用いただいたり、ちょっと離れた場所にある公園に出かけたりと、いろんなシーンでの利用が可能です。

「スイクルポート」

また、学生さんも多い地域ですから、定期利用で通勤通学に利用される方もいらっしゃいます。

登録制とはなりますが、1時間ごと100円という気軽なプランもありますので、国立の街を知るために、気軽に利用いただければ嬉しいですね。ポートについては「nonowa」のある武蔵境、東小金井、武蔵小金井、国立の4駅にあります。「nonowa」エリアの交流が活性化することに期待しています。

――「nonowa国立」の開業は、今後、既存の商店街にも大きな影響や経済効果をもたらすと思われますが、商店街との連携体制はどうなっているのでしょうか。連携組織や事業などがあれば教えてください。

加藤さん:地元の商店会、商工会の皆さまと、EASTの開業前に「くにたち活性化協議会」というものを立ち上げておりまして、開業に合わせて、街の活性化のためのイベントを企画してきました。

「nonowa国立」

その協議会には、私どもはオブザーバーという立場で毎回出席し、「nonowa国立」2期オープンの2016(平成28)年4月に協議会主催イベント「街めぐりフェスタ」が開催されまして、これは地域の方との連携が形になったものとして、ひとつ大きなものと言えるかと思います。

この時には「くにたちパスポート」というクーポン付きの冊子を、nonowaでお買い上げいただいた方を対象に配布して、その冊子を持って商店街のお店に行けば、いろいろな割引やサービスを受けられる、というものでした。2日ですべて配布が終わってしまうほどの人気で、その後の反響も非常に大きなものがありましたので、今後も街ぐるみで、回遊できるイベントを継続して行っていければと考えております。

――今後、駅や駅前はどう変わっていくのでしょうか?また、国立の街はどのように変化していくと思われますか?

JR「国立」駅

加藤さん:私どもが目指す国立の街の将来図、ということですと、やはり、国立は文教都市ということで街並みが守られている街ですので、この景色や雰囲気を大切にしながらも、我々の商業施設が利便性を訴えながら、街の個々の商店さんや、そこに暮らす人々も、一緒になって光っていけるように、たとえば先ほどの回遊イベントなどもそうですが、街全体を盛り上げていけたら、と思っております。

――最後に、加藤さんが感じられている、国立の街の魅力についてお聞かせください。

加藤さん:駅員の敬語の言い回しや、ポスターの表記など、基本的なことに関するご意見をいただくことが多く、地域の皆さまの「街を良くしよう」という気持ちがすごく高いんだと感じています。

株式会社JR中央ラインモールの加藤啓太さん

ですから、そういう中で育つお子さんや、来街者は、非常にマナーが良い方が多く、ここに住みたい、お子さんを育てたい、という方が多いのも納得ができます。

街並みのことについて言えば、やはり、桜の時期に学園通りを見渡した時の美しさは格別です。この風景がずっと残っていくような街になるように、私たちもより良い街づくりのために、尽力したいと思っております。

「nonowa国立」開発担当者インタビュー

株式会社JRラインモール「nonowa国立」

チーフ 加藤啓太さん
所在地 : 東京都国立市北1-14
URL:http://www.nonowa.co.jp/kunitachi/
※この情報は2016(平成28)年7月時点のものです。

文教都市、国立で住民の生活を支える「nonowa国立」の魅力/nonowa国立 加藤啓太さん
所在地:東京都国立市北1-14-1 
https://www.jrccd.co.jp/nonowa/kunitachi..

東京都立国立高等学校校長 岸田裕二さん インタビュー

生徒たちが能動的に学び、楽しむ学校。/東京都立国立高等学校 岸田裕二さん


都立高校としてトップクラスの進学実績を誇る「東京都立国立高等学校」は、都立高校初の甲子園出場を果たした野球部など、部活動や文化祭をはじめとした行事も盛んで、文武両道の伝統を持つことでも知られている。今回は校長を務める岸田 裕二さんにこの学校の特徴についてお話を伺った。

進路指導重点校として都立高校有数の進学実績を誇る

――長い歴史を持つ学校だそうですね。

校舎

岸田校長:本校は1940(昭和15)年に開校して、2016(平成28)年で77周年を迎えました。卒業生には「京都大学」の総長をしておられる山極 壽一先生や、「国立情報学研究所」の新井 紀子先生、「信州大学」の前学長を務めた山沢 清人先生など、著名な方が多数いらっしゃいます。また、「東京大学」の准教授の池内 恵先生も本校の卒業生で、今度、講演をお願いすることになっています。

――進学校として有名ですが、進学実績はいかがでしょうか。

3年生の進路ガイダンス

岸田校長:本校は2003(平成15)年には進路指導重点校に指定され、難関国公立大学入試に対応した指導を行っていることが特徴です。都立高校のなかで国公立大学合格者数は全国でもトップクラスです。

2016(平成28)年度の「東京大学」合格者は、現役10名・浪人10名、合わせて20名でしたが、2017(平成29)年度は現役15名・浪人10名の合計25名合格を目標にしています。2016(平成28)年度の国公立大学合格者は205名で、来年は220名を目標にしています。

――難関国公立大学入試に対応した指導について詳しく教えてください。

生徒自身で考える授業を目指す

岸田校長:本校は進路指導重点校として、教員数が基準に比べて2名多くなっています。また、教員を公募で採用することができ、優秀な人材に集まっていただけるという特徴があります。

カリキュラムは「東京大学」「京都大学」「一橋大学」「東京工業大学」といった難関国公立大学に現役で入学する実力を身につけることを目標にしています。このため1、2年生では芸術科目以外すべて必修科目としています。通常の授業だけでは指導しきれませんので、10月以降は始業前、昼休み、放課後の補習がありますし、夏休みも補習を行います。今年は補習の体制を変え、とくに夏休みの補習を充実させることにしました。

本棚に並んだ東京大学の過去問題集

指導方法にも工夫しています。本校ではアクティブラーニングを積極的に取り入れ、受け身ではなく生徒自身で考える授業に取り組んでいます。今年度は東京都教育委員会のアクティブラーニング推進校に指定されたので、さらに充実していきたいと思います。

また、本年度は英語教育推進校にも指定されました。具体的な取り組みはこれからになりますが、日本語をなるべく使わず、英語で授業することも検討しています。

――進路指導で工夫している点はありますか。

3年間を同じクラスで過ごす

岸田校長:本校は3年間クラス替えをせず、担任も基本的には変わりません。ひとりの担任が1年生から3年生まで生徒の成長を見守っていきます。進路指導も3年間で模試を10回以上行い、成績の変化を見ながら指導できるというメリットがあります。

合言葉は「全部やる、みんなでやる」

――部活動も盛んだそうですね。

甲子園出場記念碑

岸田校長:本校では部活動も行事も勉強もすべてやりきる、それも全員で成し遂げるという意識を生徒が持っています。新入生もこういった学校だと理解して入学してきますから、部活動も盛んです。野球部は1980(昭和55)年に都立高校で初めて甲子園に出場しました。チアリーディング部や少林寺拳法部も全国大会に毎年出場する実力を持っています。

1年生はみんな何らかの部活に参加していますし、運動部は週に1日の休みを確保するように指導していますから、空いた日に文化部を兼部する生徒も多いのです。

――都立高校では珍しい天文ドームもありますね。

天文ドームの大望遠鏡

岸田校長:本校の屋上の天文ドームには15センチ大望遠鏡と6センチ太陽望遠鏡があります。本校は運動部だけでなく、文化部の活動が盛んなことも特徴で、これらの望遠鏡は地学部の活動でも使われています。

――文化祭も盛りあがると伺いました。

岸田校長:文化祭は約1万人の人が訪れる本校最大の行事です。毎年9月の第1週の土日に行われますが、準備は前の年の10月の中旬からはじまります。本校の行事はすべて生徒が企画・運営し、教員は基本的に手を出しません。

文化祭「国高祭」は最大の行事

3年生によるクラス演劇は本校の文化祭の目玉で、毎回満員になります。クラス演劇は各教室で行われ、1教室1回につきおよそ80名が鑑賞できます。3年生8クラスが1日に4公演行いますから、延べ2,500名程度鑑賞できます。それが毎回満員なので、どれだけ人気か分かっていただけるかと思います。

クラス演劇の垂れ幕

――ほかにはどのような行事があるのでしょうか。

岸田校長:4月に新入生歓迎会があり、各部活が活動内容を発表します。その後、第九演奏会があります。これはプロのオーケストラとソリスト、指揮者に来ていただき、2、3年生の音楽選択者に加え、希望者がドイツ語で第九を歌うというイベントです。

第九演奏会

これらの行事も生徒自身で実行委員会を組織し、準備を進めます。生徒たちはいずれかの行事の実行委員会に加わっているのではないでしょうか。行事を企画することもよい経験になると思いますので、私はこれからも行事を大切にしたいと思っています。

――国立高校の生徒の特長を教えてください。

岸田校長:大学の先生にお話を伺うと、本校の生徒は大学入学後も伸びていくという評価をいただいています。アクティブラーニングを取り入れているので、物事を主体的に考えていくことができるし、文化祭も部活動も積極的にチャレンジする姿勢がいいのではないでしょうか。

勉強も部活動も行事もすべて積極的

文教エリアならではの近隣教育機関との連携

――大学と連携して教育を行っているそうですね。

岸田校長:本校は「一橋大学」が近いことから、「一橋大学」の先生に来ていただいて講演をお願いしています。内容は経済についてお話しいただくことが多いのですが、英語で講義していただくこともあります。

一橋大学との連携も

また、本校では定期試験前に大会議室を自習室として開放しているのですが、そこに「一橋大学」や「東京大学」の学生に来ていただいて、勉強を見ていただく「サポートティーチャー」という取り組みも行っています。

――近隣の小・中学校との交流はあるのでしょうか。

岸田校長:本校は「国立市立国立第一中学校」や「国立市立国立第三小学校」に隣接していますので、合同で防災訓練を実施しています。また、夏休みには本校の生徒が市内の3つの中学校に出向いて補習のお手伝いを行うこともあります。本校をよく知ってもらうため、近隣の中学生・小学生を対象に学校説明会も実施していますし、学習塾の生徒や先生向けの説明会も行っています。

隣接する国立市立第三小学校

落ち着いた街並みは教育にも暮らしにも好環境

――国立の魅力を教えてください。

岸田校長:本校の目の前は大学通りで、入学式の頃は桜がきれいですし、晩秋になるとイチョウ並木が美しく色づきます。12月にはクリスマスのイルミネーションも楽しめます。文教地区ですから遊戯施設や繁華街がなく、学習環境として恵まれています。

大学通りの街並み

「国立」駅東側高架下の商業施設「nonowa 国立」など、「国立」駅周辺にはショッピング施設が集まっているのも便利ですね。街並みも整っていますし、本校と同じ国立市東には「一橋大学」があるのも生徒のモチベーションにつながるでしょう。こうした環境は暮らしの場としても恵まれていると思います。

東京都立国立高等学校

校長 岸田 裕二 さん
所在地:東京都国立市東4-25-1
電話番号:042−575−0126
URL:http://www.kunitachi-h.metro.tokyo.jp/homepage/
※この情報は2016(平成28)年6月時点のものです。

生徒たちが能動的に学び、楽しむ学校。/東京都立国立高等学校 岸田裕二さん
所在地:東京都国立市東4-25-1 
電話番号:042-575-0126
http://www.kunitachi-h.metro.tokyo.jp/ho..

神戸市住宅都市局 企画調整局 インタビュー

人が主役になれるまちづくりを進める/神戸市役所住宅都市局・企画調整局 菅原真也さん 平井美知子さん


神戸の一大繁華街・交通網ターミナルの中心都市である「三宮」。この「三宮」が大きく変わろうとしている。2015(平成27)年9月に策定された三宮周辺地区の「再整備基本構想」が神戸市主導によって進められている。概ね30年を見据えた大がかりな段階的整備は完成すると、“人を中心とした”都市になることが期待されている。そんな新しい神戸の未来の姿について、神戸市住宅都市局計画部都心三宮再整備課都心企画係の菅原係長と神戸市企画調整局政策企画部調整課都市プロモーション担当の平井係長にお話を伺った。

震災再生から新たな出発点に立つ神戸

都心企画係の菅原係長と都市プロモーション担当の平井係長

――三宮の再整備構想が策定されたということですが、まずはその概要から伺わせていただけないでしょうか。

菅原さん:神戸市は震災から今年で22年が経過しました。その間、厳しい財政状況のなか、まちを元通りに戻していくことに力点を置いてきたため、都心部は長く変わっていない状況でした。ですが、財政的にも一定の目途が立ってきたこともあり、2015(平成27)年9月に市民の皆様と目指すべきまちの姿を共有していこうと考え、神戸の都心の未来の姿[将来ビジョン]と三宮周辺地区の「再整備基本構想」を作成しました。

神戸港エリア

いろんな方の意見を聞くことが重要だという思いから、市民の皆様からの意見募集やワークショップを重ねながら構想を作っていきました。その中で一番のキーになったのが、“神戸のまちは人の力によって復興してきた”“神戸が好きな人が多い”という意見が多く、これからの神戸の未来を考えるうえでも“人の視点”を大切にしていかなければいけないという思いから「人が主役になれる、まちづくり」ということをベースに置いています。再整備基本構想は、「三宮」駅を中心として半径500m程度の範囲が対象で、概ね30年後を見据えた段階的な再整備になります。将来ビジョンは「3つの柱と8つの軸」という大きなテーマから構想が練られています。

「人」を中心に考えると、新しい未来の答えが見えてくる

3つの柱と8つの軸

――では、最初に「3つの柱」の部分から伺わせてください。

菅原さん:「3つの柱」という部分は、1つ目が「心地良いデザイン」、2つ目は「出会い、イノベーション、そして文化」、3つ目は「しなやかで強いインフラ」です。その3つの柱を意識して、どんなものが都市に必要なのかということを市民の皆様から頂いた意見などからまとめたところ、8つの軸というものができあがりました。

――「8つの軸」についても教えていただけますか。

菅原さん:「8つの軸」は、1.景観 2.にぎわい 3.生活・居住 4.産業 5.観光・文化 6.防災 7.環境・エネルギー 8.交通ということになります。

1の『景観』は「あちこちで神戸を感じられるまちへ」ということで、例えば、旧居留地であれば旧居留地らしく、ハーバーランドであればハーバーランドらしい、それぞれの地域にあった神戸らしい景観を作っていこうというものです。

2の『にぎわい』は「次々と新しい人が訪れ、新たな出会いが生まれるまちへ」ということで、神戸市が管理する道路や広場を工夫してもっと楽しめる、にぎわいのある空間にしていけると考えています。道路空間を車から人へ再配分するということが、すでに実施されているところもあります。また東遊園地では、土のグラウンドを芝生に変えて、たくさんの人が憩いの場として利用できるようにする社会実験を実施しています。

整備された人が中心の道路

3の『生活・居住』は、神戸で生産されたものを買ったり、食べたりできる場を都心で提供する「ファーマーズマーケット」の開催など、そういうイベントで生活の質を上げて、人とのつながりも広げていくような仕組みを作ることが例に挙げられます。

4の『産業』は人が集まりやすい場所にするためには働く場所もなくてはいけません。スタートアップ支援など、新しいアイデア、可能性を持つ人たちが、神戸で起業し、産業を発展させて新たな価値が創造されるまちにしていこうといった取り組みです。

5の『観光・文化』。神戸と言えば観光ですが、その魅力のひとつが夜景でもあるので「夜間景観の整備」は現在取り組み中の事業です。また訪れる人が居心地よく過ごせ「やっぱり神戸はいいよね」と言ってもらえるような便利なインフォメーションセンターや明るく美しい玄関口の整備を進めていく構想です。文化の部分に関しては「ガストロポリス(食の都)」として、神戸牛や世界に誇る腕利きシェフ・パティシエの生み出す神戸の食文化を発信していくなど、一部取り組み中のものもあります。神戸の歴史やまち並みに触れ、五感に響く空間や仕組みを作っていこうという取り組みです。

神戸の観光名所のひとつ「ポートタワー」

6の『防災』は震災の経験で神戸市民の皆様は意識が高いですが、もっと防災の意識を高め、防災インフラを備えていこうという取り組みになります。災害の情報表示や、避難誘導が行える「多言語サインシステム」を街のなかに整備していくことなどが挙げられます。

7の『環境・エネルギー』は環境面では花と緑のネットワークを広げていったりルーフトップパークの整備などです。エネルギー面では水素などのクリーンエネルギーや、神戸に強みのある未利用エネルギーを活用した社会を実現させていこうという構想になります。

8の『交通』は、交通の利便性がいいことは人が集まる場所に必要な条件です。公共交通機関を誰もが分かりやすく使える環境を整備し、歩く人が中心のまちへという取り組みです。他都市から発着する中長距離バスをターミナルとして1ヶ所に集約したり、「ゾーン内均一料金制度」で気軽に回遊できるまちにしていきたいと考えています。

「三宮クロススクエア」のイメージ

――大きな取り組みのひとつとして「三宮クロススクエア」というものも掲げられていますが、概要を教えていただけますか。

菅原さん:三宮にはJR、阪急、阪神、ポートライナー、市営地下鉄の山手線と海岸線の6つの駅が、地下から3階まで階層がすべてバラバラになっています。これが非常に分かりにくいということで、この6つの駅を人が自由に行き来できる、ひとつの大きな空間として再整備する構想です。6つの駅があたかもひとつの大きな駅であるかのような空間を作ろうとしています。その核となるのが「三宮クロススクエア」で、駅前の交差点を人と公共交通を優先させた安全な広場空間にしようとするものです。

これから羽ばたく 宇宙船“神戸号”

神戸市役所本庁舎

――生活拠点としての神戸の魅力を教えていただけますか?

平井さん:まず、神戸で仕事をしながら神戸に居住することもできる、仕事と生活がひとつの空間で充実して行えるというのは大きな魅力だと考えています。三宮近郊の内部アクセスもいいですが、新幹線や空港などビジネスでの交通の便もいいという部分もアドバンテージのひとつだと思います。港もあります。海・空・列車と全部が至近距離ですね。また、山と海の両方が近くにあるという自然環境のなかで、山登りやマリンスポーツなども気軽に近場で楽しむことができるのも魅力かなと思います。

――環境面についてはいかがでしょうか?

平井さん:東京から神戸に移り住まれた方からよく聞くのは、東京と比較すると夏は程よく風が吹いて涼しく、冬には適度に温暖だということですね。これは先程も出ましたが、山と海が近くにある影響もあると思います。神戸の北区・西区というエリアは、住宅街も整備されていますが、古くから県内でも有数の農産地域として農業が盛んな場所ですので、農業をしたいとか、そういう自然豊かな所で暮らしたいという方には良い環境がそろっているかなと思います。兵庫・長田といったエリアも最近になって再び注目を集めつつあるエリアになっています。震災以降には特に高齢化が進んでいた地域ですが、下町の魅力を活かし、若い方が空き家などを利用してカフェなど新しいお店の営業などを始められるという面白い流れが生まれつつあります。

北野異人館街の「風見鶏の館」

――そのほか、神戸でしか見ないような特徴的なものなどがあれば教えてください。

平井さん:中央区に限って言えば住人の約1/11の人が外国人であるというのも、港町として150年間の歴史がある神戸ならではですね。またそうして外国人の方も多いので、異文化に抵抗がない、寛容な人が多いと思います。北野などはまさにそういう文化が育んできた街だと感じます。洋菓子やパンの消費も盛んで、老舗のお店も多いですね。珈琲や紅茶に関しても同様です。日本酒などは灘のお酒が古くからの名産であったりしますので、神戸と言ったら舶来物というものだけでなく、食に関しても地の農作物・水産物なども含めて本当にバラエティーに富んでいます。香港などでは神戸産のフルーツが流行っていますので、グローバルな食に関してのPRも積極的に行っています。

――最後になりますが、「これまでの神戸と、これからの神戸」ということでなにか一言お願いしたいと思います。

菅原さん:最初に申しましたように、神戸は震災の影響もあって、大阪・京都・姫路など他の都市の駅前が大きく変わっている中で神戸だけが遅れをとっていたわけです。ですが、逆にそれらの先例から学び、なおかつ人を中心にした駅前構想という、日本ではまだどの都市でも手掛けたことのない新しい都市空間を築き上げようとしています。その“人を中心にした心地良いまち”というのが未来に向かっての新しい神戸の姿となるように頑張っていきたいと考えています。

人が主役になれる街づくりを進める「神戸市役所住宅都市局・企画調整局」

神戸市役所

住宅都市局 計画部 都心三宮再整備課 都心企画係長 菅原真也さん
企画調整局 政策企画部 調整課 都市プロモーション担当係長 平井美知子さん
所在地:神戸市中央区加納町6-5-1
URL:http://www.city.kobe.lg.jp/
※この情報は2017(平成29)年2月時点のものです。

人が主役になれるまちづくりを進める/神戸市役所住宅都市局・企画調整局 菅原真也さん 平井美知子さん
所在地:兵庫県神戸市中央区加納町6-5-1 
電話番号:078-331-8181
窓口時間:8:45~17:30 
休庁日:土・日曜日、祝日、年末年始(12/29~1/3)
https://www.city.kobe.lg.jp/

相楽園 インタビュー

明治末期に完成した神戸の街に佇む荘厳な庭園/相楽園 乾高彰さん


海外への窓口となる港街として発展してきた神戸は、異文化も身近に感じられるハイカラな街となった。そんな神戸の街には意外と知られていない隠れ名所も多く存在する。異文化漂う北野の街並みからほんの数分歩いた閑静な住宅街の中に、佇む庭園、「相楽園」は、その長い歴史を感じながら憩いの時間を過ごせる場所である。今回は「相楽園」の園長を務める乾高彰さんに庭園の概要や街の魅力についてお話を伺った。

3世紀に渡る歴史ロマンと意外な事実

「相楽園」

――とても風情のある邸宅ですが、この庭園の概要について教えてください。

乾 園長:相楽園は第11代神戸市長、小寺謙吉氏の先代、小寺泰次郎氏の邸宅でした。1885(明治18)年頃から建築に着手して明治末期に完成、その後、1941(昭和16)年に神戸市に譲渡され現在に至ります。園内は明治期の欧米化の影響を受けて広場なども併設され、「旧小寺家厩舎」は全国的見ても例のない重厚な洋風の厩舎です。開国した当時の欧米化と和が折衷したような雰囲気を感じさせる庭園ですが、荘厳でもあり、神戸らしさも感じられると思います。

多様な植物を鑑賞できる

――個人の邸宅だったのですね。小寺泰次郎氏とはどのような方だったのでしょうか。

乾 園長:小寺一族は三田藩を統治していた九鬼一族に仕えた武士でした。九鬼一族というのは、元々、志摩国鳥羽藩を拠点に秀吉の九州・朝鮮遠征などの水軍総督を務めた九鬼水軍として有名です。江戸時代に入ると、三代将軍家光が九鬼水軍の力を恐れ、従来の領地から三田(兵庫)と綾部(京都)に領地を移動させました。

その後、廃藩置県までの約240年間、それぞれを統治することになるのですが、三田藩は当初から財政難に陥っていた藩でした。そこで、小寺泰次郎が九鬼隆義から才を買われ、三田藩の財政改革に白州退蔵や沢野応吉の補佐役として参画することになりました。小寺泰次郎は九鬼隆義・白州退蔵とともに輸入商社である「志摩三商会」を設立し成功を納め、その後独立し、不動産・金融業に乗り出し、これも成功を納め一躍大富豪となりました。

樹齢500年超のクスノキや白松、ツツジなどたくさんの植物が植えられている

その後、小寺は神戸三宮付近の土地を買い、今も残る山手新道の道路整備や、「神戸女学院」の前身である「女子寄宿学校」、「神戸ホーム」の創立にも関わっています。外国への窓口としての神戸港の価値と、将来の神戸の街を見据えた考えによって小寺は動いていたと言われています。小寺・九鬼一族・三田藩を巡る240年の歴史が現在の神戸の発展に大きな影響を及ぼしているのです。

――家光が九鬼水軍を恐れて志摩から追い出さなければ、現在の神戸の街並みは全く違っていたかもしれないということですね。「相楽園」という名前にはどういう意味があるのでしょうか?

乾 園長:神戸市に譲渡されるまでは「小寺邸」とか、たくさんの蘇鉄(ソテツ)が植えられているので「蘇鉄園」と呼ばれていたのですが、1941(昭和16)年に市へ譲渡されたのをきっかけに、中国の古書「易経」の一節にあたる「和悦相楽(わしてよろこびあいたのしむ)」からとって「相楽園」と名付けられました。

荘厳な雰囲気で感じる歴史と文化の息吹

1902(明治35)年頃に建てられた「旧ハッサム住宅」

――見どころについて教えてください。

乾 園長:歴史ある建物と植物の共演が「相楽園」の柱と言えます。建物は重要文化財に指定されているものがあり、植物に関しても樹齢300年を超えるものを含め、たくさんの種類が植えられているので、季節の移り変わりで表情が変わるのも当園の見どころです。

――重要文化財もあるのですね。

乾 園長:「旧小寺家厩舎」「船屋形」「旧ハッサム住宅」と神戸市が管理している6つの重要文化財のうち、3つがこの「相楽園」にあります。「旧小寺家厩舎」は小寺謙吉氏が河合浩蔵氏に設計を依頼して、1910(明治43)年頃に建築した厩舎で、戦争・震災を免れて当時の姿をそのまま残しています。

建築当時の姿をそのまま残す「旧小寺家厩舎」

「船屋形」は江戸時代に姫路藩主が河川での遊覧に使っていた「川御座船」の屋形部分を陸上げしたもので、建造年代は、1682(天和2)年~1704(宝永元)年の間と推定されていて、春慶塗や黒漆塗、金箔を施した飾り金具など、非常に華麗で繊細な造りとなっています。

現存する川御座船としては国内で唯一の「船屋形」

「旧ハッサム住宅」は英国人貿易商のハッサム氏が、1902(明治35)年頃異人館街に建てたもので、木造2階建、寄棟造棧瓦葺の和洋折衷建築物です。1963(昭和38)年に当園に移築されました。このように非常に歴史的・文化的に貴重なもの、しかも非常に神戸らしいものばかりがあるのです。

――次に植物についても見どころを教えてください。

乾 園長:先程、欧米化という表現もしましたが、庭園としては日本式庭園がベースになっています。大きな池を中心に配置して、その周囲に順路を巡らしています。蘇鉄が多く、「蘇鉄園」と言われていたこともありますが、100株を超える蘇鉄が植えられているところは他にはなかなかないと思います。

園内には100株を超える蘇鉄(ソテツ)が植えられている

1907(明治40)年に鹿児島から移植されたと言われている樹齢約300年の蘇鉄は神戸市の「名木」にも指定されています。庭園中央にある大きなクスノキは樹齢500年を超えています。その他、庭園内にある白松は通常2枚葉の黒松・赤松と違って3枚葉になっており、縁起がいいと言われています。園内一円に植えられたツツジは春には見事な色合いになって見頃となります。

活気と人の行き交う多面都市、港町神戸

周囲の街並みと見事に調和する相楽園

――季節ごとにイベントも開催されるそうですね。

乾 園長:8月の終わりごろの2日間に、夏の風物詩として庭園内にろうそくの灯をともす「にわのあかり」を行っています。秋になると「神戸菊花展」が毎年10月20日から11月23日まで開催されます。冬は1月上旬から中旬にかけて「冬ぼたん展」があります。「夏の夕涼み」「冬のゆうべ」というイベントでは、設営したCカフェでアルコールなども楽しんでもらえるようにしたり、「神戸菊花展」「ボタン展」に合わせて、ライブも開催しています。春や秋には中庭に七輪を置いて、肉を焼いたりするイベントも行っています。

本邸宅の跡地に建てられた「相楽園会館」

――乾さんの一番おすすめの場所、いつもここに立つと心が落ち着くなど、がありましたら教えてください。

乾 園長:私は園内の西の端にある滝の少し手前から、大きな灯篭と「浣心亭」を眺めるのが好きですね。秋には「浣心亭」までを結ぶ視線上にモミジの枝が風流に感じられて、その光景がとても好きですね。初めて来た人は「相楽園会館」の手前から庭園全景を俯瞰して見る光景に感動される人が多いですね。

茶室「浣心亭」

――「三ノ宮」駅からそれほど遠くない場所ですが、この辺りの雰囲気はいかがですが。

乾 園長:道を挟んで県庁が目の前にあり、「神戸山手大学」「こうべ小学校」など周囲には学校も多いのですが、住宅街の中で、神戸や元町のような騒々しさとは無縁ですね。三宮や元町に徒歩で繰り出せる場所で、公共施設も多く、北野にもすぐ近くです。山と海が目の前に広がる自然環境と利便性の高い場所でありながら、こんなに閑静な環境に恵まれた場所は探してもそう多くはないと思います。

――イベントも開催され、地域との関わりも大きいと思いますが、この地域の方々の雰囲気はどのような感じでしょうか。

乾 園長:「相楽園」は普段から、ご近所の方の憩いの場として利用していただいていることが多いです。年間フリーパスがお手頃な値段で手に入るので、それを利用される方も多いです。当園は敷地が高い壁で囲まれていますし、小さなお子様連れでも安心してご利用いただけます。住宅街の真ん中にある少し贅沢な公園といった感じでしょうか。でも、この近くの住人の方でないと普段、三宮や元町に出てこられる方でも当園の存在を知らない人も多いですね。そういう部分についてはこれからの課題でもありますね。

神戸市立相楽園 乾園長

相楽園

園長 乾 高彰さん
所在地:神戸市中央区中山手通5-3-1
TEL:078-351-5155
URL:http://www.sorakuen.com/
※この情報は2017(平成29)年2月時点のものです。

明治末期に完成した神戸の街に佇む荘厳な庭園/相楽園 乾高彰さん
所在地:兵庫県神戸市中央区中山手通5-3-1 
電話番号:078-351-5155
開園時間:9:00~17:00(入園は16:30まで)
休園日:木曜日(祝日の場合は翌日)、年末年始(12/29~1/3)
http://www.sorakuen.com/

神戸山手インタビュー01

異人館でいただく正統派フレンチ/la Maison de GRACIANI(ラ・メゾン・ドゥ・グラシアニ)神戸北野 木村政晴さん


観光名所の多い神戸のなかでも、ひときわ異国文化の漂う場所である北野。その異国文化のシンボルとも言える洋館に新しい息吹を吹き込み、訪れる人を魅了しているフランス料理レストランが「la Maison de GRACIANI(ラ・メゾン・ドゥ・グラシアニ) 神戸北野」だ。店の柱となるのはヨーロッパ各地のレストランで料理長などを務め、街のレストランをわずか8年でミシュランの三ツ星レストランにまで成長させた経歴もある鷦鷯(ささき)シェフの手掛ける料理である。今回は、お店の副支配人である木村政晴氏に「la Maison de GRACIANI(ラ・メゾン・ドゥ・グラシアニ) 神戸北野」の魅力や街の魅力を伺った。

国際都市神戸に新しいケミストリーを北野から

「la Maison de GRACIANI(ラ・メゾン・ドゥ・グラシアニ) 神戸北野」

――まず、オープンのきっかけについて教えてください。

木村副支配人:1908(明治41)年に神戸に居留してきたフランスの貿易商人グラシアニ氏の邸宅がある場所でグラシアニ邸のイメージを継承しつつ、神戸北野にふさわしいフランス料理レストランを運営していこうというのがオープンのきっかけです。100年の古き良き歴史のある北野町でレストランを運営することによって新しい何かが生まれるのではないかということを意識しています。

「la Maison de GRACIANI(ラ・メゾン・ドゥ・グラシアニ) 神戸北野」エントランス

――お店のコンセプトについてお話を聞かせていただけますか。

木村副支配人:皆様に愛される神戸北野に根付いた”唯一無二のレストラン”です。お客様が神戸に来られて神戸らしさ、北野らしさを感じてもらいたいという想いがありますので、例えば料理を待っていただく間に用意しているショープレートも神戸、北野らしさをイメージしたステンドグラスのショープレートを楽しんでもらえるようにするなど、ひとつの形に捉われずにお客様をおもてなしすることを心がけています。他のレストランではない見せ方、楽しみ方を提供したいと考えています。

ステンドグラスのショープレートでおもてなし

――食材や料理へのこだわりについて教えてください。

木村副支配人:良いものを優先して使用するということにこだわっています。地産地消と言われていたりもしますが、もちろん良いものであればよいですが、他県でもいいものがあれば優先して使用します。そういう部分では特別に神戸や兵庫ということに捉われずにお客様に「おいしい」と言ってもらえるものを提供したいと考えています。ワインも8割はフランスワインですが、他の産地のものもおいしいものがあれば積極的に取り入れるようにしています。

「酸」を基調とした鷦鷯シェフが創造する「作品」

鷦鷯シェフの技が光る料理

――鷦鷯シェフならではの逸品、技のようなお話を伺わせていただけますか。

木村副支配人:鷦鷯シェフの料理は「酸味」にこだわったソースが基調となっています。季節に合わせた食材、そして、その食材に合わせるのが、こだわりのソースです。もちろん素材自体へのこだわりも強く、納得ができない素材だと返品を繰り返すので「返品王」と呼ばれていたこともあるくらいです。主役の素材、それを引き立たせるソース、付け合せ、全てのバランスを考えた「作品」が酸味にこだわる鷦鷯シェフの料理です。最後までおいしく、楽しんで食べていただける”重くない”フランス料理だと思います。

「la Maison de GRACIANI(ラ・メゾン・ドゥ・グラシアニ) 神戸北野」2Fダイニングルーム

――ワインへのこだわりも強いようですね。

木村副支配人:当店ではボトルでもグラスワインでも豊富に用意させて頂いております。お客様自身が様々なものを体験されて、ボトル一本でご利用するというだけではなく、料理に合わせてグラスワインで楽しまれるという方も増えてきています。そういったお客様のためにも新しい情報、新しいご提案ができるということは重要だと思っています。グラスワインでも常時10種類以上のワインを用意させて頂いておりますし、その場でのワインペアリングのコースもご用意致します。

「la Maison de GRACIANI(ラ・メゾン・ドゥ・グラシアニ) 神戸北野」1Fダイニングルーム

――お客様はどんなことを期待されて来られている方が多いですか?

