杉並区立向陽中学校
人間賛歌が響き渡る明るい学校
京王線「桜上水」駅と井の頭線「西永福」駅のちょうど真ん中あたり。自然豊かな神田川のほとりに建つ「杉並区立向陽中学校」は1947(昭和22)年開校の歴史のある区立中学校。大人が元気で活発なこの地域では子ども達も活動的。地域の行事にも積極的に参加し盛り上げている。そんな「杉並区立向陽中学校」や街の魅力について菅野武彦校長先生にお話を伺いました。
ひまわりのように明るく元気な学校
「杉並区立向陽中学校」の概要について教えて下さい。
現在の生徒数は1年生が100名、2年生が128名、3年生が120名です。「向陽中学校」は元々「下高中学校」という名前でスタートしたんですね。武蔵野の面影を残す地域に玉川上水や神田川があって、ここから桜上水の駅も見えたと伝えられています。1956(昭和31)年4月に校名が「杉並区立向陽中学校」に変わりました。神田川の向こう側、西永福地域は小高くなっていて、当時は「向陽台」と呼ばれていたんです。「向」と下高井戸の「高」は音が同じということや、中国語でひまわりは「向陽花」と書きますから、太陽に向かっていくひまわりのようなイメージで「向陽中学校」が誕生しました。そして、同じくひまわりをデザインした校章ができました。
菅野校長先生は昨年に着任されたそうですが、子どもたちの第一印象はいかがでしたか?また、1年間、一緒に過ごしてみていかがですか?
この地域は大人がすごく元気で活動的なんです。なので、子どもも元気で活動的です。遊ぶことが好きな、子どもらしさを備えた子が多いなと思いました。運動会とか秋には合唱コンクールのある向陽祭っていうんですが、みんな本当によく活動しますね。元気はつらつです。 それからダンスが盛んですね。ダンス部もあるんですが、この地域には「向陽スポーツ文化クラブ」略してKSCCという地域住民が主体のクラブがあって、そこで習ってきた子がたくさんいるので体育の授業でのダンスはすごいです。それも明るさ、元気さにつながっているのかなとも思います。他の学校に比べて行事で燃える姿は一味違うというのが私の印象です。
「人間賛歌が響き渡る学校」を目標に掲げていらっしゃいますが、具体的にどういったことを目指していらっしゃるのでしょうか?
人として生きるということは、楽しいことも大変なこともあるけれども、素晴らしい事なんだよと子ども達に教えたいと思うんです。両親からもらった命を大事に、将来にわたり自分らしく生きてほしいのです。私は人として生きることは素晴らしいんだよと常に言っています。私を見てそう感じてほしいと思っているので、常に明るく前向きな姿勢を示したり、先生方にもそういう姿勢で接してほしいとお願いしています。それを「人間賛歌の教育」と名付けています。
地域全体で子ども達を育てる
「地域運営学校」の仕組みをとっていますが、具体的にはどのような仕組みですか
「地域運営学校」は文部科学省が推進している学校づくりの一端で、英語だとコミュニティスクールですね。杉並区では2005(平成17)年度に指定を始めたんですが、第1回指定校が「杉並区立向陽中学校」だったんです。区内では小中合わせて67校あるんですけど、そのうち32校が地域運営学校に指定されていて、将来は全校が指定されることになっています。各学校に「学校運営行議会」があって、その委員は地域からの公募や、校長が推薦したりして集まった合議制の組織なんです。 校長がこういう学校運営をやりますという計画や、それに伴う教育課程の承認をもらわないといけません。委員さんは保護者や地域の意見も取り入れて学校経営に反映してほしいと、ちょうど学校と地域の橋渡し役ですね。本校の委員さんは毎年アンケートを取っていて、昇降口にその結果が貼ってあります。仕組み自体はどの学校も同じですね。
「地域運営学校」の仕組みにより、上手くいった例などありましたら紹介していただけますか?
