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世田谷区立桜町小学校 鈴木浩之校長先生 インタビュー

自尊感情の醸成を教育活動の基底におく「桜町小学校」

世田谷区用賀は、明治後期に日本で初めての郊外型分譲地として開発された街だ。国道246号などの大きな道路がありながらも、住宅地に一歩入ると閑静な雰囲気が広がっている。今回はそんな用賀エリアにある「世田谷区立桜町小学校」の鈴木浩之校長先生に、学校の歴史や教育の特徴などを伺った。

自尊感情の醸成を大切にした教育

学校の歴史・教育方針を教えてください

鈴木校長:「桜町小学校」は1952(昭和27)年に創立され、2016年度でちょうど創立65周年を迎えます。現在、児童数は約870名で、落ち着いて学習に取り組む児童が多いです。

「桜町小学校」では自尊感情の醸成をすべての教育活動の基底においています。「じぶんっていいな」「ともだちっていいな」があふれる学校にするために、子どもたちにもこのフレーズは伝えていますし、教職員一丸となって学校づくりに取り組んでいます。自尊感情とは「自分のよさだけでなく、自分の弱さも受け入れ、ありのままの自分を尊い存在として大切にできる心」という意味で、子どもたちには自分を大事にしてほしいと思っています。

学校の特徴のひとつが、お琴や三味線、尺八、邦楽に親しむなど、日本文化を知るための学習が多いことです。お琴の授業は4年生から6年生までが行っており、全ての子どもたちが日本古謡「さくらさくら」を弾けるようになることを目指しています。この「さくらさくら」は初級・中級・上級と難易度が分かれているのですが、お琴が好きな子は上級の難易度を演奏し、周囲を驚かせることもあります。他にもお茶を体験する授業や味噌作りなど、日本の文化に親しむような機会を多く取り入れています。

「桜町小学校」航空写真
「桜町小学校」航空写真

外観

「エコスクール」の活動について教えてください

鈴木校長:世田谷区に支援をして頂き、「緑のカーテン」を実施しています。春先から夏場にかけては、ゴーヤやヘチマなど様々なツル系の植物で、教室の窓を覆います。また、「環境委員会」を中心にして、電気を消す、水道をこまめにきちっと締める、着るもので体温を調整をするなど、子どもたちが自分たちで出来ることから取り組んでいます。授業で学んだことを実生活で生かすなど、エコについて考えたり実践する機会を多く取るようにしているのも特徴です。

勉強熱心な校風ということですが、この背景にはどのようなことがあるとお考えですか

鈴木校長:教育熱心なご家庭が多いということで、日常的に学習に向かう習慣が、すでに家庭の中にあるというのが一番大きな要因だと思っています。そういった土地柄を受けて、私たちも子どもたちが満足できる、あるいはさらに思考力や判断力、表現力を高められるような授業づくりを日々研鑽をしています。

具体的にはどの教科でも、子どもたちの疑問から生まれた問題の解決を大事にしたいと考えています。授業の中であがった様々な疑問を、クラスの中で話し合い、学級の学習課題として、みんなでその解決に向かっていくような、主体的な学習をできるようにしています。さらに今年度は、生活科・社会科と教科を絞って、「子どもたちが主体的に、そして子ども同士の関わりの中で学びを深められる学習」ということを研究テーマとして取り組んでいます。

 鈴木校長先生

児童の作品
児童の作品

保護者と学校で子どもの希望進路をサポート

保護者と教員の関わり・連携について教えてください

鈴木校長:校外学習など、一人一人の子どもたちが具体的な体験をする学習も多いので、そういった時に、保護者の方に学習支援者という形で授業に参加してもらったり、引率してもらったりしています。保護者の方には、ご都合の良い時に子どもたちに関わって頂きたいと考えているので、様々な形で学校運営にお力添え頂けるよう、PTAと共に工夫しています。

PTAは現在、子どもと共に育つ、子育てをする仲間として他の親御さんと育つなど、「ともに育つ」ということをテーマに活動をしていらっしゃいます。「できる時にできることを」ということで、各人ができることをして、子どもたちを支えて頂いています。