木村副支配人:お客様は誕生日とか、特別な一日のために「グラシアニで食事を」というシチュエーションが多いようです。当店でプロポーズをして結婚式も当店で行われたカップル様もいらっしゃいます。坂を上がってくるのが大変な場所ですが、そういう場所で「こんなお店を知っているんだ」と友達を驚かせたいというお客様のお話を伺ったこともあります。北野の街のなかの非日常的な空間でおいしい料理をと思って来られているお客様が多いのだなと感じております。

歴史と文化を紡いできた街 神戸北野

「la Maison de GRACIANI(ラ・メゾン・ドゥ・グラシアニ) 神戸北野」

――神戸北野という、街の魅力について教えてください。

木村副支配人:印象的な洋館が多いのが北野の街の魅力ですが、異文化が混ざり合っていることでしょうか。フレンチもあればイタリアンもあり、アジアンテイストのお店もある。インターナショナルスクールもありますし、国際色豊かな神戸のなかでも、ひときわ国際色が強いのが北野の街の魅力だと思います。

――今後、どのようなお店でありたいと考えておられますか。展望などをお聞かせください。

木村副支配人:100年続いた歴史あるグラシアニ邸を舞台にして、これから100年先にも続くレストランでありたいと考えています。そのためにはどういう努力、工夫をしていくべきかということを我々全員で考えていかなければいけないと思います。たくさんの方に愛される神戸北野のフランス料理レストランでありたいと考えています。

これから100年先にも続くレストランでありたい

鷦鷯シェフの料理は本当においしい料理なので、ぜひ一度は食べに来ていただきたいです。スタッフ一同もお客様に楽しんでもらい、喜んでもらおうという気持ちでサービスを行っています。ぜひお待ちしています。

「la Maison de GRACIANI(ラ・メゾン・ドゥ・グラシアニ) 神戸北野」

la Maison de GRACIANI(ラ・メゾン・ドゥ・グラシアニ) 神戸北野

副支配人 木村政晴さん
所在地 : 神戸市中央区北野町4-8-1 グラシアニ邸
TEL :078-200-6031
URL:http://graciani-kobe.jp/
※この情報は2017(平成29)年1月時点のものです。

異人館でいただく正統派フレンチ/la Maison de GRACIANI(ラ・メゾン・ドゥ・グラシアニ)神戸北野 木村政晴さん
所在地:兵庫県神戸市中央区北野町4-8-1 グラシアニ邸
電話番号:078-200-6031
営業時間:12:00~14:00(L.O.)、18:00~21:00(L.O.)
定休日:月曜日(祝日の場合は翌日)
http://graciani-kobe.jp/

港北区地域子育て支援拠点 どろっぷサテライト 副施設長 田之畑有美さん インタビュー

親子が安心して過ごせる“第二のおうち”/港北区地域子育て支援拠点 どろっぷサテライト 田之畑有美さん


乳幼児人口が多い横浜市では全18区に地域子育て支援拠点を、そのうちの5区にサテライトを設置。サテライト第一号として今年3月、綱島に誕生したのが「NPO法人びーのびーの」と港北区が協働で運営している「港北区地域子育て支援拠点 どろっぷサテライト」だ。大倉山の「港北区地域子育て支援拠点 どろっぷ」とともに、地域ぐるみの子育て支援を目指している。“第二のおうちとして過ごしてほしい”という副施設長の田之畑有美さんに、施設の取組みや綱島エリアの魅力について伺った。

先輩ママとつながれる異世代交流の場

「港北区地域子育て支援拠点 どろっぷサテライト」

――サービス内容や利用方法について教えてください。

田之畑さん:どろっぷサテライトは未就学児の子どもと保護者を対象にした施設です。交流スペースの提供、子育て相談、子育て情報の提供を行っています。横浜市在住の方なら、登録していただければ、イベントを含めて無料で利用することができます。最近は祖父母の来館が増えていますが、親子が登録してもらえれば、利用登録はお子さん1人につき1枚の利用カードが発行されるので、祖父母がパパ、ママの代わりに一緒に来館することもできます。横浜市外のお友達も、受付でお名前を書いてくだされば、一緒に遊びにきていただいて大丈夫です。

子育ての相談を気軽にできます

――建物や設備面の特徴はありますか。

田之畑さん:建物全体が四角形なので、1階の受付やアイランドキッチンから全体を見渡すことができます。ひろばや和室に遮るものがなく、キッチンにいても、お母さんたちはゆっくりお子さんたちを遊ばせることができる環境です。部屋ごとに年齢を区切るということはなく、年上の子を見てお子さんの成長をイメージできたり、先輩ママとつながれるような、異世代交流ができる場になればいいなと思っています。ただ、奥の和室は赤ちゃんがハイハイしたり、寝かせたままにできるスペースなので、0歳児とお母さん方が多く利用されていますね。 地域の方たちがふらっと立ち寄れるように、玄関の手前には出入り口を二カ所設けました。ゆくゆくは、地域の方に野菜を売りに来てもらったりできればいいですね。 建物に沿ってL字型の庭があり、野菜を植えてあるので、土に触れられる環境です。今後は池を作って、水に触れられる環境も整えていく予定です。

1階の受付やアイランドキッチンから全体を見渡すことができる

―――利用者の皆さんの年齢層を教えてください。

田之畑さん:お子さんの年齢は0~1歳が6~7割です。お母さんたちは初めての子育てという方が大半で、出産間際まで働いていて子どもを産んで初めて地域で過ごすという方が多いと感じますね。働いているとなかなか地域の施設や行事に関わる機会がないので、出産してからこういう場所があることを知ったという方もとても多いです。そのため、サテライトも利用してもらいながら、お住まいの近くの子育てサロンや赤ちゃん会などの情報をお伝えするようにしています。

地域との絆を深め、子育てのスタートを応援できる施設へ

0歳児も安心して遊べる環境

――「土曜日両親教室」と「どろっぱ パパの集い」について教えてください。

田之畑さん:「土曜日両親教室」は大倉山のどろっぷに続いて、8月からスタートする予定です。前半は助産師さんから育児全般のお話をしていただき、沐浴させたり、録音テープで赤ちゃんの泣き声を聞いてもらったりします。産後のイメージがつきやすいように、体験重視の内容になっています。後半は0歳児がいる先輩家庭から生の声を聞き、参加者に質問してもらいます。お父さん方にも来てもらいますが、先輩方からお父さんの協力の大切さを伝えてもらえれば、お父さん方も具体的にどんな関わりが必要なのかイメージできるのではないでしょうか。 そうした意味でも、先輩家庭とつながりをつくることが大切です。「どろっぱ パパの集い」の「どろっぱ」とは、どろっぷに来ているパパたちの意味です。仕事の枠を超えて地域でパパたちにつながってもらうことが大きな目的で、パパたちにイベントの企画を考えてもらっています。5月にどろっぷのパパたちを交えて話し合い、今年度は流しそうめんや公園へのお散歩をすることになりました。昨年「どろっぱ」のパパたちがやって好評だったことから、12月には「劇団どろっぱ」の発表会第二弾を開催しようと盛り上がっています。

子供だけでなく、パパママのつながりも

――ほかに予定されているイベントはありますか。

田之畑さん:お母さん方が外に出やすいように、「ふたごちゃん・みつごちゃんの会」も開催しています。次の会では地域で活動している主任児童委員さんにも来ていただき、子育てサロンで読み聞かせをしているスタッフから親子向けに読み聞かせをしてもらう予定です。ふたごちゃんならではの話は多いのですが、こうした機会でなら自然と先輩方と情報交換できるのです。また、 0歳児が多い地域なのでアイランドキッチンを使った離乳食講座についても、区と相談しながら準備を進めている最中です。生活に根差した内容をコンセプトに、地域の方に関わってもらいながら開催できたらと思っています。今も近所の野菜作りが得意な方が、野菜の様子を見にくるついでに親子と交流するという光景が見られますが、親子を核に地域の方が交流できる施設でありたいですね。

地域の人もお世話をしにくる家庭菜園

――利用者に接する際には、心掛けていることはありますか。

田之畑さん:初めて来館される方も多いので、緊張や不安をほぐせるように、丁寧に話をしようと心がけています。最初の印象はとても大切ですから、「来てくれて本当にありがとう」という想いは毎回伝えています。また、子育てで日々感じていることや相談したいことなどを、安心して気軽に話してもらえる場所、スタッフでありたいとも思っています。9月からは臨床心理士の個別相談が始まりますが、スタッフもお母さんたちがゆっくり話せる場を作って対応します。核家族も多いですし、子どもは本当に奇想天外なことをしますから、 24時間子育てしているとお母さん方は一時も休まる時がありません。ですから、ここにきてくれた時には、“第二のおうち”としてお母さん方にのんびり過ごしてほしいと思っています。

親子がのびのび過ごせる空間

――綱島エリアの子育て支援拠点として、今後どんな役割を担っていきたいですか。

田之畑さん:もともと東急東横沿線は住むのにすごく人気のあるエリアですが、綱島は駅前の再開発が進んでいて、若い子育て世帯の転入が増えていると実感しています。新しくこられた方はすぐには地域に対して愛着を持ちにくいと思いますが、職場復帰される方も多い中、0歳児を育てるかけがえのない時期に、地域へ愛着を持ってもらえるような橋渡しをしていきたいです。そして、保育園、幼稚園、学童期につながっていく応援ができる機能を果たしていけたらうれしいですね。乳幼児期の子育て家庭が多い地域という点で、今住んでいる場所が第二のふるさとという意識づけをしていける、子育てのスタート時期を応援できる施設でありたいと思っています。

地域行事や祭りが盛ん 地域の原風景を伝えるエリア

「綱島」駅

――綱島エリアの子育て環境について教えてください。

田之畑さん:駅前に商店街があり、買い物やリフレッシュできる場所がたくさんあります。道もフラットなので、ベビーカーや自転車で行き来しやすいです。保育園が多く、隣の「横浜市立綱島東小学校」を含めて綱島には3つの小学校がありますが、連携が強く一緒に相撲大会を開いたりしているので、安心して学童期に上がれる環境が整っていると思います。「綱島市民の森」や「綱島公園 こどもログハウス」が近く、公園や緑がたくさんあるので、子育て家庭が遊びに行ける場所の選択肢もたくさんあります。

「綱島諏訪神社」の例大祭

――綱島エリアの魅力はどんなところでしょうか。

田之畑さん:地域行事やお祭りがとても活発なので、家族で参加できます。サテライト近くの「諏訪大社」のお祭りは、横浜市最大級と言われているんですよ。それから桃の生産量が多く小売り業が盛んなので、綱島ブランドというか、地域の特産からふるさとという意識を持ちやすいです。綱島の地域を愛してやまない方たちが多く、新しい家族が増えたり、転居してきても、あたたかく迎え入れてくれることが伝わってきます。伝統や歴史ある地域なので、子どもたちがお祭りや地域行事に参加して、地域の原風景みたいなものを伝えていける魅力ある街だと感じています。

綱島インタビュー

港北区地域子育て支援拠点 どろっぷサテライト

副施設長:田之畑 有美さん
住所:神奈川県横浜市港北区綱島東3-1-7
TEL :045-633-1078
URL:http://www.kohoku-drop.jp/
※この情報は2016(平成28)年7月時点のものです。

親子が安心して過ごせる“第二のおうち”/港北区地域子育て支援拠点 どろっぷサテライト 田之畑有美さん
所在地:神奈川県横浜市港北区大倉山3-57-3  
電話番号: 045-540-7420
開館日時:火曜日~土曜日 9:30~16:00
閉館日:日曜日・月曜日・祝日・年末年始・特別休館日
http://www.kohoku-drop.jp/publics/index/..

堺市市長公室ニュータウン地域再生室 田辺浩士さん インタビュー

半世紀を通じて大阪の”人”を支えたまち「泉北ニュータウン」/堺市市長公室ニュータウン地域再生室 田辺浩士さん


2017(平成29)年でまちびらき50周年を迎えた泉北ニュータウン。半世紀の時の移り変わりで施設の老朽化、車中心の生活への変化や住民の少子高齢化など、ニュータウン特有の課題もある。そのような中で、泉北ニュータウン再生に向け「栂・美木多駅前活性化土地利用構想」を2016(平成28)年9月に堺市が策定した。今回は「堺市 市長公室 ニュータウン地域再生室」の主査である田辺浩士氏に「栂・美木多駅前活性化土地利用構想」についてのお話をお伺いした。

半世紀を通じて大阪の”人”を支えた街「泉北ニュータウン」

「堺市 市長公室 ニュータウン地域再生室」主査の田辺さん

――「栂・美木多駅前活性化土地利用構想」の概要について教えてください

田辺さん:「泉北ニュータウン」は今から50年前に整備開発されたまちで、泉北高速鉄道の「泉ケ丘駅」、「栂・美木多駅」、「光明池駅」と3つの駅にまたがっています。それぞれの駅を中心とした3つのブロックから構成されており、「栂・美木多」はその真ん中の地区となっています。泉北ニュータウンは今年でまちびらき50周年を迎え、次代へつなげるイベントなどを行っているのですが、一方で施設の老朽化や、まちづくりの概念も当時と現在では隔たりが出ている部分も見えてきています。そこで、まず市では、2010(平成22年)に「泉北ニュータウン再生指針」を定め、2011(平成23)年から「泉ヶ丘駅前地域活性化」の取り組みに着手し、2016(平成28)年に「栂・美木多駅前活性化土地利用構想」を策定しました。本構想は概ね10年の目標期間のなかで、今後見込まれる新たな土地利用転換やまちの新たな機能導入を見据えて、地域全体で調和のとれた土地利用の方向性と行政の施策の方向性を示すとともに、民間事業者の取り組みを誘導することで「栂・美木多」駅前の活性化と魅力向上を実現させようという目的になっています。

府道38号線

――具体的に方針などが決まっている施設はありますでしょうか

田辺さん:栂・美木多駅を挟んで南北に「西原公園」と「原山公園」という二つの大きな公園を有しており、泉北ニュータウンのなかでも大きな資産となる部分だと考えています。泉ケ丘駅近くにある「泉ヶ丘プール」は人気のある施設ですが、これも老朽化、耐震性能不足が課題となっておりましたので、今回の構想を機に「原山公園」へと移転を行い、新しいプールとして生まれ変わることになりました。「原山公園」の再整備はひとつの象徴的なものになると考えており、PFI(民間資金を活用した社会資本整備)を活用して2020年7月にオープンの予定となっています。

また、駅の南北の駅前広場は、バス・タクシーと一般車の動線が輻輳するなど安全面の課題がありますが、公園の整備に合わせて、ニュータウン地域再生室が中心となって再整備をしていく予定です。現在、駅直結の商業施設である「ガーデンシティ栂」(2017(平成29)年4月で営業終了)は、新たな商業施設に建て替えられます。ガーデンシティと一体になっている「ダイエー」も2017(平成29)年7月で一旦営業を終了しましたが、ガーデンシティ栂の跡地に建設される新たな商業施設で引き続き営業を行う予定になっています。なお、ダイエーの跡地にはマンションが建設される予定です。このほか、駅周辺の施設では、「府営住宅」の建て替え・更新なども行われます。

また、泉北ニュータウンの開発では、「緑道」が整備され、歩車分離によって緑道を使って駅まで車道と交差せずに歩いていける設計になっています。これも当時植えた樹木が高木に成長し、うっそうとした雰囲気のところがあったり、暗くて歩くのが怖いなどの意見もありましたので、順次改善していっているところです。

ダイエーの営業も終了したガーデンシティ

※2018(平成20)年4月現在、建物は既に取り壊されています

――整備を進めるにあたっての課題は?

田辺さん:事業を進めていく上での問題点でいいますと、泉北ニュータウンには駅周辺も含め、全体的に活用できる余剰地が少ないということがあげられます。現状建っているものを更新すること以外に、新たな施設等の建設を行えないという問題になりますが、例えば、府営住宅の建て替えで建物を集約・高層化することで生み出される余剰地を活用するということが計画されています。これから行っていく再生事業に伴って、新しい泉北ニュータウンの魅力を打ち出して、若い層も取り込んでいくことでまちの若返りも期待されます。この取り組みの一環として堺市では「泉北ニュータウン 若年夫婦・子育て世帯向け 家賃補助」も行っています。

人が集まる活気のある街へ、駅前の新しい顔づくり

「栂・美木多」駅

――「原山公園」の再生に関してはかなり具体的な案がでているようですが詳細について教えていただけますか

田辺さん:プールはまだ泉ヶ丘で営業中(2019(平成31)年夏まで現在の場所で営業)ですが、現在の施設では屋外プールのみで、利用は夏の7月から9月初旬までとなっております。「原山公園」には現在よりも魅力的な設備を備えた屋外プールに加えて、年間通じて利用できる屋内プールも整備することになっており、トレーニングスタジオを併設することも検討されています。屋外施設ではフットサル・テニスに利用できる多目的コートやアスレチック・健康遊具を備えた広場、花や樹木の景観を眺めながらくつろげるカフェなどが整備される予定です。レクリエーション施設だけでなく自然に触れあえて、健康増進の役にも立つ、そんな広い目的を併せ持った公園となるようにイメージしています。また駅を挟んで南北に位置する「西原公園」、「原山公園」とそれぞれに接している駅前広場を連続的につながる大きな緑の回廊のようにして安全・快適な動線にすることも検討しています。もちろんバリアフリーに対応した設計を考えています。

「原山公園」外観パース(屋外プール等施設)

――民間企業等の取組みを誘導するとのことですが、具体的にはどのような事を行っていく予定でしょうか

田辺さん:構想実現のひとつのポイントとなるのが、泉北ニュータウンの新しい魅力を発信することや、住民の方にとって今後も利便性が良く住みやすい環境をつくるということです。民間企業だけでは、営利優先的な進め方だけで目先のものに捉われて長期的なまちづくり構想と一致しない部分が出てくる可能性も起こり得ます。そこで、土地利用構想の実現に向けた道筋づくりを行政が担い、民間企業や土地所有者との連携・調整を行いながら開発事業を行っていくことで、将来的に長く住むことに不便のないような魅力的なまちづくりを進めていきます。

――計画が進行した後も、栂・美木多駅周辺の行政機能の中心としての役割は変わらずに担っていくのでしょうか。

田辺さん:泉北ニュータウンの鉄道3駅のエリアの基本的な考え方は変わりません。これは現在も駅周辺の地区センターの役割が分担され、好ましい施設立地になっているからです。つまり「泉ケ丘駅」は「タカシマヤ」をはじめとする商業施設を中心としたエリアであること、「栂・美木多駅」は南区役所や文化会館があり行政・文化施設中心というエリアであることなどです。ただ、これはあくまでも基本であり、商業施設は泉ヶ丘駅周辺以外には設置しないということではありません。例えば栂・美木多駅周辺でもこれまでにも「ガーデンシティ栂」がありましたし、新しい商業施設が建設されることにもなっています。土地利用構想では「日常生活の利便性の向上と賑わいを演出する」ということになっていますので、時代ニーズをくみ取りながら施設更新等を行わなければ、そうした新しい魅力を作ることができません。

着々と進むリニューアル・豊かな田園風景とその資産

泉北ニュータウンの風景

――それでは最後に栂・美木多の街の魅力をお教えください。

田辺さん:泉北ニュータウンが他のニュータウンと大きく異なる特徴となっている部分ですが、泉ケ丘駅、栂・美木多駅、光明池駅という3つの駅を中心とするエリアで構成されている泉北ニュータウンには、周囲に昔ながらの農村部が残っており、趣きのある田園風景が広がっています。こういうまちの構成を利用して、田植え体験・野菜栽培体験・地元農作物のマルシェ・ソーセージ作りなど各種ワークショップ等が盛んに行なわれています。また栂・美木多には区役所・文化会館もあるため、文化的イベントに関しては3つの駅エリアのなかでいちばん盛んに行われている場所でもあります。今後、再生事業が進むなかで若い世代の転入も進んでこうしたまちの特徴を生かした新たなムーブメントが起こることも期待されますし、そういった良好なポテンシャルがある場所だと感じています。再整備のなかでまちの魅力により磨きをかけて、新しい魅力が花を咲かせるように我々も頑張っていきたいと思っておりますし、現在お住いの方、新しく住まわれる方とも協力して栂・美木多をはじめとする泉北ニュータウンを魅力的なまちにしていきたいと考えています。

堺市役所 田辺浩士さん

堺市 市長公室 ニュータウン地域再生室

主査 田辺浩士さん
所在地 :堺市堺区南瓦町3-1 堺市役所本館5F
電話番号:072-228-7530
URL:http://www.city.sakai.lg.jp/shisei/gaiyo/annai/gyoseikiko/shicho/nt_saisei.html
※この情報は2017(平成29)年8月時点のものです。

半世紀を通じて大阪の”人”を支えたまち「泉北ニュータウン」/堺市市長公室ニュータウン地域再生室 田辺浩士さん
所在地:大阪府堺市堺区南瓦町3-1 
電話番号:072-233-1101
http://www.city.sakai.lg.jp/index.html

浦安市 こども部 こども課 インタビュー

浦安市こども部担当者が語る子育て支援。


妊娠・出産からお子さんが就学するまでの“切れ目のない”子育て支援を可能にする地域拠点として注目を集めているフィンランド発祥の“ネウボラ(neuvola)”。出生率や未就学児が大幅に減少している浦安市では、市長自らフィンランドの子育て現場を視察し、2014(平成26)年度より少子化対策の一環として“浦安版ネウボラ”の導入による新しい子育て支援を実践しています。今回は現地のネウボラの視察に参加した浦安市こども部こども部長の金子昇さん、こども課長の本田恭代さん、少子化対策室室長の並木美砂子さんにネウボラの概要と浦安市の子育て事情についてお話を伺いました。

少子化が進む浦安市の子育て支援のために

―まず、浦安市の子育て事情について教えてください。

浦安市の人口は2016(平成28)年4月現在165,411人で、一年間に生まれた子どもの人数(年間出生数)は1,317人(平成27年度)と東日本大震災が発生する前と比べて300人ほど減少しています。また一人の女性が生涯に生む子どもの人数をあらわす合計特殊出生率(平成26年)も全国平均の1.42を大幅に下回る1.09となっています。 過去5年間の推移を見ると、ほぼ横ばいで推移している全国、千葉県の合計特殊出生率と比べ低下しているのが見受けられ、0~5歳の未就学児の数も減少しています。

特に東日本大震災が発生した2011(平成23)年度以降はその傾向が顕著で、2015(平成27)年4月までの4年間で1,962人も減少しました。 その背景としては、人口そのものが流出してしまったこともありますが、未婚率の増加や晩婚・晩産化、ひとり親世帯の増加といった日本社会全体が直面する課題に加え、子育て世帯の95%が核家族といった浦安市ならではの状況もあり、少子化が進んでしまっているものと思われます。 はじめて子育てをするご夫婦にとって、身近な場所に親や兄弟などの支援者がいないことや、2人目、3人目が欲しくても経済的な不安感から負担に感じてしまうこともあり、行政としても早期の子育て支援が必要と判断し、少子化対策事業の一環として2014(平成26)年度より“浦安版ネウボラ”を導入・実施することになりました。

こども課のみなさん

浦安市役所

受付に置かれている案内

すべての妊婦さんとそのご家族を支えるサポート体制

―“浦安版ネウボラ”とは。

まだ日本では馴染みのない言葉かもしれませんが、“ネウボラ(neuvola)”とは福祉国家として知られるフィンランドの言葉で、“neuvo”とはアドバイスする、“la”は場所を意味し、地方自治体が設置する子育て支援の拠点を指しています。 具体的な支援の体制としては、地域ごとに認定された保健師が妊娠期から生まれてきた子どもが就学するまでのあいだ、すべての妊婦とその子ども、お父さんや兄弟など家族も対象として出産、子育てのサポートを行います。 浦安市では2006(平成18)年度から全国に先駆けて「子育て・家族支援者養成講座」を実施し、これまで3級認定者411名、2級認定者171名(平成27年度末)を養成してきました。また2008(平成20)年度より“子育てケアマネジャー”の養成も始まり、「子育て・家族支援者養成講座」の2級認定者のうち、「子育てケアマネジャー養成集中講座」も修了した17名が、“浦安版ネウボラ”の実現へと向けた大切な役割を担ってくれています。

ご家族の意向に合わせた子育てケアプランを提案

―“浦安版ネウボラ”ではどのような子育て支援サービスを受けられるのですか。

“浦安版ネウボラ”では大きく3回に分けて、子育てケアプランの作成を通じた情報提供や悩み相談なども受けられるようになっています。第1回目は、健康センターで母子健康手帳を受け取るときに、子育てケアマネジャーと保健師が妊娠期の過ごし方のアドバイスや必要な母子保健事業や子育て支援制度の周知など、その方の状況に応じた子育てプランを作成します。 2回目は出産前後、3回目は1歳の誕生日前後を予定していて、お母さんの就労希望やご家庭の意向を伺いながら計3回、個別の子育てケアプランを作成します。妊婦健診のスケジュールと合わせるとほぼ半年に1回の割合でお母さんとその子どもに接点を持つことが可能になっています。

これまでは母子健康手帳を渡した後は集団での健康診査のある1歳6ヵ月を迎えるまでの間、多くの方が行政と子育て家族との空白期間になってしまい、子育てに関する悩みや相談事などを把握できない状況にありました。身近な支援者や相談できる人がいなかったために、なかには産後うつや育児ノイローゼ、児童虐待など深刻なケースに陥ってしまうこともあり、行政としても“切れ目のない”支援で子育てをサポートする必要性を感じていました。

こども部ども課の標識

子育て支援のパンフレット

「浦安市役所」内の子育て総合窓口

“ネウボラ”の本場フィンランドでも導入されているインセンティブ

―“浦安版ネウボラ”の導入に際して工夫したことはありますか。

“浦安版ネウボラ”を導入するにあたって、すべてのお母さんと接点を持つきっかけとしてインセンティブを設けました。出産前後の2回目の子育てケアプランの作成時には、「こんにちは あかちゃんギフト」と名付けたベビー服などの衣料品をはじめとした浦安市オリジナルの子育てグッズの詰め合わせをお祝いの気持ちを込めてお贈りしています。ROOTOTE(ルートート)とのコラボによる使い勝手の良いマザーズバッグをはじめ、ホワイトチャペルとコラボした肌触りの良いオーガニックコットンの衣料品まで、年度ごとに配色やデザインが変わるのもご好評いただいています。 また1歳の誕生日を迎える頃の3回目には、育児サービスに関連する88店舗もの協賛によるバウチャー券「ファーストアニバーサリーチケット」をお贈りしています。協賛店のなかには、一時預かりや家事支援や整体・マッサージ、ガソリンスタンドなどもあり、日常生活に役立つ内容になっています。 インセンティブはフィンランドのネウボラでも導入されている特色のひとつで、英・キャサリン妃が第一子を出産した際に、フィンランドからベビー用品を詰め込んだ「育児パッケージ」が届けられたのはニュースにもなりました。

「こんにちは あかちゃんギフト」

市内にある支援施設の案内MAP

2016(平成28)年9月に開設した子育て支援の拠点を集約した「こどもネウボラ」

―“浦安版ネウボラ”の今後の展開について教えてください。

2014(平成26)年度より実施してきた“浦安版ネウボラ”ですが、「浦安市役所」より徒歩2分の「健康センター」に母子保健と子育て支援の拠点を集約し、「こどもネウボラ」として新たに整備しました。拠点を集約することで円滑かつ一体的なサポート体制が充実し、利用するお母さんやご家族にとっても安心感のある場所になることを期待しています。 1階には子育てケアプランを作成する「こんにちは あかちゃんルーム」と「子育て応援ルーム」があるため、隣接する母子保健のセクションとも連携が密に図れるようになります。また、地下1階にはエンゼルヘルパーの派遣などを担当する「こども家庭支援センター」が移設される予定です。2016(平成28)年9月に開設する予定ですが、「こどもネウボラ」として拠点を集約した施設はおそらく全国でも初の試みで、浦安市の充実した子育て支援のあり方を発信する拠点として注目してください。

子育ての心配や不安…そんな想いをやさしく包み込むサポート体制

―最後に地域のおすすめスポットを教えてください。

「浦安市役所」から徒歩4分ほどの場所にある集合事務所の3階には「浦安市子育て支援センター」があり、子育て中のお母さんやご家族にはおすすめです。そのほかに市内には8ヵ所の「地域子育て支援センター」があり、「浦安市子育て支援センター」のほかはすべて保育園に併設されています。 「浦安市子育て支援センター」は、親子で交流でき、子育てに関する情報も得られる場所です。子育ての疑問を質問できる職員もいるので安心して遊べます。また、予約不要の「子育て相談室」もあり、知識も経験も豊富な子育てケアマネジャーも常駐しているため、子育てにまつわる心配ごとや不安があるときなどは気軽に立ち寄ってみてください。

「浦安市子育て支援センター」の外観

親子でゆっくりとすごせるスペース

「浦安市子育て支援センター」入口

※2016(平成28)年7月実施の取材にもとづいた内容です。記載している情報については、今後変わる場合がございます。

今回、話を聞いた人

浦安市こども部こども課

こども部長 金子昇さん
こども課長 本田恭代さん
こども課 少子化対策室 室長 並木美砂子さん

浦安市こども部担当者が語る子育て支援。
所在地:千葉県浦安市猫実1-1-1 
電話番号:047-351-1111(代表)、047-712-6428(少子化対策室直通)
http://www.city.urayasu.lg.jp/

健康教育と音楽活動に力を入れる公立校

健康教育を基盤とした特色ある教育活動を実践/川口市立並木小学校 校長 池内淳一先生


1954(昭和29)年の開校より64年目を迎える「川口市立並木小学校」。JR「西川口」駅より徒歩10分の住宅地に位置する学校で、「三世代ふれあい活動」や、「ブラスバンド」と「白百合合唱団」の地域イベントへの参加など、地域との関わりも深い学校だ。今回は、平成26年度に着任してから3年目を迎える校長の池内淳一先生に、学校の特色ある教育活動や地域の魅力についてお話を伺った。

川口市立並木小学校

代々受け継がれる校訓「健康・勤勉・敬愛」を教育活動の礎として

――まず、学校の沿革や教育目標について教えてください

池内校長先生:「川口市立並木小学校(以下、並木小学校)」が開校したのは1954(昭和29)年のことで、川口駅前にある「幸町小学校」と線路の西側にある「仲町小学校」から分離独立するかたちで開校しました。川口市内では15番目の小学校として開校し、今年で64年目を迎えます。

校訓の「健康・勤勉・敬愛」は、初代校長の原田豊助先生がご考案になったもので、本校の教育活動の礎として代々受け継がれています。

「健康」は健やかに成長し、元気よく生きること。「勤勉」は努力して学び、努力して働くこと。「敬愛」は人を敬い、人と仲良くすることをあらわしており、日々の教育活動のなかで子どもたちにそういったことを伝えています。

教育目標は「知・徳・体の調和のとれた心豊かなたくましい児童の育成」を掲げており、勉強はもちろん体力の向上、昨今はこころの教育も含めてさまざまな取り組みを行っています。

健康・勤勉・敬愛

体力向上や健康教育を基盤とした特色ある教育活動を実践

――特色のある教育活動について教えてください

池内校長先生:1982(昭和57)年に川口市教育委員会から「体力づくり」の研究を委嘱されて以来、30年以上にわたり子どもたちの体力向上や健康教育に関する研究が継続的に行われています。

私が初めて教壇に立った頃の記憶で今も鮮明に覚えているのですが、1979(昭和54)年から3年間にわたって文部省から委嘱を受けて体育・特活研究の発表を行いました。

1983(昭和58)年に、全日本健康優良学校の「全国優秀校」としてはじめて表彰されると、1985(昭和60)年には同じく全日本健康優良学校の「全国特別優秀賞」を受賞しました。当時の記念碑は今も敷地内に設置されています。

数々の表彰歴がある

このような体力向上や健康教育に関する研究発表が長年にわたって継続して行われ、実績として積み重ねてきたことが本校の特色として今も受け継がれています。

ちなみに昨年度は、文部科学省の「早寝早起き朝ごはん」運動の推進に関わる取り組みとして、「なみきっ子の生活スタイル~早寝早起き朝ごはん!」としてまとめ、文部科学大臣表彰をいただくことができました。

校庭に整列する児童たち

発足より30年以上続く「ブラスバンド」と「白百合合唱団」の活動

――その他の特色のある取り組みについても教えてください

池内校長先生:発足より30年以上続く「ブラスバンド」と「白百合合唱団」も本校ならではの活動です。4年生以上を対象とした課外活動として行われているのですが、始業前、放課後、長期休業期間を利用して、それぞれの目標に向かって練習に励んでいます。参加人数はそれぞれ40名前後で、地域のイベントや大会に出場して日頃の練習の成果を発揮しています。

「ブラスバンド」は5年ほど前からマーチングバンドに移行したのですが、昨年度は「第44回マーチングバンド全国大会」において金賞を受賞しました。毎年5月下旬に開催される「西川口並木商店会」のふれあい祭りでは、「ブラスバンド」がオープニングのセレモニーに参加させていただいています。

ブラスバンド

「白百合合唱団」も「NHK全国学校音楽コンクール 埼玉県コンクール」において、2年連続の銀賞を受賞しました。また「埼玉合唱コンクール」でも金賞を受賞しました。秋には「アリオ川口」の近くにある老人ホームから文化祭にお招きいただき、歌わせてもらうことになっています。

それぞれ外部の専門家を指導者に招いて活動しているわけではないので、指導にあたる教諭が異動するたびにさまざまな課題と向き合い、どうにか運営できているといった状況ですが、地域や保護者の方々にもご協力をいただきながら充実した活動をさせていただいています。

ブラスバンド

地域とのつながりも感じられる貴重な学びの場「三世代ふれあい活動」

――「三世代ふれあい活動」とは?地域との関わりについて詳しくお聞かせください

池内校長:「三世代ふれあい活動」も30年以上続く取り組みで、並木地区の社会福祉協議会をはじめ各町会の皆さまにもご協力いただいて開催される地域のイベントです。

「並木公民館」を会場にして毎年5~6月に行われるのですが、地域のおじいちゃん、おばあちゃんと昔遊びをしたり、食事会をしたりして三世代間の交流を図っています。子どもたちには6年間のうち1回は参加してみようと声をかけているのですが、今年は参加する地域の方の人数を大きく上回ってしまうほどの参加希望がありました。

例年、本校の子どもたちが参加者の似顔絵を色紙に描いてプレゼントしているのですが、なかには「今年で7枚になったよ♪」と喜んでくださる方もいて、おじいちゃん、おばあちゃんと接する機会が少なくなっている現代の子どもたちには、貴重な学びの場になっていると思います。

生徒たちが書いた絵

地域との関わりは他にも、生活科の一環として行う「町たんけん」で商店街を見学させてもらったり、「合格通り商店会」の花植え事業に親子で参加させてもらったりと、さまざまな取り組みを行っています。

