東京都世田谷区コラム
世田谷区深沢七丁目は東急田園都市線「桜新町」駅の南側、東急大井町線の「等々力」駅の北側に広がる、大正時代以降に開発された歴史ある邸宅街だ。周辺には大規模公園やグルメの名店に恵まれ、二子玉川や自由が丘などのショッピングタウンに近いことから、根強い人気を誇る。
日本で最初の宅地開発「新町分譲地」
深沢七丁目にある「東京都立園芸高等学校」付近には、戦国時代に「兎々呂(深沢)城」が築城され、周辺エリアを含めた拠点として機能していたという。「深沢神社」もこの城ができたころに「三嶋大社」から勧請されたものだそうだ。
1907(明治40)年に玉川電気鉄道(現・東急田園都市線)が開通し、「新町」停留所(現・「桜新町」駅)が開設されると、交通の利便性が高まった今の深沢七丁目では、宅地の開発が行われるようになる。1912(大正元)年から造成が始まったこの新しい住宅地は、1913(大正2)年から「新町分譲地」として分譲され、日本初の宅地開発として注目された。「新町分譲地」の中心となる街路には約1000本の桜が植樹されたことから「桜新町」と呼ばれるようになり、「東京の軽井沢」と呼ばれ人気を集めたという。開発から100年以上を経た現在は桜は大きく成長し、世田谷らしい落ち着いた街並みが広がる邸宅街としてその人気が衰えることはない。
30年に及ぶ耕地整理で邸宅街として発展を遂げた周辺エリア
現在の中町周辺でも、大正末期から昭和にかけて耕地整理が行われた。この耕地整理は第2次世界大戦など困難を経験しながらも、1954(昭和29)年に完了。のちの邸宅街の礎となっている。等々力三丁目にある「玉川神社」には耕地整理を推進した当時の村長を顕彰する「豊田正冶翁頌徳碑」が建てられている。
都心方面へ快適アクセス、バス路線も充実
深沢七丁目は交通の利便性に恵まれていることも人気が続く理由だろう。深沢七丁目の最寄りとなる「桜新町」駅から東急田園都市線に乗れば「渋谷」駅へまではわずか約9分。ショッピング施設が集まる「二子玉川」駅にも約4分だ。東急田園都市線は大部分の電車が東京メトロ半蔵門線に直通するため、「表参道」駅や「大手町」駅などに乗り換えなしで移動できる。バス路線にも恵まれており、「日本体育大学前」停留所からは「目黒」駅や「恵比寿」駅に向かうバスが走る。運行本数も多く、目的地によってはバスを使うと便利だ。
周辺には、国道246号や環八通り、駒沢通り、目黒通りなど幹線道路が多く、カーアクセスにも恵まれている。環八通りを走れば、東名高速道路の「東京」ICや首都高速の「用賀」出入口、第三京浜の「玉川」ICがあり、都心方面や神奈川方面へのドライブも快適だ。
人気のショッピングタウンが日常圏内、グルメの楽しみも豊富
深沢七丁目からは「ヨークマート 中町店」や「スーパーバリュー 等々力店」などスーパーマーケットが近く、日常の買い物は近場で済ますことができる。おしゃれな雑貨店やインテリアショップ、フラワーショップなど暮らしを豊かにしてくれるショップが多いのもうれしい。
「二子玉川ライズ」や「玉川高島屋ショッピングセンター」といった大型ショッピング施設が揃う「二子玉川」駅周辺やハイセンスなショップが集まる「自由が丘」駅周辺のショッピングタウンには、電車のほか自転車や徒歩でも行ける距離にあり、気軽に買い物を楽しめるだろう。
食通に名の知れた高級店や地元の人々に愛されてきた隠れ家的名店が集まるこのエリアはグルメの楽しみも多い。とくに「ル パティシエ タカギ 深沢本店」や「パティスリー ナオキ 深沢店」、「xocol(ショコル)」、「デセール ル コントワール」といったパティスリーの名店は多く、気分によって食べ比べるのもよい。また、「駒沢オリンピック公園」周辺を中心に愛犬と一緒に入れるカフェも多い。
難関校からインターナショナルスクールまで恵まれた教育・子育て施設
教育・子育ての場としても魅力が多い。通学指定の区立小学校は人気の小学校として有名。幼稚園や保育施設も揃っている。近隣には、難関校として知られる国立の「東京学芸大学附属世田谷小学校」や「東京学芸大学附属世田谷中学校」があり、インターナショナルスクールも存在するなど、教育の選択肢が多いこともポイントとなるだろう。
暮らしの中で豊かな自然を感じられる街
緑に親しめるスポットが多いことも特徴だ。とくに「駒沢オリンピック公園」には、豊かな緑の中にジョギングコースや散策路が整備されており、地域の人々がジョギングや愛犬の散歩などを楽しむ姿が見られる。「等々力」駅の南にある「等々力渓谷公園」は23区内とは思えない渓谷の自然が美しい。「新町住宅地」周辺や呑川沿いの桜など、花見の名所が多いことも魅力だ。
また、「東京都立園芸高等学校」にはバラ園や庭園があり、地域に緑豊かな空間を提供している。毎年秋に行われる園芸展では、一般の人も構内に入ることができるほか、実習生産品の即売も行われ、多くの人々が訪れる。
暮らしの利便性に加え、緑豊かで穏やかな環境に恵まれた世田谷区深沢七丁目。邸宅街として人気を維持し続けているのも納得できる。