進学先として私立の中高一貫校を希望される方も多いということですが、大体どのくらいの児童が受験をするのでしょうか

鈴木校長:多い時は学年の7割が受験をする年もありますが、平均して約5割~6割弱くらいのお子さんが中学受験をされます。学校として受験勉強そのものをサポートするということはないのですが、休み期間中に委員会などの仕事をやってくれた友だちに感謝の気持ちをきちっと表すことや、自分の代わりに仕事してくれている人がいることを忘れないようになど、お互いに思いやりをもって応援し合おうと子どもたちには伝えています。

西校舎が新しく2010(平成22)年に完成しましたが、学び舎の様子について教えてください

鈴木校長:西校舎は耐震化対策を行うために改築しました。改築した校舎は明るく、とても使い勝手が良いです。また、他の校舎や体育館についても、十分耐震的な構造となっています。校庭は東側半分が芝生化されています。芝生にしたことで、子どもたちは裸足で遊んだり、寝っ転がってみたりと楽しんでいるようです。

教室の様子
教室の様子
玄関
玄関
校舎内の様子
校舎内の様子

児童の作品

学校、地域、近隣教育機関の連携で子どもを育てる

地域や近隣の学校、幼稚園との関わりについて教えてください

鈴木校長:学習の支援をして頂くことに加え、地域の皆さまが企画運営してくださる「ねぶたまつり」や、「桜町高校」にある大きな天体望遠鏡を活用した「星空観察会」、「子ども祭り」、「ごみ0デー」などのイベントに子どもたちが参加しています。特に「ねぶたまつり」や「子ども祭り」、「星空観察会」などは、子どもたちが大好きなイベントで、大人になっても忘れられないような体験になるのではないかと思っています。

鈴木校長:また、世田谷区が推進する「世田谷9年教育」の中で、「桜町小学校」は近隣の「深沢小学校」、「深沢中学校」とともに「学び舎」という一つの学園として連携し、義務教育9年間の教育活動を進めています。「桜町小学校」では、「深沢中学校」に進学する児童のことを理解してもらえるように、教員が中学校と連携をしています。また、幼稚園・保育園との連携では、各園の園児が学校体験に来てくれます。小学校の様子を園児に実際に体験してもらうと同時に、入学後スムーズに小学校生活に馴染めるように、職員間の連携も綿密に図っています。

今後の学校の展望と、今大事にしていることについて教えてください

鈴木校長:「桜町小学校」の子どもたちは素直で、一生懸命勉強に取り組む子ばかりです。そういった中で、これから社会のリーダーとなるような子どもたちを育てていくということも、「桜町小学校」の使命の一つだと思っています。リーダーといっても先頭に立って旗を振る、というだけではなく、旗を振る人を応援して、後押しするようなフォロワーも、社会を変えていくリーダーだと思っています。そういった子どもたちを育てていけるような学校にするためにも、「じぶんっていいな」「ともだちっていいな」という実感が持てる学校づくりを進めていきたいと思っています。

最後に桜新町やこの「桜町小学校」周辺の魅力を教えてください

鈴木校長:閑静な住宅街と、活気のある商店街があり、落ち着きと賑わいの両面を持っている地域だと思います。「サザエさん」の作者である長谷川町子さんの「長谷川町子美術館」もあり、本校でも見学に行かせて頂いています。また、小学校の東側を流れている呑川の桜は美しく、桜町にふさわしい、本当に素晴らしい桜だと思います。

掲示物
掲示物
体育館
体育館
教育目標
教育目標
外観
外観

※2017(平成29)年2月実施の取材にもとづいた内容です。記載している情報については、今後変わる場合がございます。

今回お話を聞いた人

世田谷区立桜町小学校
校長 鈴木浩之 先生

自尊感情の醸成を教育活動の基底におく「桜町小学校」
所在地:東京都世田谷区用賀1-5-1 
電話番号:03-3703-0161
http://school.setagaya.ed.jp/sachi/




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