本校はコミュニティ・スクールという位置づけでは無いものの、以前から開かれた学校づくりが行われてきたため、年に1度は各町会の町会長にお集まりいただいて、地域と学校との連携を深めるための会議も開かれています。

また本校では“おやじの会”の活動も盛んで、運動会をはじめとした学校行事のお手伝いはもちろん、夏休みの恒例イベント「学校に泊まろう!!」の企画・運営や、「埼玉県立小川げんきプラザ」でのキャンプなど、お父さんたちが学校運営をサポートしてくれています。

業間運動

地域や保護者の皆さまの応援、サポートを必要としています

――地域の皆さまへのメッセージをお願いします

池内校長先生:小学校時代を川口市で過ごし、教員としてのスタートも川口市だったため、街の変遷や教育環境の移り変わりなど、おおよそ実感として理解してはいるのですが、「ブラスバンド」や「白百合合唱団」の活動方法など課題も多く、これまで以上に地域や保護者の皆さまの応援、サポートを必要としています。

この地域には、町会や商店会の方をはじめ、わが街を大切にしていきたいという気持ちを持って暮らしている方も多く、“並木っ子”を地域のみんなで大切にしていこうという気持ちを感じるたびに助けられています。

これからこの地域にお住まいになる方にも、わが子のことはもちろん、地域とともに育てる“並木っ子”という意識を持って本校の子どもたちの健やかな成長を見守ってもらえるとうれしいです。

商店街

 
川口市立並木小学校

川口市立並木小学校

校長 池内 淳一 先生
住所:埼玉県川口市並木1-24-1
TEL:048-252-5407
URL:http://www.sch.kawaguchi.saitama.jp/namiki-e/
※この情報は2017(平成29)年6月時点のものです。

健康教育を基盤とした特色ある教育活動を実践/川口市立並木小学校 校長 池内淳一先生
所在地:埼玉県川口市並木1-24-1 
電話番号:048-252-5407
http://namikisho.jp

狛江市立狛江第二中学校 インタビュー

学校と地域、保護者が三位一体となり子供たちをサポート/狛江市立狛江第二中学校 校長 佐伯英徳先生、PTA会長 前田正人さん、おやじの会 会長 高木勇悟さん


狛江市は、東を世田谷区、南を川崎市に囲まれた多摩地区東部の街で、東京都では最もコンパクトな市。新宿までは小田急線で約20分のアクセスの良さも魅力で、都心近くに住みながら自然が身近にある住環境も人気の理由です。「狛江市立狛江第二中学校」は地域とともに歩み今年創立50周年を迎えた中学校。学校と地域、保護者が一体となり生徒を見守る同校の教育は、この街の人と人との温かいつながりを象徴しています。同校を訪れ佐伯英徳校長にお話を伺い、現在PTA会長を務める前田正人さんと「おやじの会」会長の高木勇悟さんも交え学校と地域の活動、街の魅力についてお聞きしました。

3本の樹が子どもたちを見守り続ける学校。

狛江市立狛江第二中学校

――学校の概要について教えて下さい。

佐伯校長:「狛江市立狛江第二中学校」は、1967(昭和42)年4月に「狛江市立狛江中学校」から分かれて、旧狛江町で2校目になる中学校として開校しました。生徒数は、開校時の始業式では2年生が158名、3年生が23名,第1回の入学式で1年生197名を迎え、計378名10学級で始まりました。その後1970(昭和45)年に旧狛江町の市政施行に伴い、現在の「狛江市立狛江第二中学校」となりました。

本校は2017(平成29)年度で創立50周年を迎え、現在全校生徒数419名、12学級、今までに9843名の卒業生を送り出して参りました。玄関横に植樹された「ヒマラヤ杉」「大王松」「メタセコイヤ」の3本の樹は、初代校長である大八木敏夫先生の「やる気」「勇気」「根気」の三本の“き”をこの二中に大きく育てて欲しい、との思いから第一回卒業生が植樹したもので、現在も日々、子どもたちの成長を見守っています。

佐伯英徳校長

教育目標は、誰をも区別することなく親しみと愛情を持って接する「相互敬愛」、他人や周りからの干渉や制約などを受けず、自発的に自分自身で考えて行動し、自分自身の規範に従って己を律する「自主自律」、困難な場面に遭遇しても最後まで諦めずに成し遂げようとする強靭な意志を具体的な実践につなげる「意思と実践」の3つです。この教育目標の中でも私は「自主自律」を重んじておりまして、“自立”ではなく自らを律する“自律”の精神を持って、子どもたちには自主的・自発的に考えて行動できる子になってほしいと願っております。本校に関わるすべての人たちとスクラムを組みながら、生徒一人一人が目を輝かせ、何事に対しても前向きに活動できる学校を創っていきたいと思います。

様々な手法や設備を活用した、学ぶ意欲を引き出す授業づくり

教室の様子

――「平成29年度狛江市教育研究奨励校」に指定されたそうですね。

佐伯校長:昨年度から「自主的・自発的な生徒の育成~学ぶ楽しさを実感できる授業づくりを通して~」を研究主題として、教科の壁を越え、学校全体で授業改善に取り組んでいます。全ての教員が「課題設定」「課題解決」「協働解決」「まとめ・振り返り」の4分科会に分かれ、次期学習指導要領が目指している「主体的・対話的で深い学び(アクティブ・ラーニング)の視点から授業を見直しています。

教師からの一方通行の授業を行うのではなく、子どもたちの「学びたい」「もっと知りたい」という気持ちを引き出し、自ら考え、自ら進んで物事に取り組む生徒を育てるための研究を進めるとともに、習熟の程度に応じた少人数指導、ICT機器の積極的な活用なども行っています。

――特徴的な設備などはありますか。

佐伯校長:本校の体育棟は、公立の学校では珍しい空調設備付のアリーナが完備されています。その他にも武道場、調理室付き特別活動室、屋上プールがあり、災害時には地域の避難所として利用されます。また予約制になりますが、体育棟は一般の地域の方も利用可能ですので、本校生徒の授業だけの為だけではなく地域のコミュニティとしての役割も担っているのが特徴です。

空調設備付のアリーナ

合唱や部活動を通じて良好なチームワークを形成

――「合唱」が盛んな学校とお聞きしました。

佐伯校長:本校では他校と比べて、学年で歌う機会が多いことが特徴です。4月は2年生が1年生にマンツーマンで校歌を教える「1,2年交流会」が開かれます。5月には3年生が修学旅行で宿舎の方に感謝の気持ちを伝える合唱、6月には教育実習生へお別れの会でサプライズ合唱をする「合唱集会」があります。

その他にも「文化発表会」や「連合音楽会」、小学校と中学校が合唱を通じて交流する「小中合唱交流会」、スキー移動教室の「感謝の夕べ」、「合唱コンクール」など年間を通じて合唱の機会が多くあり、合唱は本校の伝統的な取組になっています。相手に感謝の気持ちを歌で伝える機会を設けることで、子どもたちの成功体験や自己有用感を育み、相互の学び合いにより、伝統作りと良好な学年集団が育成されると考えています。

広々としたグラウンド

また、体育祭においても学年縦割りでA~Dの4チームに分かれて行う「綱引き」を去年から始めまして、合唱同様に大変盛り上がりましたし、良いチームワークが形成されるきっかけになっていると思います。

――部活動においても輝かしい実績を残されていますね。

佐伯校長:野球部や男子・女子バスケットボール部、男子・女子バレーボール部、サッカー部、女子バドミントン部、女子硬式テニス部は様々な大会に出場し都大会や多摩大会などで多くの実績を上げています。吹奏楽部も「第57回東京都中学校吹奏楽コンクール」で「東日本部門」銀賞を獲得しました。

部活動の実績

ダブルダッチ部では、「DOUBLE DUTCH CONTEST WORLD 2017」のU-19部門とジュニア部門で優勝するなど、活躍は国内だけではなく世界にも広がっています。本校の子どもたちの何事にも前向きになって取り組む姿勢、チームワークの良さが、スポーツにおいても良い結果を生み出すきっかけになっていると思います。

地域や学校同士お互いの顔が見える関係で安心の暮らし。

――PTA活動について地域や保護者との連携について教えて下さい。

前田さん:本校に8割以上の子どもたちが入学してくる「狛江市立狛江第三小学校」「狛江市立狛江第六小学校」とは“顔の見える関係”として多くの交流活動を行っています。例えば、過去に地域でPTA活動をしてくださった皆様にも協力していただいている「第二育成委員会」の企画で、「科学実験の屋台村」というイベントを行っています。三小と六小の先生と二中の科学部が講師になって、会場校の教室を使い科学実験を行うイベントで、毎回100人を超える子どもたちが参加する一大イベントとなっています。昨年は、「ドライアイスで遊ぼう」や薬品を混ぜてスライムをつくる「スライム&カラフル万華鏡」、「ホログラム折り紙で作る割れないシャボン玉」、「1枚の紙で作る紙ホイッスル」を作る科学工作実験などが行われ、参加した子どもたちは大喜びでした。

PTA会長の前田さんとおやじの会会長の高木さん

また、同委員会が毎年夏秋に企画している「地域ふれあいひろば」というイベントは、3校が順番で会場になり、主に防災をテーマに、ご家族・教員・地域の方と学校で宿泊体験をします。地元の消防署や消防団にもご協力いただいて、避難シューターの体験やAEDの使用訓練、消火体験などを行います。三小・六小時代のPTA活動をしてきた方々がそのまま二中のPTAになるケースが多いのも特徴で、慣れ親しんだ者同士で和気あいあいと活動できていますし、保護者同士の連携も強く、あらゆる学校行事に対して協力体制ができているのが強みだと思います。この地域でPTA活動が初めてという方でも、この活動がきっかけで地域を好きになる、地域の皆さんと仲良くなれるなど暖かみのある関係を築いていくことができると実感しています。

――「おやじの会」の活動について お聞きします。

高木さん:「おやじの会」は、簡単に言いますと“学校のサポーター”です。例えば学校行事の時、先生とPTAだけでは手が回らない場合に準備や片付けなどをお手伝いしたり、体育祭では誘導や駐輪場所の整理をするなど、行事がよりスムーズに進むようにサポートしています。また、二中学区の夏の風物詩になっているお祭り「屋台村」を毎年夏に開催していて、「おやじの会」のお父さん達が主体となり、焼き鳥やお好み焼き、綿あめなどを販売しています。毎年開催を楽しみにしてくださる方も多く、先日の「屋台村」では400名を超える来場があり、とても盛り上がりました。

校歌が刻まれた石碑

その他にも「おやじの会」では、学校の先生も参加する学校対抗のソフトボール大会、バレーボール大会などを企画して、子どもたちのため、地域のための活動を積極的に行っています。体育祭で使用した入退場門やスコアボードも、「おやじの会」のメンバーの有志で作成したものなんですよ。PTA同様に「おやじの会」は三小と六小の「おやじの会」から活動してきた方も多いので、率先して活動する方が多く、コミュニティがしっかりとしています。

都心からも近く自然豊かな住みやすい街。

狛江市立狛江第二中学校

――最後に狛江エリアについて、これからこの街に住まわれる方へメッセージをお願いします 。

佐伯校長:狛江エリアは、自然が多く素直な子どもがすくすくと育つには十分すぎる良い環境があります。住みやすいですし、子どもたちを守るコミュニティがしっかりとした安心感のある街です。

前田さん:学校と保護者、地域が三位一体となって協力していることを感じることができると思います。人と人とのつながりがとても温かい街ですね。初めてここに来た人でもたくさんの仲間ができて、毎日を楽しく過ごすことができると思います。そばには多摩川が流れていて、都心から近いのに自然の中でのびのびと子どもたちが遊ぶことができるのも、このエリアの自慢です。

高木さん: 新宿から約20分で多摩川などの自然と安心・安全のコミュニティがある住みやすい街は、なかなかないと思います。「おやじの会」はもちろん、「狛江古代カップ多摩川のいかだレース」など祭りも多く、活気がある環境も良いところだと思います。ぜひ、狛江エリアにお越しください。

校長先生

狛江市立狛江第二中学校

校長 佐伯英徳先生(写真)
PTA 会長 前田正人さん
おやじの会 会長 高木勇悟さん
所在地:東京都狛江市猪方2-7-1
URL:http://www.komae.ed.jp/jh/02/
※この情報は2017(平成29)年10月時点のものです。

学校と地域、保護者が三位一体となり子供たちをサポート/狛江市立狛江第二中学校 校長 佐伯英徳先生、PTA会長 前田正人さん、おやじの会 会長 高木勇悟さん
所在地:東京都狛江市猪方2-7-1 
電話番号:03-3480-8891
http://www.komae.ed.jp/jh/02/

地域と保護者、学校がチームとなり子どもたちを育てる「世田谷区立弦巻中学校」の取り組みと街づくり/世田谷区立弦巻中学校 校長 今田敏弘先生


世田谷区のほぼ中央に位置する弦巻地区は、都心に近く利便性の高い閑静な街。1955(昭和30)年に創立した「世田谷区立弦巻中学校」は地域とともに生徒を育て、地域に愛され続ける学校だ。学校の活動と保護者や地域の方との関わり、弦巻エリアの魅力について今田敏弘校長先生にお話を伺った。

今田敏弘校長先生

――まずは学校の沿革と概要を教えてください

今田校長:本校は2017(平成29)年で創立62年になる歴史のある学校で、各学年3クラスと特別支援学級で全11クラス、全校生徒351名が在籍しています。「ACTIVE SCHOOL 弦巻中」、「優しさいっぱい弦巻中」をスローガンに掲げて日々教育活動に専念している学校です。教育目標は、優しく他人を思いやり、社会に貢献しようという心を持つ「優心」、探究心を持ち、物事を深く考え、人に伝えることができる「優考」、自らの健康を意識し、心身ともにたくましく成長する「優健」です。

教育目標

弦巻地区では近隣の「弦巻小学校」、「松丘小学校(松丘幼稚園)」とともに「優郷の学び舎」というグループを作っています。こちらでは連続した11年間で「豊かな人間性」「豊かな知力」「健やかな身体・たくましい心」「ことばの力」を備え、将来社会に貢献できる国際的な視野を持った児童・生徒の育成を図っています。さらに夏には小学生が部活動の体験をするワークショップや、中学生が小学校を訪問して一緒に清掃する「学び舎落ち葉掃き」など、小学生と中学生の交流やボランティア、地域防災など様々な取り組みを行っています。

――では、保護者の方との関わりについて教えてください。

今田校長:本校のPTAは、「弦和会(げんわかい)」と名付けられています。「弦和会」は保護者と教職員が協力し、学校と家庭との情報交換をしてお互いの理解を深め、楽しいPTAを目指しています。また、委員会活動へ参加し、「和」を大きく広げ、保護者同士が協力して生徒たちの健やかな成長を見守っています。主な活動としては、体育大会や合唱コンクールのお手伝いやセーフティ教室への参加、ボランティア清掃への参加、400年以上の歴史がある「世田谷ボロ市」の会場パトロールなど様々です。「弦和会」の皆さんは学校にとても協力的で生徒たちを支えてくださる大切な存在です。

――その他、特徴的な取り組みなどはありますか?

TSAでの活動

今田校長:本校では生徒たちの防災リーダーを作る取り組みTSA(Tsurumaki Junior High School Student Aid For Victims)を行っています。TSAでは、中学生による避難所運営の支援を視野に入れた防災リーダーの組織を編成し、年間を通して防災に関する課題等に取り組むものです。そしてその防災リーダーの生徒が積極的に生徒や地域にその活動を広報することにより、生徒や地域の防災意識を高めることができると考えています。災害が発生した時に避難所になるのは学校ですので、そういった時にTSAを経験した生徒たちが少しでも地域の為にお手伝いすることができたらと思い取り組んでいます。

生徒たちの防災リーダーを作る取り組みTSA

また本校では、学校図書館を活用し、生徒たちの表現力や創造力を育てる取り組みも行っています。読書は、生徒の言葉、感性、表現力、創造力を育てます。本に親しむことは自らの学びへの第一歩であると同時に、本を通して思考を広げることは心を豊かにするとも考えています。具体的には、図書館で借りた本を設定されたテーマに沿って発表・紹介をする「ブックトーク」を行ったり、小学校への職場体験で読み聞かせを行ったりするなどの取り組みをしています。
これからの学校図書館が生徒たちにとって学校内における新しい居場所になることを目指しておりますので、今後もこの活動が学校に根付いて行ってほしいと思います。

校舎の様子

――地域の方との交流などはありますか?

今田校長:前述の「ボランティア清掃」は、「弦和会」や地域の民生委員と連携して年に2回行っている活動になります。地域の方とお話しできますので、学校のことをより知っていただくきっかけになると期待しています。また、地域のパン屋さんなどに職場体験に行ったり、学校で「土曜カルチャー」を開催して地域の方に書道や、油絵などを教えていただいたりしています。地域の方々とのつながりを生徒たちに還元して、学校生活がより豊かになり、生徒たちにこの地域を好きになってもらえたら良いですね。

――今後、力を入れて取り組んでいきたい活動はありますか?

今田校長:本校の生徒は穏やかで落ち着いた気質の子が多いのが特徴です。より生徒たちの心が豊かになるように道徳教育に力を入れ、健康面では苦しい時でも乗り越えることができるタフな心を育成したいと思っています。学力面では前述の図書館の取り組みのように表現する楽しさをより学んで欲しいと思います。英検対策講座や放課後基礎補充補習など補習授業にもより力を入れていきたいです。
今後は地域の方により学校活動に関わっていただける取り組みができればと思います。地域と保護者、学校が「チーム弦巻中学校」を作り一丸となって生徒たちを育てることができる環境ができれば嬉しいですね。

都内にも関わらず、広々とした校庭も魅力的だ

――最後に世田谷区弦巻エリアの魅力について教えてください

今田校長:非常に落ち着いた環境があり、住みやすい地域だと思います。都会ではありますが、緑が多く自然環境が豊かなのも弦巻エリアの特徴です。チェーン店などお店はたくさんありますが、昔から営業しているようなこじんまりとした小料理屋さんも多く、どこか昔懐かしい雰囲気が残っている街並みも魅力ですね。「住んでみたいなあ」と思えるエリアだと思います。

今田敏弘校長

世田谷区立弦巻中学校

校長 今田 敏弘先生
所在地:東京都世田谷区弦巻1-42-22
URL:http://www.setagaya.ed.jp/ttsuki/
※この情報は2017(平成29)年12月時点のものです。

地域と保護者、学校がチームとなり子どもたちを育てる「世田谷区立弦巻中学校」の取り組みと街づくり/世田谷区立弦巻中学校 校長 今田敏弘先生
所在地:東京都世田谷区弦巻1-42-22 
電話番号:03-3428-8381
http://school.setagaya.ed.jp/ttsuki/

地域密着webマガジン「TABATIME(タバタイム)」編集長に聞く、田端の魅力/TABATIME 編集長 櫻井寛己さん


	「田端による田端のためのwebマガジン TABATIME(タバタイム)」

2017(平成29)年1月にリリースされた、田端の地域情報を発信するwebマガジン「TABATIME(タバタイム)」。地道な情報収集や取材を基に綴るその内容は、飲食店の紹介や暮らしに役立つ情報から、地域のイベント告知やニッチでディープなローカルネタまでさまざま。脱力系のキャラクター“田端くん&田端さん”のイラスト効果も相まって、親しみやすく、なおかつ独自の世界観で田端の等身大の魅力を伝えています。今回は田端で生まれ育ち編集長兼ライターとして奔走する櫻井寛己さんを訪ね、地域でも注目を集めつつある「TABATIME」の取り組みや、地元・田端への思いなどをお聞きしました。

地元の田端をネタにしたLINEスタンプからの気づきが出発点

――まず、櫻井さんと田端との関係性について教えていただけますか?

櫻井さん:曾祖父の時代から4世代にわたって田端に住んでいて、田端生まれ、田端育ちです。現在も田端に住み、明治通り沿いにある「ローソン田端新町2丁目店」の店長を務めています。父親が今の場所にコンビニを出店して25年くらい経つのですが、以前は同じ場所で寿司やうどんを提供する飲食店をやっていたようです。それ以前も田端の別の場所で魚屋をやっていたそうなので、時代の流れに合わせながら業態は変えつつも、この街でずっと商売をさせてもらっています。

インタビューに応える櫻井さん僕自身の経歴としては、大学を卒業していったん会社勤めをしたのですが、「自分の手で何かを生み出したい」という思いがあり、会社を辞めた後家業の手伝いと並行して2013(平成25)年から「やってみたいことやってみる協会」という組織を仲間と一緒に立ち上げて、イベントの企画や商品開発などいろいろなことに取り組んできました。

その活動の中のひとつにLINEのスタンプ制作があったのですが、色々と描いてはみるもののそれがまったく売れなくて…。せめて自分が使えるスタンプを作ろうと地元の田端をネタに描いたところ予想外の反響があったんです。現在までに7,000人くらいがスタンプを利用してくれています。

櫻井さんが作った「田端」LINEスタンプの一部

学生時代から他の街から友だちを呼ぶ度に、「田端ってお前んち以外には何があるの?」など認知度の低さを痛感してきた僕にとって、『山手線で1番無名!』などと描いたLINEスタンプはまさに自虐ネタだったのですが、その反響を見て、そのマイナーさを面白がって使ってもらえるのはむしろ田端を知ってもらうチャンスなんじゃないかと思いました。また同時に、地元に住む僕にとっても意外なほど、田端の人って案外田端のことが好きなんだなぁということも実感しました。

山手線で1番無名?な「田端」駅

代々個人商店を営む家で生まれ育ったにもかかわらず、僕自身は父親のように町会の役員として参加することもなければ、街のために何かをしてきたかと問われれば、おそらく何もやって来なかったんだと思います。そんな自分にできることを改めて考えたときに、「田端にも良いところが色々あるぞ!」と発信するには田端で生まれ育ってなおかつ一歩引いたところで自由に関われる僕みたいな人しかいないんじゃないか、と動きはじめたのが「TABATIME」立ち上げのきっかけです。

「櫻井がまた変なことはじめたぞ」からのスタート

――――「TABATIME」はどのように運営しているのでしょう?これまでにどんな反響がありましたか?

櫻井さん:田端のグルメ情報やイベントレポート、地域カルチャーの紹介など田端に特化した情報を日々発信しています。取材からWEBページの制作まで全て僕と数名のスタッフで自主的に運営しています。2017(平成29)年1月にリリースして半年程経ちますが、現在のPV(ページビュー)数は月に15,000程です。まだまだこれからのメディアなので、広告収益などを上げることなどは現時点では考えていませんが、ゆくゆくは地元の企業とのタイアップや地域に応援してもらえるようなことも考えていけたらと思います。

独自の視点で田端の情報を随時発信中!

サイトを立ち上げてから特にこれといった宣伝もしてこなかったので、はじめの頃はそれこそ知り合いの間で「櫻井がまた変なことはじめたらしいぞ」くらいの反応でしたが、その後、編集長兼ライターとして自分の足を頼りに地道に取材を進めていくと、人伝いに「あのお店が良いよ」などと情報を教えてもらえるようになったり、訪ねたお店の人が僕のことを知ってくれて取材をさせてもらえたりと地元を中心に少しずつ広がりをみせるようになってきています。

取材は自分の足を頼りに地道に

取材を通じて気づいたことは、「こんなお店のことまで取り上げてくれるんだ!」と悦んでもらえたり、その一方で特に昔ながらのお店などは常連客が支えているところが多いので、「常連さんが入れなくなると困るから」と消極的なお店もあったり、下町の住宅地ならではのそれぞれの事情や思いがあることを知ることができました。

取材を通じて、初めて知る地域のことも

知っているつもりでも知らないことが田端にはまだたくさんある

――「TABATIME」を通じて気づいことや、やりがいを感じることはありますか?

櫻井さん:僕自身、生まれ育った田端のことを知っているつもりではあったのですが、知らないこともまだまだ多くあることを知りました。例えば、イギリスのカルチャー雑誌で東京トップ10にも選ばれたアートギャラリーがあったり、全国的にも有名なオカリナを制作する会社があったりと、地元に住んでいても知らないお店や情報を自分の足で探してひとつひとつ記事にしていくことが、いま僕のやるべきことだと感じています。

イギリスのカルチャー誌にも取り上げられたアートギャラリー「WISH LESS」

実のところ編集プロダクションにいたわけでもデザインの勉強をしたわけでもないので、ひとつひとつ手探りではあるのですが、田端のLINEスタンプを作って反響があったように「やればなんとかなるかな」という感覚もあります。

新旧の魅力が融合し、誰にとっても居心地の良い住宅街

――櫻井さんが思う、田端ならではの魅力とはどのようなところでしょう?

櫻井さん:まず第一に、「静か」なところですね。僕が生まれる前はこの辺りにもいわゆる町工場がたくさんあって、明治通り沿いの個人商店や駅から続く商店街にも多くの人が行き交っていたのですが、時代の流れとともにマンションや戸建てが建ち並ぶ落ち着いた住宅地に変わってきました。駅周辺にも歓楽街みたいなものは無く街並みもきれいですし、山手線のエリアでこうした環境がある街はほとんど無いんじゃないでしょうか。

整備された「田端」駅付近の街並み

新しくこの地域に引越してきた人に話を聞いてみても、夜遅くまでやっているお店が少ないから酔っぱらいも居ないし、静かで住み心地が良いという声をよく聞きます。もちろん田端にも昔ながらの飲み屋や新しくできたレストランやバーなど色々ありますが、店舗も住居も近くにあるのが当たり前でやってきた下町なので、お互いに迷惑が掛からないように節度を守って楽しむ気遣いが、街の雰囲気として自然に受け継がれているようです。

下町の風情も残る、明治通り付近の街並み

住んだら地域のイベントも楽しめると思いますね。夏には盆踊りと御神輿を毎年交互に行うお祭りがあり、半纏(はんてん)を着た近所の子どもたちで毎年賑わいます。また、学校行事とは別に地区対抗の運動会なんかもあって、大人も子どもも参加して盛り上がります。フランス生まれの「ペタンク」というスポーツの大会など珍しい行事もあります。

こうしたイベントのお知らせは自治会の回覧板とかマンションであれば掲示板などに張り出されると思いますが、回覧板そのものが若い世代にとっては馴染みの無いツールなので、ぜひ「TABATIME」を街の掲示板のような媒体として使ってもらえればいいですね。

地域間・世代間の交流も促す地域メディアとして発展する「TABATIME」のこれから

――今後の課題や展望について聞かせてください。

櫻井さん:古くからこの地域に住む方と、新しく移り住んできた世代との交流も取り組むべき課題のひとつだと考えています。そうした地域の中を繋ぐハブ的な存在を「TABATIME」が担えたらいいなと思います。

また、そもそも田端に興味を持っていない外の人たちに如何に田端を知ってもらうかということも重要なので、街にある魅力的なもの、面白いものを「TABATIME」でひとつひとつ取り上げて田端という街全体のイメージを底上げしていきたいです。

駅ビル「アトレヴィ田端店」もあり, アクセス利便性も高い「田端」駅

それと個人的にやってみたいこととしては、子どもの頃にやっていた「フェスタ」というイベントを復活させたいと考えています。JR貨物さん駐車場で飲食や物販のブースが出る地域のイベントだったのですが、いつの間にかやらなくなってしまって、「懐かしい」「またやりたい」という地元の方の声もよく耳にします。

「TABATAIME」を通じて田端を盛り上げたいと語る櫻井さん

もちろんまったく同じ内容だとつまらないので、今のこの時代に見合ったイベントの内容として企画してみたいですね。それこそ「やってみたいことやってみる協会」で取り組んだいろんな経験もありますし、スタッフとふたりで立ち上げた「TABATIME」のように、ひとりではできないことも複数の人が関われば実現させられることも多く、声を上げることや実際に行動することはそれだけでも大変ですが、訴え続けていきたいと思います。

――「住む街」として、田端エリアのどんなところがオススメですか?

櫻井さん:とっかかりとしては、アクセスの良さと山手線沿線の他の駅と比べて家賃が安いなど分かりやすい点で田端に降り立つ人がほとんどかとは思いますが…住んでみるとそれ以外のさまざまな魅力を発見できると思います。「田端といえばコレ!」といったインパクトが強いものは無いですが、新旧の魅力があり、さまざまなジャンルのお店もあって、色々なライフスタイルの人が自分好みの暮らしを見つけられる街だと思いますよ。

田端の街並み

櫻井寛己さん

TABATIME

編集長 櫻井寛己さん
URL:http://www.tabatime.net/
※この情報は2017(平成29)年6月時点のものです。

地域密着webマガジン「TABATIME(タバタイム)」編集長に聞く、田端の魅力/TABATIME 編集長 櫻井寛己さん
http://www.tabatime.net/

国際人としてのグローバルな視点を育む英会話教室/ペッピーキッズクラブ 岡田さん、藤原さん


「平和記念公園」からも近い舟入エリア。太田川と天満川に挟まれた南北に細長い街の真ん中には市電江波線が通る。広島の市電といえば外国人観光客の利用者も多く、車掌がなにげなく英語で外国人とのコミュニケーションを取る姿を目にする機会も多い。全国で1,300ヵ所の教室を持ち、地域密着型の英会話教室を展開する「ペッピーキッズクラブ」は、市電「舟入幸町」停留場から徒歩で約2分の場所にある。真の国際人を英会話を通じて育てることをモットーとする「ペッピーキッズクラブ」。今回は広島支社・指導部責任者の岡田さんと舟入教室の藤原先生にお話を伺った。

外観

真の国際人を目指して

――「ペッピーキッズクラブ」の基本理念や概要を教えてください

藤原先生:「ペッピーキッズクラブ」は、これからの日本の子どもに求められる力が「Global Human Communication(世界中の人々との意思疎通)」と考えています。本物の国際感覚、またコミュニケーション力を身につけ、世界に羽ばたく可能性を広げてあげたいというのが基本の教育理念になっています。「真の国際人」というものを「コミュニケーションがとれる子ども・チャレンジできる子ども・生きる力を持つ子ども」と3つの軸で考えて、それらが備わった子どもたちになってほしいと思い、英語学習を通じてそれらが身につけられるようにと考えています。

レッスンの様子

習うより慣れる―楽しい英会話習慣を

――レッスンの特徴などを教えてください

藤原先生:「ペッピーキッズクラブ」では、1歳から18歳までが対象になっており、年齢に合わせたカリキュラムを組み「英語を学ぶことの楽しさ」を重視しています。英語の歌、リズム遊び、ゲームなどのアクティビティを取り入れた飽きない英語学習に取り組んでおり、1ターム(1ターム=4回)の授業に1回、外国人講師のレッスンが組まれて、生きた英語を学べるようになっています。外国人講師は全員ティーチングビザを取得している講師で、「ペッピーキッズクラブ」では小学校での英会話・英語教育で活躍できる英会話講師の育成にも力を入れています。正しい発音が身につく「ソルマーク式PRC-Method(メソッド)」という発音習得法を採用している英語教室は、日本では「ペッピーキッズクラブ」だけです。保護者の皆さまに対して学習プロセスを詳しく報告して、ご家庭でも英語に触れる機会を増やしていただけるように、上手な復習の仕方や教材の活用方法についてもお伝えしています。

レッスンの様子

Let’s Talk!Practice! Practice!

――年齢別のコースが幅広いですね

藤原先生:「ペッピーキッズクラブ」では8つの学齢別コースがあり、各コースのなかで一人ひとりの習熟度に応じて段階的なフォローを行う細やかな指導を行っています。また、すべてのコースでオリジナルの教材を使用して、年齢にあった学びやすい学習方法を取り入れています。例えば一番下のクラスは1歳・2歳の「カンガルークラス」になりますが、これは親子のためのコースで、レッスンの主体は親御さんになり、まだ日本語を話すのもたどたどしいお子さんは、英語に慣れてもらいます。一緒にお買い物に出かけて、リンゴを指さして「apple」と教えてあげるなど、家に帰ってから、親と子どもで英語の学びができるきっかけにもなるかと思います。レッスン時間は、1歳・2歳の子どもにとってきつくないように35分となっています。6歳ぐらいから小学生を対象にした「TECS」という「ペッピーキッズクラブ」独自の英語コミュニケーション技能検定試験が年に2回あるのですが、これは合否のないA・B・Cの3段階判定で、どこが得意でどこが苦手なのかがひと目でわかる分析表や一人ひとりに合った今後のアドバイスも表示されますので、この「TECS」を経て、小学高学年から英検を本格的に目指す子もたくさんいます。「TECS」は年間6万人以上が受験していますが、小学校でもこの検定を採用している学校もあります。

――いちばん上のコースについて教えていただけますか?

藤原先生:いちばん上は「コミュニケーティブクラス」という高校生のコースです。このコースの基本は学校の英語授業の先取り学習になっています。英検でいえば2級・準1級を目標にするイメージです。

「TECS」のレポートカード

継続は力―マイペースでも大丈夫

――いろいろな学習塾などがあるなかで「ペッピーキッズクラブ」に通っている子どもたちはどんな子が多いですか?

岡田さん:小さい時から通っている子どもが多いようです。小さい時から高校を卒業するまで通う子どもも少なくありません。中学・高校生のスクール生の中には、運動部や吹奏楽部のように忙しいクラブ活動をしながら通っている子どもも多いです。自分自身で目的意識を持っている子どもが多いと感じますね。グローバルマウンテンと呼んでいる最終ゴールまでを山に例えて視覚化し目標図を教室に貼っているのですが、これを見て励みにする子どもも多いですし、保護者の方にも「応援してあげよう」と理解もしてもらいやすいです。

レッスンの様子

――小学校の英語の必修化に向けて、行っていること、予定していることがあれば教えてもらえますか?

岡田さん:会話クラスだけでなく、文法クラスもこれまでは小学校5年生からだったのが3年生から受講できるようになりましたし、WEBレッスンでも読み書きに慣れるための文法コースの早期受講や授業の組み合わせ方の検討を重ねています。例えば、英会話に関しては教室に通って、文法についてはWEBで習うような選択の仕方もできるように考えています。遅い時間に習い事に通わなくても、都合のいい時間を選んで受講できるなど、各家庭の生活事情などにも合わせていけるかなと思っています。

レッスンの様子

――スクールに通う子どもはどのあたりから通ってくる子が多いですか?

