より暮らしやすい街へと発進!「八千代台まちづくりプロジェクト」
日本の住宅団地発祥の場所という歴史を持つ八千代台エリア。古くからの自治会活動が盛んなだけでなく、最近では地元愛にあふれた若者のボランティアグループが駅前の清掃活動に取り組むなど、市民活動が熱心な土地柄だ。そんな八千代台で、2016(平成28)年6月に立ち上がったのが地域の活性化を目指す「八千代台まちづくりプロジェクト」。産官学民の連携により、住民が主体の持続可能なまちづくりに取り組んでいる。プロジェクトの推進メンバーから、プロジェクトへの想いや活動内容、八千代台の魅力について伺った。
地域活性化と経済振興の両輪で持続可能な街を作る
――どのような経緯でプロジェクトを立ち上げたのですか?
齊藤さん:八千代台は日本の住宅団地発祥の地で、開発から60年が過ぎましたが、街の活気を取り戻そうと、八千代台地区の自治会連合会の有志たちで再建検討委員会を作って、市政への働きかけをしてきました。ちょうど市の都市計画課でも、京成線沿線の再開発を進めることになり、今年6月に市民、商業者、行政合同で立ち上げたのが「八千代台まちづくり協議会」です。併行して「八千代市まち・ひと・しごと総合戦略」の下で地方創生加速化交付金の交付を受け、この協議会を母体に、専門家にも加わってもらい、実際にまちづくりを進める推進役として設立されたのが「八千代台まちづくりプロジェクト」です。
木内さん:東葉高速線の開通で市全体の人口は伸びていますが、八千代台や勝田台など住宅団地として開発されてきたエリアでは高齢化も進んでいます。市としては最初に開発された八千代台を既成市街地の今後のまちづくりのモデルケースにできるのではという考えもあり、住民主体の取組みで地域活性化を図れないかと考えました。もともと八千代台は、京成電鉄グループのユアエルムが立地されていて、商業地としても発展してきた街です。現在も京成線の特急が停車し、駅の両側には京成バスも走っています。そうした商業地としてのポテンシャルを再認識し、地域活性化と商業活性化を同時に進めることによって今まで以上に、住みやすい街を作っていこうというのがプロジェクト設置の狙いです。
――プロジェクトの構成メンバーにはどんな方がいらっしゃるのでしょう?
齊藤さん:まちづくり協議会には、八千代台地区全30自治会を含めて八千代台のほとんどの住民団体の代表が参加していますが、プロジェクトはこれをコンパクトにした形です。メンバーは、「日本大学理工学部まちづくり工学科」の岡田智秀教授を委員長に、自治会や商工会議所、各団体の代表、語学教室の経営者などの商業者、金融機関、八千代市の都市整備部と産業活力部の各部長など、有識者ら20人の委員と事務局で構成されています。
木内さん:継続した取組みにしていけるよう、商業者メンバーは30~40代の若手にも入ってもらいました。市側は、都市基盤の整備という従来のまちづくりに留まるだけでなく、観光と産業についても検討できるように複数の部が加わっています。また、プロジェクトを円滑に運営していけるように、会長をはじめ現役で活躍されている自治会長を事務局側に配置されています。キーポイントとなるのが、熊谷さんにお願いした“タウンマネージャー”の役割です。熊谷さんはこれまで全国の商店街の活性化に関わってきた方であり、地域にしがらみがない客観的な視点で、総合的なプロモーションや個々の取組み・人材のつなぎ役などをお願いしています。
――「八千代台まちづくりプロジェクト」ならではの特長はどのような点でしょうか?
木内さん:全国的に事例のある中心市街地活性化では、商業者が事業の主体であるケースが多く、売上が見込まれれば事業がスタートし再開発の工事等が完成すれば事業も終わってしまうため実際の取り組みはその後となり、経営者などの活動内容に大きく左右されてしまう。しかし、このプロジェクトは、住民側と商業側双方がタッグを組み、それぞれの立場で地域の活性化を考え、将来を見据えて継続的に取り組んでいこうというものです。行政は、制度を整えていくなど、行政にしかできない部分でバックアップできればと考えています。
まずは現在の住民が満足するまちに
――プロジェクト設立から今日までの活動内容を教えてください
齊藤さん:プロジェクトは、住民部会・商業部会・まち分析部会という3つの部会ごとに活動しています。住民部会は、岡田先生とゼミの学生さんの協力の下、月1回のペースでワークショップやまち歩きを行い、八千代台の魅力や課題を発掘・整理しています。八千代台に住んでいる方なら、誰でも参加できます。今は6回のワークショップを終えたところで、今後はこれまで検討してきた魅力や課題をふまえて、将来どんな街にしていくのかというビジョンを策定していきます。
熊谷さん:商業部会では月1ペースで商業者が集まり、街を盛り上げていくためのイベントや事業など、地域経済活性化のためにやりたいこと・できることを挙げてもらって事業化に向けた検討を行っています。また、まち分析部会では、人口や土地利用、公共施設、歩行者通行量など市が持っているデータから、まちづくりに役立つ地域データを調査・分析しています。市のデータだけではわからない主観的ニーズについては、子育て世代を対象に、住環境の満足度、通勤地、普段の買い物先といった内容の住民アンケートを実施し、今はそれを分析している最中です。
「BOOK STREET 秋の本祭り」を皮切りに空き店舗を活用したリノベーション事業を展開
――計画中の活動や今後の展望についてはいかがですか?