本校の委員さんは男性が5人いるんですけど、皆さん本校の卒業生で、先ほどの校名が変わる時に生徒だった方もいるんですよ。その時は校名も変わり頑張ろうということで、いろんなことをやったらしいんですね。先生方が自分達を育ててくれたという思いがあるから、それを今の子ども達にも伝えたいということで、母校愛の熱意がすごいんです。色んな所を見て意見をしてくれます。 多分保護者は、委員の皆さんがアンケートをしてくれて、それを校長に伝えて学校の経営に生かしてくれているという思いがあると思うので、それが一番の成果かなと思いますね。もう11年目で保護者にも浸透していると思うので、この1年でここがよかったという明らかなのではなくて、積みあがってきたものの中で実感することがあるのではないかと思います。
土曜日授業もほぼ毎月1回あるようですね。保護者の参観も可能とのことですが、どのようなことをされているのですか?
杉並区では土曜日に授業を月に1,2回やってもいいということで、各学校で設定してやっています。例えば6月だったら運動会、10月には向陽祭りをそれに充てるとか、行事でもいいんですね。講演会をやるときは一緒に聞いてもらったり、その後に協議会もあったりしています。 区の方針としては普通の授業よりも地域の人と協力した授業をやってほしいというのがあります。2017年度には70周年がありますから、それにむけて、地域の人や卒業生が先生になって、ご自分の体験や向陽中への思いなどを話してもらって、お祝いしようかなと考えております。
また、「KOYOスタディ」も頻繁にありますね。こちらは、どのような活動でしょうか?
定期考査の1週間前は部活動がなくて、試験勉強をするんですが、その土日に学校を開放して大学生のボランティアが子ども達に勉強を教えるということをやっています。勉強をしたい子が自分で申し込みをして、それぞれ好きな勉強をします。定期考査は年5回あって、その前の土日ですから年間で10回ですね。 保護者が中心になって「KOYOスタディ」という組織を作って、大学生のボランティアを呼んでいます。桜上水の向こう側に「日本大学文理学部」や、明大前には「明治大学」がありますので、そこに話をして来てもらっています。あとはこの地域には大学生がいっぱい住んでいますので、人づてに声をかけて来て頂いています。
豊かな自然と活気に満ちた街
桜上水の魅力について教えて下さい。また、 桜上水、および、杉並区の教育方針などで、よいところはどんなところだとお考えですか?
地域の良さは子どもを大人がみんなで面倒を見ようという雰囲気があります。町会や自治会、青少年育成委員会、児童館との関わりを見ていると、ネットワークがすごくよく広がっていて、他の地域よりも強いと感じます。それが子どもの元気の良さに結びついているのかなというのが私の思いなんですね。それから皆さんお祭り好きですね。この地域には「町ぐるみ運動会」が11月にあり、本校のグラウンドで行うんですが、杉並区下高永福青少年育成委員会が主催で大人も子どもも参加するイベントです。本校生徒はそれにボランティアとしても参加しています。他にも「たかさんまつり」や「向陽こどもまつり」、神社の祭礼など、楽しむことが多い環境があるから、子どもも生き生きと楽しむ土台があるのかなと思います。
桜上水のおすすめスポットを教えてください。
神田川や善福寺川ですね。前任は西宮中でそこも神田川が近く、家は西荻北なので善福寺川に近いんです。そういう意味では川には縁があって。神田川の桜はいいですね。川って一番自然に接している感じがありますよね。 昔の写真を見ると向陽中が今と変わらない地域にあって、川は昔からずっと同じように流れていて。土手沿い><を歩いていると昔を思い出すような気持ちにさせられます。
※2016(平成28)年3月実施の取材にもとづいた内容です。 記載している情報については、今後変わる場合がございます。
杉並区立向陽中学校
所在地:東京都杉並区下高井戸3−24−1
電話番号:03-3302-2989
http://www.suginami-school.ed.jp/kouyouc..