岡田さん:舟入教室に通う子どもたちは天満・観音・舟入・吉島といった地域から通っています。街の中心部からは少し外れた住宅街のなかにあるので通いやすく、自転車に乗って通う子どももいます。ほかの英会話教室へ通うとなると車での送迎が必要なほど離れてしまうケースもあるようですが、地域密着型の当スクールの便利なところでもあります。

――最後に舟入エリアの街の魅力についてお聞かせいただけますか

岡田さん・藤原先生:騒がしくない静かな住宅街で、市電もあって便利なので生活環境には良いと思います。当スクールに通う子どもはクラブ活動やほかの習い事をしている子どもも多いですし、舟入エリアに住まわれている方は教育熱心な方が多いと聞いています。スクールに通う子ども以外でも、この周辺で見る子どもたちは素朴で元気な子どもらしい子どもが多いなというのもよく感じることです。外国人の居住者や観光客も多く見かける街なので、これからもたくさんの子どもたちに英語に親しんでもらえたらと思っています。

ペッピーキッズクラブ 舟入教室

ペッピーキッズクラブ 舟入教室

藤原先生(写真左)、広島支社・指導部責任者岡田さん(写真右)
所在地:広島県広島市中区舟入川口町3-17 第2橘谷ビル103号
電話番号:0120-95-2542
URL:http://www.peppy-kids.com/classroom/detail.php?kid=594
※この情報は2017(平成29)年8月時点のものです。

国際人としてのグローバルな視点を育む英会話教室/ペッピーキッズクラブ 岡田さん、藤原さん
所在地:広島県広島市中区舟入川口町3-17 第2橘谷ビル103号
電話番号:0120-95-2542
http://www.peppy-kids.com/classroom/deta..

公益財団法人東京都公園協会 木場公園サービスセンター長 小谷野利幸さん インタビュー

ボランティアスタッフやイベント参加者など、 “地域の人と一緒につくっていく公園”/木場公園 サービスセンター長 小谷野利幸さん


江戸時代初期から材木業が集まっていた木場が、新木場に移転したのをきっかけに、1992(平成4)年、その貯木場跡地を「木場公園」としてオープンした。24.2haの広大な土地は現在、地域の人々の心のオアシスとなっている。一方で防災公園としての側面もあり、三ツ目通り側には耐火性植物も植えられ、防災に関するイベントなども積極的に行っており、参加者は増加傾向にある。そんな地域住民の日常生活の一部にも溶け込んでいる「木場公園」のイベント活動や、都立公園としてのサービス提供について伺った。

――「木場公園」はどういったエリアや施設があるのでしょうか?

都市緑化植物園

東京メトロ東西線「木場」駅方面に当たる南側から挙げると、まずは広い芝生の「ふれあい広場」と「都市緑化植物園」、そして「バーベキュー広場」「噴水広場」、アスレチックや遊具が集まった「南の冒険広場」と続き、「木場公園」のシンボルである「木場公園大橋」を渡ると、「イベント広場」とテニスコート、災害時にヘリコプターも着陸できる「多目的広場」と、子どもに人気の「徒渉池」「北の冒険広場」などで構成されています。

木場公園 川沿い

多彩な広場や施設を擁する公園なので、近隣の方のジョギングやウォーキングはもちろん、平日昼間は「ふれあい広場」に幼稚園児や保育園児が遠足に来ることも少なくありません。時には、複数の団体が重なって1,000人以上になることもあるほどです。都心にありながら、広大な敷地を誇る公園として皆さまに好評をいただいています。週末は家族連れの利用も多く、ライフスタイルに合わせて上手に利用していただける公園だと思います。

24.2haの広い公園ですが、利用者が安心して使っていただけるよう、昼間は公園のスタッフが園内を見回り、夜間は警備会社に巡回してもらうことで、安全面の配慮には特に力を注いでいます。さらに、園路灯の故障チェックや、園内で迷惑行為が行われていないかなど、スタッフも定期的に夜間の確認を行っています。

――緑豊かな環境のもと、さまざまな年齢の方が安心して利用できる公園だということですね。

バーベキュー場案内

そうですね。遊んだり、散歩したり、運動したり、さらにバーベキューも楽しめます。「バーベキュー広場」は夏でも木陰になっていますし、広々としているので、ファミリーだけでなく、会社の行事などにも利用されています。何より、事前予約すれば“無料”という点が人気の理由でしょう。その分、私たちは場所を提供するだけなので、機材や食材はすべて準備していただくことになっています。

バーベキュー場

3月から11月にかけての週末は、窓口前に100人以上が並ぶこともあります。電話か窓口に来ていただき予約手続きをするのですが、混雑するシーズンは、電話だと非常につながりにくいので、お近くであれば直接お越しいただくことをオススメします。1名につき1サイト40名までしか予約できませんので、大人数で利用される場合はお友だちと一緒に来ていただいた方がいいでしょう。

――「木場公園」は“防災公園”としての一面もあるとうかがいましたが。

かまどベンチ

「多目的広場」は、災害時や緊急時に自衛隊などのヘリコプターが離発着できる「大規模救出救助活動拠点」に指定されています。公園の敷地内には、マンホールにテントを張って使用する「災害対応トイレ」や、停電でも使えるソーラー発電の誘導灯や公園灯、「バーベキュー広場」には座る部分を取り外すと煮炊きができる「かまどベンチ」などが配置されており、園内の地図にもその場所が表示してあります。

木場公園

「“防災”については、そうしたハード面の充実だけでなく、町内会やボランティアと一緒に防災訓練を行ったり、防災施設を実際に使ってみたり、「わんぱく防災フェスタ」で子どもたちに手づくりの毛布担架を作ってもらったりするなどして、災害時・緊急時に役立つ知識や技術を楽しく学ぶ場も提供しています。

「わんぱく防災フェスタ」は年に1回、子どもたちの夏休みシーズンに開催しているのですが、2015年度は1,600人ものご家族が集まり、防災に関する意識の高まりを感じます。同時に、このイベントが地域の人たちに認知されつつある手応えも感じています。

――「わんぱく防災フェスタ」のほかにも、さまざまなイベントが開催されているそうですね。

木場ミドリアム

「イベント広場」で区内のアマチュアバンドのライブや「大江戸ソーラン祭り」の実施をはじめ、チャリティ団体による震災の募金を募るマラソン大会、子どもたちが木材と工具を使って何かを作る体験学習など、公園のインフラを利用した幅広いテーマでのイベントを開催しています。「バーベキュー広場」近くにある「木場ミドリアム」ではボランティアスタッフが中心となって、2週間交替で写真やスケッチ、クラフトの展示会を常時行っているだけでなく、グリーンアドバイザーによる園芸相談、花・木に関係したセミナーのような活動も行っています。先日「木場ミドリアム」で行われた「ラベンダースティック」作りは盛況でした。近年、イベントの参加者が増加しているので、今後はもっといろいろなイベントを企画したり、回数の工夫も必要だと考えています。秋には、どんぐりなどを使ったリース作りのイベントもやってみたいですね。

――ボランティアスタッフの方たちの協力は、「木場公園」の管理やイベント開催において大きな力となっているのですね。

都市緑化植物園

「木場公園」が地域に密着した公園となっているのは、ボランティアスタッフの方々の協力あってこそだと思います。たとえば、年間をとおして美しい花や緑に溢れている「都市緑化植物園」は、ボランティア団体「木場公園友の会」をはじめ、8つの団体が中心となって維持・管理されています。ガーデニング広場、洋風&和風庭園、果樹園など各エリア、毎日ボランティアスタッフの方々が交代で手入れに来てくれています。また、「ふれあい広場」の一画にある「ドッグラン」は、ボランティアのドッグランサポーターズによって運営され、毎月「犬のしつけ教室」なども開催されています。

木場公園の風景

そうしたボランティアスタッフの方々の協力もあって、「木場公園」は四季折々の樹木や草花が途切れなく咲き、都会に残る自然をいつでも楽しめる環境となっています。「都市緑化植物園」の草木を見ると、私自身もこれまで知らなかった花が咲いていたり、都会ではなかなか見かけない虫や鳥を見かけ、新しい発見があります。今後も“地域の人と一緒につくっていく公園”として、どんな季節でも楽しめる公園づくりや多彩なイベントを提供していきたいと考えています。

木場公園 小谷野さん

公益財団法人 東京都公園協会

木場公園サービスセンター長 小谷野 利幸さん
公園所在地:東京都江東区平野4 ほか
電話番号:03-5245-1770
「都市緑化植物園」開園時間:9:00~16:30
URL:http://www.tokyo-park.or.jp/park/format/index020.html
※記事内容は2015(平成27)年8月時点の情報です。記載している情報については、今後変わる場合がございます。

ボランティアスタッフやイベント参加者など、 “地域の人と一緒につくっていく公園”/木場公園 サービスセンター長 小谷野利幸さん
所在地:東京都江東区木場4・5丁目・平野4丁目 など 
電話番号:03-5245-1770(木場公園サービスセンター)
http://www.tokyo-park.or.jp/park/format/..

座間市子育て支援センター「ざまりんのおうち ひまわり」インタビュー

親子で楽しく過ごせるアットホームな子育て支援センター/ざまりんのおうち ひまわり センター長 阿部麻美さん


座間市で2箇所目の子育て支援センターとして、2004(平成16)年7月1日に開所した「ざまりんのおうち ひまわり」。小田急線「小田急相模原」駅から徒歩8分というアクセスしやすい立地にある同施設は、家庭的な雰囲気を大切にし、いつでも気軽に訪ねられる場所を目指している。今回は「ざまりんのおうち ひまわり」のセンター長である阿部麻美さんにセンターの概要や日々の運営で心がけていることなどについてお伺いした。

親子に必要とされる場所として

センター長の阿部麻美さん

――施設の概要を聞かせてください

阿部さん:「座間子どもの家保育園」を母体として、2004(平成16)年7月1日に座間市の委託を受けて開所しました。以前は「第二子育て支援センター」という名称でしたが、2014(平成26)年6月に行なわれた名称公募の結果、「ざまりんのおうち ひまわり」となりました。ひまわりの妖精である“ざまりん”は座間市のキャラクター。ひまわり畑のある座間市に相応しい愛称となっています。

「小田急相模原」駅近くにあり利用しやすい

――「ざまりんのおうち ひまわり」は、どのような施設ですか?

阿部さん:親子で遊ぶことができる場所で、ボールプールをはじめ色々な玩具があります。利用できるのは未就園児とその保護者で、利用時間は10時から16時までとなっています。子育てに関する相談にも応じていますので、何かありましたら些細なことでも構いませんので、気軽に声を掛けていただけるとうれしいですね。

個室はありませんが、利用時間の前後1時間であれば個別相談もできますし、相談だけであれば、お子さんが未就学児になっても対応しています。利用者数は平均すると1日20組前後で、市内だけでなく隣接する相模原市、大和市からもいらっしゃいます。

センター内の様子

――親子で参加できるイベントはありますか?

阿部さん:ハロウィンバッグを作ったりクリスマス飾りを作ったりするイベントや、読み聞かせの会を定期的に開催しています。それ以外では、近くの「北地区文化センター」との共催で「すくすく講座」を開催しています。救急法がテーマの時は母体の保育園より看護師、離乳食がテーマの時は栄養士を招くなど、月ごとに違うテーマで行っています。

「すくすく講座」の他にも、テーマを設定して座談会も開いています。座談会には講師は呼ばず、私たちが司会役となり進行しています。ある時はトイレトレーニング、またある時は生活リズムの話だったりと、「すくすく講座」と同様、月ごとにテーマは異なります。

小規模だからこその良さ

人気の遊具「ボールプール」

――利用者と接する上で、特に心がけていることを教えてください

阿部さん:やはり一番は、入りやすい雰囲気づくりですね。家庭的な温かみを感じることができ、気を使うことなくゆったりと過ごして頂ける場所でありたいと考えています。用事がなければ入れないと思っている方もいるかもしれませんが、子育て中の親子ならいつでも、またどなたでも大歓迎の施設です。ご実家に帰られるときのような気持ちで、気軽に来所頂きたいと思っています。

子育て本も種類豊富に準備している

――利用されている方の様子を聞かせてください

阿部さん:近くにマンションが増えたこともあり、以前に比べ来所者も増加しました。兄弟姉妹を連れた方も多くいらっしゃいますが、利用者にほぼ共通する悩みが、下の子が小さいと、上の子と遊ぶ時間が取れないというものでした。私たちが下の子と一緒に遊ぶことで、上の子と遊ぶ時間を確保できると喜んで頂いています。また、センターの中はそこまで広くはないのですが、逆にその規模のおかげでお母さん同士の距離が縮まり、初対面でも話しやすい環境になっていると感じます。

アットホームな雰囲気ではじめてでも利用しやすい

――最後に、「小田急相模原」駅周辺の街の魅力を教えてください

阿部さん:駅の北側はすでに再開発を終えていますが、南側はこれからなので、どのように変わっていくかが楽しみですね。“子育て”というテーマでも座間市は、全ての子どもとその親が、安心して子育てできる街づくりを進めています。育児相談・児童相談の窓口や、子育てサークルによる子育てフェスティバルの開催、そして、子育て応援ブック「ざまっぷ」の発刊など子育て支援活動も活発なので、日常で子育てのしやすさを実感できる場面は多いのではないかと思います。

座間市子育て支援センター ざまりんのおうち ひまわり

座間市子育て支援センター ざまりんのおうち ひまわり

センター長 阿部麻美さん
所在地 :神奈川県座間市相模が丘5-29-59 石井ビル1F
TEL :042-740-2788
URL:http://www.city.zama.kanagawa.jp/www/contents/1191213862555/
※この情報は2016(平成28)年11月時点のものです。

親子で楽しく過ごせるアットホームな子育て支援センター/ざまりんのおうち ひまわり センター長 阿部麻美さん
所在地:神奈川県座間市相模が丘5-29-59 石井ビル1F
電話番号:042-740-2788
利用時間:10:00~16:00(相談は9:00〜16:00)
休館日:土・日曜日、祝日、年末年始、第2水曜日の午後と第2木曜日の15:00以降
http://www.city.zama.kanagawa.jp/www/con..

街の人が語る、立川の魅力

生きる力を育てる「いい顔」いっぱいの伝統校/立川市立第三小学校 校長 井上和芳先生


「立川市立第三小学校」は、「立川」駅南側から「西国立」駅にかけて広がる立川市錦町エリアにおいて、80年以上の長い歴史を持つ伝統校。子どもたちの「生きる力」の育成を目指し、学力向上の推進力となる校内研究や縦割り班活動、月間のスポーツ活動など、知・徳・体のバランスのとれた教育活動に取り組んでいる。恵まれた学習環境を活かした近くの「国営昭和記念公園」への全校遠足は、50年以上も続く伝統行事だ。赴任7年目を迎えられた校長の井上和芳先生に、同校ならでは教育内容や錦町エリアの魅力について伺った。

想い出に刻まれた創立80周年記念事業

立川市立第三小学校校長 井上和芳先生

――まずは、学校の歴史と概要についてお聞かせください。

井上先生:1937(昭和12)年に現在の第一小と第二小から分校してできた「東京府北多摩郡立川町立第二尋常小学校」が前身で、当初からかなり人数が多い学校でした。現在の児童数は昨年より約30名増えて551名で、市内全20校の中で見ても大規模な学校です。周囲にマンションが増えていることから、新1年生には新しく越されてきたご家庭のお子さんが多く、児童数の増加もそうした立地条件によるものと思っています。

校内にある「ホタル池」

――昨年は創立80周年を迎えられましたね。

井上先生:子どもたちの想い出に残るようにと、1年を通して毎月のように創立80周年記念事業を開催しました。最初の「ホタル事業」では、3年生が地域のホタル愛好会の協力で校内の池にホタルの幼虫を放し、ホタルが飛び交う6月には地域に向けて鑑賞会を開きました。7月の「世界の国からこんにちは」では、JICA研修員として市を訪問された13ヵ国の方たちが授業を見学し、子どもたちと給食を食べるなどして交流しました。子どもたちは積極的に英語で話しかけていて、大喜びで歓迎していました。

10月にはオリンピック・パラリンピック教育とも絡めて、元ソフトボール選手で金メダリストの佐藤理恵さんをお招きしました。全校児童の前でお話をしてもらい、5、6年生はソフトボールの授業をしてもらって感激していました。12月には当時の卒業生も呼んで、50周年で埋めたタイムカプセルの公開を行いました。こうした記念事業のほか、5月の運動会は記念大運動会として開催し、子どもたちが「80」の文字を作って校庭で踊るなど様々な工夫を凝らしました。年度の最後は記念式典で締めくくり、子どもたちの記憶に残る周年になったのではないでしょうか。

創立以来、校庭で子どもたちを見守ってきた赤松

――教育目標や目指す学校像について教えてください。

井上先生:教育目標は、「よく考え実行する子」「思いやりのある子」「健康でたくましい子」と、知・徳・体のバランスがとれるような目標を立てています。目指す学校像は、「いい顔いっぱいの第三小 ―生きる力の育成―」です。朝会でも年度当初に必ず話すのですが、「いい顔」というのは、気力・体力・学力がしっかりと整った状態をいいます。つまり、生きる力がつくということであり、生きる力を育てていくことが基本的な考え方です。それには、子どもたちだけでなく、子どもたちを取り巻く職員、保護者、地域も「いい顔」であることを目標としています。

周年事業の一環として、80年も子どもたちを見守ってきた校庭の赤松を「三小だいす木」に見立て、全校児童が赤松の絵にメッセージを張り付けました。中には「先生大好き」という言葉もあり、感激しました。先生が好きというのは、学級が好き、学校が好きだということ。「いい顔」につながることです。これからも子どもたちが学校を好きになれるような学級づくり、授業力向上に取り組んでいきます。

多摩川や「国営昭和記念公園」も近い恵まれた学習環境

授業風景

――朝の三小タイムとはどのような取り組みですか?

井上先生:授業開始前の15分間に設定している反復学習の時間です。基礎学力の育成を目標に、東京ベーシック・ドリルなどを活用し、算数・国語を中心に進めています。昨年の全国学力調査で多くの子どもたちが平均より上の点数をとるなど、子どもたちの学力が上がってきていますが、この三小タイムをはじめ、家庭学習や補修学習といった取り組みが総合的に効果を発揮していると思っています。

校庭の芝生は子どもたちにも好評

――校庭の芝生や地域の自然環境を活かした学習はありますか。

井上先生:7年前に校庭の一部を芝生化したところ、子どもたちは大喜び。運動会に向けて休み時間に組体操や横転の難しい技に挑戦するなど、いろいろなことに活用しています。校外学習から帰ってきた子どもたちが座って、先生の話を聞くのにもいい場所です。

自然環境といえば、学区内に多摩川があるので、2年生が生活科で川べりの草原に虫捕りに行きます。低学年の足で片道20分ほどの距離ですね。公園もたくさんあって、1年生が草摘みに出掛けます。「国営昭和記念公園」は全校遠足で活用していますが、広い草原の中で思い切り遊べるのは本校の自慢のひとつです。

全国遠足は50年以上も続く伝統行事

体育の授業風景

――全校遠足や縦割り班など学年を超えた活動が盛んだそうですね。

井上先生:縦割り班での「国営昭和記念公園」への全国遠足は、50年以上も続く本校の伝統行事です。今も全校遠足を行う学校は、めずらしいのではないでしょうか。当日は、出発式を行って20~30人の縦割り班ごとに学校を出発し、班長が引率して公園まで歩いて行きます。みんな、低学年の頃から班長になりたいと憧れて、ようやくなった班長です。公園では班で考えた遊びをして、お弁当を食べて帰ってきます。上級生は下級生の面倒をしっかりみて、遊びに使う用具やリュックを持って行ってあげ、疲れた1年生をおんぶして帰ってくる子もいます。

全校遠足は縦割り班活動の集大成で、遠足を目指して4月から縦割り班を組み人間関係を作っていきます。毎月の縦割り班活動の日には、班ごとに給食を食べて昼休みは一緒に遊びます。秋には落ち葉掃きも班で行います。日頃の積み重ねがあるから、全校遠足ではみんなが顔見知りになっているし、班長がしっかりと指示できる。そして、遠足が終わると、今度は5年生が上級生としての役割を引き継いで、3月の6年生を送る会を迎えます。

今は少子化で異学年が放課後一緒に遊ぶことが少なくなりましたが、昔は放課後の遊びを通して子どもたちは人間関係で大切ないろいろなことを学びました。縦割り班活動は、この放課後遊びに代わることを学校教育として位置づけてやっていることが特徴です。

様々な取り組みの成果、表彰

――オリンピック・パラリンピック教育推進校としてはどのようなことに取り組んでいらっしゃいますか?

井上先生:本校は推進校になる前から子どもたちの体力向上に力を入れ、2年間かけて体育の授業研究に取り組んだ実績があります。授業と合わせ、一カ月間集中的に全校で行う中休みの「持久走タイム」や「縄跳びタイム」にも取り組んできました。オリ・パラ教育ではこれらの財産を活かし、授業と月間の取り組みの双方から体力作りをしています。

もうひとつの柱が、元オリンピック選手の講演と体育の授業です。昨年はソフトボール元日本代表の佐藤さんで、その前年は新体操元日本代表の秋山エリカさんをお招きしました。講演では、困難を乗り越えて栄冠を勝ち取られたというお話をしていただきます、具体的な体験談は子どもたちの胸にすとんと落ちるようで、運動が苦手な子にも得意な子にも、励みや刺激になります。それから、体育の授業をしてもらい、自分たちの体で選手の技を体験するので、子どもたちはたいへん感動します。秋山さんの授業では子どもたちが背中でボールを受け止めるコツを教わって、どの子もできるようになりました。

オリンピアンとの交流も

――そのほか、特色のある活動について教えてください。

井上先生:平成28・29年度東京都道徳教育推進拠点校として、授業を中心に校内研究に取り組んでいます。市の拠点校は小学校では本校だけです。学校の教育目標でも、今年度は特に「思いやりのある子」に重点を置き、よりよく生きようとする子の育成をテーマにしています。朝のあいさつ運動にも特色があり、縦割り班が校門で全校生徒にあいさつをしたり、三中の生徒と本校の児童がお互いの学校であいさつ運動をするなどしています。

にぎわいとやすらぎが両立した住み心地のよい街

保護者有志による図書ボランティア

――地域の方や保護者との連携についてお聞かせください。

井上先生:保護者有志による図書ボランティアが、図書室の飾りつけや本の整理などで子どもたちが本に親しみやすい環境を整え、夏と冬にはイベントを開いてくれます。冬のイベント「読書の旅」は、おすすめの本を紹介する部屋や、図書ボランティアや図書委員が読み聞かせをする部屋などをスタンプラリーのように回っていくというもの。私も呼ばれて読み聞かせをしています。放課後子ども教室の「さんさんクラブ」では、保護者や地域の方が見守りや受付をしてくれ、地域の方が講師の企画もあります。月1回のみという学校もありますが、本校は週3日と熱心に取り組んでいることから、都から表彰も受けました。

80周年記念事業も、家庭や地域の協力がなければできなかったことです。数百人もの方が見えたホタルの鑑賞会では、学校職員だけではとても手が足りないところを、PTAの有志が懐中電灯で来場者を誘導してくれました。家庭も地域も本当に協力的で、連携が盛んなのは非常にありがたいことです。学校も、地域の行事には職員総出で参加をしています。地域や家庭の要望を受け止めてきちんと応えていく姿勢をとりたい。それが本当の連携だと思っています。

地域の人たちによる花壇

――校長先生個人からご覧になった立川市錦町エリアはどんな地域でしょうか。

井上先生:錦町は駅から近く、とても利便性が高いエリアです。特にモノレールができて、非常に便利になりました。商店街と住宅街が混在していることが特徴で、買い物に便利な一方で、住宅街はとても静か。にぎわいも落ち着いた雰囲気も両方あって、住み心地がいい街ではないでしょうか。開発計画があるので、これからの発展も期待できます。

街のあちこちに公園があり、学校の隣には「立川市子ども未来センター」や「たましんRISURUホール」もある。子どもたちは「立川市子ども未来センター」の芝生広場でよく遊んでいます。クリニックから総合病院まで病院がたくさんあることも特徴で、安心して住める街といえるのではないでしょうか。

「立川市立第三小学校」校舎外観

――この街に住むことを検討していらっしゃる方へメッセージをお願いします。

井上先生:市長もよくおっしゃっていますが、立川市は東京都の中心に位置し、多摩の中心でもある。これからますます発展していきますし、交通の便がよく商店街もあり、便利で楽しく安心して暮らせる街だと思います。

井上和芳校長先生

立川市立第三小学校

校長 井上和芳先生
所在地:東京都立川市錦町3-4-1
電話番号:042-523-4448
URL:http://www.tachikawa.ed.jp/es03/
※この情報は2017(平成29)年5月時点のものです。

生きる力を育てる「いい顔」いっぱいの伝統校/立川市立第三小学校 校長 井上和芳先生
所在地:東京都立川市錦町3-4-1 
電話番号:042-523-4448
https://www.tachikawa.ed.jp/es03/

鶴ヶ島市立藤小学校 校長 インタビュー

緑豊かな自然の中で地域とともに歩む小学校/鶴ヶ島市立藤小学校 校長 向田正人先生


1983(昭和58)年4月に開校した「鶴ヶ島市立藤小学校」は、卒業生を送り出しながら街の変遷を見守ってきた。擬音語から始まる印象的な校歌からは、街づくりが進められた当時の様子が窺える。生徒、地域の“交流”に重きを置き、自信と誇りを抱ける学校を理想としている同校を訪ねることにした。

成熟度を高めていく“進行形”の街と「藤小学校」

「鶴ヶ島市立藤小学校」校長の向田正人先生

学校の歴史と特徴

――まずは、「藤小学校」の概要から聞かせてください。

向田先生:本校は1983(昭和58)年4月、全18学級・児童数695名で発足し、2012(平成24)年4月には開校30周年を迎えました。本校の“ダダダダダダ”という擬音語から始まる校歌に関しては、全国的に見ても際立つものではないかと思います。“ダダダダダダ”の後につづくのは“走るハイウェイ”です。これは当時、街のいたるところで聞こえていた建設工事の音と、街づくりが進められていた様子が歌詞になったものです。

「鶴ヶ島市立藤小学校」外観

――「藤小学校」では、どのような教育目標を掲げているのですか?

向田先生:本校の教育目標は“進んで学ぶ子”、“思いやりのある子”、“最後までがんばる子”の育成です。それと並行して、子どもたちに自信と誇りを持ってもらえる学校にしようという想いで我々も取り組んでいます。自信も誇りも、一朝一夕で育めるものではなく、日々の積み重ねが求められます。子どもたち自身が頑張ることも大切ですが、保護者、学校、そして地域の力が必要だと考えています。

長く伸びる廊下

――学習面において、特色のある授業や学力向上のために工夫されていることはありますか?

向田先生:本校では、学習に“学び合い”を取り入れています。“学び合い”というのは、校内の友だちとの交流を意味するのですが、協力して問題を解いたり、話し合ったりすることが大切と考えています。朝の学習時においても、個人で発表することももちろん大切ですが、子どもたちが分かち合える内容で発表したり、話し合ったりしています。

学びの中に交流を

それ以外では、授業で分からないところがあった子どもを対象にした少人数指導や、“つまずきの解消”と“基礎基本の定着”を目的とした「のびのび算数教室」も開いています。そして特徴的な試みとしては、校内各所に用意された問題を子どもたちが解いてまわる「藤小ポケもんGO」も実施しました。

――特徴的な課外活動などあれば教えてください。

向田先生:2015(平成27)年度から“地域福祉”をテーマにした単元を実施しています。校庭の向こうに「藤金市民の森」があるのですが、そこはかつて不法投棄が問題視された場所でした。市民の森として生まれ変わり、NPO法人が管理しているその「藤金市民の森」を教材とし、そこに流れる川に生息している外来魚の問題をはじめ、管理者としての苦労、自然環境を維持することの大切さを子どもたちに伝えています。

様々な“連携”から学びを深める

――他と連携して取り組んでいることがあれば伺えますか?

向田先生:幼稚園との交流に関しては、園児を招き、校内を案内することもありますし、反対に本校の子どもたちが職場体験で訪問することもあります。すぐ近くにある「藤中学校」とも連携し、生徒に来てもらい、家庭科の授業やあいさつ運動を手伝ってもらうこともあります。先輩である中学生に対する憧れを抱き、また中学生も後輩たちに良いところを見せようとする良い相互関係が築かれています。

――では、地域との交流についてはいかがでしょうか。

向田先生:“高齢者福祉”をテーマにした単元があり、その一環で高齢者施設を訪ねることもあります。最初は子どもたちが恥ずかしがり、なかなか会話が進まないのですが、時間とともに互いの距離が縮まり、どうすれば一緒に楽しい時間を過ごせるかを子どもたちは考えるようになります。子どもたちが自然に心を近づけようとすることに、大きな意味があるのではないかと考えています。

また、直接的な地域との交流ということではありませんが、大規模地震の発生を想定した避難所運営ゲーム「HUG」を実施。地域の民生委員を招き、避難所の運営には何が必要で、どのように行動すべきかを話し合います。自然災害に備えることだけでなく、地域コミュティの大切さや、命の大切さについて改めて考え直すきっかけになっていると思います。

――保護者との協力体制についてはいかがですか?

向田先生:協力的な方が多いので、本校としても色々な場面で助けられています。まだ「おやじの会」のような組織は存在しませんが、それも含めて築き上げている最中の“進行形”の学校だと考えています。

教室の風景

――学校周辺や若葉エリアの子育て環境・住環境に関してですが、どのような印象を抱いていますか?

向田先生:実は12年前、私は本校で教諭をしていました。「若葉」駅西口の整備が開始される前後のことで、周辺は畑が多く、いたるところにまだ砂利道が残っていました。一方で、これから街が発展していくという期待も随所で感じられたのを覚えています。街づくりも一段落し、新旧の融合が進んだ現在は、成熟の段階に入っていると言えるかもしれません。街には落ち着きがあり、さらに自然環境も良好です。通勤・通学についても、鉄道も自動車も優れたアクセス性があるため、とても住みやすい街ではないかなと感じています。

「鶴ヶ島市立藤小学校」 向井正人校長先生

鶴ヶ島市立藤小学校

校長 向田正人さん
所在地 :埼玉県鶴ヶ島市藤金330
TEL :049-285-6220
URL:http://academic4.plala.or.jp/fuji-s/
※この情報は2016(平成28)年12月時点のものです。

緑豊かな自然の中で地域とともに歩む小学校/鶴ヶ島市立藤小学校 校長 向田正人先生
所在地:埼玉県鶴ヶ島市藤金330 
電話番号:049-285-6220
http://academic4.plala.or.jp/fuji-s/

インタビュー

地域に根差したISS認証校/豊島区立富士見台小学校 校長 渡邉和子先生


都心でありながら、富士山を望む高台の閑静な住宅街にある「豊島区立富士見台小学校」。インターナショナルセーフスクール(ISS)認証校としての取り組みをはじめ、さまざまな教育活動を展開し、子どもたちの主体性や確かな学力を育んできた。今年度も「豊島区教育委員会研究奨励校」に指定されるなど、東京都や区からの表彰や指定も数多い優秀校だ。第15代校長の渡邉和子先生に、同校の教育実践や地域の魅力について伺った。

建学の精神を受け継ぎよりよい学校へまい進

「豊島区立富士見台小学校」

――まずは、学校の歴史や概要についてお聞かせください。

渡邉先生:本校は1950(昭和25)年、この地域にぜひ学校を作ってほしいという地域の方たちの願いを受けてできた学校です。富士山が見える地域にあることから、「豊島区立富士見台小学校」と名付けられました。校歌は作曲家の團伊玖磨先生の作曲で、子どもたちも大好きな曲です。

初代校長以来、「建てたときより美しく」という建学の精神を受け継ぎ、開校記念日には、この言葉に込められた「よりよい学校にしていこう」という思いを、子どもたちへ伝えています。研究が盛んなことは本校の特色のひとつで、「豊島区教育委員会研究推進校」として、これまでたくさんの教科で研究発表を行い、授業力向上に励んできました。

校長 渡邉和子先生

――教育目標や目指す学校像について教えてください。

渡邉先生:教育目標は、「元気いっぱい」「さわやか笑顔」「かがやくひとみで」「未知にチャレンジ」で、今年度は確かな学力の向上を意味する「かがやくひとみで」に重点を置いています。この目標のもと、「子ども一人一人が伸びる学校」「家庭・地域と共に歩む学校」「安全教育を推進し、発信する学校」という学校像を目指しています。

ウォークラリー気分で楽しく苦手を克服!

PTAによる朝の読み聞かせ

――朝のチャレンジタイムとはどのような活動ですか?

渡邉先生:本校では朝の15分をチャレンジタイムとして、さまざまな活動に取り組む時間にあてています。姿勢タイム1分間・読書タイム10分間・音読タイム4分間をセットに、低学年は読書タイムに読み聞かせをします。正しい姿勢をとることで、教師も子どもたちも1日を新しい気持ちでスタートできますし、読書で子どもたちの気持ちも落ち着きます。文字に慣れ、読み聞かせで聴く力がつき、音読によって声を出して読むことに抵抗感がなくなります。夏と冬には総まとめとして、各学年、学級による朗読発表を行いますが、子どもたちはかなり長い詩もしっかりと覚え、みんなの前で堂々と発表しています。

スポーツにも力を入れている

――スポーツへの取り組みも盛んだと伺っています。

渡邉先生:「体育朝会」では、長なわ跳びや持久走などに取り組みます。また、学期ごとに4~5日間行う「スポーツ週間」では、中休みに校庭と体育館を使って先生たちがゲーム要素を加えた運動コーナーを作ります。ボール投げの力をつける「ペットボトルスロー」や握力を高める「握力計・ぞうきん絞り」など、手づくりのアスレチックコーナーみたいな感じで、各コーナーをウォークラリーのように回る、子どもたちも大好きな取り組みです。

さらに、3月の土曜公開日には「全校スポーツデ―」を開催し、「体育朝会」や「スポーツ週間」などで取り組んできたスポーツすべてにチャレンジします。最後のクラス対抗長なわ跳びはたいへん盛り上がりますよ。毎回大勢の保護者が参観にみえ、一緒にスポーツにチャレンジするお父さん、お母さんもいらっしゃいます。

安全教育もエコ活動も子どもたちを主役に

オリンピック・パラリンピック教育にも取り組む

――「東京2020オリンピック・パラリンピック教育アワード校」として、どのようにオリ・パラ教育に取り組んでいらっしゃいますか?