齊藤さん:住民部会の集まりは夜なので、現状子育て世代はなかなか参加できません。そこで、もっと多くの住民にプロジェクトの活動を知ってもらい、まちづくりについての意見を集めようと、11月6日(日)にワークショップや交流会を通してまちづくりについて考える、「未来会議」を開きます。会議では、まちづくりの映画を上映、住民部会と商業部会で上がってきた意見や事業を集約し、来年2月に東口商店会のエポラ通りで行う住民イベントの企画も行う予定です。
八千代台には東西南北の4つの地区があり、西地区の「やちにしマルシェ」など、既存のイベントもたくさんあります。そこで、プロジェクトがイベントを企画するだけでなく、そうした既存イベントを支援し活かしながら、地域全体が盛り上がっていければいいなと思っています。
木内さん:プロジェクトの活動情報を載せたチラシを全世帯に配布しており、ここに広告を無料で掲載するなど、既存イベントの周知活動に協力しています。他団体と協力していく形でのプロジェクトなので、未来会議についても、いろいろな団体・人材に参加を呼び掛けています。
熊谷さん:商業部会では近く、地域のフリーペーパーを作ることを検討しています。また、今年の11月27日(日)に初めて開催するイベントが、駅西口の北本通りが会場となる「BOOK STREET 秋の本祭り」です。当日は北本通りを歩行者天国にし、通りとすべての既存店で本を展示します。八千代台で最初にできた商店街である北本通りは、図書館、学校や公民館などの文化・教育施設があることから、住民部会で「八千代台の文教地区だね」という意見が出ました。一方、商業部会では空き店舗を活用して街全体のイメージを一新させていくリノベーション事業を計画していますが、そのとっかかりとして、文化をコンセプトにしたイベントを開いたら面白いのではということになりました。そこで、北本通りの「本」から発想し、こうしたイベントを企画しました。
齊藤さん:今後は3部会の活動をふまえ、短期・中期・長期のアクションプランを策定していきます。交付金を使ってのプロジェクトは今年度で終了しますが、活動そのものはまちづくり協議会が主体となって続けていく予定です。
潤いある環境と利便性を持ち合わせた暮らしやすい街
――八千代台エリアの魅力はどんなところだと思われますか?
齊藤さん:緑や公園が多いだけでなく、一戸ずつの敷地が広いので、庭木などで街全体がしっとりしています。また、自治会活動をしてみて実感したことですが、良識のある住民が多いですね。今は近隣住民のコミュニケーションが少なくなったといわれていますが、この地域ではそういったことはあまり感じられません。都内へも出やすく、地盤がしっかりしているので安心して暮らせます。
木内さん:買い物がしやすく、病院がたくさんあり、小学校も地区ごとに配置されているなど、暮らしやすい地域です。
――これから八千代台エリアに住まわれる方にメッセージをお願いします!
木内さん:八千代台の駅前がきれいな一つの理由としては、毎週日曜日の朝「YACHIROCK(ヤチロック)」という30~40代の子育て世帯を中心としたグループが清掃してくれているからです。自主的にボランティア活動をしているグループがいるのは、八千代台のポテンシャルの高さ。彼らは西口ロータリーでの夏祭りを復活させたいと、署名活動も行っているようです。こんな風に八千代台が好きで活動をしている若い人たちがいる街は、新しく来られる方にも住みやすいと思ってもらえるのではないでしょうか。
八千代台まちづくりプロジェクト
事務局長、八千代台自治会会長 齊藤充弘 さん(写真右)
タウンマネージャー 熊谷慎一 さん(写真左)
八千代市 都市整備部 都市計画課 木内寛之さん
所在地:千葉県八千代市八千代台北1-12(八千代台自治会事務所内)
URL:http://yachiyodai-machi-project.com/
※この情報は2016(平成28)年10月時点のものです。
より暮らしやすい街へと発進!「八千代台まちづくりプロジェクト」
所在地:千葉県八千代市八千代台北1-12(八千代台自治会事務所内)
電話番号:070-3824-8930
http://yachiyodai-machi-project.com/