渡邉先生:オリ・パラ教育には昨年度から取り組み、今年度は「豊かな心と健やかな体の育成~地域に広げるオリンピック・パラリンピックマインド~」を研究主題としています。具体的には、都が重点を置く5つの資質のうち、「スポーツ志向」と「日本人としての自覚と誇り」の2点を選択し、地域連携を大切にしながら、総合や生活科など各教科の授業で展開しています。

「スポーツ志向」では、子どもたちがいろいろなスポーツへ興味を持ち、フェアプレイ精神を学べるような授業づくりをしています。本校はインターナショナルセーフスクール(ISS)認証校でもあるので、子どもたちがケガをしにくい体を主体的に作れるよう、理学療法士の協力のもと、「富士見台小バランス体操」も作成中です。

「日本人としての自覚と誇り」については、地域に手描き友禅や彫金、藤工芸など豊島区認証の伝統工芸士さんが大勢いらっしゃるので、こうした方たちに講師になっていただき、外国の方に紹介できるようになることも視野に、地域の伝統文化を学んでいます。

インターナショナルセーフスクール(ISS)として認証された

――インターナショナルセーフスクール(ISS)とは何ですか?

渡邉先生:インターナショナルセーフスクール(ISS)とは、体と心のケガとその予防に取り組む学校を、「ISS認証協働センター」が推奨する国際認証制度です。豊島区では「豊島区立朋有小学校」に次いで、本校が2016(平成28)年2月に認証されました。

認証審査の際にポイントとなるのが、子どもたちの主体的な活動です。本校では、各学級にISS係がいるほか、セーフスクール委員会を含む8つの委員会の委員長が集まってISS代表者会議を開き、ISSについて各委員会で上がった議題を議論します。

校長もISS代表者会議の子どもたちと一緒に給食を食べて、活動の様子などを聞く機会を設けています。子どもたちは主体的にどんどんいい意見を出してくれるようになり、放送委員会はお昼の放送で「今日の安全ポイント」を紹介したり、運動委員会がISSジャケットを着て校庭に立って危険な行為をしている子どもたちを指導するなど、各委員会でも子どもたちの視点が変わってきました。

運動委員会のISSジャケット

授業や地域とも連携し、安全教育では、学年ごとにテーマに沿って学習を深めています。5年生の国語では、地域の人たちと一緒に話し合い活動をする「しゃべり場in富士見台」でSNSについて話し合い、SNS使用のルール作りをしました。さらに、子どもたちが授業で学んだことは、必ず全学年が近くの区民ひろばで発表し、地域の方に啓発できるようにしています。

――環境教育も盛んだと伺いました。

渡邉先生:都心だからこそ環境の大切さを学ぶ「都市型環境教育」を進めています。ビオトープは「千川には昔ホタルがいたので、もう一度ホタルを飛ばして、おじいちゃん、おばあちゃんを喜ばせたい」という児童の発案から、生まれました。5年生とエコ委員会を中心に、子どもたちが草を刈って穴を掘り、専門家の力も借りながら2013(平成25)年に完成。毎年6月になるとホタルが飛び、地域公開のホタル観賞会では毎年400人ほどの方が訪れ、昨年度からは5年生が説明・案内するという試みも始まりました。

環境教育も盛んでビオトープが作られている

――その他、特色のある取り組みについて教えてください。

渡邉先生:区独自の「小・中学校補修支援チューター事業」を活用した「富士見台小スキルアップ・スタディ」は、3~6年生の希望者を対象に放課後に算数を勉強する時間です。子どもたちがタブレットを使って学習を進め、都や文科省から見学の方がみえるぐらい、高い評価をいただいております。

縦割り活動も盛んで、1~6年で15人ぐらいの班を作って、月1回縦割り遊びと縦割り給食をする日を設けています。縦割り班で全校遠足へ出掛けたり、校庭で調理師さんが作ってくれたお弁当を食べる青空給食もあります。

都心でありながら江戸情緒が感じられるエリア

図書室

――地域の方や保護者とはどのように連携していらっしゃいますか?

渡邉先生:PTAの活動のひとつに、「ブックナビゲーター」があります。係に立候補した方が目白図書館から本を選び「100冊文庫」として、各教室に本を借りてきてくださいます。また、朝の時間に子どもたちに読み聞かせをしてくださいます。地域の方は「子ども110番」など、見守り活動にもたいへん協力的です。また、毎月10日の「ノーテレビ・ノーゲームデー」は、PTAの発案で始まったもので、家族ぐるみで取り組んでもらっています。活動の目的や意義を伝えようと、発足当時のPTA会長さんが年に1回、子どもたちに授業をしにきてくださいます。

地域の方たちとの連携にはとくに力を入れ、安全教育や3世代交通安全教室、区民ひろばなど、さまざまな場面で地域とつながりがあります。秋には同窓会主催のサンマ大会があるのですが、地域の方に作っていただいた焼台の上で、先生たちや卒業生たちがサンマを焼きます。本校の子どもたちは無料券をもらえて、ご家族で食べにいらっしゃる、人のつながりがある、あったかな地域だと思います。

サンマ大会のチラシ

――校長先生からご覧になる南長崎エリアの魅力はどのようなところでしょうか?

渡邉先生:マンガの聖地であり、伝統工芸が盛んで、子どもたちは地域の歴史を身近に感じられます。「南長崎花咲公園」は四季折々の花も見事ですし、手塚治虫らが住んでいたトキワ荘を再現してミュージアムを作る計画があるなど、この先も楽しみな街です。池袋まで歩いて20分ほどですが繁華街からは離れているので、すごく落ち着いた雰囲気が広がります。目白通り沿いには練馬や新宿を通る路線バスも走っていて、子どもたちは池袋や練馬に塾や習い事で通っているようです。

「椎名町」駅前の長崎神社の例大祭では、各町会からお神輿が出て、出店がずらっと並びます。そのすぐ近くにある金剛院では、豆まきと商人まつりも開催され、お寺カフェもオープンしました。都心にいながら、江戸情緒が感じられ、文化に親しめる地域は珍しいのではないでしょうか。子育ての情操教育にはぴったりの地域なので、一度外に出て、結婚を機に戻って子育てしていらっしゃる方も多いですよ。

「ノーテレビデー・ノーゲームデー」発足当時のPTA会長である大野さんにも伺いました

「ノーテレビデー・ノーゲームデー」の授業をする大野さん

――立ち上げ当時の背景と思いについてお聞かせください

大野さん:学校が週休2日制になった当時、お母さん方から子どもたちの自由時間への心配の声が上がるようになりました。ちょうどその頃、新聞で「ノーテレビデー・ノーゲームデー」に取り組む小学校の紹介記事を読み、PTAで話し合いを重ね、子どもたちのために取組をはじめました。学校のメディア研究事業とも重なったことで、2003(平成15)年にスタートし、今では子どもたちが主体的にプロジェクトに取り組む姿に、本当に嬉しく思っております。

小学校近くにある「椎名町公園」

――この街に住むことを検討していらっしゃる方へメッセージをお願いします

大野さん:「豊島区立富士見台小学校」は、さまざまな取組が子どもたちの心を育てることにつながっている、とてもいい学校だと思います。南長崎という地域も、安心して子どもたちを育てられる地域です。学校でサンマ大会があるようにとてもアットホームで、公園も多く、お子さんの成長に良い環境だと思いますよ。

豊島区立富士見台小学校 校長 渡邉和子 先生

豊島区立富士見台小学校

校長 渡邉和子 先生
所在地:東京都豊島区南長崎1-10-5
電話番号:03-3953-6472
URL:http://toshima.schoolweb.ne.jp/hujimidai_e/
※この情報は2017(平成29)年5月時点のものです。

地域に根差したISS認証校/豊島区立富士見台小学校 校長 渡邉和子先生
所在地:東京都豊島区南長崎1-10-5 
電話番号:03-3953-6472
http://toshima.schoolweb.ne.jp/hujimidai..

桐朋学園小学校インタビュー

国立で58年、子どもたちに寄り添う教育を続けてきた小学校/桐朋学園小学校 教務主任 有馬先生、小学部長 磯部先生


1941(昭和16)年に前身である「第一山水中学校」を創立して以来、国立の歴史とともに歩んできた私立「桐朋学園」。現在は、男女共学の「桐朋学園小学校」と、中・高一貫の男子校「桐朋中学校・桐朋高等学校」が国立に拠点を置く。「桐朋学園小学校」は1959(昭和34)年に開校し、2016(平成28)年で創立58年目を迎えた。また、同年7月には新校舎も完成し、12月には全体工事が完了する。今回はそんな「桐朋学園小学校」を訪れ、小学部長の磯部先生、教務主任の有馬先生に、学園の沿革や教育方針、周辺地域の魅力などについてお話を伺った。

“辿り着いた”創立の地 文教都市・国立

――まず、「桐朋学園」が国立に設立された経緯や、学園の歴史についてお教えいただけますでしょうか?

磯部先生: 1941(昭和16)年に「桐朋学園」の前身である「第一山水中学校」ができたことが始まりです。西には富士山が見え、北には「一橋大学」「国立音楽大学」があるという、文教都市らしい環境からこの国立の地に開校したと聞いております。この地を“選んだ”というよりは、学園を開校するのにふさわしい街を求める中で“辿り着いた”という方が正しいかと思います。

桐朋学園小学校 有馬先生と磯部先生

終戦後の1947(昭和22)年には新しく財団法人桐朋学園を設立し、「桐朋第一中学校」として再発足、そこで“桐朋”という名が付けられました。1948(昭和23)年には「桐朋中学校」と改名し、新学制に伴い「桐朋高等学校」も設立されました。中学校と高等学校は、2016(平成28)年でちょうど75周年ということになります。小学校はそれから11年後の1959(昭和34)年に開校し、1年生から3年生までの児童が100名、専任教員が4名でスタートしました。規模としては非常に小さな学校ですが、年数を重ねるごとに少しずつ経験を積み重ね、2016(平成28)年に創立58周年目を迎えました。

2016(平成28)年に完成したばかりの新しい校舎

学年を超えたつながりから学ぶ、学園の精神

――大切にされている教育理念について教えていただけますか?

磯部先生:「一人ひとりの子どもの心の隅々にまで行きわたる教育を」ということを大切にして教育を行っています。「桐朋学園小学校」には、教育目標などを書いたものはありません。「一人ひとりの心の隅々まで」というのは“精神”です。その精神に基づいて子どもに寄り添い、一人ひとりの子どもをよく見ながら育て、情操を養うことを中心として教育を行っています。そういった中で子どもの心身を鍛えたり、遊びの中で人間関係を広げたり、基礎学力を身につけたりということをしています。

有馬先生:「一人ひとりの子どもの心の隅々まで行きわたる教育を」は、開校以来大切にされてきた言葉です。教員一人ひとりが常に立ち戻るための大切な“拠りどころ”なのだと思います。卒業生たちの作品によって、校舎が明るい雰囲気に

磯部先生:一人ひとりの人格を尊重し、自主性を伸長する、ヒューマニズムに立つ教育を「人間教育」と考え、縦の学年のつながりをとても大事にしています。例えば、1年生は入学後の6日間、5年生とペアになり、1年生を自宅最寄りの駅まで送っていく「1年生送り」という伝統的な行事を行っています。ほかの学年でも2年生は1年生に学校案内をしたり、飼育担当の4年生は、ウサギを1年生に抱かせてあげたりして交流します。このような縦のつながりが子どもたちを育て、言葉では表現できないような人間教育がされていきます。

もちろん、勉強もしっかりとしているのですが、卒業生に話を聞くと学校で遊んだ思い出を話す子が多いんです。そして、その遊びの中で発見していることがとても多いと私どもは考えています。そのような環境の中で得られたものは、大人になるときに必ず生きていくとも考えています。本当の教育とは、そういうものではないかと思っているんです。知識は知識として語れますが、それを知恵にしていき、生きていくためにどうやって使っていくかが一番大切なのではないでしょうか。

小中一貫だからこそできる、お互いが尊重しあう教育環境

新校舎内の様子

――小中一貫教育を行うメリットや一貫教育の具体的な取り組み、特徴についてお教えください。

磯部先生:「桐朋学園小学校」には内部進学というシステムがありますので、卒業生がそのまま中学校に進む際には、中学校の先生に児童一人ひとりのことをしっかりと伝えるようにしています。また、卒業前に6年生の様子を伝えたり、中学校に行ってからも、情報交換の場を取るようにしています。

磯部先生:教科ごとにも、中学校の先生と話す機会があるのですが、小学校ではこういう考えで教えていましたと伝え、中学校ではそれに対してこういう見方で教えていると情報交換することができます。中学校の先生が小学校の教育をとても尊重してくれていますので、安心して子どもたちを送り出すことができています。

五感で感じ、生きる力・考える力を育てる

5年生が焼いた土器

――力を入れている教育や独自のカリキュラム、ユニークな教育方法があればお教えください。

磯部先生:1年生から6年生まで「生活科」という教科があります。この教科では、具体的なものを直接体験させるということをとても大事にしています。体験させることで、生きていくのに必要な知識や技能を身につけ、最終的に生きる力・考える力を育てるということを目標としています。

たとえば、5年生は林間学校の際、尖石の考古館で縄文土器のスケッチをします。その後、10月くらいになると自分たちで粘土作りをして、それを使って土器作りをします。11月の終わりには畑で土器を昔ながらの方法で焼くのですが、焼く時も火おこしから行います。そうして「昔の人たちはこう作っていたんだ」と道具ができるまでの工程を知ることができます。やはり、最初から最後までということがすごく大事だと思うんです。

有馬先生:一見遠回りに見えることも一から作っていく中で、自分の手で作り出せるという実感を得ることや、土器作りで野焼きの熱さを肌で感じたり、燃える音を耳で聞いたりと、五感を使い、本来持っている感覚を養い、それと感情がつながっていくような経験を積むことで成長していくというのが生活科の考え方です。

学園内の豊かな自然

磯部先生:ほかには、5年生になると「東天狗岳」での登山、6年生になると7月に「遠泳」があります。「遠泳」では、千葉県の「岩井海岸」で、全員が遠泳に挑むのですが、1時間泳ぎっぱなしです。もちろん泳ぎが得意な子ばかりではありませんので、不安な気持ちを抱える子もたくさんいます。しかし、それをやり遂げることによって、“頑張ればできる”というような自己肯定感が生まれていきます。

ほかにも、自己肯定感を得ることにつながっていると思う取り組みは、日記を書くことです。1年生の2学期から日記を書き始めるのですが、最初は「バッタを捕まえました。」というような、簡単なところから始まり、各教員がきちんと返事を書きます。基本的には、その子を認めたり、励ましたり、時には考えさせたりしていますが、その教員との日記のやり取りを通して得ていく自信というのも、自己肯定感につながっていると思います。

有馬先生:社会科ではレポート形式で新聞を書かせたり、グループワークでもレポートを書いたりもしますし、考えてまとめるという機会は多いと思います。教員も内容を添削し、作文のルールなどは教えますが、その子の書きたいものをできるだけ尊重します。書くという表現の中でそれぞれの自己表現を尊重するようにしています。

自主性を大切にしたクラブ活動

桐朋学園小学校の講堂

――活発なクラブ活動、そのほかユニークな課外活動などはございますでしょうか?

磯部先生:クラブ活動は授業内で行います。特徴的なのは6年生がクラブをつくるというところです。運動部だったら何人以上、文化部だったら何人以上という基本的な決まりがあり、場所はどこでこういう活動をしますというように、子どもたちもそれぞれクラブについて考えるわけです。同じような活動内容のクラブでも毎年少しづつ内容が違っていたり、奇抜なクラブができたりと、とても面白い活動になっています。

有馬先生:たとえば、野球部なら、野球部をやりたい人が集まり、どこで何をするかを教員に提示します。そして教員が会議でできるかどうか検討します。希望者の人数や場所の関係で、活動の許可が下せないクラブもあります。そんな時は、ほかのクラブに合併を提案したりします。

子どもたちの思いが尊重され、楽しく過ごせる居場所

子どもたちの意見を取り入れる工夫

――子どもたちにとって、どのような学校だと思いますか?

磯部先生:きっと面白い学校だと思います。子どもたちはみんな学校が好きで、学校に行けないので長い休みが嫌いという子もいるほどです。学校に行きたいと思ってくれるのは、教員にとっても本当にうれしいことです。

有馬先生:居心地もそうですが、居場所づくりにも気をつけています。「遊ぶ」という言葉がたくさん出てきましたが、休み時間ごとに「外に遊びに行け」ということはなく、中で遊びたい子ももちろんいますし、1人で本を読みたい子もいるので、その選択を尊重するようにしています。

音楽室

有馬先生:図書室や音楽室もずっと開室しています。理科室や調理室も開いていることが多いです。教員が見守りながら実験をやったり、調理室でお月見団子を作ったりしたこともあります。そのようにして、可能な限り子どもたちが興味を持っていることができる居場所をつくり、自分自身で選択をしながら過ごしてゆく日々を送ってほしいと考えています。いろいろな経験をしないと自分に何が合っているのかもわからないですから。こちらから引っ張ったり、君はあれをやったほうがいいと決めつけず、場を整え、来た時にはしっかりと見守る、それが大切だと思います。

廊下に飾られた卒業制作

自然や文化が豊かな心を育む街

――子どもたちが学び育つ環境や、暮らす街としての国立エリアの魅力とは?

有馬先生:私自身も国立市民なのですが、登下校の道で四季を感じられることはとても魅力的だと思います。歩道も広くスペースがとられており、人にやさしく作られていて、助かっています。「大学通り」の風景も綺麗で、本当に素敵な環境だと思います。

磯部先生:文教都市に指定されてお店の種類なども規制されているということもあり、住んでいる方々の意識も高く、とても文化的な街だと思います。

大学通り

有馬先生:子どもたちの中には、小学校から国立に通い始め、桐朋学園の男子だと中学・高校まで、さらにそこから「一橋大学」に進学する生徒もいたりと、思春期の長い期間を国立で過ごし、育っていきます。そうなるときっと国立を離れられないですね。大人になってもここにいたい、そういうのもうなずいてしまうような魅力が国立にはあると感じます。

有馬先生・磯部先生

桐朋学園小学校

教務主任 有馬先生・小学部長 磯部先生
所在地:東京都国立市中3-1-10
TEL:042-575-2231
URL:http://www.tohogakuen-e.ed.jp/
※この情報は2016(平成28)年12月時点のものです。

国立で58年、子どもたちに寄り添う教育を続けてきた小学校/桐朋学園小学校 教務主任 有馬先生、小学部長 磯部先生
所在地:東京都国立市中3-1-10 
電話番号:042-575-2231
http://www.tohogakuen-e.ed.jp/

インタビュー

大きな木々に囲まれた園舎で人間形成の「根っこ」を育てる/清心幼稚園 園長 清水進先生


近年開発が進む練馬区石神井地区。駅前は多くの人が行き交いショッピングにも大変便利である。一方で駅名にもなっている「都立石神井公園」は、閑静な住宅街の中にあり四季折々の自然を楽しむことができる都民の憩いの場だ。「都立石神井公園」のすぐ側に、区の保護樹木に守られるようして「清心幼稚園」の木造の園舍がある。2018(平成30)年には創立80周年を迎える同園は、自由遊びや野外保育を通して、人間形成の「根っこ」を育て、1人1人の子どもの持っている可能性を広げる教育が特徴で保護者や石神井の住民からも信頼が厚い。同園の清水進園長に話を伺い、「清心幼稚園」の概要と街の魅力について語って頂いた。

園長の清水進先生

――「清心幼稚園」の沿革をお聞かせください。

清水先生:「清心幼稚園」は1938(昭和13)年に「石神井幼稚園」として開園しました。2018(平成30)年で創立80年を迎える伝統ある幼稚園で、自然の中での感動体験ができる保育が特徴です。私の父で、当時牧師をしていました清水侃三郎と私の母、前園長の清水俊子らにより創立した「石神井幼稚園」は、当初はキリスト教の精神が生きる教育をしていたと聞いています。その後に園は、第二次世界大戦の為に一時休園しましたが、戦後の1953(昭和28)年に再開。園名も“清らかな心”を意味する「清心幼稚園」に変え再スタートをして、現在に至ります。私は、2017(平成29)年度より第4代園長に就任いたしました。庭には両親が植え、苗から大木になったいちょうがあり、枝をひろげて雨や風をさえぎり、いつも子どもたちを見守ってくれています。「清心幼稚園」は今後も強い信念の元、より良い保育を日々展開して参りたいと思います。

グリーンがアクセントになっている木造の園舎

――子どもたちはみんな生き生きとしていて楽しそうですね。教育方針についてお聞かせください。

清水先生:当園の教育方針は「より強く、より明るく、より仲よく」です。子どもたちにはわかりやすく、「じょうぶなからだに あふれるげんき すなおなこころに あかるいきもち みんなななかよく てをつなごう」と伝えています。園での様々な体験を通して心身ともに健やかな成長をし、互いに触れ合い、社会性を身に付けてほしいと思います。やりたいことに向かって精一杯頑張れる力強い身体も、僻んだり、恨んだりしない素直で明るい心も、友達を思いやってみんなが笑顔でいられるように行動できることも、全て小学校に入学するまでの幼児体験で培うものだと考えます。

水飲み場

「清心幼稚園」で大事にしていることは、子どもの興味関心を引き出すことです。 大人が一方的に教えるのではなく、自ら考え想像力を育てること、子どもたちから出てくる言葉に答えてあげたい、そう考えます。そしてそれを実現する為に当園では、一人一人に保育の目が行き届くように、今年度、年少組は1クラスに先生が4名、年長中組は1クラス2名と必要に応じて助手を1名というチーム保育を導入しています。「清心幼稚園」の子どもたちは、自分たちのやりたいことを見つけて遊びに取り組んでいるので、集中力があり皆騒がず静かに過ごせますし、とても元気でいきいきとしていますよ。

木彫りの動物たち

――「清心幼稚園」の保育の特徴について教えてください。

清水先生:「都立石神井公園」のすぐ北側閑静な住宅街にあり、区の保護樹木に指定されているイチョウ・ヒマラヤ杉・桜の大木があります。それらに守られるようして、当園の木造の園舍があります。都内とは思えない、まるで森のような空間で子どもたちは生活していますよ。遊具は世界チャンピオンのログビルダーが制作したもので、子どもたちはいろいろな想像を働かせて遊んでいます。このような遊具をはじめ、木造の落ち着いた園舎や大きな木々がある庭は、子どもたちを優しく包み安らぎを感じさせてくれていると思います。そして自然の中で遊ぶことによって四季の香りを感じ、子ども同士の社会の中で「自分」を育てていくことができるのではないでしょか。

太いログで造られた遊具

当園では様々な野外活動を行っていますが、その中に「ポニーとあそぼう」という野外保育があります。通常、動物園では離れた場所から見たり、柵越しに餌をあげたりしますよね。「ポニーとあそぼう」では、柵が無い園庭にポニーを放し飼いにします。餌を持った子どもたちにポニーから近づいて来るので、最初は怖がったり尻込みしてしまったりする子もいますが、ポニーと近い距離で触れ合うことで、徐々に心の距離も縮まっていくのです。もちろん放し飼いには危険が伴いますので、全員の先生が毎年泊まり込みで牧場研修を受けています。そうすることで危険性も理解し、いざというときは即座に行動に移して、子どもたちに伝えることができるのです。創立当初より野外保育をしていますが、事故は一度もありません。「ポニーとあそぼう」も10年以上やっていますが、子どもたちが動物と触れ合うことで命の大切さや自然について体験しながら学んでいくことができる活動なんです。

園で飼育しているマガモ

――「石神井公園」で行われる野外保育「森の幼稚園」についてお聞きします。

清水先生:「石神井公園」が幼稚園のすぐ側にある環境は、本当に素晴らしいことだと思います。「石神井公園」の自然は、水の色も緑も毎回行く度に違いますし、1日では見尽くせないくらいのたくさんの見所があります。公園の全てが素晴らしいですね。「石神井公園」での野外保育「森の幼稚園」では、子どもたちは朝、”公園に登園する”ことから始まります。同じものが2つとない多様性を教材として五感をはたらかせ、子どもが主体的に取り組むことを1日かけて行います。もちろん先生は、子どもたちにあらかじめ近づいてはいけない場所、やってはいけないことを伝え、常に見守る目を徹底させています。子どもたちはいきいきと野外保育を楽しんでいますね。

ぶら下がって遊べるロープ

――貴園はサッカーが盛んとお聞きしました。

清水先生:実は私自身がサッカー大好きでして…(笑)。「清心幼稚園」は、“サッカー幼稚園”と言われるくらい園庭でサッカーを楽しむ子が多いですね。当園では誰でも気軽にサッカーに触れ合えるように独自のルールで行います。プロサッカー選手になった当園の卒業生は、Jリーグで活躍し日本代表にも選ばれた飯尾和也選手と現在、東京武蔵野シティーフットボールクラブ、U15に所属している卒園生の角昂志郎君です。角選手はこの度、U15日本代表が決定しました。飯尾選手は、現役時代にはサッカー教室をここで開いてくれていました。プロの選手直々に指導してくれる機会とあって卒園生も5,60人参加していました。嬉しいことに、2人とも「清心幼稚園」がきっかけでサッカー選手になった、と今でも話してくれているんです。それに卒園生はサッカー教室に参加する子、運動会の時に手伝ってくれる子もいるのでとても嬉しいです。「清心幼稚園」は、卒園した後も人生で悩んだ時やつまずいた時に気軽に来てくれる、心のふるさとのような存在であればいいなと思っています。

ご両親が始めた幼稚園で第4代園長を務める

――保護者との連携はいかがでしょうか。

清水先生:幼稚園の生活は家庭との連携なくしては実現できません。 何より保護者の皆様が園を信頼してくださることが一番大切です。当園で先生方のお手伝いをする助手も、信頼関係のできている元保護者の方々です。また、「清心幼稚園」では父親の保育参加を積極的にお願いしています。 園とお父さん、お母さん。そして保護者同士がしっかり絆を結び、ともに手を取り合って子どもの成長を見守るようにしています。

畑ではキュウリやトマトを育てている

――最後に石神井の街の魅力、子育て環境について教えてください。

清水先生:練馬区は23区の中で一番緑が多い区で、特に石神井は自然環境にとても恵まれた街です。長年暮らしていると、池袋から電車に乗って「石神井公園」駅で降りると、空気が違うのがわかります。「都立石神井公園」は街の人の憩いの場所になっていて、四季折々の美しい自然の姿を見せてくれるとても美しい公園です。またアクセスがとても良く、「石神井公園」駅は急行や快速などほとんどの電車が停まるので通勤通学にも便利ですね。最近では街の再開発が進んでいて、買い物がより便利になったり道路が広くなったりと、石神井が更に住みやすい街に生まれ変わっているのが魅力です。

子育て環境につきましても練馬区は、子育て世代に対しての補助金等が他の区に比べて手厚く、その為に近隣地区から引っ越してくる方がいる程です。また、練馬区は3~5歳児を対象に全国に先駆けて区独自の制度として「練馬こども園」を導入しています。これにより、通年(夏・冬・春休みも含む)で11時間保育を実施する私立幼稚園(認定こども園を含む)もあります。そういった子育てに関する制度の充実や街全体が子どもたちを見守ってくれる環境があるのも石神井の魅力です。働くお母さんにとっても住みやすく、子育てのしやすい街だと思います。

清心幼稚園 清水園長

清心幼稚園

園長 清水 進 先生
所在地 :東京都練馬区石神井町6-20-12
電話番号:03-3996-0374
URL:http://www.seisin-kg.jp/
※この情報は2017(平成29)年5月時点のものです。

大きな木々に囲まれた園舎で人間形成の「根っこ」を育てる/清心幼稚園 園長 清水進先生
所在地:東京都練馬区石神井町6-20-12 
電話番号:03-3996-0374
保育時間:9:00~14:00(水・土曜日は11:30まで)
預かり保育(14:00まで保育がある日):14:00~17:00
休園日:第1・2・4土曜日、日曜日、祝日、創立記念日、春・夏・冬休み、他
http://seisin-kg.sakura.ne.jp/

スペシャルインタビュー

“西高生”としての誇りが伝統を培う/東京都立西高等学校 校長 宮本久也先生


閑静な住宅街の中にある「東京都立西高等学校」は、金田一秀穂氏や鎌田實氏など多くの学識者や著名人を輩出し続けている。とかくその華々しい進学実績を語られることの多い“西高”だが、その根底を支えていたのは日々の質の高い授業と先輩から引き継いできた伝統と誇り。“器の大きな人材”の育成を目指し、日々真剣勝負の教育活動を行う宮本校長先生にお話しを伺った。

育てたいのは「器の大きな人材」

東京都立西高等学校

――まず学校の概要について教えてください。

宮本校長:本校は1937(昭和12)年に創立された「東京府立第十中学校」を母体とする都立高校で、今年創立80年目を迎えます。現在は3学年24学級、全校生徒982名、職員80名で運営しており、卒業生の総数は28,000人を超える伝統ある学校です。

「文武二道」「自主自立」を教育理念とし、国際社会で活躍できるような“器の大きな人材”の育成を目指して、毎日の教育活動を行っています。

――“器の大きな人材”とは、どのような人物像なのでしょうか?

宮本校長:私たちが育てたいのは国際社会で活躍できる人材、日々変化し進化する世界に対応できる度量のある人間です。社会の変化は激しく、知識・技量・価値観すべてにおいて求められる能力も変わっていきます。その変化を取り入れ、自分のものとするには“大きな器”を持つしかない。キャパシティの大きい器をつくるには、本校でしかできない体験を多くし、質の高い授業で知識力を高め、視野を広げることが必要です。

「東京都立西高等学校」 宮本久也校長先生

しかしそれでも充分とは言えません。大きな器を支える厚い底は、“人から信頼される人間性”。知識だけの薄っぺらな人間では、底に穴の開いたバケツと同じです。人との交わりを多く持ち、人間的な幅を広げてしっかりとした底をつくることで、初めて大きな器に入った知識や能力を生かすことができます。多くの人との交わりの中から真のリーダーシップが生まれ、他を思いやる心やコミュニケーション能力が養われると考えています。

――生徒たちの器を大きくするために、具体的にはどんな教育活動をされていますか?

宮本校長:本校ではウィークデーの3日を7時間授業とし、その代わり土曜授業は行わないので、土曜日は自分の器を大きく育てるための活動をしてもらいたいと考えています。部活を頑張る生徒や、自分の好きなことに時間を割く生徒など様々ですが、学校としては土曜特別講座という、授業とはあまり関連しない大学の授業のような教養講座を開いて見聞を広めてもらおうと考えています。内容自体は先生にお任せしているので実に多岐に渡りますが、例えば「精神分析学に学ぶ」「シェイクスピアを読む」など一見受験には関係ないような、でも興味があれば非常に楽しい講座を学年問わず自由に受けることができるので、毎回100名以上の生徒が参加しています。

また年に4回、生徒と保護者を対象に西高の卒業生による訪問講義を開いています。例えば、「科学警察研究所」の研究室に勤務する今泉さんからは「犯罪捜査における個人識別の方法」、「NHK」アナウンス室の兼清さんからは報道全般に関するお話など、広い分野の卒業生に声をかけ、自分の西高時代の話も絡めながら楽しく話をしてもらっています。

校舎の様子

それとは別に、西高出身者以外の方の話も聞いてみようと、今年は青色発光ダイオード開発者の中村修二氏にも講義もお願いしました。とにかく西高の生徒は素直で吸収力が高いので、「これを聞かせたい」「次はこっちを教えてみよう」と我々教師たちも刺激され、前のめりに色々と講座などを企画してしまいますね

文も武も極める「文武二道」の精神

――貴校の教育理念の柱、「文武二道」は文武両道とは違うのでしょうか?

宮本校長:「文武両道」は、勉強と運動を“両立させる”という意味で使われますが、本校の「文武二道」は両立だけでは満足せず、文と武のそれぞれの道を“極めよ”という意味です。「文」はもちろん教養や知識も含めた世界各国の文化的背景など、幅広く興味を持って学ぶこと全体を指しています。「武」は高校生ですとどうしても部活動に限られてしまいがちなので、学校内だけの活動に留まらず、課外授業や外部チームとの交流試合などで経験を広げられるようにしています。

課外活動にも熱が入っている

「文武二道」とひと言で言っても、これはこれで実に欲張りな話で、子どもに多くを求める学校なのかもしれません。しかし、少なくとも西高の生徒たちはこれを実行し、やり遂げています。要はマネジメント能力の問題であって、大学生・社会人になれば一つのことに集中していればいいなんていう楽な環境はありません。いくつもの案件を同時進行させながら、上手にバランスを取る練習をしているのと同じです。

上級生や先生方が1年生に「早く西高生になろうね」とよく声をかけるのは、勉強にも部活にも手を抜かない西高生としては当たり前の姿を指しているのですが、入学したての新入生からすると実に大変なことのようですね。でも子どもたちは、文武二道を体現する先輩たちを見、共に頑張る同級生たちとお互い励まし合って、試行錯誤しながら少しずつ「西高生」へと成長していきます。

中庭

――“授業で勝負”というのも西高らしい合言葉ですね。

宮本校長:とにかく西高は部活や課外活動が盛んなので、生徒たちが忙しくて時間がない。ならば質の高い授業を行い、集中力を高めて、授業内ですべて解決すればいいという考え方です。授業は知識を教えるだけでなく、先生と生徒、生徒同士の意見の交換が活発になるような“考えさせる授業”を心がけています。

私が赴任当初に一番驚いたのは、授業終了時に教師の周囲に多くの質問する生徒たちが集まることでした。しかも「先生の推奨する解き方とは違うこの解き方ではどうか?」など、高レベルな質問も多く、時には教師たちが持ち帰って答えを用意することもあるくらい。教師たちは質問タイムが長くて職員室に帰る時間がないので、次の授業の道具を持ち歩くという姿もよく見られます。

――まさに真剣勝負の授業という印象を受けます。

宮本校長:教師にとっては毎日試されるような厳しい職場ではあります。毎日の授業もクオリティの高さを求められますし、鋭い質問も多い。職員室でも教科担任の自分の前を素通りして別の先生に質問に行かれてしまうこともある訳ですから。でも私は、こんなに「教えてほしい!」と熱望している生徒が多いのは、教師にとってこれ以上の幸せはないと思います。本校の先生は、ベテランの先生であっても次々と新しいことに取り組んでいますし、赴任当初は思い通りの授業ができなかった先生も自ら考えて勉強し、もがき苦しみながら改善して、生徒たちの信頼を勝ち得る先生も多い。生徒たちもよく授業を聞いているので、先生側の努力もよく理解し敏感に感じ取って、正当に評価します。授業を通じて生徒と真剣に勝負ができる環境は、教師として力をつけるためにも最高の環境だと思います。

校舎内の様子

綿々と受け継がれる先輩たちからの“伝統”という名のバトン

――卒業生との関わりが深いともお聞きしました。

宮本校長:こんな風に卒業生がよく訪れる学校が他にあるだろうか、と思うほど日常的に卒業生が学校にいますね(笑)。部活のコーチや進路指導のチューター、教育実習生や外部講師として大学進学した先輩たちが身近にウロウロしています。特に進路指導のチューターは、部活も勉強も頑張っていたメンバーを中心に、昨年進学した卒業生が毎日日替わりで進路指導室に待機して3年生の指導にあたります。先輩たちの指導は実にリアルで多岐に渡り、「部活と勉強のバランス」「時間の有効な使い方」といった正統派のアドバイスから、「この教科はどの先生に聞くのが早い」などの裏ワザ系の知識まで、実に様々です。

駒場キャンパスから近いこともあって「東京大学」の学生が週に3名ほど来てくれていますが、高校生からしたら「部活も行事も頑張りながら現役で国立トップ大学に入学する」という今現在の自分と比べたら宇宙人のような人物が、実際に目の前にいて「俺(私)も授業中眠くて困った」なんて話をしてくれる。すると宇宙人の存在を一足飛びに身近に感じられて、“もしかしたら自分もできるかも”“いけるんじゃないか?”という錯覚を起こす(笑)。このプラスの錯覚こそが非常に大事で、人間の“やればできる”という気持ちを引き出すんですね。

また卒業生からすると、学校から声をかけてもらえるのも後輩たちの模範や目標として認められたということですから、嬉しいことのようです。自分が目標としてきた先輩に、今自分がなっている。そうやって綿々と先輩から後輩へ、バトンが受け継がれて現在の西高があるのだと思います。

――校則がないというのは本当なのでしょうか?

宮本校長:一応、「上履きをはこう」という校則はひとつだけあります。以前は「授業中に麻雀と花札は禁止」という校則もあったのですが、最近はそういう生徒もいないので(笑)。生徒たちは、服装も髪型も髪の毛の色も自由です。スマホも禁止はしていませんが、授業中に触る生徒もいない。それはそうですよね、自分に不利になるだけですから。

生徒たちのなかに強くあるのは「西高生として恥ずかしくない」という、先輩たちから受け継いだ伝統というバトンです。私が生徒たちによく話すのは、そういった西高の雰囲気、つまり校則がなくても個々に誇りを持って恥ずかしくない行動をするのは、28,000人を超える先輩方が脈々と守ってきたものだということ。これを君たちが「べからず」的な校則がなければ自分を律することができないような学校にするなよと、それだけは口がすっぱくなるほど伝えているつもりです。

緑豊かな中庭

――進路指導重点校に指定されたということですが。

宮本校長:はい。東京都教育委員会から指定を受けていますが、創立以来変わらない自由で大らかな雰囲気のなか、優れた実績を残してきました。本校では「東大に何人入れよう」「国公立医学系に○○人目標」といった目標数値は一切設定していません。あえて言うなら、「生徒に合う進路先に入れる」ということでしょうか。実は昨年(2017年)の3月、現役・現浪人併せて3名が「東京芸術大学」に入学しました。また「京都大学」へは14名、「北海道大学」も9名と、とにかく日本全国各地、様々な分野へと子どもたちが巣立っています。名古屋以東で、「京都大学」に進む人数は本校が一番多いと聞いたことがありますが、生徒が自分に合うと思ったところへ進学させることが進路指導の基本と考え、彼らの背中を精一杯押して具体的にアドバイスをしています。

私が考える、この学校の一番の美点は「誰ひとり他人の足を引っぱらない」ところ。内申点を上げて推薦を取ろうと考える生徒もいませんし、何より“やりたいこと”や“目標”のベクトルが各自バラバラすぎて足の引っぱりようがないんでしょうね。ひがみ合い、人を羨むのは、同じベクトルの人間に対してでしょう? 学校が「1人でも多く東大に行け」となったら東大という同じ目標を持つ生徒たちの間で無意味な競争や足の引っぱり合いが生まれます。教師たちも「どこかに居場所があればいい」と考えて彼らの生活を見守っていますので、西高の生徒たちは見事なまでに頑張りどころが各自バラバラ。自分の得意とする場所でそれぞれが力を出し、それぞれの進路へと進んでいく。これは理想的な形だと私は思っています。

部活動や課外活動、行事にも手を抜かない西高生としての姿

――部活動が盛んで40以上の活動が現在あるそうですね?

宮本校長:運動部を中心に、週5~6日の練習は当たり前で頑張っています。2名以上集まればサークルが自由につくれることと、先生方は顧問を頼まれたら断らないのが基本なので、今は40以上の団体になったようですね。文化部を中心に兼部をしている生徒が多いので、現在の部活入部率は136%です。

アメリカンフットボール部の活動の様子

アメリカンフットボール部は今春の関東大会でベスト4、一昨年は男子硬式テニス部が都立対抗大会で優勝、女子硬式テニス部も同大会で3位、吹奏楽部も東京都高等学校吹奏楽コンクールで金賞を受賞するなど、その頑張りが結果につながっています。

――海外交流事業としてアメリカ研修も実施されていますね?

宮本校長:これも“器の大きな人材の育成”の取り組みのひとつで、国際社会で活躍できる大きな器を目指して2014(平成26)年から新たにはじめたプログラムです。毎年100名近くの希望者があり、論文や面接の選考を経て、男子20名、女子20名の合計40名に参加資格が与えられます。

海外交流事業のアメリカ研修

10日間のボストンでの研修ですが、事前研修もしっかりと行い、2・3日目は「ハーバード大学」や「MIT(マサチューセッツ工科大学)」での模擬授業や実験を体験し、現地の高校での授業など、朝早くから夜遅くまで文字通りみっちりと勉強してきます。

西高の生徒たちは観光旅行のような研修では絶対に満足しないだろうと考え、他にはない現地の教育機関に入り込んだ研修内容を毎年考えています。でも参加する生徒たちの熱心さや鋭さに、現地の先生方やスタッフが非常に好意的に受け入れてくださり、「来年もまた」と言ってくれます。これもまたよき風習のバトンだと思いますので、研修に参加する生徒たちには「君たちでこの研修が終わらないように、心して授業を受けるように」と伝えています。

――保護者の方々のお話も聞かせてください。

宮本校長:保護者会の出席率はほぼ100%で、学校や教育への感心は高いと思います。ただ意外に思われるかもしれませんが、「受験のこと」「テストの点数のこと」はあまりお話されませんね。それよりも、エネルギッシュな保護者の方々が多く、保護者自身が高校生活を楽しんでいらっしゃる感じさえします。年3回広報担当のPTAが発行している広報紙も、フルカラーで情報量が多くて初めて見たときは非常に驚きました。

PTAが制作する広報誌「ひと粒の麦」

年に2回、私を含めた「先生方と保護者が語る会」と称して交流の機会を設けていまして、保護者10名程度のテーブルに先生が1人ついて話をし、時間になると先生が移動する、という形でたっぷり語り合います。この保護者のグループも先輩保護者と新入学保護者が同じテーブルにつくように組み分けされていて、学校の話も先輩保護者から聞けるような仕組みになっています。

学校と保護者、学校と地域など問題が起こる場合というのは、相互不信が根底にある場合がほとんどです。学校運営にOBやOG、保護者、地域の方々のご協力は不可欠ですので、まず学校を広く開き、お互いコミュニケーションを取り合い、理解し合って協力関係を築いていきたいと思っています。

夏休み中も記念祭の準備

――先生が考える久我山の街の魅力とはどんなところでしょうか?

宮本校長:落ち着いていて、ゆったりとした街。昔から変わらない街、ですね。西高のこの雰囲気は、この久我山の街によってつくられた部分もあるでしょう。近所にコンビニが一軒あるだけなので、生徒からは少々物足りないという声も出ることはありますが、学校環境としては最高ではないでしょうか。

2017(平成29)年度の入学者を見ても、杉並区から46名、隣の世田谷区から39名、三鷹市から27名と、地元からの入学者が非常に多いのが特徴でもあります。つまり地域と密着した、地域に愛される学校だということです。近隣の「杉並区立西宮中学校」の図書委員の子どもたちが本校の図書館を利用したり、進路説明会を本校で行ったりと、日々の交流もよく行っています。

9月末に行われる「記念祭」は西高生たちにとってもかなり力の入ったイベントなのですが、高校のというよりも大学の文化祭に近い雰囲気ですね。その記念祭には、本校を目指す中学生親子をはじめ、近隣の方々など多くの人たちが足を運んでくださいますよ。

東京都立西高等学校 校長 インタビュー

東京都立西高等学校

校長 宮本久也先生
所在地:東京都杉並区宮前4-21-32
TEL:03-3333-7771
URL:http://www.nishi-h.metro.tokyo.jp/
※この情報は2017(平成29)年6月時点のものです。

“西高生”としての誇りが伝統を培う/東京都立西高等学校 校長 宮本久也先生
所在地:東京都杉並区宮前4-21-32 
電話番号:03-3333-7771
https://www.metro.ed.jp/nishi-h/

スペシャルインタビュー

「Bacaro FERRO(バーカロ フェッロ)」で聞く、富士見ヶ丘の魅力/Bacaro FERRO 店主 河合麻希さん


京王井の頭線「富士見ヶ丘」駅の南口を出て、通りを挟んだすぐ向かい側の建物に入ると在る「Bacaro FERRO(バーカロ フェッロ)」。2011(平成23)年に富士見ヶ丘にオープンし、地元の常連さんに愛されている店である。イタリアを代表する観光地であるヴェネツィアで、地元の人々が日常的に愛用している「バーカロ」を再現し、料理も雰囲気も「現地のまま」にこだわっており、ワインもヴェネチアのあるヴェネト州のものを多く揃えている。
店主は、笑顔の素敵な河合麻希さん。常連さんからは“マキちゃん”の愛称で呼ばれているそうだ。今回はお店のこと、彼女がこの地に惚れ込んだ理由などについて、いろいろとお話を伺った。

人の“つながり”が感じられる街に惹かれてこの地で独立

Bacaro FERRO(バーカロ フェッロ)

――河合さんがお店を出す場所として、富士見ヶ丘を選んだのはなぜですか?

もともと、2つ隣の「三鷹台」駅前にあった「三鷹バル」の支店として、6年ほど前にこの店の向かいのビルの2階でオープンしたのが始まりです。私も昔は三鷹台のお店で働いていたのですが、開店にあたり初めて富士見ヶ丘を訪れました。
「三鷹バル」のオーナーと私で、井の頭沿線で次のお店を出そうと色々と探した中で見つけた場所です。そこで6年間営業をして、私もそろそろ独立しようかな、と考えていた時に、現在の店舗位置で営業していたベーカリーがお店を閉められるという話を聞いて、少しだけ引っ越しをすることになりました。

店主の河合麻希さん

――河合さんは練馬の出身ということですが、なぜ、独立してもなお、富士見ヶ丘でお店を続けようと思われたのですか?

富士見ヶ丘で営業を続けていくうちに、この街が大好きになっていきました。「もう自分は富士見ヶ丘でしかお店をやれないんだろうな」とすら思いました。富士見ヶ丘が自分にすごく合っているし、自分がやりたいことと、街との相性が、すごく合っていると感じたんです。

――この街のどのような点が魅力的に感じられたのですか?

良い意味での“田舎っぽさ”が残っているところです。富士見丘商店会の先輩たちがやっているお祭りを見ていても、自由度が高くのびのびとしていますし、リーダー的な存在の方のひと声で、周りの人たちが自主的に動く。形式ばっている感じが無くて、「人のつながり」で街が動いているんです。そういうところが、なんか良いな、と思いました。

富士見丘商店会

「Bacaro FERRO」に来てくださるお客さんも、そうした雰囲気を楽しんでくれる方が多いですね。新しいお店が出来たら「まずは行ってみよう!」とか、この街にすごく愛着があり、興味を持ってくれている方が多いと感じます。また、商店街沿いにいろいろなものがぎゅっと集約されているので、歩いていても楽しい街です。

本場ヴェネツィアにあるような「気軽さ」を大切に

――お店のこだわりについてお聞かせください。

イタリアのヴェネツィア地方にある、気軽に飲める居酒屋「バーカロ」をイメージしています。バーカロの基本スタイルは、入ってすぐのところに立ち飲みができるカウンター、奥にはテーブル席があり、さっと飲みたい時は立ち飲みで、ゆっくりしたい時には座ってというように選べる形式です。本場ヴェネツィアでは、観光客などももちろん利用するのですが、住んでいる人はそれぞれに自分の行きつけのバーカロを幾つか持っていて、日常的に“はしご”をして楽しむ。毎日スーパーマーケットに買い物に行くような感覚で、バーカロに飲みに行くんです。
だからこの店でも大切にしているのは、まずは「気軽に行ける雰囲気」です。自分の時間を静かに楽しんでもいいし、会話を楽しんでもいい。そうした自由にくつろげる空間を作りたいな、と思っています。
「立ち飲みのお店」と聞くと、なんとなく「何かを喋らないといけない」と思って、遠慮してしまう人もいると思いますが、そうした固定観念を変えていきたいです。仕事の帰りにふらっと寄って一人で飲んだり、本を読んだりして、気軽にリフレッシュしてもらえればと思います。

さっと立ち寄れて飲める気軽なスタイル

――料理の特徴についても教えていただけますでしょうか?

料理についても、ヴェネツィアにあるそのままを再現するようにこだわっています。そのために実際に現地に行って、ベネト州のお母さん達に郷土料理や家庭料理を教わり、そのレシピだけでやっています。一切日本人向けのアレンジはしていないので、本当に向こうで食べられる、本場のバーカロで出しているようなおつまみと家庭料理を楽しんでいただけます。
なかでも人気があるのは、リゾットとラザニアです。現地では絶対に立ってパスタを食べることは無いので、パスタは出していません。そもそも、ベネト州は米処どころなので、パスタよりもリゾットが多いんです。テイクアウトなどもやっています。

黒板に書かれたメニュー

おつまみ系では「FERROの3種盛」が看板メニューです。ゆで卵の黄身にアンチョビやツナを詰め込んだものと、イワシの南蛮漬け、塩ダラで作るペーストをパンに付けて食べるものの3点です。これはヴェネツィアのバーカロでも、代表的なおつまみです。
それから「ポレンタ」もおすすめです。ポレンタはとうもろこしの粉を練ったもので、北イタリアの特有の主食なのですが、現地では蕎麦がきのように練り上げたものに煮込みなどをかけて、いろいろなアレンジで食べています。なのでうちの店でも「本日のポレンタ」として、ソースを頻繁に変えながら提供しています。

看板メニューの「FERROの3種盛」

商店街や地域のイベントで人の流れが活性化する

――商店街や地域と関わりについて教えてください。

8月に「サンバ祭り」という商店街の大きなお祭りがあり、商店会では自由に屋台を出せるのですが、うちの店では生ハムの切り売りをして毎年参加しています。ワインやビールと一緒に販売して、1本10キロの生ハムが、1日で無くなってしまうくらい、沢山の方にご好評いただいています。

今年は「ロゼワインフェスタ」も開催中

あとは、町内会の秋祭りや、2月の節分祭なども昔からあるお祭りです。また最近では、6月に行われる久我山の「ほたる祭り」で歩行者の交通規制が変わったこともあり、富士見ヶ丘にもたくさんの人の流れが来るようになったので、今後はおそらく、久我山の商店会と共催するような形で、何かをやっていくのではないかと期待しています。

――河合さんが発案したイベントもあるそうですね。

はい、2016(平成28)年から「FUJIMIGAOKA CARNEVALE」というものを始め、今年の2月にも第二回を開催しました。商店街の北側に「フーロ」さんと「ジェンマ」さんというワインバーが2軒あって、そこと協力して開催しています。実は同じ年にオープンしたお店なので、お互い仲良くしています。
このカーニバルの時には、「井の頭公園」駅の前にあるワインショップのソムリエと、ワインのインポーターの社長をお呼びして、そのお二方に、3店舗をツアーガイドして回ってもらっています。これが3つのお店をはしごするきっかけになれば、という狙いから、考えてみたものです。

「FUJIMIGAOKA CARNEVALE」の様子

ヴェネツィアでも、2月ごろにカーニバルが開催され、仮面を着けて楽しみます。なので、本場に倣い、ここでもはしごをする時は、仮面を着けて歩いていただいています。傍から見たら、なかなか異様なんですけれど(笑)。まだ2回目がこの間終わったところですが、沢山の方に参加していただきました。
富士見ヶ丘のお客さんは、優しい方が多いので、どうしても一つのお店の常連になると、ほかのお店に足を運んでくれなくなってしまうんです。その風通しを良くしたいという思いもありました。このイベントを開催してからは、いろいろなお店に足を運ぶお客さんがすごく増えたので、やってみて良かったです。

イベントで使用するマスク

知れば知るほどに「ほっとする街」

――街の魅力について教えてください。

富士見ヶ丘は、一見地味に見えますけれど、実はいろんなお店があるんです。お客様の中にも「ここはなんにも無い街だ」と自虐される方もいますが、実はいろんな店があるし、いろんな方がいます。それがなかなか見えていないだけなんです。だから1回お店に足を運んで、どんな人がやっているかが分かれば、街の見え方も変わってくると思っています。私がさっきのイベントを始めたのも、そういう思いからなんです。本当に、あったかて世話好きな方が多いので、街に深く関わっていくほどに、「ほっとする街」に感じられてくると思います。
商店街では世代交替も進んでいる最中で、私のように30代、40代の方がけっこうお店を出しているので、これからますます面白くなっていくんじゃないかな、と思っています。これからに期待していただきたいです!

Bacaro FERRO(バーカロ フェッロ)

Bacaro FERRO(バーカロ フェッロ)

店主:河合麻希さん
所在地:東京都杉並区高井戸西1-33-12 富士見ケ丘センタービル101
TEL:03-5941-5032
URL:https://ja-jp.facebook.com/BacaroFERRO/
※この情報は2017(平成29)年6月時点のものです。

「Bacaro FERRO(バーカロ フェッロ)」で聞く、富士見ヶ丘の魅力/Bacaro FERRO 店主 河合麻希さん
所在地:東京都杉並区高井戸西1-33-12  富士見ケ丘センタービル101
電話番号:03-5941-5032
営業時間:18:00~24:00
定休日:木・日曜日
https://www.facebook.com/BacaroFERRO/

「NPO法人ちょうふ子育てネットワーク・ちょこネット」理事長:竹中裕子さんインタビュー

子育て支援の新しいかたちを生み出しつづける/NPO法人ちょうふ子育てネットワーク・ちょこネット 理事長 竹中裕子さん


調布市で子育て支援活動をしている「NPO法人ちょうふ子育てネットワーク・ちょこネット」。子育てのさまざまな課題を街の人たちで共有し、それぞれの得意分野を生かして支援するネットワーク。カフェ「aona」を拠点とし、子育て応援サイト「コサイト」で情報を届けている。そんな「NPO法人ちょうふ子育てネットワーク・ちょこネット」の活動について理事長の竹中裕子さんと事務局長の杉山裕子さんにお話を伺いました。

横のつながりを広げ、NPO法人へ

店内様子

Q.まず、活動を始めたきっかけについて教えてください。

杉山:以前から、地域で子育てに関わる何かをやりたいと思っていたんです。そして、5年くらい前にご縁があって竹中に出会い、意気投合し、この人とやらなかったらほかに誰とやるんだろうという気持ちになりました。

竹中:私も杉山と話をしていたら面白いことができそうだなと思って、まずは10人くらいで任意団体「ちょこネット」を立ち上げました。それから2年くらいは手探りで、小さな助成金をもらってお母さんたちを集めて活動をしていました。例えばアラフォーで出産すると若いママたちとは共有しづらい悩み事がいっぱいあります。そこで、助産師さんに来てもらってざっくばらんに不安や気がかりなどを話せる「アラフォーママの会」を実施しました。ほかにも、離乳食講座とか、ちょこネットに集まったメンバーのスキルを生かしたようなイベントを小さくやっていたんです。

竹中裕子さん

Q.当時は他にどのような活動をされていたのでしょうか。

竹中:ちょこネットのウェブサイトで地域の小児科のインタビューを掲載したり、ママたちの紹介したいお店を載せた「おでかけマップ」を作成したりしていました。ほかにも、メールマガジンで地域の子育て情報を共有する活動もしていました。それから、地域の子育て支援をやっている人たちが出店して、自分の活動を紹介する「子育てフェスタ」という催しを大きな会場を借りて3回ほどやっています。

活動が増えていくなかで、地域のいろいろな方たちとの関係を築いてきました。そしてこれからさらに事業を広げていくために、組織を盤石なものにしていく必要を感じ、2013(平成25)年6月に「NPO法人ちょうふ子育てネットワーク・ちょこネット」が誕生しました。

調布子育て応援サイト「コサイト」、子育てカフェ「aona」をスタート

調布子育て応援サイト「コサイト」TOPページから引用

Q.調布子育て応援サイト「コサイト」について教えてください。

竹中:子育てに特化したウェブサイトは三鷹や狛江など、この辺の行政はみんな持っていたんですが、調布市だけがなかったんです。それで去年、市から管理運営者に採択され、立ち上げたのが「コサイト」です。週に1回、コラムは必ず更新しています。そのコラムは地域の人たちへのインタビューやママたちを取材したり、お出かけ情報を編集者本人が足を運んで、自分目線で書いたりしています。民間の情報、例えばこのカフェの情報や、マンションの販売情報、お稽古やママのフィットネスに関する情報なんかも全部入っています。

調布市がやっている230ヵ所くらいの子育て支援施設の情報は、全部足を運んで写真を撮り、ライターが記事を書いて、市役所に確認を取って掲載しています。

メニューと照明

Q.子育てカフェ「aona」について教えてください。

竹中:もともと、杉山がずっとカフェをやりたいって言っていたのです。そのうちに場所を貸してあげますよって言う人が現れたんです。深大寺にある調布卸売センターという市場の空き店舗を使わせてもらうことになりました。

初めはメンバーの中で調理が得意な人やお茶を入れるのが詳しい人が集まって、昼間だけ営業していました。そこから徐々にスタッフも増えてきて、市場には新鮮な調布産の野菜がどっさりあったので、それを使って野菜たっぷりのご飯を作ろうということで、今のカフェの原型ができていったんです。

畳スペース

2015(平成27)年4月に今の場所に移転し、子育てカフェ「aona」が始まりました。この場所は調布市が権利を持っていて、調布市の子育て支援施設「こどもとフラット」としてオープンしました。「aona」と「プレイセンターちょうふ」という施設で構成されています

「aona」のテーブルや家具は工事などで伐採されてしまった木を製材して作っています。床は無垢の天然木を貼っていて、靴を脱いで上がるのでリラックスできると好評です。「調布びーる」という地ビールやホッピーも出して、男性も入りやすい雰囲気にしています。

「aona」は地域の方がスペースの一部を講座などに使っていただける「サロン利用」という仕組みもあります。サロン事業が私たちのひとつの存在意義になっているかなと思います。地域のいろんな人たちがここを使ってネットワークを広げたり、ここでファンを増やして自分の教室に誘導したり、そういう使い方をしてもいいと思っています。

杉山:これまでは骨盤体操教室や子育ての悩み相談おしゃべり会とか、色育講座でお子さんと一緒に絵本を見ながらカラーの勉強をやりましょうといったような講座をやりました。子育て関係のイベントに限定はしていませんが、aonaを利用する客層を意識した内容のものが中心になっています。

ヘアゴム

竹中:店内にはaona shopという物販コーナーもあり、調布に関わりのある作家さんの手作りの商品を中心に販売しています。また「aona market」というイベントも年に4回ほどの予定で開催しています。ショップには参加していない地域の作家さんたちが期間限定でブースを出店するのでとても盛り上がります。前回はすごく人が集まって賑やかで楽しかったです。

Q.「aona」の運営スタッフや来店される方はどんな方が多いですか?

竹中:「aona」はスタッフが60人ぐらいいて入れ代わり立ち代わり働いています。高校生から60代の男性まで幅広くいますね。メインは子育て中の方ですが、学生からシニアまで多様な人たちが関わっています。

杉山:スタッフが知り合いに宣伝してくれるんです。例えば、60人のスタッフが友だち3人連れてきたらそれだけで180人ですよね。

Q.「aona」のおすすめメニューを教えてください。

杉山:週替わりの「aona定食」です。地元の野菜をたくさん使ったお食事を提供しています。丁寧に出汁をとるなど、ひと手間かけたお料理、がモットーです。とは言っても普通の家庭のお惣菜なんですけどね。あえて子どもが喜ぶようなお子様ランチみたいなものじゃなくて、お子さんの食の幅を広げるきっかけになるようなものを出しています。これが結構好評で、野菜が苦手なお子さんが、小松菜たっぷりのぎょうざをパクパク食べた、というエピソードもあります。その子のお母さんがとても喜んでいました。離乳食は全然食べないのに、ここで作る牛乳と卵を使わないパンは食べますとか、そういう反応をしてくれます。

aona定食

Q.「aona」でどんな過ごし方をしてもらいたいですか?

竹中:ここで新しい出会いや発見があるようにイベントなどを仕掛けていきたいと思っていますが、まずはどなたでも気軽に出入りできる場所であってほしいと思います。第2の我が家のように過ごせる場所。いろんな世代の人が集まって、みんなで食事を楽しむ。あっちではああいう話、こっちではこういう話、いつの間にか隣のテーブル同士、相席になった同士が楽しくおしゃべりしてしまうような、そういう大きなリビングルームという感じで使ってもらえればいいなと思っています。

子育て世代にやさしい街、調布

「調布PARCO」

Q.調布エリアの魅力について教えてください。

竹中:調布は新宿まで15分ほどで行けるので、すごく便利なんですよ。例えば、京王線「調布」駅前には「パルコ」もあるし、駅前で買い物もだいたい済んでしまいます。仙川も素敵な街で魅力的な個人店がいっぱいあるんですよ。有名なパン屋さんとかカフェや、雑貨店もひととおりありますし。かの有名な猿田彦珈琲さんも仙川に2件目を出店されました。学生も多く、常に活気がある街です。

調布は子育てするのにもすごく魅力的な街だと思います。例えば、多摩川の河川敷は開放的でのびのびと遊ぶことができます。そうそう、深大寺周辺はものすごく緑のエリアが深くて、カブトムシなんかがたくさんいるんですよ。また、野川っていう小さな川がザリガニを釣るのに絶好のポイントです。環境もよいのでとても生活しやすい地域だと思います。

 

人物画

NPO法人ちょうふ子育てネットワーク・ちょこネット

理事長・コサイト編集長
竹中裕子さん
理事・事務局長
杉山裕子
※この情報は2015(平成27)年9月時点のものです。

子育て支援の新しいかたちを生み出しつづける/NPO法人ちょうふ子育てネットワーク・ちょこネット 理事長 竹中裕子さん
所在地:東京都調布市布田4-17-10 セントラルレジデンス調布2階 カフェ「aona」
電話番号:042-426-8287
https://cosite.jp/

「布多天神社」権禰宜:野澤晃司さんインタビュー

節目節目にお参りを。約二千年の歴史を持つ神社/布多天神社 権禰宜 野澤晃司さん


京王線・相模原線「調布」駅北口にある「布多天神社」は、約二千年の歴史を持つ格式高い神社。調布の総鎮守として祀られ地域の皆さんを守っている。毎月25日は月例祭が行われ、江戸時代から続く天神市も開かれる。9月25日は例大祭で神輿や山車の巡行があり、地域を挙げてのお祭りだ。そんな「布多天神社」について権禰宜(ごんねぎ)の野澤晃司さんにお話を伺いました。

多摩地区でも有数の歴史を誇る古社

社務所

Q.「布多天神社」の歴史について教えてください。

創建はあまりにも古く、定かではないのですが、約1,940年前だろうと伝えられています。もともとは多摩川のほとりにあり、そこから多摩川の氾濫や洪水を避けて、第11代垂仁天皇の頃にこの地に遷座しました。遷座される以前からお祀りされていたのは「少彦名神(すくなひこなのかみ)」で、一寸法師の原型にもなっている神様です。遷座に合わせ、菅原道真公を合祀することになりました。江戸時代には甲州街道が整備されて上布田、下布田、国領、上石原、下石原の宿場ができ、布田五宿の総鎮守様と呼ばれ、現在は調布の里の総鎮守さまとして祀られています。

絵馬

Q.古くから続く行事もあるのでしょうか?

9月25日には「例大祭」があり、23日には各町内からお神輿が出ます。地域の人も参加しますので、とても盛り上がりますよ。また、毎月25日に「月例祭」が行われています。その25日には江戸時代から続いている「天神市」が開かれ、お神楽の奉納もあり、お団子や骨董や、布生地が売られています。昔は江戸から甲州街道を歩いて来たり、多摩川の向こうからは渡し船に乗って物を買いに来たり、出会いの場でもあったようです。江戸時代には旧甲州街道を国領の方まで店が出たというくらい賑わっていたと言われています。また、古くはないのですが、第1日曜日には「つくる市」、第2日曜日には「骨董市」が開かれ境内は賑わい、これから歴史ある市となっていくと思います。

調布を見守る、地域に根付いた神社として

新年祭りの様子

Q.地域との関わり合いについて教えてください。

地域との関わりで一番大切なものは「例大祭」ですね。氏子や地域の方々が神輿を担ぎ、山車を引いて、お囃子を奏で、調布の里を大いに盛り上げ、五穀豊穣・秋の収穫に感謝します。また、神社ボーイスカウト、「ボーイスカウト調布10団」が日曜日に境内で元気に活動をしています。神社の裏に小さいながらも田を設け、田植えから稲刈りまで一緒にお米を育てています。ほかにも、「天神通り商店会」とのつながりがあり、来年には「七夕祭り」を一緒に盛り上げようかという話をしています。

例大祭の様子

Q.地域住民にとって、どのような存在でありたいと考えていますか?

近代化が進んでいく中で大きなビルが増えていますから、やはり心の休まる場所でありたいですね。「布多天神社」にお参りし、心を静めて、今日この日があることを感謝してもらいたいです。そういった心の拠り所でありたいです。調布の里を守って下さる神様ですので、「感謝」という気持ちを常々持ってほしいと思います。

人の温かさを感じられる街、調布

多摩川河川敷

Q.調布エリアの魅力・おすすめスポットについて教えてください。

最寄りの「調布」駅から15分ほどで新宿に到着しますし、都心に近く便利です。そんな中で自然にも恵まれています。森や川もあり、東京でありながら新鮮な野菜が豊富に取れるんです。神社の総代世話人様にも野菜を育てている方がたくさんいらっしゃいます。おいしい野菜が採れるということは水が本当にきれいだということですね。おすすめスポットは「深大にぎわいの里調布卸売センター」という市場があるんですが、安くておいしいお肉屋さんや魚屋、八百屋、お菓子屋さん、カフェや焼肉屋もあって面白いです。

Q.調布エリアの昔から変わらない良さ、近年変わったところを教えてください。

昔から変わらない良さは街の人々の温かい人柄ですかね。変わったところはビルが増えたこと、「調布」駅が地下になったことですね。調布市長様が保育園を増やす計画など子ども支援に力を入れてくださっていますので、これからも調布の街はいろいろな面で住みよい街に変わって行くと思います。買い物はパルコも商店街もたくさんありますし、映画の街なので大きな映画館ができるということも聞いております。

木々と神社

Q.調布エリアに今後、新たに住まわれる方へのメッセージをお願いします。

もし、所帯を持って調布にお住まいになると考えておられるならば、結婚式や安産祈願、初宮詣、七五三などの人生儀礼の際に、ぜひ「布多天神社」へお越しいただきたいと思います。子どもが成長していくと受験もでてきます。学問の神様でございますので、ぜひお参りください。

神主

布多天神社

権禰宜 野澤晃司さん
東京都調布市調布ケ丘1-8-1
URL:http://www.fudatenjin.or.jp/
※この情報は2015(平成27)年9月時点のものです。

節目節目にお参りを。約二千年の歴史を持つ神社/布多天神社 権禰宜 野澤晃司さん
所在地:東京都調布市調布ケ丘1-8-1 
電話番号:042-489-0022
http://fudatenjin.or.jp/

国領児童館 館長 持田さん

子どもたちが自然と集まり元気に遊ぶ児童館/国領児童館 館長 持田さん


調布市には、0歳から18歳までを対象とした児童の福祉施設である「児童館」が11館ある。「国領児童館」はその中で3番目にオープンした児童館で、今年でちょうど40年を迎えた。午前中は乳幼児、午後は小中高生を中心に、たくさんの子どもたちが訪れている。今回は、ずっと子どもたちを見守り続けている館長の持田さんに、概要や取り組み、国領の街の魅力についてお話を伺った。

乳幼児から小中高校生まで、子どもたちの集いの場

「国領児童館」入口

――まずは「国領児童館」の概要について教えてください。

持田さん:「国領児童館」は入口で名簿に記入すれば、どなたでも施設を利用することができます。午前中は乳幼児と親御さんたちを対象として、自由遊びを中心に、手遊びや工作をしています。また、子育てに関する相談を受けつける「子育てひろば」があるほか、利用者の自主サークルのサポートも行っています。午後になると小中高校生が遊びに来て、小学生は17時、中高生は18時まで、遊戯室や図書室、学習室で遊ぶことができます。

――小さい子どもが参加できるイベントはどんなものがありますか?

飯田さん:月曜日と水曜日の10時から12時まで、1歳くらいまでの赤ちゃんを対象とした「赤ちゃんたんぽぽ」を行っています。前半は子どもどうし遊ばせながら、親御さんの情報交換の場に、後半は職員がわらべうた遊びをしたり季節の歌を歌ったりしています。

館長の持田さん

月~木曜日の10時から12時までの「幼児たんぽぽ」は、もう少し広いスペースで遊具を出して遊びます。就学前の子どもが対象ですが、幼稚園に通う子も多いので、1~2歳が中心となります。職員と一緒に親御さんが遊具の片付けをしていると、子どもも自然と手伝いだすので、「子どもは親御さんの姿を見て成長するんだ」と、毎日のように実感しています。お片付けが終わると、みんなで手遊びしたり、本を読んだり、そして最後に体操をして、シールを配って終わります。シールは「赤ちゃんたんぽぽ」でも配っていて、シールを集めた方にはささやかなプレゼントを差し上げています。

広々とした遊戯室

――小学生以上の子どもたちはどのように利用していますか?

持田さん:「調布市立国領小学校」と「調布市立第二小学校」の子どもたちがよく遊びに来てくれます。中高生は部活動がお休みの日の利用が多く、学校が終わるとみんなで遊びに来てくれます。30人くらいまとまって遊びに来ることもあって、バスケットボールやドッジボール、バドミントンなどをして遊んでいます。学習室では工作やオセロなどのゲーム、カードゲームをやる男の子も多いですね。

球技も楽しめる

――賑やかな声が聞こえますが、普段何人ぐらいの方が利用していますか?

持田さん:曜日によっても異なりますが、水曜日は中高生の部活動のお休みが多いこともあって一日に50人ほど、行事があると多くなりますが、平均すると20人ほどでしょうか。午前中は、お天気にもよりますが、だいたい15組くらいの乳幼児と親御さんが遊びにいらっしゃいます。クリスマス会などのイベントや講師の方をお呼びする講座がある時には80人ほど集まることもあります。

地域の皆さんに支えられているからこそできること

遊具もたくさん

――毎月行っているイベントや、季節のイベントを教えてください。

持田さん:乳幼児向けに毎月行っているのがお誕生日会と計測です。「赤ちゃんたんぽぽ」の計測日には助産師さんに、お母さんたちの相談にのっていただいています。そのほか、講師をお呼びしての「折り紙の会」「おはなしの会」「わらべうたの会」「離乳食講座」「歯科講座」も行っています。

図書室

基本的に幼児向けの行事は午前中に行っていて、小学生は遊びに来たタイミングで「おはなしの会」や「将棋の日」、「囲碁の日」などの行事に自由に参加しています。児童館のご近所の方が「支援スタッフ」として優しく将棋や囲碁を教えてくださって、とても感謝しています。「児童館遠足」も年に2回行っていて、先日は「JALの工場見学」に行ってきました。人気があって抽選になってしまったのですが、参加した子どもたちには好評でした。

手作りの安全マップ

――サークルの方々も運営に参加されているとお聞きしました。

持田さん:ここで活動しているサークルは、「フラサークル」と「ひまライKids(児童メンバーズ)」の2つがあります。そのうち、「ひまライKids」は児童館運営の仲間という感じで、草刈りをしたり、夏のお化け屋敷の企画を考えたり、ポスターを描いたりもします。夏のお化け屋敷は3日間の開催期間中、子どもたちも職員もインターンシップの大学生も巻き込んで、みんなでお化けになりきります。近所の保育園からもお友達がたくさん来てくれる、夏の欠かせないイベントです。

「フラサークル」のポスター

――イベント盛りだくさんですが、中でも一番大きなイベントは何ですか?

持田さん:10月に行う児童館のお祭りです。地域団体の方もお手伝いに来てくださって、500人近くの方が関わる大きなイベントになります。児童館の中にゲームコーナーや工作、幼児用コーナーを設けるほか、前の広場には食べ物屋さんも出ます。ハロウィンの時期と重なるイベントなので、今年はハロウィンと、さらにはスポーツのゲームも増やそうかと考えています。40年の節目の年でもあるので、とにかく楽しく、子どもたちのアイディアも取り入れながら考えていきたいです。

館内の様子

――いろいろな場面で周囲の方に支えられているんですね。

持田さん:支援スタッフのみなさんには本当にいろいろなところで活躍していただいています。月に3,4回くらいいらっしゃる民生児童委員の方や「おはなしの会」の先生も支援スタッフの方です。そのほかにも、学童クラブの父母の方や近隣の健全育成推進委員会の方にもご協力いただいています。

国領エリアの魅力、それは”温かさ”

スタンプラリーの台紙

――国領エリアの街の雰囲気や魅力について教えてください。

持田さん:緑がとても豊かで暖かい人が多い、という印象です。この地域には、乳幼児施設やお年寄りの施設もたくさんあるので、「みんなで助け合いましょう」、「みんなで楽しく暮らしましょう」という意識の方が多いように感じます。また、大きなスーパーマーケットをはじめ、お買い物する場所が近くにあるのでとても便利です。それに公園もたくさんあって緑も多く、子どもたちも元気に遊んでいます。

この児童館でも「子育てひろば」を行っていますが、駅前にも乳幼児だけの施設「子ども家庭支援センターすこやか」があります。ふたつの施設が近くにあるので、「今日は児童館に行ってみよう」「今日は『すこやか』に行ってみよう」と、選択肢があることは魅力です。保育園でも園庭を一般開放してくれる日があるので、遊びに行くところが充実していると思います。

――これからこの街に住まわれる方へ、メッセージをお願いします。

持田さん:国領は温かいところです。国領の地域のお祭りをまわるスタンプラリーがあるくらい地域の行事もたくさんありますし、地域の運動会もいろんなところでやっていて、地域の結束力も強いですね。地域全体で子どもたちを育てよう、という温かい人たちが多いので、子育て家族には特に暮らしやすい街だと思いますよ。

持田さん

国領児童館

館長 持田さん
所在地:東京都調布市国領町3-8-15
TEL:042-485-8423
URL:http://www.city.chofu.tokyo.jp/www/contents/1476170524647/index.html
※この情報は2017(平成29)年6月時点のものです。

子どもたちが自然と集まり元気に遊ぶ児童館/国領児童館 館長 持田さん
所在地:東京都調布市国領町3-8-15 
電話番号:042-485-8423
学童クラブ利用時間:学校授業終了~17:00(学校休業日8:30~17:00)
休館日:日曜日、祝日、12/29~1/3
https://cosite.jp/town/facility/jidoukan..

「Holo Holo Cafe(ホロホロカフェ)」 オーナー 飯田さん

地域に根ざし必要とされるカフェを目指す/Holo Holo Cafe(ホロホロカフェ) オーナー 飯田さん


「Holo Holo Cafe」は、2015(平成27)年3月にオープンしたハワイアンテイストのカフェ。今回はオリジナル雑貨の販売やウクレレのワークショップの開催など、ユニークなカフェを経営しているオーナーの飯田さんにお話を伺いました。

“ハワイ時間”の流れる店内

「Holo Holo Cafe(ホロホロカフェ)」

――どのような経緯から「ホロホロカフェ(Holo Holo Cafe)」をオープンされたのですか?

飯田さん:私は高校生時代に喫茶店でアルバイトをしていたのですが、その頃から“いつかは自分の店を出せたらいいな”という夢をもっていました。特にコーヒーが好きで、アフリカの方までコーヒーを飲みに行ったこともあります(笑)。それとはまた全く別に、趣味でウクレレも弾いていたのですが、たまたま親戚の結婚式でハワイに行った時にあの雰囲気にすっかり虜になってしまいました。コーヒー、ウクレレ、それとカフェではパンケーキを出したいとも思っていたので、その全てがハワイアンカフェならつながる、そう気づいたのです。
夢を実現させたのは2015(平成27)年3月のことですから、時間は随分とかかってしまいましたね(笑)。いずれはカフェでイベントを開催したいと思っていたので、1階と2階でスペースを分けることができるこの物件を選びました。コンセプトは、“ハワイの街外れにあるようなカフェ”です。のんびりとした雰囲気のなかで、誰もがゆっくりとくつろげる場所であれたらと思っています。

落ち着けるゆったりとした店内

――「Holo Holo Cafe」の人気メニューを教えてください。

飯田さん:一番人気はパンケーキですね。特にココナツミルクのソースを使ったものが良く出ます。当店は“ハワイ”をテーマにした都心部のカフェに比べるとメニュー構成はシンプルかもしれませんが、それも含め、ハワイの街外れにあるカフェのような雰囲気を感じていただけると幸いです。

ココナッツソースのかかった「ハウピアソースパンケーキ」

――サービス面に関して、特に心がけていることはありますか?

飯田さん:基本的なことではありますが、お客様に“また来たい”と思ってもらえるサービスを提供することですね。飲物や料理だけでなく、店内で過ごす時間を含め、全ての要素で満足していただきたいというのが私たちの願いです。

ハワイの伝統的なデザート「ハウピア」

店づくりにかける想い

「Holo Holo Cafe(ホロホロカフェ)」 オーナー 飯田さん

――カフェの内装は、ご自身で手がけられたと伺っています。

飯田さん:そうですね、店内のイスやテーブルも自分たちで手を加えています。もちろん最初はプロに依頼するという選択肢もありましたが、イメージや意図することを正確に伝えることがなかなか難しく、それなら自分たちでやってみよう、ということでやってみました。実際にやってみると大変ではありましたが、“ものづくり”が好きなので、なかなか楽しい作業でしたよ。

オーナー自ら手掛けたこだわりの内装

――店内では雑貨も取り扱っているのですね。

飯田さん:はい、ほぼ全てが手づくりの品物です。オリジナル商品をはじめ作家さん達にもお手伝い頂いております。最近は「Holo Holo cafe」オリジナル商品をきっかけに、店舗ロゴの作成依頼をいただくなんていうこともありました。カフェでありながら、それ以上の空間になっていることは私たちとしても嬉しい限りです。品揃えを含め、より一層の充実を図っていきたいと考えています。

店内ではオリジナル雑貨も販売

――ウクレレのワークショップを開催されているそうですね。

飯田さん:ゆったりとした2階ソファ席にて、不定期にウクレレワークショップを開催しています。ウクレレを持っているけれども弾き方が分からないという、どちらかというと初心者の方を対象にしたワークショップです。どこにでも持っていける大きさですし、誰でも気軽に始められる楽器なので、ぜひ日常にウクレレを置いてもらえたらなという気持ちで行っています。

2階ではウクレレのワークショップを開催

――「Holo Holo Cafe(ホロホロカフェ)」としての今後について伺えますか?

今後はコーヒー豆の販売にも力を入れていきたいですね。ハワイコナを配合したオリジナルブレンドの魅力を伝えていきたいと思っています。ただ、大きな反響を求めているわけではありません。目指しているのは地域に根ざし、地域に必要とされるカフェ。ふとしたときに、誰もが行きたくなるようなカフェを理想に、これからも営業していきたいですね。

ハワイの定番ローカルスイーツ「ハワイアンバターもち」

――最後に、国領エリアの魅力を聞かせてください。

飯田さん:一口に言うと、“住みやすい街”ですね。「イトーヨーカドー 国領店」や「国領」駅前の「マルエツ 国領店」、「西友 国領店」といったスーパーマーケットなどの生活施設だけでなく、周辺には「東京慈恵会医科大学附属第三病院」をはじめとした病院も点在しています。通院の行き帰りにお店に立ち寄ってくださるお客さんもいらっしゃいますよ。アクセスについても鉄道だけでなくバス便も充実しているので、“この街が好き”とおっしゃる方の気持ちが分かるような気がします。

オーナーの飯田さんとスタッフのHamajiさん

地域に必要とされるカフェを目指して

ホロホロカフェ(Holo Holo Cafe)

オーナー 飯田さん
所在地:東京都調布市国領町4-51-25
TEL:090-9802-0324
URL:http://holoholocafe.com/
※この情報は2016(平成28)年7月時点のものです。

地域に根ざし必要とされるカフェを目指す/Holo Holo Cafe(ホロホロカフェ) オーナー 飯田さん
所在地:東京都調布市国領駅4-51-25 
電話番号:090-9802-0324
営業時間:10:00~18:30(金・土・日曜日は21:00まで)
定休日:水曜日
http://holoholocafe.com/

「セオサイクル 調布国領店」店長 会沢さん インタビュー

“街の便利な自転車屋さん”として親しまれる「セオサイクル 調布国領店」/セオサイクル 調布国領店 店長 会沢さん


狛江通り沿いに「セオサイクル 調布国領店」がオープンしたのは2005(平成17)年6月のこと。自転車が所狭しと並べられた同店が今回の訪問先です。お話を伺った店長の会沢さんは、BMXの大会で海外に遠征したこともある自転車好き。その会沢さんに自転車の魅力、さらには街の魅力についてお伺いしました。

まずは、地域に根ざすこと

「セオサイクル 調布国領店」店長 会沢さん

――「セオサイクル 調布国領店」の概要から聞かせてください。

会沢さん:当店は2005(平成17)年6月に、狛江通り沿いに開業しました。気軽に乗れるシティサイクルから電動アシスト自転車、さらにはクロスバイク、ロードバイク、BMXなど多種多様な自転車約150台を展示販売しています。パーツの種類も充実しているので、あまり広いとは言えない店内ですが、自転車に興味がある方であれば、楽しく過ごしていただけると思います。

多数の自転車が展示販売されている

――「セオサイクル 調布国領店」ならではの特徴はありますか?

会沢さん:近年、FATBIKEの人気が高まっていますが、当店も「SURLY」を中心に店頭在庫をご用意しています。以前、私がBMXに乗っていたこともあり、BMXの完成車とパーツの在庫に関しては系列店のなかでも豊富だと思います。経験を活かしたアドバイスができるという点も当店の特徴ですね。

店長の経験に基づくアドバイスがもらえるのが特徴

――お客さんはどのような方が来店されますか?

会沢さん:やはり地元の方が多いですね、我々にとって“地域密着”は重要なテーマなのでありがたいことです。自転車の種類としては、ここから少し進むと坂道になることもあり、電動自転車を選ばれる女性が多い印象を受けます。“街の便利な自転車屋さん”という立場ですが、もちろん、スポーツとして自転車を楽しまれる方にも対応しています。

――お仕事に関して、特に心がけて臨んでいることはありますか?

会沢さん:あえて言うことではないかもしれませんが、私たちの使命は、お客様に安心・安全な自転車を提供すること。その上で、そのお客様のライフスタイルに最適な自転車を提案したり、プライベートを充実させる自転車を提供したりして、お客様に喜んでもらえたらと思っています。

自転車用パーツも充実

自転車の良さを実感できる街

――野川や多摩川が近いという環境はいかがでしょうか。

会沢さん:お客様のなかでも、野川や多摩川のサイクリングロードは人気です。移動ではなく“走ること”が主目的であれば、このふたつのスポットはやはりおすすめですね。自転車を乗ることが楽しい、と感じさせてくれる環境に恵まれていると思います。

憩いの場として親しまれる「野川」

――国領エリアの良さ、またおすすめのスポットなどあれば、ぜひ教えてください。

会沢さん:国領は実は美味しいものが多い街なんです。イタリア料理、パン、ラーメン、カレーなど色々な選択肢があります。“グルメの街”と認知されているわけではありませんが、食事を充実させたい方には嬉しくなる街だと思います。

おすすめのスポットとしては、「深大寺」は外せませんね。名物の蕎麦と「神代植物公園」をセットにすれば、きっと楽しい休日になると思いますよ。

「深大寺」

――最後になりますが、国領エリアに住むことを検討している方に一言いただけますか?

会沢さん:商品の配達で、エリア内外を自動車で走ることが多いのですが、その度に、住みやすそうな街だなといった印象を受けます。中央自動車道にも出やすく、電車に乗れば新宿まで一本。沿線には「調布」駅をはじめとした日常の買い物に便利な駅がありますが、いずれも自転車圏内です。生活をしていて、不便を感じることはないだろうなといった印象の街ですね。

必要なものは自転車圏内にある住みやすい街

自転車が似合う街のサイクルショップ

セオサイクル 調布国領店

店長 会沢さん
所在地:東京都調布市国領町8-1-11
TEL:042-442-8839
URL:http://www.seocycle.co.jp/shop/chofukokuryo/
※この情報は2016(平成28)年7月時点のものです。

“街の便利な自転車屋さん”として親しまれる「セオサイクル 調布国領店」/セオサイクル 調布国領店 店長 会沢さん
所在地:東京都調布市国領町8-1-11 
電話番号:042-442-8839
営業時間:10:00~19:30
定休日:水曜日
http://www.seocycle.co.jp/shop/chofukoku..

「栄光ゼミナール 国領校」 責任者 千葉豪士さん 広報 大久保紘子さん インタビュー

個性を尊重した、少人数制の学習指導を実践/栄光ゼミナール 国領校 責任者 千葉豪士さん、広報 大久保紘子さん


「一人一人の学ぶ力を育てる」という方針の下、主に小中学生を対象として独自のカリキュラムを組み、首都圏を中心に全国に教室を展開している学習塾「栄光ゼミナール」。今回は、「栄光ゼミナール 国領校」の責任者である千葉豪士さんと、「栄光ゼミナール」の広報を担当されている大久保紘子さんに、教室や国領エリアの人や街の魅力などについてお話を伺いました。

一人一人の個性を尊重した、少人数制の学習指導

大久保さん(左)と千葉さん(右)

――まずは、「栄光ゼミナール」全体と国領校の沿革について教えてください。

大久保さん:「栄光ゼミナール」自体は1980(昭和55)年にスタートして、今年で36年目になる学習塾です。株式会社栄光のブランドのひとつとして運営しており、現在は首都圏を中心に約430校の教室があります。個別指導とグループ指導を行っており、両方を受講できるようにしています。生徒の状況に合わせて教科ごとに組み合わせて学習できるようになっています。

地域に根づいた学習塾

千葉さん:「栄光ゼミナール 国領校」は、2005(平成17)年の秋に開校して今年で11年目を迎える教室で、地域とともに歩んできた教室なので、「調布市立国領小学校」や「調布市立第二小学校」、「調布市立八雲台小学校」、南は「調布市立杉森小学校」、北は「調布市立柏野小学校」や「調布市立上ノ原小学校」と、「国領」駅を中心として東西南北に複数の小学校から集まっています。 中学校ですと、調布の「調布市立第六中学校」、「調布市立第七中学校」、「調布市立第三中学校」が比較的多いですね。自宅から近い所で安心かつ安全に通える教室として地域に根ざして運営しています。

対象学年のニーズに合わせて設計されたカリキュラム

少人数型のグループ指導の様子

――開講されているカリキュラムや授業形式は、どのようなものになりますか。

大久保さん:「栄光ゼミナール 国領校」は2年生からですが、「栄光ゼミナール」では、小学校1~3年生対象の低学年専門の講師が指導を行う「ジュニアコース」、そして4~6年生向けには「中学受験コース」と「公立中高一貫校対策コース」、将来の高校受験に備えて、勉強する習慣をつけるための「公立中進学コース」をご用意しています。

千葉さん:「公立中高一貫校対策コース」としては、国領エリアから通いやすい三鷹エリアに「東京都立三鷹高校」を母体とする「東京都立三鷹中等教育学校」がありますので、私立とは別の選択肢として都立受験もありますね。グループ指導と個別指導、それぞれに特徴があり、グループ指導は少人数型で相互通行の指導形式をとっていますので、子どもたちの考え方、答えの導き出し方を講師たちもその場で確認することができます。

個別指導では、希望の曜日で通いたい、より高いレベルの学習をしたいといった様々なニーズに合わせて、一人一人に最適なカリキュラムを組んでいます。

個別指導は一人一人に最適なカリキュラムを組む

大久保さん:二つの学習塾から大量の宿題が出てしまう話も聞きますが、弊社では、個別指導もグループ指導もありますので、その先の学習の進め方を一人一人のペースも考慮しながら指導することができます。

「栄光メソッド」の案内パンフレット

――開発されている学習サービスについて教えてください。

大久保さん:“学習内容を確認して、授業を受けて、家で復習をして次の授業に臨む”という、授業と家庭学習を連動させる「栄光ゼミナール」独自の学習システムを「栄光メソッド」とよんでいるのですが、このシステムの家庭学習の部分を担う「CATS@Home」というパソコンやiPad miniで利用できるシステムがあります。

子どもたち、そして家庭とのコミュニケーションを大切に

「子どもたちの個性を理解してあげることことを心がけています」と話す千葉さん

――日頃の指導で心がけていることは、どのようなことですか?

千葉さん:子どもたち一人一人と話すことによって、その子の個性を理解してあげることですね。その子の個性を尊重しながら、どういう接し方が本人のモチベーションを上げ、学習成果につながるかということを常に考えています。一方で保護者の方に対しては、ご家庭で見ることができない、お子さんの学びの様子や成長を保護者の方にも伝えて、橋渡しをするようにしています。

保護者とのコミュニケーションも密にとっている

――親御さんとのコミュニケーションは、どのようにとられているのでしょうか?

千葉さん:各家庭の状況をみながら、必要な時に保護者の方とは定期的な面談の場を設けております。日常的にもお電話をいただいたりしますし、タイムリーにコミュニケーションをとらせていただいています。

人の温かさが感じられる、暮らしやすい環境が魅力の街

「栄光ゼミナール 国領校」は「国領」駅から歩いてすぐ

――この街の良さや住む方の印象をお聞かせください。

千葉さん:国領は都心からアクセスしやすく通勤や通学もしやすいですし、保護者の方に接して感じるのは、何よりも温かい人柄の方が多いということですね。また、子どもたちもすごく落ち着いていながら、子どもらしさも持っている、いい子が多いです。こうしたことからも学習塾として、この地域の子どもたちのために貢献していく場にしていきたいという想いがとても強くなりましたね。

――このエリアに住むことを検討していらっしゃる方へのメッセージをお願いします。

千葉さん:国領は、住まいとしての生活面だけでなく、学習環境としてもとても落ち着いた暮らしやすい環境ですので、子育て世代の方にも安心して生活していただける地域だと思います。

大久保さん(右)と千葉さん(左)

「栄光ゼミナール」国領校

株式会社栄光 東京第5-2運営部3課 課長 千葉豪士さん
株式会社ZEホールディングス 広報部 係長 大久保紘子さん
所在地:東京都調布市国領町2-10-2 五香屋プラザビル2F
TEL:042-442-8021(受付時間:日曜日を除く、14:00~21:00)
※この情報は2016(平成28)年8月時点のものです。

個性を尊重した、少人数制の学習指導を実践/栄光ゼミナール 国領校 責任者 千葉豪士さん、広報 大久保紘子さん
所在地:東京都調布市国領町2-10-2 五香屋プラザビル2F
電話番号:042-442-8021(受付時間:日曜日を除く、14:00~21:00)

世界に羽ばたく子どもたちを育てる/Kids Duo 国領校 スクールディレクター 今泉達顕さん


子どもたちの“やる気”を何よりも大切にしている「Kids Duo」は、楽しみながら英語を習得していく学童保育・幼児教育施設です。2011(平成23)年10月に「Kids Duo 国領校」が開校。未就学児から小学生までの約120名が通う同校を訪ね、アメリカ留学を経験しているスクールディレクターの今泉さんに自身の経験を交えながらお話を伺ってきました。

英語で学び、英語で遊ぶ

「Kids Duo 国領校」今泉スクールディレクター

――まずは「Kids Duo」の概要について聞かせてください。

今泉さん:「Kids Duo」の特徴としてまず挙げられるのは、英語を学習する場を提供しているのではなく、英語で学び、英語で遊ぶ空間を提供していることです。子どもたちの興味・好奇心を刺激しながら“やる気”を促し、楽しみながら英語を習得していく学童保育・幼児教育施設が「Kids Duo」です。京王線「国領」駅から徒歩7分の距離に「Kids Duo 国領校」が開校したのは2011(平成23)年10月のことです。現在は、約120名の子どもたちが教室に通っています。地元の国領の方が多いですが、最近では評判を聞いて隣の駅などからも通っていただいております。また、このエリアは営業教育に熱心なご家族が多いので、預かるお子さんも勉強に積極的な子供が多いですね。

施設外観

――今泉さんが英語を学ぼうと思われた経緯を伺えますか?

今泉さん:私がまだ流暢に英語を話すことができなかったとき、外国人との間に無意識に見えない壁をつくっていました。それを取り除くために、大学生のころにアメリカへ留学しました。滞在期間中、英語を日常言語にしたことで、自然と相手を“外国人”ではなく自分と同じ“人間”と捉えるようなれたのは本当に良かったと思います。

子どもたちの“やる気”を引き出すカリキュラム

英語を学ぶのではなく、英語で遊ぶ

――対象生徒やカリキュラム、コースについて聞かせてください。

今泉さん:「Kids Duo」には「幼児コース」と「小学生コース」の2つのコースがあります。未就学児が対象の「幼児コース」では、子どもたちが何かを感じること、楽しむことに重きを置いて、日常の延長線上に英語があるという状況をつくっています。

一方の「小学生コース」では、音楽、ゲーム、パターンブロックなどを使って子どもたちの感性を刺激していきます。どちらのコースも共通して、子どもたちの自主性を尊重し、“やる気”を引き出すことを大事にしています。

レッスンの様子

――指導に関して、特に心がけていることはありますか?

今泉さん:「やる気スイッチグループ」の1つである「Kids Duo」は“受け入れること”“競うこと”“真似すること”“挑戦すること”“ほめること”を基本原則としながら、子どもたちには楽しんで英語と向き合ってもらいたいと思っています。そのため、私たちは子どもたちが自然とそうした気持ちになり、行動をとれるような環境作りを心がけています。

コミュニケーションを大切に

1人1人とコミュニケーションをとりながら成長を見守る

――親御さんとのコミュニケーションについてはいかがですか?

今泉さん:大切なお子さまを預かっているという意識は常に持つようにしています。教室内で子どもたちがどのように過ごしているのかは親御さんにとって気になるところですからね。定期的な連絡や保護者面談などで、子どもたちの様子をしっかりと伝えて情報共有するようにしています。

また、「Kids Duo」では、親御さんの前でその日のことを子どもが発表する「ペアレンツプレゼンテーション」があります。親御さん自身が日々の子どもの成長を確認できると同時に、子どもたちのプレゼンテーション能力の向上にもつながっていると思います。

さまざまな教材やゲームなどを用意して、子どもたちが楽しみながら英語を習得することに力を入れている

――教室に通っている子どもさんには、どのような大人になってほしいと考えていますか?

今泉さん:ぜひ、世界を舞台に活躍していってほしいですね。英語を使ってコミュニケーションを図るだけでなく、誇りを持って自国の文化を紹介できるようになってもらえたらと思います。

国領エリアの魅力

布多天神社

――最後に国領エリアの好きなところを聞かせてください。

今泉さん:住環境としては落ち着いていますし、スーパーマーケットも多いので日常の買い物に困ることはありません。それに「國領神社」や「布多天神社」、「虎狛神社」といった由緒ある神社も点在しています。また、野川や多摩川が近く、都心部ではあまり見かけない鳥もいます。新しい街のなかに、歴史も自然もあることが魅力ではないかと思います。

世界に羽ばたく子どもたちを育てる「Kids Duo 国領校」

Kids Duo 国領校

スクールディレクター 今泉達顕さん
所在地 :東京都調布市国領町1-30-3 高津ビル1F
TEL :042-482-7612
URL:http://navi.kidsduo.com/tabid/61/pdid/1310/Default.aspx
※この情報は2016(平成28)年8月時点のものです。

世界に羽ばたく子どもたちを育てる/Kids Duo 国領校 スクールディレクター 今泉達顕さん
所在地:東京都調布市国領町1-30-3 高津ビル1F
電話番号:042-482-7612
営業時間:月~金曜日 9:30~20:00

http://navi.kidsduo.com/tabid/61/pdid/13..

調布市立第二小学校 校長 齋藤秀史先生 インタビュー

相手の気持ちをおもんぱかる「やさしい気持ち」を育てる学校/調布市立第二小学校 校長 齋藤秀史先生


閑静な住宅街のなかに建つ「調布市立第二小学校」は、青々とした全面芝生の校庭を持つ創立70年を超える歴史のある学校。「“あいさつで始め、あいさつで終わる”“話している人に体を向ける”」など、一見当たり前に見える基本を身に付けることこそ、学力向上の大切な一歩、と語る齋藤校長先生に、特色のある教育活動や国領の街の魅力について話を伺った。

国領の人々に愛されて育ってきた学校

校長 齋藤秀史先生

――昨年創立70周年を迎えられた御校の概要を教えてください。

齋藤先生:1945(昭和20)年6月1日に開校した本校は、昨年(平成27年)に創立70周年の記念式典を挙行いたしました。国領は江戸時代から宿場町として栄え、その後は住宅地として人々が暮らし続けてきた歴史ある街です。なかでもこの「調布市立第二小学校」はそのコミュニティの中心を担ってきた小学校ですので、学区の自治会や地域の皆さんの強い思い入れがある、愛されて育ってきた学校だと感じています。

352名の児童が元気に通学している

齋藤先生:今年度は各学年2クラスずつ、1年生56名、2年生68名、3年生72名、4年生46名、5年生57名、6年生53名の全校児童352名が元気に通学してきています。各学年2クラスずつという小規模な学校ですので、先生方の目も行き届く温かい雰囲気の学校だと自負しています。先生全員で全校児童に目を配り、育てていける学校ですね。

――地域の方々とのつながりも強いのでしょうか?

齋藤先生:暮らしやすい環境が整っているからか、代々この地域に住まわれている方々が多く、本校の卒業生が自治会長さんや学校の評議委員をされていることが多いのが本校の特徴でもあります。卒業後も「自分たちの学校」という意識で温かく見守ってくださっているので、子どもたちにとっても嬉しい環境ですね。

記念品の花壇

齋藤先生:夏祭りやクリーン作戦、デイキャンプ、地域住民運動会、四地区合同耐寒マラソン、ニュースポーツ交流会、六地区ソフトボール大会など、ざっと挙げただけでも地域の方々と一緒に参加するイベントはたくさんあります。子どもたちにとっても、そういった機会に知り合った地域の方々に囲まれて育ち、挨拶できる間柄であることは大切なことです。

基礎を固めることで学力向上を目指す

児童が描いた絵

――『授業改善推進プラン』や『二小スタンダード』など、独自的な教育の取り組みも目立ちますね。

齋藤先生:『授業改善推進プラン』は、通常小学校の授業は1コマ45分なのですが、3年生の3学期~6年生は火曜日と金曜日の1時間目は15分を追加した60分の国語の授業を行うというものです。高学年といえども60分の授業となると集中力の継続も難しいので、追加した15分で基礎基本の学習に取り組み、残りの45分で読解などの通常の授業を行うなど、授業内でメリハリをつけて楽しく、かつ基礎学習の充実を図る内容になっています。1~3年生の2学期まではその代わりに、調布市の独自の教材『ステップアップワーク』を使った15分の朝学習を行っています。

1~3年生の2学期までは15分の朝学習を行っている

齋藤先生:また『二小スタンダード』というのは、2015(平成27)年度から取り組んできた「全学年で共通して身に付けたい学習規律」のことで、

1)あいさつで始め、あいさつで終わる
2)背すじをのばしてすわる
3)話している人に体を向ける
4)手を挙げて、指名されたら発言する
5)授業の片付けをする時に、次の授業の用意もする

という極めて当たり前の、基本的な姿勢です。今年度はより分かりやすい形になるように5つの約束に絞りこみ、1~6年生まで同じ目標に統一しました。これを各教室に貼り出し、毎授業で心がけるように先生方が指導しています。

『二小スタンダード』

齋藤先生:この当たり前のことを当たり前として身につけることで、教室全体の雰囲気が変わり勉強に対する向き合い方も変わってきます。またこれらは社会人としても大切な姿勢ですので、今のうちに身に付けて立派な大人に成長してほしいとも思います。

――日頃の教育活動において先生方が心がけていらっしゃることはありますか?

齋藤先生:本校の教育目標は「かんがえる子・がんばる子・やさしい子・けんこうな子」で、特にやさしい子という部分に重点を置いています。相手のことを大切に考え、相手がどう感じ、何を考えているかを常に意識できるような指導を行っています。日々の学び合いのなかでは、相手を認め考え方の違う友達とも折り合いをつけることが必要です。またそのことが学力向上にも大きく影響します。自分以外の人に意識が向けられるように、気持ちに余裕が持てるように、先生方は子どもたちに接しています。

子どもたちの作品が並ぶ廊下

齋藤先生:また先生方がそういった指導ができるように、私や学年主任などが先生方の気持ちを考え温かく接することも重要です。先生方がどんな思いをもって子どもたちを指導し、どんなことに悩んでいるのかをおもんぱかる、やさしい気持ちの連鎖をつなげていきたいとも考えています。

――異学年の交流も盛んだとお聞きしました。

齋藤先生:全校児童を12グループ、約30名前後のグループに分け、1年生から6年生まで全学年の子どもが全員メンバーになるように構成します。このタテワリ班は1年間を通したグループで、多い時で毎週、少ない時でも月に2回は遊ぶ時間を設けて交流しているので、全学年が本当に兄弟のように仲良くなるようですね。

異学年の交流が盛ん

齋藤先生:春は班の旗をみんなで考えて名札を作るところからはじまり、秋の全校遠足では、このたてわり班のメンバーで歩いて多摩川まで行きます。また1月には「たてわりスペシャル」として3~4時間目を遊びの時間に充て、一緒にお弁当を食べたり遊んだりする活動も実施します。兄弟がいない子どもたちでも、まるでお兄さん・お姉さん・弟・妹ができたような関係が築けていると思います。

低学年の子どもたちは、高学年のお兄さん・お姉さんが教えてくれたことをよく覚えていて、自分が大きくなった時に小さな子たちに返してあげる、そんな交流が脈々と受け継がれているようですね。

校庭を全面芝生に改修、スポーツ教育もより精力的に

全面芝生に張りかえられた校庭

――2012(平成24)年度に校庭を全面芝生にされ、毎日の子どもの様子に何か変化はありましたか?

齋藤先生:転んでも痛くないので、子どもたちは安心して走り回ったり遊んだりしているようで、実際けが自体も少なくなったと聞いています。また雨が降った後でも水たまりができにくいので、養生期間で使えない時期があると考えても子どもたちが校庭を使える時間はトータルで増えたような気がしますね。
横河電機のラグビー選手をお呼びしてのタグラグビー教室やFC東京のサッカー教室など、芝生を活かしたスポーツ教室も多く開催し、子どもたちが思いっきり体を動かせる機会も増やしています。

――スポーツ教育や文化活動にも力をいれていらっしゃいますね。

齋藤先生:東京都のオリンピック・パラリンピック教育の実施に伴い、さまざまな運動教室の実施を積極的に行っています。5月にはオリンピアンを招待して「かけっこ教室」を開催し、走ることだけでなくハードルや幅跳びのコツなども教わりました。プロバスケットチームによるバスケット教室、さきほどの話にも出たタグラグビー教室やサッカー教室なども開いています。子どもの体力低下が叫ばれるなか、いかに子どもの運動量を確保するかは学校の課題でもあります。全面芝生の環境を生かして、子どもが「スポーツは楽しい」と思えるような活動を今後も継続していきたいですね。

オリンピック・パラリンピック教育の実施に伴い、さまざまな運動教室を開催

齋藤先生:そのほか、箏教室や茶道体験、落語教室など、日本の伝統文化に触れる体験授業も取り入れ、幅の広い豊かな教育活動を心がけています。知らないことを知る、未体験のことをやってみることで、子どもの感性はどんどん広がります。

また本校では音楽発表会という、日頃の音楽学習の成果を全校児童の前で発表する行事が毎年12月に行われ、学年ごとに練習した楽曲を披露し合います。その際に、自分たちが演奏するだけでなく、地域の演奏家の方々をお呼びして本物のパフォーマンスに触れる機会もつくるようにしています。

子育てにぴったりな落ち着いた街

京王線「国領」駅

――国領の街の魅力を教えていただけますか?

齋藤先生:国領の駅前も、バスターミナルや駅ビルなどの開発もひと段落して、落ち着いてきましたね。国領はこれから発展の可能性を秘めた楽しみな街だと思います。古くからの戸建て住宅も多く、静かで落ち着いた街並みは良質な住環境だといえますね。学校の子どもたちの様子を見ても、非常に落ち着いた子どもが多いと感じるのは、この土地柄や環境とは無関係ではないと思います。PTAのお母さま、お父さまたちも非常に協力的で、教育への関心も高いです。これから子育てをする世代にとっても安心な街ではないでしょうか。

駅前には大型スーパーが何店舗も建ち並び、「南国領」バス停付近にも大型スーパーもあります。「国領」駅から「新宿」駅までは30分足らずですし、ファミリー世代にはとても住みやすい街だと思います。

校長先生

調布市立第二小学校

校長 齋藤秀史(さいとうひでぶみ)先生
所在地 :東京都調布市国領町4-19-1
TEL :042-485-1245
URL:http://members3.jcom.home.ne.jp/chofu-2sho/
※この情報は2016(平成28)年6月時点のものです。

相手の気持ちをおもんぱかる「やさしい気持ち」を育てる学校/調布市立第二小学校 校長 齋藤秀史先生
所在地:東京都調布市国領町4-19-1 
電話番号:042-485-1245
http://www.chofu-schools.jp/chofu-2sho/

調布市街づくり事業課 担当者インタビュー

京王線地下化にともなう駅前広場の再整備が完了。 今後は鉄道敷地跡の整備が進む、国領エリアの将来像とは?/調布市街づくり事業課 田中潤さん・日向基浩さん


「国領」駅周辺を含む調布市内の京王線沿線エリアでは、かねてから行われていた駅前の再開発事業が進むとともに、2012(平成24)年に地下化が完了した京王線の鉄道敷地跡の利用計画が作られ、事業に移されつつある。今後、鉄道の跡地はどのように整備され、住民の暮らしはどのように変わっていくのだろうか。その辺りについて、担当する調布市街づくり事業課の田中潤さんと日向基浩さんにお話を聞いた。

生活機能のバランスがとられた市街地形成を図る「中心市街地まちづくりプログラム」

開発の概要を説明する担当者の方

――まず、調布市の再開発の全体プランである「中心市街地まちづくりプログラム」について教えてください。

日向さん:「中心市街地まちづくりプログラム」は、中心市街地として定めている「調布」駅、「布田」駅、「国領」駅について、道路網整備や駅前広場など、駅周辺のまちづくり事業を段階的に進めていくためのプログラムとなっています。

まず「調布」駅エリアでは、駅周辺の3つの地区において再開発を行っておりまして、土地の有効・高度利用によって、商業、業務、文化、居住等の生活機能のバランスがとられた市街地形成を図っているところです。「調布」駅の駅前広場については、ロータリー整備による交通結節機能の向上や、市民が利用できる多目的な空間の創出を目標としております。また同時に、都市計画道路、生活道路整備によって、交通の円滑化や、駅周辺の回遊性の向上なども図っておりまして、より魅力ある市街地の形成を目指しております。

調布市役所

「布田」駅エリアについては、2005(平成17)年度から進められていた土地区画整理事業により、駅前広場や都市計画道路を整備し、駅前にふさわしい土地利用を図るとともに、生活道路や公園の整備を行い、市民生活の利便性の向上と、安全性の確保を目的としまして、整備を進めているところです。

「国領」駅エリアについては、駅前広場の整備、歩行者専用道路整備、車橋の架け替え、区画道路の再整備等によって、より良好な歩行者空間の確保を目指していきます。以上の3つの整備をまとめたものが、「中心市街地まちづくりプログラム」です。

市街地環境と自然環境を調和させ、街全体を繋ぐ駅前広場

駅前広場

――エリアの事業が並行して進んでいるということですが、今回は特に「国領」駅周辺についてうかがいます。まず、「国領駅周辺の街づくり」について、過去の開発経緯や、今後の方向性について、詳しく教えてください。

日向さん:「国領」駅周辺地区では、商業、住宅、業務、文化、コミュニティなどの機能を備えた魅力的な市街地環境の形成が求められている一方で、野川のような自然環境と調和した住環境も求められておりますので、そういった声を受けて、2004(平成16)年度に「緑豊かで、人にやさしく、にぎわいあふれるまち・国領」を目指した「国領駅周辺地区計画」を定め、それに沿った再開発を進めてまいりました。

その後、2005(平成17)年度までに駅の南北で市街地再開発事業が完了しまして、公共広場、区画道路及び駅前広場が新しく設置されたわけですが、京王線の地下化に伴いまして、駅前広場を南北統合するための再整備が必要になり、これを進めてまいりました。それがつい先日、2016(平成28)年の5月に完了したというところです。

今後については、駅周辺の鉄道敷地の整備をはじめ、駅周辺の歩行者専用道路の整備、駅の東側で線路と立体交差する新しい車道の整備等を予定しておりまして、将来的にはより安全で、よりゆとりのある歩行空間が、駅の周辺に形成されていくかと思います。

日向さん・田中さん

――新たに生まれ変わった国領駅前広場について、魅力やポイントを教えてください。

日向さん:一番のポイントは、「交通の結節機能が充実した」という点になるかと思います。電車を降りてバスやタクシー等に乗られる方はもちろん、一般車両の方や、福祉車両用の乗降スペースも設けておりますので、乗り換えの利便性は高まったかと思います。特にバスについては、従来は狛江通り沿いにバス停があった路線についても、すべて駅のロータリー内に停まるようになりましたので、便利になったと思います。踏切が無くなったことで渋滞も非常に緩和されましたので、定時性も高くなりました。京王線地下化にともなう駅前広場の再整備が完了。 今後は鉄道敷地跡の整備が進む、国領エリアの将来像とは? 駅前ロータリー

また、ゆとりのある歩行空間と、一定規模の広場空間も創出していますので、歩行者の方の安全性が担保されましたし、皆さんが使われるような、各種イベントのための空間も確保されています。広場空間を使ってのイベントについては、私共もあまり詳しくは申し上げられないのですが、もともと、地域の夏祭りを駅前で開催していまして、その時には毎回、南側の広場の交通を一部閉鎖して行っていたそうなのですが、今後は交通を止めること無く、ある程度の規模のイベントも開催していけるのかと思います。

――先ほどのお話の中で「歩行者専用道路」とおっしゃていましたが、これはどこに整備されるのでしょうか。また、どんなことが期待できますか?

日向さん:「国領」駅周辺の歩行者専用道路については,駅北側に計画幅員8mの「歩行者専用道路1号」を、駅南側に計画幅員6mの「歩行者専用道路2号」を、地区計画に定めています。これは駅から東側に、線路跡地の南北に沿って、100mほどの長さになります。また、その先についても、線路の下を南北に通過する道路の新設が進んでおりますので、地上の歩行空間については、安全な環境が整ってくるかと思います。

鉄道敷地跡を生かして、うるおいとやすらぎに満ちた街へ

うるおい・やすらぎエリア

――京王線の地下化により、どんなことが改善されたのでしょうか。また、今後どのようなことが期待できますか?

日向さん:2012(平成24)年8月に京王線の「柴崎」駅~「西調布」駅間の約2.8kmと相模原線の「調布」駅~「京王多摩川」駅間の約0.9kmの地下化が実現しまして、以来、交通渋滞の解消、歩行者・自転車の安全性向上、分断されていた市街地の一体化などが実現してきたかと思います。

今後は地下化によって生み出された都市空間を有効に活用し、緑道や自転車駐車場、公園などの整備が進められるわけですが、これによって地域ににぎわいや交流、やすらぎある空間を創出したいと考えております。

駅前駐輪場

――具体的に、「国領」駅付近の鉄道敷地跡にはどのような整備がなされる予定なのでしょうか。

日向さん:鉄道敷地につきましては、市民参加の形で、2002(平成14)年度ごろから議論を続けているところでして、昨年からは「鉄道敷地ミーティング」というものも開きながら、今後の鉄道敷地の整備の方針について、地元の商店街の方や、自治会さんとも意見を交換しながら、検討しているところです。

全体の整備テーマは「桜を全体に配置した四季感豊かな緑道空間」というものになっておりまして、その中で「にぎわい・交流エリア」「うるおい・やすらぎエリア」というように、枝分かれをしながら、いろいろな「ゾーニング」がなされています。「国領」駅付近については、全体が「うるおい・やすらぎエリア」にゾーニングされておりまして、それに沿った整備が進んでいくことになります。

具体的には、「国領」駅の東側、線路が地上に出るまでの間の敷地には自転車駐車場、福祉施設等が計画されております。一方、西側については鉄道敷地全体に緑道が整備される予定になっておりまして、これは「布田」駅付近まで続くものとなります。

緑道は今後10年以内ぐらいで順次整備されてまいりますので、全体が完成するのは、おそらく2023~2024年ごろになると思います。東側自転車駐車場については先行して事業が進んでおりまして、間もなく、2016(平成28)年度中に工事に入る予定です。

緑道イメージ

――後さらに利便性、住環境ともに向上しそうで、とても楽しみですね。では最後に、この「国領」エリアの魅力について、それぞれ一言頂いてもよろしいでしょうか。

田中さん:「国領」駅については、「布田」駅や「柴崎」駅付近と比べても商業施設等が整っていますし、これから緑ももっと増えてくると思いますので、特にファミリー層の方にとっては、今後さらに住みやすい街になっていくのかな、と思います。ぜひご期待いただければと思います。

日向さん:私も同じ意見なのですが、加えて言えば、もともとは南北に分かれていたロータリーが、新たな一つのロータリーになりましたので、交通結節機能は格段に向上したと思います。南北の再開発にともなって商業施設も充実していますし、新しい広場ではいろいろなイベントも開催されていくでしょうし、今後もっともっと、魅力のある街になっていくのかな、と思っています。

整備係田中潤さん(右)、日向基浩さん(左) 

調布市都市整備部 街づくり事業課

調布市都市整備部 街づくり事業課 整備係 田中潤さん(右)
調布市都市整備部 街づくり事業課 整備係 技師 日向基浩さん(左)
所在地:東京都調布市小島町2-35-1 7F
TEL:042-481-7417・7441・7445・7456・7530
URL:http://www.city.chofu.tokyo.jp/www/job/1000000000075/
※この情報は2016(平成28)年6月時点のものです。

京王線地下化にともなう駅前広場の再整備が完了。 今後は鉄道敷地跡の整備が進む、国領エリアの将来像とは?/調布市街づくり事業課 田中潤さん・日向基浩さん
所在地:東京都調布市小島町2-35-1 
電話番号:042-481-7111
開庁時間:8:30~17:15 ※第2土曜日と第4日曜日の9:00~13:00に一部窓口を開庁
閉庁日:土・日曜日、祝日、年末年始
https://www.city.chofu.tokyo.jp/www/topp..

国領商盛会 会長 相田英俊さん 副会長 奥田亮一さん インタビュー

再開発を経て「いま、追い風が吹いている!」国領のまちの魅力/国領商盛会 会長 相田英俊さん、副会長 奥田亮一さん


京王線の地下化に伴い2012(平成24)年8月に地下駅へと切り替わった「国領」駅。新宿まで約30分でアクセスできる利便性と、再開発に伴い駅前に誕生した「ココスクエア」「コクティー」ふたつの複合商業施設、野川や多摩川沿いに足を伸ばせば豊かな自然環境がひろがり、都会と田舎とが共存した魅力的な生活環境がひろがっています。今回は「国領商盛会」の会長として4年目を迎える「相田文具店」店主の相田英俊さんと30年にわたって地域を見守ってきた副会長の奥田亮一さんに、商店会の概要と国領の変遷、また街の魅力についてお話を伺いました。

東西南北に広がる国領で唯一の商店会「国領商盛会」

「こくりょうお散歩map」

――まず、「国領商盛会」の概要について教えてください。

相田さん: 「国領商盛会(こくりょうしょうせいかい)」は「国領」駅を中心に、飲食店やサービス業など87店舗によって組織されている国領で唯一の商店会です。昨年、調布市が市制60周年を迎えましたが、「国領商盛会」はその前年に発足したと聞いており、今年で62年目を迎える歴史のある商店会です。

商店会の特徴としては、駅を中心に東西南北に広がっていて、線路の北側、南側とに分かれることなくひとつの商店会としてまとまっています。「国領」駅の地下化を記念して作成した「こくりょうお散歩map」(HP参照)をご覧いただくと分かりやすいのですが、駅前から約800m続く狛江通り沿いの商店を中心に、広い範囲に会員店舗が点在しているため、商店をめぐりながら町を散歩するのにもぴったりです。

老舗和菓子店「亀乃子本舗(かめのこほんぽ)」

会員店舗のなかには1948(昭和23)年創業の3代続く和菓子店「亀乃子本舗(かめのこほんぽ)」や行列のできるラーメン店として知られる「熊王」、自家焙煎コーヒーの「Café des Art Pico(カフェ・デザールピコ)」や無添加のパンを提供している「やさしいパンのお店 PINO(ピノ)」など、近年あたらしく出店するお店も増えてきています。

夏と冬の年2回開催される「国領商盛会」の大売出し抽選会

――「国領商盛会」が主体となって取り組むイベントにはどのようなものがありますか?

相田さん: 「国領商盛会」が主催するイベントのひとつに、毎年7月中旬に開催される「サマーフェスティバルin国領」があります。「国領」駅前のロータリーを中心に2日間で約2万人が訪れる地域のイベントで、盆踊り大会をはじめ、ヒーローショーやサンバパレード、よさこい、地元中学校の吹奏楽部によるブラスバンド演奏などが行われます。

「サマーフェスティバルin国領」の会場ともなる「国領」駅前ロータリー

また6月末から約2週間にわたって実施される「夏まつり抽選会」も恒例で、総数30,000本、空くじ無しのビックイベントです。賞品は参加店で自由に使える4等20円から最高額10,000円までの商品券で、「自由に使えて嬉しい♪」とご好評をいただいています。

「国領商盛会」が実施する抽選会は夏と冬の年2回あり、「X’masフェスティバルin国領」と称した歳末大売出し抽選会にもぜひご参加ください。イベントの詳細や開催期日については、「国領商盛会」のHPでも随時更新しています。

2016(平成28)年度の「サマーフェスティバルin国領」は7月16日(土)、17日(日)を予定していて、昨年までは駅前ロータリーで実施していましたが、今年は5月末に完成するロータリー北側の広場に会場を変更して実施いたします。

調布市のなかでもっとも人口集積の高いエリア

駅前からのびる狛江通り

――国領の街の特徴や歴史的な背景についても教えてください。

奥田さん: 国領は現在、調布市のなかでも人口集積の高い地域で、駅を中心に半径約1kmの円を描いた市街地で見ると調布市全体の人口約227,000人のうち24%を占める約54,000人もの人が生活しています。人口の伸び率で見ても、2000/2012年度比で、調布市で約111.5%に対して115.1%と高く、仙川とならんで高水準です。また「国領」駅を利用する乗降人員も年々増加を続け、2000/2011年度比で約125%増え、2014(平成26)年度には京王線の各駅停車のみが停車する駅では最も乗降人員が多い39,046人となっているようです。

国領はもともと江戸時代に甲州街道の布田五宿としてはじまり、1938(昭和13)年に軍需工場として東京重機という企業が進出すると最盛期には4,000人を超える従業員とその家族が移り住み、宿舎も数多く建てられ企業城下町として栄えた背景があります。

都営くすのきアパート

戦後そして高度成長期になると、他の地域と同じように人口増加とそれに伴うインフラの整備が進み、1977(昭和52)年に入居がはじまった都営くすのきアパートをはじめ、金子団地や多摩川住宅など都営アパートが数多くある住宅地として発展し現在に至ります。

商店会の会員店舗も多いときは130軒を超えていたようで、狛江通りも拡幅されるまでは道の両側に商店が連なるいわゆる商店街としての賑わいにあふれていました。

選択肢が増えて便利になったお買い物事情

「国領」駅前に誕生した複合施設「ココスクエア」

――駅前の整備や再開発により、地域はどのように変わりましたか?

奥田さん:大型店の出店や駅前再開発に伴い商店街を取り巻く環境も大きく変わってきています。

まず南口においては国領駅南地区第一種市街地再開発事業が2002(平成14)年に完了し「ココスクエア」が誕生しました。「ココスクエア」には核店舗となる「マルエツ 国領店」をはじめ、飲食店やサービス業、クリニックなど20を超えるテナントと「調布市子ども家庭支援センターすこやか」、調布市の市営駐車場と住宅が併設した16階建ての複合施設になりました。

また北口では国領駅北地区第一種市街地再開発事業により、2005(平成17)年に地上34階建ての高層ビル「コクティー」が誕生しました。1、2階の「西友 国領店」を中心に、飲食店やクリニックがあるほか、「調布市市民プラザあくろす市民活動支援センター」や「調布市男女共同参画推進センター」、調布市とハローワークが連携して運営する「調布国領しごと情報広場」など行政の窓口が揃っているのも特徴です。

再開発事業の進む「国領」駅前

相田さん: 普段の生活という視点で見ると、再開発により2000(平成12)年「マルエツ 国領店」、2004(平成16)年に「西友 国領店」が駅前に誕生し、2004(平成16)年には郊外にも大型店の「イトーヨーカドー 国領店」が出店したことで、選択肢も増え特に買い物は便利になったと思います。

街を散歩しながら“映画のまち調布”を感じる

“映画のまち”調布

――「国領」の町の魅力とは? お気に入りのスポットはありますか?

相田さん: 調布市が“映画のまち調布”としてまちおこしに取り組んでいるのはご存知かと思いますが、国領には「日活調布撮影所」があり、小道具の制作で有名な高津装飾美術株式会社をはじめとした映画・映像関連の会社も数多くあります。

「調布」駅のほうに移転した「石原プロ」の事務所も1991(平成3)年までは国領にありましたし、子どもの頃に大きなロケバスが止まっているのを見てはワクワクした記憶があります。「国領」駅から徒歩5分ほどの場所にある高津装飾美術株式会社には、一般の人でも見学(有料)できる「芸能美術文庫PAL」というギャラリーもあり、映画やテレビなどで実際に使われた貴重な小道具を見ることが出来ます。

春は野川の桜を眺めながらの散歩がおすすめ

散歩コースにおすすめの「野川」

――プライベートでよく出かけるスポットはありますか?

相田さん: 「国領」駅から調布警察署に向かって10分ほど歩くと、多摩川の支流の「野川」が流れています。川沿いに散策路が整備されているのですが、春になると桜や菜の花、たんぽぽが咲き誇り、散歩コースにおすすめです。

奥田さん: それと国領の近くには多摩川が流れているのも魅力のひとつで、駅から歩いて20分ほどで多摩川に辿り着きます。「国領商盛会」のお店をめぐりながら「日活調布撮影所」のあたりまで足を伸ばし、天気の良い日には多摩川から富士山も見えるおすすめの散歩コースです。「国領商盛会」のHPには、「こくりょうお散歩map」と一緒に見どころをまとめた街の紹介ページもあるので、ぜひ見てみてください。

再開発を経て「いま、国領には追い風が吹いている!」

ますますの発展に期待がかかる「国領」駅

――最後に、「国領商盛会」の今後の展望についてお聞かせください。

相田さん: 再開発を経て「いま、国領には追い風が吹いている!」と実感しています。最盛期と比べれば店舗数も減少し、お店の建て替えや後継者の問題など他の地域の商店会と同じく課題は多くありますが、先代の会長やまちの先輩方によって進められてきた再開発がいまようやく終わろうとしていて、商店会としても“賑わいのある街”を目指して取り組みを進めて参ります。

一ヵ所で何でも揃う郊外型の大型商業施設と対抗、共存しながら、商店会としては何ができるのか。駅前の立地を生かしたお店づくりと、個店の魅力を発揮することで次世代へと続く商店会のあり方を検討しているところです。あらたに国領にお店を開いてくれた商店に対しては、「国領商盛会」のHPやチラシなどで積極的に紹介させていただいており、商店会としても「せっかく国領にお店を開いてくれたんだから、後悔の残ることが無いように」とできる限りのサポートをしたいと思っています。

「国領商盛会」のHPには日活芸術学院(現・城西国際大学メディア学部・映像芸術コース)と調布市とのタイアップ企画で制作した商店会のPR動画もあるので、ぜひご覧ください。

会長の相田英俊様と副会長の奥田亮一様

国領商盛会

会長 相田英俊様(相田文具店)
副会長 奥田亮一様
所在地:調布市国領町3-1-38
TEL:042-441-1821(事務局)
URL:http://chofu-kokuryo.net/
※この情報は2016(平成28)年4月時点のものです。

再開発を経て「いま、追い風が吹いている!」国領のまちの魅力/国領商盛会 会長 相田英俊さん、副会長 奥田亮一さん
所在地:東京都調布市国領町3-1-38 
電話番号:042-441-1821(事務所)
http://chofu-kokuryo.net/

「honey drop」 とさかりえさん インタビュー

手づくりの楽しさを伝えるアットホームなパン・お菓子教室/honey drop とさかりえさん


緑豊かな住宅街にあるパン・お菓子教室「honey drop」。遠方から通ってくるリピーターもいるほど、京王線沿線でも高い人気を集めている教室だ。自宅キッチンを開放して手づくりの楽しさを教えているのは、元保育士・幼稚園教諭という経歴を持つとさかりえさん。その明るい人柄から、友人の家に招かれているような気分でレッスンを受けられるのは、この教室の大きな魅力のひとつだろう。とある日のパンレッスンにお邪魔して、とさかさんが教室を始めたいきさつや国領の魅力について伺った。

大好きなパン・お菓子づくりで地域に関わりたい

丁寧にパンの作り方を教えるとさかさん

――国領で教室を開かれたきっかけを教えてください。

とさかさん:私は元保育士と幼稚園教諭をしていましたが、出産後、自宅にいながらできることを探していて、大好きなパン・お菓子作りが仕事につながればいいなと思ったのがきっかけです。

また、ここには10年前に上の子が幼稚園に入園するタイミングで越してきたので、当時は地域のことが何もわからない状態。自宅で教室を開けば、地域の方と関わることができて視野も広がるのではと思いました。それと、最初は小さなお子さんがいるお母さんを対象にしていたんですが、自分が子育て中だったということもあって、お母さんたちの癒しの場になればというのも教室を開いた理由のひとつです。

――レッスンの種類と内容を教えてください

とさかさん:大人向けは、お菓子レッスン・パンレッスン・外部の先生による特別レッスンがあります。お菓子レッスンは2種類のお菓子を作った後、私が用意したランチを食べて終了します。最大3名までの少人数レッスンなので、わからないところは細かく聞いてもらえます。パンレッスンは最大4名までで、あらかじめ用意した生地を使って2種類のパンを作ります。その月によって、ふわっとしたパン、ハード系のパン、どちらも作っています。試食には私が作ったパンをお出しして、みなさんが作ったパンはお土産にしていただきます。最後に捏ねた生地もお持ち帰りいただくので、ご自宅で復習をしてもらえます。特別レッスンは圧力鍋を使った料理など、テーマを設けて年に数回開いています。

少人数でアットホームなレッスン

とさかさん:子ども向けは、パンレッスン・お菓子レッスンがあります。パンレッスンはお母さんと離れていても大丈夫な子が対象で、小学校中学年ぐらいまでのお子さんが来ていますが、指導するというより、自由に作ってもらっていますね。ちょっとした料理やデザートも一緒に作って、みんなでわいわい食べて終了します。結構楽しんでもらっていて、リピーターが多いです。

それに比べて、お菓子レッスンはきちんと習いたい子向けなので、小学校中学年から中学生ぐらいまでの女の子が多いです。なかには小学校お菓子コンクールに向けて頑張っているお子さんもいたりして、パンレッスンとは全然雰囲気が違います。

和やかに、時には集中して、レッスンは進む

とさかさん:どのコースも、基本は平日と土曜開催です。すべて単発なので、習いたいものを選んで参加できます。このほか、春休みや夏休みにリクエストに応じて親子レッスンもしています。

生徒さんは近場だと国領だけでなく、柴崎や狛江市方面からもいらっしゃいます。柴崎からだと、自転車で来られたりもしますね。基本的には京王線沿いの方が多くて、飛田給や世田谷区、三鷹市あたりからもいらっしゃいますね。

自宅で手軽に作れる基本的なレシピを紹介

目で見て楽しめる手作りパン

――レシピの特徴やこだわりのポイントについて教えてください

とさかさん:大人のパンレッスンでは、通常よりかなり少ない量のイーストを使っています。そうすると、発酵時間はかかるんですが、かえって時間の調節ができるんです。例えば、夜に生地を捏ねて1晩低温発酵させておけば、翌朝にパンが焼ける。あるいは朝捏ねて、お仕事から帰ってきてからパンを焼くこともできます。小さいお子さんがいる方は、空いた時間に生地を捏ねて、温度を調節しながら発酵させ、自分の好きな時間にパンが焼けます。時間に余裕がないとパン作りができないわけじゃないんです。

的確なアドバイスを受けて実践していく

とさかさん:こだわりとしては、ぱぱっと簡単に作れるレシピ、基本的なレシピをご紹介しています。この教室は専門的な技術を学びたいという方ではなく、基本的なことが知りたいという方向けなので、アレンジしたレシピから入ってもらうのはふさわしくありません。例えば、大人のお菓子クラスであれば、パウンドなら本当に基本のパウンドケーキをレッスンして、+αのもう一品でさらに簡単に作れるようなレシピ、フードプロセッサーで混ぜるだけのクッキーや冷やして固めるだけのプリンとかをご紹介しています。

――教室を開催するうえで心がけていることはありますか?

とさかさん:大人の生徒さんは、何かひとつでもためになることを持ち帰っていただければと思います。ですから、パン作りなら作り方だけでなく、発酵の仕組みや粉の種類など科学的な話も交えてレッスンしています。料理とかお菓子作りって、本を見てもなかなかうまくいかないことがよくありますよね。そんな方が見逃しているようなポイントをお伝えするので、みなさん「ああ、こうすればよかったのか」と納得して帰られます。

パンを通して出会いが広がっていく

とさかさん:子どもクラスでは、とにかく安全面と衛生面に気を使っています。それと、小さいお子さんはお母さんと離れて知らない環境に来るので、まずはその不安を消してあげて、「パン作りって楽しいんだ」と思ってもらえるように心がけています。子どもたちだけでレッスンするのには、大人に気兼ねせずリラックスしてもらいたいという意味もあるんです。

子どもたちは、お母さんに見られている時とそうでない時とではモチベーションが全然違う。子どもたちだけの環境だと、すぐに打ち解けて盛り上がったりします。特にパンレッスンは教えるというより、楽しい場を作るというのが目的。食育は楽しみながらでもできると思っています。

素敵な出会いがたくさんある街に暮らす

整備された「国領」駅のロータリー

――国領駅前の再開発でどのように便利になりましたか?

とさかさん:駅舎が新しくきれいになって、狛江方面から来るバスのバス停がとても近くなりました。それと、線路の地下化で踏切がなくなったので、渋滞が解消されてすごく便利になりましたね。

それまでは踏切の向こう側へ行くのが本当に億劫だったんですが、狛江方面へ出やすくなったし、二子玉川もすごく近くなりました。川崎インターへも行きやすくなり、ちょっとしたお出かけでも、利便性がぐんとよくなりました。

――地元でお気に入りのお店やスポットを教えてください

とさかさん:自宅の裏にすぐ野川が流れているんですが、年に1度、桜の季節に川沿いの桜並木がライトアップされてすごくきれいですよ。地元の照明会社さんが始めたんですが、地域の人たちもボランティアで協力したりして、今ではこの辺りの一大イベントとしてすっかり有名になりました。
お店なら、「Don Bravo」というイタリアンがおススメ。どのメニューもおいしいし、店内の雰囲気も素敵なんです。それから、旧甲州街道沿いにある鳥肉専門店「鳥文」さんもよく利用します。精肉から焼き鳥まで、種類がたくさんあります。

人気の「Don Bravo」

――休日はどんなところにお出掛けされますか?

とさかさん:柴崎の手紙舎にはよく行きます。本店はつつじヶ丘にあって、柴崎には雑貨とカフェの「手紙舎 2nd STORY」と「本とコーヒーtegamisha」があります。地域密着の大がかりなイベントもされていますが、お店はこじんまりと可愛いらしいです。

「手紙舎 つつじヶ丘本店」

それから、調布の子育てカフェ「aona (アオナ)」は、身体にやさしいランチを提供していておいしいです。親子でも、そうでなくても利用できます。木造の店内は雰囲気がよくて、ジャムやドライフード、作家さんの陶器や洋服も売っています。

――国領に住みたいという方へメッセージをお願いします。

honey dropの看板

とさかさん:国領は緑が多く静かで、子育てにはすごくいい環境です。野川があるし、もっと先には深大寺や山もあって、ちょっとした田舎みたいです。住宅街には大きな道路も少ないですし、小さな公園がたくさんあって子どもを遊ばせる施設がたくさんあります。小学校も本当にのどかですよ。

それに土地柄もいいです。今日のレッスンも10年来のお付き合いがあるお友達が集まってくれましたが、環境が人を呼ぶのか、穏やかな人が多いですね。田舎過ぎるとよそから来た人はシャットアウトされてしまうでしょうし、都心過ぎるとお隣が誰だかわからないほど疎遠になってしまう。ここは田舎と都会の中間ぐらいで、外に出れば出るだけ、出会いがあるような街だと思います。

honey drop とさかさん

honey drop

代表 とさかりえさん
所在地 :東京都調布市佐須町
URL:http://cookingschool.jp/school/honeydrop
※この情報は2016(平成28)年4月時点のものです。

「Don Bravo」オーナーシェフ 平雅一さん インタビュー

街とともに月日を重ねることの喜び/Don Bravo オーナーシェフ 平雅一さん


2012(平成24)年6月のオープン以来、地元という枠をこえ、着実に知名度を高めてきた「Don Bravo(ドンブラボー)」。他店では味わえない時間と料理を求め、遠方から訪ねてくる人も多い。都心ではなく郊外で出店した理由、料理、そしてサービスに関する方向性についてオーナーの平雅一さんにお話を伺った。

ふるさとで開いた“地元”で親しまれるお店

「Don Bravo」オーナーシェフの平雅一さん

――2012(平成24)年6月にオープンする際に、国領エリアを選ばれた理由を教えてください。

平さん:当初は23区内で物件を探していましたが、その過程で、自分の理想を追求するためにはわざわざ都心で店を出すことにあまりメリットがないな、と思ったことが一つのきっかけですね。国領エリアは、私が中学生まで暮らしていた街であり、ここで父が鉄板焼の店を経営していた縁もあって、この場所で出店することを決めました。

都心を離れて郊外に店を構える

――お客さんにはどのような方が多いのでしょうか。

平さん:以前は近くに大きな会社があった関係で、ランチタイムはそこに勤める方の食堂代わりにもなっていました。その会社が別の場所に移転したことで、同じ時間帯でも、今は子育て世代の女性が多くなりましたね。全体的には地元の方が多いですが、電車で5駅くらい離れた場所に住んでいらっしゃる方にも、少し離れた“地元”として利用していただいています。

こだわりを大切に、質の高いサービスを目指して

見た目も美味しいアナゴフリット

――お料理に関して、こだわっていることを教えてください。

平さん:イタリア料理は“瞬間芸”に近いと感じることがあります。イタリア料理に限らず、出来立てが一番美味しいというのは当たり前ですが、それでもイタリア料理は、その要素が特に強いのではないかと思います。その意味で、全てにおいてスピード感を大切にしています。

メニューについては、食べ歩きを通じて印象的に感じたものを落とし込むようにしています。定期的に変えるというのではなく、良い食材を見つけたり、新しい調理法と出会ったりすれば、それをすぐメニューに反映させるようにしています。

アレンジを加えた南イタリアのデザート・カッサータ

――サービス面についてはいかがですか?

平さん:国領エリアでは珍しいスタイルですが、ディナータイムは、フロアに出るスタッフはスーツを着用しています。都心では珍しくない光景でも、ここでやればそれが特徴になるんです。当初は、お客さんの意外そうな眼差しを感じていましたが、店内のイメージと合致してきたからか、今では違和感を覚える方はいないと思います。

雰囲気がガラリと変わる夜の店舗

――これからの展望について聞かせてください。

平さん:理想を言えば、席数を減らし、料理もサービスもさらに質を高められたらなと思っています。そうなると対応できるお客さんの人数が減ることになりますから、その受皿にもなるピッツァやパスタを中心としたカジュアルな店も出したいですね。食事をするために都心を目指すというのではなく、都心から食べに来てもらえるレストランを目指しています。

オリジナル生地のピッツァ

愛着を深めた街を起点に都心を楽しむ

――休日は、どのように過ごされることが多いですか?

平さん:ジャンルにとらわれず、気になっているレストランを訪ねるようにしています。勉強のためということが第一ですが、私の楽しみでもありますから(笑)。訪ねる店を決めてから、その周辺で用事を済ませるというのが一番多い休日の過ごし方ですかね。

憩いの場として親しまれる「野川」

――国領エリアで気に入っているポイントを教えてください。

平さん:都心にアクセスしやすい場所でありながら静かで落ち着いている、ということですね。家の近所には野川の流れがあり、春になれば菜の花が楽しめるなど自然が身近というのも魅力だと思います。正直なところを言えば、そこまで強い思い入れのあった街ではないのですが、職場と住まいを持ったことで愛着を深めたことは事実です。これまでの魅力を失わず、街が発展していくことを願っています。

オーナーシェフ 平雅一さん

Don Bravo

オーナーシェフ 平 雅一さん
所在地:東京都調布市国領町3-6-43
TEL:042-482-7378
URL:http://www.donbravo.net/
※この情報は2016(平成28)年4月時点のものです。

街とともに月日を重ねることの喜び/Don Bravo オーナーシェフ 平雅一さん
所在地:東京都調布市国領町3-6-43 
電話番号:042-482-7378
営業時間:12:00~15:00(L.O.14:00) 、18:00~23:00(L.O.22:00)
定休日:水・木曜日
https://www.donbravo.net